JP3848015B2 - プリズムガラス用緩衝材及びpcパネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋根や地下道等の採光及び外観向上等を目的として使用されるプリズムガラス用緩衝材及びPC(プレキャストコンクリート)パネルに関する。なお、プリズムガラスとは、平面形状が四角形又は円形の天面と、この天面の周囲から下方に延びる側壁面と、中央が凹入した底面とを有し、全体が断面逆凹型に成形されたガラスブロックである。
【0002】
【従来の技術】
プリズムガラスを用いて屋根や地下道天井等の明かり取りを行う場合、従来は、図5に示すように、コンクリート型枠(図示省略)の定盤上にプリズムガラス11の外形よりも少し大きい目の鋳鉄枠12を所定の配置でセットし、目地部に補強鉄筋を適宜配筋し、コンクリート13を打ち込みパネル化した後、スペーサー材14をプリズムガラス11に接着して鋳鉄枠12内にセットし、プリズムガラス11と鋳鉄枠12との隙間に一次シール材15(例えば、一液性シリコーン)を充填し、その上にバックアップ材16(例えば、発泡ゴム)を介して二次シール材17(例えば、流動性シリコーン)を充填し、その上に養生カバー(図示省略)を貼り付け、又はこれを省略してPCパネル18を製作し、現場に搬入して取付けていた。なお、鋳鉄枠12は、予め防錆(例えば、溶融亜鉛メッキ)処理したものが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
プリズムガラス11を用いた従来のPCパネル18は、高価な鋳鉄枠12を使用する必要があり、この鋳鉄枠12には防錆処理が施してあるものの経年劣化で錆付きが発生する問題があり、しかも、コンクリート13の打ち込み後、所定の養生期間(約4週間)を置いて、一次シール材15を充填し、その硬化時間を置いて二次シール材17の充填を行う必要があるため、手間と時間がかかり費用が高くつき、トータルコストが上がるという問題があった。
【0004】
本発明は、従来の前記問題に鑑みて開発されたもので、鋳鉄枠を使用せず、施工の手間を簡略化しトータルコストを下げることができるプリズムガラス用緩衝材及びPCパネルを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のプリズムガラス用緩衝材は、プリズムガラスの側壁面周囲及び底面周囲に嵌合する断面略L型の内周壁面を有する枠状の本体をなし、全体をゴム材料で製作すると共に、内周壁面の上端部にシール材充填用凹部を全周に亘って形成したことを特徴とする。この構成により、予め、ゴム材料製の緩衝材をプリズムガラスに接着剤で接着しておくことができ、この状態でコンクリート型枠の定盤上にセットし、目地部に補強用鉄筋を配設し、コンクリートを打ち込んでPCパネルを作製することができるため、施工の手間を簡略化でき、施工時間を短縮することができる。しかも、プリズムガラスの底面及び周壁面をゴム材料製の緩衝材で被覆保護させているため、コンクリート打ち込み時の骨材(砂利等)による衝撃やコンクリートの充填密度を向上させるために用いられるバイブレーターの衝撃による欠損等を防止することができる。また、緩衝材全体をゴム材料製としたことにより、従来の鋳鉄枠に比べて、製作が容易で安価であり、しかも、軽量化できて取扱い易く、コンクリートの乾燥収縮や熱的挙動に対しても緩衝効果が期待できる。
【0006】
また、上記の構成によれば、内周壁面の上端部にシール材充填用凹部を全周に亘って形成したことにより、PCパネルを作製する工程において、プリズムガラスと緩衝材との間に防水シール施工を施したかどうかを外部から直接目視によって容易に確認することができる。
【0007】
さらに、本発明のプリズムガラス用緩衝材は、外周壁面の下端周囲に止水用突縁を全周に亘って形成したことを特徴とする。この構成により、作製後のPCパネルは、緩衝材とコンクリートとの間の防水性が向上し、しかも、止水用突縁のアンカー効果でコンクリートと緩衝材との一体化が向上する。
【0008】
また、本発明のPCパネルは、複数個のプリズムガラスを所定の配置で配列し、目地部に補強鉄筋を配筋してコンクリートを打ち込みパネル化したPCパネルであって、各プリズムガラスには前記プリズムガラス用緩衝材が嵌合装着してあることを特徴とする。この構成により、PCパネルの軽量化、施工時間の短縮、施工手間の簡略化、コストダウン等が図れると共に、コンクリート打ち込み時の骨材(砂利等)及びバイブレーターからの衝撃によるプリズムガラスの破損防止、及び、コンクリートの乾燥収縮や熱的挙動に対する保護も図れる。また、緩衝材の止水用突縁により、各プリズムガラスとコンクリートとの間の防水性が向上し、かつ、各プリズムガラスとコンクリートとの一体化が一層強固となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るPCパネルの要部縦断側面図、図2の(A)はプリズムガラスの縦断側面図、(B)は本発明に係る緩衝材の縦断側面図、(C)は緩衝材の周壁面の部分拡大縦断側面図、図3の(A)、(B)、(C)は本発明に係るPCパネルの製作順序説明図、図4の(A)、(B)は本発明に係るPCパネルの全体の概略正面図を示している。
【0010】
図1において、1はプリズムガラス、2は緩衝材、3はPCパネルを示している。
【0011】
プリズムガラス1は、図1及び図2の(A)に示すように、平面形状が四角形又は円形の天面1aと、この天面1aの周囲から下方に延びる側壁面1bと、中央が凹入した底面1cとを有し、全体が断面逆凹型に成形されたガラスブロックである。
【0012】
緩衝材2は、図1及び図2の(B)に示すように、プリズムガラス1の側壁面1bの周囲及び底面1cの周囲に嵌合する断面略L型の内周壁面2aを有する枠状の本体2bをなし、全体がゴム材料(例えば、シリコーンゴム)で成形されている。そして、本体2bの内周壁面2aの上端部には、シール材充填用凹部2cが全周に亘って形成されている。また、本体2bの外周壁面2dの下端周囲には、止水用突縁2eが全周に亘って形成されている。さらに、本体2bの内周壁面2aには、図2の(C)に拡大図示するように、複数の段部2fが適宜の間隔及び配置で全周に亘って形成されている。この段部2fは、図3の(A)に示すように、接着剤4を本体2bの内周壁面2aに塗布した際、その流下を防ぎ、滞留させてプリズムガラス1と緩衝材2との接着状態を確実強固にするためのものである。
【0013】
PCパネル3は、図4の(A)、(B)に示すように、複数個のプリズムガラス1を所定の配置で配列し、目地部に補強鉄筋5を適宜配筋してコンクリート6を打ち込みパネル化したものである。上記プリズムガラス1には、図1に示すように、緩衝材2が嵌合装着してある。
【0014】
上記PCパネル3は、図3の(A)、(B)、(C)に示すような手順で製作される。先ず、図3の(A)に示すように、緩衝材2の内周壁面2aに適宜の接着剤4、例えば、液状シリコーンを塗布し、この緩衝材2を、上下逆向きとしたプリズムガラス1に嵌合し、上記接着剤4で接着する。次に、図3の(B)に示すように、プリズムガラス1の天面1aを上にして、緩衝材2の上部とプリズムガラス1との間のシール材充填用凹部2cに適宜のシール材7、例えば、1液性シリコーンを注入充填し、硬化させる。このようにして緩衝材2を嵌合装着したプリズムガラス1を、図3の(C)に示すように、上下逆向きにしてコンクリート型枠10の定盤10a上に適宜の配置、例えば、図4の(A)、(B)に示すような配置でセットし、目地部に補強鉄筋5を適宜配筋してコンクリート6を打ち込み、PCパネル3を作製する。この場合、周囲をコンクリート型枠10で囲み、かつ、各プリズムガラス1の底面1cの内側周囲にも別型枠10bをそれぞれ配置してコンクリートの流入防止が図られる。なお、定盤10aには、各プリズムガラス1の位置決め枠部材10cが形成され、この部分が後でウエザーシール材の充填部分とされる。そして、コンクリート6の養生後、コンクリート型枠10を外し、PCパネル3を脱型し、各プリズムガラス1の周囲に、図1に示すように、適宜のバックアップ材8、例えば、発泡ゴム材をセットし、その上から適宜のウエザーシール材9、例えば、流動性シリコーンを充填し、適宜の養生カバー(図示省略)を貼り付けて流動性シリコーンを硬化養生させ、PCパネル3を完成させる。
【0015】
図4の(A)は、8個の四角形のプリズムガラス1を縦に4個、横に2個の態様で配列した場合を示しており、図4の(B)は、同じく8個の円形のプリズムガラス1を縦に4個、横に2個の態様で配列した場合を示している。しかし、本発明のPCパネル3は、これ以外の任意の個数と配列態様で構成してもよい。
【0016】
また、本発明の緩衝材2における止水用突縁2eは、水平方向に突出させて形成した場合を例示しているが、垂直方向等の他の方向に向けて突出させてもよい。
【0017】
【発明の効果】
本発明のプリズムガラス用緩衝材によれば、予め、ゴム材料製の緩衝材をプリズムガラスに接着剤で接着しておくことができ、この状態でコンクリート型枠の定盤上にセットし、目地部に補強用鉄筋を配設し、コンクリートを打ち込んでPCパネルを作製することができるため、施工の手間を簡略化でき、施工時間を短縮することができる。しかも、プリズムガラスの底面及び周壁面をゴム材料製の緩衝材で被覆保護させているため、コンクリート打ち込み時の骨材(砂利等)による衝撃やコンクリートの充填密度を向上させるために用いられるバイブレーターの衝撃による欠損等を防止することができる。また、緩衝材全体をゴム材料製としたことにより、従来の鋳鉄枠に比べて、製作が容易で安価であり、しかも、軽量化できて取扱い易く、コンクリートの乾燥収縮や熱的挙動に対しても緩衝効果が期待できる。
【0018】
また、内周壁面の上端部にシール材充填用凹部を全周に亘って形成したことにより、PCパネルを作製する工程において、プリズムガラスと緩衝材との間に防水シール施工を施したかどうかを外部から直接目視によって容易に確認することができる。
【0019】
さらに、本発明のプリズムガラス用緩衝材は、外周壁面の下端周囲に止水用突縁を全周に亘って形成したことにより、作製後のPCパネルは、緩衝材とコンクリートとの間の防水性が向上し、しかも、止水用突縁のアンカー効果でコンクリートと緩衝材との一体化が向上する。
【0020】
また、本発明のPCパネルによれば、PCパネルの軽量化、施工時間の短縮、施工手間の簡略化、コストダウン等が図れると共に、コンクリート打ち込み時の骨材(砂利等)及びバイブレーターからの衝撃によるプリズムガラスの破損防止、及び、コンクリートの乾燥収縮や熱的挙動に対する保護も図れる。また、緩衝材の止水用突縁により、各プリズムガラスとコンクリートとの間の防水性が向上し、かつ、各プリズムガラスとコンクリートとの一体化が一層強固となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るPCパネルの要部縦断側面図。
【図2】(A)はプリズムガラスの縦断側面図、(B)は本発明に係る緩衝材の縦断側面図、(C)は緩衝材の周壁面の部分拡大縦断側面図。
【図3】(A)、(B)、(C)は本発明に係るPCパネルの製作順序説明図。
【図4】(A)、(B)は本発明に係るPCパネルの全体の概略正面図。
【図5】従来のPCパネルの要部縦断側面図。
【符号の説明】
1 プリズムガラス
2 緩衝材
3 PCパネル
4 接着剤
5 補強鉄筋
6 コンクリート
7 シール材
8 バックアップ材
9 ウエザーシール材
10 コンクリート型枠
Claims (3)
- プリズムガラスの側壁面周囲及び底面周囲に嵌合する断面略L型の内周壁面を有する枠状の本体をなし、全体をゴム材料で製作すると共に、内周壁面の上端部にシール材充填用凹部を全周に亘って形成したことを特徴とするプリズムガラス用緩衝材。
- 外周壁面の下端周囲に止水用突縁を全周に亘って形成したことを特徴とする請求項1に記載のプリズムガラス用緩衝材。
- 複数個のプリズムガラスを所定の配置で配列し、目地部に補強鉄筋を配筋してコンクリートを打ち込みパネル化したPCパネルであって、各プリズムガラスには請求項1または2に記載のプリズムガラス用緩衝材が嵌合装着してあることを特徴とするPCパネル。
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JP16408399A JP3848015B2 (ja) | 1999-06-10 | 1999-06-10 | プリズムガラス用緩衝材及びpcパネル |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP16408399A JP3848015B2 (ja) | 1999-06-10 | 1999-06-10 | プリズムガラス用緩衝材及びpcパネル |
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JP2000352149A JP2000352149A (ja) | 2000-12-19 |
JP3848015B2 true JP3848015B2 (ja) | 2006-11-22 |
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ID=15786465
Family Applications (1)
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JP16408399A Expired - Lifetime JP3848015B2 (ja) | 1999-06-10 | 1999-06-10 | プリズムガラス用緩衝材及びpcパネル |
Country Status (1)
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JP4873115B2 (ja) * | 2001-08-21 | 2012-02-08 | 日本電気硝子株式会社 | ブロック状ガラスパネル |
-
1999
- 1999-06-10 JP JP16408399A patent/JP3848015B2/ja not_active Expired - Lifetime
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