JP3847011B2 - 自動車の電気システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車載の直流電源を動力源とする車両空調用コンプレッサを駆動する自動車の電気システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は従来の車両空調用コンプレッサを駆動する車両空調用の電気システム図である。図4において、1は直流電源、2は電源の主スイッチ、3はインバータ、4はコンプレッサ5を駆動する交流電動機、6は空調システムを示す。空調システム6は冷媒液循環系61とエバポレータ等の空調機器類62で構成される。インバータ3はPWMインバータであり、その制御は公知技術であるので、ここでの説明は省略する。
図5は、図4のインバータの回路構成図である。31は半導体スイッチ部、32は入力電圧平滑コンデンサ、33は入力電圧平滑コンデンサ32の初期充電回路で、この初期充電回路3は、リレー331とダイオード332と抵抗333で構成されている。
【0003】
次に、図4および図5で、インバータ3の始動について説明する。
自動車始動時、主スイッチ2がオンすると、インバータ3の入力に直流電源1の電圧が印加される。この時、初期充電回路33のリレー331がオンしていると、入力電圧平滑コンデンサ32の電圧は直流電源1の電圧値の約2倍になる。これは、直流電源1と入力電圧平滑コンデンサ32間の配線のインダクタンス(図示せず)と入力電圧平滑コンデンサ32とで共振するためである。このため、主スイッチ2をオンする時、リレー331はオフにしておき、ダイオード332と抵抗333を介して非共振型充電にして、直流電源1の電圧値に充電し、その後リレー331をオンする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
自動車の車載機器は、小形・軽量、低価格、耐振性、高信頼性が要求されており、図4に示した空調用の電気システムも同様の要求がある。
しかしながら、車載の直流電源を動力源とする従来の空調用の電気システムでは、
1)直流電源は12Vと低い。また高くても48V以下である。
自動車用空調システムの動力は1kW以上である。電気自動車や家庭の空調用インバータの入力電圧は120V以上として、機器の通流電流値を小さくしている。これに対して、インバータの入力電圧が12Vになると、機器の通流電流が10倍と大電流となるため、機器の損失増大、寸法増大、高価格化となる。
また機械的リレーは耐振性に弱い。このようなことから、空調用を始めとする車載機器
の電源はなるべく高い電圧であることおよび機械的リレーを無くすことが望まれている。
【0005】
そこで、本発明の課題は、空調用のシステム機器の小型・軽量化が可能であるとともに、運転効率の向上を図ることができる自動車の電気システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電圧を高めれば、機器の小型化、高効率化が出来ることに着目してなされたものであり、上記課題を解決するために、本発明は、車載の直流電源から自動車の空調用コンプレッサを駆動する電気システムにおいて、前記車載の第一の直流電源から昇圧チョッパにより前記第一の直流電源の電圧より高い電圧を発生する第二の直流電源を構成し、この第二の直流電源に半導体スイッチを介してインバータを接続し、このインバータにより前記コンプレッサ用交流電動機を駆動するようにした自動車の電気システムにおいて、半導体スイッチによりインバータの入力平滑コンデンサの初期充電を行うようにするのがよい。
さらに、上記自動車の電気システムにおいて、前記インバータの直流入力電圧値は空調用コンプレッサの負荷の大きさに応じて、前記昇圧チョッパにより可変するようにしてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第一の実施形態を示す自動車の電気システムの回路構成図で、請求項1に記載した発明の実施形態に相当する。図1において、図4の従来例と同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。図1において、従来例と相違する点は、インバータ3aの直流電源側に昇圧チョッパ回路10aを挿入した点および昇圧チョッパ回路10aとインバータ3aの間に半導体スイッチ16を挿入した点である。なお、11はMOSFETなどの半導体スイッチ、12は電流平滑リアクトル、13はダイオード、14は入力コンデンサ、15は出力コンデンサである。
このような本実施例によれば、車載の第一の直流電源1から昇圧チョッパ10aを介して第二の高圧直流電源を構成することができ、前記第一の直流電源1の電圧より高い電圧の第二の直流電源でインバータ3aを介してコンプレッサ駆動用電動機4を駆動することができるので、インバータ3aやコンプレッサ駆動電動機4の通流電流を低減でき、空調システム機器の小型化、高効率化が可能となる。
【0009】
また、昇圧チョッパ10aとインバータ3aの間にMOSFETなどで構成された半導体スイッチ16を挿入したことにより、インバータ3aの入力平滑コンデンサ32の初期充電回路を省略することができる。
【0010】
図1のシステムの動作を図2により説明する。図2は図1の動作タイムチャートと各部動作波形を示す動作説明図である。
時刻T1で主スイッチ2をオンすると、直流電源1の電圧が昇圧チョッパ回路10aの入力に印加されるので、昇圧チョッパ回路10aの電流平滑リアクトル12、ダイオード13を介して、出力電圧平滑コンデンサ15の電圧は前述の共振作動により、直流電源1の電圧値Vdの約2倍に充電される。出力電圧平滑コンデンサ15の充電電圧が直流電源1の電圧値の約2倍になるが、インバータ3aの入力電圧値(入力電圧平滑コンデンサ32の電圧値)は直流電源1の電圧値の2倍以上としているので問題はない。スイッチ16はオフしているので、インバータ入力電圧は零である。
【0011】
次に、時刻T2でスイッチ16をオンして、インバータ3aの入力に昇圧チョッパ10aの出力電圧を加える。昇圧チョッパ10の出力電圧平滑コンデンサ15の容量は入力電圧平滑コンデンサ32の容量に対して無視出きる程小さいので、スイッチ16のオン後に一旦零になり、その後に電流平滑リアクトル12との共振で直流電源1の電圧値Vdの約2倍の電圧に充電され、その後ほぼ一定に保たれる。 時刻T3で昇圧チョッパ10aを作動させて(スイッチ11をスイッチングして)昇圧チョッパ10aの出力電圧(インバータ3aの入力電圧)を目標値(図ではVs)になるように制御する。 インバータ3aの入力電圧が目標値に達した時刻T4以降にインバータ3aを作動させて空調システムを駆動させる。
空調システムの作動終了迄、スイッチ16はオン、昇圧チョッパ10aは作動を継続させる。図2の上述の説明では、時刻T2でスイッチ16をオンする場合で示したが、スイッチ16をスイッチング(オンとオフの繰り返し)によって、インバータ3aの入力電圧をたち上げることも可能である。
【0012】
図3は図1の回路システムのインバータの動作について示したもので本発明の請求項3に相当する実施形態であり、インバータの直流入力電圧値を空調の負荷の大きさに応じて、昇圧チョッパにより可変するようにしたものである。
図3において、Vinはインバータ入力電圧、Nは電動機回転数である。空調の負荷の大きさに応じて、空調用コンプレッサ駆動用電動機4の回転数を調整して動力を調整する場合、インバータの入力電圧も併せて調整する。回転数制御としては,空調システムの効率が最大となるように制御する方法等がある。図3の図示例では、インバータ入力電圧は電動機回転数に比例させる場合で示してある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を示す自動車の電気システムの回路構成図
【図2】 図1の動作説明図
【図3】 図1の動作説明図
【図4】 従来の自動車空調用の電気システム図
【図5】 図4のインバータの回路構成図
【符号の説明】
1 直流電源
2 主スイッチ
3a インバータ
4 コンプレッサ駆動用電動機
5 空調用コンプレッサ
6 空調システ
10a 昇圧チョッパ
11 半導体スイッチ
16 半導体スイッチ

Claims (2)

  1. 車載の直流電源から自動車の空調用コンプレッサを駆動する電気システムにおいて、前記車載の第一の直流電源から昇圧チョッパにより前記第一の直流電源の電圧より高い電圧を発生する第二の直流電源を構成し、この第二の直流電源に半導体スイッチを介してインバータを接続し、このインバータにより前記コンプレッサ用交流電動機を駆動するようにした自動車の電気システムにおいて、前記半導体スイッチを用いて前記インバータの入力電圧平滑コンデンサの初期充電を行うことを特徴とする自動車の電気システム。
  2. 請求項1に記載の自動車の電気システムにおいて、前記空調用コンプレッサの負荷に応じて、前記昇圧用チョッパによりインバータの入力電圧を制御することを特徴とする自動車の電気システム
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