JP3843792B2 - 車載情報提供装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の乗員に種々の情報を提供する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
予め設定した情報提供地点の300m手前の地点で情報提供を開始するようにした車載情報提供装置が知られている(例えばP2001−141498A参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の車載情報提供装置では、すべての情報に対して予め設定した情報提供地点の300m手前の地点で情報提供を開始しているので、情報の内容によっては情報提供地点が不適切なことがある。例えば、「海が見えてきました。こんな曲はいかがですか?」というナレーションとともに音楽情報を提供する場合には、実際に海が見え始めた地点で情報提供を開始するのが望ましい。
【0004】
本発明の目的は、情報の内容に応じた最適なタイミングで情報提供を開始するようにした車載情報提供装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1) 請求項1の発明は、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、予め起動地点が設定されたイベントプログラムを取得するイベントプログラム取得手段と、取得したイベントプログラムの対象コンテンツを取得するコンテンツ取得手段と、取得したコンテンツに対応するナレーションを取得するナレーション取得手段と、取得したナレーションとコンテンツを乗員に提供する表示および音声出力手段とを備え、車両の現在位置がイベントプログラムの起動地点に達したときにナレーションとコンテンツの提供を開始する車載情報提供装置において、各イベントプログラムには車両の種類に対する実行可否を示す属性情報が付加されており、取得したイベントプログラムの属性情報と車両の種類とに基づいて、取得したイベントプログラムの実行または不実行を決定する。
(2) 請求項2の発明は、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、予め起動地点が設定されたイベントプログラムを取得するイベントプログラム取得手段と、取得したイベントプログラムの対象コンテンツを取得するコンテンツ取得手段と、取得したコンテンツに対応するナレーションを取得するナレーション取得手段と、取得したナレーションとコンテンツを乗員に提供する表示および音声出力手段とを備え、車両の現在位置がイベントプログラムの起動地点に達したときにナレーションとコンテンツの提供を開始する車載情報提供装置において、イベントプログラムの起動地点の道路勾配を取得する勾配取得手段を備え、前記ナレーション取得手段は、車両の種類と道路勾配に応じたナレーションを選択する
(3) 請求項3の発明は、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、予め起動地点が設定されたイベントプログラムを取得するイベントプログラム取得手段と、取得したイベントプログラムの対象コンテンツを取得するコンテンツ取得手段と、取得したコンテンツに対応するナレーションを取得するナレーション取得手段と、取得したナレーションとコンテンツを乗員に提供する表示および音声出力手段とを備え、車両の現在位置がイベントプログラムの起動地点に達したときにナレーションとコンテンツの提供を開始する車載情報提供装置において、各コンテンツに対応するナレーションには車両の種類に応じた複数の種類が用意されており、前記ナレーション取得手段は、車両の種類に応じたナレーションを選択する。
【0006】
【発明の効果】
(1) 請求項1の発明によれば、実情に合わないような間違った情報提供を確実に防止することができる。
(2) 請求項2の発明によれば、坂道を走行する場合に、車種による乗員視点の高さと道路の勾配とによって情報対象物の見え始める位置が変化しても、情報対象物が見え始める地点で正確に情報の提供を開始することができる。
(3) 請求項3の発明によれば、高速道路などに安全と防音のために高いガードレールやフェンスが設置された場合でも、適切なナレーションとともに音楽などコンテンツを提供することができる、つまり、乗員の視点の路面からの高さに応じた最適な情報を提供することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
《発明の第1の実施の形態》
図1は第1の実施の形態の構成を示す。通信装置1は車外の情報センターと種々の情報の送受信を行う装置であり、車両の現在位置に依存してコンテンツの提供を行う車両位置連動イベントプログラム(以下、EP(Event Program)と呼ぶ)を情報センターから受信する。通信装置1には、FM多重放送、光ビーコンおよび電波ビーコンによりVICSセンターと通信を行う機器の他に、携帯電話機などの車外の情報センターと情報の授受を行うあらゆる通信機器が含まれる。
【0008】
イベントプログラムは車両の現在位置に応じたコンテンツを提供する番組であり、イベントプログラムごとに起動位置やコンテンツの種類などの属性データを有する(詳細後述)。コンテンツは番組(EP)で提供する情報であり、歌や楽曲演奏、観光案内などの種類がある。この実施の形態では、車両に搭乗している乗員に提供するコンテンツ(情報)として、車両の現在位置に応じた種類(情報の内容)を例に上げて説明する。
【0009】
車両位置検出装置2は、全地球測位システム(GPS)や自立航法により車両の現在位置を検出する。表示装置3はコンテンツを表示するLCDなどの表示装置である。音声出力装置4はコンテンツの音声を再生し、オーディオ装置5はコンテンツの音楽を再生する。入力装置6は乗員がデータの入力と設定、あるいは種々の操作を行う装置である。記憶装置7はコンテンツやナレーションのデータを記憶する。
【0010】
情報処理装置8はCPU8aとメモリ8bなどの周辺機器から構成され、後述する情報提供プログラムを実行してコンテンツの提供を行うEPの取得、コンテンツおよびナレーションの選択、EPの起動および実行を行い、表示装置3、音声出力装置4およびオーディオ装置5によりコンテンツを提供する。メモリ8bは外部から入手したEPなどを一時記憶する。
【0011】
図2は、一実施の形態の情報提供メインプログラムを示すフローチャートである。情報処理装置8は、車載情報提供装置に電源が投入されるとこのメインプログラムを繰り返し実行する。まず、ステップ100において通信装置1を介してEPを取得する。なお、EPは、通信装置1を介して車外の情報センターから取得する以外に、入力装置6により乗員自身が入力、設定してもよい。続くステップ200では図4に示すサブルーチンを実行してコンテンツとナレーションの選択を行う。つまり、記憶装置7に記憶されているデータの中からEPの対象コンテンツとその説明用ナレーションのデータを検索し、提供するコンテンツとその説明用ナレーションを選択する。次に、ステップ300で図7に示すサブルーチンを実行してEPを起動する。このとき、車両の現在位置において起動すべきEPが複数個存在する場合には優先順位にしたがって起動処理を行い、予め設定したEP起動地点と車両の現在位置との距離に応じたナレーションの選択処理を行う。そして、ステップ400でEPを実行してコンテンツの提供を行う。
【0012】
図3はEPの属性を示す。EPの属性には(1)EPID、(2)EP種類ID、(3)位置名称、(4)位置緯度、(5)位置経度、(6)Action種類ID、(7)ジャンルID、(8)性別ID、(9)曲調ID、(10)イベントID、(11)高さ制限、(12)勾配などのデータが含まれる。(1)EPIDは各EPに付与される識別番号であり、(2)EP種類IDはEPのイベント種類を表す識別番号である。この一実施の形態では車両の位置に依存したイベントを例に上げて説明するが、イベントの種類には他に時刻、時間、電話受信、インターネット情報更新などがある。
【0013】
(3)位置名称、(4)位置緯度および(5)位置経度はEPを起動させる地点である。(6)Action種類は、緯度と経度情報により予め設定された地点で提供するコンテンツの種類を表す識別番号である。コンテンツの種類には「音楽」や「情報提供」などがある。(7)〜(9)の各IDはそれぞれ、コンテンツとして提供する音楽の内容を規定するためのジャンル、アーティストの性別、曲調である。なお、記憶装置7に記憶されているコンテンツにも(7)〜(9)の各IDに対応する属性データが付与されており、各コンテンツの属性について識別することが可能である。(10)イベントIDはEPで規定されている位置イベントの属性を表し、位置イベントには「海」、「湖」、「山」、「橋」などがある。なお、(11)高さ制限と(12)勾配の属性については後述する。これらの取得したEPの属性データはメモリ8bに記憶される。
【0014】
図4は、図2のステップ200で実行されるコンテンツおよびナレーション選択サブルーチンを示すフローチャートである。このフローチャートにより、記憶装置7に記憶されているデータからEPの対象コンテンツと説明用ナレーションデータを検索し、利用するコンテンツとそのナレーションを選択する処理を説明する。
【0015】
ステップ210で、記憶装置7に記憶されているコンテンツIDを情報処理装置8のメモリ8bへ読み出す。図5にコンテンツIDの詳細を示す。(1)IDはコンテンツの識別番号であり、(2)種類番号はコンテンツの種類を表す番号である。また、(3)曲名はコンテンツのタイトルであり、(4)アーティスト名はコンテンツを提供するアーティスト名である。(5)ジャンルID、(6)性別ID、(7)曲調IDおよび(8)イベントIDはそれぞれ、上述したEP属性の(7)ジャンルID、(8)性別ID、(9)曲調IDおよび(10)イベントIDである。
【0016】
続くステップ220において、EPの属性データに基づいて対象となるのコンテンツがメモリ8bにあるかどうか検索を行う。この検索は、EP属性の中の(7)ジャンルID、(8)性別ID、(9)曲調ID、(10)イベントIDを用いて行う。コンテンツ検索の結果、対象となるコンテンツがない場合はステップ221へ進み、通信装置1を介して車外の情報センターからコンテンツを取得する。
【0017】
一方、対象となるコンテンツがある場合にはステップ230へ進み、検索したコンテンツの数が複数か否かを確認する。対象コンテンツの検索件数が複数の場合はステップ240へ進み、検索した複数のコンテンツの中からいずれかを選択する。コンテンツの選択方法には、乱数を発生させて無作為にコンテンツを選択する方法や、過去の利用履歴により利用頻度が最も低いコンテンツを選択する方法、あるいは最後に利用してからの時間が最も長いコンテンツを選択する方法などがある。なお、対象コンテンツの検索件数が複数でない場合、つまり対象コンテンツの検索件数が1件の場合はステップ231へ進み、そのコンテンツを提供コンテンツに決定する。
【0018】
提供するコンテンツが決定したら図4のステップ250へ進み、記憶装置7に記憶されているナレーションIDを情報処理装置8のメモリ8bに読み出す。ナレーションとはコンテンツの説明もしくは前振りであり、提供するコンテンツの紹介を事前に録音されたリアルボイスを再生することによって行う。
【0019】
図6にナレーションIDを示す。(1)IDはナレーションの識別番号であり、(2)種類IDはナレーションの種類を表す識別番号である。ナレーションの種類には「挨拶」、「警告」、「曲紹介」などがある。(3)イベントIDは上述したEP属性のイベントIDである。
【0020】
(4)レベル1距離、(5)レベル2距離および(6)レベル3距離はナレーション開始タイミングを位置で表したものであり、上述したEP属性の中の(4)緯度と(5)経度で規定される起動地点と車両の現在位置との間の距離である。例えば、海沿いの道路に出るEP起動地点で海にちなんだ曲を再生するEPの場合には、車両の現在位置が予め設定したEP起動地点から(4)レベル1の距離にあるときは「海が見えてきました」、(5)レベル2の距離にあるときは「海が見えました」、すでに海に出るイベント起動地点を過ぎてしまった(6)レベル3の距離にあるときは「海沿いに出ましたね」という内容のナレーションを使い分けることができる。
【0021】
この実施の形態では、EP起動地点の200m以上手前(レベル1距離)、200m手前から100m先(レベル2距離)、100m以上先(レベル3距離)の3段階の距離に区分した例を示すが、2段階または4段階以上に区分してもよい。また、これらの距離はコンテンツの種類に応じて可変としてもよい。
【0022】
(7)レベル1音声ファイル、(8)レベル2音声ファイルおよび(9)レベル3音声ファイルは、(4)〜(6)の各距離レベルに対応する音声ファイル名を示す。EP起動地点から200m以上手前の(4)レベル1距離には、(8)レベル1音声ファイル「海が見えてきましたね。曲を変えてみましょう」というナレーションが対応し、EP起動地点の200m手前から100m先までの(5)レベル2距離には、(9)レベル2音声ファイル「海が見えましたね。曲を変えてみましょう」というナレーションが対応し、EP起動地点の100m以上先の(6)レベル3距離には、(10)レベル3音声ファイル「海沿いに出ましたね。曲を変えてみましょう」というナレーションが対応する。なお、(11)高さ制限対応IDについては後述する。
【0023】
ステップ260において、提供するコンテンツに対応するナレーションがメモリ8bにあるかどうか検索する。この検索は図6に示すナレーションIDの中の(3)イベントIDを用いて行う。検索対象のナレーションがメモリ8bになければステップ261へ進み、通信装置1を介して車外の情報センターからナレーションを取得する。一方、提供コンテンツのナレーションがメモリ8bにある場合はステップ270へ進み、検索したナレーションの件数が複数かどうかを確認する。提供コンテンツのナレーションが1件しか検索されなかった場合はステップ271へ進み、そのナレーションの採用を決定する。
【0024】
提供コンテンツのナレーションが複数検索された場合はステップ280へ進み、検索した複数のナレーションの中からいずれかを選択する。この選択方法は、無作為に選択する方法や、過去の利用履歴から使用頻度の低いものを選択する方法などがある。ステップ290において、選択したコンテンツの属性データ(図5参照)とナレーションの属性データ(図6参照)をメモリ8bに記憶する。
【0025】
図7はEP起動サブルーチンを示すフローチャートである。このフローチャートにより、図2のステップ300におけるEPが重複した場合の優先順位処理と、予め設定した起動地点と車両の現在位置との距離に応じたナレーションの選択処理を説明する。ステップ310で車両位置検出装置2により車両の現在位置を取得する。続くステップ320において、図3に示すEP属性の中の(4)緯度と(5)経度で設定されたEP起動地点に車両が到達したかどうかを確認し、EP起動地点に車両が到達したらステップ330へ進む。なお、全地球測位システム(GPS)や自立航法による現在位置の検出結果には誤差があるため、EP属性により設定した起動地点を中心とする所定半径の円を描き、車両の現在位置がその円内に入ったら車両がEP起動地点に到達したと判断する。
【0026】
ステップ330では他のEPがすでに起動されているかどうかを確認し、他のEPがすでに起動されているときはEPの優先順位にしたがっていずれかを選択するためにステップ340へ進み、他のEPが起動されていないときはステップ380へ進む。ステップ340ですでに起動されているEPの属性(1)EPID(図3参照)を取得する。続くステップ350において、すでに起動されているEPとこれから起動しようとするEPとの優先順位を確認する。
【0027】
図8は種々のEPの優先順位を示すマトリックスである。図において、「先」欄のEPIDはすでに起動されているEPのIDを示し、「あと」欄のEPIDはこれから起動しようとするEPのIDを示す。また、○印は優先順位が高いことを表し、×印は優先順位が低いことを表す。例えば、すでにID00002のEPが起動されており、これからID00003のEPを起動しようとする場合には、あとから起動しようとするID00003のEPの方が先に起動中のID00002のEPよりも優先順位が高い。したがって、この場合には起動中のID00002のEPを終了させた後、ID00003のEPを起動する。また、すでにID00002のEPが起動されており、これからID00006のEPを起動しようとする場合には、先に起動中のID00002のEPの方があとから起動しようとするID00006のEPよりも優先順位が高い。したがって、この場合は先に起動中のID00002のEPをそのまま動作させる。
【0028】
先に起動中のEPの優先順位が高い場合はステップ370へ進み、先に起動中のEPの動作を継続させ、その動作終了を待つ。一方、先に起動中のEPの優先順位が低い場合はステップ360へ進み、起動中のEPを終了させる。ステップ370で先に起動中のEPの終了を確認したらステップ380へ進む。ステップ380では車両位置検出装置2から車両の現在位置を取得する。ステップ390において、車両の現在位置とEP属性(4)および(5)による起動地点との間の走行経路に沿った距離を演算し、演算結果の距離に応じたナレーションレベルを選択する(図6参照)。そして、選択したナレーションレベルをメモリ8bに記憶する。
【0029】
図2のステップ400のEP実行では、まず図7のステップ390で選択されたナレーションレベルのナレーションを音声出力装置4により再生する。ナレーション終了後、図4のステップ240で選択されたコンテンツをオーディオ装置5により再生する。コンテンツの再生が終了したらEPの実行を終了する。
【0030】
以上説明したように第1の実施の形態によれば、予め設定した起動地点と車両の現在位置との距離に応じたナレーションを選択するようにしたので、例えば、「海が見えてきました。こんな曲はいかがですか?」というナレーションとともに音楽を提供する場合には、海が見えたらナレーションと音楽の提供を開始することができ、また観光案内を提供する場合には、観光地点に到達する前にナレーションと観光案内の提供を開始することができる。
【0031】
また、第1の実施の形態によれば、複数のEPが同時に起動された場合には、EPごとに設定された優先順位にしたがって、順位の高い方を優先して実行するようにしたので、車両の移動にともなって優先順位の高い情報を優先的に提供することができる。
【0032】
さらに、第1の実施の形態によれば、車両の現在位置から予め設定したEP起動地点までの距離に応じたナレーションを選択し、コンテンツを提供するようにしたので、予め設定したEP起動地点と車両の現在位置との位置関係に応じた最適なナレーションを選択することができる。
【0033】
《発明の第2の実施の形態》
車両の種類と道路の勾配とに基づいて提供コンテンツのナレーションを選択するようにした第2の実施の形態を説明する。なお、この第2の実施の形態の構成は図1に示す構成と同様であり、説明を省略する。また、第2の実施の形態の情報提供メインプログラムは図2に示すプログラムと同様であり、説明を省略する。
【0034】
この第2の実施の形態では、入力装置6により車両の種類を入力する。車両の種類は、乗員視点の路面からの高さを低、中、高の3段階に区分し、視点高さが低い一般車両と、視点高さが中位のワンボックス車と、視点高さが高いバス・トラックとに分ける。これらの車種情報はメモリ8bに記憶される。
【0035】
また、第2の実施の形態では、図3に示すように、EPの属性に(11)高さ制限と(12)勾配を加える。(11)高さ制限は上述した車種に関する情報提供条件であり、1:全車は路面からの視点高さが低い一般車両を含むすべての車種に対して情報提供可能であり、2:ワンボックス以上は路面からの視点高さが中位以上のワンボックス車とバス・トラックに対して情報提供可能であり、3:バス・トラックは路面からの視点高さが高いバス・トラックに対してのみ情報提供可能である。例えば、予め設定された情報提供地点付近の道路に沿ってフェンスなどが設置されており、ワンボックス車以上でなければ乗員が提供コンテンツに関係のある景色や物を見ることができない場合には、属性(11)の高さ制限2を設定しておく。
【0036】
(12)勾配は走行中の道路の勾配による情報提供条件である。坂道を走行する場合には、車高つまり乗員の視点の路面からの高さと道路の勾配とによって視界距離が変化し、コンテンツに関係のある景色や物が見えたり、見えなかったりする。図9に示すように、上述した車種の中の一般車両を基準としたときのワンボックス車とバス・トラックの車高差をhとし、道路勾配をθとした場合に、一般車両の視界距離とワンボックス車およびバス・トラックの視界距離との差dは次式で求められる。
【数1】
d=h/tanθ
【0037】
さらに、第2の実施の形態では、図6に示すように、ナレーションIDに(10)高さ制限対応IDを加える。この高さ制限対応IDには、1:高さ制限上問題なし用と、2:高さ制限上問題あり用を用意しておく。例えば、高さ制限上問題なし用ナレーションが「海が見えています」の場合、高さ制限上問題あり用ナレーションは、車高が低くて乗員の視点では海が見えない状況にあるから、「右手は海です」とする。
【0038】
図10は、第2の実施の形態のコンテンツおよびナレーション選択サブルーチンを示すフローチャートである。なお、図4に示すサブルーチンと同様な処理を行うステップに対しては同一のステップ番号を付して相違点を中心に説明する。ステップ201において、入力装置6により入力されメモリ8bに記憶されている車種が、EP属性の(11)高さ制限を満たすかどうかを確認する。車種が高さ制限を満たさない場合には、ステップ260Aのナレーションの検索において、メモリ8bに記憶されているナレーションの中から、図6に示す(3)イベントIDと(11)高さ制限対応ID2(高さ制限上問題あり用)によりコンテンツに対応するナレーションを検索する。
【0039】
図11は、第2の実施の形態のEP起動サブルーチンを示すフローチャートである。なお、図7に示すサブルーチンと同様な処理を行うステップに対しては同一のステップ番号を付して相違点を中心に説明する。ステップ301において、EP属性に勾配データがあるかどうかを確認する。EP属性(12)に勾配データがある場合はステップ302へ進み、ない場合はステップ310へ進む。勾配データがある場合は、ステップ302で上記数式1により視界距離の差dを計算し、図6に示すナレーションIDの(4)〜(6)の距離IDの補正値とする。続くステップ303でナレーションIDの(4)〜(6)の距離を補正値dにより補正する。
【0040】
この第2の実施の形態では、車種が高さ制限を満たさない場合には、高さ制限を満たす場合のナレーションに代えて高さ制限を満たさない場合のナレーションに変更する、つまり、車両の種類に応じたナレーションを選択するようにしたので、高速道路などに安全と防音のために高いガードレールやフェンスが設置された場合でも、適切なナレーションとともに音楽などコンテンツを提供することができる、つまり、乗員の視点の路面からの高さに応じた最適な情報を提供することができる。
【0041】
また、第2の実施の形態では、車両の種類と道路の勾配に応じたナレーションを選択するようにしたので、坂道を走行する場合に、車種による乗員視点の高さと道路の勾配とによって情報対象物の見え始める位置が変化しても、情報対象物が見え始める地点で正確に情報の提供を開始することができる。
【0042】
なお、EP属性の中の(11)高さ制限は車両の種類に対するEP実行の可否を示す属性情報であり、車種が高さ制限を満たさない場合にはEPを実行しないようにしてもよい。それにより、実情に合わないような間違った情報提供を確実に防止することができる。
【0043】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、位置検出手段として一実施の形態では衛星航法や自立航法による車両位置検出装置2を一例として説明したが、例えば電波や光ビーコンにより車両の現在位置を検出してもよい。また、イベントプログラム取得手段として一実施の形態では通信装置1を介して車外の情報センターからイベントプログラムを取得する例を示したが、入力装置6により乗員が入力したイベントプログラムを取得してもよい。コンテンツ取得手段として一実施の形態では車載の記憶装置7から情報処理装置8がイベントプログラムの対象コンテンツを検索して取得する例を示したが、通信装置1を介して車外の情報センターからイベントプログラムの対象コンテンツを取得してもよい。ナレーション取得手段として一実施の形態では車載の記憶装置7から情報処理装置8が提供コンテンツに対応するナレーションを検索して取得する例を示したが、通信装置1を介して車外の情報センターから提供コンテンツに対応するナレーションを取得してもよい。さらに、表示および音声出力手段として一実施の形態では表示装置3、音声出力装置4およびオーディオ装置5を、提供開始タイミング変更手段として一実施の形態では情報処理装置8をそれぞれ例に上げて説明したが、表示および音声出力手段と提供開始タイミング変更手段は一実施の形態に限定されない。また、勾配取得手段として上述した一実施の形態ではイベントプログラムの属性情報から道路の勾配を取得する例を示したが、道路の勾配は車両位置検出装置2で検出される車両の現在位置と道路地図データとに基づいて走行中の道路勾配を車両側で検出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の構成を示す図である。
【図2】 第1の実施の形態の情報提供メインプログラムを示すフローチャートである。
【図3】 イベントプログラム(EP)の属性を示す図である。
【図4】 第1の実施の形態のコンテンツおよびナレーション選択サブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】 コンテンツIDを示す図である。
【図6】 ナレーションIDを示す図である。
【図7】 第1の実施の形態のイベントプログラム(EP)起動サブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】 イベントプログラムの優先順位マトリクスを示す図である。
【図9】 車高差hと道路勾配θとに基づいて視界距離の差dを計算する原理を示す図である。
【図10】 第2の実施の形態のコンテンツおよびナレーション選択サブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】 第2の実施の形態のイベントプログラム(EP)起動サブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 通信装置
2 車両位置検出装置
3 表示装置
4 音声出力装置
5 オーディオ装置
6 入力装置
7 記憶装置
8 情報処理装置
8a CPU
8b メモリ

Claims (3)

  1. 車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
    予め起動地点が設定されたイベントプログラムを取得するイベントプログラム取得手段と、
    取得したイベントプログラムの対象コンテンツを取得するコンテンツ取得手段と、
    取得したコンテンツに対応するナレーションを取得するナレーション取得手段と、
    取得したナレーションとコンテンツを乗員に提供する表示および音声出力手段とを備え、
    車両の現在位置がイベントプログラムの起動地点に達したときにナレーションとコンテンツの提供を開始する車載情報提供装置において、
    各イベントプログラムには車両の種類に対する実行可否を示す属性情報が付加されており、
    取得したイベントプログラムの属性情報と車両の種類とに基づいて、取得したイベントプログラムの実行または不実行を決定することを特徴とする車載情報提供装置。
  2. 車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
    予め起動地点が設定されたイベントプログラムを取得するイベントプログラム取得手段と、
    取得したイベントプログラムの対象コンテンツを取得するコンテンツ取得手段と、
    取得したコンテンツに対応するナレーションを取得するナレーション取得手段と、
    取得したナレーションとコンテンツを乗員に提供する表示および音声出力手段とを備え、
    車両の現在位置がイベントプログラムの起動地点に達したときにナレーションとコンテンツの提供を開始する車載情報提供装置において、
    イベントプログラムの起動地点の道路勾配を取得する勾配取得手段を備え、
    前記ナレーション取得手段は、車両の種類と道路勾配に応じたナレーションを選択することを特徴とする車載情報提供装置。
  3. 車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
    予め起動地点が設定されたイベントプログラムを取得するイベントプログラム取得手段と、
    取得したイベントプログラムの対象コンテンツを取得するコンテンツ取得手段と、
    取得したコンテンツに対応するナレーションを取得するナレーション取得手段と、
    取得したナレーションとコンテンツを乗員に提供する表示および音声出力手段とを備え、
    車両の現在位置がイベントプログラムの起動地点に達したときにナレーションとコンテンツの提供を開始する車載情報提供装置において、
    各コンテンツに対応するナレーションには車両の種類に応じた複数の種類が用意されており、
    前記ナレーション取得手段は、車両の種類に応じたナレーションを選択することを特徴とする車載情報提供装置。
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