JP3847585B2 - エディタの登録装置、登録プログラムおよびそれを記録した記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御対象機器の動作に関するプログラムやデータを作成するエディタによって作成されたプログラムやデータを登録するためのエディタの登録装置、登録プログラムおよびそれを記録した記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プログラマブルロジックコントローラ(以降、PLCと称する)などと呼ばれる産業用制御装置は、シーケンス制御をはじめとする各種制御を実現するために、CPUおよびメモリを中心とするハードウェアの部分と、制御を司るソフトウェアの部分とを備えている。ソフトウェアの部分は、PLCを設計当初の制御システム通りに動作させるためのシーケンス制御フローの設計、その制御フローの命令語への変換、命令語のメモリへの書き込みなどを含んでいる。一般に、この一連の作業をプログラミングと称している。
【0003】
このようなプログラミングにおいては、コンピュータの専門知識を持たなくても簡単にプログラム作成ができるように、独自の言語を用いており、利用者に使いやすい各種のプログラミング言語が次々と開発されるようになった。現在、IEC(International Electrotechnical Commission) において、標準のプログラミング言語が制定されている(IEC 6 1131-3 )。それは、SFC(Sequential Function Chart) 、LD(Ladder Diagram)、IL(Instruction List)、FBD(Function Block Diagram)およびST(Structured Text) の5言語である。
【0004】
上記のように、各種のプログラミング言語を用いてプログラム開発を行うことができるように環境が整えられつつある。例えば、ラダー図(LD)は、リレー記号を用いて比較的容易にラダー回路を設計することができるので従来から広く普及しており、現在でも最もよく用いられているプログラミング言語である。このようなプログラミング言語によるプログラミング作業において用いられるプログラミングツールとしては、ラダーエディタなどのプログラミングソフトウェアが普及してきている。このソフトウェアは、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置において、ラダー図などをラダー記号を含む形態で作成できるので、プログラムの作成および編集を容易に行える。
【0005】
また、作成されたプログラムを実行するには、予めPLCの入力端子および出力端子のそれぞれに付与されている入力番号および出力番号(I/Oアドレス)と、各入出力端子に接続される制御対象機器(デバイス)との割り付けを行う必要がある。このため、上記のプログラミングソフトウェア(エディタ)では、その割り付けのための設定や登録を行えるようになっている。従来、このような割り付けは、PLCのメーカによって異なっており、絶対アドレスで設定されるので、メーカに応じたメモリテーブルを用意する必要がある。ただし、上記のIECに準拠したエディタでは、変数(自由変数)を介してデバイスとアドレスとを割り付けるので、上記のようなメモリテーブルが不要であり、また、PLCの機種の変更などによってアドレスが変わっても、一度決定した割り付けを容易に変更することができる。
【0006】
このため、上記のエディタでは、上記のI/Oアドレスの割り付け(I/O設定)とともに、作成した変数の登録(変数設定)を行えるようになっている。
【0007】
一方、HMI(Human Machine Interface) 機器としてのプログラマブル表示器は、ドット表示画面、操作用入力スイッチ、ホストコントローラ(PLC)とのインターフェース、画面上での操作入力のような制御のためのプログラムメモリなどを備えた操作用表示器である。一般に、プログラマブル表示器は、グラフィック表示を行うので、操作盤、スイッチ、表示灯などの機能を備えることができる他、デバイスの稼働状況や作業指示のような管理のための各種のモニタ、機器に対する設定値を入力する端末としての機能を備えている。
【0008】
また、近年では、制御対象機器を接続するための入出力ユニットなどを搭載することによってPLCの制御機能を備えたプログラマブル表示器も登場してきている。
【0009】
このようなプログラマブル表示器で表示される制御画面(表示内容プログラム)は、画面作成ソフトウェア(作画エディタ)を用いてユーザ独自で作成できるようになっている。画面作成に際しては、ユーザが、パーソナルコンピュータなどにおいて作画ソフトによって提供されるスイッチ、ランプ、テンキー、メータ表示器、グラフ表示器などの部品、描画機能などを用いて所望の制御画面を構成する。
【0010】
作成された制御画面は、画面データとしてプログラマブル表示器に転送されて記憶される。PLCの稼働時には、プログラマブル表示器は、PLCとの間でやり取りされるデータに基づいて、制御対象機器の動作状態に応じて制御画面上に各部品や図形を表示させる。
【0011】
また、プログラマブル表示器は、PLCに接続されたデバイスの稼働状況の表示や作業指示などの入力を行うために、PLCを介してデバイスにアクセスする必要がある。このため、作画エディタには、前述のラダーエディタのようなシーケンス制御用のエディタと同様に、制御画面において入力操作を行う部品などに前述のI/Oアドレスを割り付けるためのI/O設定や、変数を用いたI/Oアドレスの割り付けを行うための変数設定を行う機能を備えたものがある。
【0012】
また、作画エディタには、PLCからの異常情報をプログラマブル表示器に表示させるために、表示に必要となる各種のアラーム条件を設定する機能を有しているものもある。さらに、作画エディタには、スクリプト言語などを用いて、表示や入力操作のためのプログラムを作成できる機能を備えたものもある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記のシーケンス制御用のエディタでは、同じ処理が複数行われる場合、コピー機能を用いてその部分を複写することによって、同じ処理内容の部分を改めて作成することなく、繰り返し使用することができる。特に、複雑な演算処理などを、その都度作成することは手間がかかり非効率的である。このため、上記の複写機能を用いれば、その手間を省くことができる。
【0014】
しかしながら、このような機能を用いても、同じプログラム内で以前作成した複写したい部分を捜し出すのに手間がかかるうえ、さらに同じ部分を繰り返して複写する場合は、その部分のステップ番号を覚えておくか記録しておかなければならない。しかも、複写したい部分を捜し出しても、その部分が使用できるか否かは、実際に見てみないと分からない。また、異なるプログラムで利用できる部分があると考えられる場合は、そのプログラムのファイルを開いて、該当する部分を捜し出す必要があり、さらに手間がかかる。
【0015】
また、異なるプログラムでも、同様なデバイスを含むターゲットシステムを対象とするプログラム間では、同じI/O設定や変数設定を利用できることがある。上記のシーケンス制御用のエディタでは、そのような設定をファイルの複写によって再利用することができるものの、複写のための操作が必要となり、手間がかかる。これは、上記の作画エディタでも同様である。
【0016】
一方、上記作画エディタでは、アラーム条件の設定やプログラムを再利用した場合に、やはり、シーケンス制御用のエディタと同様、ファイルの複写という操作が必要になる。
【0017】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、簡単な操作で一度作成したプログラムや設定などのデータを再利用できるようにしたエディタの登録装置、登録プログラムおよびそれを記録した記録媒体を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のエディタの登録装置は、上記の課題を解決するために、制御対象機器を制御する制御手順を定めるための制御手順プログラムを該制御対象機器を制御するための基本機能を表す第1図形要素の組み合わせによってエディタウインドウ上での入力操作に応じて作成する第1エディタによって作成された上記制御手順プログラムならびに上記制御対象機器の状態および上記制御対象機器への制御指示を与えるための画面を表示する表示内容を定めるための表示内容プログラムを上記制御対象機器の状態または上記制御対象機器に制御指示を与える部品を表す第2図形要素の組み合わせによって上記エディタウインドウ上での入力操作に応じて作成する第2エディタによって作成された上記表示内容プログラムを登録するエディタの登録装置であって、上記第1エディタによって作成された上記制御手順プログラムに含まれ、上記第1図形要素の1つまたは複数の組み合わせからなる第1機能ブロックおよび上記第2エディタによって作成された上記表示内容プログラムに含まれ、上記第2図形要素の1つまたは複数の組み合わせからなる第2機能ブロックを登録する第1登録手段と、上記エディタウインドウと同一の画面内に設けられて上記第1登録手段の登録内容を表した第1登録内容表示図形で表示するための第1表示ウインドウを表示するウインドウ表示手段と、上記エディタウインドウに表示されている上記第1または第2機能ブロックを選択し、上記第1表示ウインドウへ複写させる操作に応じて、上記第1または第2機能ブロックのデータを上記第1登録手段に複写するとともに、上記第1表示ウインドウに表示されている上記第1登録内容表示図形を選択し、上記エディタウインドウへ複写する操作に応じて、選択された上記第1または第2機能ブロックを上記第1または第2エディタに複写する複写手段とを備えていることを特徴としている。
【0019】
上記の構成では、第1または第2エディタによって、エディタウインドウ上で第1または第2図形要素を入力することでプログラムが作成される。例えば、制御手順プログラムの作成途中で、ある第1機能ブロックを後々繰り返して使用すると予想される場合、エディタウインドウに表示されているその第1機能ブロックを選択し、第1表示ウインドウへ複写させる操作をコピーアンドペーストなどで行うと、複写手段によって、第1機能ブロックのデータが第1登録手段に登録される。また、このとき、ウインドウ表示手段によって、第1登録手段に登録された登録内容が、第1表示ウインドウに第1登録内容表示図形として表示される。
【0020】
例えば、制御手順プログラム作成中に第1登録手段に登録された第1機能ブロックを利用したい場合は、第1表示ウインドウに表示された第1登録内容表示図形を選択し、上記エディタウインドウへ複写する操作をドラッグアンドドロップなどで行うと、複写手段によって、選択された第1機能ブロックのデータがエディタに複写される。制御手順プログラムは、いわゆるシーケンス制御プログラムであって、例えば、前述のIECで制定されたプログラミング言語で作成されるプログラムである。ラダープログラムのように、図形要素としてラダー記号を組み合わせてプログラミングしていくプログラムでは、よく使用する機能ブロックを第1登録手段に登録しておくことによって、同じ機能ブロックをその都度作成する手間を省くことができる。
【0021】
このように、第1および第2エディタで作成された制御手順プログラムおよび表示内容プログラムの一部を第1および第2機能ブロックとして第1登録手段に登録することによって、その第1および第2機能ブロックを必要なときにその都度作成することなく再利用することができる。
【0022】
上記のエディタの登録装置においては、上記第1および第2機能ブロックが選択される範囲がユーザによって指定されることが好ましい。
【0023】
また、上記のエディタの登録装置においては、上記ウインドウ表示手段が、上記第1表示ウインドウにおいて、上記第1登録内容表示図形として上記エディタウインドウに表示された上記機能ブロックを縮小表示することが好ましい。これにより、機能ブロックが第1表示ウインドウに第1登録内容表示図形として表示されるので、ユーザが、エディタウインドウでプログラムを作成しながら、第1登録手段に登録されている機能ブロックを意識することができる。それゆえ、第1登録手段において、機能ブロックを検索する必要がない。また、エディタウインドウに比較的大きく表示される機能ブロックでも、第1表示ウインドウでは、第1登録内容表示図形として小さく表示されるので、限られたスペースの第1表示ウインドウでも、できるだけ多くの機能ブロックを表示することができる。
【0024】
上記のエディタの登録装置においては、上記制御対象機器の動作に関するプログラムをテキストで作成するエディタによって作成された上記上記プログラムを登録する第2登録手段をさらに備え、上記ウインドウ表示手段が、上記エディタウインドウと同一の画面内に設けられて上記第2登録手段の登録内容を表した第2登録内容表示図形を表示するための第2表示ウインドウを表示する一方、上記第1表示ウインドウに上記第2登録内容表示図形を表示し、上記複写手段が、上記第2表示ウインドウに表示されている上記第2登録内容表示図形を選択し、上記第1表示ウインドウへ複写させる操作に応じて、選択された上記プログラムを上記第1登録手段に複写するとともに、上記第1表示ウインドウに表示されている上記第2登録内容表示図形を選択し、上記第2表示ウインドウへ複写する操作に応じて、選択された上記プログラムを上記第2登録手段に複写することが好ましい。
【0025】
上記の構成では、エディタが、プログラムをテキスト入力に応じて作成する機能を有している。エディタが作成したプログラムは、作成後に第2登録手段に登録され、その登録内容が、ウインドウ表示手段によって、第2登録内容表示図形として第2表示ウインドウに表示されている。
【0026】
このプログラムを異なる第2登録手段で作成したい場合など、第2表示ウインドウに表示されている第2登録内容表示図形を選択し、第1表示ウインドウへ複写させる操作をドラッグアンドドロップなどで行うと、複写手段によって、選択されたプログラムが第1登録手段に複写される。また、このとき、ウインドウ表示手段によって、第1登録手段に登録された登録内容が、第1表示ウインドウに第2登録内容表示図形として表示される。
【0027】
また、第1登録手段に登録されたプログラムを利用したい場合は、第1表示ウインドウに表示された第2登録内容表示図形を選択し、第2表示ウインドウへ複写する操作をドラッグアンドドロップなどで行うと、複写手段によって、選択されたプログラムが第2登録手段に複写される。
【0028】
このように、第2登録手段に登録されているプログラムを第1登録手段に登録して、第1表示ウインドウにその内容を第2登録内容表示図形で表示させることによって、そのプログラムを異なる第2登録手段に作成する作業を簡単に行うことができる。
【0029】
上記のエディタの登録装置においては、上記第2登録手段が上記プログラムの複数の実行環境毎に設けられる一方、上記第1登録手段が複数の第2登録手段に対して単一に設けられていることが好ましい。これにより、プログラムの実行環境毎に異なる第2登録手段間で第1登録手段に登録されたプログラムを再利用することができる。
【0030】
本発明の登録プログラムは、上記の各登録装置における各手段をコンピュータに実現させるもである。また、本発明の記録媒体は、上記の登録プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0031】
これらの登録プログラムおよび記録媒体を用いても、上記の各登録装置で実現されるプログラムの再利用を同様に実現することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0033】
本実施の形態に係る表示/制御システムは、図1に示すように、プログラマブル表示器1およびPLC2を含んでいる。
【0034】
プログラマブル表示器1は、CPU11、メモリ部12、VRAM13、ディスプレイ14、グラフィックコントローラ15、タッチパネル16、タッチパネルコントローラ17、メンテナンスポート18、通信コントローラ19、入出力ユニット20(図中、I/Oユニット)およびI/O制御インターフェース21を備えている。
【0035】
メモリ部12は、DRAM12a、FEPROM(Flash Erasable and Programmable ROM)12b等のメモリを含んでいる。DRAM12aは、主に、表示制御などの演算処理時の作業用に用いられる他、PLC2との間でやり取りされるデータの一時的な記憶に用いられる。SRAM12cは、PLC2から得られたデータをロギングしたり、PLC2に与える制御データ(レシピデータ)を記憶したりするために用いられる。FEPROM12bは、書き替え可能な読み出し専用のフラッシュメモリであり、一般のパーソナルコンピュータにおけるハードディスクドライブの役割を果たす。フラッシュメモリは、可動部を持たず、かつ衝撃に強いので、劣悪な周囲環境でも安定して動作する。
【0036】
また、上記のFEPROM12bは、図2に示すように、表示制御システムプログラムと、通信プロトコルと、画面データとをそれぞれ格納するエリアを有している。表示制御システムプログラムは、画像表示制御を行うための基本機能を実現するためのプログラムである。通信プロトコルは、PLC2との通信処理で用いられるプロトコルであり、PLC2の機種(メーカ)に応じて固有に定められている。画面データは、後述する作画エディタ32bによって作成されて、FEPROM12bにダウンロードされている。この画面データは、ディスプレイ14に表示すべきベース画面や図形要素としての部品のデータおよび各マークに付与された後述する処理指示語W(図3参照)などを含んでおり、表示内容プログラムを構成している。
【0037】
上記の部品は、タッチスイッチ、ランプ、各種表示器(例えば、数値表示器やメータ表示器)などの画像化された基本的な部品として予め用意されている。また、部品としては、スイッチや数値表示器などの動的変化を画面上の任意の位置で表現させるために、所望の位置に設定された矩形エリアに所望の動画機能が設定された機能部も含まれる。
【0038】
図3に示すように、画面データに含まれる処理指示語Wは、ベース画面上で実行されるべき事象毎に作成されている。この処理指示語Wは、基本的には、表示制御動作を実行すべきベース画面のファイル番号Fと、このベース画面上で実行されるべき動作内容を特定する事象名Tと、各実行事象毎に参照される1または複数のデータからなる参照情報Iとを一組として備えている。
【0039】
CPU11は、前述のFEPROM12bに格納された表示制御システムプログラムにしたがって、プログラマブル表示器1の各部の動作を制御する。また、CPU11は、後述するメンテナンスポート18を介しての後述するコンピュータ装置3との通信を制御する機能を有しており、作画エディタ32bからの画面データを受け取るとFEPROM12bに格納したり、ラダーエディタ32aからのラダープログラム(制御手順プログラム)を受け取るとPLC2に転送したりする。
【0040】
VRAM13は、ディスプレイ14に表示される画面のイメージを一時的に保持するメモリであり、FEPROM12bからの画面データのイメージを水平方向に表示される順にドットデータとして格納している。
【0041】
ディスプレイ14は、液晶パネルやELパネルのような平板型表示素子によって構成されている。グラフィックコントローラ15は、VRAM13に展開された画面のイメージを、ディスプレイ14に描画するドライバソフトウェアである。タッチパネル16は、ディスプレイ14の表示画面上で入力を行うために設けられており、アナログ抵抗膜式タッチパネルなどが好適である。タッチパネルコントローラ17は、タッチパネル16の出力電圧を入力位置情報に変換してCPU11に出力する。
【0042】
メンテナンスポート18は、後述するコンピュータ装置3との間の通信を行うための通信ポートである。一方、通信コントローラ19は、通信ケーブル(例えばRS−232C)を介してPLC2との間で入出力機器4…の制御や監視に関するデータなどの転送やPLC2の出力データの取り込みを制御するインターフェースである。
【0043】
また、プログラマブル表示器1は、さらにPLC機能を備えて入出力機器4…を直接制御するように構成されていてもよい。このため、プログラマブル表示器1は、図1に示すように、前述の通信コントローラ19に加えて入出力ユニット20およびI/O制御インターフェース21を備えている。
【0044】
FEPROM12bは、PLC機能を備える場合、図4に示すように、表示制御システムプログラムと、通信プロトコルと、画面データとをそれぞれ格納するエリアに加えて、制御機能プログラムとラダープログラムとをそれぞれ格納するエリアを有している。制御機能プログラムは、シーケンス制御の基本機能を実現するためのプログラムである。
【0045】
入出力ユニット20は、入出力機器4…が接続可能となるように、多数の入出力端子、入出力回路などを備えている。I/O制御インターフェース21は、CPU11と入出力ユニット20との間の信号の授受を仲介するインターフェース回路であって、入出力メモリ、D/A変換器、A/D変換器などを備えている。
【0046】
PLC2は、内蔵するCPU部によって、制御機能プログラムにしたがい、ラダーエディタ32aで作成されたラダープログラム(制御手順プログラム)で定められた手順で、入出力機器4…の動作を制御する。
【0047】
PLC2内のメモリには、アドレスを指定することにより、ワードデバイスおよびビットデバイスが格納場所を特定可能に設定されている。ワードデバイスは、入出力されるデータが数値のようなワードデータに対して設定され、ビットデバイスは、オン・オフ状態のようなビットデータに対して設定される。このような設定により、PLC2内の任意のワードデバイスまたはビットデバイスをアクセスするだけで入出力機器4…を制御し、またはその動作状態に関する情報を個別に取り出すことができる。
【0048】
プログラマブル表示器1は、上記のビットデバイスまたはワードデバイスが示す状態情報のうち、必要な情報を適時にメモリ部12に読み込む一方、上記の処理指示語Wを繰り返し読み出して各処理指示語Wの事象名Tで特定される内容の動作をPLC2側の状態情報を参照しながら実行する。これによって、ビットデバイスまたはワードデバイスの状態の変化に応じて変化する表示動作が実行される。
【0049】
画面データ、ラダープログラム(PLC機能を有する機種のみ)などを実行するプログラマブル表示器1は、本システムにおいてターゲットと称される。ターゲットは、後述するエディタ部32で作成されたプログラムや設定を実行するプラットフォームとなるコンピュータシステムであり、各コンピュータシステムはプラットフォームの相違を吸収できる実行環境(ランタイム部)を備えている。このため、ターゲットとしてのプログラマブル表示器1は、異なる機種であっても、エディタ部32で作成した同じプログラムや設定を実行させるために、上記のようなランタイム部を備えている。
【0050】
ここで、エディタ部32で作成されるプログラムや設定は、例えば、Java(登録商標)のソースコードをコンパイルすることで生成されたバイトコードである。ランタイム部は、そのバイトコードを逐次翻訳して実行するJava仮想機械(VM)層と、異なるプログラマブル表示器1のOS層間の相違を吸収する中間層とを備えている。この中間層は、プログラマブル表示器1のオペレーティングシステム(OS)層およびJavaVM層との間に介在している。このような構成のランタイム部は、上記のバイトコードを実行することによって、プログラムや設定を実行する。
【0051】
上記の中間層は、例えば、JavaVM層から呼び出し(使用)可能な関数、コマンドまたはユーティリティ群として実現され、プログラマブル表示器1の機種に関わらず、JavaVM層からの呼び出し(使用)方法(API:Application Programing Interface)が統一されている。上記の関数、コマンドまたはユーティリティとしては、JavaVM層がバイトコードを実行する際に必要な処理、具体的には、JavaVM層がディスプレイ14への画面表示の指示、PLC2との通信、またはPLC2の状態に連動するように制御されるプログラマブル表示器1のメモリ部12へのアクセスの際に必要な処理を行うものが用意されている。これらは、JavaVM層から見て、OS層の相違を隠蔽できる。
【0052】
続いて、コンピュータ装置3について説明する。
【0053】
コンピュータ装置3は、パーソナルコンピュータなどの汎用コンピュータによって構成されている。このコンピュータ装置3は、図1に示すように、CPU31、エディタ部32、統合データベース33、ツールデータベース34、メモリ部35、ディスプレイ36、入力装置37、外部記憶装置38およびインターフェース部(図中、I/F)39を備えている。
【0054】
CPU31は、コンピュータ装置3にインストールされているOS(オペレーティングシステム)上でエディタ部32を含む各種のアプリケーションソフトウェアを動作させる際の各部の制御や演算処理を行う。
【0055】
メモリ部35は、RAM、ROMなどのメモリを備えており、固定データの格納、一時的なデータ記憶、CPU31の演算処理時における作業エリアの提供といった役割を果たしている。
【0056】
エディタとしてのエディタ部32は、ラダーエディタ32a、作画エディタ32b、シンボルエディタ32c、アラームエディタ32d、Dスクリプトエディタ32eおよびデータベース管理部32fを含んでいる。
【0057】
ラダーエディタ32aは、入出力機器4…が所望のシーケンスにしたがって動作するようにPLC2の制御手順を定めるラダープログラムを作成するためのプログラミングソフトウェアであり、ディスプレイ36の表示画面上で入出力機器4の動作に対応するラダー記号(図形要素)を配置してラダー図を作成できるように構成されている。このラダーエディタ32aにおいては、例えば、国際基準IECに準拠した前述のプログラミング言語が用いられる。ラダーエディタ32aで作成されたラダープログラムは、後述するI/O設定データとともに、プログラマブル表示器1を介して(または直接)PLC2に転送され、PLC2内のメモリにダウンロードされる。
【0058】
エディタとしての作画エディタ32bは、プログラマブル表示器1が、入出力機器4…の稼働状況や作業指示のような管理のための各種のモニタ、機器に対する設定値を入力する端末としての機能を備えるように、ディスプレイ14に表示させる画面を作成する画面作成ソフトウェアである。一般に、作画エディタ32bは、ユーザ独自の画面(ユーザ画面)を作成できるように、スイッチ、ランプ、テンキー、各種表示器(例えば、数値表示器、メータ表示器およびグラフ表示器)などの部品(図形要素)、描画機能、テキスト入力機能などを備えている。また、作画エディタ32bは、後述するシンボルエディタ32cによって設定された変数を部品に対応付けることができる。
【0059】
このようにして作成されたユーザ画面は、画面データとして統合データベース33に格納され、必要に応じて、後述するI/O設定データとともに、インターフェース部39を介してプログラマブル表示器1に転送され、FEPROM12bに画面データとしてダウンロードされる。
【0060】
シンボルエディタ32cは、入出力機器4(デバイス)に個々に対応付けられる変数(シンボル)を作成するためのエディタである。ラダープログラムおよび画面データに関するデータである変数としては、スイッチに対応するSW1やランプに対応するLAMP1のようにデバイスに対応する符号や、操作指示、デバイスの動作状態のような事象名やコメントが挙げられる。
【0061】
また、シンボルエディタ32cは、PLC2の入力端子および出力端子のそれぞれに付与されている入力番号および出力番号と、各入出力端子に接続される入出力機器4について設定された変数との対応付けを入出力番号の割り付け(I/Oアサイン)として行う。この割り付けの結果は、割り付け作業時には、メモリ部35のRAMにテンポラリファイルとして登録され、設定完了後にはI/O設定データとして統合データベース33に保存される。このI/O設定データは、ラダープログラムおよび画面データに関するデータである。
【0062】
割り付けを行う際、メモリ部35には、入力番号および出力番号をそれぞれI/Oアドレス(以降、単にアドレスと称する)として、各アドレスに対応するデバイス名が格納される。従来、このような割り付けは、PLCのメーカによって異なっており、絶対アドレスで設定されるので、メーカに応じたメモリテーブルを用意する必要がある。ただし、IECに準拠したラダーエディタ32aは、自由変数によってユーザが入出力を決定できるので、上記のようなメモリテーブルは不要である。また、一度決定した割り付けも、後に変更することができる。したがって、PLC2の機種が変更されても、すでに設定した変数にアドレスの対応付けを行うことによって、割り付けの変更を行うことができる。
【0063】
さらに、シンボルエディタ32cでは、デバイスが入出力するデータのタイプとして、「ビット」、「整数」、「実数」または「文字列」が設定可能である。例えば、スイッチなど、デバイスがオン/オフの状態を取る場合には、「ビット」が選択され、例えば、メータなどの場合は、「整数」または「実数」が選択される。
【0064】
加えて、シンボルエディタ32cでは、変数が、PLC2を介して接続されるデバイスに対応しているか、あるいは、プログラマブル表示器1の内部デバイスに対応しているかを設定できる。内部デバイスは、例えば、操作回数を示すカウンタなど、プログラマブル表示器1の計算機能を利用して、PLC2と通信することなくデータを取得可能なプログラマブル表示器1に設けられるデバイスである。前者の場合は、「I/O」の設定入力を受け入れた後、デバイスに対応付けるアドレスの入力を受け付ける一方、後者の場合は「インターナル」の設定入力を受け入れる。
【0065】
アラームエディタ32dは、どういう事象に対してどのような警報を出力するかというアラーム条件を画面データに関するデータとして設定するエディタである。このアラームエディタ32dは、アラーム条件を変数毎にグループに分けて設定する。アラームエディタ32dでは、上記のデータタイプが「ビット」である場合、アラームメッセージの入力を受け付けて、アラーム発生時に表示する文字列を設定できるだけではなく、その変数に対応するデバイスからのデータが、“H”または“L”のいずれの場合にアラームメッセージを出力すべきかを選択できる。
【0066】
アラームメッセージの出力方法としては、"Trigger and Continued mode"と"Repetition and Continued mode" とを選択できる。"Trigger and Continued mode"は、アラームビットが“H”レベルのときにアラームメッセージを出力するように設定された場合、例えば、デバイスから受け取るアラームビットが“H”レベルに変化したとき、所定の長さだけ、アラームメッセージを1回だけ表示する。"Repetition and Continued mode" は、アラームビットが“H”レベルの期間中、アラームメッセージを繰り返し出力する。両モードでは、アラームメッセージの出力中に、アラームビットが“L”レベルに変化しても、予め定められた期間中にアラームメッセージを出力し続ける。
【0067】
その他のアラームメッセージの出力方法としては、"Trigger and Discontinued mode" と"Repetition and Discontinued mode"とを選択できる。これらのモードでは、前記の両モードとアラームの出力の仕方が同じであるが、アラームメッセージの出力中にアラームビットが“L”レベルに変化すると、アラームメッセージの出力を停止することが異なる。
【0068】
一方、上記のデータタイプが「整数」または「実数」である場合、正常/異常は、「数値範囲」、あるいは、目標値からの「変動幅」により判定される。したがって、アラームエディタ32dは、「数値範囲」が選択された場合、さらに、その標準の範囲(上限および下限)と、その範囲で表示させるコメント(例えば、「正常」)との入力を受け付ける。また、上限/下限を超える範囲と、その範囲で表示させるコメント(例えば、「上上限」や「下下限」)との入力を受け付ける。
【0069】
一方、目標値からの変動幅を設定する場合は、上限/下限を数値で設定できる。
【0070】
Dスクリプトエディタ32eは、Dスクリプトを用いて、画面表示やユーザ画面における入力動作を行うためのプログラム(デバイスの動作に関するプログラム)を作成するためのエディタである。このDスクリプトエディタ32eは、プログラム作成のために、各種の演算子や記号を用意しており、かつテキスト入力機能を備えている。
【0071】
データベース管理部32fは、前記の統合データベース33およびツールデータベース34を管理する。また、データベース管理部32fは、ユーザによる操作で、統合データベース33から複写されたプログラムおよび設定のファイルをツールデータベース34で管理する。また、データベース管理部32fは、ユーザによる操作で、後述するエディタウインドウ6a(図6参照)から複写されたラダープログラムの一部およびエディタウインドウ6aから複写された画面データの一部である部品をツールデータベース34で管理する。
【0072】
また、ウインドウ表示手段としてのデータベース管理部32fは、図6に示すように、エディタウインドウ6aと、データベースウインドウ6bと、ツールウインドウ6cとを含むエディタ画面6を表示する。エディタ画面6は、中央部分に前述の各エディタ32a〜32eがプログラムやデータを作成するエリアとしてエディタウインドウ6aが設けられている。エディタウインドウ6aの左側には、データベースウインドウ6bが設けられている。このデータベースウインドウ6bは、統合データベース33に階層型ファイル構造で格納されているファイルの一覧をその階層構造が分かるように表示している。また、エディタウインドウ6aの右側には、ツールウインドウ6cが設けられている。このツールウインドウ6cは、統合データベース33からツールデータベース34に取り込まれたプログラム(ラダープログラムや画面データ)の一部(ファイル)をサムネイルのように縮小表示するとともに、統合データベース33からツールデータベース34に取り込まれたプログラム(Dスクリプト)や設定データ(アラーム設定、I/O設定、変数設定)をアイコンで表示する。
【0073】
複写手段としてのデータベース管理部32fは、ユーザによるドラッグアンドドロップの操作で、統合データベース33に格納されている各種のプログラムや設定をツールデータベース34に複写する。この操作については、後に詳述する。また、データベース管理部32fは、ユーザによるコピーアンドペーストの操作で、ラダープログラムを作成するためのエディタウインドウ6a(以降、ラダーウインドウと称する)に表示されているラダープログラムから、指定された範囲の部分をツールデータベース34に複写する。さらに、データベース管理部32fは、ユーザによるドラッグアンドドロップの操作で、画面データを作成するためのエディタウインドウ6a(以降、作画ウインドウと称する)に表示されているスイッチ、ランプなどの部品をツールデータベース34に複写する。このように、データベース管理部32fは、それぞれラダーウインドウおよび作画ウインドウに表示されたプログラムにおける選択された一部をツールデータベース34に複写する。
【0074】
コンピュータ装置3は、エディタ部32を備えることによってラダープログラム、画面データなどの作成および編集を行うためのエディタ装置として機能する。
【0075】
エディタ部32は、パッケージソフトウェアまたはオーダーメイドソフトウェアとしてプログラムメディアの形態で提供可能なソフトウェアであって、例えば、コンピュータ装置3と分離可能な記録媒体5に記録されている。そして、エディタ部32は、記録媒体5からコンピュータ装置3にインストールされることによってエディタ機能を発揮することができる。また、エディタ部32は、共通のフレーム上に設けられた単一のアプリケーションプログラムとしてコンピュータ装置3にインストールされている。
【0076】
上記のプログラムメディアは、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、フロッピディスクやハードディスクなどの磁気ディスク系、CD−ROM、MO、MD、DVDなどの光ディスク系、ICカード(メモリカードを含む)、光カードなどのカード系が好適である。その他、上記のプログラムメディアは、マスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROMなどによる半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0077】
また、コンピュータ装置3は、インターネットを含む通信ネットワークと接続可能であることから、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。ただし、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予めコンピュータ装置3に格納されるか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであってもよい。
【0078】
統合データベース33は、ラダーエディタ32a、作画エディタ32bおよびDスクリプトエディタ32eで作成されたプログラム、ならびにシンボルエディタ32cおよびアラームエディタ32dで選定された変数、I/Oおよびアラーム条件をエディタ部32に共通して格納するデータベースである。統合データベース33は、上記のプログラムおよび各種の設定をファイルとして管理している。統合データベース33は、前述のターゲット毎に設けられている。
【0079】
統合データベース33に格納されるラダープログラムは、図5(a)に示すように、入力されたラダー記号に対応するニーモニック(ラダー命令)およびオペランドである。また、統合データベース33に格納される画面データは、図5(b)に示すように、入力された部品などについての図形データである。統合データベース33に格納されるI/O設定は、図5(c)に示すように、変数とアドレスとが1対1に対応付けられている。
【0080】
上記の図形データは、グラフィックデータ、テキストデータおよび部品データを含んでいる。グラフィックデータは、線、円、楕円、三角形、四角形、塗り込み図形などの図形データである。テキストデータは、文字や記号などによって構成されるユーザ画面のタイトルや文章などを含んでいる。部品データは、予め作画エディタ32bに用意されている前述の部品に関するデータである。
【0081】
ツールデータベース34は、統合データベース33から複写されたファイルを格納する一方、ラダーエディタ32aおよび作画エディタ32bから複写されたプログラムの一部をファイルとして格納するデータベースである。
【0082】
ディスプレイ36は、CRT、LCDなどによって構成されるが、パネルコンピュータであるコンピュータ装置3においては、液晶パネルやELパネルのような平板型表示素子によって構成される。入力装置37は、キーボード、マウスなどの入力操作を行うための装置であり、特に、GUI(Graphical User Interface)環境上で動作するエディタ部32での入力作業にはマウスなどの装置が適している。
【0083】
外部記憶装置38は、ハードディスク装置などの磁気ディスクドライブ、CD−ROMドライブなどの光ディスクドライブ、ICカードなどのメモリカードドライブといった装置である。この外部記憶装置38は、少なくとも、前記の記録媒体5に記録されたプログラムなどの情報を読み出すことができる装置を含んでいる。
【0084】
インターフェース部39は、プログラマブル表示器1との間でデータ通信を行う入出力部である。ラダーエディタ32aで作成されたラダープログラムおよび作画エディタ32bで作成された画面データは、このインターフェース部39を介してプログラマブル表示器1に転送される。
【0085】
続いて、上記のように構成される表示/制御システムにおけるツールデータベース34の構築およびその利用について説明する。ここでは、特に、ラダーエディタ32aを用いてラダープログラムを作成しているときに、ラダープログラムの一部をツールデータベース34に複写する操作を中心に説明する。
【0086】
まず、コンピュータ装置3において、ラダーエディタ32aが起動されており、ディスプレイ36の表示部(図示せず)には、図6に示すように、ラダープログラム作成用のエディタ画面6が表示されている。
【0087】
上記のエディタ画面6において、まず、画面中央部に設けられているエディタウインドウ6a上にて、各入出力機器4を対象としてラダー記号L…を配置することによってラダー命令を記述する。このようにしてラダープログラムを作成していくうち、そのラダープログラムや他のラダープログラムにおいて繰り返して使用しそうな部分があれば、その部分をツールデータベース34に保存しておく。
【0088】
このとき、ユーザは、保存すべき部分(ブロック)の範囲を機能ブロックとして指定した後、そのブロックBLをドラッグしてツールウインドウ6cでドロップする。このようなドラッグアンドドロップの操作によって、上記のブロックBLが、ツールデータベース34に格納されるとともに、ツールウインドウ6cに登録ブロックB(第1登録内容表示図形)として縮小表示される。なお、表示の縮小率を可変設定できるようにしておけば、登録ブロックBが複雑な場合、やや大きめに登録ブロックBを表示することによって、ツールウインドウ34での表示を見やすくすることができる。
【0089】
このように、ツールデータベース34に保存した上記の登録ブロックBは、常にツールウインドウ6cに表示されているので、ユーザは、その登録ブロックBが保存されていることを認識しやすくなる。そして、そのラダープログラムまたは他のラダープログラムの作成中に、そのラダーブロックを利用できる箇所があれば、ユーザがツールウインドウ6cに表示されている登録ブロックBをドラッグしてエディタウインドウ6aにドロップすることによって、その登録ブロックBを再利用することができる。
【0090】
また、ツールデータベース34には、ラダーブロックだけではなく、作画エディタ32bで作成された画面における部品も保存することができる。その保存は、上記のラダーブロックの保存と同様に、ドラッグアンドドロップの操作により行う。具体的には、作画エディタ32bの起動時にエディタウインドウ6a(作画エディタ)に表示された部品をドラッグしてツールウインドウ6cにドロップすることによって、ツールデータベース34への保存が完了し、ツールウインドウ6cにその部品群P(第1登録内容表示図形)が縮小表示される。図6では、部品群Pとして、ONスイッチとOFFスイッチとが機能ブロックとしてツールウインドウ6cに表示されている。
【0091】
登録ブロックBや部品群Pについては、ラダー記号や部品に変数(例えば、シンボルエディタ32cで作成された変数)が対応付けられていれば、変数も併せてツールデータベース34に登録される。また、ラダー記号や部品は、1つだけでもツールデータベース34に登録することが可能である。
【0092】
ツールデータベース34には、部品のような画面データの一部だけではなく、画面データそのものを保存することができる。その保存を行う際、ユーザが、データベースウインドウ6bから所望のファイルまたはフォルダをドラッグしてツールウインドウ6cにドロップすることで保存が完了し、そのファイルまたはフォルダのアイコンI(第2登録内容表示図形)がツールウインドウ6cに表示される。これによって、画面データのファイルを表すアイコンI(第2登録内容表示図形)を常にツールウインドウ6cに表示させて、ユーザにツールデータベース34に格納されている画面データのファイルを認識させることができる。
【0093】
ファイル単位のツールデータベース34への保存は、画面データに限らず統合データベース33に格納されていれば、ラダープログラム、Dスクリプトプログラム、アラーム条件設定、I/O設定、変数設定なども上記のドラッグアンドドロップの操作でツールデータベース34に複写して、ツールウインドウ6cにアイコンI(第2登録内容表示図形)を表示させることができる。
【0094】
例えば、前述のアラームエディタ32dで設定されたアラーム条件設定については、同一のグループに分類される設定を、その分類構造ごと保存することができる。統合データベース33における「アラーム」のフォルダが、同一グループに分類される「温度異常1」、「温度異常2」および「圧力異常」の設定ファイルを含むものとすると、「アラーム」のフォルダをドラッグアンドドロップすることで、「温度異常1」、「温度異常2」および「圧力異常」の設定ファイルをその階層構造のままツールデータベース34に保存することができる。
【0095】
したがって、ターゲット毎に異なる統合データベース33を構成する場合、ある統合データベース33に格納されているアラーム条件設定をツールデータベース34に登録しておけば、他のターゲット用の統合データベースで同様なアラーム条件設定が必要になった場合、それを再利用することができる。このとき、例えば、ツールウインドウ6cに表示されている上記の「アラーム」のフォルダアイコンI(第2登録内容表示図形)をデータベースウインドウ6bにドラッグアンドドロップすれば、同一構造の「アラーム」のフォルダを統合データベース33に作成することができる。
【0096】
また、ある設定ファイルの内容の変更、例えば、数値が標準の範囲にあるときに表示させるコメントを「正常」から「ノーマル」への変更を行う際、統合データベース33に上記のように作成した「アラーム」のフォルダにおける所望の設定ファイルをアラームエディタ32d上で開いて、上記の変更を行う。そして、この変更を施した設定を再利用したい場合には、その設定をツールデータベース34に登録すればよい。
【0097】
I/O設定および変数設定の場合も同様であり、データベースウインドウ6bに表示されている「IOマネージャ」のアイコンI(第2登録内容表示図形)をツールウインドウ6cにドラッグアンドドロップすることで、I/O設定および変数設定がツールデータベース34に登録される。これらを他のターゲットの統合データベース33で再利用する場合もアラーム設定の場合と同様、ツールウインドウ6cからのドラッグアンドドロップ操作で、データベースウインドウ6bに同じ設定を作成することができる。
【0098】
スクリプトプログラムに関しても同様であり、ドラッグアンドドロップによって、統合データベース33とツールデータベース34との間でファイルを複写する。これによって、異なるターゲットの統合データベース33間で同じスクリプトプログラムの再利用が可能になる。
【0099】
以上に述べたように、本実施の形態に係るコンピュータ装置3は、データベース管理部32fを備えることによって、エディタ画面で作成中のラダープログラムや画面データの一部や、統合データベース33に格納されているフォルダやファイルをツールデータベース34に登録して再利用することができる。これによって、特に、複数のターゲットに対応する異なる統合データベース33間で同じ登録内容の利用が可能になるので、異なるターゲット間でのプログラム開発を効率的に行うことができる。
【0100】
また、従来、作画エディタには、部品を登録することでライブラリ化が可能なものがあったが、これは、登録した部品を所定の枠内に固定的に表示させるだけであって、ラダープログラムの一部や他のファイルを登録して、その内容を表示させることはできなかった。これに対し、本実施の形態のコンピュータ装置3は、データベース管理部32fを備えることによって、異なる統合データベース間33で管理されるべき異なる種類のファイルを抽出して共通のツールデータベース34で管理することができる。
【0101】
プログラムの一部をツールデータベース34に登録する場合は、その登録内容が、ツールウインドウ6c上で縮小表示される。これによって、ラダーウインドウや作画ウインドウ上で大きく表示されていたラダー図や部品をツールウインドウ6cに整理して表示しやすくすることができる。
【0102】
しかも、図6に示すように、プログラムの一部がエディタウインドウ6aの横に設けられたツールウインドウ6cに常に表示される。これによって、繰り返し利用したい部分を捜し出すための検索操作が不要になり、より一層、プログラム開発を効率的に行うことができる。
【0103】
なお、本実施の形態では、制御手順プログラムとしてラダー図を用いた例について説明したが、本発明は、ラダー図だけではなく、前述のIEC 6 1131-3 で規定された5言語を含む他の言語によるプログラミングにおいても適用されるのは勿論である。
【0104】
【発明の効果】
以上のように、本発明のエディタの登録装置は、上記第1エディタによって作成された制御手順プログラムに含まれ、第1図形要素の1つまたは複数の組み合わせからなる第1機能ブロックおよび第2エディタによって作成された表示内容プログラムに含まれ、第2図形要素の1つまたは複数の組み合わせからなる第2機能ブロックを登録する第1登録手段と、エディタウインドウと同一の画面内に設けられて上記第1登録手段の登録内容を表した第1登録内容表示図形で表示するための第1表示ウインドウを表示するウインドウ表示手段と、上記エディタウインドウに表示されている上記第1または第2機能ブロックを選択し、上記第1表示ウインドウへ複写させる操作に応じて、上記第1または第2機能ブロックのデータを上記第1登録手段に複写するとともに、上記第1表示ウインドウに表示されている上記第1登録内容表示図形を選択し、上記エディタウインドウへ複写する操作に応じて、選択された上記第1または第2機能ブロックを上記第1または第2エディタに複写する複写手段とを備えている構成である。
【0105】
これにより、第1および第2エディタで作成された制御手順プログラムおよび内容表示プログラムの一部を第1および第2機能ブロックとして第1登録手段に登録することで、その第1および第2機能ブロックを必要なときにその都度作成することなく再利用することができる。したがって、プログラム開発を効率的に行うことができるという効果を奏する。また、ラダープログラムのように、図形要素としてラダー記号を組み合わせてプログラミングしていく制御手順プログラムでは、よく使用する機能ブロックを第1登録手段に登録しておくことによって、同じ機能ブロックをその都度作成する手間を省くことができる。したがって、制御手順プログラムの開発効率を向上させることができる。
【0106】
上記のエディタの登録装置においては、上記第1および第2機能ブロックが選択される範囲がユーザによって指定される。
【0107】
上記のエディタの登録装置においては、上記ウインドウ表示手段が、上記第1表示ウインドウにおいて、上記第1登録内容表示図形として上記エディタウインドウに表示された上記機能ブロックを縮小表示することによって、機能ブロックが第1表示ウインドウに第1登録内容表示図形として表示されるので、ユーザが、エディタウインドウでプログラムを作成しながら、第1登録手段に登録されている機能ブロックを意識することができる。それゆえ、第1登録手段において、機能ブロックを検索する必要がない。また、エディタウインドウに比較的大きく表示される機能ブロックでも、第1表示ウインドウでは、第1登録内容表示図形として小さく表示されるので、限られたスペースの第1表示ウインドウでも、できるだけ多くの機能ブロックを表示することができる。したがって、プログラムの開発をより一層効率的に行うことができるという効果を奏する。
【0108】
上記のエディタの登録装置においては、上記制御対象機器の動作に関するプログラムをテキストで作成するエディタによって作成された上記上記プログラムを登録する第2登録手段をさらに備え、上記ウインドウ表示手段が、上記エディタウインドウと同一の画面内に設けられて上記第2登録手段の登録内容を表した第2登録内容表示図形を表示するための第2表示ウインドウを表示する一方、上記第1表示ウインドウに上記第2登録内容表示図形を表示し、上記複写手段が、上記第2表示ウインドウに表示されている上記第2登録内容表示図形を選択し、上記第1表示ウインドウへ複写させる操作に応じて、選択された上記プログラムを上記第1登録手段に複写するとともに、上記第1表示ウインドウに表示されている上記第2登録内容表示図形を選択し、上記第2表示ウインドウへ複写する操作に応じて、選択された上記プログラムを上記第2登録手段に複写する。
【0109】
これにより、第2登録手段に登録されているプログラムを第1登録手段に登録して、第1表示ウインドウにその内容を第2登録内容表示図形で表示させることで、そのプログラムを異なる第2登録手段に作成する作業を簡単に行うことができる。したがって、プログラムの再利用を効率的に行うことができるという効果を奏する。
【0110】
上記のエディタの登録装置においては、上記第2登録手段が上記プログラムの複数の実行環境毎に設けられる一方、上記第1登録手段が複数の第2登録手段に対して単一に設けられていることによって、プログラムの実行環境毎に異なる第2登録手段間で第1登録手段に登録されたプログラムを再利用することができる。したがって、プログラムの再利用をより一層効率的に行うことができるという効果を奏する。
【0111】
本発明の登録プログラムは、上記の各登録装置における各手段をコンピュータに実現させるもである。また、本発明の記録媒体は、上記の登録プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。これらの登録プログラムおよび記録媒体を用いても、上記の各登録装置によって奏される上記の効果を同様に奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態に係る表示/制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】 上記表示/制御システムにおけるプログラマブル表示器のFEPROMに格納されるプログラム構成を示す説明図である。
【図3】 上記プログラマブル表示器で表示されるユーザ画面の画面データに含まれる指示処理語の基本的フォーマットを示す説明図である。
【図4】 上記表示/制御システムにおけるプログラマブル表示器のFEPROMに格納される他のプログラム構成を示す説明図である。
【図5】 (a)は上記表示/制御システムにおけるコンピュータ装置の統合データベースに格納されるラダープログラムの構成を示す説明図であり、(b)は上記統合データベースに格納される画面データの構成を示す説明図であり、(c)は上記統合データベースに格納されるI/O設定の構成を示す説明図である。
【図6】 ラダープログラムを作成するためのエディタ画面を示す説明図である。
【符号の説明】
1 プログラマブル表示器
3 コンピュータ装置
4 入出力機器(制御対象機器)
5 記録媒体
6 エディタ画面
6a ラダーウインドウ
6b データベースウインドウ
6c ツールウインドウ
32 エディタ部(エディタ)
32a ラダーエディタ(第1エディタ)
32b 作画エディタ(第2エディタ)
32c シンボルエディタ
32d アラームエディタ
32e Dスクリプトエディタ(エディタ)
32f データベース管理部(ウインドウ表示手段、複写手段)
33 統合データベース(第2登録手段)
34 ツールデータベース(第1登録手段)
B 登録ブロック(第1登録内容表示図形)
BL ブロック(第1機能ブロック)
L ラダー記号(第1図形要素)
I アイコン(第2登録内容表示図形)
P 部品群(第1登録内容表示図形)
Claims (7)
- 制御対象機器を制御する制御手順を定めるための制御手順プログラムを該制御対象機器を制御するための基本機能を表す第1図形要素の組み合わせによってエディタウインドウ上での入力操作に応じて作成する第1エディタによって作成された上記制御手順プログラムならびに上記制御対象機器の状態および上記制御対象機器への制御指示を与えるための画面を表示する表示内容を定めるための表示内容プログラムを上記制御対象機器の状態または上記制御対象機器に制御指示を与える部品を表す第2図形要素の組み合わせによって上記エディタウインドウ上での入力操作に応じて作成する第2エディタによって作成された上記表示内容プログラムを登録するエディタの登録装置であって、
上記第1エディタによって作成された上記制御手順プログラムに含まれ、上記第1図形要素の1つまたは複数の組み合わせからなる第1機能ブロックおよび上記第2エディタによって作成された上記表示内容プログラムに含まれ、上記第2図形要素の1つまたは複数の組み合わせからなる第2機能ブロックを登録する第1登録手段と、
上記エディタウインドウと同一の画面内に設けられて上記第1登録手段の登録内容を表した第1登録内容表示図形で表示するための第1表示ウインドウを表示するウインドウ表示手段と、
上記エディタウインドウに表示されている上記第1または第2機能ブロックを選択し、上記第1表示ウインドウへ複写させる操作に応じて、上記第1または第2機能ブロックのデータを上記第1登録手段に複写するとともに、上記第1表示ウインドウに表示されている上記第1登録内容表示図形を選択し、上記エディタウインドウへ複写する操作に応じて、選択された上記第1または第2機能ブロックを上記第1または第2エディタに複写する複写手段とを備えていることを特徴とするエディタの登録装置。 - 上記第1および第2機能ブロックが選択される範囲がユーザによって指定されることを特徴とする請求項1に記載のエディタの登録装置。
- 上記ウインドウ表示手段が、上記第1表示ウインドウにおいて、上記第1登録内容表示図形として上記エディタウインドウに表示された上記機能ブロックを縮小表示することを特徴とする請求項1または2に記載のエディタの登録装置。
- 上記制御対象機器の動作に関するプログラムをテキストで作成するエディタによって作成された上記上記プログラムを登録する第2登録手段をさらに備え、
上記ウインドウ表示手段が、上記エディタウインドウと同一の画面内に設けられて上記第2登録手段の登録内容を表した第2登録内容表示図形を表示するための第2表示ウインドウを表示する一方、上記第1表示ウインドウに上記第2登録内容表示図形を表示し、
上記複写手段が、上記第2表示ウインドウに表示されている上記第2登録内容表示図形を選択し、上記第1表示ウインドウへ複写させる操作に応じて、選択された上記プログラムを上記第1登録手段に複写するとともに、上記第1表示ウインドウに表示されている上記第2登録内容表示図形を選択し、上記第2表示ウインドウへ複写する操作に応じて、選択された上記プログラムを上記第2登録手段に複写することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエディタの登録装置。 - 上記第2登録手段が上記プログラムの複数の実行環境毎に設けられる一方、上記第1登録手段が複数の上記第2登録手段に対して単一に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のエディタの登録装置。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の登録装置における各手段をコンピュータに実現させるための登録プログラム。
- 請求項6に記載の登録プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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