JP3845972B2 - 流体軸受装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスクやポリゴンモータ等の回転体を駆動する電動機のための流体軸受装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下図面を参照しながら、上述した従来の流体軸受装置の一例について説明する。図3は従来の流体軸受装置の断面図、図4は図3におけるA−A矢視図である。図2において11は固定軸、12は固定軸11に相対的に回転自在なスリーブで内周面に動圧発生溝12Bを有する軸受穴12Aを有している。13はスリーブ12に固定されたスラスト板でヘリングボーン型動圧発生溝13Aを有している。15は固定軸11にビス16で固定された円板、17は円板15に設けられたビス16のためのざぐり穴、固定軸11と円板15と軸受穴12Aと、スラスト板13の間にそれぞれ形成されるすき間には潤滑剤14A、14Bが注入されている。
【0003】
以上のように構成された従来の流体軸受装置について、以下その動作について説明する。まず、スリーブ12が回転するとスラスト板13も共に回転駆動される。動圧発生溝12Bは潤滑剤14Bにポンピング圧力を与え、スリーブ12は固定軸11に対して非接触で回転する。ヘリングボーン動圧発生溝13Aは潤滑剤14Aにポンピング圧力を与えスラスト板13は円板15から浮上し非接触で回転する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記のような構成では、次のような問題点がある。図3においてざぐり穴17の部分は動圧発生溝が存在せず、動圧が発生しない。そのためねじ頭の部分をさけて発生圧力の低いヘリングボーン型動圧発生溝をもちいるが、浮上量を得るため軸受径が大径化し軸受損失が多くなる。
【0006】
また、本発明の第の発明の流体軸受装置は、軸と、スリーブと、前記軸の端面に対向する面を有し、前記スリーブの端面に固定されたスラスト受け部材とを有し、前記軸の一端にリングを設け、前記軸端面またはスラスト受け部材の前記軸端面との対向面のいずれか一方にスパイラル型動圧発生溝を有し、前記リング端面または前記スラスト受け部材の前記リング端面との対向面のいずれか一方にヘリングボーン型動圧発生溝を有し、前記スラスト受け部材と前記リング端面および前記軸端面との間に潤滑剤を保持させたものである。
【0007】
さらに、本発明の第の発明の流体軸受装置は、本発明の第の発明の構成において、軸の直径とスパイラル型動圧発生溝パターン外径とを等しくしたものである。
【0008】
本発明は、上記した構成によって軸受として機能する面積が増加しより高い浮上量が得られるとともに軸受損失の増大を最小限に抑えられ、また軸とリングのすき間からの軸受発生圧力および潤滑油のもれも抑制できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施の形態における流体軸受の断面図、図2は図1におけるB−B矢視図である。
【0010】
図1において、1は軸、2は軸受穴2Bを有し、この軸受穴2Bを案内にして軸1のまわりに回転自在に構成されるとともに、軸受穴2Bの内周面に動圧発生溝2Aを設けたスリーブ、3は軸1の端面に対向してスリーブ2の端面に固定されたスラスト受け部材、4は軸1の端部に圧入されたリングで、このリング4の端面であるリング端面4Aと軸1の端面である軸端面1Aは同一平面内にあってフランジ面5を形成している。スラスト受け部材3の軸端面1Aと対向する部分にはスパイラル型動圧発生溝6Aを設け、スラスト受け部材のリング端面4Aと対向する面にはヘリングボーン型動圧発生溝6Bを設けている。ヘリングボーン型動圧発生溝6Bはスパイラル型動圧発生溝とともに動圧発生溝6を構成し、フランジ面5とスラスト受け部材3との間の微小すきま、ならびに軸1外周と軸受穴2Bとの間の微小すきまには潤滑剤7A、7Bがそれぞれ注入されている。そして、軸1の直径をD1、スパイラル型動圧発生溝6Aの外径であり、ヘリングボーン型動圧発生溝6Bの内径でもあるパターン境界径をD2とすると軸1の直径D1はパターン境界径D2と等しくなっている。
【0011】
以上のように構成された流体軸受装置について、以下その動作について説明する。まず、スリーブ2が回転するとスラスト板3も共に回転駆動される。動圧発生溝2Aは潤滑剤7Bにポンピング圧力を与え、スリーブ2は軸1に対して非接触で回転する。動圧発生溝6は潤滑剤7Aにポンピング圧力を与えスラスト板3はフランジ面5から浮上し非接触で回転する。
【0012】
以上のように本実施の形態によれば、この構成により軸受として機能する面積が増加しより高い浮上量が得られるとともに軸受損失の増大を最小限に抑えられる。また、スパイラル型動圧発生溝6Aとヘリングボーン型動圧発生溝6Bのパターン境界径D2と軸1の直径D1とを等しくしているため、パターン境界径D2に相当する径を有する軸1とリング4のすきま8からの軸受発生圧力および潤滑剤のもれも抑制できる。
【0013】
なお、動圧発生溝2Aは、スリーブ2の内周に形成した場合について説明したが、回転軸3の外周面に形成しても同じ事である。
【0014】
なお、本実施形態においては動圧発生溝6はスパイラル型動圧発生溝6Aとヘリングボーン型動圧発生溝6Bとから構成されるが、動圧発生溝6全面がスパイラル型動圧発生溝の場合、先の実施例よりさらに高い浮上量が得られるとともにより軸受径を小さくでき軸受損失の増大をより低く抑えられる。しかし、軸1とリング4との間の微小すきま8からの軸受発生圧力および潤滑剤のもれは抑制できないので先の実施例と比較し信頼性的に劣る場合がある。
【0015】
【発明の効果】
以上のように本発明は、この構成により軸受として機能する面積が増加し、より高い浮上量が得られるとともに軸受損失の増大を最小限に抑えられる。
【0016】
また、動圧発生溝6をスパイラル型動圧発生溝6Aとヘリングボーン型動圧発生溝6Bから構成し、これら2つの動圧発生溝のパターン境界径D2と軸1の直径D1とを等しくしているため軸1とリング4の微小すきま8からの軸受発生圧力および潤滑剤のもれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の流体軸受装置の断面図
【図2】図1に示す流体軸受装置のB−B矢視図
【図3】従来の流体軸受装置の断面図
【図4】図3に示す従来の流体軸受装置のA−A矢視図
【符号の説明】
1 軸
2 スリーブ
2A 動圧発生溝
2B 軸受穴
3 スラスト受け部材
4 リング
5 フランジ面
6 動圧発生溝
6A スパイラル型動圧発生溝
6B ヘリングボーン型動圧発生溝
7A、7B 潤滑剤
1 軸1の直径
2 パターン境界径

Claims (2)

  1. 軸と、スリーブと、前記軸の端面に対向する面を有し、前記スリーブの端面に固定されたスラスト受け部材とを有し、前記軸の一端にリングを設け、前記軸端面またはスラスト受け部材の前記軸端面との対向面のいずれか一方にスパイラル型動圧発生溝を有し、前記リング端面または前記スラスト受け部材の前記リング端面との対向面のいずれか一方にヘリングボーン型動圧発生溝を有し、前記スラスト受け部材と前記リング端面および前記軸端面との間に潤滑剤を保持させた流体軸受装置。
  2. 軸の直径とスパイラル型動圧発生溝パターン外径とを等しくした請求項1記載の流体軸受装置。
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