JP3848560B2 - 遊星歯車装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊星歯車装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の自動変速機や無段変速機等においては、サンギアと、サンギアの外周側に配置された複数のプラネタリギアと、プラネタリギアの外周側に配置されたリングギアと、プラネタリギアを軸支するための遊星キャリアとから主に構成された遊星歯車装置が使用されている。このような遊星歯車装置では、サンギアがプラネタリギアと噛み合い、さらに、プラネタリギアがリングギアに噛み合うことで、回転が伝達されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような遊星歯車装置の一つとして、リングギアの軸方向の一側面が遊星キャリアによって受けられる構造を有するものがある。この遊星歯車装置において各ギアをはすば歯車にすると、リングギアの軸方向の一側面と遊星キャリアとの間にスラスト荷重が作用するため、リングギアの軸方向の一側面と遊星キャリアとの間にスラストワッシャを配置しなければならない。そして、このスラストワッシャのリングギアの軸方向の一側面と当接する面には、摺動性を高めるためのコーティングが施されている。
【0004】
このような片面にコーティング面を有するスラストワッシャは、コーティング面が確実にリングギア側に向くように組み付けされる必要がある。しかし、従来のスラストワッシャは単純な環状部材であるため、遊星歯車装置の組み立て時に、スラストワッシャの表裏を識別し間違えて誤組が生じることがある。
このため、従来は、スラストワッシャの組み付け前にスラストワッシャに表裏の識別のための表示を付して、スラストワッシャの誤組を防いでいる。しかし、この方法では、スラストワッシャの組み付け前に表裏の識別を付するための工程が必要になってしまう。
【0005】
本発明の課題は、遊星歯車装置の組み立てにおいて、表裏を有するスラストワッシャを組み付ける際の誤組を防ぐことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の遊星歯車装置は、回転軸に設けられたサンギアと、サンギアと噛み合う複数のプラネタリギアと、プラネタリギアと噛み合うリングギアと、遊星キャリアと、環状のスラストワッシャとを備えている。複数のプラネタリギアは、サンギアの外周側に回転方向に並んで配置されている。リングギアは、複数のプラネタリギアの外周側に配置されている。遊星キャリアは、複数のプラネタリギアの軸方向両側を挟むように軸支している。そして、遊星キャリアは、複数のプラネタリギアの回転方向間に配置された複数の柱状部とリングギアを軸方向に受けるリングギア受け部とを有している。スラストワッシャは、リングギア受け部とリングギアとの間に配置されており、柱状部に回転不能に係止されている。スラストワッシャの内周部には、プラネタリギアのスラストワッシャ内周部近傍の歯先円の形状に対応するように外周側に凹んだワッシャ側凹部が形成されている。ワッシャ側凹部に対応するプラネタリギアの軸中心は、複数の柱状部の回転方向間の中心から偏倚して配置されて、スラストワッシャは表裏非対称である
【0007】
この遊星歯車装置では、スラストワッシャの内周部にはプラネタリギアのスラストワッシャ内周部近傍の歯先円の形状に対応するように外周側に凹んだワッシャ側凹部が形成されており、かつ、このワッシャ側凹部に対応するプラネタリギアの軸中心が柱状部の回転方向間の中心から偏倚して配置されているため、スラストワッシャの形状が表裏非対称となっている。これにより、スラストワッシャの表裏の識別性を向上させることができる。
【0008】
また、このスラストワッシャの表裏を誤って遊星キャリアに組み付けしようとしても、スラストワッシャの内周部のワッシャ側凹部が形成されていない部分がプラネタリギアに干渉してしまい、スラストワッシャの組み付けができないようになっている。これにより、スラストワッシャの誤組を防ぐことができる。
請求項2に記載の遊星歯車装置は、請求項1において、スラストワッシャは、複数の柱状部のそれぞれに対応するように配置され、柱状部の回転方向両側を挟むように内周側に突出した1対のワッシャ側爪部を有している。
【0009】
請求項3に記載の遊星歯車装置は、請求項1又は2において、プラネタリギアは、サンギアと噛み合う第1ピニオンギアと、第1ピニオンギアの外周側に配置されリングギアと噛み合う第2ピニオンギアとからなるダブルプラネタリギアである。そして、ワッシャ側凹部は、第2ピニオンギアに対応して形成されている。
【0010】
この遊星歯車装置では、スラストワッシャのワッシャ側凹部がダブルプラネタリギアを構成する2つのピニオンギアのうち外周側に配置された第2ピニオンギアに対応するように形成されている。このため、スラストワッシャの表裏を誤って遊星キャリアに組み付けしようとしても、スラストワッシャの内周部のうちワッシャ側凹部が形成されていない部分が第2ピニオンギアに干渉して組み付けできないようになっている。これにより、スラストワッシャの誤組を防ぐことができる。
【0011】
請求項4に記載の遊星歯車装置は、回転軸に設けられたサンギアと、サンギアと噛み合う複数のプラネタリギアと、プラネタリギアと噛み合うリングギアと、遊星キャリアと、環状のスラストワッシャとを備えている。複数のプラネタリギアは、サンギアの外周側に回転方向に並んで配置されている。リングギアは、複数のプラネタリギアの外周側に配置されている。遊星キャリアは、複数のプラネタリギアの軸方向両側を挟むように軸支している。そして、遊星キャリアは、複数のプラネタリギアの回転方向間に配置された複数の柱状部とリングギアを軸方向に受けるリングギア受け部とを有している。スラストワッシャは、リングギア受け部とリングギアとの間に配置されており、柱状部に回転不能に係止するためのワッシャ側係合部を有している。複数の柱状部のそれぞれは、ワッシャ側係合部に係止するための柱側係合部をさらに有している。これら複数の柱側係合部の少なくとも1つは、柱状部の回転方向中心から偏倚して配置されている。
【0012】
この遊星歯車装置では、柱状部にワッシャ側係合部に係止するための柱側係合部が形成されており、かつ、これら複数の柱側係合部の少なくとも1つが柱状部の回転方向中心から偏倚して配置されているため、スラストワッシャの形状が表裏非対称となっている。これにより、スラストワッシャの表裏の識別性を向上させることができる。
【0013】
また、このスラストワッシャの表裏を誤って遊星キャリアに組み付けしようとしても、スラストワッシャのワッシャ側係合部の少なくとも1つが柱側係合部に合わなくなり、スラストワッシャの組み付けができないようになっている。これにより、スラストワッシャの誤組を防ぐことができる。
請求項5に記載の遊星歯車装置は、請求項4において、柱側係合部は、柱状部の外周側に突出した柱側凸部である。ワッシャ側係合部は、柱側凸部に対応するように配置され、柱側凸部の回転方向両側を挟むようにスラストワッシャの内周側に突出した1対のワッシャ側爪部である。
【0014】
請求項6に記載の遊星歯車装置は、請求項4において、柱側係合部は、柱状部の内周側に凹んだ柱側凹部である。ワッシャ側係合部は、柱側凹部に対応するように配置され、柱状凹部によって回転方向両側が挟まれるようにスラストワッシャの内周側に突出したワッシャ側凸部である。
【0015】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
(1)構成
本発明の第1実施形態の遊星歯車装置を採用した無段変速機の正逆転装置1を図1に示す。
【0016】
▲1▼全体構成
図1に示す正逆転装置1は、トルクコンバータ(図示せず)から延びるシャフトである入力軸8からの回転を出力軸9に出力する機能を有している。出力軸9は、無段変速機(図示せず)から延びるシャフトである。また、正逆転装置1は、車両を後退させるためにトルクコンバータからの回転駆動方向を逆転するための機構でもある。正逆転装置1は、前後進切換装置4と、前後進切換装置4によって動力の伝達経路が切り換えられる遊星歯車装置5とを備えている。前後進切換装置4は、トルクコンバータからの動力が入力される前進用油圧クラッチ装置6と、遊星歯車装置5の制御を行う後進用油圧ブレーキ装置7とを有している。尚、図1のO−Oは、正逆転装置1の回転軸である。
【0017】
遊星歯車装置5は、入力軸8の先端に形成されたサンギア11と、後進用油圧ブレーキ装置7によって回転の許容及び禁止が制御されるリングギア14と、サンギア11及びリングギア14に噛み合うダブルピニオン式プラネタリギア12(以下、ダブルプラネタリギア12とする)とを有している。サンギア11とリングギア14は同心に配置され、ダブルプラネタリギア12はサンギア11とリングギア14に噛み合っている。ダブルプラネタリギア12は遊星キャリア13に回転可能に支持されており、遊星キャリア13は出力軸9に連結されている。ここで、遊星歯車装置5を構成するギア11、12、14は、はすば歯車である。
【0018】
入力軸8の先端には、フランジ部8aと、その外周縁からさらに出力軸9側にのびる筒状部8bとが形成されている。つまり、入力軸8の先端面に空洞部が形成されていることになる。筒状部8bの外周面には、サンギア11が形成されており、その前進用油圧クラッチ装置6側にスプライン17がさらに形成されている。また、入力軸8の中心部には油路8cが形成されている。さらに、筒状部8bのサンギア11とスプライン17との軸方向間には、筒状部8bの内周から外周へ貫通する複数の油路8dが放射状に形成されている。これらの油路8dから遊星歯車装置5及び前進用油圧クラッチ装置6へ潤滑油が供給されるようになっている。
【0019】
出力軸9は無段変速機のプライマリプーリから延びるシャフトである。出力軸9の先端は入力軸8の筒状部8b内に延びて配置されている。具体的には、出力軸9の先端面は入力軸8のフランジ部8aに近接し、出力軸9の先端部外周面と筒状部8bとの半径方向間には隙間が確保されている。なお、出力軸9の先端側外周面にはスプライン20が形成されている。また、出力軸9は軸受70を介してミッションケース46に回転自在に支持されている。
【0020】
▲2▼前進用油圧クラッチ装置の構成
前進用油圧クラッチ装置6は、クラッチドラム18と、クラッチドラム18の内部に配置された遊星キャリア13の一部である第2キャリア部材52と、クラッチドラム18と第2キャリア部材52との間の動力の伝達を制御するクラッチ部22と、クラッチドラム18内に摺動自在に配置されたピストン23とから主に構成されている。
【0021】
▲3▼後進用油圧ブレーキ装置の構成
後進用油圧ブレーキ装置7は、ピストン41と、このピストン41によって互いに圧接される複数のブレーキプレートを有するブレーキ部40とから主に構成されている。
ピストン41は、環状の部材であり、ブレーキ部40とミッションケース46の側壁部46aとの間に配置されている。ピストン41の外周部及び内周部は、それぞれミッションケース46の外壁部46b及び内壁部46cの間に摺接されている。ピストン41のリングギア14側には、ピストン41をブレーキ部40から離れる方向に付勢するためのリターンスプリング42が配置されている。リターンスプリング42は、ミッションケース46の内壁部46cに支持されたスプリングリティーナ43によって支持されている。このリターンスプリング42は、環状のウェーブスプリングを軸方向に複数重ねて形成されたものである。
【0022】
▲4▼遊星歯車装置の構成
遊星歯車装置5は、前述のように、サンギア11、ダブルプラネタリギア12、リングギア14及び遊星キャリア13から主に構成されている。
リングギア14は、後進用油圧ブレーキ装置7によって回転の禁止及び許容が制御されるようになっている。つまり、リングギア14は、後進用油圧ブレーキ装置7に連結されていない状態では、自由に回転可能となっている。リングギア14は内周側に内歯14aを有し、外周側にスプライン14bを有している。スプライン14bは、後進用油圧ブレーキ装置7のブレーキ部40に噛み合っている。内歯14aは、ダブルプラネタリギア12に噛み合っている。そして、リングギア14と遊星キャリア13の外周部との軸方向間には、環状のスラストワッシャ54がさらに設けられている。
【0023】
次に、図2及び図3を用いて、ダブルプラネタリギア12及び遊星キャリア13について説明する。ここで、図2は遊星キャリア13を前進用油圧クラッチ装置6側から見た平面図であり、図3は図2のA−O−A断面図である。
ダブルプラネタリギア12は、図2に示すように、合計6個のピニオンギアからなり、互いに噛み合う3対のダブルピニオンとなっている。ここで、ダブルプラネタリギア12のうち遊星キャリア13の内周側に配置されたピニオンギアを第1ピニオンギア61とし、第1ピニオンギア61よりも外周側に配置されたピニオンギアを第2ピニオンギア62とする。ダブルプラネタリギア12の各対において、第1ピニオンギア61はサンギア11と噛み合い、第2ピニオンギア62はリングギア14の内歯14aと噛み合っている。尚、前述のように、ピニオンギア61、62は、はすば歯車であるため、スラストワッシャ54はリングギア14からのスラスト荷重を受けることになる。
【0024】
ダブルプラネタリギア12は、遊星キャリア13に回転可能に装着されている。この遊星キャリア13は、後進用油圧ブレーキ装置7側に配置された第1キャリア部材51と、前進用油圧クラッチ装置6の出力部材を構成する第2キャリア部材52とから主に構成されている。ダブルプラネタリギア12の第1ピニオンギア61及び第2ピニオンギア62は、第1キャリア部材51と第2キャリア部材52とによって、軸方向両側が挟まれ、第1ピニオンギア61に対応する第1ピニオンシャフト65及び第2ピニオンギア62に対応する第2ピニオンシャフト66を介してそれぞれ軸支されている。より詳細には、ピニオンギア61、62は、それぞれに対応する第1及び第2ピニオンシャフト65、66の外周面とピニオンギア61、62の内周面との間に配置された軸受63を介して回転可能に装着されている。また、ピニオンギア61、62の軸方向両側とキャリア部材51、52との間には、1対のピニオンワッシャ64が配置されている。
【0025】
第1キャリア部材51は、出力軸9と連結する出力ハブであり、環状の固定部51aと、その内周縁から入力軸8側に延びるように形成された筒状部51bと、固定部51aの外周縁から入力軸8側に延びるように形成された3つの柱状部51cとから構成されている。固定部51aには、出力軸9を挿入するための中心孔51fと、ピニオンシャフト65、66の出力軸9側の端部が挿入される孔51dとが形成されている。筒状部51bは、図1に示すように、入力軸8の筒状部8b内に延びている。筒状部51bの先端と入力軸8のフランジ部8aとの間にはスラストニードルベアリング71が配置されている。筒状部51bの内周面には、スプライン孔51eが形成されている。スプライン孔51eは、ブローチ加工で形成され、出力軸9のスプライン20に噛み合っている。すなわち、遊星キャリア13の出力部である筒状部51bはサンギア11の内周側の同一軸方向位置に形成されている。各プラネタリギア12はキャリア部材51,52に挿入されたピニオンシャフト65、66の回りに回転自在になっている。柱状部51cは、ダブルプラネタリギア12の各対の回転方向間に等間隔に形成されて第2キャリア部材52まで延び、第2キャリア部材52に溶接固定されている。
【0026】
第2キャリア部材52は、筒状部52aと、筒状部52aの後進用油圧ブレーキ装置7側を内周側にプレス曲げで一体で形成された環状の固定部52bとを有している。筒状部52aの外周面には、前進用油圧クラッチ装置6のクラッチ部22が係合する複数の係合凹凸部52cが形成されている。また、固定部52bには、ピニオンシャフト65、66の他端が挿入される孔52dと、スラストワッシャ54が当接するスラスト受け部52eとが形成されている。
【0027】
スラストワッシャ54について、図1、図3及び図4を用いて説明する。ここで、図4は、遊星キャリア13を後進用油圧ブレーキ装置7側から見た平面図であって、遊星キャリア13にスラストワッシャ54を組み付けた状態を示す図である。スラストワッシャ54の前進用油圧クラッチ装置6側の面は第2キャリア部材52のスラスト受け部52eに当接し、後進用油圧ブレーキ装置7側の面はリングギア14に当接している。スラストワッシャ54は、3つの柱状部51cのそれぞれ回転方向間を挟むように内周側に突出した3対のワッシャ側爪部54aと、第2ピニオンギア62のスラストワッシャ54の内周部近傍の歯先円の形状に対応するように外周側に凹んだワッシャ側凹部54bとを有している。スラストワッシャ54は、このワッシャ側爪部54aによって、遊星キャリア13に回転不能に係止されている。これにより、スラストワッシャ54の後進用油圧ブレーキ装置7側の面は、リングギア14と摺動することになる。スラストワッシャ54のリングギア14側の面には、摺動性を向上させるための摺動材のコーティングが施されている。
【0028】
次に、ダブルプラネタリギア12、柱状部51c及びスラストワッシャ54の位置関係について説明する。ここで、図4に示すように、第1ピニオンギア61及び第2ピニオンギア62の軸中心をそれぞれP1及びP2とし、ダブルプラネタリギア12の回転方向両側の2つの柱状部51cの回転方向の中心線を中心線O−B及び中心線O−Cとする。そして、中心線O−Bと中心線O−Cとの回転方向の中心線を中心線O−Dとする。
【0029】
ここで、ピニオンギア61、62の軸中心P1及びP2は、中心線O−Dから回転方向に偏倚して配置されている。つまり、スラストワッシャ54に形成されたワッシャ側凹部54bは、中心線O−Dから回転方向に偏倚して配置されていることになる。また、スラストワッシャ54の内周部のうちワッシャ側凹部54bを除く部分は、第2ピニオンギア62のスラストワッシャ54の内周部近傍の歯先円の半径方向位置よりも内周側に、かつ、第1ピニオンギア61のスラストワッシャ54の内周部近傍の歯先円の半径方向位置よりも外周側に位置している。
【0030】
(2)特徴
本実施形態の遊星歯車装置の特徴について説明する。
▲1▼柱状部を利用したスラストワッシャの回り止め
本実施形態の遊星歯車装置5では、従来から遊星キャリア13に設けられている柱状部51cを利用して、スラストワッシャ54を遊星キャリア13に対して回り止めしている。このため、スラストワッシャ54の回り止め構造が簡単である。
【0031】
▲2▼ワッシャ側凹部によるスラストワッシャの表裏の識別性向上及び誤組防止
本実施形態の遊星歯車装置5では、図4に示すように、スラストワッシャ54に形成されたワッシャ側凹部54bは、中心線O−Dから回転方向に偏倚して配置されているため、スラストワッシャ54の形状は表裏非対称となっている。これにより、スラストワッシャ54の表裏の識別性が向上している。
【0032】
また、スラストワッシャ54の表裏を誤って遊星キャリア13に組み付けしようとしても、図4の2点鎖線で示されたスラストワッシャ54のように、スラストワッシャ54の内周部のワッシャ側凹部54bが形成されていない部分が第2ピニオンギア62に干渉してしまい、スラストワッシャ54の組み付けができないようになっている。これにより、スラストワッシャ54の誤組を防ぐことができる。
【0033】
▲3▼スラストワッシャの製造容易性
本実施形態の遊星歯車装置5では、ワッシャ側爪部54aはスラストワッシャ54の内周側に突出した形状であるため、スラストワッシャ54の製造の際に、金属製の板状部材の打ち抜き加工のみで製造することが可能である。これにより、従来のスラストワッシャに設けられていた第2キャリア部材52の外周部に設けられた係合凹凸部52cに係合可能な複数の折り曲げ部が不要になり、スラストワッシャ54の製造工程を減らすことができる。
【0034】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態の遊星歯車装置について説明する。尚、無段変速機の正逆転装置としての全体構成については、第1実施形態と同様であるため説明を省略し、遊星歯車装置を構成する遊星キャリア及びスラストワッシャの第1実施形態との相違点について以下に説明する。
【0035】
図5を用いて、本実施形態の遊星キャリア113及びスラストワッシャ154について説明する。ここで、図5は、遊星キャリア113を後進用油圧ブレーキ装置7側から見た平面図であって、遊星キャリア113にスラストワッシャ154を組み付けた状態を示す図である。ここで、遊星キャリア113の回転方向を回転方向Rとする。
【0036】
遊星キャリア113の第1キャリア部材151は、3つの柱状部151cの外周側にさらに柱側凸部151gを有している。柱側凸部151gは、柱状部151cの曲げ成形と同時に成形されている。
柱側凸部151gと柱状部151cとの位置関係について、以下に説明する。図5に示すように、3つの柱側凸部151gは、それぞれに対応する柱状部151cの中心から偏倚して配置されている。具体的には、柱側凸部151gの1つは柱状部151cの回転方向間の中心線O−Eから反R側に偏倚して配置されており、他の2つの柱側凸部151gは柱状部151cの回転方向間の中心線O−EからR側に偏倚して配置されている。
【0037】
スラストワッシャ154は、柱側凸部151gの回転方向間を挟むように内周側に突出した3対のワッシャ側爪部154aを有している。これにより、スラストワッシャ154は、遊星キャリア113に回転不能に係止されている。
本実施形態においては、柱側凸部151gの1つのみが柱状部151cの回転方向間の中心O−Eから反R側に配置されており、この配置に対応するようにスラストワッシャ154のワッシャ側爪部154aが形成されているため、スラストワッシャ154の形状が表裏非対称となっている。これにより、スラストワッシャ154の表裏の識別性が向上している。
【0038】
また、スラストワッシャ154の表裏を誤って遊星キャリア113に組み付けしようとしても、図5の2点鎖線で示されたスラストワッシャ154のように、スラストワッシャ154のワッシャ側爪部154aの1つが柱側凸部151gの1つに干渉してしまい、スラストワッシャ154の組み付けができないようになっている。これにより、スラストワッシャ154の誤組を防ぐことができる。
【0039】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態の遊星歯車装置について説明する。尚、無段変速機の正逆転装置としての全体構成については、第1実施形態と同様であるため説明を省略し、遊星歯車装置を構成する遊星キャリア及びスラストワッシャの第2実施形態との相違点について以下に説明する。
【0040】
図6を用いて、本実施形態の遊星キャリア213及びスラストワッシャ254について説明する。ここで、図6は、遊星キャリア213を後進用油圧ブレーキ装置7側から見た平面図であって、遊星キャリア213にスラストワッシャ254を組み付けた状態を示す図である。ここで、遊星キャリア213の回転方向を回転方向Rとする。
【0041】
遊星キャリア213の第1キャリア部材251は、3つの柱状部251cの外周側にさらに柱側凹部251gを有している。柱側凹部251gは、柱状部151cの曲げ成形と同時に成形されている。
柱側凹部251gと柱状部251cとの位置関係について、以下に説明する。図6に示すように、3つの柱側凹部251gは、それぞれに対応する柱状部251cの中心から偏倚して配置されている。具体的には、柱側凹部251gの1つは柱状部251cの回転方向間の中心線O−Fから反R側に偏倚して配置されており、他の2つの柱側凹部251gは柱状部251cの回転方向間の中心線O−FからR側に偏倚して配置されている。
【0042】
スラストワッシャ254は、柱側凹部251gによって回転方向間が挟まれるように内周側に突出したワッシャ側凸部254aを有している。これにより、スラストワッシャ254は、遊星キャリア213に回転不能に係止されている。
本実施形態においても、第2実施形態と同様の効果が得られる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態の遊星歯車装置について説明する。尚、無段変速機の正逆転装置としての全体構成については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。本実施形態は、第1実施形態において、遊星歯車装置を構成するプラネタリギアをシングルピニオン式プラネタリギアとしている点が異なる。以下、プラネタリギアをシングルピニオン式プラネタリギアに適用したこと伴う遊星キャリア及びスラストワッシャの相違点について説明する。
【0043】
図7を用いて、本実施形態のプラネタリギア312、遊星キャリア313及びスラストワッシャ354について説明する。ここで、図7は、遊星キャリア313を後進用油圧ブレーキ装置7側から見た平面図であって、遊星キャリア313にスラストワッシャ354を組み付けた状態を示す図である。
プラネタリギア312は、図7に示すように、シングルピニオン式である。
【0044】
スラストワッシャ354は、3つの柱状部351cのそれぞれ回転方向間を挟むように内周側に突出した3対のワッシャ側爪部354aと、プラネタリギア312のスラストワッシャ354の内周部近傍の歯先円の形状に対応するように外周側に凹んだワッシャ側凹部354bとを有している。スラストワッシャ354は、このワッシャ側爪部354aによって、遊星キャリア313に回転不能に係止されている。
【0045】
プラネタリギア312、柱状部351c及びスラストワッシャ354の位置関係について説明する。プラネタリギア312の軸中心をP3とし、プラネタリギア312の回転方向両側の2つの柱状部351cの回転方向の中心線を中心線O−G及び中心線O−Hとする。そして、中心線O−Gと中心線O−Hとの回転方向の中心線を中心線O−Iとする。
【0046】
ここで、プラネタリギア312の軸中心P3は、中心線O−Iから回転方向に偏倚して配置されている。つまり、前述のスラストワッシャ354に形成されたワッシャ側凹部354bは、中心線O−Iから回転方向に偏倚して配置されていることになる。また、スラストワッシャ354の内周部のうちワッシャ側凹部354bを除く部分は、プラネタリギア312のスラストワッシャ354の内周部近傍の歯先円の半径方向位置よりも内周側に位置している。
【0047】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、具体的な構成は前記実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、柱状部に対してスラストワッシャを回り止めするための柱側凸部、柱側凹部、ワッシャ側爪部、ワッシャ側凸部及びワッシャ側凹部の形状は、前記実施形態に限られるものではない。
【0048】
【発明の効果】
本発明にかかる遊星歯車装置では、表裏を有するスラストワッシャを組み付ける際の誤組を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の遊星歯車装置が採用された無段変速機の正逆転装置の縦断面概略図。
【図2】図1の遊星歯車装置の遊星キャリアを前進用油圧クラッチ装置側から見た平面図。
【図3】図1の遊星歯車装置の遊星キャリアの縦断面図であって、図2のA−O−A断面図。
【図4】図1の遊星歯車装置の遊星キャリアを後進用油圧ブレーキ装置側から見た平面図であって、遊星キャリアにスラストワッシャを組み付けた状態を示す図。
【図5】本発明の第2実施形態の図4に相当する図。
【図6】本発明の第3実施形態の図4に相当する図。
【図7】本発明の第4実施形態の図4に相当する図。
【符号の説明】
12 ダブルプラネタリギア
13、 113、 213、 313 遊星キャリア
14 リングギア
51、 151、 251、 351 第1キャリア部材
51c、151c、251c、351c 柱状部
52、 152、 252、 352 第2キャリア部材
54、 154、 254、 354 スラストワッシャ
54a、154a、354a ワッシャ側爪部
54b、354b ワッシャ側凹部
61 第1ピニオンギア
62 第2ピニオンギア
151g 柱側凸部
251g 柱側凹部
254a ワッシャ側凸部
312 プラネタリギア

Claims (6)

  1. 回転軸に設けられたサンギアと、
    前記サンギアの外周側に回転方向に並んで配置され、前記サンギアと噛み合う複数のプラネタリギアと、
    前記複数のプラネタリギアの外周側に配置され、前記プラネタリギアと噛み合うリングギアと、
    前記複数のプラネタリギアの軸方向両側を挟むように軸支し、前記複数のプラネタリギアの回転方向間に配置された複数の柱状部と前記リングギアを軸方向に受けるリングギア受け部とを有する遊星キャリアと、
    前記リングギア受け部と前記リングギアとの間に配置され、前記複数の柱状部に回転不能に係止されている環状のスラストワッシャとを備え、
    前記スラストワッシャの内周部には、前記プラネタリギアの前記スラストワッシャ内周部近傍の歯先円の形状に対応するように外周側に凹んだワッシャ側凹部が形成されており、
    前記ワッシャ側凹部に対応するプラネタリギアの軸中心は、前記柱状部の回転方向間の中心から偏倚して配置されて、前記スラストワッシャは表裏非対称である
    遊星歯車装置。
  2. 前記スラストワッシャは、前記複数の柱状部のそれぞれに対応するように配置され、前記柱状部の回転方向両側を挟むように内周側に突出した1対のワッシャ側爪部を有している、請求項1に記載の遊星歯車装置。
  3. 前記プラネタリギアは、サンギアと噛み合う第1ピニオンギアと、前記第1ピニオンギアの外周側に配置されリングギアと噛み合う第2ピニオンギアとからなるダブルプラネタリギアであり、
    前記ワッシャ側凹部は、前記第2ピニオンギアに対応して形成されている、
    請求項1又は2に記載の遊星歯車装置。
  4. 回転軸に設けられたサンギアと、
    前記サンギアの外周側に回転方向に並んで配置され、前記サンギアと噛み合う複数のプラネタリギアと、
    前記複数のプラネタリギアの外周側に配置され、前記プラネタリギアと噛み合うリングギアと、
    前記複数のピニオンギアの軸方向両側を挟むように軸支し、前記複数のプラネタリギアの回転方向間に配置された複数の柱状部と前記リングギアを軸方向に受けるリングギア受け部とを有する遊星キャリアと、
    前記リングギア受け部と前記リングギアとの間に配置され、前記複数の柱状部に回転不能に係止されるための複数のワッシャ側係合部を有する環状のスラストワッシャとを備え、
    前記複数の柱状部のそれぞれは、前記ワッシャ側係合部を係止するための柱側係合部をさらに有し、
    前記複数の柱側係合部の少なくとも1つは、前記柱状部の回転方向中心から偏倚して配置されている、
    遊星歯車装置。
  5. 前記柱側係合部は、前記柱状部の外周側に突出した柱側凸部であり、
    前記ワッシャ側係合部は、前記柱側凸部に対応するように配置され、前記柱側凸部の回転方向両側を挟むように前記スラストワッシャの内周側に突出した1対のワッシャ側爪部である、
    請求項4に記載の遊星歯車装置。
  6. 前記柱側係合部は、前記柱状部の内周側に凹んだ柱側凹部であり、
    前記ワッシャ側係合部は、前記柱側凹部に対応するように配置され、前記柱状凹部によって回転方向両側が挟まれるように前記スラストワッシャの内周側に突出したワッシャ側凸部である、
    請求項4に記載の遊星歯車装置。
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