JP3845877B2 - 金属精錬炉の補修用遮断デッキ装置 - Google Patents

金属精錬炉の補修用遮断デッキ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、転炉等の金属精錬炉の炉体と、その上方に設置されている排ガス設備の補修作業を平行して安全に行うため、両者の中間に設置して上下を遮断する遮断デッキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
転炉等の金属精錬炉においては、定期、あるいは不定期に、れんが積み等の補修作業が行われる。金属精錬炉の炉体上方には、排ガスフード、排ガスボイラ等の排ガス設備が設けられており、これらの補修作業も通常、同時に行われる。
金属精錬炉の炉体のれんが積み補修作業と、排ガス設備の補修作業を同時に平行して行おうとすると、上部付着物、機械部品、工具の落下等の危険がある。転炉等の金属精錬炉の炉体は、揺動はするがその位置からの移動は困難であるから、従来は排ガス設備の一部分をフード台車に搭載した形で設置しておき、補修作業の際はこのフード台車を退避させ、発生した開口部には足場板、足場丸太等の仮設材で必要な仮設デッキを設置して補修作業を行うのが一般的であった。
【0003】
ところで、このような仮設デッキの設置作業は、
1)床上20m以上の高所に吊り足場を設置する危険作業である。
2)一方、金属精錬炉の炉体の真上でもあり、操業時の余熱がなかなかなくならないので、高熱作業である。
3)炉体の周辺にはダストの堆積も多く、多塵作業でもある。
4)炉体の上部は、構造上天井クレーン等の揚重機が使用できないので、小単位の部材で組み立てなければならない。
5)炉修の都度、仮設デッキの設置と撤去を繰り返す必要がある。
6)炉修の都度、フード台車の移動と復旧を繰り返す必要がある。
などの問題点があり、改善が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような諸問題を解消し、人力作業によらずに安全、かつ容易に転炉等の金属精錬炉の炉体と、その上方の排ガス設備の中間に設置可能なこれら上下設備を遮断する遮断デッキ装置を実現することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、炉体上方に排ガス設備を備える金属精錬炉の補修用遮断デッキ装置であって、炉体直上の作業床開口部を覆う複数枚の短冊状の遮断板と、これを水平方向に移送する横送りコンベヤと、前記遮断板を移送された炉直上部外方位置において1枚毎に昇降させるリフタと、遮断板を前記炉直上部外方位置上方に縦方向に隙間を設けて重ねて保持するホルダとからなることを特徴とする金属精錬炉の補修用遮断デッキ装置である。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、横送りコンベヤが、作業床上に、開口部を隔てて平行に設置された一対のチェーンコンベヤであることを特徴とする請求項1に記載の金属精錬炉の補修用遮断デッキ装置である。
請求項3に記載の本発明は、リフタが、横送りコンベヤと直角方向に配置された一対の支柱と、この支柱に縦向きに取り付けられた一対の昇降シリンダと、この昇降シリンダにチェーンおよび滑車を介して昇降自在に取り付けられ、水平方向に突出するアームを有する昇降フレームとからなることを特徴とする請求項1に記載の金属精錬炉の補修用遮断デッキ装置である。
【0007】
請求項4に記載の本発明は、ホルダが、横送りコンベヤと直角方向に、遮断板の長さに応じて外側に離して配置された一対の支柱と、遮断板の枚数に応じた縦方向の段数でこの支柱の側面に出入自在に設けられたピンと、このピンを遮断板に向かって水平方向に出入させるピン用シリンダからなることを特徴とする請求項1に記載の金属精錬炉の補修用遮断デッキ装置である。
【0008】
【作 用】
本発明によれば、転炉上部の作業床における開口部に遮断板を敷き並べることにより転炉内と上部の排ガス設備とが完全に遮断されるので、補修作業の着手と完了が迅速化されるとともに作業の安全性が増大する。また、遮断板の敷設および撤去、収納はすべて自動作業により行われるので、高熱、多塵、高所という危険作業が解消する。
【0009】
【実施例】
本発明の一実施例を図面により詳細に説明する。
図1は本実施例の遮断デッキ装置の一部を設置した転炉付近を示す平面図、図2は正面図、図3は同じく側面図で、1(1a、1b、1c、1d)は遮断板、2は横送りコンベヤ、3はリフタ、4はホルダ、5は転炉、6はフード、7はフード移動台車、8は作業床である。
【0010】
前記したように、転炉5の真上には、フード移動台車7に取り付けられたフード6が配置されている。転炉5は、図2において紙面に垂直な揺動軸により時計方向および反時計方向に揺動し、図1、2の左側から原料が装入され、右側から精錬した金属を排出する。したがって転炉炉口レベルに設けられる作業床8は、転炉5の真上および左側には設置できないので、この部分は開口部となっている。
【0011】
本発明の遮断デッキ装置は、この開口部にかけ渡してこの全面を覆う枚数の短冊状の遮断板1a、1b、1c、1dおよび、これらを操業時には炉の直上部外方、すなわち図1、2における右側の収納位置に収納し、必要に応じて取り出す搬送手段から構成される。
操業状態では、遮断板1a、1b、1c、1dは図2右側のホルダ4に、下からこの順になるように縦方向に隙間を設けて重ねて収納されている。補修時は、下のものから順にホルダ4から解放され、リフタ3により下降され、横送りコンベヤ2の上に載置され、左方向に搬送されて順次敷き並べられ、転炉5真上の開口部を完全にふさいで上部フードからの落下物を完全に遮断し、転炉5内および転炉周辺の作業の安全を確保する。補修作業終了後はこれと逆に横送りコンベヤ2により右方向に搬送され、1枚ずつリフタ3で持ち上げてホルダ4に収納する。寸法例を示すと、転炉5の口径(内径)3,700mm に対して、1枚の遮断板は長さ 11,000mm 、幅1,000mm として幅をせまくし、幅方向収納スペースを小さくした。
【0012】
横送りコンベヤ2は、転炉上部作業床上に、開口部を隔ててその両側に平行に設けられた一対の水平方向のチェーンコンベヤで、通常の駆動手段を有し、チェーンには搬送を確実にするため爪などを設けるとよい。横送りコンベヤ2の両端所定位置、すなわち図1左側の遮断板1の使用状態における先端の遮断板1aの停止位置および図1右側の遮断板1の収納位置に、ストッパ22を設置する。
【0013】
リフタ3は、図3に示すように横送りコンベヤ2と直角方向、すなわち遮断板1の長さ方向に2基の支柱31a 、31b を立設し、各支柱に2基の昇降シリンダ34a 、34b を縦向きに取り付け、この昇降シリンダ34a 、34b にチェーンおよびスプロケット等の滑車を介してこれに昇降フレーム32を昇降自在に取り付け、昇降フレーム32に遮断板1を支持する水平方向に突出する2基のアーム33を設けて構成される。
【0014】
図4はリフタ3およびホルダ4付近を示す正面図である。水平方向の横送りコンベヤ2により横送りされた遮断板1aは、ストッパ22により右端の所定位置に到着している。一方、それより先に到着した遮断板1bは、リフタ3のアーム33に乗って上昇移動中である。さらに以前に到着した遮断板1c、1dは、すでにホルダ4に保持されている。
【0015】
図5はホルダ4を示す側面図、図6は平面図である。ホルダ4は、横送りコンベヤ2の収納側停止位置に、これと直角方向に、遮断板1の長さに応じて外側に一対の支柱41a 、41b が設置されている。支柱41a 、41b には、収納する遮断板1の枚数に応じた縦方向の段数で、ピン用シリンダ43により水平方向に出入するピン42が設けられており、ピン42は突出状態で両側から遮断板1を支持し、引っ込んだ状態では遮断板1は自由に昇降できる。この実施例では遮断板1は4枚であるから、ピン42およびピン用シリンダ43は上下4段に設置されており、図5では上の2段に遮断板1dおよび1cが収納された状態が示されている。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、転炉と上部の排ガス設備とが簡単な操作により完全に遮断されるので、補修作業の着手と完了が迅速化されるとともに作業の安全性が増大するというすぐれた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の遮断デッキ装置を設置した転炉付近を示す平面図である。
【図2】本発明の実施例の遮断デッキ装置を設置した転炉付近を示す正面図である。
【図3】本発明の実施例の遮断デッキ装置を設置した転炉付近を示す側面図である。
【図4】図2の一部を拡大して示す部分正面図である。
【図5】図3の一部を拡大して示す部分側面図である。
【図6】図1の一部を拡大して示す部分平面図である。
【符号の説明】
1、1a〜1d 遮断板
2、2a、2b 横送りコンベヤ
3 リフタ
4、4a、4b ホルダ
5 転炉
6 フード
7 フード移動台車
8 作業床
21 駆動装置
22 ストッパ
31、31a 、31b 支柱
32 昇降フレーム
33 アーム
34、34a 、34b 昇降シリンダ
41、41a 、41b 支柱
42 ピン
43 ピン用シリンダ

Claims (4)

  1. 炉体上方に排ガス設備を備える金属精錬炉の補修用遮断デッキ装置であって、炉体直上の作業床(8)開口部を覆う複数枚の短冊状の遮断板(1)と、これを水平方向に移送する横送りコンベヤ(2)と、前記遮断板を移送された炉直上部外方位置において1枚毎に昇降させるリフタ(3)と、遮断板を前記炉直上部外方位置上方に縦方向に隙間を設けて重ねて保持するホルダ(4)とからなることを特徴とする金属精錬炉の補修用遮断デッキ装置。
  2. 横送りコンベヤ(2)が、作業床(8)上に、開口部を隔てて平行に設置された一対のチェーンコンベヤであることを特徴とする請求項1に記載の金属精錬炉の補修用遮断デッキ装置。
  3. リフタ(3)が、横送りコンベヤ(2)と直角方向に配置された一対の支柱(31)と、この支柱に縦向きに取り付けられた一対の昇降シリンダ(34)と、この昇降シリンダにチェーンおよび滑車を介して昇降自在に取り付けられ、水平方向に突出するアーム(33)を有する昇降フレーム(32)とからなることを特徴とする請求項1に記載の金属精錬炉の補修用遮断デッキ装置。
  4. ホルダ(4)が、横送りコンベヤ(2)と直角方向に、遮断板(1)の長さに応じて外側に離して配置された一対の支柱(41)と、遮断板(1)の枚数に応じた縦方向の段数でこの支柱の側面に出入自在に設けられたピン(42)と、このピンを遮断板に向かって水平方向に出入させるピン用シリンダ(43)からなることを特徴とする請求項1に記載の金属精錬炉の補修用遮断デッキ装置。
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