JP3848108B2 - トランスファプレス機の抜き絞り装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抜き絞り工程でブランクを抜いて絞りカップ状に成型した後に複数工程のプレス加工を順次連続的に行なうトランスファプレス機における、ブランクの抜きと初絞りとを同一工程内で加工する抜き絞り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トランスファプレス機において例えば図13に示すような抜き絞り装置が知られている。以下図13をもとに従来技術を説明する。立設したフレーム101の上部に軸支された、図示しない駆動モータにより回転駆動される主軸104にはスライド駆動手段として停留部を有するカム103Aおよび図示しないカム103Bとが形成されており、これらのカム103Aおよび図示しないカム103Bの回転に従動して上下動するカムローラ106Aおよび図示しないカムローラ106Bを軸着したスライド105がフレーム101内に図示しない摺動案内手段に沿って上下動可能に設けられている。
【0003】
フレームの左側面には一対のベベルギヤ122で連繋され主軸104と同期して回転駆動されるサイド軸107が軸支され、このサイド軸107には円筒溝カム117が取着されている。円筒溝カム117に設けられた溝に係合する1個のカムフォロア121が一方端に軸着され中央部がフレームに取着の支点軸に揺動可能に軸支された揺動レバー113の他方端に設けた凸部には抜き絞り工程加工軸線上に中心を一致させて初絞りパンチ136の上端部に設けた凹部が係合されている。該初絞りパンチ136はスライド105の下部に固着の上台131の中で後述の抜きパンチ134の中心に穿孔された案内穴に鉛直線上を上下動するように案内されており、円筒溝カム117の回転に基づく揺動レバー113の揺動運動に従って、初絞りパンチ136はスライド105の動きとは別のタイミングで鉛直線上を上下動する。
【0004】
上台131には抜き絞り工程加工軸線上に中心を一致させて抜きパンチ134が挿着され、該抜きパンチ134の中心に穿孔された案内穴に前記初絞りパンチ136を摺動可能に案内する。一方、フレーム101下部に設けたボルスタ101a上に固着の下台132に定着されたダイホルダ133に、抜きパンチ134と初絞りパンチ136のそれぞれに対向した同芯位置に重ねて設けた抜きダイ135および初絞りダイ137が挿着される。図示しない材料は抜きダイ135の上面をフレーム101の前後方向に挿通される。
【0005】
機械が運転され主軸104が回転すると、スライド105の下降と共に抜きパンチ134が下降し、抜きダイ135との協働で材料から所定の大きさのブランクを抜いた後下死点に達し、カム103Aおよび図示しないカム103Bに設けられた停留部分の作用で、スライド105と共に抜きパンチ134は60°の範囲停留する。このとき材料から抜かれた前記ブランクは抜きパンチ134の下端面で初絞りダイ137の上面に押圧保持され、初絞りの時のしわ押さえとして機能する。
【0006】
主軸104と同期して回転するサイド軸107に取着の円筒溝カム117の回転に従い既に下降領域に入っている初絞りパンチ136の下降により、抜きパンチ134の下端面で初絞りダイ137の上面に保持されているブランクは、初絞りパンチ136と初絞りダイ137との協働により、初絞りが行われカップ状のワークに成形される。初絞りによって成形されたワークは搬送ラインまで下降し順次次工程へ搬送され連続した一連のプレス加工が行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術によるトランスファプレスは、最初の工程において抜き絞りを行なうために、主軸104に形成されたカム103Aおよび図示しないカム103Bの停留部を利用して、直列する複数の加工工程を収容する質量の大きなスライド105を上死点および下死点において60゜停留させていた。 そのためスライド105は上死点から下死点に至る距離を120゜という短い割付角度で往復せねばならず、従って回転速度が同じならばクランクプレスと比較して必然的にスライド105の速度を速めねばならなかった。
【0008】
さらに詳しくは、クランク機構の割付角度は180゜であるから抜き絞りを行なうためのスライド105の速度増加は1.5(180/120=1.5)倍となる。質量のある物体が往復運動するときの物理量は速度の他に速度の変化率である加速度、加速度の変化率である躍動の3者が存在する。前記割付角度の縮小率の逆数は速度を1次比例で増加させ、加速度を前記逆数の自乗に比例して増大させ、躍動を前記逆数の3乗に比例して肥大させる。
【0009】
その結果として、速度の増加は主スライド105の摺動面の磨耗を促進させ、加速度の増大はスライド105と他の運動部品の慣性力を支える主軸104の支持部の負担を増大させ、躍動の肥大は機体の振動の増加を惹起する。機械の速度を次第に上げていくとき、スライド摺動部材の摩擦運動は激しくなり、主軸104に代表される運動部品の支持部の負担は増大し、機体の振動と騒音はますます激しくなって行き、あるレベルで許容限度に達する。
【0010】
また、抜き絞り工程における抜きパンチ134はスライド105と一体的に取り着けられているので、スライド105に取り着けられた直列する複数の加工工程の上型の動きと同一の動きである。加工されるワークが深絞り製品の場合、抜き絞り工程を除くスライド105に取り着けられた複数の加工工程ではスライド105の下降行程のほぼ後半で再絞り仕事が終了する。換言すればスライド105が下死点に達したときには再絞り仕事はすでに終了している。
【0011】
ところが、抜き絞り工程ではスライド105が下死点に到達し、しわ押さえのため前記ブランクが抜きパンチ134の下端面で初絞りダイ137の上面に押圧保持された状態で初絞りパンチ136が下降し初絞りが行なわれる。その後次工程へ複数の加工工程のワークを含め全ワークが同時に搬送される。即ちワーク搬送の開始時点が抜き絞り工程に起因して遅れており、その結果ワーク搬送期間は狭められていて搬送速度は必然的に高速度にならざるを得なかった。
【0012】
そのため、ワークが搬送手段によって確実に搬送される条件は、保持されるワークが所定の位置に正常な姿勢で存在し、かつワークを把持する部材が所定の位置にあって所定の把持動作をし、正常な把持状態を保ったままワークを次工程へ運搬することであるが、生産速度を次第に上げていくとワーク搬送速度が増加する結果搬送途中でワークの把持が破綻したり、機体の振動が激しくなる結果前記ワーク把持部材の位置精度の狂いによりワーク把持不能に陥ったりする不具合が発生するという問題があった。
【0013】
前記問題点は前記抜きパンチの下死点における停留を必要としない絞り深さの浅い製品を対象とするクランク機構やトグル機構により、抜きパンチや絞りパンチを往復動する抜き絞り工程を有するトランスファプレスにおいても同様に存在する。
【0014】
また、一般にトランスファプレスの生産速度を次第に上げていくと、種々の機能のうち例えばワークの精度不良の発生あるいはワーク搬送のトラブルなど最初に破綻した機能が高速生産を阻害する主要因となり生産能率に限界を与える。従ってプレスの生産現場では生産効率を上げるために機械の回転速度を次第に上げていって、トラブルが発生するぎりぎり直前の最高限界安定生産速度を見出している。
【0015】
前記従来技術のトランスファプレスは、このようにプレスの運転速度をあるレベル以上に上げて使用すると、増大した機体の振動がスライド105に取り着けられた直列する複数の加工工程を有する主として上台131と下台132からなるダイセットの加工工程の同芯性を狂わせワークの精度不良を発生させあるいは金型を損傷させたり、また連続的にプレス加工され次工程へ順次搬送されるワーク搬送途中でワークの把持が破綻したり把持部材の位置精度の狂いによりワーク把持不能に陥ったりするといった問題があった。そのため、この方式の抜き絞り装置がプレスの最高限界安定生産速度を必要より低いレベルに限定していた。
【0016】
本発明は、従来技術が有するこのような問題点に鑑みなされたものであり、スライドおよびワーク搬送の運動の物理量に着目し、速度、加速度および躍動の各物理量を小さくして最高限界安定生産速度のレベルを上げることによって高速化を図るものである。その目的とするところは、前記の速度、加速度および躍動の各物理量を小さくした物理的特性を有する独立式抜き絞り装置を具備するトランスファプレスを提供することによって、従来の最高限界安定生産速度を超えて運転しても、増大した機体の振動がスライド105に取り着けられた直列する複数の加工工程を有する主として上台131と下台132からなる前記ダイセットの加工工程の同芯性を狂わせることなく、また、ワーク搬送途中でワークの把持が破綻したり把持部材の位置精度の狂いによりワーク把持不能に陥ったりせずに、かつ機体の振動も少なく、さらなる高速運転が可能な生産性の高い生産設備を提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本請求項1の発明は、抜き絞り工程で機外から供給された板材からブランクを抜き次いで初絞りしたワークを、フレームに軸支された主軸に固着のスライド駆動カムで駆動され前記フレームに設けた摺動案内部に沿って往復動可能なスライドの前進により該スライドの前進側端部に止着され該スライドの往復動方向に対して直角方向に直列する複数の加工工程が設けられた上台と該上台と対向してボルスタ面に止着された下台との協働で再絞りし順次次工程へ搬送するトランスファプレス機において、前記スライド駆動カムとは別の独立して主軸に取着のカム面に停留部分が設けられた抜きパンチ駆動カムと、抜き絞り工程の加工軸線上を往復動可能に設けられた抜きスライドの往復動方向で抜きパンチ駆動カムを挟んで当接し抜きスライドの後方端側に軸着された一対のカムフォロアとで構成された抜きパンチ駆動手段によって駆動され、抜き絞り工程の加工軸線上を往復動する抜きスライドの前進側端部に加工軸線に中心軸を一致させて取着の抜きパンチと、スライド駆動カムおよび抜きパンチ駆動手段とは別の独立した駆動手段の初絞りパンチ駆動手段によって駆動され抜きパンチの中心軸を貫通して穿孔された案内孔に沿って加工軸線上を往復動する初絞りパンチと、抜きパンチと初絞りパンチのそれぞれに対向して同芯に下台に重ねて止着の抜きダイおよび初絞りダイとで構成し、主軸と連繋し同期して、スライドのタイミング動作とはそれぞれ独立したタイミング動作で、抜きパンチ駆動カムの回転により抜きパンチが前進し抜きダイとの協働で抜いたブランクを抜きパンチ駆動カムに設けられた停留部分の作用で初絞りダイ面とで押圧保持した後続いて前進してきた初絞りパンチが初絞りダイとの協働で初絞りを行いカップ状に成形するようにしたものである。
【0019】
上記課題を解決するための本請求項2の発明は、初絞りパンチ駆動手段は、一対のかさ歯車により主軸と連繋し同期して回転するフレーム側面に軸支されたサイド軸に取着の初絞りパンチ駆動カムと、該初絞りパンチ駆動カムに従動するカムフォロアを一方端に軸支し他方端に初絞りパンチ後方端部と係合する枢着部を有し中央部をフレームに設けられた支点軸に揺動可能に軸支された揺動レバーとで構成し、初絞りパンチ駆動カムの回転を揺動レバーの揺動運動を介して初絞りパンチの往復動に変換するようにしたものである。
【0020】
上記課題を解決するための本請求項3の発明は、抜き絞り工程で機外から供給された板材からブランクを抜き次いで初絞りしたワークを、フレームに軸支された主軸に固着のスライド駆動カムで駆動され前記フレームに設けた摺動案内部に沿って往復動可能なスライドの前進により該スライドの前進側端部に止着され該スライドの往復動方向に対して直角方向に直列する複数の加工工程が設けられた上台と該上台と対向してボルスタ面に止着された下台との協働で再絞りし順次次工程へ搬送するトランスファプレス機において、一対のかさ歯車により主軸と連繋し同期して回転するフレーム側面に軸支されたサイド軸に取着のカム面に停留部分が設けられた抜きパンチ駆動カムと、該抜きパンチ駆動カムに従動するカムフォロアを一方端に軸支し他方端に抜きスライドと係合する枢着部を有し中央部を前記フレームに設けられた支点軸に揺動可能に軸支された揺動レバーとで構成の抜きパンチ駆動手段の抜きパンチ駆動カムの回転駆動により揺動レバーを介して往復駆動され、抜きスライドの前進側端部に前記加工軸線に中心軸を一致させて取着した抜きパンチと、スライド駆動カムおよび抜きパンチ駆動手段とは別の独立した駆動手段の初絞りパンチ駆動手段によって駆動され抜きパンチの中心軸を貫通して穿孔された案内孔に沿って加工軸線上を往復動する初絞りパンチと、抜きパンチと初絞りパンチのそれぞれに対向して同芯に下台に重ねて止着の抜きダイおよび初絞りダイとで構成し、主軸と連繋し同期して、スライドのタイミング動作とはそれぞれ独立したタイミング動作で、抜きパンチ駆動カムの回転により抜きパンチが前進し抜きダイとの協働で抜いたブランクを抜きパンチ駆動カムに設けられた停留部分の作用で初絞りダイ面とで押圧保持した後続いて前進してきた初絞りパンチが初絞りダイとの協働で初絞りを行いカップ状に成形するようにしたものである。
【0021】
上記課題を解決するための本請求項4の発明は、主軸の抜き絞り工程領域に隣接して一体的に取着した押しカムと戻しカムとでなる初絞りパンチ駆動カムと、初絞りパンチの後方端と連繋し初絞りパンチ駆動カムを往復動方向で挟んで当接する一対のカムフォロアを軸着しスライドに設けた案内手段に沿って加工軸線上を摺動可能なカムフォロア保持体とで初絞りパンチ駆動手段を構成し、初絞りパンチ駆動カムの回転駆動により一対のカムフォロアを介してカムフォロア保持体と連繋した初絞りパンチの往復動に変換するようにしたものである。
【0023】
【実施例】
以下請求項1、2に係わる本発明の実施例1の形態を図1ないし図6に基づいて説明する。図1は、トランスファプレス機のダイセット、金型を含む機械上部の外観を示す。図2は、図3におけるA−A断面30図で本発明に係わる抜き絞り装置金型部を示す。図3は、図2におけるB−B断面図である。図4は、請求項1に記載の発明に係わる抜き絞り装置の抜きパンチ駆動手段の側面図である。図5は、請求項2に記載の発明に係わる抜き絞り装置の初絞りパンチ駆動手段の側面図である。図6は、実施例1に係わるタイミング線図である。
【0024】
まず本発明に共通する構造を説明する。図1において、立設したフレーム1にはカム3A、3Bを一体形成した主軸4が軸支され、図示しない駆動モータにより図示しないベルト、プーリ、ギアを介して図1の右方端から回転駆動される。この主軸4に形成されたカム3A、3Bの回転に従動して往復動するカムローラ6A、6B、6C、6Dを軸着したスライド5は、主軸4の回転により図示しない案内手段で案内され往復動する。
【0025】
主軸4の左端部にはベベルギア8Aが装着され、フレーム1の左側面に軸支されたサイド軸7の一方端に装着されたベベルギア8Bと噛み合っている。ベベルギア8Aと8Bとはそれぞれ同じ歯数を有しており、そのためサイド軸7は主軸4と同期して回転する。スライド5の下端には抜き絞り工程を除く他の複数工程を収容する上台31が固着され、フレーム1の中央部に設けたボルスタ面1a上に固着された下台32と共にダイセットを構成し該ダイセットに複数工程にわたる上下金型が装着される。抜き絞り工程は前記複数工程の最左端に位置する。
【0026】
図2および図3に示すように、スライド5の抜き絞り工程領域の後方部分に設けた平面5aに固着の摺動板41と該摺動板41に定着されたギブ42A、42Bで構成される案内部材に抜きスライド45が往復動すべく摺動可能に案内されている。スライド5に案内されスライド5の駆動手段とは別の独立した駆動手段によって往復動される抜きスライド45の下方端には、上台31とは別に分離されたサブ上台46が抜き絞り工程加工軸線上に中心を一致させて固着される。
【0027】
抜きパンチ34がサブ上台46に挿入され固着されるとその中心は抜き絞り工程加工軸線に一致する。抜きパンチ34の中心に貫通して穿孔された案内穴34aと調整ネジ20に貫通して穿孔された案内穴20aに沿って初絞りパンチ36が摺動可能に貫通している。初絞りパンチ36は抜きスライド45と干渉することなく上方に伸び先端部が初絞りパンチ駆動手段と係合する。
【0028】
下台32の上面にはダイホルダ33が位置決めして固着され、ダイホルダ33に、抜きパンチ34と初絞りパンチ36のそれぞれに対向した同芯位置に重ねて設けた抜きダイ35および初絞りダイ37が挿着されている。抜きダイ35の上面に接して材料Wが挿通され、スライド5の往復動に同期して間欠的に紙面に対して直角方向へ定量送り出される。以上が本発明に共通する構造の説明である。
【0029】
図4に基づいて請求項1に係わる実施例1における抜きパンチ駆動手段を説明する。主軸4の抜き絞り工程領域にはスライド5の駆動手段カム3A、3Bとは別の抜きパンチ駆動カム48が締着される。スライド5の抜き絞り工程領域の下方部分に設けた平面5aに固着の摺動板41と該摺動板41に取着されたギブ42A、42Bで構成される案内部材に抜きスライド45が往復動すべく摺動可能に案内されている。抜きスライド45の下方端にはサブ上台46が取着され上方端には抜きパンチ駆動カム48下方に当接する押しカムフォロア47Aが軸着される。
【0030】
抜きパンチ駆動カム48を挟んで押しカムフォロア47Aと相対する位置に抜きパンチ駆動カム48上方に当接して戻しカムフォロア47Bがカムフォロア支持体50に軸着されている。さらに抜きパンチ駆動カム48の両側面近傍には主軸4を挟んで対称に配設され、抜きスライド45の上方端とカムフォロア支持体50とを連結し、抜きスライド45と一体で動くように連結架設体51A、51Bが配設されている。カムフォロア支持体50の上方端に穿孔された2箇所の穴にガイドバー52A、52Bが挿入され係止板53A、53Bにて固着される。
【0031】
スライド5に設けた抜きスライド45の前記案内部材とは抜きパンチ駆動カム48を挟んで反対側の上方端には支持ブラケット54が固着され、前記ガイドバー52A、52Bを同芯にて摺動案内するボールブッシュ55A、55Bが支持ブラケット54に締着されている。このように抜きスライド45は前記案内手段とこのボールブッシュ55A、55Bとにより上下摺動可能に案内されている。抜きスライド45の案内手段はこの方式に限るものではなく、カムフォロア支持体50を抜きスライド45本体と一体としフレーム1に案内手段を設けてもよい。抜きスライド45の下方端には上台31とは別に分離されたサブ上台46が固着されている。抜きパンチ34はサブ上台46に挿入固着され、抜きパンチ34の中心を初絞りパンチ36が摺動可能に貫通している。初絞りパンチ36は抜きスライド45と干渉することなく上方に伸び先端部が初絞りパンチ駆動手段と係合している。
【0032】
図5に基づき、請求項2に係る実施例1における初絞りパンチ駆動手段を説明する。初絞りパンチ36の上端部には凹形状の枢着部分を持ったジョイントブロック15が取り着けられ、右方に接した案内板14に案内されて上下に往復動可能となっている。フレーム1の左側面に軸支された、主軸4に同期して回転駆動されるサイド軸7には円筒リブカム17が取着されスライド5の往復動に同期して回転駆動される。回転する円筒リブカム17のカム面に係合してカム面変位に従動する1対のカムフォロア21A,21Bが、フレーム1に固着のブラケット19に担持された支点軸18によって軸支された揺動レバー13の一方端の二股部にそれぞれ取着されている。揺動レバー13の他方端には、初絞りパンチ36の上端に取着されたジョイントブロック15の凹枢着部と係合する凸枢着部を有する連接爪16が取着されている。
【0033】
サイド軸に取着のカムは円筒リブカムに限定されるものではなく、円筒溝カムであってもよい。また、円板状溝カムと水平スライドとレバーとを組み合わせた本実施例とは別の形態構造をとることも可能である。
【0034】
以下請求項1および2に係わる実施例1の動作について図6に基づいて説明する。機械が運転され主軸4が回転すると、抜きパンチ駆動カム48によりスライド5の下降と同期しつつ独立して下降する抜きスライド45と共に抜きパンチ34が下降し、抜きダイ35との協働で材料から所定の大きさのブランクを抜いた後下死点に達し、抜きパンチ駆動カム48に設けられた停留部分の作用で、抜きスライド45と共に抜きパンチ34は60°の範囲停留する。このとき、材料から抜かれた前記ブランクは抜きパンチ34の下端面で初絞りダイ37の上面に押圧保持され、初絞りの時のしわ押さえとして機能する。
【0035】
抜きパンチ34が停留している間に、以下に述べるように抜き絞り装置によって初絞りが行なわれる。即ち、抜き絞り装置は本実施例では抜きパンチ34、抜きダイ35、初絞りパンチ36、初絞りダイ37、揺動レバー13、ジョイントブロック15、連接爪16、カムフォロア21A、21Bおよび円筒リブカム17とで構成される。前述のように、揺動レバー13の揺動支点である支点軸18は、フレーム1に固着されたブラケット19に担持されている。揺動レバー13の抜き絞り工程側には凸枢着部を持った連接爪16が固着され、初絞りパンチ36の上部には連接爪16と係合する凹枢着部を持ったジョイントブロック15が取着されている。初絞りパンチ36は抜きパンチ34中心に貫通して穿孔された案内孔34aと調整ネジ20に貫通して穿孔された案内孔20aとによって案内されており、連接爪16とジョイントブロック15の係合によって揺動レバー13の揺動運動が初絞りパンチ36の直線運動に変換される。
【0036】
主軸4が回転を続け、抜きスライド45の下部に取着の抜きパンチ34が下死点に達した時、主軸4と同期して回転するサイド軸7に取着の円筒リブカム17の回転に従ってカム面変位に従動するカムフォロア21A、21Bが軸着された揺動レバー13は時計方向に揺動しつつあり、揺動レバー13の他方端に定着された連接爪16と初絞りパンチ36の上部に取り着けられたジョイントブロック15の各枢着部の連繋作用で、初絞りパンチ36はすでに下降領域に入っている。
【0037】
さらに下降を続ける初絞りパンチ36により、抜きパンチ34の下端面で初絞りダイ37の上面に押圧され保持されていたブランクは、初絞りパンチ36と初絞りダイ37との協働により初絞りが行なわれカップ状のワークwに成形される。初絞りによって成形されたワークwは搬送ラインまで下降し図示しないワーク搬送手段により順次次工程へ搬送され連続した一連のプレス加工が行われる。
【0038】
ここで、スライド5は抜き絞りを行なわないので、抜き絞り工程を除いて以後に続く主として再絞り仕事に特化した動きでよいので、上、下死点における停留はゼロまたはきめ押し用に20°と小さくすることができる。その結果、プレスストローク数が同じ場合には、停留角度がなくなった分または減少した分の時間をスライドの上下動に費やすことができるため、スライドの速度を下げることができるようになり、質量の大きなスライドの運動特性が向上する。
【0039】
次に請求項3および4に係わる実施例2について図7、図8、図9および図10を参照して説明する。図7は、請求項3に記載の発明に係わる抜き絞り装置の抜きパンチ駆動手段の側面図である。図8は、図7におけるC−C断面図で抜きスライド摺動部を示す。図9は、請求項4に記載の発明に係わる抜き絞り装置の初絞りパンチ駆動手段の側面図である。図10は実施例2に係わるタイミング線図である。請求項3に係る実施例2における抜きパンチ駆動手段を示す図7において、スライド5の抜き絞り工程領域の下方部分に設けた平面5aに固着の摺動板41と該摺動板41に定着されたギブ42A、42Bで構成される案内部材に抜きスライド45が往復動すべく摺動可能に案内されている。抜きスライド45の左中央部にはジョイント板43A、43Bが定着され凹枢着部を構成する。
【0040】
フレーム1の左側面に軸支された、主軸4に同期して回転駆動されるサイド軸7には円筒リブカム17が取着されスライド5の往復動に同期して回転駆動される。回転する円筒リブカム17のカム面に係合してカム面変位に従動する1対のカムフォロア21A,21Bが、フレーム1に固着のブラケット19に担持された支点軸18によって軸支された揺動レバー13の一方端の二股部にそれぞれ取着されている。揺動レバー13の他方端には、抜きスライド45に定着されたジョイント板43A、43Bの凹枢着部と係合する凸枢着部を有する連接爪16が取着されている。
【0041】
抜きスライド45の下方端にはスライド5に取り着けられた上台31とは別に分離されたサブ上台46が取着される。抜きパンチ34はサブ上台46に挿入固着され、抜きパンチ34の中心を初絞りパンチ36が摺動可能に貫通している。初絞りパンチ36は抜きスライド45と干渉することなく上方に伸び先端部が初絞りパンチ駆動手段と係合する。サイド軸に取着のカムは円筒リブカムに限定されるものではなく、円筒溝カムであってもよい。また、円板状溝カムと水平スライドとレバーとを組み合わせた本実施例とは別の形態構造をとることも可能である。
【0042】
図9に基づき請求項4に係わる実施例2における初絞りパンチ駆動手段を説明する。主軸4の抜き絞り工程領域にはスライド5の駆動手段とは別の押しカム61Aと戻しカム61Bとが互いに隣接して一体的に構成した初絞りパンチ駆動カム61が締着されている。スライド5の抜き絞り工程領域の下方部分に設けた平面5aに固着の摺動板41と該摺動板41に取着されたギブ42A、42Bで構成される案内部材に抜きスライド45が往復動すべく摺動可能に案内されている。抜きスライド45の下方端にはサブ上台46が固着される。サブ上台46に挿入固着された抜きパンチ34の中心を摺動可能に貫通して、抜きスライド45と干渉することなく伸びた初絞りパンチ36の上端部は初絞りパンチ駆動カム61の押しカム61Aに当接する押しカムフォロア63を軸着する押しカムフォロア支持体65に挿着されている。
【0043】
隣接した押しカム61Aと戻しカム61Bとでなる初絞りパンチ駆動カム61の側面両側を通って主軸4を挟んで前後対称に配設され、初絞りパンチ駆動カム61を挟んで押しカムフォロア63と相対し戻しカム61B上方に当接する戻しカムフォロア64を軸着する戻しカムフォロア支持体66と、前記押しカムフォロア支持体65とを連結する連結架設体51A、51Bが配設されている。戻しカムフォロア支持体66の上方端に穿孔された2箇所の穴にガイドバー52A、52Bが挿入され係止板53A、53Bにて固着される。
【0044】
スライド5に設けた抜きスライド45の前記案内部材と初絞りパンチ駆動カム61を挟んで反対側の上方端には支持ブラケット54が固着され、前記ガイドバー52A、52Bを同芯にて摺動案内するボールブッシュ55A、55Bが支持ブラケット54に締着されている。このように抜きスライド45は前記案内手段とこのボールブッシュ55A、55Bとにより上下摺動可能に案内されている。抜きスライド45の下方端には上台31とは別に分離されたサブ上台46が固着される。抜きパンチ34の中心を初絞りパンチ36が摺動可能に挿通している。
【0045】
以下請求項3および4に係わる実施例2の動作について図10に基づいて説明する。機械が運転され主軸4が回転すると、サイド軸7に取着の円筒リブカム17によりスライド5の下降と同期しつつ独立して下降する抜きスライド45と共に抜きパンチ34が下降し、抜きダイ35との協働で材料から所定の大きさのブランクを抜いた後下死点に達し、円筒リブカム17に設けられた停留部分の作用で、抜きスライド45と共に抜きパンチ34は60°の範囲停留する。このとき、材料から抜かれた前記ブランクは抜きパンチ34の下端面で初絞りダイ37の上面に押圧保持され、初絞りの時のしわ押さえとして機能する。
【0046】
抜きパンチ34が停留している間に、抜き絞り装置によって初絞りが行なわれる。本実施例の抜き絞り装置は主として抜きパンチ34、抜きダイ35、初絞りパンチ36、初絞りダイ37、押しカム61Aと戻しカム61Bとでなる初絞りパンチ駆動カム61、押しカムフォロア63、押しカムフォロア支持体65、戻しカムフォロア64、戻しカムフォロア支持体66、連結架設体51A、51Bで構成される。円筒リブカム17によって駆動される抜きパンチ34と初絞りパンチ駆動カム61によって往復動される初絞りパンチ36は図10のタイミングに従って動き、抜き絞りが行なわれる。
【0047】
詳しくは請求項1および2に係わる実施例で述べた動作と同様である。即ち、抜きパンチ34の下端面で初絞りダイ37の上面に押圧され保持されていたブランクは、下降する初絞りパンチ36と初絞りダイ37との協働により初絞りが行なわれカップ状のワークwに成形される。初絞りによって成形されたワークwは搬送ラインまで下降し図示しないワーク搬送手段により順次次工程へ搬送され連続した一連のプレス加工が行われる。
【0048】
次に図11は、抜きパンチ駆動手段としてクランク機構を採用した実施例3である。図3に示すように、スライド5の抜き絞り工程領域の下方部分に設けた平面5aに固着の摺動板41と該摺動板41に定着されたギブ42A、42Bで構成される案内部材に抜きスライド45が往復動すべく摺動可能に案内されている。抜きスライド45の下方端にはサブ上台46が抜き絞り工程加工軸線上に中心を一致させて固着される。主軸4の抜き絞り領域にはクランク軸71が形成され、このクランク軸71にはコネクティングロッド72が取着される。コネクティングロッド72は2体に分割されており、キャップ73と共にボルト74によってクランク軸71に締着される。コネクティングロッド72の下部は連接軸75によって抜きスライド45に連結される。
【0049】
このように構成されるので、抜きスライド45は主軸4の回転によってクランク運動を行い、抜きスライド45は下死点において停留しない。しかし、初絞り深さが浅いワークを初絞りする場合には、初絞りに要する割付角が小さくて済むので、この間抜きパンチ34はほぼ下死点に位置することができ、しわ押さえの役目を果たすことができる。このように、ワークのしわ押さえに抜きパンチ34の下死点における停留が不要な高さの低い製品を対象とする場合に、この実施例3の抜きパンチ駆動手段は有効である。また、この実施例ではクランク機構を用いたが、クランク機構に限定するものでなくトッグルリンク機構を用いてもよい。
【0050】
以上の実施例1,2,3では、各スライドおよび各パンチの移動方向は垂直線上に動作する場合を記載したが、各スライドおよび各パンチの移動方向は垂直線上に動作する場合のみに限定する必要はなく、水平方向に移動する動作であっても何ら差し支えない。
【0051】
【作用】
請求項1、2、3または4によれば、抜き絞り工程において、スライド5のタイミング動作とは異なる独立したタイミング動作で、抜きパンチ駆動カムの回転により、抜きパンチ34を前進させ抜きダイ35との協働でブランクを抜き、抜きパンチ駆動カムに設けられた停留部分の作用で、抜きパンチ34と初絞りダイ37とでブランクを押圧保持した状態で初絞りパンチ36を前進させ該ブランクを初絞りダイ37との協働で初絞りを行うようにしたので、スライド5の下死点でのしわ押さえのための停留が不要になった。そのため、スライド5に設けた複数の工程は再絞り工程専用に特化でき、もし下死点でのきめ押しが必要であればきめ押し用として20゜以内の小さい停留角度を設けるだけでよくなった。
【0052】
その結果、プレスストローク数が同じである場合には、停留角度がなくなった分または小さくなった分の時間をスライド5の上下動に費やすことができるため、スライド5の速度を下げることができるようになった。そうすることによって、複数の加工工程を設けられ質量が大きくなるスライド5の速度、加速度、躍動に支配される運動特性は飛躍的に向上し、スライド5の摺動面の磨耗も小さくなり、スライド5とその他の運動部品の慣性力を支える主軸支持部の負担も小さくなり、機体の振動も少なくなるという効果を生じる。
【0053】
逆に、スライド5の上下速度が同じである場合には、停留が不要になった分プレスストローク数を大きくすることができる、つまり高速度での運転が可能になるという効果が生じる。抜きスライド45は複数の工程を設けたスライド5に比して質量がはるかに小さいことが明らかであるから、抜き絞り時のしわ押さえのために抜きスライド45の上下死点で60゜の停留を設けても高速運転には何らさしつかえがない。
【0054】
また、従来技術においては、スライド105の下降と共に抜きパンチ134が下降し、抜きダイ135との協働で材料から所定の大きさのブランクを抜いた後下死点に達し、スライド105と共に抜きパンチ134は60°の範囲停留し、前記ブランクは抜きパンチ134の下端面で初絞りダイ137の上面に押圧保持され、既に下降領域に入っている初絞りパンチ136の下降により、初絞りパンチ136と初絞りダイ137との協働により、初絞りが行われカップ状のワークに成形される。そして、初絞りによって成形されたワークは搬送ラインまで下降し順次次工程へ搬送され連続した一連のプレス加工が行われる。本発明の実施例においては、図12に示す他の実施のタイミング線図のように、抜き絞り工程における初絞りの完了タイミングをスライドの下降による再絞りの完了タイミングと同時か先行させることが可能であり、そうすることによってワークの搬送開始時期を例えば20°早め、その結果トランスファプレスの回転速度を高めることが可能である。
【0055】
【発明の効果】
本発明は上述したとおり構成したので、以下に記載する効果を奏する。抜きパンチと初絞りパンチとの連繋による抜き絞りをスライドの動作から独立して行なうことが可能になり、かつ、初絞りパンチが初絞りダイとの協働で初絞りを行う間は、抜きパンチ駆動カムに設けられた停留部分の作用で抜きパンチが抜きダイとの協働で抜いたブランクを初絞りダイ面とで押圧保持することが可能となり、スライドは、抜き絞り工程を除いた以後に続く主として再絞り仕事に特化した動きでよくなり、下死点でのしわ押さえのための停留を不要とすることができる。その結果、プレスストローク数が同じ場合には、停留角度がなくなった分または減少した分の時間をスライドの上下動に費やすことができるため、スライドの速度を下げることができるようになり、質量の大きなスライドの運動特性を向上させることができた。
【0056】
そのため、スライドの摺動面の磨耗も最小になり、スライドとその他の運動部品の慣性力を支える主軸支持部の負担も小さく、機体の振動も少なくなる結果、高速化を図ることが可能となった。また、抜き絞りの開始時期を早め、その分ワーク搬送の時間を長くとることにより、ワークの搬送が安定する結果も加味するとさらなる高速生産が可能となった。
【0057】
また、スライド駆動手段とは独立して動く抜きパンチ34と初絞りパンチ36との連繋による抜き絞りをスライド5から独立して行なうことが可能になったので、抜き絞りの開始時期を早め、その分ワーク搬送の時間を長くとることにより、ワークの搬送が安定する結果最高限界安定生産速度のレベルを上げることによって高速化を図ることができ、さらなる高速運転が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わるトランスファプレス機のダイセット、金型を含む機械上部の外観正面図
【図2】 本発明に係わる抜き絞り装置の金型部の断面を示し、図3におけるA−A断面図
【図3】 図2のB−B断面図
【図4】 実施例1に係わる抜き絞り装置の抜きパンチ駆動手段の側面図
【図5】 実施例1に係わる抜き絞り装置の初絞りパンチ駆動手段の側面図
【図6】 実施例1に係わるタイミング線図
【図7】 実施例2に係わる抜き絞り装置の抜きパンチ駆動手段の側面図
【図8】 実施例2に係わる抜き絞り装置の抜きスライド摺動部を示し、図7におけるC−C断面図
【図9】 実施例2に係わる抜き絞り装置の初絞りパンチ駆動手段の側面図
【図10】 実施例2に係わるタイミング線図
【図11】 実施例3に係わる抜き絞り装置の抜きパンチ駆動手段の側面図
【図12】 本発明の実施例に係わる他のタイミング線図
【図13】 従来技術に係わるトランスファプレス機の抜き絞り装置
【符号の説明】
1 フレーム
3A、3B カム
4 主軸
5 スライド
6A,6B,6C,6D カムローラ
7 サイド軸
8A,8B ベベルギヤ
13 揺動レバー
15 ジョイントブロック
16 連接爪
17 円筒リブカム
18 支点軸
21A,21B カムフォロア
31 上台
32 下台
33 ダイホルダ
34 抜きパンチ
35 抜きダイ
36 初絞りパンチ
37 初絞りダイ
41 摺動板
42A,42B ギブ
45 抜きスライド
47A 押しカムフォロア
47B 戻しカムフォロア
48 抜きパンチ駆動カム
50 カムフォロア支持体
51A,51B 連結架設体
52A,52B ガイドバー
61 初絞りパンチ駆動カム
61A 押しカム
61B 戻しカム
63 押しカムフォロア
64 戻しカムフォロア
65 押しカムフォロア支持体
66 戻しカムフォロア支持体
71 クランク軸
72 コネクティングロッド
75 連接棒
Claims (4)
- 抜き絞り工程で機外から供給された板材からブランクを抜き次いで初絞りしたワークを、フレームに軸支された主軸に固着のスライド駆動カムで駆動され前記フレームに設けた摺動案内部に沿って往復動可能なスライドの前進により該スライドの前進側端部に止着され該スライドの往復動方向に対して直角方向に直列する複数の加工工程が設けられた上台と該上台と対向してボルスタ面に止着された下台との協働で再絞りし順次次工程へ搬送するトランスファプレス機において、
前記スライド駆動カムとは別の独立して前記主軸に取着のカム面に停留部分が設けられた抜きパンチ駆動カムと、前記抜き絞り工程の加工軸線上を往復動可能に設けられた抜きスライドの往復動方向で前記抜きパンチ駆動カムを挟んで当接し前記抜きスライドの後方端側に軸着された一対のカムフォロアとで構成された抜きパンチ駆動手段によって駆動され、前記抜き絞り工程の加工軸線上を往復動する前記抜きスライドの前進側端部に前記加工軸線に中心軸を一致させて取着の抜きパンチと、
前記スライド駆動カムおよび前記抜きパンチ駆動手段とは別の独立した駆動手段の初絞りパンチ駆動手段によって駆動され前記抜きパンチの中心軸を貫通して穿孔された案内孔に沿って前記加工軸線上を往復動する初絞りパンチと、
前記抜きパンチと前記初絞りパンチのそれぞれに対向して同芯に前記下台に重ねて止着の抜きダイおよび初絞りダイとで構成し、
前記主軸と連繋し同期して、前記スライドのタイミング動作とはそれぞれ独立したタイミング動作で、前記抜きパンチ駆動カムの回転により前記抜きパンチが前進し抜きダイとの協働で抜いたブランクを前記抜きパンチ駆動カムに設けられた停留部分の作用で前記初絞りダイ面とで押圧保持した後続いて前進してきた前記初絞りパンチが前記初絞りダイとの協働で初絞りを行いカップ状に成形することを特徴とするトランスファプレスの抜き絞り装置。 - 前記初絞りパンチ駆動手段は、一対のかさ歯車により前記主軸と連繋し同期して回転する前記フレーム側面に軸支されたサイド軸に取着の初絞りパンチ駆動カムと、該初絞りパンチ駆動カムに従動するカムフォロアを一方端に軸支し他方端に前記初絞りパンチ後方端部と係合する枢着部を有し中央部を前記フレームに設けられた支点軸に揺動可能に軸支された揺動レバーとで構成し、前記初絞りパンチ駆動カムの回転を前記揺動レバーの揺動運動を介して前記初絞りパンチの往復動に変換することを特徴とする請求項1に記載のトランスファプレスの抜き絞り装置。
- 抜き絞り工程で機外から供給された板材からブランクを抜き次いで初絞りしたワークを、フレームに軸支された主軸に固着のスライド駆動カムで駆動され前記フレームに設けた摺動案内部に沿って往復動可能なスライドの前進により該スライドの前進側端部に止着され該スライドの往復動方向に対して直角方向に直列する複数の加工工程が設けられた上台と該上台と対向してボルスタ面に止着された下台との協働で再絞りし順次次工程へ搬送するトランスファプレス機において、
一対のかさ歯車により前記主軸と連繋し同期して回転する前記フレーム側面に軸支されたサイド軸に取着のカム面に停留部分が設けられた抜きパンチ駆動カムと、該抜きパンチ駆動カムに従動するカムフォロアを一方端に軸支し他方端に前記抜きスライドと係合する枢着部を有し中央部を前記フレームに設けられた支点軸に揺動可能に軸支された揺動レバーとで構成の抜きパンチ駆動手段の前記抜きパンチ駆動カムの回転駆動により前記揺動レバーを介して往復駆動され、前記抜きスライドの前進側端部に前記加工軸線に中心軸を一致させて取着した抜きパンチと、
前記スライド駆動カムおよび前記抜きパンチ駆動手段とは別の独立した駆動手段の初絞りパンチ駆動手段によって駆動され前記抜きパンチの中心軸を貫通して穿孔された案内孔に沿って前記加工軸線上を往復動する初絞りパンチと、
前記抜きパンチと前記初絞りパンチのそれぞれに対向して同芯に前記下台に重ねて止着の抜きダイおよび初絞りダイとで構成し、
前記主軸と連繋し同期して、前記スライドのタイミング動作とはそれぞれ独立したタイミング動作で、前記抜きパンチ駆動カムの回転により前記抜きパンチが前進し抜きダイとの協働で抜いたブランクを前記抜きパンチ駆動カムに設けられた停留部分の作用で前記初絞りダイ面とで押圧保持した後続いて前進してきた前記初絞りパンチが前記初絞りダイとの協働で初絞りを行いカップ状に成形することを特徴とするトランスファプレスの抜き絞り装置。 - 前記主軸の抜き絞り工程領域に隣接して一体的に取着した押しカムと戻しカムとでなる初絞りパンチ駆動カムと、前記初絞りパンチの後方端と連繋し前記初絞りパンチ駆動カムを往復動方向で挟んで当接する一対のカムフォロアを軸着し前記スライドに設けた案内手段に沿って前記加工軸線上を摺動可能なカムフォロア保持体とで初絞りパンチ駆動手段を構成し、前記初絞りパンチ駆動カムの回転駆動により前記一対のカムフォロアを介して前記カムフォロア保持体と連繋した初絞りパンチの往復動に変換することを特徴とする請求項3に記載のトランスファプレスの抜き絞り装置。
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