JP3847255B2 - 洋傘 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洋傘に関し、特に、洋傘の骨組構造における親骨の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、洋傘は、図6に示すように、中棒1の上端近傍に固定した上ロクロ2と、該上ロクロ2の下方に位置して中棒1に摺動自在に外挿された下ロクロ3と、基端部4aを上ロクロ2に枢着されると共に先端部4bに露先5を設けた親骨4と、基端部6aを下ロクロ3に枢着されると共に先端部6bを親骨4の長手方向中途部に枢結具7を介して枢結された受骨6を備えている。
【0003】
親骨4及び受骨6は、上ロクロ2及び下ロクロ3から放射方向に延びるように所定本数(例えば8本)が設けられており、親骨4の上には傘布8が張設されている。
【0004】
露先5は、筒部5aを親骨4の先端部4bに挿脱自在に外挿せしめられ、傘布8の縁部に糸を介して縫着されている。尚、傘布8は、上ロクロ2の上部に石突き(図示せず)を介して固着されると共に、親骨4の枢結具7又はその近傍部に糸を介して縫着されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の洋傘によれば、開傘状態において、上ロクロ2から放射方向に延びる所定本数の親骨4が周方向に大きく間隔をあけて配置される。例えば、8本の親骨4を設けた洋傘の場合、隣り合う親骨4、4が相互に45度(360度/8本)を間隔として離れており、当然のことながら、親骨が相互に離間したほぼ三角形の空間部分において、傘布8は親骨4により支持されていない。このため、強風を受けた際に傘布8が煽られ易いという問題がある。また、大粒の雨水が落下するような場合、親骨4に支持されていない傘布8のほぼ三角形部分により大きな衝撃音を発生し、騒がしいという問題がある。
【0006】
ところで、親骨4に張設された傘布8は、図6(A)に示すような開傘時には緊張せしめられるが、図6(B)に示すような閉傘時には弛む。即ち、開傘時には、傘布8が展開されつつ緊張し、親骨4と共に図6(A)に示すようにアーチ状に湾曲せしめられるが、閉傘時には、親骨4の集束と共に傘布8が弛み、親骨4は図6(B)に示すように直線状に復元する。この点に関して、傘布8の縁部に縫着された露先5は、筒部5aを親骨4の先端部4bに挿脱自在に外挿せしめているに過ぎない。従って、開傘時には、傘布8の緊張により筒部5aを親骨4の先端部4bに圧接した状態とされるが、閉傘時には傘布8が弛むので、筒部5aを親骨4の先端部4bに対して遊動自在とする。このため、閉傘時に露先5が親骨4の先端部4bから脱落し易いという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述のような問題を解決した洋傘を提供するものであり、その手段として構成したところは、中棒の上端近傍に固定した上ロクロと、該上ロクロの下方に位置して中棒に摺動自在に外挿された下ロクロと、基端部を上ロクロに枢着されると共に先端部に露先を設けた親骨と、基端部を下ロクロに枢着されると共に先端部を親骨の長手方向中途部に枢結具を介して枢結された受骨を備え、親骨に傘布を張設して成る洋傘において、前記親骨は、基端部から枢結具に至る基骨部と、枢結具から先端部に至る先骨部とから構成されており、前記基骨部は、幅方向に弾性変形可能に並設された一対の板骨から構成されており、下ロクロの上昇により受骨を介して親骨を開傘せしめたとき、一対の板骨が相互に離反方向に湾曲して弾性変形されるように構成して成る点にある。
【0008】
そこで、親骨の基骨部は、開傘時に相互に離反方向に湾曲せしめられた一対の板骨により、傘布を下方から支持する幅広支持手段を構成する。従って、親骨間における傘布は、幅広支持手段により好適に支持される。このため、開傘時に強風を受けた際にも傘布が煽られることはなく、また、大粒の雨水の落下を受けた際にも衝撃音が小さく静粛性に優れる。
【0009】
更に、親骨は、開傘時に相互に離反方向に湾曲せしめられた一対の板骨により規定される基骨部の長さL1と、閉傘時に相互にほぼ直線状態で重ね合わせられた一対の板骨により規定される基骨部の長さL2を、L1<L2とするように構成されている。従って、閉傘時に傘布が弛む際に、基骨部が伸長することにより親骨の先端部(先骨部の先端部)を露先の筒部に対し奥深く進入せしめ、これにより、閉傘時に露先が親骨の先端部から脱落することを防止する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0011】
図1ないし図5は、本発明の1実施例に係る洋傘を示しており、洋傘は、中棒1の上端近傍に固定した上ロクロ2と、該上ロクロ2の下方に位置して中棒1に摺動自在に外挿された下ロクロ3と、基端部4aを上ロクロ2に枢着されると共に先端部4bに露先5を設けた親骨9と、基端部6aを下ロクロ3に枢着されると共に先端部6bを親骨9の長手方向中途部に枢結具10を介して枢結された受骨11を備えている。親骨9及び受骨11は、それぞれ上ロクロ2及び下ロクロ3から放射方向に延びるように所定本数(例えば8本)が設けられており、親骨9の上には傘布8が張設されている。露先5は、筒部5aを親骨9の先端部4bに挿脱自在に外挿せしめられ、傘布8の縁部に糸を介して縫着されている。尚、傘布8は、上ロクロ2の上部に石突き(図示せず)を介して固着されると共に、親骨9の枢結具10又はその近傍部に糸を介して縫着されている。このような基本的構成は、上述した従来の洋傘と同様である。
【0012】
本発明において、親骨9は、図3及び図4に示されるように、基端部4aから枢結具10に至る基骨部9aと、枢結具10から先端部4bに至る先骨部9bとから構成されている。
【0013】
親骨9の基部側を構成する基骨部9aは、幅方向(中棒を中心軸とする周方向を「幅方向」という)に弾性変形可能に並設された一対の板骨12、12から構成されており、図2(A)及び図3に示すように、下ロクロ3を上昇せしめることにより受骨11を介して親骨9を開傘せしめたとき、一対の板骨12、12が相互に離反方向に湾曲して弾性変形されるように構成している。このような弾性変形可能な板骨12は、板バネを構成する鋼等の金属板により形成し又は弾性変形に優れた合成樹脂板により形成することができ、一対の板骨12、12を重ね合わせることにより基骨部9aを構成する。
【0014】
親骨9の先部側を構成する先骨部9bは、従来の親骨と同様の素材により形成することができるが、図例の場合、硝子繊維又は炭素繊維等により補強された強化合成樹脂を押出成形又は引抜成形することにより得られた断面円形又は角形の合成樹脂製棒材により構成されている。
【0015】
枢結具10は、図5に示すように、断面ほぼU形又は門形に形成された本体部13により枢結孔14を備えた一対のブラケット15、15を設け、該本体部13から親骨9の基部側に延びる第1保持部16と、親骨5の先部側に延びる第2保持部17とを延設している。
【0016】
枢結具10の第1保持部16は、親骨9の基骨部9aを構成する板骨12、12の重ね合わせられた先端部12aを保持する溝形に形成されており、溝縁部から溝開口に進入する爪片16aを一体に設けている。図示のように、板骨12、12の重ね合わせられた先端部12aは、最先端から所定寸法だけ離れた位置で金属板等から成るバンド18により抱持せしめられていることが好ましい。従って、板骨12、12の先端部12aを第1保持部16に対して軸方向に挿入したとき、バンド18が爪片16aに当接し、位置決めを行うことができる。尚、この状態で、第1保持部16をかしめることにより板骨12、12の先端部12aが第1保持部16に保持固着される。
【0017】
枢結具10の第2保持部17は、親骨9の先骨部9bの基端部13aを保持するほぼ筒状に形成されており、筒状部の軸方向に割溝を形成する一対の爪片17a、17aを一体に設けている。従って、先骨部9bの先端部13aを第2保持部17に対して軸方向に挿入した状態で、爪片17a、17aをかしめることにより先骨部9bの先端部13aが第2保持部17に保持固着される。
【0018】
このようにして枢結具10を介して連結されると共に同軸線上に延びる基骨部9aと先骨部9bから構成された親骨9は、図2(A)及び図3に示すように、上ロクロ2の周方向に等間隔をあけて配置され、基端部4aを上ロクロ2に枢着される。図示実施例の場合、1本の親骨9に含まれる一対の板骨12、12に関して、隣り合う親骨9、9の隣接する板骨12、12の基端部4a、4aが重ね合わされた状態で上ロクロ2の溝(図示せず)に嵌入され枢着される。この際、図5に示すように、隣り合う親骨9、9の間において重ね合わされた板骨12、12の基端部4a、4aを金属板等から成るバンド18により抱持せしめた構成としておけば、上ロクロ2に対して枢着せしめる作業が容易となる。
【0019】
上記構成に基づく洋傘の実施例によれば、下ロクロ3を押し上げることにより受骨11を介して親骨10を開傘せしめると、親骨9の基骨部9aが一対の板骨12、12を相互に離反方向に向けてほぼアーチ形に湾曲せしめられる。従って、このように湾曲した板骨12、12により、傘布8を下方から支持する幅広支持手段18が構成される。このため、傘布8は、隣り合う親骨9、9の間に位置する部分において板骨12、12により好適に支持されるので、強風等を受けたときでも煽られるようなことがない。また、大粒の雨水の落下を受けた場合、傘布8は、少なくともほぼ中央部において花弁状に広がる板骨12、12によって全体的に支持されているので、雨水の衝撃音を抑制することができる。
【0020】
ところで、下ロクロ3を下降することにより受骨11を介して親骨10を閉傘せしめると、親骨9における基骨部9aの一対の板骨12、12は、図4に示すように、開傘時の湾曲状態から直線状態へと弾性復元する。従って、親骨9は、図1(A)に示すような開傘時における相互に離反方向に湾曲せしめられた一対の板骨12、12により規定される基骨部9aの長さL1と、図1(B)に示すような閉傘時における相互にほぼ直線状態で重ね合わせられた一対の板骨12、12により規定される基骨部9bの長さL2が、L1<L2となるように構成されており、これにより板骨12、12が伸縮手段19を構成する。このため、開傘時と閉傘時の何れにおいても、露先5の筒部5aは、親骨9の先骨部9bの先端部4bにほぼ圧接された状態を維持するので、従来のように閉傘時に露先5が先骨部9bの先端部4bから脱落し易くなるというようなことはない。即ち、図1(A)に示す開傘時において、傘布8の緊張により親骨9の先骨部9bが湾曲されており、露先5は、筒部5aを先骨部9bの先端部4bに圧接した状態とされている。そして、傘を閉じると、親骨9の集束により傘布8は弛むが、前述のような板骨12、12の弾性復元により、親骨9が全体の長さを伸長せしめるので、図1(B)に示すように、閉傘時においても、先骨部9bの先端部4bを露先5の筒部5aに対し奥深く進入せしめ、これにより、露先5が先端部4bから脱落することを防止する。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、親骨9は、基端部4bから枢結具10に至る基骨部9aと、枢結具10から先端部4bに至る先骨部9bとから構成され、基骨部9aは、幅方向に弾性変形可能に並設された一対の板骨12、12から構成されているので、下ロクロ3の上昇により受骨11を介して親骨9を開傘せしめると、一対の板骨12、12が相互に離反方向に湾曲して弾性変形される。
【0022】
そこで、親骨9の基骨部9aは、開傘時に相互に離反方向に湾曲せしめられた一対の板骨12、12により、傘布を下方から支持する幅広支持手段18を構成する。従って、親骨9、9間における傘布は、花弁状に広がる幅広支持手段18により好適に支持される。このため、開傘時に強風を受けた際にも傘布が煽られることはなく、また、大粒の雨水の落下を受けた際にも衝撃音が小さく静粛性に優れる。
【0023】
更に、親骨9は、開傘時に相互に離反方向に湾曲せしめられた一対の板骨12、12により規定される基骨部9aの長さL1と、閉傘時に相互にほぼ直線状態で重ね合わせられた一対の板骨12、12により規定される基骨部9aの長さL2を、L1<L2とするように構成されている。従って、閉傘時に傘布8が弛む際に、基骨部9aが伸長することにより親骨9(先骨部9b)の先端部4bを露先5の筒部5aに対し奥深く進入せしめ、これにより、閉傘時に露先5が親骨9の先端部4bから脱落することを防止するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態を示しており、(A)は開傘状態を示す側面図、(B)は閉傘途中の状態を示す側面図である。
【図2】同実施形態を示しており、(A)は開傘状態を示す平面図、(B)は開傘状態を示す側面図である。
【図3】同実施形態の骨組に基づく開傘状態を示す斜視図である。
【図4】同実施形態の骨組に基づく閉傘途中の状態を示す斜視図である。
【図5】親骨を構成する基骨部と、枢結具と、先骨部を分解した状態で示す斜視図である。
【図6】従来技術を示しており、(A)は開傘状態を示す側面図、(B)は閉傘途中の状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 中棒
2 上ロクロ
3 下ロクロ
4a 親骨の基端部
4b 親骨の先端部
5 露先
8 傘布
9 親骨
9a 親骨の基骨部
9b 親骨の先骨部
10 枢結具
11 受骨
12 板骨
Claims (3)
- 中棒(1)の上端近傍に固定した上ロクロ(2)と、該上ロクロ(2)の下方に位置して中棒(1)に摺動自在に外挿された下ロクロ(3)と、基端部(4a)を上ロクロ(2)に枢着されると共に先端部(4b)に露先(5)を設けた親骨(9)と、基端部(6a)を下ロクロ(3)に枢着されると共に先端部(6b)を親骨(9)の長手方向中途部に枢結具(10)を介して枢結された受骨(11)を備え、親骨(9)に傘布(8)を張設して成る洋傘において、
前記親骨(9)は、基端部(4a)から枢結具(10)に至る基骨部(9a)と、枢結具(10)から先端部(4b)に至る先骨部(9b)とから構成されており、
前記基骨部(9a)は、幅方向に弾性変形可能に並設された一対の板骨(12)(12)から構成されており、下ロクロ(3)の上昇により受骨(11)を介して親骨(9)を開傘せしめたとき、一対の板骨(12)(12)が相互に離反方向に湾曲して弾性変形されるように構成して成ることを特徴とする洋傘。 - 親骨(9)の基骨部(9a)は、開傘時に相互に離反方向に湾曲せしめられた一対の板骨(12)(12)により、傘布を下方から支持する幅広支持手段(18)を構成して成ることを特徴とする請求項1に記載の洋傘。
- 親骨(9)は、開傘時に相互に離反方向に湾曲せしめられた一対の板骨(12)(12)により規定される基骨部(9a)の長さL1と、閉傘時に相互にほぼ直線状態で重ね合わせられた一対の板骨(12)(12)により規定される基骨部(9a)の長さL2を、L1<L2とするように構成されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の洋傘。
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