JP3844788B2 - オルガノポリシロキサンとその製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、オルガノポリシロキサンとその製造法に関する。更に詳しくは、テトラアルコキシシランと3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシランを縮合触媒と加水分解触媒の存在下に共加水分解および縮合反応せしめてなるオルガノポリシロキサンとその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
シランカップリング剤はガラス強化FRP用途に1947年頃より実用化されダウコニング社のプルードマン(E.P.Plueddemane)等により応用展開がはかられたシラン化合物である。現在でも主として熱硬化樹脂とフィーラ間に作用して耐熱水強度向上や電気特性のダウンを抑えるバインダーとして広く使用されている。
最近では、強度向上目的以外に繊維処理剤としてヌメリ感や反発弾性を与える薬剤としての使い方やプラスチックマグネット製造時に添加されて配向性と強度向上目的で使われている。またビニルシランカップリング剤ではポリエチレンの簡便な架橋剤として電線被覆に適応されている。
3−グリシドキシプロピル基を有するシランカップリング剤はエポキシ樹脂コンパウンドに添加されてIC封止剤の特性維持に効果的に使われたり、プラスチックレンズの染色タイプのハードコート剤にも使われている。
また、テトラメトキシシランと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの共加水分解物が試作されているが、後述の本発明とは異なってアルコキシ基を相当量残した極低粘度のオイルである。これは、いわゆるポリマー化シランカップリング剤としての展開を模索するものであり、構造的にも機能的にも全く似て否なるものである。ポリメチルシロキサン主鎖にペンダントとしてアルコキシ基を持たせたものも提案されているが、いずれも有機樹脂との相溶性の問題が大きなネックとなり応用展開がはかられないままである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、鋭意研究の結果、次の諸事実を見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。すなわち、テトラアルコキシシランとオルガノ官能性アルコキシシランカップリング剤の共加水分解でアルコキシ基を残留させず、シラノール基に変換させる為にはシランのモル数の少なくとも3倍モルの水、好ましくは3.5倍モル以上の水を反応させる必要がある。この為には使用する親水性溶媒は添加される水を充分溶解し得る量が必要である。かかる条件を満たしS520の如く酸触媒のみでは加水分解が長期間かかるシランカップリング剤では有機錫化合物の様な縮合触媒を添加する事で解決し得る事を見いだした。本発明に関わる反応原料の内の正珪酸エチルはこれ単独での加水分解速度は常温で30分以内にモノマー消失する早さであるが、S520との混合で加水分解をスタートさせると著しい遅延反応が生じる。本発明ではこの問題も二段加水分解縮合反応方法にて解決した。以上の記述から明らかなように本発明は従来より提案されてきた残留アルコキシ基を利用するのでなく、架橋性、反応性に富み、かつ常温では安定なシラノール基を含み三次元構造を含む3−グリシドキシプロピル基官能性のオルガノポリシロキサンとその製造法を提供することを目的とする。このシラノール基はメチル系ポリマーとの縮重合やポリシロキサン架橋による硬化物を得る事も可能である。含有するエポキシ基は勿論通常のポリマー化反応をさせる事が出来るし、エポキシ樹脂との良相溶性から従来のオルガノポリシロキサンでは出来なかった均質なポリマー化が出来るので新たな需要を創設可能である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(1)ないし(5)の各構成を有する。
(1) テトラアルコキシシランと3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシランを親水性溶剤又は親水性溶剤を含む混合溶剤中で有機錫縮合触媒と酸触媒の存在下に、シラン総モルの3〜4倍モルの水で加水分解、縮合反応せしめて[化4]で示されるオルガノポリシロキサンオイルを得ることを特徴とする該オイルの製造法。
【化4】
(ここで、アルキル基RはC1 〜C8 の飽和炭化水素基であり、シラノール基xは1.5〜0.5の範囲であって、ポリマー末端基はシラノール基であり、nおよびmはそれぞれ1〜10の整数である。)
(2)一般式Si(OR1 )4 で示されるテトラアルコキシシランと一般式[化5]で示される3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシランを有機錫縮合触媒の存在下で、親水性溶剤又は親水性溶剤を含む混合溶剤中で酸触媒にてシラン総モルの3〜4倍モルの水を用いて共加水分解、縮合反応せしめてなる[化6]で示されるオルガノポリシロキサン。
【化5】
【化6】
(ここで、アルキル基RはC1 〜C8 の飽和炭化水素基であり、アルキル基R1はメチル、エチルまたはプロピルであり、アルキル基R2はメチルまたはエチルであり、シラノール基xは1.5〜0.5の範囲であって、ポリマー末端基はシラノール基であり、nおよびmはそれぞれ1〜10の整数である。)
(3)テトラアルコキシシランと3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシランのモル比を1/1以下にして反応させることで得られることを特徴とする、次に示す[化7]である前記(2)に記載のオルガノポリシロキサン。
【化7】
(ここで、アルキル基RはC1 〜C8 の飽和炭化水素基であり、シラノール基xは1.5〜0.5の範囲であって、ポリマー末端基はシラノール基であり、nおよびmはそれぞれ1〜10の整数である。)
(4)テトラアルコキシシランと3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシランの共加水分解、縮合反応に先だって、テトラアルコキシシランを酸触媒及びシラン総モルの3〜4倍モルの水を加えて加水分解させた後に、有機錫縮合触媒と所定モル比の3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシランを加えて共加水分解縮合反応せしめる二段加水分解縮合方法による[化8]で示されるオルガノポリシロキサンの製造法。
【化8】
(ここで、アルキル基RはC1 〜C8 の飽和炭化水素基であり、シラノール基xは1.5〜0.5の範囲であって、ポリマー末端基はシラノール基であり、nおよびmはそれぞれ1〜10の整数である。)
(5)テトラアルコキシシランがテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランであり、3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシランが3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランまたは3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランである前記(4)に記載のオルガノポリシロキサンの製造法。
【0005】
本発明の構成と効果につき以下に詳述する。本発明に使用するテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロキシシラン等をあげることができる。これらの中では、加水分解速度とSi含有率から判断してテトラメトキシシランあるいはテトラエトキシシランが有利に使用される。すなわち、テトラエトキシシランとしては多摩化学社製正珪酸エチル等の市販品が利用出来る。他方、3−グリシドキシプロピル基を含むアルキルジアルコキシのシランカップリング剤としては、アルキル基RはC1 〜C8 の飽和炭化水素基が適応されるが、特に好適にはC1 〜C2 の飽和炭化水素基が使用出来る。2つのアルコキシ基もC1 〜C8 の飽和アルコールより製造したものが適当で、特に好適にはその加水分解速度よりメトキシ基あるいはエトキシ基が挙げられる。すなわち3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(チッソ株式会社製サイラエースS520)や3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学社製CFシランKBE402)等の市販品が利用出来る。
【0006】
次に加水分解触媒としての酸であるが、使用量としては触媒量の酸があればよく酸濃度は特に規定しない。例えば希釈した酸を規定量の水の分だけ添加する方法もある。酸の種類としては酢酸等の有機酸や塩酸、硫酸等の無機酸あるいは強酸性イオン交換樹脂のいずれも使用出来るが好ましくは加水分解速度の早い無機酸が推奨される。
【0007】
シラノール縮合触媒として作用する広範な種類の物質のいずれもが本発明に用いる事が出来る。かかる物質には、例えば、ジブチル錫ジラウレート、酢酸第一錫、オクタン酸第一錫の様な有機錫化合物、あるいはナフテン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸及びナフテン酸コバルトの如き金属カルボキシレート、チタニウムエステル及びキレートが挙げられる。好ましい化合物は有機錫化合物で特に錫カルボキシレート、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテートがある。縮合触媒量は触媒量であれば特に規定しないが一般的にはシラン総量の0.05%以下で行われる。加水分解を充分行わせる為の水の量はシラン総モルに対して3〜4倍モル、好ましくは3.5倍モル以上の添加が必要である。
【0008】
反応溶媒としては親水性溶媒単独でもよいが、親水性溶媒の混合溶媒や親油性と親水溶媒の混合溶媒も適応出来る。例えば、メタノール、エタノール、アセトン、ターシャリブタノール、ジアセトンアルコール等の親水性溶媒、あるいはキシレン/アルコール、トルエン/アルコール等の混合溶媒も使用できる。
【0009】
本発明によるオルガノポリシロキサンの製造では二段加水分解縮合方法が発明の重要な位置を占めている。すなわち、正珪酸エチルの如きテトラアルコキシシランは単独で酸触媒下の加水分解をガスクロマグラフィー(GC)でのチェック方法で測定すると室温で数十分でモノマーが消失する。一方S520の如きジアルコキシのシランカップリング剤は加水分解時間がテトラアルコキシシランに比べ著しく長く2日間で40%弱が加水分解したに過ぎない程である。これを早めるには前記した有機錫縮合触媒添加が有効である事を見いだした。しかしながら、正珪酸エチルとS520を混合一括仕込にて共加水分解縮合反応を行おうとした場合、有機錫縮合触媒なしの条件下で正珪酸エチルの加水分解には数日間を要するという著しい遅延が生じる。勿論S520の加水分解も遅い。縮合触媒を添加するとS520の加水分解は促進されて数時間で加水分解する。しかしやはり正珪酸エチルは3日後でも仕込の約40%が残存する遅さである。何故この様な大幅な反応遅延が起こるのかは不明である。
【0010】
本発明ではかかる事実にかんがみ、正珪酸エチルを酸触媒下に規定量の水で加水分解後に有機錫縮合触媒と規定モルのS520を加えて共加水分解縮合反応せしめる。この二段加水分解縮合反応によれば室温条件にて数時間内に反応を完結出来る。従ってポリマーの構造形態はブロックコポリマーをとる事が予想される。
【0011】
更に本発明では共加水分解縮合反応させたオルガノポリシロキサンを常温にて安定なシラノール基を有し、仕込モル相当のエポキシ酸素量を持つ新規化合物を単離する事に成功した。単離には使用した有機溶媒を低温で親水性溶媒、中温で親油性溶媒及びこれら溶媒の水共沸混合物として留去せしめる。残った水を除くためにバス温140〜150℃で加熱乾燥する。
【0012】
本発明で得られたオルガノポリシロキサンオイルの溶解性の測定はガラスサンプル管に本発明の油状オルガノポリシロキサンのサンプル100mgを採り、これに1mlの各溶媒を加えて肉眼観察により溶け易さを判定する方法で行った。その結果は易溶、溶解、微溶(微白濁)、難溶(白濁)、不溶の5段階表示で行った。本発明によるオロガノポリシロキサンオイルはトルエン、アルコール等の多くの溶剤に溶ける。この特性はメチル系シリコーンオイルに無い性質である。
【0013】
本発明のオルガノポリシロキサンは一般に次の(a)〜(d)の様な手段で上記一般式で示されるものである事を確認出来る。
(a)赤外吸収スペクトル(IR)の解析
3450cm-1付近のSi−OHの特徴的吸収、3000〜2900cm-1付近のCH結合に基づく数本の吸収、1100〜1000cm-1付近のSi−O−Siのブロードな吸収が現れる。3450cm-1付近の吸収ピークと2940cm-1付近の吸収ピークとの吸光度(logI0 /I)比はシラノール基含有率の相対値の指標となる。すなわち、この値が1.0以下であれば常温で安定なシラノール基を有したオイルである。この値が1.0以上では数十℃の加熱で樹脂状態の固体を呈するオルガノポリシロキサンポリマーである。
(b)1 H−核磁気共鳴スペクトル(1 H−NMR)
本発明のオルガノポリシロキサン中の水素原子の個数や結合様式、更に重水素置換により(Si)−OHである確認、水素原子の比から(Si)−OHの個数を知る事が出来る。後述の実施例1で得られたオルガノポリシロキサンの構造式とシグナルの関係は下記の如くである。
【0014】
【化9】
【0015】
【表1】
【0016】
オキシラン酸素の定量はヨウ素−チオ硫酸カリの酸化還元滴定法により求める。
(d)炭素、水素(CH)元素分析
ミクロ元素分析法により炭素、水素含有率を知る事が出来る。
【0017】
粘度データーの測定は東京計器(株)製回転粘度計‘VISCONIC’を用いて25℃恒温で行った。本発明の実施例1〜実施例3のオルガノポリシロキサンでは粘度は約1000cp〜8000cpの範囲でS520/正珪酸エチルのモル比に比例的に変化した。すなわち正珪酸エチルのモル比が高い程粘度が高くなり、これと同様な関係が赤外吸収(IR)でも観察された。すなわち、シラノールに基づく3450cm-1吸収ピークとCHに基づく2950cm-1吸収ピークの強度につきlogI0 /I吸光光度で両ピークの比をとってモル比との関係をプロットすると正珪酸エチルが多くなるにつれて相対シラノール量も多くなる。
これは三次元の立体構造性の正珪酸エチル成分が多くなり、線状ポリマー成分であるS520成分が相対的に減るのであるから、正珪酸エチル増大が粘度上昇とシラノール基の増加をもたらすのは容易に理解出来る。
また、本発明の二段加水分解縮合反応方法による製造方法では、一段目の正珪酸エチル単独での加水分解反応によりGC測定でモノマー及びオリゴマーが検出されない事から少なくも5量体以上のオリゴマ−ブロック形成しているものと推察される。二段目の反応で上述の粘度、シラノール挙動からしてブロック状コポリマーであると考察される。
【0018】
【発明の効果】
本発明のオルガノポリシロキサンは、後述した実施例において証明されている如く、ポリマー中に常温にて安定なシラノール基をテトラアルコキシシランと3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシランの仕込みモル比に応じて一ユニット当たり0.5個から1.5個有している。また3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシランの仕込みモル比分のグリシジルタイプのエポキシ基を有機官能基として有している。それ故に大抵のメチル系ポリシロキサンが有機溶媒や有機樹脂に溶解ないし親和性を持つていないのに対して本発明のオルガノポリシロキサンは多種類の有機溶媒に溶解する。また多種類の有機樹脂に親和性を示す。これら特徴より変性シリコーンオイルとしての用途は勿論、その他離型剤、剥離紙用シリコーン、パーソナルケア用シリコーン、塗料添加剤、シリコーン粘着剤、接着シール材、変性シリコーンシラント他広範囲の用途に展開出来る有用なものである。本発明を更に具体的に説明する為に以下実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0019】
【実施例】
実施例1
シラノール基含有ポリシロキサン−3−グリシドキシプロピルメチルポリシロキサン共重合オイルの合成S520/正珪酸エチル=2/1(モル)
1Lの三口フラスコに多摩化学(株)製の正珪酸エチル70gを採り、反応溶剤としてトルエン/メタノール=60/40の混合溶媒500mlを加える。加水分解触媒として塩酸を触媒量とシラン総モルに対して3.5倍モルの水64mlを加えて常温下に30分間攪拌反応せしめる。ガスクロマトグラフィー(GC)にて正珪酸エチルのピークの消失を確認する。チッソ(株)製S520の148gと有機錫縮合触媒としてジブチル錫ジラウレートの0.05gを添加し、常温にて攪拌下に3〜5時間加水分解縮合反応させる。GCにてS520及びこれのオリゴマーピーク消失を確認して反応終了とする。ウオーターバスにて加温し強攪拌下でメタノール及び共沸溶剤を留去する。残留液を300mlフラスコに移し、オイルバスにて加温し強攪拌下で残留トルエン及び塩酸を含む水を留去せしめる。こうして得られた油状オルガノポリシロキサンは119gで理論収率の98%、無色微かに甘い香りのする透明粘性液体、オキシラン酸素含有8.7%、C46.3%、H8.15%であった。実験式C 14 H 29 O 8.5 Si 3 に対する計算値であるオキシラン酸素8.9%、C46.5%,H8.1%、O22.1%、Si24.1%によく一致した。粘度は7,800センチポイズ(25℃)であった。IRチャート及びNMRチャートを図1、図2に示した。なおNMRで1.96ppmのシグナルがOHに基づく事の証明は図3に示した重水素置換により確認した。肉眼観察による溶け易さの判定結果は、トルエン、ヘキサン、アセトンに易溶、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、クロロホルムに溶解、エタノールに微溶(微白濁)、イソプロパノールに難溶(白濁)、水に不溶であった。前記、3450cm-1付近の吸収ピークと2940cm-1付近の吸収ピークとの吸光度(logI0 /I)比は繰り返し実験でそれぞれ0.70、0.82であった。
【0020】
実施例2
シラノール基含有ポリシロキサン−3−グリシドキシプロピルメチルポリシロキサン共重合オイルの合成S520/正珪酸エチル=4/1(モル)
実施例1と同様に二段加水分解縮合反応にて製造する。但し仕込量は正珪酸エチル17.6g、トルエン/メタノール=60/40の混合溶媒250ml、10分の1規定塩酸溶液28.3ml(一段目)、S520の74.0gとジブチル錫ジラウレートの0.01g(二段目)数時間後、GCにてモノマー消失確認して溶媒及び水等を留去せしめる。こうして得られた油状オルガノポリシロキサンは55gで理論収率の95%、無色微かに甘い香りのする透明粘性液体、オキシラン酸素含有9.1%、C47.9%、H8.21%であった。実験式C 28 H 56.8 O 14.4 Si 5 に対する計算値であるオキシラン酸素9.3%、C48.6%,H8.2%、O22.9%、Si20.3%によく一致した。粘度は1570センチポイズ(25℃)であった。IRチャート及びNMRチャートを図4、図5に示した。なおNMRでメチレン基に重なった1.63ppmのシグナルがOHに基づく事の証明は図6に示した重水素置換により確認した。前記、3450cm-1付近の吸収ピークと2940cm-1付近の吸収ピークとの吸光度(logI0 /I)比は0.30であった。
【0021】
実施例3
シラノール基含有ポリシロキサン−3−グリシドキシプロピルメチルポリシロキサン共重合オイルの合成S520/正珪酸エチル=8/1(モル)
実施例1と同様に二段加水分解縮合反応にて製造する。但し仕込量は正珪酸エチル8.8g、トルエン/メタノール=60/40の混合溶媒250ml、10分の1規定塩酸溶液26.0ml(一段目)、S520の74.0gとジブチル錫ジラウレートの0.01g(二段目)数時間後、GCにてモノマー消失確認して溶媒及び水等を留去せしめる。こうして得られた油状オルガノポリシロキサンは53gで理論収率の96%、無色微かに甘い香りのする透明粘性液体、オキシラン酸素含有9.7%、C50.9%、H8.05%であった。実験式C 56 H 112.6 O 26.3 Si 9 に対する計算値であるオキシラン酸素9.7%、C50.8%,H8.6%、O21.5%、Si19.1%によく一致した。粘度は1210センチポイズ(25℃)であった。IRチャート及びNMRチャートを図7、図8に示した。なおNMRでメチレン基に重なった1.63ppmのシグナルがOHに基づく事の証明は図9に示した重水素置換により確認した。前記、3450cm-1付近の吸収ピークと2940cm-1付近の吸収ピークとの吸光度(logI0 /I)比は0.23であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の赤外吸収図を示す。
【図2】本発明の実施例のNMRチャートを示す。
【図3】本発明の実施例のNMRチャートを示す。
【図4】本発明の実施例の赤外吸収図を示す。
【図5】本発明の実施例のNMRチャートを示す。
【図6】本発明の実施例のNMRチャートを示す。
【図7】本発明の実施例の赤外吸収図を示す。
【図8】本発明の実施例のNMRチャートを示す。
【図9】本発明の実施例のNMRチャートを示す。
Claims (2)
- 一般式Si(OR1 )4 で示されるテトラアルコキシシランと一般式[化1]で示される3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシランを有機錫縮合触媒の存在下で、親水性溶剤又は親水性溶剤を含む混合溶剤中で酸触媒にてシラン総モルの3〜4倍モルの水を用いて共加水分解、縮合反応せしめてなる[化2]で示されるオルガノポリシロキサン。
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