JP3843572B2 - 薄膜積層体及び薄膜積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気・電子機器に使用される電子部品を形成する為に用いられる金属薄膜と有機薄膜からなる薄膜積層体の構成およびこれを製造するための製造方法に関するものである。
【0002】
金属薄膜と有機薄膜からなる薄膜積層体を用いた電子部品は、その用途として例えばコンデンサ、コイル、抵抗等の受動部品、また電気・磁気シールド材料、更に回路配線基板等各種の用途がある。
【0003】
この中で、特にコンデンサ、コイル等の積層数が多数要求される部品の母材の製造や、電気・磁気シールド材等の大面積を要する部品の製造には、有機薄膜・金属薄膜の形成段階、および前記薄膜の積層段階を高品質かつ生産性良く製造する方法、およびこれを実現する積層体の形態の進歩が望まれていた。
【0004】
【従来の技術】
従来、金属薄膜と有機薄膜からなる薄膜積層体を形成するための方法として主として実施されてきた方法は、金属薄膜および有機薄膜をそれぞれ真空中で形成する手段を用意し、又これらの手段により形成される積層体を支持し、かつ前記金属薄膜および有機薄膜の形成手段の間を順次移動する積層体の搬送手段により必要な積層体を形成するものであった。
【0005】
この代表的な例を図5に示す。14は有機薄膜を形成する手段であり、有機蒸着、蒸着重合、CVD等が一般的である。15は金属薄膜を形成する手段であり、スパッタリング、蒸着等が一般的である。16は、前記金属薄膜および有機薄膜の形成手段の間を順次移動する積層体を搬送する手段である。17は誘電体薄膜を必要な位置、形状に加工する為のマスキングおよびエッチングする手段である。18は金属薄膜を必要な位置、形状に形成する為に用いられるマスキング手段を示す。
【0006】
前記の例に示すように、従来の金属薄膜と有機薄膜からなる薄膜積層体を形成するための方法では、それぞれの成膜手段の間の搬送に時間を要するため、成膜速度が大きくなるに従って搬送時間の比率が大きくなるため、積層数が多い品物では生産性の向上が期待できないという課題を有していた。
【0007】
薄膜の積層数が多い品物の生産性向上のため、成膜手段の間の搬送を、回転する円筒状の支持体を用い、金属薄膜と有機薄膜の成膜を連続して行う方式が提案された。この方法は特開平2−43042公報に記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平2−43042公報に記載の製造方法では、金属薄膜および有機薄膜を形成する際に使用する電子線や、有機薄膜の成膜および表面改質のために使用する電子線などの影響で有機薄膜が帯電し、真空装置内に残存するダストが薄膜上に付着し、薄膜積層体の品質を低下させるという課題があった。しかもこの課題は薄膜の積層数が多くなれば顕著になり、薄膜積層体の歩留を著しく低下させるという課題があった。
【0009】
また、有機薄膜の成膜工程で、薄膜表面の帯電状態を制御する必要がある場合、従来の方法では帯電状態を制御することができないため、ダストの薄膜上への付着はさらに大きな課題となっていた。
【0010】
本発明の目的は、ダストの付着が無い、高品質の金属薄膜と有機薄膜からなる薄膜積層体を、生産性良く生産するための、積層体とその製造方法を提供するところにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、以下の構成となっている。
【0012】
本発明の請求項1に記載の薄膜積層体の構成は、金属薄膜と有機薄膜を、円筒状の支持体の円筒曲面上に成膜しながら積層してなる円筒状の薄膜積層体の、円筒曲面部分の少なくとも一個所以上に、前記円筒の両端面間に渡って連続して配置され、金属薄膜のみが積層されて成る部分を有する薄膜積層体としたものである。前記構成によって、金属薄膜と有機薄膜からなる薄膜積層体を製造する際に使用する金属薄膜の製膜手段からの電子線や、有機薄膜の製膜や表面改質に使用する電子線などの影響で、有機薄膜が帯電し真空装置内のダストが薄膜上に付着し製品の品質を低下させる事を防ぐ作用を有する。すなわち、前記金属薄膜のみで形成される部分を有する事により、有機薄膜の帯電を必要に応じて取り除く事ができるという作用を果たす。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の薄膜積層体の構成は、前記積層体の金属薄膜中に、前記金属薄膜のみが積層されて成る部分を除き、前記円筒の回転方向と平行に位置する、少なくとも一本以上の、金属薄膜のないストライプ状の部分を有することを特徴とする請求項1に記載の薄膜積層体である。前記構成によって、前記ストライプ状の部分により積層体を区分することにより、一度に多数の積層体を形成することができ、かつ有機薄膜の帯電を必要に応じて取り除く事ができるという、請求項1と同等の効果を有し、さらに生産性を向上させるという作用を果たす。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載の薄膜積層体の製造方法は、金属薄膜と有機薄膜を円筒状の支持体の円筒曲面上に成膜しながら積層する円筒状の薄膜積層体の製造方法であって、前記円筒状の支持体の円筒曲面中に、前記円筒状の支持体の両平行平面に渡って連続して位置し、かつ前記支持体の他の部分から電気的に絶縁されており、かつ導電性である部分を、少なくとも一個所以上有しており、前記金属薄膜と有機薄膜を成膜しながら積層して、前記薄膜積層体を形成する工程中で、前記薄膜積層体の中に、前記支持体の前記導電性部分の上であって、前記円筒状の薄膜積層体の両端面間に渡って連続して配置され、金属薄膜のみが積層されて成り、かつ前記支持体の前記導電性部分と電気的接続を有する部分を形成し、かつ前記支持体の前記導電性部分の電位を任意にアースに接地する手段を含むことを特徴とする薄膜積層体の製造方法である。前記構成によって、前記薄膜積層体の、それぞれの成膜および硬化等の手段に応じて、帯電を保持したり帯電を防ぐ作用を有し、薄膜積層体の品質を向上させる製造方法を提供するものである。
【0015】
また本発明の請求項4に記載の薄膜積層体の製造方法は、前記有機薄膜と金属薄膜を成膜しながら積層して、前記薄膜積層体を形成する工程中に、前記積層体の表面を荷電粒子を用いて帯電する操作と、前記円筒状の支持体を回転する操作と、前記円筒状の支持体の回転の特定の位置で、前記支持体の前記導電性部分を、アースに接地する操作と、前記回転位置と別な位置で、アースと絶縁する操作を伴うことを特徴とする請求項3に記載の薄膜積層体の製造方法である。前記構成によって、前記薄膜積層体の、それぞれの成膜および硬化等の手段およびそれぞれの製膜手段の位置および前後において、帯電を保持したり帯電を防ぐ操作手段を有し、薄膜積層体の品質を向上させる製造方法を提供するものである。
【0016】
さらに本発明の請求項5に記載の薄膜積層体の製造方法は、前記有機薄膜の形成手段として蒸着を用い、かつ前記薄膜積層体の金属薄膜のみで形成された部分の下に位置する支持体の温度を、前記円筒状の支持体の他の部分と温度差を設ける事を特徴とする前記請求項3および4に記載の薄膜積層体の製造方法である。前記構成によって、前記薄膜積層体の金属薄膜のみで形成された部分を形成するための手段として、部分的に有機薄膜を成膜しない容易な手段を提供するものである。
【0017】
また本発明の請求項6に記載の薄膜積層体の製造方法は、前記金属薄膜の形成されないストライプ状の部分を有する手段として、オイルを用い、かつ前記薄膜積層体の金属薄膜のみで形成された部分を形成するための手段として、前記薄膜積層体の金属薄膜のみで形成された部分の下の支持体部分が、前記円筒状の支持体の円筒曲面の表面より少なくとも凹んでいることを特徴とする、前記請求項3および4および5に記載の薄膜積層体の製造方法である。前記構成によって、金属薄膜のないストライプ状の部分を、薄膜積層体の金属薄膜のみで形成された部分には形成されないようにし、かつ金属薄膜の形成されないストライプ状の部分により区分された積層体のすべての部分に導電性を付与することができることで、一度に多数の積層体を、高品質に製造することができる製造方法を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、金属薄膜と有機薄膜を積層してなる円筒状の、本発明の薄膜積層体19を示す。円筒状の薄膜積層体19には、円筒の両端面間に渡って連続して配置され、金属薄膜のみが積層されてなる部分1が、円筒曲面部分に一個所ある例を示した。
【0020】
図2は、図1で示した、本発明の薄膜積層体19の、金属薄膜2のみが積層されてなる部分1の断面の拡大図であり、図1では図示していないが、金属薄膜2のみが積層されてなる部分1の、支持体4の構成の一例も示す。支持体4は、絶縁体5によって、支持体8と電気的に絶縁されている。薄膜積層体19の中で、円筒状の支持体8上にある部分では、有機薄膜3が形成されているが、支持体4の中心線7の近傍では、有機薄膜3が形成されておらず、金属薄膜2のみが積層された構造となっている。
【0021】
(実施の形態2)
図3は、円筒状の薄膜積層体19中の、金属薄膜2のみが積層された部分1以外の他の部分に、円筒の回転方向と平行に並ぶ、少なくとも一本以上の、金属薄膜2の形成されないストライプ状の部分9を有する薄膜積層体を示す斜視図である。前記ストライプ状の部分9により、薄膜積層体19を複数本に区分することができ、これによって一度に多数の積層体を形成することができる。
【0022】
図3では、円筒状の薄膜積層体19の中に、金属薄膜2のみで形成される部分1が4個ある例が図示されているが、本発明の目的からすれば、1個以上であればよく、必要に応じて多数設けてもよい。また、金属薄膜2の形成されないストライプ状の部分9の数は、積層体の設計により決まる。
【0023】
(実施の形態3)
図2を用いて、さらに別の実施の形態の例を示す。図2は実施の形態1と同様に、薄膜積層体19中の金属薄膜2のみが積層された部分1と、この部分1の支持体4の構成を示す断面図である。実施の形態1と同様に、薄膜積層体19の中で、円筒状の支持体8上にある部分では、有機薄膜3が形成されているが、支持体の部分4の中心線7の近傍では、有機薄膜3が形成されておらず、金属薄膜2のみが積層された構造となっている。支持体4は、金属薄膜2のみが積層された部分1以外の薄膜積層体19の支持体8とは、絶縁体5によって電気的に絶縁されており、かつ支持体4自身は導電性を有しており、さらに支持体4と、薄膜積層体の成膜装置の本体(図示せず)とを電気的に接続をするための部分6(以下、「コンタクト部」と称す)を有しているので、支持体4の電位は、必要に応じてアースに接地することができる構成になっている。
【0024】
前記支持体4の構成により、薄膜積層体19は、成膜および硬化等の、それぞれの手段に応じ、帯電を保持したり、あるいは帯電を除去することが可能になる。また、本実施の形態は、成膜中に、薄膜積層体19に常時一定の帯電状態を保持させるのみでなく、成膜手段および硬化手段等のそれぞれの位置、および前後関係に応じて、適当なタイミングで、帯電を保持したり、帯電を除去したりすることが可能である。これにより更に複雑な積層成膜工程の品質を向上させる作用を有する。
【0025】
(実施の形態4)
さらに、有機薄膜3の形成手段として蒸着を用いる場合、図2中の絶縁体5に断熱性を付与し、金属薄膜2のみが積層された部分1以外の、薄膜積層体19の支持体8の温度よりも、支持体4の温度を高くすることによって、前記支持体4上に蒸着される有機薄膜材料の蒸気は再蒸発を起こし、かつ金属薄膜の蒸気は再蒸発しない温度に設定でき、薄膜積層体19の金属薄膜2のみが積層された部分1を容易に形成するための手段を提供することができる。
【0026】
なお前記支持体4の温度を高める手段としては、円筒状の薄膜積層体の支持部8が冷却されている場合、前記したように断熱するのみで効果が得られるが、支持体4中にヒーターを内蔵し加熱する方法も、支持体4の温度を制御することができ、本発明の目的に適うものである。
【0027】
本実施の形態は、実施の形態3と組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
さらに、実施の形態4の構成に付加して、金属薄膜2の形成されないストライプ状の部分9を形成する手段として、オイルをマスキング材として用いる場合、薄膜積層体19の金属薄膜2のみが積層された部分1の下の支持体4が、円筒状の支持体8の円筒曲面の表面より少なくとも凹んでいる構成にすることによって、前記金属薄膜2の形成されないストライプ状の部分9が、薄膜積層体中の金属薄膜2のみが積層された部分1には形成されないようにできる。これによって、金属薄膜2の形成されないストライプ状の部分9により区分された各々の積層体中にある、すべての金属薄膜2と、薄膜積層体19中の金属薄膜2のみが積層された部分1とを電気的に接続して、金属薄膜2をすべて同じ電位にし、また必要に応じて電位を制御することができる効果を得ることができる。
【0028】
これは、金属薄膜2が形成されないストライプ状の部分9を形成する手段に、オイルをマスキング剤として用いた場合には、円筒状の薄膜積層体19の支持体8より外形の小さい支持体4の部分には前記オイルの付着が少なく、また実施の形態4の構成によって、支持体4の部分は、他の支持体8の温度より高いという効果も寄与して、金属薄膜2の形成されないストライプ状の部分9が形成されないため、薄膜積層体19中の金属薄膜2のみが積層された部分1では、金属薄膜2が薄膜積層体19の厚さ方向で電気的に接続されるためである。
【0029】
なお、図2では、凹んでいる支持体4の断面形状として、円形の凹みの例を示したが、前記支持体4の断面形状はこれに限るものではなく、逆三角形の形状でも、直線的な段付き形状でも、あるいは窪みの中に多少の凹凸が有っても良く、支持体8の円筒曲面の表面より、支持体4が凹んでいれば本発明の効果が得られるものである。
【0030】
【実施例】
以下図4を用いて、本発明の具体的な実施例を示す。
【0031】
2×10−4Torrに真空排気された真空容器(図示せず)中で、円筒状の薄膜積層体の支持体8は冷却され、円筒の中心軸を軸に回転するクーリングキャンで構成されている。(以下、円筒状の支持体を「クーリングキャン」と称す)またクーリングキャン8の円筒曲面の一部には、導電性が有り、クーリングキャン8とは断熱材5によって熱的に絶縁された支持体4が設けられている。支持体4の近傍の構成は、図2に示すようになっている。
【0032】
クーリングキャン8の円筒表面の周辺には、マスキング剤として、オイルパターンを形成するためのオイルノズル10と、金属薄膜の形成手段11と、有機薄膜材料の蒸発手段12と、および有機薄膜の硬化手段13が配置され、これらは真空容器(図示せず)中で、前記クーリングキャン8に接触することなく、かつクーリングキャン8の円筒表面に近接して保持され、クーリングキャン8が回転することにより、有機薄膜3および金属薄膜2が形成されながら積層される。
【0033】
有機薄膜3の材料としては、少なくとも2個以上のビニル基を有し、電子線や紫外線などの放射線で硬化可能で、常温・大気圧においては液体である有機材料が使用できる。例えばジアクリレート類、トリアクリレート類、ジメタクリレート類、トリメタクリレート類、などの多価アルコールのアクリル酸エステル類、多価カルボン酸の不飽和エステル類、不飽和カルボン酸のアミドなどが用いることができ、薄膜積層体の用途に応じて選定すればよい。
【0034】
金属薄膜2の材料としては、通常の電子部品に用いられる金属を用いることができる。例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、金、亜鉛、あるいはこれらの金属の合金など、薄膜積層体の用途に応じて選定すればよい。
【0035】
回転するクーリングキャン8の円筒表面上に、有機薄膜の蒸発手段12から出る有機薄膜の材料の蒸気が蒸着され、続いて蒸着した有機薄膜の材料が、クーリングキャン8の回転により有機薄膜の硬化手段13の位置に移動して硬化されて有機薄膜3が形成される。有機薄膜3の厚みは薄膜積層体の用途に応じて選択すればよいが、本発明の用途では、極めて薄い膜を形成することが必要となるので、0.5μmの膜厚とした。
【0036】
引き続いてクーリングキャン8の回転によりオイルノズル10の位置まで移動して、オイルノズル10から出るオイル蒸気もしくは液体オイルが有機薄膜3上に付与されて、金属薄膜2が形成されないストライプ状の部分9に対応する形状のオイルパターンが形成され、さらに金属薄膜の形成手段11まで移動して金属薄膜2と、オイルパターンの形状に対応する形状で金属薄膜が形成されないストライプ状の部分9が形成される。オイルには炭化水素系のオイル、フッ素系のオイルなどが使用できる。本実施例では平均分子量350の鉱物油を用いた。
【0037】
クーリングキャン8の回転が複数回繰り返されることにより、有機薄膜3および金属薄膜2が形成されながら積層される。
【0038】
クーリングキャン8の一部に設けられた支持体4の上では、支持体4は冷却されたクーリングキャン8とは断熱材6によって熱的に絶縁されており、有機薄膜、金属薄膜の蒸着時の熱が蓄積され、支持体4の温度はクーリングキャン8の温度より高くなっている。このことにより、有機薄膜材料の蒸気が再蒸発を起こし、有機薄膜3が形成されることなく、薄膜積層体の金属薄膜2のみが積層された部分1のみが形成される。支持体4の実際の温度は、有機薄膜、金属薄膜の蒸着時の熱が蓄積されることで徐々に上昇するため、一義的に特定できないが、少なくとも有機薄膜材料の沸点以上まで上昇する。
【0039】
冷却されたクーリングキャン8の温度は、クーリングキャン有機薄膜材料の沸点が一般的に100℃以上と高いため、少なくとも20℃以下、好ましくは10℃以下、さらに好ましくは5℃以下がよい。なお本発明では、クーリングキャン8の温度は、クーリングキャン表面の温度のことをいうものとする。
【0040】
また、前記支持体4は、クーリングキャン8より温度が高く、かつ支持体4が、クーリングキャン8の円筒表面より凹んでいるため、オイルノズル10により付与されるオイルが付着せず、かつ微少に付着しても再蒸発し、金属薄膜の形成手段11で金属薄膜2を付与する段階で、前記金属薄膜2の形成されないストライプ状の部分9が、前記支持体4の上の薄膜積層体19の部分、すなわち薄膜積層体19の金属薄膜2のみが積層された部分1には形成されない。支持体4の凹みの大きさは、少なくとも2mm以上あればよい。これによって金属薄膜2が形成されないストライプ状の部分9により区分された、薄膜積層体19のすべての部分の金属薄膜2に、前記支持体4を通して同電位を与えることができる構成にすることができる。
【0041】
さらに、図4に示す、前記クーリングキャンの回転方向の一定の位置A〜Dにおいて、A〜Cの区間では、前記導電性の金属薄膜のみが積層された部分1の支持体4から、薄膜積層体19の成膜装置の本体へ電気的な接続を取るため、コンタクト部6により薄膜積層体19表面が帯電しないように除電される。これによって有機薄膜3および金属薄膜2の成膜中に、成膜装置内部から発生するダストの付着を最小限に押さえることができる。
【0042】
また、コンタクト部6を接地することで、前記金属薄膜2のみが積層された部分1を接地し、前記金属薄膜2をアースとして、例えばプラズマ等の荷電粒子発生手段を使用することができ、これによって金属薄膜2の表面処理等を施すことができる。
【0043】
さらに、CからDを通りAに至る区間では、前記コンタクト部6をアースから絶縁することで、有機薄膜3を例えばグロー放電等の荷電粒子発生手段により帯電可能にし、有機薄膜3の表面エネルギーを高め、有機薄膜材料の蒸発手段12により付与される有機薄膜の、濡れ性向上や、平坦化促進に用いることができる。さらに例えば電子線等を用いる有機薄膜の硬化手段13により、付与される硬化反応エネルギーの保持を行うことができる。
【0044】
このように、クーリングキャンの回転方向の一定の位置A〜Dにおいて積層される金属薄膜2の帯電状態をコントロールすることは、金属薄膜2が円筒状の外周すべてにわたって連続しているため、原理的に実施することはできないと思われるが、実際には、実用的な金属薄膜2の表面抵抗率が、金属がアルミである場合では2Ω/□以上、好ましくは3〜5Ω/□である為、帯電状態をコントロールすることができる効果が実質的に得られることを確認した。
【0045】
なお、図4では、前記クーリングキャン8にある支持体4の数を4個所とした例を示したが、この数は、有機薄膜、金属薄膜の成膜手段の数、および表面の処理手段の数、また通常付加される計測手段の構成などにより、必要に応じて最適な数に変更することができる。
【0046】
さらに、薄膜積層体19を形成した後、クーリングキャン8から薄膜積層体19を分離するときに、薄膜積層体19を分割する必要が当然生じるが、支持体4上に形成される金属薄膜のみが積層された部分1は、薄膜積層体19を分割する際に、分割個所としても利用でき、従って支持体4の数は、必要な分割数に応じて変更しても、本発明の目的から逸脱するものではない。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、金属薄膜と有機薄膜を、成膜しながら積層してなる薄膜積層体の製造において、成膜手段間の搬送を回転する円筒状の支持体を用い、金属薄膜と有機薄膜の成膜を連続して行うことが可能であり、かつ金属薄膜と有機薄膜からなる薄膜積層体を製造する際に使用する、電子線やグロー放電などの荷電粒子などの影響で、薄膜積層体が帯電して、真空装置内のダストが薄膜上に付着し製品の品質を低下させることなく、また有機薄膜の製膜および硬化のために、必要な帯電状態を確保する必要がある成膜手段を用いる場合、表面の帯電状態をコントロールすることができる。
【0048】
これにより高品質の薄膜積層体を提供でき、また積層数の多い製品を容易に生産でき、また一度に複数の薄膜積層体を製造することができ、産業上の効果は大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】円筒曲面部分の一個所に、金属薄膜のみが積層されてなる部分を有する、本発明の薄膜積層体の外観を示す図
【図2】本発明の製造方法に用いる、金属薄膜のみが積層されてなる部分の支持体、およびその周辺の支持体の構成を示す断面図
【図3】金属薄膜のみが積層されてなる部分と、金属薄膜中に金属薄膜の形成されないストライプ状の部分を有する本発明の薄膜積層体の外観と、本発明の製造方法に用いる支持体の一例を示す外観図
【図4】本発明の薄膜積層体の製造方法の一実施例を示す構成図
【図5】従来の薄膜積層体の製造方法の一例を示す構成図
【符号の説明】
1 金属薄膜のみが積層された部分
2 金属薄膜
3 有機薄膜
4 金属薄膜のみが積層される部分の支持体
5 絶縁体、もしくは断熱性を有する絶縁体
6 支持体4の中のコンタクト部
7 金属薄膜のみが積層された部分の支持体の中心線
8 円筒状の支持体、もしくはクーリングキャン
9 金属薄膜の形成されないストライプ状の部分
10 オイルパターンを形成するためのノズル
11 金属薄膜の形成手段
12 有機薄膜の蒸発手段
13 有機薄膜の硬化手段
14 従来例の有機薄膜の形成手段
15 従来例の金属薄膜の形成手段
16 従来例の積層体の搬送手段
17 従来例の有機薄膜のエッチング手段
18 従来例の金属薄膜のマスキング手段
19 本発明の薄膜積層体
Claims (6)
- 金属薄膜と有機薄膜が円筒状に積層されて成り、かつ円筒曲面部分の少なくとも一個所以上に、前記円筒の両端面間に渡って連続して配置され、金属薄膜のみが積層されて成る部分を有することを特徴とする薄膜積層体。
- 前記積層体の金属薄膜中に、前記金属薄膜のみが積層されて成る部分を除き、前記円筒の回転方向と平行に位置する、少なくとも一本以上の、金属薄膜のないストライプ状の部分を有することを特徴とする請求項1に記載の薄膜積層体。
- 金属薄膜と有機薄膜を円筒状の支持体の円筒曲面上に成膜しながら積層する円筒状の薄膜積層体の製造方法であって、前記円筒状の支持体の円筒曲面中に、前記円筒状の支持体の両平行平面に渡って連続して位置し、かつ前記支持体の他の部分から電気的に絶縁されており、かつ導電性である部分を、少なくとも一個所以上有しており、前記金属薄膜と有機薄膜を成膜しながら積層して、前記薄膜積層体を形成する工程中で、前記薄膜積層体の中に、前記支持体の前記導電性部分の上であって、前記円筒状の薄膜積層体の両端面間に渡って連続して配置され、金属薄膜のみが積層されて成り、かつ前記支持体の前記導電性部分と電気的接続を有する部分を形成し、かつ前記支持体の前記導電性部分の電位を任意にアースに接地する手段を含むことを特徴とする薄膜積層体の製造方法。
- 前記有機薄膜と金属薄膜を成膜しながら積層して、前記薄膜積層体を形成する工程中に、前記積層体の表面を荷電粒子を用いて帯電する操作と、前記円筒状の支持体を回転する操作と、前記円筒状の支持体の回転の特定の位置で、前記支持体の前記導電性部分を、アースに接地する操作と、前記回転位置と別な位置で、アースと絶縁する操作を伴うことを特徴とする請求項3に記載の薄膜積層体の製造方法。
- 前記有機薄膜の形成手段として蒸着を用い、かつ前記薄膜積層体の金属薄膜のみで形成された部分の下の支持体部分の温度を、前記円筒状の支持体の他の部分と温度差を設けた事を特徴とする請求項3および4に記載の薄膜積層体の製造方法。
- 前記金属薄膜のないストライプ状の部分を形成する手段にオイルを用い、かつ前記薄膜積層体の金属薄膜のみで形成された部分の下の支持体部分が、前記円筒状の支持体の円筒曲面の表面より少なくとも凹んでいることを特徴とする請求項3および4および5に記載の薄膜積層体の製造方法。
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JPS637363A (ja) * | 1986-06-25 | 1988-01-13 | Kakogawa Plast Kk | 真空蒸着方法 |
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