JP3844492B2 - アルキレンオキシドを調整する方法 - Google Patents
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Description
例えば米国特許第3,282,966号(1966年11月1日)(J.J. Naugle, Jr.)には、クロロヒドリン法によってプロピレンオキシドを調製する方法が記載されている。Naugleは、反応器において塩素、プロピレン、及び新鮮な水を混合して、水溶液中中間物プロピレンクロロヒドリンを製造することを開示している。以下、前記の反応を次亜塩素酸化(hypochlorination)と呼ぶ。次に、クロロヒドリンを、例えば水酸化カルシウムのような塩基と反応させることによって、脱塩酸化してプロピレンオキシドにする。又、前記の反応はエポキシ化及び鹸化という用語でも説明される。「プロピレンクロロヒドリンからのプロピレンオキシドの合成--I:プロセスの動力学面(Kinetic Aspects of the Process)」、Chemical Engineering Science、Vol.34、pp.1123-1132(1979)において、S.Carraらは、この反応用に水酸化ナトリウムを用いることも記載している。更にNaugleは、可能な限り迅速に、蒸留塔において、水からプロピレンオキシドをストリップして、プロピレンオキシドが水和してプロピレングリコールとなる反応を最小にすることを記載している。蒸留塔からの塔底留出物(bottoms fraction)は、例えば塩化カルシウムのようなカルシウム化合物、有意量の水及び他の不純物を含む。一連の蒸留塔によって更に精製するために、いくらかの水、二塩化プロピレン及び他の不純物を含むプロピレンオキシドは塔頂留出物(overhead)から採取される。
Richard O.Kirk and T.John Dempseyは「プロピレンオキシド」Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第三版、Vol.19(1982)、pp.246-274において、プロピレンオキシドに関する類似の方法を記載している。次亜塩素酸化反応(この報告ではクロロヒドリン化(chlorohydrination)と呼ばれている)は、生成物プロピレンクロロヒドリン(PCH)の生成物濃度を4−5.5重量%まで低下させるのに十分な水を含み、プロピレンと塩素供給の損失が4−8%になるまで副生物二塩化プロピレン(PDC)の生成を最小にする。又、PCH濃度は、副生物のエーテル生成を最小にするためにも低く維持される。反応は40−90℃で行われ、発熱反応により、水対塩素の比にしたがって10−40℃の温度上昇がある。エポキシ化反応は、例えば石灰又は苛性アルカリのような水性塩基でクロロヒドリンを処理する反応として記載されており、前記の塩基のほぼ半分は副生物の塩化水素を中和するのに用いられ、又残りはPCHをプロピレンオキシドへと転化させるのに用いられる。10モル%を超える過剰なアルカリ性度となる量が用いられる。次に、プロピレンオキシドを、回収塔において、アルカリ性溶液から取り出す。回収塔の塔底流は、pH11−12において、塩化カルシウム5−6重量%又は塩化ナトリウム5−10重量%、プロピレングリコール数百ppm、及び極微量の他の有機化合物を含む。例えば生物学的酸化のような、有機含有物を除去するためのいくつもの方法が提案されている。プロピレンオキシド(26重量%)、副生物有機化合物(4重量%)、及び水(70重量%)を含む回収塔の塔頂留出物を、一連の蒸留塔へと送ってプロピレンオキシドを精製する。
上記の方法には、3つの主要な問題がある。第一の問題は、プロピレンオキシド及びエピクロロヒドリンそれぞれの製造時に、副生物としてハロゲン化有機化合物、特に、例えばプロピレンジクロリド(PDC)及びトリクロロプロパン(TCP)のようなジハリド及びトリハリドが生成することである。これらの副生物の生成は、水素の加水分解から生じる遊離ハリドイオン濃度と関連がある。しばしば大量の水で希釈してハリドイオン濃度を調節する;しかしながら、希釈には、実用的及び経済的限界がある。無限希釈をしても、これらの副生物は依然として生成する(Bartholome, E.,らによるChem. React. Eng. Proc. Eur. Symp., 第5版, 1972, B4,1−7(Eng)参照.Elsevier:オランダ、アムステルダム)(英国特許第1339650号、プロピレンクロロヒドリンの連続製造、1973年)。
塩素化された副生物の生成を迎えるいくつかの方法を用いると、他の副生物が生成する。例えば、Wojtowiczらによる米国特許第3,845,145号(1974年10月29日)には、例えばメチルエチルケトン(MEK)のような水飽和有機溶媒の存在下で、低塩化物の次亜塩素酸(HOCl)をオレフィンと反応させることによって、例えばプロピレンジクロリドのような副生物の生成を減少させることが記載されている。しかしながら、この方法には主として次の2つの問題がある:第一に、HOClが有機溶媒と反応して例えば塩素化ケトンのような望ましくない副生物を生成する。第二に、有機溶媒の存在によって追加のプロセス工程が必要となるので、クロロヒドリンを製造するために、更なる困難が生じ、また更に装置が必要となる。
低塩化物HOCl溶液からの副生物生成を減少させるクロロヒドリンを製造する第二の方法によって、HOCl水溶液を用いる米国特許第3,845,145号で開示されている方法が改良され、有機溶媒を用いる必要がなくなる。米国特許第5,146,011号(1992年9月8日)(Shenら)には、実質的に塩化物、塩素酸塩、及びアルカリ金属イオンが存在していない、少なくとも10重量%HOCl水溶液を、水及びオレフィンが入っている反応器中へと供給する方法が記載されている。反応は、凝固点から55℃までの温度で行われる。前記方法には、いくつもの問題がある。第一に、低い反応温度では、反応熱を除去するのに熱交換装置が必要である。第二に、Shenは高濃度の(10重量%を超える、好ましくは20−65重量%、最も好ましくは35−55重量%の)HOCl溶液を用いることを要求している。更に、Shenは、回分式反応器(batchwise reactor)の好ましい使用を提案している。
いくつもの方法が、次亜塩素酸の低塩化物水溶液を製造する技術において記述されている。Crawfordらによる米国特許第2,347,151号では、ハロゲンガスの存在下で、次亜塩素酸溶液を蒸留して、水性次亜塩素酸中にあるハリドイオンの濃度を低下させる方法が開示されている。Crawfordによって開示された方法では、次亜塩素酸のハリド含有水溶液は、好ましくは、水蒸気及び塩素ガスの上昇流(rising stream)に対して向流となるように、蒸留塔又は回収塔の中間位置に対して供給される。次亜塩素酸の蒸留は、一般的に、大気圧下、温度100℃で行われる。より低い圧力を用いると、蒸留に必要な温度が変わる。
Crawfordは、回収される収率に関する次亜塩素酸供給濃度の効果については考察していないが、Crawfordの実施例では最大で0.5モルの供給濃度を用いている。
Wojtowiczらは、米国特許第4,147,761号(1979年4月3日)において、温度0−50℃、好ましくは5−20℃で、アルカリ金属水酸化物溶液(10−80重量%)の表面上に塩素ガスを流す工程を含む、次亜塩素酸溶液を製造する別の方法を記載している。反応器は、アルカリ金属次亜塩素酸塩生成物を最小にするのに十分に低い温度に調節するための冷却手段を備えている。前記液体の表面上に生成したHOClは一部は蒸発してガスによって除去され、一部は前記液体の中に吸収されて次亜塩素酸塩を形成する。蒸気相中にあるHOClは水の中に吸収されて次亜塩素酸溶液を生成する。反応器の液相は、アルカリ土類次亜塩素酸塩とアルカリ金属塩化物との水性スラリーである。
Brennanら(米国特許第4,146,578号;1979年3月27日)、Meltonら(米国特許第5,037,627号;1991年8月6日)及びMeltonら(米国特許第5,116,593号;1992年5月26日)は、低塩化物HOCl水溶液の調製方法を開示している。これらの特許に記載されている方法は、それぞれ、塩素雰囲気中に金属水酸化物水溶液の微細液滴をスプレーし、塩素ガスと反応させて、HOCl蒸気と、例えば塩化ナトリウムのような固体金属塩化物を含む残留物とを生成させる工程を含む。これらの特許によって説明されている方法には、生成物の金属塩化物から水を除去する(乾燥させる)ためのエネルギーが必要であるという問題がある。更に、固体金属塩化物は、処理し難いので、特別の固体処理装置(例えば米国特許第5,116,594号及び第5,106,591号)が必要であり、また廃棄物の処理問題もある。
従来のクロロヒドリンアルキレンオキシド技術における第二の問題は、反応体を希釈するためにしばしば用いられる大量の水の処理及び廃棄に関する問題である。プロピレンオキシド1kgを製造する場合、塩化ナトリウムを5−10重量%又は塩化カルシウムを5−6重量%含む40kgを超える水が生じる。これらの希釈レベルでは、この水には、ほとんど又はまったく商業的価値はない。したがって、水を適当に処理した後で排出しなければならない。(K.H.Simmrock、「プロピレンオキシド径路の比較(Compare Propylene Oxide Routes)」、炭化水素加工(Hydrocarbon Processing)、Vol.57、1978年11月、pp.109-110)
従来のクロロヒドリンアルキレンオキシド技術における第三の問題は、廃棄水(ブライン)を処理して、排出する前に有機化合物(主として副生物)を除去しなければならないことである。そのブラインは、しばしば、クロロヒドリンと共に完全に除去されないハロゲン化有機化合物を含み、また一般的に、例えばグリコール又はグリセロールのような多価アルコールを含む。水酸化ナトリウム(苛性アルカリ)のような強い塩基ではなく、石灰のような弱い塩基を用いてクロロヒドリンからエポキシドを発生させる際には、一般的に、より多くの多価アルコールが生成する。しかしながら、石灰は容易に使用できて且つ安価な原料であるので、典型的には石灰が用いられる。
好ましくは、本発明は、以下の工程:即ち、
(1)任意に、金属水酸化物又は金属酸化物を塩素と接触させて金属次亜塩素酸塩溶液を製造する工程;
(2)金属塩化物水溶液中にある次亜塩素酸塩を基準として少なくとも80モル%の収率で次亜塩素酸を得るために十分にミクロ混合(micromixing)しながら、温度60℃未満及びpH5.5未満で、塩素を金属次亜塩素酸塩溶液と接触させる工程;
(3)以下で塩化物ブラインと呼称されている次亜塩素酸の金属塩化物水溶液から次亜塩素酸の少なくとも一部を分離する工程、その場合、次亜塩素酸の少なくとも30モル%が液相から次亜塩素酸と一酸化二塩素とが平衡状態にある蒸気相中へと脱着されるように、前記溶液は500ミクロン未満の体積メジアン直径(volume median diameter)を有する液滴として蒸気流の中にスプレーする;
(4)残留液相を蒸留して、追加の次亜塩素酸と一酸化二塩素との蒸気を得る工程;
(5)低塩化物水中に次亜塩素酸及び一酸化二塩素を吸収して、低塩化物次亜塩素酸水溶液を製造する工程;
(6)反応器中において0.2重量%又はそれ未満の均一な定常状態のHOCl濃度を保つための連続撹拌タンク反応器を用いる連続法で、低塩化物次亜塩素酸水溶液をオレフィンと接触させて、対応するオレフィンクロロヒドリンを製造する工程;
(7)任意に、オレフィンクロロヒドリンを塩基と接触させて、対応するアルキレンオキシド及び塩溶液を製造する工程;及び
(8)任意に、塩溶液からアルキレンオキシドを分離する工程;
(9)任意に、塩素酸塩を酸と接触させて塩素へと転化させることによって、工程3又は工程4の少なくとも1つから得られた塩化物ブラインから塩素酸塩を取り出す工程;及び
(10)任意に、塩素酸塩を工程1又は工程4の少なくとも1つへと再循環させる工程
を含む連続方法を含む。
また、その方法は、全体の方法から独立して取り出された工程のうちのいくつもの工程も含む。したがって、本発明の1つの態様は、温度60℃未満、pH5.5未満で、塩素と、少なくとも1モル/リットル(1M)の次亜塩素酸塩イオン濃度を有する金属次亜塩素酸塩溶液とを、次亜塩素酸塩を基準として生成物次亜塩素酸の収率少なくとも80%及び塩素酸塩の収率20%を達成するのに十分なミクロ混合をすることによって接触させる工程を含む次亜塩素酸を製造する方法である。本発明の別の態様は、まず最初に塩素含有蒸気流の中に塩化物ブラインをスプレーし、次にその液体を蒸留することによって、塩化物ブラインと呼称している次亜塩素酸の金属塩化物水溶液から次亜塩素酸を分離する工程を含む次亜塩素酸を製造する方法である。スプレー噴霧化(spray atomization)、次に蒸留によって液相から蒸気相中へとHOClを更にストリップすることによって、少なくとも30モル%の次亜塩素酸が、前記液体から、次亜塩素酸及び一酸化二塩素として蒸気相中に脱着されるように、500ミクロン未満の体積メジアン直径を有する液滴として、塩素、水蒸気、及び空気を含む蒸気流の中に前記溶液をスプレーする。7重量%未満の濃度で低塩化物HOCl溶液を供給する分離装置において低塩化物水中に吸収することによって、HOClと一酸化二塩素とを蒸気相から回収する。本発明のもう1つ別の態様は、塩素化ケトンの生成を最小にしながら、内部ガス再循環と、反応器中におけるHOCl濃度を0.2重量%以下の均一な定常状態に保つために十分な逆混合撹拌を行うことによって対応オレフィンクロロヒドリンを生成させるための、少なくとも60℃の温度、1atm(101.3kPa)を超える圧力、少なくとも30分の滞留時間で連続撹拌タンク反応器を用いる連続方法によって、7重量%未満の次亜塩素酸濃度を有する低塩化物次亜塩素酸水溶液をオレフィンと接触させる工程を含む、対応オレフィンクロロヒドリンを調製する方法である。0.2重量%以下のHOCl濃度は、反応器中における適当な混合によって均一に保たれ、また反応器内容物による供給HOClの希釈と反応動力学とを組み合わせることによって低く保たれる。
上記全方法は、好ましくは、例えば連続反応器において水の存在下で、気体ピロピレンと気体塩素との反応から生成する二塩化プロピレン(PDC)と比較して少なくとも1/2だけ副生物であるハロゲン化有機化合物を減少させる方法を有利に提供する。特に次亜塩素酸反応体を工程6で3重量%を超える濃度で用いる場合、及び追加の水による希釈を用いない場合には、有利なことに、本方法によって、クロロヒドリン反応に必要な水は少なくて済む。
Brennanら(米国特許第4,146,578号)、Wojtowiczら(米国特許第4,147,761号)、及びMeltonら(米国特許第5,037,627号)の教えで用いられた高濃度の水酸化物溶液(例えば、水酸化ナトリウム50重量%)と比較して、好ましい態様における本発明は、例えば15重量%の水酸化カルシウムのような、より容易に使用することができるより低濃度のアルカリ土類水酸化物水性スラリーを用いて塩素と反応させて、水溶液の蒸溜後に残留物を、例えば塩化カルシウム、すなわち処理しなくてはならない固体残留物を有していないHOClを製造することを含む。別の態様では、本発明は、例えば隔膜電解槽において製造されるような低濃度の水酸化ナトリウム(8−12重量%)を用いるので、水酸化ナトリウムを濃縮するための追加の装置及びエネルギーは必要なく、また固体残留物の処理も必要ではない。より低濃度の原料を用いること、及び固体生成物を処理する必要がないことの利点は、HOCl分離装置の外部で反応化学を行うことによって得られる。Brennanら及びMeltonらの反応器/分離器装置では、霧状態の供給水酸化物溶液をスプレーすることが必要であり、それによってアルカリ土類スラリーの使用は一層困難になる。Wojtowiczらによって示された方法では、スラリー反応体の使用はより容易になっているが、実施例に示されているように40モル%の低いHOCl選択率が問題となっている。選択率が低いのは、HOClが取り出される塩スラリー中に次亜塩素酸塩生成物が残るからであり、また塩素酸塩の20モル%選択率は次亜塩素酸塩の追加の損失を示している。蒸溜と組み合わせられた、次亜塩素酸溶液の小さな(500ミクロン未満の)液滴を生じさせるスプレー噴霧化手段を用いることによって、次亜塩素酸の回収率は出発次亜塩素酸の95%まで有利に向上する。
クロロヒドリンをエポキシ化してエポキシドにすることにおいて(工程7)、本発明の主な利点は、Maugleによる米国特許第3,282,966号又はKirkによる「酸化プロピレン」Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, vol.19, pp.246-274において説明されている次亜塩素酸化の方法によって通常製造される次亜塩素酸が本発明では製造されないことにある、ことに注目すべきである(工程6参照)。したがって、エポキシ化反応器において酸を中和するために、追加の苛性アルカリ又は石灰は必要ではない。さらに、塩基とクロロヒドリン流との混合不良から生じる、酸化プロピレンのプロピレングリコールへの酸触媒反応が排除されるので、エポキシ化工程(工程7)中に生成するグリコール副生物の量が減少する。プロピレングリコールへの酸化プロピレンの加水分解の反応動力学に関するデータについては、Wolfgang Grunert及びGerhard Justによる「クロロヒドリン法による酸化プロピレンの製造を最適化することに関する研究」Wiss. Z. TH Leuna-Merseburg, 18(3), 339-345, 1976を参照せよ。
従来技術とは異なるもう1つ別の特徴は、エポキシ化反応器に対して、より高濃度の(4−5.5重量%と比較して6.5−8.5重量%)クロロヒドリンを供給することである(Kirk-Othmer, vol 19, p.245参照)。PCHと水酸化物との反応速度はPCHの濃度に比例するので(Carraらによる「プロピレンクロロヒドリンからのプロピレンオキシドの合成--I:プロセスの動力学面」、Chemical Engineering Series, vol.34, pp.1123-1132, 1979)、反応を完了させるのにより短い時間が必要とされる場合は、より小さな加工装置が用いられる。
プロピレンと反応させるときに低塩化物HOCl溶液を用いる(工程6)ことによって可能となる、プロピレンオキシドを製造する(工程7)場合におけるより高濃度のプロピレンクロロヒドリンの使用は、例えばBartholomeらによる米国特許第3,886,187号に開示されているように、プロピレンオキシドをストリップするために水蒸気は50−65%のみ(すなわち、製造されるプロピレンオキシド1kg当たり水蒸気0.5−1.3kg)必要である。更に、供給材料中において6.5−8.5重量%の高濃度プロピレンクロロヒドリンを用いると、液体の流量がより低下し、それと共に水蒸気速度も低下するので、必要とされる装置は、従来技術に記載されている装置に比べてより小さいものとなる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の1つの態様に関する概略構成図である。
図2は、本発明のもう1つ別の態様に関する概略図である。
図3は、次亜塩素酸溶液の液滴をスプレーするためのノズルの1つの態様に関する断面図である。
図4は、次亜塩素酸溶液の液滴をスプレーするためのノズルの別の態様に関する断面図である。
図5は、次亜塩素酸溶液の液滴をスプレーするためのノズルのもう1つ別の態様に関する断面図である。
図6は、次亜塩素酸塩を塩素と反応させるための反応器の1つの態様に関する断面図である。
図7は、図6に示した反応器の端面図である。
図1は、本発明方法の好ましい態様を説明している構成図である。水溶液中又はスラリー中水酸化物がライン101から供給され、塩素がライン102から供給されて、ボックス103で反応して次亜塩素酸塩が生成する。生成した次亜塩素酸塩水溶液はライン104から供給され、塩素はライン105から供給されて、ボックス106においてHOCl(次亜塩素酸)が生成する。HOClは水溶液であり、ライン107を通って、ライン108からの塩素及び水蒸気とボックス109で一緒になり、そこでHOClは分離され蒸留される。ボックス109からはライン111を通ってブラインが出て行く。ライン117から水蒸気が入り、ライン116及びライン134からの塩素とライン108において一緒になる。分離・蒸留ボックス109においてライン107のHOCl溶液をスプレーするために用いるときには、水蒸気はライン118に任意に入る。
蒸気HOCl及び一酸化二塩素(Cl2O)はライン110を通って分離・蒸留ボックス109を出て、ボックス113において、ライン112から入って来る水によって吸収される。ボックス113からは、塩素を含む未吸収蒸気、水蒸気、及び塩素とHOClに対して不活性である他の材料が、排気ライン115と、この好ましい態様ではライン108と結合している再循環ライン116とに分割されているライン114を通って出て行く。生成物水性HOClはライン120を通ってボックス113を出て行き、ライン121を通って入って来るオレフィンとボックス112においてHOClオレフィン反応し、その生成物であるクロロヒドリンはライン123を通って出て行く。ライン123からのクロロヒドリン及びライン124からの塩基は、ボックス125で反応する。アルキレンオキシド生成物はライン126を通ってボックス125を出て、ボックス127においてアルキレンオキシドは分離され、精製されたアルキレンオキシドはライン128を通って出て行き、アルキレンオキシドが分離されたブラインはライン129を通って出て行く。この好ましい態様では、塩素酸塩を含むライン111を通って来るブラインと、酸(ライン130を通って来る)とを、ボックス131において反応させて、塩素を回収する。ボックス131からは、塩素酸塩が減少したブラインがライン132を通って出て行き、塩素はライン133を通って出て行き、その塩素は、ライン136を通って次亜塩素酸塩生成ボックス103、ライン135を通ってHOCl生成ボックス106、又は他の塩素がボックス109に入るライン108と接続しているライン134を通ってHOClの分離・蒸留ボックス109に入る。
図2において、HOCl水溶液はライン201を通って回収塔200及びスプレー手段203に入り、任意にライン207からの水蒸気を使用し、スプレー手段203から回収塔200の上部開放セクション(upper open section)へとHOCl水溶液の液滴が入る。HOClは気化され、頭部空間(headspace)204及びアウトライン(out line)220の中に入り;一方、液体は、HOClを更に気化させるために好ましく納められている蒸留セクション206へと流れ落ちる。塩素を含むストリッピングガスはライン202を通って入り、水蒸気はライン233を経てライン232を通って入る。又、ライン232は再循環された塩素も含む。ストリッピング及び蒸留の後に残っている液体は、ライン208からポンプ209を通り、更にアウトライン210を通って出る。蒸気は、ライン220を通って回収塔221へと流れ、そこで、ライン222から入って来る水の対向流に逆らって上方へと流れる。生成物HOCl溶液は、ライン223からボックス209及び熱交換器225を通って出て行く。熱交換器225では、一部がライン226を通って再循環され、残りはライン227を通って出て行く。残留蒸気はライン228及び送風機(blower)229を通って出て行く。その場合、その一部はライン230を通って出て行き、もう一部分はライン231を通ってライン232へと戻ってライン233を通って入って来る入り水蒸気と一緒になる。
ハロゲンとして塩素及びオレフィンとしてプロピレンを用いる工程を示している化学反応を手始めに、本発明の各工程を説明する。本発明は、塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、又はそれらの混合物、好ましくは塩素を含むハロゲン;及び2−10個の炭素原子を有する未置換の又は不活性に置換されたオレフィンの使用を包含している。各場合において、プロピレンがオレフィンであり、塩素がハロゲンである場合、ハロヒドリンは1−クロロ−2−プロパノール(2−クロロプロパノールも)及びエポキシドは1,2−プロピレンオキシドである。
工程において提示されているが、本発明は、好ましくは連続法である。なぜならば、連続法によると、最小の装置を用いて、最大量の生成物を製造することができるからである。この好ましさは、Shenらによる米国特許第5,146,011号に開示されているクロロヒドリンを製造する工程を含む他の方法における回分運転にとっての好ましさとは対照的である。
1)任意に、金属水酸化物又は金属酸化物を塩素と接触させて、金属次亜塩素酸塩溶液を製造する工程;
金属水酸化物又は金属酸化物の水溶液又はスラリーの塩素化(ハロゲン化の実例)は、気体塩素を金属水酸化物と接触させることができる当業技術の任意の方法で行う。かきまぜ又は撹拌は、接触を維持するのに有利である。反応器は、有利には、機械撹拌を有する撹拌タンク反応器であるか又は静的混合要素(staticmixing elements)を有するプラグ流れ反応器である。本発明の1つの好ましい態様では、反応器設計として、1分間の滞留時間を有する容器、ポンプの吸込みへと塩素及び石灰スラリーを新たに供給する4回/分の回転率(turnover rate)で再循環させるためのポンプ、及び温度を調節するための再循環ループにある熱交換器を含む。前記の反応器設計によって、反応体を混合し、塩素ガスを分散させ、そして完全な反応が完成するまで溶液中にある固形分を保持するのに十分なポンプ内における撹拌と配管における乱流とが提供される。有利には、そのような撹拌を提供する任意の反応器を用いる。
高濃度のアルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム50重量%)を製造することに比べて、アルカリ土類金属水酸化物は、その容易な加工性及びエネルギー必要量が少ないので、好ましく用いられる。都合の良いことには、アルカリ土類金属水酸化物は、金属酸化物、例えば酸化カルシウム、酸化マグネシウム、又はそれらの混合物を水と反応させることによって誘導される。アルカリ土類金属水酸化物は好ましいが、この方法では、アルカリ金属水酸化物は、アルカリ土類金属水酸化物とアルカリ金属水酸化物との混合物として任意に用いられる。
アルカリ土類金属水酸化物は、市販のものを用いるか、又は石灰のような酸化物を十分な追加の水と混合して、溶液中スラリーのその後に行われる塩素化によって製造される次亜塩素酸カルシウムを維持するために、好ましくは15重量%(2モル)以下、しかしながら、水を再少量にすることによって後のプロセス工程における溶液からのHOClのストリップのコストを最小にするために少なくとも3.5重量%(0.5モル)の水酸化カルシウム濃度が得られるような当業技術の範囲内にある手段によって調製する。より高濃度にすることによって、装置のサイズを小さくし又はエネルギー必要量を減少させるためには、水酸化カルシウムスラリーは、更に好ましくは1−2モル濃度、最も好ましくは1.5−2モル濃度である。
好ましくは、塩素は、その水酸化物と化学量論量、すなわち水酸化物のすべてを次亜塩素酸塩へと反応させるための水酸化物の90−110モル%の量用いる。反応は、化学量論によって、好ましくは95−105モル%、最も好ましくは95−100モル%である。不十分な量の塩素を用いると、溶液から沈降して装置を目詰まりさせてしまう危険性を増大させる未反応水酸化カルシウムが生じるか、又はフィルターで捕集した場合に、収量の損失が起こる。過剰の塩素を用いると、望ましくない塩化カルシウムの生成が促進され、収量の損失を招く次亜塩素酸(HOCl)の生成が起こる。この反応は、pHを測定することによって調節する。望ましいpHは9−12、好ましくは9−11、更に好ましくは10−11である。有利には、pHの調節は、pHプローブ又はマルチpHプローブ(multiple pH probes)を用いてpHをモニターし、反応器への塩素流量を調整して望ましいpHレベルを維持することによって達成される。
塩素化の条件は重要ではないが、好ましくは温度は少なくとも10℃であり、それ未満の温度では固体の塩素水和物(chlorine hydrate)が生じてしまう。更に好ましくは少なくとも40℃である。前記の温度は、冷却とは異なって、温度調節のための冷却塔水を用いるのには実用的な温度だからである。より高い温度では、廃棄又は回収が必要となる望ましくないHOClの塩素酸塩への分解が促進される。したがって、最大温度は、好ましくは80℃以下である。当業技術の範囲内にある熱交換の任意の手段を有利に用いて、望ましい温度に保つ。
反応圧力は重要ではないが、圧力は、好ましくは塩素を気体状態に保つのに十分に低い圧力である。液体塩素が任意に用いられるが、液体塩素ではプロセス利点はなく;更に、塩素を液化するのに圧縮又は冷却するためのエネルギーが必要となる。有利には、塩素ガスのすべてを溶液中に入れて水酸化物と確実に反応させるためには、圧力は大気圧であり、更に好ましくは5atm(506.5kPa)未満、及び1atm(101.3kPa)以上である。
反応時間は、好ましくは、塩素ガスと水酸化物との反応を完了させるのに十分に長い時間であり、好ましくは少なくとも5秒間、更に好ましくは少なくとも15秒間である。反応時間が長すぎることは、この反応には無意味であるか又は悪影響があるだけでなく、装置のサイズも大きくなってしまう。反応時間は、反応容器、任意の再循環ポンプ及び関連している配管(associated piping)における滞留時間に相当する。
有利には、反応器から放出されたものを濾過して、例えば炭酸カルシウム及びシリケートのような不活性な固形分を除去する。次亜塩素酸カルシウムと塩化カルシウムとの生成物溶液は、わずかにピンク色から赤茶けた色を有している明澄な溶液である。
2)温度60℃及びpH5.5未満において、塩素を金属ハイポ岩塩(metal hypohalite)の溶液と接触させ、十分にミクロ混合して、金属塩化物水溶液中次亜塩素酸塩を基準として、少なくとも80%の収率で生成物次亜塩素酸(HOCl)を得る工程;
主な副反応は塩化物の生成である。
この主副反応が起こる速度は、多くの専門家によって研究され報告されて来た(例えばKokoulina, D.V.及びL.I. Krishtalik,「塩素酸塩電解槽の陽極液において塩素酸ナトリウムを生成させる量産反応(volume reaction)」Elektr-okhymiyia, vol.7, No.3, pp.346-52, 1971年3月)。これらの研究は、方程式3に示されているように、塩素酸塩の生成は、HOCl濃度及び次亜塩素酸塩濃度の関数である、ことを示している。又、Kokoulinaは、この塩素酸塩生成速度は、pH6−7で最大となり、温度と共に増大することも示した。望ましい反応を最大にして、副反応を最小にするためには、温度は好ましくは低い温度(60℃未満)に保ち、HOCl濃度も低く(例えば6モル未満)保ち、更に塩素はpHを低く(pH5.5未満)保つのに必要な化学量論量よりも過剰にする(例えば1モル%を超える過剰の塩素を用いる)。pHが5.5未満であるときには、次亜塩素酸塩濃度は0に近づき;その結果として、塩素酸塩はほとんど生成しない。したがって、本発明の実施においては、pHは好ましくは5.5未満、更に好ましくは4.5未満に保つ。
塩素化の条件は重要ではないが、過剰な塩素酸塩の生成を防止するためには、温度は好ましくは60℃以下(それ以上の温度の場合HOClは急速に塩素酸塩へと分解するのが観察される)であり、更に好ましくは45℃以下である。好ましくは温度は少なくとも10℃であり、その温度では固体の塩素水和物が生成し沈殿する。好ましい運転温度は、冷却を不要にするためには、及び塩素酸塩の生成を最小にするためには20℃−45℃である。
気体又は液体塩素は本発明の実施において適当に用いられるが、好ましくは塩素液体は、塩素と次亜塩素酸塩との反応速度を速めるために用いられる。このために、圧力は気体塩素を防止するのに十分な圧力、例えば25℃で少なくとも100psig(691kPaゲージ)及び40℃で少なくとも150psig(1037kPaゲージ)である。これらの圧力は、各温度における塩素の蒸気圧を表している。任意の他のガス、例えば空気又は窒素の存在は、その追加のガスの分圧によって、必要とされる圧力を上昇させる。
適当には、用いられる塩素の量は、次亜塩素酸カルシウムの望ましい量と反応させてHOClを生成させるのに十分な任意の量であるが、HOClと次亜塩素酸塩が双方とも存在すると、塩素酸塩の生成が多くなるので、使用されない次亜塩素酸カルシウムが残ることを避けることが望ましい。したがって、好ましくは、次亜塩素酸塩の量に対する少なくとも化学量論量の塩素量を用い、更に好ましくは、過剰量の塩素を用いて溶液のpHを低下させるのを助けて塩素酸塩の生成を防止し、更に好ましくは、塩素は、化学量論量を超える過剰量の1−20モル%、最も好ましくは5−10モル%で用いる。
好ましくは、短い反応時間、及び高いpHの次亜塩素酸塩溶液と塩素とを組み合わせた後で迅速に低いpHを達成することによって塩素酸塩の生成を最小にするために、高い程度の撹拌、すなわちミクロ混合を達成するのに十分な撹拌、又は塩素酸塩の生成を促進する中性pHの局在領域が存在しないように十分に小さいスケール(scale)の混合によって、塩素化を起こす。ミクロ混合は、N. Harnbyらによって編集されたMixing in the Process Industries, 第10章, 1985, pp.170-184に掲載されているJ.R.Bourneによる「単相化学反応器における混合」に記載されている当業技術の範囲内にある。HOCl濃度が増加すると共に、要求されるミクロ混合の程度は増大する。望ましい撹拌が達成されるとき、次亜塩素酸の収率は少なくとも80モル%、塩素酸塩の収率は20%未満である。混合が少ないとき、次亜塩素酸塩及び次亜塩素酸(HOCl)の共存濃度が存在し、その結果として、塩素酸塩が生成する。
図6及び図7は、十分なミクロ混合が得られる反応器の態様を説明している。図6において、ハウジング601は、ブラケット602によって(図示されていない)モーターに接続されている。ブラケット602の形状は円筒形であり、モーター軸604及びマグネット621を完全に取り囲んでおり、その一端はモーターに対して固定されていて(図示されていない)、別の一端はハウジング601に対して固定されている。モーター軸604によって、モーターは、反応器室620の内側にある羽根車シャフト605、羽根車ブレード611及び羽根車ブレード612を回転させる羽根車マグネット622の回転を誘導するマグネット621を回転させる。Oリング606及びOリング607によって、ハウジング601とエンドプレート603との間にシールが提供され、それによってモーターシャフト604とマグネット621からのシールが提供される。塩素は、管657を通って入り、口658を通って集中的に通過し、再循環入口633を通って反応器室620の中に放出され、そこで、管657と口658との間にある環状空間から再循環入口633を通って反応器室620に入って来る次亜塩素酸塩と反応する。次亜塩素酸塩、塩素、及び生成物HOCl溶液は、反応器室620において混合され、次亜塩素酸塩と塩素とからHOClへの反応が起こる。未反応塩素及び生成物次亜塩素酸は、内部再循環出口631からpHプローブを通って循環し、再循環入口633を通って反応器室620へと戻る。反応器室620中には、バッフル641によって示されているバッフル(複数)が存在している。又、熱電対口651及びpHプローブ662(pHプローブ口653から)も反応室620に差し込まれている。図7は、反応器の端面図を示している。熱電対口651、バッフル641、羽根車611、羽根車612、pHプローブ口653、塩素供給管657、次亜塩素酸塩供給口658、及び内部再循環出口631が、参照のために図6におけるように反応器室620と共に示されている。更に、羽根車シャフト605に付いている羽根車613、羽根車614、羽根車615、及び羽根車611が見られる。バッフル642、バッフル643、バッフル644、バッフル645、バッフル646、バッフル647、バッフル648、バッフル649、バッフル655、及びバッフル656も図7に示されている。圧力計口659は、圧力計(図示されていない)による反応器室620の圧力測定を可能にする。生成物口654はサンプル口652と同様に反応器室620からの出口である。加熱液又は冷却液は入口663から入り、出口664から出る;又、口665から入り、口666から出る。ボルト孔671、ボルト孔672、ボルト孔673、ボルト孔674、ボルト孔675、ボルト孔676、ボルト孔677、及びボルト孔678のボルトは、ハウジング601をエンドプレート603及びブラケット602に固定する。
好ましくは反応は逆混合反応器で行われる。逆混合反応器とは、反応器中にある任意のポイントにおいて、バルク(bulk)の組成及び温度に等しい出口生成物の組成及び温度を有する反応器である。乱流及び内部再循環のための回転翼及び固定子を用いて望ましいCSTR条件を達成するホモジナイザーは、好ましい反応器である。数ある中で、前記の装置、例えばVotator CRミキサーは、ケンタッキー州ルイスビルにあるVotator Division of Chemetron Corporationから市販されている。Karlheinz Kuchta及びLothar F. Witt, Jr.は、「実験室用及び製造用の機械的高周波分散装置」American laboratory, 1973年6月再版においてこのタイプのミキサーの設計及び使用を説明している。
HOClの塩素酸塩への分解は、主として、pHの関数であり、時間と温度は第二に重要である。最大分解速度はpH7.2で起こり、pH11を超えるか又はpH4.5未満において分解速度は0に近づく。したがって、この反応器の生成物は好ましくはpH4.5未満で出て来る。反応器に対する供給材料がpH11であるので、好ましくは、新鮮な供給材料を、反応器において、塩素供給と現に存在している生成物と完全に且つ迅速に混合して、中間pH範囲における高い分解速度を防止する。したがって、逆混合によって塩素酸塩の生成は減少すると言うことができる。
この工程の生成物は、供給材料中における次亜塩素酸塩を基準として、好ましくは80%以上、最も好ましくは95%を超える収率の塩化カルシウムブライン中次亜塩素酸(HOCl)である。先に説明したように、HOCl濃度は好ましくは塩素酸塩の生成を最小にするために低く保たれる。6モル/リットル未満の濃度は低いと考えられるが;更に好ましくは4.5モル/リットル未満である。これらの低い濃度は、第一塩素化工程(工程1)に対する水酸化カルシウム供給濃度を調節することによって維持される。
(3)次亜塩素酸の金属塩化物水溶液から次亜塩素酸の少なくとも一部分を分離する工程、その場合、次亜塩素酸の少なくとも30モル%が液相から、次亜塩素酸と一酸化二塩素とが互いに平衡状態にある蒸気相中へと脱着されるように、前記水溶液を500マイクロメーター未満の体積メジアン直径を有する液滴として蒸気流に対してスプレーする、及び(4)残留液相を蒸留して追加の次亜塩素酸と一酸化二塩素との蒸気を得る工程;
主反応は、水性HOClのHOCl蒸気及び気体Cl2Oへの転化を含む。
主な副反応は、先の工程におけるような、水性相におけるHOClの塩素酸塩への分解である。この副反応を最小にするためには、有利には、滞留時間を短く保ち、塩素又は他の非反応ガス(non-reacting gas)、例えば窒素又は水蒸気、大気を好ましく保持する。
別の起こる可能性のある副反応としては、濃度が23モル%を超え、且つ発火源が存在しているときに起こる蒸気空間における一酸化二塩素の爆発的分解が挙げられる:
非反応ガス、例えば窒素、水蒸気、又は好ましくは塩素による希釈は、Cl2Oの爆発的分解濃度を防止するのに有効である。発火源を防止することも有利である。水溶液上のCl2Oの蒸気圧は、4.5モルを超えるHOCl濃度が、蒸気相において23モル%を超えるCl2Oの濃度を得るのに必要であることを示している。
好ましくは、分離は、分離工程及び蒸留工程が同時に行われるように蒸留塔で行う;蒸留塔は本明細書ではストリッピング塔又は回収塔とも呼び、蒸留塔は好ましくは少なくとも部分的に充填されている。トレー型塔(trayed column)は、ストリッピングのための気体/液体接触に適当に用いられるが、気体/液体接触を概ね強化し、残留液(liquid hold up)を少なくするためには、充填物(packing)が好ましい。好ましい態様における充填物は、有利には、任意の市販の材料、例えばランダム充填物(くら形充填物、ポールリング(pall rings)、及び類似の充填物)又は構造化充填物(structured packing)(Goodloeカラムパッキング、Metex Corporationから市販されているワイヤーメッシュパッキング;Sulzerパッキング、Koch Engineering Company, Inc.から市販されている波形板充填物;及び類似の充填物)であり、好ましくは、腐食性化学薬品、特にHOCl及びCl2O(例えばプラスチック、セラミック、チタン、及び類似の材料)に対して耐性がある材料である。好ましい充填物材料は、最大の物質移動及び最短の液体滞留時間を与える材料、例えば構造化充填物である。初期HOClの1%未満が塔底に存在しているブライン溶液中に残っているように、噴霧化ノズルセクションからの初期HOCl分離に加えて、少なくとも1つの理論的移動単位が好ましい。
蒸留塔は、好ましくはストリッピング塔(stripping column)であり、ストリッピングガスは、次亜塩素酸溶液の下降導入に対して対向流として塔中を上方へと導入される。このストリッピングガスによって、溶液の液滴がスプレーされる蒸気流のほとんどが供給される。残留蒸気は、気化した水及びHOClから生じる。ストリッピングガスは、好ましくは水蒸気及び塩素から成り、好ましくは、充填物又はトレーより下に導入される。充填物より下に導入される水蒸気は、2つの機能を有する:すなわち、残留HOClを気化させるためのエネルギーの供給及び必要な物質移動のためのストリッピングガスの供給である。水蒸気は、有利には、例えば吸収塔(absorber column)の上部(top)から(工程5)又はプロセスの他の部分からの新鮮な水蒸気又は再循環水蒸気である。吸収塔(工程5)からの再循環ガスを再循環水蒸気として用いるとき、前記ガスは、塩素ガス及び水蒸気(steam)、それに加えて、少量の不活性化合物、例えば装置の漏れ(leaks)からの空気を含むことに注意すべきである。再循環ガスの組成は、吸収塔の温度及び圧力の関数である(好ましい運転条件に関する工程5における考察を参照)。水蒸気と塩素を含む十分な量の新鮮な水蒸気及び再循環ガスを用いて、1.0−3.0、好ましくは1.1−3.0のストリッピング係数を提供する。ストリッピング係数は、HOCl蒸気/液体平衡曲線の傾きに、気体の液体に対するモル流量の割合を掛けたものとして規定されている(Treybal, Robert E., Mass-Transfer Operations,第二版, 1968, pp.111-112)。ストリッピング係数が3.0を超えると、ほとんど追加のストリッピングはないが、より大きな装置が必要である。ストリッピング係数が1.0未満であると、液体からのHOClの完全なストリッピングは起こらない。好ましくは、十分な塩素を用いて、回収塔中における液体をpH5.5未満、更に好ましくは4.5未満に保つ。この量は、水蒸気1kg当たり塩素0.5−4kg、好ましくは2kg塩素/kg水蒸気に相当する。この塩素は、有利には、新鮮な気体塩素又は再循環塩素であり、例えば吸収塔(工程5)の上部からの、又は例えば塩素酸塩除去反応器(工程9)からの排ガスのようなプロセスの他の部分からの気体塩素又は再循環塩素である。
好ましい態様は、混合された水蒸気と塩素の雰囲気を有するが、本発明の実施では、水蒸気か又は塩素だけ、あるいは存在する反応体に対して不活性である他の気体でも適当に用いられる。
工程2で製造されるブライン中HOClは、有利には、トレー又は充填物の上のポイントにおいて塔の中に注入される。好ましい態様では、HOCl及びブラインは、スプレー又は噴霧化され、HOClが水から容易に分離されるように小さな液滴へと変えられる。当業技術の範囲内にある任意の噴霧化手段が適当に用いられる。好ましくは、噴霧化手段から出て来る液滴の体積メジアン液滴サイズは、500マイクロメーター未満であり、更に好ましくは200マイクロメーター未満である。噴霧化のために用いられる手段は、好ましくは、好ましい液滴サイズが得られる当業技術の範囲内にある任意のスプレーノズルであり、更に好ましくは、微細な液滴へと液体を粉砕する気体膨張の原理に基づいて動作するスプレーノズルである。なぜならば、前記のスプレーノズルは、迅速で且つ効率の良い噴霧化を又は単一相液体スプレーノズルを提供するからである。
好ましい態様では、HOClブライン液を望ましい温度まで予熱し、効率の良い噴霧化を提供するために、HOClブラインを同じノズル(二相混合ノズル)から水蒸気と共に噴射する。更に好ましくは、水蒸気は、組合わされた水蒸気とブラインの温度を少なくとも40℃、最も好ましくは少なくとも50℃;更に好ましくは100℃以下、最も好ましくは80℃未満まで上昇させるのに十分な熱を供給する。噴霧化流体として水蒸気を用いることの利点は、液滴を加熱する速度が速くなり、液滴が器壁又は充填物と接触する前に、液滴を蒸気及び液体の中に平衡させることができることである。有利には、これらの温度は、好ましくは少なくとも0.1kg水蒸気/kg供給、更に好ましくは少なくとも0.2kg水蒸気/kg供給、及び好ましくは1.0kg未満水蒸気/kg供給、更に好ましくは0.5kg以下水蒸気/kg供給を用いて得られ、その場合、kg供給は、入って来るブライン溶液中水性HOClの重量である。加えられる水蒸気の大部分は、結局、ブラインを希釈することになるので、高圧の噴霧化水蒸気を用いることによって水蒸気の量を最小にすると有利である。
二相スプレー又は噴霧化ノズルにおいて、ガスは、ベンチュリ管において音速まで加速される。ガスが加速される前か又は加速直後に、液体はガスと混合される。大きな加速から生じる大きな力によって、液体は微細液滴へと破砕され、都合の良いことに、ノズルにおける滞留時間は極めて短い(ミリ秒)。噴霧化は、ノズルの混合セクションで起こり、スプレーの減速は下流の末広セクションで起こる。流れが推進力流体として用いられるとき、ノズル出口条件までの同時迅速加熱が起こる。
図3、図4及び図5は、本発明の実施において有用な二相ノズルの代表的なタイプを説明している。図3において、ノズルは、水蒸気入口321及びスプレー出口322を有するハウジング300を含む。入口321は概ね円筒形のセクション301、収束円錐302、のど303及び末広円錐304を有する。円筒形セクション301は長さの内径に対する比6−10を有する。収束円錐302は、のど303に到達する前に、過剰な圧力低下及び乱流が起こるのを防止するのに十分に小さい限界の開先角度、例えば30度を有する。のど303は、水蒸気が末広円錐304に到達する前に音速に達するような内径及び長さを有する。末広円錐304は、末広円錐304における逆混合を防止する程十分に小さい開先角度、例えば15度未満を有し、またノズルがスプレーする蒸留塔の圧力まで圧力を低下させるのに十分な長さを有する。第一液体入口311及び第二液体入口312は、次亜塩素酸溶液を導入するために、末広円錐におけるハウジング中にくり貫かれている。第一液体入口311及び第二液体入口312は、のど303の出口からスプレー出口322まで測定すると、末広円錐304の1/5の長さのところで交差している。図3に示されているノズルは、ソニックノズル(sonicnozzle)と当業で呼ばれているタイプである。
図4に示されているノズルは、ガス補助内部混合ノズルと当業で呼ばれているタイプであり、第一円筒形室402、第二円筒形室403、水蒸気入口431、収束円錐411、のど412、及びスプレー出口432を形成している末広円錐413を取り囲んでいるハウジング401を有する。円筒形セクション402は、液体入口管422の挿入、及びノズルハウジング401に対して管422をシールする手段を提供する。円筒形セクション403は、過剰に圧力を低下させずに、収束円錐411に対して十分な水蒸気流を提供するのに十分な内径と長さを有する。収束円錐411は、室403とのど412とを持続するのに十分な90度以下の開先角度と長さを有する。のど412は、室403からの水蒸気及び液体の速度が、500マイクロメーター未満の体積平均直径を有する液滴へと噴霧化される程十分な速度、例えば音速となるような直径と長さを有する。末広円錐413は、収束円錐413における逆混合を防止するのに十分に小さい開先角度、例えば15度未満を有し、またその中にノズルによってスプレーされる蒸留塔の圧力まで圧力を低下させるのに十分な長さを有する。液体入口管422はハウジング401の外部に配置されている液体入口423を有する。液体入口管422は、円筒形セクション402の全長及び円筒形室403の全長に関して同心円状のハウジング401の内部及び外部に延びている。前記の管は、ハウジング401の外側に外部末端423を有し、また収束円錐411の真上のハウジング内にテーパー付き末端を有する;テーパー付き末端424は、収束円錐411に入って来る液体のための開口部425で終わっている。水蒸気は、入口431を通って円筒形室403に入る。
図5に示されているノズルは、当業でY-ジェットノズルと呼ばれているものであり、水蒸気入口511、液体入口512、水蒸気接続室521、液体接続室522、水蒸気加速室531、液体加速室532、水蒸気膨張室541、水蒸気及び液体混合室542、及び出口551を有するハウジング501を有する。水蒸気入口511は、ノズルハウジング501に対する水蒸気配管(図示されていない)の接続を許容する。水蒸気接続室521は概ね円筒形であり、その内径は水蒸気加速室531の内径の4倍であり、水蒸気口511を水蒸気加速室531に接続するのに十分な長さである。水蒸気加速室531の形状は、水蒸気が水蒸気膨張室541に入る前に音速に達し、且つ水蒸気流量が、出口551からの放出から、500マイクロメーター未満の体積メジアン液滴サイズが得られる程度の最小量に限定されるような内径と長さとを有する概略円筒形である。水蒸気膨張室541は、長さの直径に対する割合が5であり、その直径は水蒸気加速室531の直径の1−1.5倍である。水蒸気と液体の混合室542は、出口551と、水蒸気膨張室531及び液体加速室532の交点561との間にある、水蒸気膨張室541の延長部分である。水蒸気と液体の混合室542は、水蒸気膨張室531と同じ直径であり、且つ長さの直径に対する割合は、水蒸気と液体との均一な混合及び液滴生成にとって十分な割合であり、例えば12である。水蒸気入口511は水蒸気接続室521に接続されていて、水蒸気接続室521は水蒸気加速室531に接続されていて、水蒸気加速室531は水蒸気膨張室541に接続されていて、更に水蒸気膨張室541は水蒸気と液体の混合室542に接続されていて、各室の中心線は概略一直線上にある。液体入口512は、ノズルハウジング501に対する液体供給配管(図示されていない)の接続を許容する。液体接続室522の形状は、その内径が液体加速室532の内径の4倍であり、且つ液体入口512を液体加速室532に接続するのに十分な長さを有する概略円筒形である。液体加速室532の形状は、長さの直径に対する割合が5であり、且つその長さが水蒸気加速室531の長さに等しい概略円筒形である。液体入口512は、液体接続室522に接続されていて、液体接続室522は液体加速室532に接続されていて、各室の中心線は概略一直線上にある。液体加速室532及び水蒸気膨張室541は、水蒸気膨張室541が水蒸気と液体の混合室542と接合している交点561において45度の角度で相交わっている
別法として、液体スプレーノズルを水蒸気を使用せずに用いて、ノズルの出口において液滴サイズが得られる。液体スプレーノズルを用いるとき、液体供給は好ましくはスプレーする前に予熱されるか、又は追加の水蒸気を回収塔に加えて回収塔内部において液体スプレーを加熱する。500マイクロメーター未満の体積メジアン直径液滴サイズを得るために設計された単一相液体スプレーノズルは、当業技術の範囲内にあり、例えばSpraying Systems Co.から市販されている。
1つ以上のノズルが用いられる。単一噴霧化ノズルは、好ましくは塔の上部近くに、更に好ましくはトレー又は充填物の上、及び容器の中心線に沿って、ストリッピング塔の内部に取り付けられる。複数のノズルを用いるとき、それらは、容器の壁に対して液体をスプレーせずに、容器の断面にわたって液体スプレーが均一に分散するように配向される。有利には、HOClを最後にストリップするための充填物又はトレーに入る前に、スプレーによって、蒸気と液相との間にHOClの平衡隔壁(equilibrium partitioning)が生ずる。ノズルから出る気体/液体の速度は、充填物に接触する前に0近くまで減速されるように、好ましくは、ノズルの出口と充填物又はトレーとの間に十分な空間が提供される。更に、5−30度、好ましくは15度の円錐角度を有する全円錐スプレー(full cone spray)を有し、且つ出口スプレー(exit spray)が充填物に接触する前に塔の壁に接触しないように、好ましくはスプレーを設計する。器壁接触を防止するスプレー法では、対応する充填蒸留塔にとって好まれるものよりもより大きな直径の容器をしばしば都合良く用いるので、これらの工程用の容器は、好ましくは、滞留用の下部セクションに比べて、スプレーを受容するためのより大きな直径の上部セクションを有する。噴霧化が達成される前に、HOClブライン溶液をより高い温度に保つ時間をより短くすると、HOClの回収可能収率が一層高くなる。なぜならば、時間がより長くなると、塩素酸塩へのHOClの分解が起こるからである。
塩素及び水蒸気と共にHOClと一酸化二塩素を含む塔頂蒸気からの連行液滴を放出(disengagenent)する噴霧化ノズルの上に、好ましくは、十分な塔頂空間が提供され、それによって、気体速度、塔の長さ、及び液滴の大きさが調節されて、塔のストリッピングセクションへと液滴は下方へと落下する。この放出を助けるために、ノズルから出る液滴は好ましくは20マイクロメーターを超える大きさである。気体から生じる連行液滴を防止及び/又は除去する設計パラメータ及び要求条件は当業において公知であり、例えばChemical Engineers' Hand-book,第4版, Robert H. Perryら編,1963, pp.5-59からpp.5-62及び18-82から18-88のように多くの文献に記載されている。液体は、次の工程(工程5)において、吸収されたHOClの塩化物濃度を上昇させる塩を含むので、好ましくは、塔頂ガスに中にある液体連行は好ましくは最小にされる。曇り防止装置を、塔頂蒸気中において任意に及び好ましく用いて、ガスから連行液滴を除去する。前記曇り防止装置としては、山形水平曇り防止器(chevron horizontal demisters)、又は垂直ワイヤーメッシュ曇り防止器(vertical wire mesh demisters)、又はPerryらによって記述されている他のものが挙げられる。曇り防止器によって除去される液体は、有利には、ストリッピング塔の塔底へと戻されて、ブラインと共に放出される。
塔の長さ、特にノズル出口と充填物との間の距離は、塔の壁と又は充填物と接触する前に、ノズルからの液滴に対して少なくとも2秒(120秒未満)の沈降時間を提供するのに十分である。ノズル出口と充填物との間のこの距離は、好ましくは、蒸気相と液相との間のHOClの平衡を許容するのに十分であるが、追加のストリッピングが塔の充填セクションにおいて起こる前に、液体中に残っているHOClの分解を許容する程には十分に長くない。
充填ストリッピングセクションの前に、蒸気空間へと脱着されるHOClの量は、好ましくは、液体中供給HOClの少なくとも30モル%である。より高い脱着率は、HOClの塩素酸塩への分解を最小にするのに有利である。本発明の実施において好ましい温度及びHOCl供給濃度を超えていることも塩素酸塩への分解率を高めるので、スプレー噴霧化セクション及びストリッピングセクションからのHOClの全回収率は最小になる。したがって、HOClの全回収率を最大にし、塩素酸塩の生成を最小にするためのこれらの条件のバランスをとる場合、液体が塔の蒸留セクションの中に落ちる前に、70モル%未満のHOClの脱着が一般的に観察される。
蒸留が起こる圧力は重要ではないが、好ましくは、HOClを気相と液相とに分配するのに十分な温度を提供する十分な圧力である(40℃を超える温度を得るには50mmHg(6.7kPa)を超える絶対圧力である)。1250mmHg(166.7kPa)を超える高い圧力は、液体から蒸気相へと分配するHOClの量を抑制し、且つHOClの塩素酸塩への極めて迅速な分解を提供する作業温度を生じさせることがある。特に、ノズル(単数又は複数)又は噴霧化手段に関する好ましい態様では、塔は、好ましくは絶対圧力50−1250mmHg(6.7−166.7kPa)、更に好ましくは300−1000mmHg(40−133.3kPa)、最も好ましくは500−760mmHg(66.7−101.3kPa)で運転される。
ノズル(単数又は複数)又は噴霧化手段を含む好ましい態様に従う本発明の実施においては、気体HOCl及びCl2O蒸気及び液体HOCl水溶液へのHOClの分配は、好ましい圧力で運転される回収塔の頭部空間で都合良く起こる。頭部空間において蒸気相へと分配するHOClのモル%は、供給濃度、入って来る次亜塩素酸溶液の温度、圧力、及び塔中に存在している蒸気(塩素、水、及び不活性化合物)の量の関数である。液相と蒸気相との間のHOCl分配に関する蒸気/液体平衡データは、文献において、例えばC.H.Secoy及びG.H.Cady,「水における一酸化塩素の溶解度に関する温度及び圧力の効果」, Journal of the American Chemical Society, vol.63, pp.2504-8, (1941);H.Imagawa,「塩素酸塩製造電解槽における化学反応。パート1:次亜塩素酸水溶液上の次亜塩素酸の蒸気圧」,Journal of Electrochemical Society of Japan, vol.18, pp.382-5,(1950);及びH.Imagawa,「塩素酸塩槽の化学反応に関する研究。パート2:塩素酸ナトリウムと混合された次亜塩素酸水溶液に関する次亜塩素酸の蒸気圧」,Journal of Electrochemical Society of Japan, vol.19, pp.271-4,(1951)において十分に説明されている。更に、HOClと一酸化二塩素の蒸気相平衡が、H.D.Knauthらによる「気体反応Cl2O+H2O=2HOClの平衡定数及びHOClの紫外スペクトル」,Journal of Physical Chemistry, vol.83, pp.1604-1612,(1979)において説明されている。充填ストリッピングセクション前の蒸気空間中へのHOCl脱着の範囲は、30−70モル%であり、好ましい範囲で変化する。
供給濃度は、低い濃度が適当であるが、有利には、0.5モルを超えるHOCl濃度である。カルシウム又は他のアルカリ土類金属の化合物を用いるとき4.5モルを超えるHOCl供給濃度は望ましくない。なぜならば、次亜塩素酸カルシウムの製造時(工程1)において沈殿が生成することと、HOClの塩素酸塩への分解速度が急速であるからである。したがって、好ましいHOCl供給濃度は0.5−4.5モルであり、更に好ましくは2.0−4.0モルである。
HOClとCl2Oを含む塔頂蒸気は、HOClの低塩化物水溶液を生成し(工程5)、蒸留装置の底部からの塩化カルシウムブラインは、任意に、塩化物除去のためのブライン処理へと前方に送られる(工程9)。上述したように設計され且つ運転される蒸留装置は、供給における初期HOClを基準として、80モル%を超えるHOCl回収率を有利に提供する。
5)低塩化物水中にHOClとCl2Oを吸収して、HOClの低塩化物水溶液を製造する工程;
この工程(5)における反応は、回収塔に関して言及した反応(工程3及び工程4)(化学方程式4及び化学方程式5)の逆であり、HOClとCl2O蒸気は水中に吸収される。HOCl溶液は実質的に塩化物イオンを有していないので、最終HOCl溶液中におけるHOClの塩素酸塩への分解は最小である。前記の塩化物濃度は、好ましくは1000ppm、更に好ましくは500ppm未満、最も好ましくは200ppm未満である。本発明の実施において極めて好ましい、実質的に塩化物イオンが存在していない低塩化物HOCl溶液を製造するためには、吸収のために用いられる水の中の塩化物濃度も極めて低く、好ましくは1000ppm、更に好ましくは500ppm未満、最も好ましくは200ppm未満であり、また蒸留工程(工程3及び工程4)からの液体連行が先に考察したように最小化される。
HOCl水溶液を作るために、回収塔からのHOClとCl2O蒸気は、有利には、スプレー塔、トレー塔又は充填ベット塔(以下、吸収塔)において、新鮮な水(低塩化物水を意味している)に対して対向流にして供給される。水は、好ましくは10℃−60℃、更に好ましくは40℃の温度で、充填物又はトレーの上にある回収塔の上部に入る。塔底にあるHOCl溶液は、好ましくは、当業技術の範囲内にある手段によって、例えば熱交換器を用いることによって、30℃−60℃、好ましくは40℃まで冷却される。この冷却されたHOCl溶液は、その一部は塔へと、好ましくは塔の中心部分に再循環されて、60℃未満、好ましくは50℃未満の温度に塔を維持するために、HOClと水蒸気の吸収熱を除去するのを助ける。これらの温度は、HOClの塩素酸塩への分解速度を最小にするために、またHOClの水中への吸収を高めるために維持される。
吸収塔は、有利には、スプレー塔、充填ベット塔又はトレー塔であり、好ましくは充填ベット塔である。充填物は、有利には、例えばポールリング又はくら形充填物のようなランダム充填物、又は例えば工程4の回収塔のところで説明したような構造化充填物である。充填物は、好ましくは、有利な耐腐食性材料、例えばセラミック、ポリテトラフルオロエチレン ポリビニリデン フルオリド、又はチタンから作られる。充填物は、有利には、充填物が完全に湿潤されて最適な気体/液体接触を確実に提供するように、各セクションの上部に液体分配器を有する少なくとも2つのセクション中に存在している。上部セクションは、塔中に新鮮な水を分配し、底部セクションは、上部充填セクションからの液体と、熱交換器からの再循環HOCl溶液とを分配する。新鮮水は吸収塔の上部から入り、工程3及び工程4の回収塔からの気体は、底部充填セクションの下から入る。塔底にある液体HOCl溶液は、外部熱交換器で冷却され、その一部は、上記の塔へと再循環される。例えば塩素、水蒸気、及び不活性材料、例えば空気又は窒素を含む未凝縮気体は、吸収塔の上部から出て、有利には、その一部は工程3及び工程4の回収塔へと再循環され、もう一部は、スクラビングのために除去され、大気の塔へと再循環される。例えば塩素、水蒸気、及び不活性材料、例えば空気又は窒素を含む未凝縮気体は、吸収塔の上部から出て、有利には、その一部は工程3及び工程4の回収塔へと再循環され、もう一部は、スクラビングのために除去され、大気へと排気する前に塩素が除去される。
塔は、好ましくは、絶対圧力50−1250mmHg(6.7−166.7kPa)、更に好ましくは300−1000mmHg(40−133.3kPa)、最も好ましくは500−760mmHg(66.7−101.3kPa)で運転される。放出気体は、好ましくは、水酸化カルシウム(石灰)スラリー又は水酸化ナトリウム(苛性アルカリ)で洗浄されるか、又は別の方法で処理されて、排気する前に塩素が除去される。金属次亜塩素酸塩、未反応金属水酸化物、及び金属塩化物の水性混合物を含むスクラバー流出液は、任意に、次亜塩素酸塩を生成させるための第一塩素化反応(工程1)へと再循環される。
この工程(5)の生成物は、本明細書では、「低塩化物」次亜塩素酸又はHOCl溶液と呼び、好ましくは、前記生成物は、40−60℃において、HOCl濃度1−10重量%、更に好ましくは3−7重量%、最も好ましくは4−5重量%を有し、且つ好ましくは塩化物濃度1000ppm未満、更に好ましくは500ppm未満、最も好ましくは200ppm未満を有する水中HOCl溶液である。HOClの前記濃度は十分な水を用いて得られる。好ましい態様で説明されている吸収装置の場合、溶液は吸収装置の底部に存在する。溶液は、工程6のオレフィンと反応させるために前方へ供給される。塩素と水蒸気は、好ましくは、吸収塔の頂部留出物として除去され、好ましくは、例えば機械的ブロアー又はエダクターを介してHOCl回収塔へと再循環される(工程4)。しかしながら、別法として、水蒸気及び他の材料は別の方法で処理又は回収される;例えば、水蒸気は、すべて当業技術の範囲内にある手段によって任意に凝縮される。
6)反応器中において均一な定常状態HOCl濃度を0.2重量%以下に保つのに十分な逆混合を有する連続撹拌タンク反応器を用いて、連続法で、低塩化物次亜塩素酸水溶液をオレフィンと接触させて、対応するオレフィンクロロヒドリンを作る工程;
オレフィンの具体例としてのプロピレンに関して、主反応は、以下の化学方程式:すなわち、
によって表される反応で、プロピレンクロロヒドリン、すなわち1−クロロ−2−プロパノール又は2−クロロプロパノール(PCH)、二塩化プロピレン、すなわち1,2−ジクロロプロパン(PDC)、ジクロロイソプロピルエーテル、すなわちビス−1−クロロイソプロピルエーテル(DCIPE)、ジクロロヒドリン、すなわち1.3−ジクロロ−2−プロパノール又は2,3−ジクロロプロパノール(DCH)、及びモノクロロアセトン、すなわち1−クロロプロパノン(MCA)を生成する。
低塩化物HOCl溶液をオレフィンと接触させて、水中アルケンクロロヒドリンを製造する工程(6)において、入り供給HOCl濃度は1.0−10重量%、好ましくは3−7重量%、更に好ましくは4−5重量%である。なぜならば、前記濃度によって、水の必要量と副生物生成との間に良いバランスが得られるからである。例えば、5重量%HOCl溶液は、例えば「プロピレンオキシド」,Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 第3版, vol.19(1982), pp.246-274において提出されているような従来技術の方法によるこの反応で通常用いられる水の量に比べて半分の量の水を用いていることを示している。HOCl溶液の塩化物含量が低いことによって、引例において提出されている従来技術の方法におけるプロピレンからPDCへの収率4−8モル%に比べて、プロピレンからのPDC副生物の生成は2モル%未満となる。より高濃度のHOClを用いると、エーテル(DCIPE)副生物の生成率は高くなる。
少なくとも1つの炭素・炭素結合を有し、非芳香族で、二重結合を有する任意のオレフィン、すなわちアルケン又はアリールアルケンは適当に用いられ、好ましくは2−10個の炭素原子を有し且つ線状、枝分れ又は環状、好ましくは線状のオレフィンである。適当なオレフィンとしては、アミレン、アレン、ブタジエン、イソプレン、アリルアルコール、シナミルアルコール、アクロレイン、メシチルオキシド、アリルアセテート、アリルエーテル、ビニルクロリド、アリルブロミド、メタリルクロリド、プロピレン、ブチレン、エチレン、スチレン、及びアリルクロリド、及びそれらの同族体及び類似体が挙げられる。プロピレン、ブチレン、エチレン、スチレン、及びアリルクロリドは好ましいオレフィンであり;プロピレン、ブチレン、及びアリルクロリドは更に好ましく、プロピレンは最も好ましい。オレフィンは未置換(好ましい)又は不活性置換されており、クロロヒドロン又はエポキシドの生成を好ましくなく妨害しない任意の基で置換されている。不活性置換基としては、塩素、弗素、フェニルが挙げられる。オレフィンの量は、有利には、確実にHOClを完全に反応させるために、HOClに関して少なくとも化学量論量である。なぜならば、未反応HOClによって、しばしば、下流装置において腐食の問題が生じるからである。好ましくは、反応器には、0−25モル%過剰、更に好ましくは1−10モル%過剰のオレフィンを供給する。
温度、圧力、及び反応時間の条件は重要ではなく;任意の条件下で、HOClとオレフィンとの反応は適当に用いられる。有利には、HOCl溶液は、工程5から30−60℃の温度で、好ましくは40℃で反応器に供給される。低い温度の場合、冷凍又は他の冷却が必要であるので、都合良くは、オレフィン反応の温度は少なくとも40℃であり、更に好ましくは反応温度は少なくとも60℃である。反応器が断熱状態で運転され、供給温度が3%を超える場合、例えば温度を70℃以下に保つのにいくらかの冷却が必要となる。反応器中において水と有機化合物の気化を防止するためには、好ましくは温度は100℃未満であり、更に好ましくは90℃未満であり、また、望ましくない副生物の生成を抑えるためには、最も好ましくは80℃未満である。
好ましい態様において、連続撹拌タンク反応器(CSTR)が用いられるとき、前記反応器は恒温で運転し、一方、プラグ流れ型反応器は通常は断熱状態で運転する。したがって、有利には、反応熱は、例えば再循環熱交換器及び/又は反応器ジャケットにおいてCSTRから除去される。反応器に関する外部加熱又は外部冷却を最小にするために、反応熱が望ましい反応温度まで供給材料の温度を上昇させるように、好ましくは、反応熱は原料供給温度と適合させる。温度を適合させることは、当業技術の範囲内である。例えばプロピレンと反応させるHOCl供給濃度1モル(5重量%HOCl)によって、温度は断熱的に55℃まで上昇する。したがって、90℃の反応温度が望ましい場合、供給温度は有利には35℃である。供給温度と反応温度との差がより小さいと冷却が必要であり、より大きいと加熱が必要である。温度の調節は、当業技術の範囲内にある任意の手段によって、例えばジャケット付き反応器、反応器中水中コイル、又は外部再循環ライン中にある熱交換器によって達成される。
より高い圧力を用いると、気体プロピレンの物質移動が例えばHOClに関して増大して、全反応速度が増加するので、都合良くは、圧力は少なくとも大気圧、好ましくは少なくとも2atm(202.6kPa)ゲージ、更に好ましくは少なくとも4atm(405.6kPa)ゲージである。より低い圧力の場合、反応器の二次加工コストが減少するので、都合良くは、圧力は150psig(1037kPaゲージ)未満、更に好ましくは100psig(691kPaゲージ)である。
都合良くは、HOClとプロピレンとの反応には十分な時間が要求されるので、例えばプロピレンに関する反応時間としては、少なくとも5分間、更に好ましくは少なくとも10分間である。予め選択された量の生成物を製造するのに必要とされる反応容器のサイズを最小にするためには、都合良くは、反応時間は、30分間未満、更に好ましくは15分間未満である。CSTR中におけるHOClの転化率は、有利には、少なくとも90モル%、好ましくは98モル%を超える。その結果、反応したHOCl溶液から生じる水によって希釈される反応器中のHOCl濃度は、0.2重量%を超えず、好ましくは0.1重量%未満である。より低い転化レベルの場合、生成物クロロヒドリン、例えばPCHの酸化から生じる塩素化ケトン、例えばMCAの収率はより高くなる。有利には、転化率はCSTRにおいて99.8モル%未満であり;より高い転化率は可能であるが、より長い滞留時間が要求されるので、予め選択した量の生成物を製造するためにはより大きな装置が必要となる。この転化率のために必要とされる滞留時間は、反応温度、望ましい転化レベル、撹拌、過剰のオレフィン、反応器圧力(オレフィンが気体の場合)、HOCl供給における塩化物レベル、及びHOCl供給濃度の関数である。例えば、60℃、4atm(405.2kPa)ゲージ圧において、ガスによって回転する羽根車(gas-inducing impeller)を用いて、塩化物200ppm未満を含む5重量%HOClとプロピレン(25モル%過剰)とを反応させる場合、CSTR中においてHOClを99.5モル%転化させるのに15分間必要である。
工程6は、HOClによるクロロヒドリンの塩素化ケトンへの更なる酸化、例えば化学方程式13に示されているPCHのMCAへの酸化を最小にするための連続逆混合反応器で有利に行われる。驚くべきことに、我々は、プロピレンと、例えばプラグ流れ型又は回分式反応器における低塩化物HOCl溶液との反応により、本発明の実施にしたがう連続撹拌タンク反応器を用いたときの0.2%未満の選択率に比べて、1%を超える許容不可能な高いMCA選択率が生じてしまう、ことを発見した。0.2モル%を超えるMCA又はケトンの収率は、塩基とそれらが反応してアセトール(1−ヒドロキシプロパノン)を生成してしまうために、望ましくない。化学方程式18、工程7参照。望ましくないことに、アセトールの増加によって、工程7の流出ブライン中における有機化合物レベルが増加する。MCAの選択率を例えば0.2モル%以下に調節するために、CSTRにおける定常状態のHOCl濃度を、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%未満に調節する。定常状態HOCl濃度は、供給HOCl溶液を反応器内容物で希釈すること(HOCl供給濃度、供給量、及び反応器の容積の関数)と、反応動力学(温度、圧力、気・液接触(混合)、反応体濃度、及び反応時間の関数)とを組み合わせることによって調節される。
逆混合反応器とは、反応生成物が供給材料と完全に混合されて、反応容器全体において均一な生成物と反応体の濃度が得られる反応器であると規定される。更に、連続逆混合反応器は、出口生成物ラインにおいて、反応器中における濃度に等しい生成物及び反応体の濃度を有する。この濃度は、本明細書では、均一な定常状態濃度と呼ぶ。それは、反応器中の任意のポイント又は出口生成物ラインから採取されたサンプルを分析すると、同じ組成を有していることを意味している。このタイプの連続反応器としては、例えば連続撹拌タンク反応器又はCSTRと通常呼ばれている反応器がある。
吸収塔からのHOCl溶液は、好ましくは、オレフィンと共にCSTRに供給される。CSTRは、例えばその形状が偏平、楕円形又は球形で、好ましくは反応体供給用の少なくとも6つの入口(より多数のまたはより少数の入口が任意に用いられる)を有する上部ヘッド(top head)、撹拌機、ガス換気孔、液体再循環戻し、及び圧力、温度及びレベルを測定する装置、及び好ましくは容器から液体を除去するための少なくとも1つの口を有利に有する楕円形又は球形の底部ヘッドを有し;上部と底部との間に、圧力、温度及びレベルを測定する装置用の入口及び/又は出口を任意に有する円筒形のストレート壁が有利に存在している容器を有利に含む。任意に、及び好ましくは、前記容器には、熱交換液を循環させるための入口と出口とを有する熱交換を目的とするジャケットが付いている。容器の内側には、撹拌手段、有利には(例えばベンチュリミキサーも含む可能な撹拌手段の一例としてこの考察で用いられる)撹拌機がある。好ましくは、撹拌手段が液体で覆われる場合、その液体の上に蒸気空間が存在するように、撹拌手段は、容器の垂直寸法に比べて小さい。任意に、反応器の内側には、容器のストレート壁に沿って2つ又はそれ以上の垂直バッフル(vertical baffles)がある。任意に、反応器の外側には、例えば冷却用の熱交換器(すなわち、反応熱の一部を除去する)、及び熱交換器を通して反応容器の底部から、反応容器の上部へと戻し、反応容器の液面の上又は下に放出して、生成物を再循環させるための再循環ポンプが有利に存在している。再循環ポンプは、都合良くは、吸収ライン及び少なくとも1つの放出ラインを有し、前者は、反応容器の底部ヘッドの中心線において都合良く反応容器に接続されていて、後者は、上部ヘッドにおいて熱交換器に対して、次に都合良くは反応容器に対して接続されている。また、生成物は、反応器中で一定のレベルを保つのに十分な速度で、再循環ポンプによる放出によって反応器から取り出される。好ましくは、気体を導入するときには、好ましくは撹拌羽根車の下に、気体用のスパージャー(sparger)が存在する。例えばアリルクロリドのような液体オレフィンの場合には、前記液体も撹拌羽根車の下に導入される。液体次亜塩素酸流は、有利には、反応器の上部ヘッドか又は再循環ライン(例えば、再循環ポンプの吸引)を通って反応器中に入る。
有利には、CSTRは十分な気・液接触を達成するように設計される。気泡が液体と連続接触状態に保たれるような気体分配が達成されるように設計された市販の撹拌機、例えばChemineer, Inc.から市販されているChemineerモデルCD−6撹拌機、又はMixing Equipment Companyから市販されているLightninモデルA−315撹拌機が好ましく用いられる。気体/液体接触の増強は、ガス誘導接触子(gas-inducing contactors)、特に例えば中空軸撹拌機又はPraxair Inc.から市販されているLinde Advanced Gas Reactor(AGR)ヘリカルスクリュー型撹拌機のような撹拌機として羽根車、又はドラフト管を有する他のヘリカルスクリュー接触子を用いることによって達成される。撹拌は、有利には、軸方向である:すなわち、撹拌機の軸に沿って反応器の上部から液体を引き入れ、容器の底部へと下降流を押し流し、容器の壁に沿って上方へと循環させる。撹拌機の下方推力は、撹拌機の下に位置しているスパージャー又は気体入口手段から気体(又は液体)を捕まえて、望ましい気体分配又は液体混合を生じさせる。ガス誘導接触子、特に羽根車は、更に、反応器の蒸気空間からガスを引き出し、底部撹拌機のブレードの下に放出するので、反応溶液から抜け出して来る再循環オレフィンは溶液中に戻る。この循環は、好ましくは、効率のために、溶液を含む反応容器の内部で達成されるが、例えば外部再循環ブロワー又は圧縮機によって、容器の外部で適当に行われる。したがって、ガス誘導接触子、特に羽根車は、再循環が容器の内部で行われるので、気体オレフィンの再循環にとっては好ましい技術である。気泡はCSTRにおいて生成するが、より小さな気泡によって物質移動が高められ、それによって反応速度が速くなるので、好ましくは気泡は出来る限り小さく保たれる。気泡は、例えばスパージャー設計、撹拌速度、及び上記した撹拌機設計のような当業技術の範囲内にある手段によって、また高圧によって、小さく保たれる。望ましい気泡サイズを得るために前記パラメーターを調節することは、例えばY.T.Shahによる「機械的に撹拌される反応器に関する設計パラメーター」, Advances in Chemical Engineering, James Wei編,vol.17, Academic Press, New York(1991)pp.1-31,169-206において考察されている当業技術の範囲内にある。前記の引例は、当業技術の範囲内にあるガス誘導接触子の一例でもある。
HOClの転化は、CSTR後の第二のプラグ流れ型反応器において任意に完了される(100モル%まで)。このプラグ流れ型反応器は、有利には、一本の管であるか、又はプラグ流れ特性を生じさせる他の容器であり、HOClとオレフィンとの反応に関して十分な滞留時間を与える。プロピレンに与えられるCSTR条件に対して、有利なプラグ流れ反応器は、1分間の滞留時間を有する。CSTRにおける転化率は都合良くは98−99.8モル%であり、プラグ流れ反応器を用いるとHOClは更に0.2−2モル%転化する。
従来のクロロヒドリン製造(例えばKirk-Othmer Encyclopedia of Science and Technology,第3版, vol.19, p.254, (1982)に示されている)においてPCHの選択率が94モル%未満であり、PDCの選択率が4モル%を超えていることに比べて、例えばCSTR後及び好ましいCSTR条件下では、プロピレンクロロヒドリン(PCH)選択率(プロピレンを基準として)は96モル%を超えるまで増加し、プロピレンジクロリド(PDC)選択率は2モル%未満まで減少する。プラグ流れ反応器における転化率が低レベルの場合、プラグ流れ反応器の後の全選択率は、CSTRと実質的に同じになる。低塩化物HOCl溶液を用いるので、例えばプロピレンから生じるプロピレンジクロリド(PDC)を含む塩素化有機化合物副生物に関する選択率は有利に低く、PDCは好ましくは4モル%未満であり、好ましくは2モル%未満、更に好ましくは1モル%であり、前記の濃度は、Kirk-Othmer Encyclopedia of Science and Technology,第3版, vol.19, p.254, (1982)に示されている従来のクロロヒドリン製造において認められるように、塩化物イオンがより高濃度で存在しているときに生じる濃度よりも好ましく低い。他の副生物に関する選択率(プロピレンを基準として)、例えばビス(クロロイソプロピル)エーテル(DCIPE)、ジクロロヒドリン(DCH)、及びモノクロロアセトン(MCA)に関する選択率は、好ましくは低く保たれ、例えばDCIPE 2.0モル%未満、DCH 0.5モル%、及びMCA 0.2モル%である。驚くべきことに、プラグ流れ反応器又は回分式反応器における、例えばプロピレンと低塩化物HOCl溶液との反応では、本発明の実施にしたがうCSTRを用いるときの0.2%未満の選択率と比べて、許容不可能な程に高い1%を超えるMCA(ケトン)選択率が生じてしまうことを発見した。MCA又はケトンの0.2%超える収率は、塩基と反応させてアセトール(1−ヒドロキシプロパノン)を作るためには、望ましくない。アセトールの増加によって、工程7の流出ブラインにおける有機レベルは望ましくない程に増加する。
最も好ましい態様では、用いる場合には、例えば60−80℃においてPCHを6.5−8.5重量%含むCSTR反応器又はプラグ流れ反応器からの放出物(蒸気及び液体)は、未反応のプロピレン又は塩素ガスを排気するためのガス抜き容器に入る。塩素ガスは、プロセス液において、塩素、塩化物、H+、及びHOClの平衡の結果として存在する。HOClにおける塩化物濃度が低いことによって、塩素ガスはほとんど又はまったく発生しないように塩素濃度は都合の良いことに飽和濃度未満である。放出物の流れは、ガス抜き容器、すなわち圧力容器の上部に入り、1−5分間滞留する。前記容器は、わずかに減圧(絶対圧力650mmHg(86.7kPa))下で任意に運転され、例えばプロピレンのような溶解ガスのガス抜きを助ける。前記容器では、再循環又は撹拌は必要ではなく、また熱交換器(加熱又は冷却)も必要ない。
ガス抜き容器は、例えば、冷却水又は別のプロセス流によって40−50℃まで冷却される管形熱交換器を用いて冷却して、フラッシュ水(flashed water)及び有機化合物を凝縮及び還流してガス抜き容器へと戻す塔頂蒸気換気孔を有する。次に、ベントガス(未凝縮ガス)は、好ましくは、石灰スクラバー又は他の手段によって、塩素ガスが除去される。例えば並流又は対向流気体/液体接触が行われる充填塔を用いて、液体で気体を洗浄する当業技術の範囲内にある任意のスクラバー装置が都合が良い。
残留オレフィン、例えばプロピレン及び不活性ガスは、都合の良いことに、HOCl/オレフィン反応器へと部分的に再循環され(工程6)、もう一部分はバーナーへと流れる。バーナーへと流される望ましい気体の量は、主として原料の純度に左右される。例えば、化学グレードのプロピレン(プロパン5重量%)の代わりに、ポリマーグレードのプロピレン(プロパン0.5重量%未満)を用いると、プロパンガスを除去するためのパージの必要量(再循環ガスの体積で測定した場合)が有意に低下する。ガス抜き容器の底部から出て来る材料は、例えば、プロピレンクロロヒドリン6.5−8.5重量%、副生物の塩素化有機化合物0.5重量%未満であり、有利には、例えばポンプによってエポキシ化反応(工程7)へと運ばれる。
7)オレフィンクロロヒドリンを塩基と任意に接触させて、対応するアルキレンオキシド及び塩溶液を製造する工程;
主として望ましい反応は、クロロヒドリンを水酸化ナトリウム又は任意に水酸化カルシウム反応させて対応するエポキシドを生成させる反応である。しかしながら、多数の副反応がある。例えばプロピレンオキシド(PO)は加水分解してプロピレングリコール(PG)となるようにエポキシドは加水分解してグリコールとなる。ジクロロプロパノール(DCH)はエピクロロヒドリン(Epi)へと転化され、更に加水分解されてグリシドールとなる。MCAはアセトール(1−ヒドロキシプロパノン)へと転化される。PA(プロピオンアルデヒド)は、しばしば、PCHの脱塩化水素反応中に生成し、次にアルドール縮合によって2M2P(2−メチル−2−ペンテナール)となる。アルデヒド及びケトンへのエポキシドの異性化が起こり、また様々なアルドール縮合反応生成物も生成する。プロピレンオキシドの製造中に存在する化学薬品に関して、その主反応を以下に掲げる:
クロロヒドリンと、水酸化ナトリウムのような塩基の水溶液又は水酸化カルシウムの水性スラリーとを接触させて、クロロヒドリンからエポキシドを製造する工程(7)において(該エポキシドは塩化ナトリウム又は塩化カルシウムそれぞれの水溶液中に存在する)、水酸化物の量及び濃度は、対応するエポキシドを生成する適当な任意の量及び濃度である。この目的のためには、塩基の量、好ましくは水酸化物の量は、有利には、クロロヒドリン及びDCHをエポキシ化し、上述した置換反応及び加水分解反応を行うのに少なくとも十分な量であり、好ましくは、工程6の反応器に供給されるHOClを基準とする化学量論量の少なくとも1.005倍、更に好ましくは、すべてのPCHが反応してPOを生成することを確実にするために、例えば化学方程式14,16,17及び18によって表された反応を基準とする化学量論量の少なくとも1.01倍の量である。水酸化物を過剰に用いることは、酸性条件下の速度に比べて、POのPGへの加水分解速度を遅くするのに有益である。好ましくは、アルカリ金属水酸化物を用いることによって、PCHからPOへの収率を最小にし、また例えばE.Bartholomeによる米国特許第3,886,187号(1975年5月27日)に記載されている石灰スラリー中に懸濁された固体と関係のある困難な問題を排除する。
エポキシ化反応器への供給における水酸化物の濃度は、エポキシドを生成させるのに十分な濃度であり、またプロピレンオキシド及び他の有機化合物をストリップした後の溶液が少なくともpH11を有するのに十分な濃度である。少なくとも1重量%の金属水酸化物濃度が好ましく、更に好ましくは少なくとも4重量%である。より高い濃度(例えば、水酸化ナトリウム50重量%以下)を用いると、液体の体積が小さくなるというプスロセに対する利点が生じる。
温度、圧力及び反応時間の条件は重要ではなく;任意の条件下で、エポキシドを製造するためのクロロヒドリンと水酸化物との反応は適当に用いられる。POへと反応させるのに十分に長く未反応PCHを溶液中に保つために、好ましくは、温度及び圧力を調節してPCHの気化を防止する。それは、1atm(101.3kPa)で95℃未満であり、共沸混合物PCH/水の沸点条件である。都合の良いことには、温度は、塩基とクロロヒドリンとの反応速度を最小にし、また生成物プロピレンオキシドを気化させてプロピレンオキシドのプロピレングリコールへの加水分解反応を最小にするためには、少なくとも70℃であり、更に好ましくは少なくとも85℃である。
PCHの苛性アルカリとの反応速度は極めて速く、90℃及び塩基として水酸化カルシウムスラリー(水中における水酸化カルシウムの溶解度によって、溶液中における水酸化物濃度は90℃で0.021モル/リットルに制限される)の使用の条件下で、99.5モル%まで完了させるのに6秒間であり、また90℃及び水酸化ナトリウム8重量%使用の条件下では、1秒間未満である。この反応の動力学に関しては、Carraらによる「プロピレンクロロヒドリンからのプロピレンオキシドの合成--I:プロセスの動力学面」,Chemical Engineering Series, vol.34, pp.1123-1132, 1979を参照。副反応は、典型的には、溶液中PO濃度の関数であるPOのPGへの加水分解を除いて、同じ時間で完了する。好ましくは、生成されるグリコールの量を最小にするために、POが生成したら、直ちに気化させる。
8)塩溶液からアルキレンオキシドを任意に分離する工程
塩化ナトリウムと水酸化ナトリウムとの水溶液又は塩化カルシウムと水酸化カルシウムとの水溶液からエポキシドを分離する工程(8)は、エポキシドを分離する任意の方法によって達成される。前記方法は、当業技術の範囲内にあり、例えば蒸留又は水蒸気ストリッピングである。Bartholomeらは、米国特許第3,886,187号(1975年5月27日)において、クロロヒドリンと塩基(水酸化ナトリウム又は水酸化カルシウム)との反応生成物を、ストリッピング塔の塔頂に供給する方法を説明している。プロピレンオキシドを含む蒸気、水蒸気、及びいくらかの有機化合物副生物及び液体ブラインの初期分離は、前記塔の塔頂空間で起こる。次に、液体ブラインは、トレー又は充填セクションを通って下方へと流れる。前記トレー又は充填セクションでは、上方へと流れている水蒸気(5重量%プロピレンクロロヒドリン溶液の鹸化から生成されるプロピレンオキシド1kg当たり水蒸気1−2kg)が液体と接触して、残留している溶解プロピレンオキシドを溶液からストリップする。この分離の条件は、好ましくは90−120℃及び絶対圧力2.0atm(202.6kPa)であると記載されている。プロピレンオキシドを含む蒸気、水蒸気(steam)、及び副生物である有機化合物は塔頂から取り出される。その場合、部分的縮合は、水の一部をストリッピング塔へと還流するために任意に行われるが、プロピレングリコールの生成を最小にするために、プロピレンオキシドはほとんど又はまったく還流されない。次に、蒸気の残りは、プロピレンオキシドを最終精製する前に凝縮される。
例えばグリコールとアセトールは、塔底に好ましく存在する生成した塩化ナトリウムブライン中に残留している(残液)。他の有機化合物副生物は、塔底において、それぞれ10ppm未満である。
9)塩素酸塩を酸と接触させて塩素酸塩を塩素へと転化させることによって工程3又は工程4の少なくとも1つの工程で生じる塩化物ブラインから塩素酸塩を任意に除去する工程;及び
HOCl回収塔(工程3及び工程4)からの塩化物ブライン中にある塩素酸塩は、当業技術の範囲内にある様々な方法によって任意に還元される。
しかしながら、好ましくは、塩素酸塩を、HCl又は他の酸と反応させてHOClを生成させ(化学方程式21)、更に反応させて塩素とし(化学方程式22)、その塩素はブラインから任意にストリップされる(化学方程式24)。その反応を以下に掲げる:
全反応は:
R.Dotsonは、「次亜塩素酸で酸性化されたブライン中における塩素酸塩イオンの熱分解に関する動力学及び機構」,Journal of Applied Chemical Biotechnology, vol.25, 1975, pp.461-464において、化学方程式21は律速段階であること、及び動力学は、モル/リットル(モル/L)、°K、及び分の単位を有する以下の式:
で表されることを報告している。
塩素酸塩を還元するための都合の良い反応器を設計するために、上記の式は都合良く用いられる。例えば、140℃、pH=1、[Cl-]=4モル/リットルにおいて、塩素酸塩を99モル%還元するには、必要な滞留時間は16.5分間である。反応条件は、プロセスの必要滞留時間を満たすように都合良く調節される。例えば、温度が高く、pHが小さいと、塩素酸塩を還元するのに必要な滞留時間は短くなり、一方、温度が低く、pHが高いと必要な滞留時間は長くなる。
別法では、塩素酸塩は亜硫酸と反応する:
上記の反応は、E.H.Gleasonらによる「塩素酸塩・亜硫酸塩反応の動力学」,Journal of Physical Chemistry, vol.61, 1957年4月, pp.447-450において考察されている。反応速度は、リットル、モル、°K、及び秒の単位で、下式:
で表される。
塩素酸塩を99モル%まで還元するために亜硫酸を用いる反応に関する有利な一例としての反応条件は、pH2、温度60℃、及び反応時間4.5分間である。Gleasonは、前記反応は、好ましくは、化学量論量を超える過剰の酸を用いて行い、反応完了に要する時間を最小にする。塩素酸塩含量を99モル%まで減少させるのに有利な条件の範囲としては、pH1−3、温度40−100℃であり、反応時間は低いpHと高い温度では5秒間、高いpHと低い温度では130分間である。これらの方法は本発明で用いる、当業技術の範囲内にある有利な方法を示している。
次亜塩素酸を用いて塩素酸塩を塩素へと還元することには、本発明方法の例えば工程1又は工程4へと生成された塩素を再循環させることができるので、塩素からの全収量を増加させるという利点がある。更に、次亜塩素酸は、亜流酸に比べて、より容易に入手できる原料である。亜流酸を使用することにより、よりゆるやかな運転条件及び反応時間、したがってより小さい装置及びより低いエネルギー必要量で済むという利点が得られる。反応が完了したら、有利には、生成物である酸性の塩化カルシウムブラインは、放出する前に、好ましくは水酸化カルシウムスラリーでPH5−6.5まで、又は水酸化ナトリウムでpH5−8まで中和される。得られたブラインは、放出する前にエネルギーを回収するために任意に冷却される。
10)工程1又は工程4の少なくとも1つの工程へと塩素を任意に再循環させる工程。
HClを用いて塩素酸塩を還元して塩素にすることの利点は、溶液から塩素が任意にガス抜きされて、例えば工程1で次亜塩素酸塩を製造するときに、又は工程4のストリッピング塔において利用するために回収される点にある。
プロセス工程1−10に加えて、生成物のエポキシド及び様々な反応から生じる溶液は、当業技術の範囲内にある手段によって、任意に且つ有利に、更に精製される。例えば、当業技術の範囲内にある蒸留装置を用いてクロロヒドリンプロセスから製造されるプロピレンオキシドを精製する1つの有利な方法を説明しているNaugleによる米国特許第3,282,966号において開示されている方法によって、副生物であるハロゲン化有機化合物からエポキシドは有利に分離される。プロピレンオキシド40重量%−90重量%及び残りが水、プロピレンジクロリド及び他の有機不純物から成っている未精製水蒸気が精製されて、99重量%を超える純粋なプロピレンオキシド生成物流が得られる。まず最初に、この方法では、未精製プロピレンオキシド流が蒸留塔へと供給され、そこで、前記の流れは、大量の水、プロピレンジクロリド及び他の有機不純物から成る塔底留分と、プロピレンオキシド95重量%−99.9重量%、水0.1重量%−5重量%及び他の有機不純物0.1重量%−2重量%から成る塔頂留分とに分別される。次に、塔頂留分は、第二蒸留塔へと供給され、そこで、前記の流れは分別されて、プロピレンオキシド10重量%−90重量%、残りが水及びプロピオンアルデヒドから成る塔底留分となる。この第二蒸留塔から生じる塔頂留分は、99重量%を超えるプロピレンオキシド、極微量の水、及び50重量ppm未満の他の不純物から成る。この第二蒸留塔から生じる塔底留分の再循環及び更なる加工が行われて、その中に含まれているプロピレンオキシドが回収される。
また、有利には、副生物であるハロゲン化有機化合物は、例えば、当業技術の範囲内にある蒸留又は分離技術によるプロピレンジクロリド(PDC)、エピクロロヒドリン(Epi)又はジクロロイソプロピルエーテル(DCIPE)の分離及び精製のように、互いから及び水から分離される。
更に、工程8のブライン中に存在するプロピレングリコールのような有機化合物副生物は、有利には、当業技術の範囲内にある酸化、抽出又は吸収プロセスによって除去される。この材料流の中に存在する低い有機種濃度では、生物学的酸化は好ましい技術である。NaClブライン(又は任意にCaCl2ブライン)中に存在している有機副生物を除去するための生物学的酸化の用途では、有機汚染物の毒性を消すために選択された微生物は、当業技術の範囲内にある手段によって調節された環境において、前記ブライン中に存在している有機化合物を代謝して分解することができる。
当業者は、本発明方法の各工程において、スチール及び同様の金属に対してしばしば腐食性である化学薬品が存在し;したがって、そのような化学薬品と接触する装置は、有利には、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、チタン、又は他の耐性材料のような、化学薬品に対して耐性のある材料から作られるか又はライニングを施される、ことを認識している。
本発明方法を実行すると、有利なことに、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 第三版, vol.19(1982), pp.246-274において説明されている技術に比べて、例えばPCHの収率が向上して、PDCの収率が低下し、他の塩素化有機化合物の収率は維持又は低下する。これは、工程6において、高い(少なくとも6.5重量%)PCH生成物濃度及び少なくとも60℃の温度で運転すると達成される。Shenら(米国特許第5,146,011号)は、55℃以下の温度で、低塩化物次亜塩素酸水溶液をプロピレンと反応させてPCHを製造することを開示している。有利なことに、本発明方法を実行すると、プロピレンの2モル%未満がPDCへと転化され、好ましくは1モル%未満がPDCへ、及び0.2モル%未満がMCAへと転化され、その場合、用いている反応温度は60℃であり、好ましくは70℃であり、最終のPCH生成物濃度は6.5−8.5重量%である。
有利なことに、本発明を実行すると、HOClによって、生成物クロロヒドリン、例えばプロピレンクロロヒドリン(PCH)が酸化されて、塩素化ケトン、例えばモノクロロアセトン(MCA)になる反応の収率が、反応させるプロピレンを基準として、好ましくは0.2モル%未満に保たれる。これは、工程6の反応器においてHOCl濃度を均一な定常状態に保つことによって達成され、その濃度は0.2重量%であり、好ましくは0.1重量%であり、反応器温度は100℃未満、好ましくは90℃未満である。本発明の実施において、好ましくは、反応器中の低いHOCl濃度は、反応器の定常状態HOCl濃度が供給量、温度、圧力、及び撹拌速度を任意に調節することによって望ましいレベルで維持される本明細書で開示されている連続撹拌タンク反応器(CSTR)で達成される。
有機化合物を除去するために処理される廃水の量は、本発明の実施においては、有利に減少する。最初の4つの工程から生じる塩水溶液は有機化合物と接触しない;したがって、放出する前に有機化合物を除去する必要はない。また、Kirkらによる「プロピレンオキシド」Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 第三版, vol.19(1982), pp.246-274で開示されている水の量に比べて、本発明の実施にしたがう水性HOClとオレフィンとの反応で用いられる水の量は少量である(50−65重量%)。量が減少する主な理由は、Kirkらによって説明されている反応器における4−5.5重量%に比べて、CSTRにおける高い生成物PCH濃度6.5−8.5重量%によって示されているように、次亜塩素酸化工程(工程6)で用いられる水が少なくなるからである。
以下、実施例を掲げて本発明を説明するが、下記実施例は本発明を限定するものではない。本発明の実施例は数字で示してあるが、比較サンプルはアルファベッドで示してあり、本発明の実施例ではない。これらの実施例では、すべての割合、部、及び百分率は、特に断りがない場合は、重量基準である。
実施例1:水酸化カルシウムスラリーと塩素とを反応させてCa(OCl)2を生成させる反応に関するpH効果
水中6.64重量%水酸化カルシウムスラリー(以下、供給材料)を19.0L/時で供給して、再循環ループが備わっている遠心ポンプと、再循環ループから排出する生成物放出ライン上に配置されたインラインスタティックミキサー(inline static mixer)とから成るポンプ反応器において、(表1に示した)様々な量の塩素ガスと反応させた。スタティックミキサーの下降流、すなわち反応器生成物をチタン熱交換器で冷却し、次に、後に説明するために貯蔵する前に、濾過して固形分を除去した。
詳しくは、反応器は、[March Manufacturing Inc.からMarch model, MDX-MT3という商品名で市販されている、ゼロ落差(zero head)及び3500回転/分で28.13リットル/分の流量を示す]電磁運転遠心ポンプと、その中を通って反応器の内容物(主として、少量の未反応水酸化カルシウム、塩素及び例えば炭酸カルシウムのような不溶性固形分、及びシリケートを有する水性次亜塩素酸カルシウム生成物)がポンプ入口へと再循環される(生成物の供給材料に対する割合は約40:1−50:1)、(E.I.du Pont de Nemours & Co.からTeflon(商標)PFAという商品名で市販されている)フルオロカーボンポリマーから作られている直径3/8インチ(9.525mm)の管材料(tubing)の一部とを併有していた。1/2インチ(12.7mm)ポリビニルクロリド(P.V.C.)パイプスタティックミキサー(Koflo CorporationからKoflo model 1/2-80-4-12-2という商品名で市販されている)を、反応を確実に完了させるのを助けるポンプ再循環ループに接続されている3/8インチ(9.525mm)Teflon PFAフルオロポリマー放出ライン上に取り付けた。
反応器内容物のpHは、Cole-Parmer Instrument CompanyからCole-Parmermodel 5656-00 LED pHコントローラーという商品名で市販されているpHコントローラーによって、再循環ループと、(スタティックミキサーの下流にある)反応器の放出ラインの双方において測定した。再循環ループ上に熱電対を配置して反応器内容物の温度を測定し、また第二の熱電対を熱交換器の下流に取り付けて、冷却された未濾過生成物の温度を測定した。
冷却された反応器生成物(20℃)を、貯蔵する前に、連続している2つのフィルターによって濾過して、固形分(主として、炭酸カルシウム、シリケート及び未反応水酸化カルシウム)を除去した。第一(一次)フィルターは、Minnesota Mining and Minerals Corp.からp/n 2P01PPRWHという商品名で市販されている1ミクロン(1マイクロメーター)ポリプロピレン液体フィルターバッグであり、次の(二次)フィルターは、1.2ミクロン(1.2マイクロメーター)ポリプロピレン濾過材を用いている10インチ(254mm)単一開放端フィルターカートリッジであった。濾過の後、浄化された生成物を、不透明度が提供されるように塗装された窒素充填ポリエチレン貯蔵用ドラムの中に入れた。
放出ラインで測定された反応器pHが表1に示したレベルに達したら、生成物サンプル(各100gm)を、上記の二次フィルターの下流に配置されたサンプルバルブを開くことによって集めた。そのサンプルを、沃素滴定によって次亜塩素酸カルシウム(Ca(OCl)2)含量について、及びイオンクロマトグラフィーによって塩素酸イオン(ClO3 -)濃度について分析した。フェノールフタレイン指示薬によって現れる色の反復フラッシュが消失するまで、0.1N HClによる滴定によって、極微量の水酸化カルシウムが検出された。その結果を表1に掲げる。
上記のデータは、pHが低下すると、塩素酸塩が増加し、また水酸化カルシウムの次亜塩素酸塩への転化が増加することを示している。有利なことには、石灰の次亜塩素酸塩への転化が最大になり、一方、塩素酸塩の生成が最小になる。これらのデータによると、反応器を運転するときの好ましいpHは9−11であり、更に好ましくは10−11である。塩素化前の水酸化カルシウムスラリーのpHは12であった。
実施例2:水酸化カルシウムスラリーと塩素とを反応させることによる、低塩化物次亜塩素酸カルシウムの製造
pH10.35、周囲温度(30℃)及び周囲圧力において、塩素0.908kg/時と反応させる4.58重量%水酸化カルシウムスラリー9.08kg/時を用いて、実施例1の手順を繰り返した。(実施例1で説明したものと同じ濾過プロセスを用いて)反応器生成物を濾過した後、生成物を分析すると、次亜塩素酸カルシウム3.93重量%、水酸化カルシウム0.18重量%、及び塩素酸塩62ppm(収率損失1%未満)、残りは水及び極微量のシリケートと炭酸塩であることが分かった。
実施例3:逆混合反応器として遠心ポンプを用いて、液体塩素を低濃度次亜塩素酸カルシウム溶液と反応させてHOClを作る反応
この実施例で用いた反応器は、March Manufacturing Inc.からMarch model MDX-MT3という商品名で市販されている、人口及び出口、空胴(cavity)、及びその空胴の中においてポンプシャフト上に羽根車を有し、且つゼロ落差及び3500回転/分で28.13リットル/分の流量を有する、電磁運転遠心ポンプであった。ポンプ入口は、2つの系統口(run port)、すなわちストレートラインによって、同じ取り付け部品上にある別の類似の開口部に接続された管取り付け部品上にある開口部と、系統口に関して90度配向している開口部である1つの分枝口(branch port)とを有する、外径0.84インチ(21.3mm)(呼称管サイズ0.5インチ)のポリビニリデンフルオリド(P.V.D.F.)T字管の1つの系統口に接続した。E.I.du Pont de Nemours & Co.からTeflon PFAフルオロポリマーという商品名で市販されているフルオロカーボンポリマーから作られている外径1/8インチ(3.175mm)の管材料を、上記T字管の第二系統口に接続し、T字管及びポンプ入口をポンプ空胴の内側にある終点まで貫通させ、ポンプシャフトによって画定される想像上の軸線上に配置する。この管材料を用いて、反応器中に新鮮な液体塩素を供給した。第一T字管の残りの分枝口は、第二の12.7mmP.V.D.F.T字管の系統口に密接に結合させた。Teflon PFAフルオロポリマーから作られた直径1/4インチ(6.350mm)の管材料を、第二T字管の別の1つの系統口に接続した。この管材料を用いて、新鮮な次亜塩素酸カルシウム溶液を反応器に供給した。別の直径6.350mmのTeflon PFAフルオロポリマー管材料を、第二T字管の残りの分枝口に接続した。この管材料を用いて、反応器内容物を供給入口へと戻して再循環させて、新鮮な入り次亜塩素酸カルシウムと混合した。
反応器の出口は、入口と同様に別のP.V.D.F.T字管に接続した。大部分の反応器内容物は、このT字管を通って入口へと再循環させ(再循環次亜塩素酸塩の供給次亜塩素酸塩溶液に対する割合は約30:1−40:1)、残りは、最初の出口T字管の分枝口を通して、第二の密接に結合されたP.V.D.F.T字管の分枝口の中へと流した。この第二出口ラインT字管の第一系統口を、反応器内容物をサンプリングするための3.175mm Teflon PFAフルオロポリマー管に接続し、MACE ProductsからMACE model 975 Teflon Backpressure Regulatorという商品名で市販されているTeflonフルオロポリマー背圧調節器を、残りの系統口に接続し、それを用いて、HOCl蒸留ユニット中に送られる反応器生成物の量を調節することによって反応器圧力を調節した。反応器圧力を測定するために調節器上に圧力計を取り付け、また反応器内容物の温度を測定するために、調節器の下流に熱電対を取り付けた。集成装置全体を、0−10℃の冷ブライン冷却剤を運ぶ銅製管材料で(螺旋状に)トレースした。この設計により、反応器内容物の滞留時間が最短(40秒未満)になり、またHOClの塩素酸塩への分解速度を好ましくなく速める高濃度HOCl/Ca(OCl)2の限局域を防止することができる。この配置において運転される遠心ポンプは逆混合反応器が考えられた。
実施例2の手順で調製された冷却次亜塩素酸カルシウム溶液(4.15重量%、85ppm塩素酸塩)を、11.4kg/時の流量及び1.5℃で、4.2℃の液体塩素酸塩0.607kg/時(塩素酸塩30モル%過剰)と共に、反応器に供給した。反応器圧力は温度10.4℃で55psig(379kPaゲージ)であった。反応器再循環ライン上に取り付けたpH/ORPプローブによって測定すると、反応器混合物のpHは3.65、ORP(酸化・還元電位)は1196mVであった。それぞれ約2gの反応器生成物サンプルを反応器内容物からサンプリングのために管から取り出し、公知の量(15g−25g)の0.1N苛性アルカリを含む風袋を計量してある瓶の中で直ちに冷却した。冷却された生成物を沃素滴定によってその組成を分析すると、HOCl(HOClと未反応塩素)6.538重量%であった。イオンクロマトグラフィーで分析すると、塩素酸塩370ppmであり、収率損失1.9モル%、したがってHOCl収率98.1モル%であった。
この実施例は、低温(10℃)、塩素の蒸気圧を超える圧力(379kPaゲージ)、低pH(3.65)、次亜塩素酸塩供給濃度4.15重量%の条件下で運転する逆混合反応器として遠心ポンプを用いると、高いHOCl反応器収率が可能であることを示している。これらの条件下で、遠心ポンプは、少なくとも80モル%の望ましい収率を達成するのに十分なミクロ混合を提供する。
実施例4−1から4−8及び比較サンプルA:逆混合反応器として働く改良遠心ポンプにおいて、液体塩素を、高濃度の次亜塩素酸カルシウム溶液と反応させて、次亜塩素酸を作る反応。
この実施例では、改良された電磁運転遠心ポンプをチタンから作って、逆混合反応器として用いた。March Manufacturing Inc.からMarch model, MDX-MT3ポンプという商品名で市販されているモーター及び羽根車を、(図6及び図7に示した)特注の反応器室と共に用いた。反応器室は、Marchポンプの6刃半径偕形羽根車(6 blade radial paddle type impeller)を収容している直径60mm及び高さ15mmの中空シリンダーであった。必要な逆混合反応器の逆混合を提供するために、ポンプの外周から羽根車の軸領域へと、直径17mm、長さ20mmの再循環流路(recycle channel)を作った。更に、1リットルのバッフル、すなわち2mmのチタンロッドを、羽根車の外周に等距離に配置して、溶液全体を低pHに保った。これらのバッフルは、反応器の空胴壁から1mmのところに配置した。バッフルのない場合の性能を比較することにより、限局された高いpH領域と関係のある収率損失が確認され、また表2の比較サンプルAによって示されているようにミクロ混合の重要性が分かる。
液体塩素(0.76−3.27kg/時)と、表2に掲げた濃度の水性次亜塩素酸カルシウム(4,36−20.43kg/時)を、羽根車の軸領域に一緒に入れた。温度(10−45℃)は、タンタル熱井戸(thermal well)によって反応器混合室から直接読み取り、pH(4.5未満)は再循環ループにおいて測定した。最後に、反応器圧(655−965kPa)を、生成物ライン上にある圧力伝送器によって測定した。反応器圧は液相状態に塩素を保つのに十分であった。反応器温度は、反応器体(reactor body)に中ぐりされた4つの丸形流路(round channels)を通って流れるグリコールを用いて、上昇又は低下させた。
沃素滴定によるHOCl濃度の直接測定及びイオンクロマトグラフィーによる塩素酸塩収率損失の直接測定を、高濃度(12.5重量%以下)次亜塩素酸カルシウムにおける逆混合反応器の運転に関して行った。反応器温度44℃以下及び反応器における平均溶液滞留時間34秒以下に関して、94%を超える収率が得られた。
比較サンプルAは本発明の実施例ではない。また、反応器室中にバッフルが無く、したがって次亜塩素酸塩を基準として少なくとも80%の収率で生成物次亜塩素酸を得るのに十分な且つ塩素酸塩を収率20%未満とするのに十分なミクロ混合を行わないこと以外は、実施例4−1から4−8と同じ反応器において、比較サンプルAを実施した。その条件及び結果を表2に掲げてある。好ましい反応温度24℃、圧力724kPa、短い滞留時間13秒、及び化学量論量を超える36モル%過剰の塩素下における運転にもかかわらず、66.5%の低い回収率であった。
比較サンプルB:逆混合反応器として遠心ポンプを用いて、気体塩素を低濃度次亜塩素酸カルシウム溶液と反応させてHOClを作る反応
7.4℃の4.78重量%次亜塩素酸カルシウム溶液(重量基準で塩素酸塩イオンを185ppm含む)11.4kg/時と共に、反応器に0.608kg/時で供給した8.5℃の気体塩素(9モル%塩素過剰)を用いて、実施例3の手順を繰り返した。反応器圧は40psig(276kPaゲージ)であり、温度は16.2℃であった。pH及びORPを実施例3と同様にして測定したところ、それぞれ5.88及び1055であった。反応器生成物をサンプルとして取り出し、実施例3と同様にして分析した。HOClと未反応塩素は6.86重量%であった。塩素酸塩は4250ppmであり、収率損失は24.1%であった。
反応器温度が低く且つ塩素が過剰であったとしても、この反応器で気体塩素を用いると、塩素酸塩へのHOClの損失を最小にする程十分にpHを低くすることはできなかった。
実施例5:次亜塩素酸の高回収率
実施例3の反応器及び手順から生じる生成物を、垂直に、且つ中心軸に沿って下方に指向していて、ガラス回収塔(内径150mm、長さ3.05m)の上部から約762mmのところに配置された(ガラス充填されたTeflonフルオロポリマーで作られた図4に示したような)水蒸気運転噴霧ノズルへ11.9kg/時(HOCl 4.00重量%)で供給した。そのノズルにおいて、HOClを、15psig(103kPaゲージ)の水蒸気6.7kg/時と混合した。その水蒸気によって、HOCl水蒸気を温度60℃まで加熱し、運動エネルギーを供給して液体を破砕して、体積メジアン直径60マイクロメートルの微細液滴にした。生じた前記液滴を、HOCl(主としてCl2O蒸気として)が液体から蒸気中へと脱着される絶対圧力155mmHg(20.7kPa)で運転している前記の塔中に入れ、次に頂部から取り出し、回収塔から出した。
スプレーノズル放出は、Norton CompanyからIntalox(商標)saddlesという商品名で市販されている1/4インチ(6.35mm)セラミックくら形充填物の1.38mベッドの上450mmに配置した。スプレーノズルからの(極微量の塩素と塩素酸カルシウムと共に、水、HOCl、及びCaCl2を含む)液体は、くら形充填物の上に落下し、そこで、水蒸気と塩素蒸気とを含む上昇流に対して向流となって接触することによってHOClを更にストリップした。スプレー域と、充填された蒸留/ストリッピング域との双方から生じるストリップされ且つ脱着されたHOCl、未凝縮水蒸気及び未反応塩素のすべては、回収塔の上部から出て、(以下で説明する)HOCl吸収塔の塔底へと流れる。
水蒸気(205kPaで5.7kg/時)を、ガラス充填されたTeflonフルオロポリマー水蒸気・ジェット放出器(steam-jet ejector)を介して、回収剤(stripping agent)として働く回収塔の塔底に導入した。放出器の放出端は、回収塔充填物のベッドの下10インチ(254mm)にある回収塔の塔底蒸気空間に直接接続した。水蒸気・ジェット放出器の塩素/水蒸気入口は、(以下で説明する)吸収塔の塔頂に管で接続した。放出器を用いると、HOCl吸収塔から回収塔へと戻る再循環ループにおいて、水蒸気によって塩素を引っ張り回すことができた。生じたストリッピング蒸気流は、回収塔における塩素酸塩の生成の速度を抑えるのに有利な塩素ガスを10モル%含んでいた。
HOClがストリップされたブライン流は、17.2kg/時の流量で回収塔の塔底から出た。このブラインを分析すると、塩素酸塩(ClO3 -)0.087重量%及びHOCl 0.029重量%を示した。ブライン流を、実施例3の手順によって、塩素酸塩及びHOClに関して分析した。回収塔の塔底にある塩素酸塩及びHOClは、回収塔に対する供給材料中におけるHOClを基準として、合わせて9%の収率損失であった。
この実施例の最初で説明したように、回収塔からの塔頂蒸気は、絶対圧力150mmHg(20kPa)で運転していて、且つそれぞれ(Norton CompanyからIntalox saddlesという商品名で市販されている)セラミックくら形充填物で充填された2つの充填セクションを含む垂直ガラス吸収塔(内径150mm、全長3.05m)の塔底へと流れた。下部充填セクションは、吸収塔への蒸気入口の上約6インチ(254mm)にある充填物支持体上に載っている1/2インチ(12.7mm)のIntalox saddlesの0.38mベッドを含んでいた。吸収塔の底部からの液体を、遠心ポンプを用いて5−10リットル/分で、シェル及び管熱交換器に流した。吸収塔底部を、約5−10℃まで熱交換器(冷却剤として0−3℃のエチレングリコールを用いている)で冷却し、次に下部充填セクションの上部に供給して、上部充填セクションからの液体と組み合わせた。5−10℃の新鮮な凝縮水を吸収塔の塔頂に11.4kg/時の流量で供給し、そこで、充填物の下部セクションの上約18インチ(46mm)にある孔あき充填物支持体上に載っている1/4インチ(6.35mm)の1.3m(高さ)ベッドから成る上部充填セクションの上に分配した。
水蒸気及びHOClの実質的にすべてが吸収塔の下部充填セクションで凝縮した。HOCl及び/又はCl2O蒸気の残存量を、冷却された凝集物と向流接触させることによって、充填物の上部セクションで回収した。吸収塔底部液(24.01kg/時)を沃素滴定で分析すると、HOCl 2.49重量%であった。過剰の未反応塩素は、吸収塔の塔頂から、水エダクター(water eductor)によって提供される真空源へと排気した。吸収塔の塔頂から出て来る塩素蒸気のほとんどは、有利には、上記した水蒸気・ジェット放出器を介して、回収塔の塔底へと再循環させた。吸収塔において回収されたHOClの収率は、(実施例3のような反応器に供給されたCa(OCl)2基準として)91%であった。
この実施例から、塩素蒸気が2つの塔の間で再循環される回収塔/吸収塔プロセスを用いることによって、HOCl反応器から出て来る高ブライン含量生成物から素早く分離された場合、次亜塩素酸が高い収率で回収されることが分かる。
実施例6:次亜塩素酸の高回収率
スプレーノズルに対して、水蒸気4.1kg/時と共に供給される5.8重量%HOCl 12.0kg/時を用いて、実施例5の手順を繰り返した。液滴の体積メジアン直径は80マイクロメーターであった。水蒸気は、3.6kg/時で回収塔の塔底中にも供給し、また吸収塔の塔頂には新鮮な水を11.4kg/時で供給した。回収塔の塔底では、塩素酸塩イオン0.191重量%及びHOCl 0.028重量%を有するブライン12.36kg/時を測定した。吸収塔の塔底では、2.887重量%HOCl 20.31kg/時を測定した。回収されたHOCl収率は87%であった。
この実施例からも、塩素蒸気が2つの塔の間で再循環される回収塔/吸収塔プロセスを用いることによって、HOCl反応器から出て来る高ブライン含量生成物から素早く分離した場合、次亜塩素酸が高い収率で回収されることが分かる。
実施例7:連続撹拌タンク反応器(CSTR)におけるHOClによる次亜塩素酸化
上部ヘッド(top head)及び底部が半球形で且つ直径の高さに対する割合が0.4の円筒形2リットルガラス反応器である連続撹拌タンク反応器(CSTR)を用いて、プロピレンガスを低塩化物HOCl溶液と反応させて、プロピレンクロロヒドリンを製造した。直径4cmで、3cmの間隔を置いて配置され、反応器の底部から5cmのところに下部羽根車がある2つの6ブレードタービン羽根車(6-bladed turbine impellers)によって、700回転/分の撹拌速度を与えた。まず最初に、反応器に、塩化物50ppm未満を有する低塩化物水1リットルを入れた。その反応器を、大気圧(101.3kPa絶対)下で25℃に保った。
塩化物200ppm未満及び表3に掲げたHOCl濃度を有する、実施例5の方法で調製した低塩化物HOCl溶液を、反応器容積を1リットルに保ったときに、表3に掲げた滞留時間を与える流量で反応器の上部に連続して供給した。プロピレンガスは、HOClに関して化学量論量を超える25モル%過剰の流量で、底部撹拌機羽根車の下から反応器に入る。過剰のプロピレン蒸気は、冷却トラップと水酸化ナトリウムスクラバーとを通過する未凝縮蒸気と共に、還流された凝縮物を反応器へと戻す凝縮器を通って反応器の上部から出た。プロピレンクロロヒドリンと他の有機化合物とを含む明澄な生成物水溶液を反応器から連続して取り出し、タンクの中に集めた。5倍の滞留時間(例えば実験された滞留時間15分間に対して75分間)の後、生成物流を、水素炎イオン化検出器を用いるガスクロマトグラフィーによって分析するために、サンプル瓶へと流した。プロピレンを基準とした平均モル選択率データが得られた。そのデータを表3に掲げる。
上記のデータは、CSTRが、HOClと、プロピレンのようなオレフィンとを反応させるのに有効な反応器であることを示している。DCIPEは供給HOCl濃度の関数であった。
実施例8:高温高圧下の連続撹拌タンク反応器(CSTR)におけるHOClによる次亜塩素酸化
平らなステンレス鋼ヘッドプレートを有し且つ直径の高さに対する割合が0.4の垂直に取り付けられた円筒形2リットルチタン反応器であるCSTRを用いた以外は、実施例7の手順を繰り返した。1000回転/分の撹拌速度は、2タイプの羽根車、すなわち(1)ガス誘導羽根車及び(2)非ガス誘導羽根車によって与えられた。ガス誘導羽根車は、シャフトの底部に直角に取り付けられた4本の直径1/4インチ(6.35mm)の中空ガラス管を有する直径3/8インチ(9.5mm)直径シャフトガラス管と、直径管の上1cmに配置された4ブレードピッチドブレードタービン羽根車(4-bladed pitched blade turbine impeller)とから成っていた。2つの羽根車の直径は4cmであった。4つの孔を、ガス誘導羽根車の底部から19cmのところにあるシャフトに対して直角にドリルで開けた。これらの4つの孔により、反応器の頭部空間からの蒸気は、中空シャフトを下降し、中空ガス誘導羽根車を通って液体中に放出された。反応体供給及び生成物の取り出しは、実施例7と同じであり、2重量%HOCl供給濃度は塩化物を200ppm未満有していた。蒸発水及び有機化合物を集めるために、塔頂蒸気を、還流凝縮器及び冷却トラップに通した。非ガス誘導羽根車に関しては、シャフト上の4つの孔を、熱収縮Teflonフルオロポリマーテープで隠蔽した。滞留時間15分間、40psig(275.6kPaゲージ)で、CSTRにおいて得られた平均モル選択率(プロピレンを基準とした)データを、表4に掲げる。
上記のデータから、高圧下において、80℃以下の温度では、PCH選択率が向上し、MCA選択率は低下することが分かる。実施例7におけるように、MCA及びDCHの選択率は、出口HOCl濃度の関数であることが分かった。また、上記データは、ガス誘導羽根車の利点、特に反応速度が遅い低温でのガス誘導羽根車の利点を示している。ガス誘導羽根車を用いると、HOCl転化率及びPCH選択率は増大し、MCA及びDCHの選択率は低下する。
比較サンプルC:塩素を用いる次亜塩素酸化プラグ流れ反応器
80℃の水(140ml/分)、25℃のプロピレンガス(1600ml/分, 3g/分)、及び25℃の塩素ガス(1600ml/分, 5.06g/分)を底部から直立コイルプラグ流れ(管状)反応器(直径6.35mm、長さ6.8m)に対して連続供給し、生成物はコイル反応器の上部から取り出した。反応器は熱損失を最小にするために断熱した。反応器の放出時の圧力は大気圧(101.3kPa絶対)であり、入口圧力は5psig(34.5kPaゲージ)であり、推定滞留時間は45秒であった。プラグ流れ反応器から出て来る生成物を40℃まで冷却された液体トラップ中に集め、水素炎イオン化検出器を用いているガスクロマトグラフィーで分析した。供給プロピレンを基準とした平均生成物モル選択率は:プロピレンクロロヒドリン(PCH)90.9%、プロピレンジクロリド(PDC)6.5%、トリクロロプロパン(TCP)0.1%、ジクロロヒドロン(DCH)0.9%、ジクロロイソプロピルエーテル(DCIPE)1.5%、及びモノクロロアセトン(MCA)0.1%であった。
比較サンプルC及び実施例7から得られたデータを比較検討すると、比較サンプルCにおけるように次亜塩素酸化のためにプラグ流れ反応器と気体塩素とを用いる場合に比べて、CSTRを用いた場合、PCH選択率が向上し、PDC選択率が低下するという利点があることが分かる。
比較サンプルD:プラグ流れ反応器におけるHOClによる次亜塩素酸化
塩素供給の代わりに、濃度を2.0−5.0重量%で変化させている次亜塩素酸溶液供給を、長さ13.7mに変えた比較サンプルCの反応器に対して、70ml/分で供給して、一連の実験を行った。HOCl溶液と共に、(HOClに関して化学量論量の)プロピレンガスをプラグ流れ反応器に連続供給した。実験のそれぞれにおいて反応器の端から端までの温度は60−80℃で変化し、HOCl供給60℃及び反応器出口80℃である。比較サンプルのようにして生成物を集めて分析した。生成物は塩化物を1400−2000ppm含んでいた。表5には、プロピレンを基準とした主生成物の平均モル選択率を掲げてある:
この比較サンプルは、プラグ流れ反応器において低塩化物HOCl溶液を用いると、PDC生成の選択率が低下するが、予想外に、望ましくないMCAへの選択率が増大することを示している。
比較サンプルC及びD及び実施例7から得られたデータを比較検討すると、比較サンプルC(PHC選択率の向上、PDC選択率の低下)におけるような次亜塩素酸化のための気体塩素か又は比較サンプルD(MCA選択率の低下)におけるような低塩化物HOCl溶液を用いているプラグ流れ反応器に比べて、低塩化物HOClと共に逆混合反応器を用いることの利点が分かる。
実施例10:酸を添加することによる塩素酸塩の除去
NaCl 202.83g、水608.5g、及び5N HCl 87.47gを混合することによって、酸/ブライン溶液を調製した。この溶液429.12gを107℃まで加熱した。得られた混合物に対して、水溶液中19.83重量% NaClO3 3.59gを加えた。次に、イオンクロマトグラフィーによって塩素酸塩イオン濃度を測定した。その経時変化を表6に掲げる:
上記データから、次亜塩素酸を添加し、加熱することによって、ブラインから塩素酸塩を除去することができる、ことが分かる。
Claims (20)
- 以下の工程:即ち、
(a)金属塩化物水溶液中にある次亜塩素酸塩を基準として少なくとも80モル%の収率で次亜塩素酸を得るために十分にミクロ混合しながら、温度60℃未満及びpH5.5未満で、塩素を金属次亜塩素酸塩溶液と接触させる工程;
(b)次亜塩素酸の金属塩化物水溶液から次亜塩素酸の少なくとも一部を分離する工程であって、その場合、次亜塩素酸の少なくとも30モル%が液相から次亜塩素酸と一酸化二塩素とが平衡状態にある蒸気相中へと脱離されるように、前記溶液を500ミクロン未満の体積平均直径を有する液滴として蒸気流の中にスプレーする、前記工程;
(c)残留液相を蒸留して、追加の次亜塩素酸と一酸化二塩素との蒸気を得る工程;
(d)低塩化物水中に次亜塩素酸及び一酸化二塩素を吸収して、低塩化物次亜塩素酸水溶液を製造する工程;及び
(e)反応器中において0.2重量%以下のHOCl濃度を保つのに十分な逆混合撹拌する連続撹拌タンク反応器を用いる連続法で、低塩化物次亜塩素酸水溶液をオレフィンと接触させて、対応するオレフィンクロロヒドリンを製造する工程を組み合わせることを特徴とする、オレフィンクロロヒドリンを調製する連続方法。 - 更に、以下の工程:すなわち、
(f)そのオレフィンクロロヒドリンを塩基と接触させて、対応するアルキレンオキシド及び塩溶液を製造する工程;及び
(g)塩溶液からそのアルキレンオキシドを分離する工程
を含む請求項1記載の方法。 - 工程(f)における塩基がアルカリ金属水酸化物であり、更に該方法が、工程(a)の前に、アルカリ土類金属の水酸化物又は酸化物を塩素と接触させてアルカリ土類金属次亜塩素酸塩溶液を作る工程を含む請求項2記載の方法。
- アルカリ土類金属の水酸化物又は酸化物が水酸化カルシウム又は酸化カルシウムであり、アルカリ土類金属次亜塩素酸塩溶液を温度10℃−60℃で工程(a)へと供給する請求項3記載の方法。
- 工程(a)で生成する塩素酸イオンを酸と反応させて塩素を作る、請求項1記載の方法。
- 酸が塩化水素である、請求項5記載の方法。
- その塩素を、工程(a)で用いられる次亜塩素酸塩を作るために、又は工程(a)、工程(b)、工程(c)あるいはそれらの組み合わせへと再循環させる請求項5記載の方法。
- 羽根車、邪魔板又はそれらの組み合わせを用いることによって剪断作用が得られる逆混合反応器において、工程(a)におけるミクロ混合を達成する請求項1−7の何れかに記載の方法。
- 工程(b)の液滴が、25−200マイクロメーターの体積平均直径を有する請求項1−8の何れかに記載の方法。
- 工程(b)において、液滴を、単一相液体スプレーノズルである噴霧化手段によって製造する請求項9記載の方法。
- 工程(b)において、液滴を、二相液体スプレーノズルである噴霧化手段によって製造する請求項9記載の方法。
- 低塩化物次亜塩素酸水溶液が、3−7重量%の次亜塩素酸濃度を有する請求項1−11の何れかに記載の方法。
- 溶液が、塩化物イオンを重量基準で200ppm未満含む請求項12記載の方法
- オレフィンを、プロピレン、1−ブテン、3−クロロプロペン、エチレン、及びそれらの混合物から選択する請求項1−13の何れかに記載の方法。
- 工程(e)は、1atm(101.3kPa)を超える圧力、30分未満の反応時間、HOCl供給濃度が7重量%未満、及び内部ガス循環が存在していて、少なくとも60℃の温度で行われる請求項1−14の何れかに記載の方法。
- 次亜塩素酸塩を基準として少なくとも80モル%の収率で生成物である次亜塩素酸を得るために十分にミクロ混合しながら、温度60℃未満及びpH5.5未満で、少なくとも1Mの次亜塩素酸塩濃度を有する金属次亜塩素酸塩の溶液と塩素とを接触させる工程を特徴とする、次亜塩素酸を製造する方法。
- 塩素が液体である請求項16記載の方法。
- 次亜塩素酸の金属塩化物水溶液から次亜塩素酸の少なくとも一部を分離する工程であって、その場合、次亜塩素酸の少なくとも30モル%が液相から蒸気相中へと素早く脱離されて次亜塩素酸が次亜塩素酸と一酸化二塩素との蒸気相中に存在するように、前記溶液を500ミクロン未満の体積平均直径を有する液滴として蒸気流の中にスプレーすることを特徴とする、次亜塩素酸を製造する方法。
- 反応器中において0.2重量%以下のHOCl濃度を保つのに十分な内部ガス再循環及び逆撹拌を行いながら、少なくとも60℃の温度、1atm(101.3kPa)を超える圧力、30分未満の滞留時間、7重量%未満のHOCl供給濃度で、連続撹拌タンク反応器において、低塩化物次亜塩素酸水溶液をオレフィンと接触させて、対応するオレフィンクロロヒドリンを作る工程を特徴とするオレフィンクロロヒドリンを調製する連続方法。
- 溶液から出て溶液中へと戻るオレフィンの再循環が存在している請求項19記載の方法。
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