JP3847708B2 - 繊維用固形状漂白剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は繊維用固形状漂白剤に関する。また、本発明は繊維製品の漂白方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
過酸化水素を主基剤とする衣料用漂白剤は、液体状及び固形状のものが知られており、液体状のものは汚れに直接塗布できることから特に好まれて使用されている。一方、固形状の漂白剤としては、粉末の形態のものが一般的である。また、粉末形態の漂白剤は洗濯時の洗浄水に弱アルカリ性洗剤と共に添加するか、もしくは粉末漂白剤を水に溶解した漂白水に衣料を漬け置く方法等で使用され、衣料に直接漂白剤を作用させることは困難である。従って衣料に直接塗布でき、それによって高濃度の漂白剤を汚れに直接作用させて高い漂白効果が得られる固形状漂白剤の開発が望まれる。
【0003】
漂白剤を含有する固形状洗浄剤はすでに知られている。特許文献1には、活性酸素源、酸及び界面活性剤を含有するトイレ用ブロック状漂白剤が開示されている。しかしながら、漂白活性成分の溶解性を制御する技術でありこの技術を衣料用漂白剤に応用しても、衣料に直接塗布することはできない。特許文献2、特許文献3にはドウ状の漂白剤含有組成物を水溶性フィルムに挟み込んだシート状洗浄剤が開示されている。また、該公報には特定の進入硬度を有するものが溶解性に優れることを開示している。しかしながら、これら公報は洗濯の簡便性を目的としており、衣料に直接塗布するものではない。しかも、該公報の洗剤部分を衣料に直接塗布しても望まれる漂白効果を得ることができない。
【0004】
特許文献4には次亜塩素酸等の漂白剤と炭素数8〜16の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩等のゲル化剤とを含有する固形のかび取り剤が開示されている。また、該公報には脂肪酸をゲル化剤として用いる点、及び保湿剤としてグリセリンやポリエチレングリコールが使用できる点が記載されている。しかしながら、特許文献4では、保形性はあるが、溶解性が低いため、過酸化水素とアルカリ成分の接触が妨げられ、好ましい効果を得ることができない。
【0005】
従って本発明の課題は、衣料等の繊維製品に直接塗布ができ、しかも高い漂白効果を得ることができる繊維用固形状漂白剤、及び該漂白剤を用いた漂白方法を提供することにある。
【0006】
【特許文献1】
特表平8−508769号公報
【特許文献2】
特開平10−72593号公報
【特許文献3】
特開平10−204499号公報
【特許文献4】
特開平11−293281号公報
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)過酸化水素〔以下、(a)成分という〕を0.1〜10質量%、(b)融点が30〜100℃の脂肪族カルボン酸及び/又は該融点を有するカルボン酸の塩〔以下、(b)成分という〕を10〜40質量%、(c)グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールから選ばれる化合物〔以下、(c)成分という〕を10〜40質量%、(d)金属封鎖剤〔以下、(d)成分という〕を0.1〜3質量%、並びに(e)水〔以下、(e)成分という〕を含有し、25℃における進入硬度が1〜100kg/cm2である繊維用固形状漂白剤に関する。
【0008】
また、本発明は、上記本発明の固形状漂白剤を繊維製品の汚れにそのまま接触させることで付着させた後、弱アルカリ性洗剤を含有する洗浄水で洗浄する、繊維製品の漂白方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の(a)成分は過酸化水素であり、本発明に係わる漂白剤中に0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜6質量%、特に好ましくは1〜6質量%であり、このような範囲を超えても効果に影響はなく、逆に不経済であり、この範囲に満たない場合には満足できる漂白効果を得ることができない。本発明では(a)成分として過炭酸ナトリウムや過ホウ酸ナトリウムのような固体状無機化酸化物は貯蔵安定性の点から好ましくない。これらは貯蔵中に酸素ガスを発生し、本発明の固形状漂白剤の表面に起泡状の孔が形成され審美的に好ましくない。
【0010】
本発明の(b)成分は脂肪酸としての融点が30〜100℃、好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜80℃の脂肪族カルボン酸、又はそれらの塩であり、好ましくは炭素数10〜24、好ましくは12〜20の飽和脂肪酸、特に好ましくは14〜20、最も好ましくはパルミチン酸及び/又はステアリン酸である。塩としてはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が公的であり、特にナトリウム、カリウム、マグネシウムが好ましく、最も好ましくはナトリウムである。カルシウムは漂白効果を低下する傾向にあるため好ましくない。なお、塩の場合も融点は30〜100℃が好ましい。
【0011】
本発明の(b)成分の含有量は、本発明に係わる漂白剤中に10〜40質量%、好ましくは15〜35質量%、特に好ましくは20〜30質量%であり、このような範囲において優れた漂白効果が得られ、固形状態も維持できる。
【0012】
本発明の(c)成分は、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールから選ばれる化合物であり、これらは単独又は混合して用いることができる。これら(c)成分は本発明において最も重要な成分であり、繊維製品に塗布後、弱アルカリ性洗剤と共に洗濯する工程において、過酸化水素とアルカリ成分の接触を促進する効果を有するものと本発明者らは考えている。本発明ではグリセリンが最も好ましい。
【0013】
また、(c)成分/(b)成分を質量比で1/4〜2/1、好ましくは3/4〜3/2にすることで高い漂白効果を得ることができる。さらに、(b)成分と(c)成分の合計は、本発明に係わる漂白剤中、20〜70質量%、好ましくは25〜65質量%、特に好ましくは30〜60質量%が好適である。
【0014】
本発明では過酸化水素の安定性を向上させる目的から(d)成分として金属封鎖剤を含有する。金属封鎖剤としては▲1▼リン酸、トリポリリン酸、フィチン酸から選ばれるリン酸系化合物、▲2▼エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸から選ばれるホスホン酸、▲3▼2-ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1-ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α −メチルホスホノコハク酸から選ばれるホスホノカルボン酸、▲4▼アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンから選ばれるアミノ酸、▲5▼ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエンコル酸から選ばれるアミノポリ酢酸、▲6▼ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキメチル酒石酸から選ばれる有機酸、▲7▼アミノポリ(メチレンホスホン酸)、またはポリエチレンポリアミンポリ(メチレンホスホン酸)、を挙げることができ、より好ましくは▲2▼のホスホン酸化合物、▲5▼のアミノポリ酢酸化合物、▲6▼の有機酸、及び▲7▼の化合物が好適である。本発明では特にエタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、クエン酸、エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、エチレンジアミン2酢酸、2−ヒドロキシエチルイミノジ酢酸から選ばれる化合物が最も好ましい。
【0015】
本発明に係わる漂白剤は、過酸化水素の安定性を向上させる目的で、(d)成分を0.1〜3質量%、好ましくは0.5〜2質量%含有する。
【0016】
本発明に係わる漂白剤は(e)成分として水を含有する。(e)成分は、(c)成分と同様にアルカリ成分との接触を促進させる効果があるため本発明の必須成分であり、その含有量は好ましくは20〜70質量%、より好ましくは25〜60質量%、特に好ましくは30〜50質量%が好適である。(e)成分の含有量がこのような範囲を超えると固形状態を維持することができず、この範囲に満たない場合にはアルカリ成分との接触が抑制されるため漂白効果が低下する。
【0017】
本発明に係わる漂白剤は、1質量%水溶液の20℃におけるpHが3〜11、より好ましくは4〜10、特に好ましくは5〜9が貯蔵安定性の点から好適である。このようなpHに調製するためのpH調整剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩など、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸から選ばれる酸と水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。
【0018】
本発明に係わる漂白剤は、漂白効果を向上させる目的から(f)成分として漂白活性化剤を含有することが好適であり、アルカノイルオキシベンゼン型漂白活性化剤が好ましく、特に炭素数8〜14、好ましくは8〜13のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸もしくは炭素数8〜14、好ましくは8〜13のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸又はこれらの塩が好ましい。より具体的に好ましい例としてはオクタノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、ノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、デカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、オクタノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、ノナノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、デカノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、ドデカノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、及びこれらの塩が挙げられる。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましく、特にナトリウム塩が溶解性の点から好ましい。
【0019】
これらの中でも特にノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、デカノイルオキシ−p−ベンゼンカルボン酸、ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸及びこれらの塩が漂白効果の点から好ましい。
【0020】
本発明に係わる漂白剤は、(f)成分を好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜3質量%、特に好ましくは0.4〜1質量%含有する。
【0021】
本発明に係わる漂白剤は、漂白効果及び貯蔵安定性の点から界面活性剤〔以下、(g)成分という〕を含有することが好ましく、特に陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、および両性界面活性剤から選ばれる1種以上が好ましい。
【0022】
陰イオン界面活性剤としては、分子中に炭素数10〜18、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜15のアルキル基又はアルケニル基と、−SO3M基及び/又は−OSO3M基〔M:対イオン〕を有する陰イオン界面活性剤が好ましい。具体的には上記炭素数を有するアルキルベンゼンスルホン酸、アルキル(又はアルケニル)硫酸エステル、アルキレンオキシド平均付加モル数1〜6のポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸エステル、オレフィンスルホン酸、アルカンスルホン酸、α−スルホ脂肪酸、α−スルホ脂肪酸エステル及びこれらの塩が好ましい。これらの中でも特に炭素数10〜16のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル(又はアルケニル)硫酸エステル、炭素数10〜16のアルキル基又はアルケニル基を有し、エチレンオキシド(以下、EOと表記する)平均付加モル数が1〜6、好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3であるポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸エステル、もしくは炭素数10〜15のアルキルベンゼンスルホン酸、およびこれらの塩から選ばれる一種以上を配合することが好ましい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩が貯蔵安定性の点から良好である。
【0023】
非イオン界面活性剤としては、一般式(1)の化合物が好ましい。
R1−T−[(R2O)a−H]b (1)
〔式中、R1は、炭素数7〜18、好ましくは10〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R2は炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。aは2〜20、好ましくは4〜10、特に好ましくは5〜8の数を示す。Tは−O−、−CON−又は−N−であり、Tが−O−の場合はbは1であり、Tが−CON−又は−N−の場合はbは2である。〕。
【0024】
一般式(1)の化合物の具体例として以下の化合物を挙げることができる。
R1−O−(C2H4O)c−H (1−a)
〔式中、R1は前記の意味を示す。cは2〜20、好ましくは4〜12、特に好ましくは6〜10の数である。〕
R1−O−(C2H4O)d−(C3H6O)e−H (1−b)
〔式中、R1は前記の意味を示す。d及びeはそれぞれ独立に2〜15、好ましくは2〜10の数であり、エチレンオキシドとプロピレンオキシドはランダムあるいはブロック付加体であってもよい。〕
【0025】
【化1】
【0026】
〔式中、R1は前記の意味を示す。f及びgの合計は3〜20、好ましくは3〜15、特に好ましくは2〜10の数である。〕
本発明ではこれらの中でも特に(1−a)及び(1−b)から選ばれる非イオン界面活性剤が好ましい。
【0027】
陽イオン界面活性剤としては、下記一般式(2)のモノ長鎖アルキル(もしくはアルケニル)トリ短鎖アルキル型陽イオン界面活性剤が好ましい。
【0028】
【化2】
【0029】
〔式中、R3は炭素数8〜18、好ましくは10〜18、特に好ましくは10〜16のアルキル基またはアルケニル基であり、R4、R5、R6は同一又は異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基である。X-は陰イオン、好ましくはハロゲンイオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1〜12の脂肪酸イオン、炭素数1〜3の置換基を1〜3個有していてもよいアリールスルホン酸イオンである。〕。
【0030】
両性界面活性剤としては下記一般式(3)の化合物又は一般式(4)の化合物から選ばれる化合物が好ましい。
【0031】
【化3】
【0032】
〔式中、R7は炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14の直鎖アルキル基又はアルケニル基であり、R9、R10は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。R8は炭素数1〜5、好ましくは2又は3のアルキレン基である。Uは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、hは0又は1、好ましくは1の数である。〕
【0033】
【化4】
【0034】
〔式中、R11は炭素数9〜23、好ましくは9〜17、特に好ましくは10〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R12は炭素数1〜6、好ましくは1〜4、特に好ましくは2又は3のアルキレン基である。Vは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、iは0又は1の数、好ましくは0である。R13、R14は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基であり、R15はヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキレン基である。Dは、−SO3 -、−OSO3 -から選ばれる基であり、特に−SO3 -が漂白洗浄効果の点から良好である。〕。
【0035】
本発明において浸透剤として特に好ましい界面活性剤としては一般式(1−a)及び/又は(1−b)の非イオン界面活性剤、一般式(2)の陽イオン界面活性剤、一般式(3)及び/又は一般式(4)の両性界面活性剤から選ばれる1種以上であり、最も好ましい化合物は一般式(1−a)及び/又は(1−b)の非イオン界面活性剤である。
【0036】
本発明に係わる漂白剤は、漂白効果を高める目的から分散剤〔以下、(h)成分という〕を含有することが好ましい。特に、重量平均分子量5千〜4万、好ましくは5千〜1万のポリアクリル酸もしくはその塩又はポリメタクリル酸もしくはその塩、重量平均分子量1万〜10万、好ましくは3万〜7万のアクリル酸とマレイン酸のコポリマーもしくはその塩から選ばれるカルボン酸系ポリマー、及び重量平均分子量4千〜2万、好ましくは5千〜1万のポリエチレングリコールから選ばれる非イオン性ポリマーが好ましい。
【0037】
本発明に係わる漂白剤は、(h)成分を0.05〜14質量%、好ましくは0.1〜8質量%含有することが好適である。
【0038】
本発明では(i)成分としてラジカルトラップ剤を含有することが好ましい。ラジカルトラップ剤としてはフェノール性化合物が好適であり、特にフェノール、カテコール、ハイドロキノン、ピロガドール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸、フェノールスルホン酸、没食子酸、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールが貯蔵安定性の点から好適である。
【0039】
本発明に係わる漂白剤は、(i)成分を0.01〜1質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%含有することが好適である。
【0040】
〔繊維用固形状漂白剤〕
本発明は上記(a)成分〜(e)成分、及び所望により(f)成分〜(i)成分を含有する組成物を固形状に成型した繊維用固形状漂白剤に関する。また、該漂白剤の硬さの目安である25℃における進入硬度は、1〜100kg/cm2、好ましくは5〜80kg/cm2、より好ましくは10〜60kg/cm2である。ここで該漂白剤の進入硬度は以下の方法で測定される。
【0041】
<進入硬度の測定方法>
漂白剤の各成分とマーカー用に色素(赤色106号)をダルトン製万能混合攪拌機(形式5DM−03−r)に合計1000g仕込む。約25℃に調温後、まず低速(約100rpm)で1分間混練し、次いで高速(約200rpm)で混練する。ミノルタ株式会社製測色計(CR−300)を用いて混練物のb値を測定し、b値が一定になるまで高速で混練を行って均一な漂白剤を得る。FUDOH RHEO METER(RT−2010J−CW)のレオメーターを用い、25℃に保った上記漂白剤の表面にFUDOHレオメーター専用アダプター▲3▼(底面積1cm2)を押し付け、アダプターが漂白剤の内部に30cm/分の進入速度で20mm進入したときの応力を測定し、これを進入硬度とする。
【0042】
このような進入硬度は、特に(b)成分、(c)成分、及び(d)成分の割合を調節することで達成でき、好ましくは(b)成分/(c)成分を質量比で1/2〜4、更に2/3〜4/3、(c)成分/(e)成分を質量比で1/5〜3とすることが、漂白剤の硬度、及び漂白効果の点から好ましい。また、(b)成分、(c)成分、及び(e)成分の合計を50〜95質量%、好ましくは70〜90質量%とすることが好適である。
【0043】
本発明の漂白剤はその形や大きさには特に制限はないが、スティック状のものが衣料等の繊維製品に塗布しやすい点から好ましい。スティック状の漂白剤は、使用時に該漂白剤を徐々に繰り出し可能な容器に収納することが好ましい。スティックは、円柱又は4角〜8角の多角柱の形を有することができ、好ましくは、容器からの繰り出し易さなどを考慮して、円柱状のものが好適である。スティックが円柱である場合、その寸法は、使い勝手などの面から、10〜50mmの直径及び50〜150mmの長さであるのが好ましい。
【0044】
本発明の漂白剤の調製法としては、(b)成分が酸の形態である場合には(a)成分、(c)成分、(d)成分、及び(e)成分を予め混合し、30〜70℃、好ましくは40〜60℃に加温した溶液に、融点以上100℃以下で融解した(b)成分を添加する方法、或いは融点以上100℃以下で融解した(b)成分に(a)成分、(c)成分、(d)成分、及び(e)成分を加える方法を採用することができる。また、(b)成分が塩の形態である場合には(a)成分〜(e)成分を加熱しながら混合する方法が好適であり、この場合、(b)成分の溶解を促進させる目的から(f)成分である界面活性剤を質量比で(b)成分/(f)成分=1〜30、好ましくは4〜10の比率で併用することが好ましい。
【0045】
溶解し均一になった組成物は所望の型に入れ、冷却することで本発明の繊維用固形状漂白剤を得ることができる。
【0046】
〔漂白方法〕
本発明の漂白剤は繊維製品の汚れに直接接触させることで付着させて使用される。接触させる方法としては、ヘラなどを用いて塗り付ける方法をとることもできるが、固形状の漂白剤を直接繊維製品に塗り広げる方法が好ましい。また、塗布する量としては塗布面積当り0.05〜0.5g/cm2、更に0.1〜0.4g/cm2が好適である。
【0047】
塗布後は、そのまま水ですすいでもよいが、弱アルカリ性洗剤を含有し20℃でのpHが10以上の洗濯液を用いて洗浄することが、より高い漂白効果を得ることができることから好ましい。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、繊維製品に直接塗布ができ、しかも高い漂白効果を得ることができる繊維用固形状漂白剤及び該漂白剤を用いた漂白方法が提供される。本発明は、衣料、タオル、シーツ、各種カバーなどの洗濯機で洗浄可能な繊維製品に好適に用いられる。
【0049】
【実施例】
下記配合成分を用いて、下記の調製法により表1の組成を有するスティック状の漂白剤を調製した。これら漂白剤を用いて下記の漂白方法により漂白効果を評価した。結果を表1に示す。
【0050】
(配合成分)
a−1:過酸化水素
b−1:ステアリン酸ナトリウム
b−2:パルミチン酸ナトリウム
c−1:グリセリン
c−2:エチレングリコール
c−3:ジエチレングリコール
c−4:トリエチレングリコール
c−5:ポリエチレングリコール(重量平均分子量1000)
d−1:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸
f−1:ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム
g−1:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO平均付加モル数7モル)
g−2:アルキル(炭素数12〜15)ベンゼンスルホン酸ナトリウム
g−3:テトラデシルトリメチルアンモニウムメチル硫酸エステル塩
h−1:ポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量10000)
i−1:フェノールスルホン酸。
【0051】
(漂白剤調製法)
(b)成分を除く全ての成分をガラスビーカーに入れ均一に溶解させた後、80〜90℃まで加熱し、(b)成分を加え完全に溶解させた。得られた粘稠な溶液を予め加温しておいたスティックのり用容器(内径26mm、深さ60mm)に充填し、5℃にて急冷した。これにより、スティック状の漂白剤を作製した。
【0052】
実施例1〜4の漂白剤の進入硬度は全て1〜100kg/cm2の範囲内であった。また、比較例1及び2の漂白剤の進入硬度は100kg/cm2超であり、比較例3の漂白剤の進入硬度は1kg/cm2未満であった。
【0053】
(漂白効果)
表1に示すスティック状漂白剤を用いて、下記の通り調製した紅茶汚染布(親水性汚れ)4枚に1枚ずつ、直径5cmの円になるよう、約2gずつ均一に塗布し、10分間放置した。その後、濃度0.0667質量%の市販洗剤水溶液に投入し、ターゴトメーターにて普通洗浄した(80rpm×10分)後、水道水ですすぎ、乾燥させて、次式により漂白率を算出した。
【0054】
【数1】
【0055】
反射率は日本電色工業(株)製NDR−101DPで460nmフィルターを使用して測定した。
【0056】
*紅茶汚染布の調製
日東紅茶(黄色パッケージ)80gを3Lのイオン交換水にて約15分間煮沸後、糊抜きしたさらし木綿でこし、この液に木綿金布#2003を浸し、約15分間煮沸した。そのまま火よりおろし、約2時間放置後自然乾燥させ、洗液に色がつかなくなるまで水洗し、脱水、プレス後、8cm×8cmの試験布として実験に供した。
【0057】
【表1】
Claims (3)
- (a)過酸化水素を0.1〜10質量%、(b)融点が30〜100℃の脂肪族カルボン酸及び/又は該融点を有するカルボン酸の塩を10〜40質量%、(c)グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールから選ばれる化合物を10〜40質量%、(d)金属封鎖剤を0.1〜3質量%、並びに(e)水を含有し、25℃における進入硬度が1〜100kg/cm2である繊維用固形状漂白剤。
- (c)/(b)の質量比が1/4〜2/1である請求項1記載の繊維用固形状漂白剤。
- 請求項1又は請求項2記載の固形状漂白剤を繊維製品の汚れにそのまま接触させることで付着させた後、弱アルカリ性洗剤を含有する洗浄水で洗浄する、繊維製品の漂白方法。
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