JP3844125B2 - 放熱部材、その製造方法及びその敷設方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコーン樹脂と熱伝導性充填剤を含有する組成物からなる放熱部材に関し、特にICパッケージの放熱に好適な、熱伝導性に優れた熱伝導組成物、及びその製造方法並びにその敷設使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
テレビ、ラジオ、コンピュータ、医療器具、事務機械、通信装置等、最近の電子機器の回路設計は複雑性を増している。例えば、これら及びその他の機器のためにトランジスタ数十万個相当分を内包する集積回路が製造されるようになったことに伴い、設計の複雑性が増す一方、一層小型の電子部品が製造され、ますます縮小された面積に更に多数の部品を組み込むことが可能となり、デバイスの寸法は引き続き小型化している。
【0003】
これら電子部品、特にプリント配線基板上に実装されるCPU等のICパッケージは、使用時の発熱による温度上昇によって性能が低下したり、故障、機能不全が生じるという問題が発生しており、この問題を改善する為に、従来、ICパッケージと放熱フィン等の間に、熱伝導性の良い放熱シートや放熱グリースを介在させることが行われている。しかしながら、電子部品の小型化、高性能化に伴ってその発熱量が年々増加するために、より放熱性能に優れた放熱部材の開発が求められている。
【0004】
従来の放熱シートは、手軽にマウントすることができるというメリットはあるものの、その製造過程の加工性の観点から熱伝導性充填剤の含有量に制限があり、さらには実装時の界面熱抵抗が大きいため実際の放熱性能が十分に発揮されないという欠点があった。また放熱グリースは、CPUや放熱フィン等の表面の凸凹に影響されることなく、それらの被着面に追随、密着し、界面熱抵抗が低いという利点がある一方、他の部品を汚したり、長時間使用するとオイルが流出する等の欠点があった。
【0005】
そこで、特表2000−509209号公報および特開2000−327917号公報には相転移放熱シートが提案されている。しかしながら、これらの場合には加工性の観点および作業性の問題から熱伝導性充填剤の含有量に限界がある上、相転移後の接触面が樹脂成分を主体として追随、密着する為、空隙による界面熱抵抗の上昇は防げるものの、樹脂自体が界面熱抵抗の原因になるという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、常温では固体状で、シートを始め必要とする形状に合わせることが可能な未硬化の組成物中の熱伝導性充填剤を積極的に相転移させることにより、界面接触熱抵抗を著しく低減させ、放熱性能に優れる放熱部材とすることが出来る事、及びこの組成物の製造にあたっては、粒径をコントロールした低融点金属粉末を用い、それをその融点以下の温度条件下で配合混練することにより、均一性に優れると共に、シートを始めとする任意の形状に加工し易くなることを見出し本発明に到達した。
即ち、常温では固体であって一定温度範囲において熱軟化、低粘度化或いは融解するシリコーン樹脂を媒体として選択し、低融点金属粉末、及び必要に応じて溶融温度が250℃以上の熱伝導性粉末を充填剤として使用した組成物を発熱性電子部品と放熱部品との間(境界)に配置し、前記樹脂よりも、むしろ低融点金属を積極的に相転移させることにより所望の熱放散を達成することが出来る。
【0007】
従って本発明の第1の目的は、従来の熱軟化放熱部材より優れた放熱性能を有する、低融点金属の相転移を利用した放熱部材を提供することにある。
本発明の第2の目的は、従来の熱軟化放熱部材より優れた放熱性能を有する、低融点金属の相転移を利用した放熱部材の製造方法を提供することにある。
更に本発明の第3の目的は、低融点金属の相転移を利用した放熱部材の施設方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の諸目的は、本発明の上記の諸目的は、動作時に室温より高温となる発熱性電子部品と該発熱性電子部品から発生した熱を放熱する為の放熱部品との間(境界)に配置される放熱部材において、該放熱部材が、分子中にRSiO 3/2 単位(T単位)とR 2 SiO 2/2 単位(D単位)(Rは炭素数1〜10の非置換又は一価炭化水素基)を含有するシリコーン樹脂、又は、分子中にRSiO 3/2 単位(T単位)(Rは炭素数1〜10の非置換又は一価炭化水素基)を含有するシリコーン樹脂を含むと共に、25℃における粘度が100Pa・s以上のシリコーンオイル又はシリコーン生ゴムを含有するシリコーン樹脂100重量部と、熱伝導性充填剤1,000〜3,000重量部を含有する熱伝導性シリコーン樹脂組成物であると共に、電子部品動作以前の室温状態では非流動性であり、電子部品動作時に、その発熱によって低粘度化、軟化、若しくは溶融して前記発熱性電子部品と放熱部品との間に実質的に隙間なく充填される放熱部材であって、前記熱伝導性充填剤として、溶融温度が40〜250℃であり平均粒径が0.1〜100μmである低融点金属粉末(1)、及び溶融温度が250℃を越えると共に平均粒径が0.1〜100μmである熱伝導性粉末(2)が、(1)/〔(1)+(2)〕=0.2〜1.0となるように使用されてなることを特徴とする放熱部材、その製造方法及びその敷設方法によって達成された。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の放熱部材の媒体(マトリックス)となり得るシリコーン樹脂としては、放熱部材が実質的に常温で個体(非流動性)であって、一定温度、好ましくは40℃以上で、発熱性電子部品の発熱による最高到達温度以下、具体的には40〜150℃程度、特に40〜120℃程度の温度範囲において、熱軟化、低粘度化または融解して流動化するものであればどのようなものでもよい。この媒体は熱軟化を起こす一つの因子ではあるが、熱伝導性を付与する熱伝導性充填剤に加工性や作業性をあたえるバインダーとしての役割をするものである。
【0010】
ここで言う熱軟化、低粘度化又は融解する温度は放熱部材としてのものであり、シリコーン樹脂自体は40℃未満に融点をもつものであってもよい。熱軟化を起こす媒体は、上記したようにシリコーン樹脂の中から適宜選択されるが、本発明においては、常温で非流動性を維持するために、R・SiO3/2単位(以下、T単位と称する)を含んだ重合体とし、必要に応じて更にD単位からなるシリコーンオイルやシリコーン生ゴムを添加する。本発明においては、T単位とD単位を含むシリコーン樹脂、又は、T単位を含むシリコーン樹脂と25℃における粘度が100Pa・s以上のシリコーンオイル又はシリコーン生ゴムを組み合わせたものを使用する。シリコーン樹脂は末端がR3SiO1/2単位(M単位)で封鎖されたものであってもよい。
【0011】
ここで上記Rは、炭素数1〜10好ましくは1〜6の非置換又は置換の一価炭化水素基である。このようなRの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキシニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。これらの中でも特にメチル基、フェニル基及びビニル基が好ましい。
【0012】
シリコーン樹脂について更に具体的に説明すると、本発明で使用するシリコーン樹脂は、特に固形時の強靱性に優れる(脆さを改善して取り扱い時の破損等を防止する)ものとする為にT単位及びD単位を導入することが必要である。ここで、T単位の置換基(R)としては、メチル基及びフェニル基が好ましく、D単位の置換基としては、メチル基、フェニル基及びビニル基が好ましい。また、上記T単位とD単位の比率は、10:90〜90:10であることが好ましく、特に20:80〜80:20とすることが好ましい。
【0013】
前記の他、本発明においては、通常用いられるM単位とT単位とから合成されたレジンであっても、T単位を含み、これに主としてD単位からなる(末端はM単位)高粘度オイル(100Pa・s以上)もしくは生ゴム状の化合物を混合することによって脆さが改良される。また、これによってヒートショックをかけた場合のポンピングアウト(充填剤とベースシロキサンとの分離による気泡の生成或いはベースシロキサンの流出)を防止することができる。
【0014】
よって、軟化点を有するシリコーン樹脂がT単位を含み、D単位を含まない場合には、上記理由によりD単位を主成分とする高粘度オイルもしくは生ゴム等を添加すれば取り扱い性に優れた材料となり得る。この場合、D単位を主成分とする高粘度オイル又は生ゴム状の化合物等の添加量は、常温より高い温度に軟化点もしくは融点を有するシリコーン樹脂100重量部に対して1〜100重量部、特に2〜10重量部とすることが好ましい。1重量部未満の場合にはポンピングアウト現象の発生する可能性が大きく、100重量部を越える場合には、放熱性能が不充分となるおそれがある。
【0015】
上記したように、シリコーン樹脂は、ある程度粘度低下すればよく、また充填剤のバインダーとなり得ればよい。この低融点シリコーン樹脂の分子量は500〜20,000であることが好ましく、特に1,000〜10,000であることが好ましい。
なお、本発明で使用するシリコーン樹脂は、本発明の放熱部材に柔軟性やタック性を付与するものが好適である。この場合、単一の粘度の重合体を使用してもよいが、粘度の異なる2種類以上の重合体等を混合して使用するとバランスに優れたシートが得られ有利となるため、粘度の異なる2種類以上を混合して用いてもよい。
【0016】
本発明の放熱部材は、一度熱軟化、低粘度化又は融解させた後に架橋させることが好ましく、これによりリワーク性を向上させることができる。即ち、一度熱軟化することによって、発熱性電子部品と放熱部品とに本組成物が密着する。その後架橋することによって低熱抵抗性を維持したまま密着した表面に追随し、且つ、リワークが必要な際には架橋しているので容易に剥がすことが出来る。また架橋により従来の軟化点を超えた状態においても形状を維持することが出来、高い温度でも熱放散部材としての役割を果たすことが可能となる。
かかる点から、本組成物は架橋反応による硬化性を有することが好ましい。このような目的のためには、上記重合体が末端もしくは側鎖に硬化反応性官能基を有していることが好ましい。このような官能基としては、通常、脂肪族不飽和基、シラノール基、アルコキシシリル基等が利用される。
【0017】
本発明に使用される熱伝導性充填剤は、成分(1)と成分(2)の2つに分類される。成分(1)は放熱部材の実質的な相転移をにない、発熱性部品および放熱部品の表面に、凸凹に影響されることなく溶融密着し、界面抵抗の著しい低下や、他の充填剤もしくは自身と接合することによって高い放熱性を発揮するものであり、成分(2)は相転移をせず、単純に熱伝導性を付与するためのものである。
【0018】
成分(1)は通常、低融点金属と称され、本発明ではこれをアトマイズされた粉末として使用する。この低融点金属粉末の融点は、40℃以下では取り扱いが難しいし、250℃以上に加熱すると、配置される発熱性部品や放熱部品等にダメージを与える可能性があるため、40〜250℃の範囲である必要があるが、特に100〜220℃であることが好ましい。低融点金属粉末の平均粒径は、0.1μmより小さいと得られる組成物の粘度が高くなりすぎるため伸展性の乏しいものとなり、シート又はフィルム等の形成が難しくなる。平均粒径が100μmより大きくなると、得られる組成物が不均一になる上、シート又はフィルム等の形成時にその表面があらくなる可能性がある。従って、その平均粒径は0.1〜100μmの範囲であることが必要であり、特に20〜50μmであることが好ましい。またこの粉末の形状は、球状であっても不定形であっても良い。
【0019】
この成分(1)の低融点金属粉末は、インジウム、錫などの金属単体であっても、各種金属の合金であっても良い。合金としては、ビスマス、鉛、錫、あるいはアンチモンからなるマロット合金、セロマトリックス合金、あるいは錫、鉛、ビスマス、インジウム、カドニウム、亜鉛、銀、アンチモンから成る、ハンダ、ウッドメタル、セロトルー合金、さらにアルミニウム、亜鉛、錫、鉛、カドニウムなどからなるアルミハンダなどがある(化学便覧基礎編改定4版:日本化学会編 平成5年9月30日発行 PI−547)。
【0020】
成分(2)の平均粒径は、0.1μmより小さいと得られる組成物の粘度が高くなりすぎるため伸展性の乏しいものとなり、放熱部材をシート又はフィルム等に成形することが難しくなる。平均粒径が100μmより大きくなると、得られる組成物が不均一になる上シート又はフィルム等の形成時にその表面があらくなり、電子部品と放熱部品との間隙が大きくなるため十分な放熱性能を発現できなくなる可能性がある。従って、その平均粒径は0.1〜100μmの範囲である必要があり、特に20〜50μmであることが望ましい。
【0021】
成分(2)の熱伝導性粉末は、熱伝導率が良好で融点が250℃を超えるものであれば特に限定されず、例えばアルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末、アルミナ粉末、窒化硼素粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化珪素粉末、銅粉末、銀粉末、ダイヤモンド粉末、ニッケル粉末、亜鉛粉末、ステンレス粉末、カーボン粉末等が挙げられるが、本発明はこれらに限られるものではない。これらは球状であっても不定形状であっても良く、単独で用いても2種類以上を混合して用いても良い。
【0022】
成分(1)と(2)の総量は、分子中にRSiO 3/2 単位(T単位)とR 2 SiO 2/2 単位(D単位)(Rは炭素数1〜10の非置換又は一価炭化水素基)を含有するシリコーン樹脂を含むシリコーン樹脂、又は、分子中にRSiO 3/2 単位(T単位)(Rは炭素数1〜10の非置換又は一価炭化水素基)を含有するシリコーン樹脂を含むと共に、25℃における粘度が100Pa・s以上のシリコーンオイル又はシリコーン生ゴムを含有するシリコーン樹脂100重量部に対し1,000〜3,000重量部であると共に、(1)/((1)+(2))=0.2〜1.0となるように成分(1)および成分(2)を配合する。成分(1)と(2)の総量が、1,000重量部より少ないと得られる組成物の熱伝導性が乏しくなり、また3,000重量部より多いと加工性が悪くなる。本発明においては、特に1,500〜2,500重量部であることが好ましい。また(1)/((1)+(2))が0.2より小さいと、相転移後の放熱特性向上があまり期待できない。
本発明において、成分(1)は必須であるが、成分(2)は必須ではない。しかしながら、成分(2)を併用することにより、放熱性能、シート加工性、作業性などを向上させることが可能となる。
【0023】
本発明の放熱部材においては、使用する熱伝導性充填剤の表面に存在する酸化膜を除去し、よりフィラーの特性を向上させるために、フラックス成分を付加的に用いることが更に有効である。フラックス成分は大きく分けて、無機系、有機系、樹脂系の3つに分けられる。無機系としては正リン酸、塩酸、臭化水素酸、弗酸等の無機酸系、塩化亜鉛、塩化第一スズ、塩化アンモニウム、弗化アンモニウム、弗化ナトリウム、塩化亜鉛/塩化アンモニウム=75/25等の無機酸系等がある。有機系の具体例としては、蟻酸、酢酸、オレイン酸、ステアリン酸、アジピン酸、乳酸、グルタミン酸等の有機酸系、蟻酸アンモニウム、メチルアミン乳酸塩等の有機酸塩系、エチレンジアミン等のアミン系、メチルアミン塩酸塩、ブチルアミン臭化水素酸塩、エチレンジアミン塩酸塩、トリエタノールアミン塩酸塩、塩酸アニリン等のアミンハロゲン化水素酸塩系等がある。樹脂系としては、ロジン、活性ロジン等がある。特に、本発明の組成物には、配合混練し易いだけでなく溶剤に溶け、形成したシートに塗布することが容易な、有機酸系もしくは樹脂系のフラックスを用いるとよい。フラックスの配合量は、シリコーン樹脂100重量部に対して0.05重量部より少ないと効果が薄く、40重量部より多くても効果が増大することがないので、0.05〜40重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜30重量部である。
【0024】
本発明の放熱部材には、任意成分として通常合成ゴムに使用される添加剤または充填剤等を本発明の目的を損なわない範囲で更に用いることができる。具体的には、離型剤としてシリコーンオイル;フッ素変性シリコーン界面活性剤;着色剤としてカーボンブラック、二酸化チタン、ベンガラなど;難燃性付与剤として白金触媒、酸化鉄、酸化チタン、酸化セリウムなどの金属酸化物、或いは金属水酸化物;加工性向上剤としてプロセスオイル、反応性シラン若しくはシロキサン;反応性チタネート触媒、反応性アルミ触媒などの触媒を添加してもよい。更に、熱伝導性充填剤の高温時での沈降防止剤として、沈降性或いは焼成シリカなどの微粉末、チクソ性向上剤等を添加することも任意である。
【0025】
本発明の放熱部材は、上記の各成分をドウミキサー(ニーダー)、ゲートミキサー、プラネタリーミキサーなどのゴム混練機を用い、使用した低融点金属粉末の融点以下の温度で配合混練することによって容易に製造することが出来る。低融点金属の融点以上の温度で配合混練すると、不均一になるだけでなく混練後の低融点金属粉末の粒径が大きくなる為、得られる組成物が不均一になり、シートやフィルム等とした時の表面が粗くなるので好ましくない。
【0026】
本発明の放熱部材は、通常シート状又はフィルム状に成形して用いられる。シート状又はフィルム状に成形する方法としては、混練り後の放熱部材を押し出し成型、カレンダー成型、ロール成型、プレス成型、或いは溶剤に溶解させた後塗工すること等により成型することができる。なお、このシート及びフィルムの厚さは特に制限されるものではないが、0.02〜2mm、特に0.03〜1mm、中でも0.1〜0.4mmであることが好ましい。また、使用前に離型シート等をはりあわせておくこともできる。
【0027】
シート状、フィルム状等の形状にかかわらず、本発明の放熱部材の熱伝導率は、0.5W/mK以上であることが好ましい。熱伝導率が0.5W/mK未満では電子部品から放熱部品等への熱伝導性が低くなり、十分な放熱性能が発揮されないおそれがある。
更に、本発明の放熱部材は、電子部品と放熱部品間への充填性の観点から、80℃における粘度が、含有する低融点金属が溶融状態であるかないかに関わらず、1×102〜1×105Pa・sの範囲であることが好ましく、特に5×102〜5×104Pa・sであることが好ましい。粘度が1×102Pa・s未満では電子部品とヒートシンク等の放熱部品との間から流出するおそれがあり、1×105Pa・sを越えると電子部品と放熱部品との間隙が小さくならず、十分な放熱性能を発現できなくなる可能性がある。
【0028】
本発明の放熱部材を、発熱性電子部品と、該発熱性電子部品から発生した熱を放熱する放電部品との間に施設するに際しては、本発明の放熱部材中に含有される低融点金属粉末の融点以上の温度に、一時的に加熱することが好ましい。このようにすると、本発明の放熱部材は熱軟化して発熱性電子部品と放熱部品の双方に十分密着するので、熱放散効率が十分となる。また、前記一時加熱によって架橋する場合には、リワークが必要な時に容易に剥がすことが出来る。
【0029】
【発明の効果】
本発明の放熱部材は、熱伝導性が良好である上発熱性電子部品及び放熱部品との密着性が良いので、これを上記両者の間に介在させることにより、発熱性電子部品から発生する熱を効率良く放散させ、前記発熱性電子部品やそれを用いた装置の寿命を大幅に改善することが可能である。
【0030】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
まず、本発明の放熱部材を構成する、以下の各成分を用意した。
シリコーン樹脂:
シリコーンレジン:D25TΦ 55DVi 20(軟化点:30〜50℃)数値はモル%。
但しDはMe2SiO2/2、TΦはPhSiO3/2、DViはViMeSiO2/2であり、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基をそれぞれ表す。また、D、TΦ、DViの比率はモル%である。
熱伝導性充填剤:
成分(1):低融点金属粉末
1−1:平均粒径18.4μmのインジウム〔融点156.7℃〕粉末
1−2:平均粒径47.6μmのインジウム〔融点156.7℃〕粉末
1−3:平均粒径26.9μmの錫(42重量%)/ビスマス(58重量%)の合金〔融点139℃〕粉末
1−4:平均粒径110μmのインジウム〔融点156.7℃〕粉末
成分(2):金属フィラー
2−1:平均粒径7.4μmのアルミニウム粉末
2−2:平均粒径1.0μmの酸化亜鉛粉末
2−3:平均粒径10.0μmのニッケル粉末
2−4:平均粒径120μmのアルミニウム粉末
フラックス: ロジン粉末
【0031】
実施例1〜6.
上記各成分を、表1の配合となるようにプラネタリ−ミキサーに投入し、70℃(成分(1)の融点以下)で1時間攪拌混合した。次に、得られたコンパウンドをコーティングし、所定の形状の熱軟化性シートを成形した。
シート成形時の表面状態は、表面粗さ測定器(株式会社ミツトヨ製、型式;Sufect−501)を用いて、算術平均粗さ(カットオフ値:λc=8mm)により評価した。
【0032】
次に、二枚の標準アルミプレートに上記の熱軟化性シートを挟み、約1.80kg/cm2の圧力をかけながら、170℃で15分間加熱した。上記のようにして熱抵抗の測定サンプルを調製した後に、二枚の標準プレートごと厚みを測定し、予め厚みが分かっている標準アルミプレートの厚みを差し引くことによって、実質的なシートの厚みを測定した。尚、上記測定に際しては、マイクロメーター(株式会社ミツトヨ製、型式;M820−25VA)を用いた。また、最終硬化物の熱抵抗を熱抵抗測定器(ホロメトリックス社製のマイクロフラッシュ)を用いて測定した。これらの測定結果は表1に示したとおりである。
【0033】
【表1】
【0034】
比較例1〜6.
表1の各成分の代わりに下記表2の各成分を用い、実施例1〜6とまったく同様にして硬化物を得た。得られた硬化物について実施例1〜6と同様に各項目の測定を行った結果は表2に示した通りである。
【表2】
a)素材が不均一なため、同じ厚みにしても熱抵抗にバラツキがでた。
表1、表2の結果は、本発明の放熱部材の有効性を実証するものである。
Claims (9)
- 動作時に室温より高温となる発熱性電子部品と該発熱性電子部品から発生した熱を放熱する為の放熱部品との間(境界)に配置される放熱部材において、該放熱部材が、分子中にRSiO 3/2 単位(T単位)とR 2 SiO 2/2 単位(D単位)(Rは炭素数1〜10の非置換又は一価炭化水素基)を含有するシリコーン樹脂100重量部と、熱伝導性充填剤1,000〜3,000重量部を含有する熱伝導性シリコーン樹脂組成物であると共に、電子部品動作以前の室温状態では非流動性であり、電子部品動作時に、その発熱によって低粘度化、軟化、若しくは溶融して前記発熱性電子部品と放熱部品との間に実質的に隙間なく充填される放熱部材であって、前記熱伝導性充填剤として、溶融温度が40〜250℃であり平均粒径が0.1〜100μmである低融点金属粉末(1)、及び溶融温度が250℃を越えると共に平均粒径が0.1〜100μmである熱伝導性粉末(2)が、(1)/〔(1)+(2)〕=0.2〜1.0となるように使用されてなることを特徴とする放熱部材。
- 動作時に室温より高温となる発熱性電子部品と該発熱性電子部品から発生した熱を放熱する為の放熱部品との間(境界)に配置される放熱部材において、該放熱部材が、シリコーン樹脂100重量部と、熱伝導性充填剤1,000〜3,000重量部を含有する熱伝導性シリコーン樹脂組成物であると共に、電子部品動作以前の室温状態では非流動性であり、電子部品動作時に、その発熱によって低粘度化、軟化、若しくは溶融して前記発熱性電子部品と放熱部品との間に実質的に隙間なく充填される放熱部材であって、前記熱伝導性充填剤として、溶融温度が40〜250℃であり平均粒径が0.1〜100μmである低融点金属粉末(1)、及び溶融温度が250℃を越えると共に平均粒径が0.1〜100μmである熱伝導性粉末(2)が、(1)/〔(1)+(2)〕=0.2〜1.0となるように使用されてなると共に、前記シリコーン樹脂が、分子中にRSiO 3/2 単位(T単位)(Rは炭素数1〜10の非置換又は一価炭化水素基)を含有するシリコーン樹脂を含むと共に、25℃における粘度が100Pa・s以上のシリコーンオイル又はシリコーン生ゴムを含有することを特徴とする放熱部材。
- 前記シリコーン樹脂100重量部に対してフラックス成分を0.05〜40重量部含有する、請求項1又は2の何れかに記載された放熱部材。
- 放熱部材としての熱伝導率が0.5W/mK以上であると共に、低融点金属粉末が溶融状態で有る無しに関わらず、80℃における粘度が1×10 2 〜1×10 5 Pa・sの範囲である、請求項1〜3の何れかに記載された放熱部材。
- 放熱部材としての形状がシート状又はフィルム状である、請求項1〜4の何れかに記載された放熱部材。
- シート状又はフィルム状に形成された表面にフラックス成分を塗布してなる請求項5に記載された放熱部材。
- 分子中にRSiO 3/2 単位(T単位)とR 2 SiO 2/2 単位(D単位)(Rは炭素数1〜10の非置換又は一価炭化水素基)を含有するシリコーン樹脂100重量部に、熱伝導性充填剤として、溶融温度が40〜250℃であり平均粒径が0.1〜100μmの低融点金属粉末(1)と、溶融温度が250℃を越えると共に平均粒径が0.1〜100μmである熱伝導性粉末(2)を、(1)/〔(1)+(2)〕=0.2〜1.0の割合で1,000〜3,000重量部、前記低融点金属の融点以下の温度で配合混練することを特徴とする放熱部材の製造方法。
- シリコーン樹脂100重量部に、熱伝導性充填剤として、溶融温度が40〜250℃であり平均粒径が0.1〜100μmの低融点金属粉末(1)と、溶融温度が250℃を越えると共に平均粒径が0.1〜100μmである熱伝導性粉末(2)を、(1)/〔(1)+(2)〕=0.2〜1.0の割合で1,000〜3,000重量部、前記低融点金属の融点以下の温度で配合混練する放熱部材の製造方法であって、前記シリコーン樹脂が、分子中にRSiO 3/2 単位(T単位)(Rは炭素数1〜10の非置換又は一価炭化水素基)を含有するシリコーン樹脂を含むと共に、25℃における粘度が100Pa・s以上のシリコーンオイル又はシリコーン生ゴムを含有することを特徴とする 製造方法。
- 請求項5又は6に記載された放熱部材を、発熱性電子部品と該電子部品から発生した熱を放熱させる為の放熱部品との間に施設する方法であって、前記放熱部材を境界に敷設するにあたり、低融点金属粉末(1)の融点以上の熱を一時的に加えることを特徴とする放熱部材の敷設方法。
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