JP3843294B2 - 試験片 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体成分中の還元物質除去方法を用いた臨床化学検査に用いる試験片に関し、特に酸化発色反応を利用する場合などの発色抑制によって誤差の原因となりうる還元性の物質と選択的に反応し、それらを系内から除去することのできる還元物質の活性抑制方法を用いた分析用の試験片に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
血液や尿中の生体成分の検出において、その極めて複雑なマトリックスの中から目的成分のみを選択的に検出するために、現在はグルコースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ウリカーゼあるいは各種デヒドロゲナーゼなどを用いている酵素的分析方法や、生体中の酵素活性を測定するために酵素基質が広く利用されており、中でも各種酸化酵素を用いる方法は日常検査に欠かせない手法となっている。
【0003】
通常、測定対象である基質を各種酸化酵素で酸化することにより生成する過酸化水素は、カタラーゼやペルオキシダーゼ存在下、酸化発色基質と反応させることによって容易に吸光分析法で定量することができる。
これらの酵素的分析方法は、化学的反応を利用する測定方法と比較して、特異的であり、酵素の種類に関わらず緩和な条件で反応が進行することから、多数の成分を同一の分析条件で測定できるために容易に自動化が可能であり、臨床面での成分の測定意義が明確になるにつれて今後ますます普及していくものと思われる。
【0004】
一方、生体成分の臨床化学検査法においては、溶液系による検査方法すなわちウェットケミストリーは一般的なものであるが、分離操作や反応セルを持ちいる必要があるなど、検査試薬溶液の保存安定性や取り扱いの簡便さに問題があり、特に緊急を要する場合や検体数が多い場合においては、試薬を乾燥した状態で安定化させた試験片を用いて、測定時に検体によって液相を生じさせ反応が行われるドライケミストリーシステムが近年では多く見られてきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の各種酸化酵素を用いる方法において、特にペルオキシダーゼ過酸化水素系を用いる酸化酵素反応においては、生体試料中に存在する種々の還元物質によりその過酸化水素が消費されて負の誤差を与えることが知られている。
【0006】
その還元物質の内、最も問題となっている化合物はアスコルビン酸で、近年の健康飲料のブームと共に大量にアスコルビン酸が添加された飲料水や食品が増加しつつあることから、これらの干渉はますます増えてくるものと思われる。
これらのアスコルビン酸などの還元物質は簡単な前処理によって除くことが望まれるが、これまでに試みられた酸化性の金属塩や有機物の添加は、これらの干渉物質のみならず、酸化発色基質とも反応してしまい、正の誤差を生じるため、酸化発色色素を用いる反応系には使用できない。
【0007】
本発明の目的は、特異的に生体中の還元物質と反応し、その干渉をなくし、かつ、ペルオキシダーゼまたはカタラーゼ過酸化水素の反応系への影響が少ない還元物質の活性抑制方法を用いた分析用の試験片を提供することにある
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、酸化発色反応を利用する分析用の試験片において、液体不透性支持体層の上に、順次、特定成分を分析するのに必要な試薬を含む試薬層、、液体不透性支持体層の上に、順次、特定成分を分析するのに必要な試薬を含む試薬層、および次の一般式(1)で示されるフリーラジカルを持った化合物を含む還元物質酸化層を設けてなることを特徴とする試験片;並びに、酸化発色反応を利用する分析用の試験片において、液体不透性支持体の上に、順次、特定成分を分析するのに必要な試薬および次の一般式(1)で示されるフリーラジカルを持った化合物を含む試薬層、および検体を展開する展開層を設けてなることを特徴とする試験片を提供するものである。
(式中Rは炭素数が4または5の環状アルキル基、または窒素原子との間に一つの二重結合を有していてもよい環状アルキル基で、アルキル基、アミノ基、アミド基、カルバモイル基、カルボキシル基、ケト基、水酸基、スルホン基、フェニル基などの置換基を有していてもよく、環状アルキル基の炭素原子が窒素原子、酸素原子、硫黄原子などで置換していてもよい。)
【0009】
本発明に用いる上記の化合物(1)は、金属塩などの通常の酸化剤とは異なり、分子内に持つ安定なラジカルが、アスコルビン酸などの還元物質に作用して、該還元物質を酸化し、自らはヒドロキシ体となることで還元物質の抑制を行うものである。
該化合物(1)の一般的な合成方法は、A.M.Feldmanらの方法(米国特許第3334103号)やW.Bueschkenら(独国特許4219459号)によって示されており、数種類は既に市販されている。
また、本発明に用いる上記の化合物(1)が酸化する対象である還元物質は、特に限定はされず、アスコルビン酸、尿酸等が挙げられるが、特にアスコルビン酸の場合に有効である。
【0010】
本発明の試験片は、少なくとも、特定成分を分析するのに必要な試薬および上記の化合物(1)を含有する。
【0011】
本発明の試験片の、特定成分を分析するのに必要な試薬は、酸化発色分析に用いる試薬であれば、分析の対象物によって適宜選択され、特に制限はされない。例えば、血清中のトリグリセライドが対象である場合、アデノシン−3−リン酸、リポプロテインリパーゼ、グリセロールキナーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、4−アミノアンチピリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリンなどの酵素、色素を含む。
【0012】
上記の化合物(1)は試薬層に含まれていてもよいし、化合物(1)を含む還元物質酸化層と、特定成分を分析するのに必要な試薬を含む試薬層を分離させて2層とし、順次積層させても良い。還元物質酸化層と試薬層とを別々に分離した場合は、化合物(1)による酸化発色基質への影響をより軽減できる。
化合物(1)による酸化発色基質への影響をさらに軽減する場合には、還元物質酸化層と試薬層との間に一種の保護層である中間層を有していてもよい。
【0013】
さらに、実際の分析において取り扱いが容易なように、支持体を有していてもよい。支持体は、液層を保持するために液体不透性であるのが好ましく、ポリエチレンテレフタレート等のプラスティックフィルム、不透性の紙、金属箔等が挙げられる。発色反応の測定を支持体側から行う場合は、支持体は透明でなければならない。
【0014】
本発明の試験片の試薬層、還元物質酸化層は、試薬成分および/または化合物(1)をバインダーと共に適当な溶媒に溶解し、成膜して形成してもよいし、あるいは適当な溶媒に溶解し、多孔性マトリックスに含浸、乾燥して形成してもよい。
【0015】
バインダーとしては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン,ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの親水性高分子が好適である。これらの親水性高分子を用いる場合、溶媒は水性媒体、特に水である。
【0016】
成膜方法は、常法による。支持体の上にコーティング、乾燥させて成膜してもよいし、平面上に塗布、展開し、乾燥ののち剥離させてフィルム状にしてもよい。
【0017】
多孔性マトリックスとしては、濾紙、布、メンブレンフィルター等が挙げられるが、特に限定はされない。
【0018】
バインダーを使用する場合と多孔性マトリックスに含浸する場合のいずれの場合も、溶媒に緩衝剤や、試薬の溶解性、溶液の塗布性を良くするための界面活性剤等の添加剤を加えてもよい。
【0019】
中間層は、バインダーを適当な溶媒に溶解し、成膜して形成するのが好ましい。バインダーとしては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン,ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの親水性高分子が挙げられ、溶媒としては、水、アセトン、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、ブチルアルコール、クロロホルム、塩化メチル、トルエン等が挙げられるが、特に限定はされない。また、中間層にも、溶液の塗布性を良くするための界面活性剤等の添加剤を加えてもよい。
【0020】
本発明の試験片が、、支持体も含め2層以上の構成となる場合、積層方法は常法による。すなわちバインダーを使用する場合は、グラビアロール、グラビアコーター等任意のコーティング法を用いて積層し、多孔性マトリックスに含浸した層を積層する場合には、含浸後、湿潤状態でラミネートする、若しくは、含浸、乾燥した後、中間層を接着剤としてラミネートする等の方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
中間層を設ける場合、試薬層および/または還元物質酸化層に、水溶性で、ある種の有機溶剤には溶解しないバインダーを用い、水を溶媒にして層の形成を行い、中間層に還元物質酸化層と試薬層に用いたバインダーを溶解しない有機溶剤に溶解する別の水溶性バインダーを用い、該有機溶剤を溶媒にして層形成を行うと、各層が混じり合うことなく分離して形成されるため、良い。
【0022】
前記の各層を積層する場合には、支持体を最下層とし、その上に順次、試薬層、還元物質酸化層を設けると、分析対象を上から滴下した場合、分析対象中の還元物質がまず酸化された後に試薬層に達し、支持体が液体不透性であるために試薬層中で容易に液層を形成して、試薬と反応し、分析を行うことができて望ましい。必要であれば試薬層と還元物質酸化層の間に中間層を設けると、還元物質の分離がより完全に行われる。また、試薬層や還元物質酸化層の汚染を防ぐために、最上層に保護層を設けてもよい。保護層は、液体透過性、若しくは液体溶解性を持っていれば、特に限定はされないが、親水性で透明であるのが好ましい。
【0023】
各層を積層した後、適当な大きさ、例えば5mmx7mm程度にカットし、更にベースフィルムに両面テープ、接着剤などで固定してもよい。ベースフィルムの材質はポリエチレンテレフタレート等が挙げられるが、特に限定はされない。また、ベースフィルムの形状も特に限定はされないが、ストリップ状の形状が好ましい。
【0024】
試薬層、還元物質酸化層、中間層、保護層等の厚さは、必要に応じて適宜定めれば良いが、好ましくは試薬層の厚さがウェット厚100〜200ミクロン、還元物質酸化層がウェット厚50〜150ミクロンである。
【0025】
本発明を、図面により説明すれば、図1は特定成分を分析するのに必要な試薬を含有する試薬層と、化合物(1)を含有し、検体を展開する展開層を兼ねる還元物質酸化層、これら2層の間に設けられた中間層、および支持体、ベースフィルムからなる本発明の試験片の構成を示す説明図である。図2は特定成分を分析するのに必要な試薬および化合物(1)を含有する試薬層と検体を展開する展開層をもつ試験片の断面図であり、図3は特定成分を分析するのに必要な試薬を含有する試薬層と、化合物(1)を含有し、検体を展開する展開層を兼ねる還元物質酸化層をもつ試験片の断面図、図4は図3の試験片の試薬層と還元物質酸化層の間に中間層を設けた試験片の断面図である。
【0026】
以下、試験例および実施例に従ってこの発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0027】
試験例
(1)使用材料
(a)血中トリグリセライド分析用試薬
アデノシン−3−リン酸(オリエンタル酵母製)
リポプロテインリパーゼ(東洋紡製)
グリセロールキナーゼ(東洋紡製)
グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(東洋紡製)
ペルオキシダーゼ(東洋紡製)
4−アミノアンチピリン(キシダ化学製)
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(同仁化学製)
(b)試薬層形成物質(バインダー、界面活性剤)
10%アクリルアミド水溶液(ナカライテスク製)
エマルゲン709(花王製)
精製水
(c)中間層形成物質
1−ブタノール(和光純薬製)
ヒドロキシプロピルセルロース−M(日本曹達製)
(d)検体展開層または還元物質酸化剤展開層形成物質
エマルゲン709(花王製)
精製水
ポリエステル製の布
(e)還元物質酸化剤
4−ヒドロキシ−TEMPO(同仁化学製)
(F)添加剤(緩衝剤)
リン酸1カリウム(和光純薬製)
リン酸2ナトリウム(和光純薬製)
(2)試験方法
血中トリグリセライドの測定に対するアスコルビン酸の影響の測定
実施例1〜4、および比較例1の試験片の試薬部分にアスコルビン酸無添加のプール血清、およびプール血清にアスコルビン酸を最終濃度が20mg/dlとなるよう添加した溶液をそれぞれ5μl滴下し、37℃、240秒静置したのち反射率の測定を行った。(n=3)
反射率の測定方法
反射率の測定は、反射率計(スポットケムSP−4410:京都第一科学製)を用いて行った。
(3)試験結果
血中トリグリセライドの測定に対するアスコルビン酸の影響に関し、反射率の測定結果を表1に、バックグラウンド値を考慮して反射率より算出した濃度の計算値を表2に示す。
【表1】
血中トリグリセライドの測定に対するアスコルビン酸の影響(反射率の測定結果)
【表2】
血中トリグリセライドの測定に対するアスコルビン酸の影響(バックグラウンド値を考慮した反射率の濃度換算値)
表2においてプール血清のみの場合とアスコルビン酸添加の場合の濃度の差が大きいほどアスコルビン酸による妨害が大きいことを示す。表2の結果から実施例の活性抑制試薬を用いた試験片はいずれも活性抑制試薬を用いていない試験片よりもアスコルビン酸による妨害が減少していることが分かる。
【0028】
実施例1
試薬層中の試薬として
アデノシン−3−リン酸(オリエンタル酵母製) 0.72 g
リポプロテインリパーゼ(東洋紡製) 15 KU
グリセロールキナーゼ(東洋紡製) 0.8 KU
グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(東洋紡製) 4.5 KU
ペルオキシダーゼ(東洋紡製) 3.6 KU
4−アミノアンチピリン(キシダ化学製) 0.102 g
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメ
トキシアニリン(同仁化学製) 0.174 g
試薬層中の還元物質酸化剤として
4−ヒドロキシ−TEMPO(同仁化学製) 0.25 g
および
10%アクリルアミド水溶液(ナカライテスク製) 30 g
精製水 30 g
リン酸1カリウム(和光純薬製) 0.64 g
リン酸2ナトリウム(和光純薬製) 1.04 g
エマルゲン709(花王製) 0.01 g
を混合して試薬塗工液を調製し、この塗工液を厚さ0.188mm白色ポリエチレンテレフタレートフィルム上へ濡れ厚さ150μmで塗工し、40℃で20分間乾燥することにより、試薬層を得、さらに、
エマルゲン709(花王製) 0.001 g
精製水 233.6 g
を混合したものを、厚さ0.25mmのポリエステル製の布に含浸して、先の試薬層の上に濡れた状態でラミネートし、40℃で15分間乾燥させて展開層とした。得られた積層物を5mm×7mmにカットし、5mm×80mmの厚さ0.25mm白色ポリエチレンテレフタレート片の先端に両面テープで固定し、試験片とした。
【0029】
実施例2
試薬層中の試薬として
アデノシン−3−リン酸(オリエンタル酵母製) 0.72 g
リポプロテインリパーゼ(東洋紡製) 15 KU
グリセロールキナーゼ(東洋紡製) 0.8 KU
グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(東洋紡製) 4.5 KU
ペルオキシダーゼ(東洋紡製) 3.6 KU
4−アミノアンチピリン(キシダ化学製) 0.102 g
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメ
トキシアニリン(同仁化学製) 0.174 g
および
10%アクリルアミド水溶液(ナカライテスク製) 30 g
精製水 30 g
リン酸1カリウム(和光純薬製) 0.64 g
リン酸2ナトリウム(和光純薬製) 1.04 g
エマルゲン709(花王製) 0.01 g
を混合して試薬塗工液を調製し、この塗工液を厚さ0.188mm白色ポリエチレンテレフタレートフィルム上へ濡れ厚さ150μmで塗工し、40℃で20分間乾燥することにより、試薬層を得、さらに
還元物質酸化剤として
4−ヒドロキシ−TEMPO(同仁化学製) 2.5 g
および
エマルゲン709(花王製) 0.001 g
精製水 233.6 g
を混合したものを、厚さ0.25mmのポリエステル製の布に含浸して、先の試薬層の上に濡れた状態でラミネートし、40℃で15分間乾燥させてアスコルビン酸酸化層とした。得られた積層物を5mm×7mmにカットし、5mm×80mmの厚さ0.25mm白色ポリエチレンテレフタレート片の先端に両面テープで固定し、試験片とした。
【0030】
実施例3
試薬層中の試薬として
アデノシン−3−リン酸(オリエンタル酵母製) 0.72 g
リポプロテインリパーゼ(東洋紡製) 15 KU
グリセロールキナーゼ(東洋紡製) 0.8 KU
グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(東洋紡製) 4.5 KU
ペルオキシダーゼ(東洋紡製) 3.6 KU
4−アミノアンチピリン(キシダ化学製) 0.102 g
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメ
トキシアニリン(同仁化学製) 0.174 g
および
10%アクリルアミド水溶液(ナカライテスク製) 30 g
精製水 30 g
リン酸1カリウム(和光純薬製) 0.64 g
リン酸2ナトリウム(和光純薬製) 1.04 g
エマルゲン709(花王製) 0.01 g
を混合して試薬塗工液を調製し、この塗工液を厚さ0.188mm白色ポリエチレンテレフタレートフィルム上へ濡れ厚さ150μmで塗工し、40℃で20分間乾燥することにより、試薬層を得、さらに
還元物質酸化剤として
4−ヒドロキシ−TEMPO(同仁化学製) 2.5 g
および
リン酸1カリウム(和光純薬製) 0.64 g
リン酸2ナトリウム(和光純薬製) 1.04 g
エマルゲン709(花王製) 0.001 g
精製水 233.6 g
を混合したものを、厚さ0.25mmのポリエステル製の布に含浸して、先の試薬層の上に濡れた状態でラミネートし、40℃で15分間乾燥させてアスコルビン酸酸化層とした。得られた積層物を5mm×7mmにカットし、5mm×80mmの厚さ0.25mm白色ポリエチレンテレフタレート片の先端に両面テープで固定し、試験片とした。
【0031】
実施例4
試薬層中の試薬として
アデノシン−3−リン酸(オリエンタル酵母製) 0.72 g
リポプロテインリパーゼ(東洋紡製) 15 KU
グリセロールキナーゼ(東洋紡製) 0.8 KU
グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(東洋紡製) 4.5 KU
ペルオキシダーゼ(東洋紡製) 3.6 KU
4−アミノアンチピリン(キシダ化学製) 0.102 g
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメ
トキシアニリン(同仁化学製) 0.174 g
および
10%アクリルアミド水溶液(ナカライテスク製) 30 g
精製水 30 g
リン酸1カリウム(和光純薬製) 0.64 g
リン酸2ナトリウム(和光純薬製) 1.04 g
エマルゲン709(花王製) 0.01 g
を混合して試薬塗工液を調製し、この塗工液を厚さ0.188mm白色ポリエチレンテレフタレートフィルム上へ濡れ厚さ150μmで塗工し、40℃で20分間乾燥することにより、試薬層を得、
1−ブタノール(和光純薬製) 60 g
ヒドロキシプロピルセルロース−M(日本曹達製) 2 g
を混合して先に作製した試薬層上へ濡れ厚さ100μmで塗工し、40℃で10分間乾燥することにより、中間層を得た。
さらに還元物質酸化剤として
4−ヒドロキシ−TEMPO(同仁化学製) 2.5 g
および
リン酸1カリウム(和光純薬製) 0.64 g
リン酸2ナトリウム(和光純薬製) 1.04 g
エマルゲン709(花王製) 0.001 g
精製水 233.6 g
を混合したものを、厚さ0.25mmのポリエステル製の布に含浸して、先の中間層の上に濡れた状態でラミネートし、40℃で15分間乾燥させてアスコルビン酸酸化層とした。得られた積層物を5mm×7mmにカットし、5mm×80mmの厚さ0.25mm白色ポリエチレンテレフタレート片の先端に両面テープで固定し、試験片とした。
【0032】
比較例1
試薬層中の試薬として
アデノシン−3−リン酸(オリエンタル酵母製) 0.72 g
リポプロテインリパーゼ(東洋紡製) 15 KU
グリセロールキナーゼ(東洋紡製) 0.8 KU
グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(東洋紡製) 4.5 KU
ペルオキシダーゼ(東洋紡製) 3.6 KU
4−アミノアンチピリン(キシダ化学製) 0.102 g
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメ
トキシアニリン(同仁化学製) 0.174 g
および
10%アクリルアミド水溶液(ナカライテスク製) 30 g
精製水 30 g
リン酸1カリウム(和光純薬製) 0.64 g
リン酸2ナトリウム(和光純薬製) 1.04 g
エマルゲン709(花王製) 0.01 g
を混合して試薬塗工液を調製し、この塗工液を厚さ0.188mm白色ポリエチレンテレフタレートフィルム上へ濡れ厚さ150μmで塗工し、40℃で20分間乾燥することにより、試薬層を得、さらに、
エマルゲン709(花王製) 0.001 g
精製水 233.6 g
を混合したものを、厚さ0.25mmのポリエステル製の布に含浸して、先の試薬層の上に濡れた状態でラミネートし、40℃で15分間乾燥させて展開層とした。得られた積層物を5mm×7mmにカットし、5mm×80mmの厚さ0.25mm白色ポリエチレンテレフタレート片の先端に両面テープで固定し、試験片とした。
【0033】
【発明の効果】
本発明の試験片により、酸化発色反応を用いる生体成分の臨床化学検査において、アスコルビン酸等の還元物質による干渉を抑制して対象物質の正確な定量分析結果を得ることができ、かつドライケミストリーであるために簡便かつ安定に測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の試験片の一実施例の層構造を示す説明図である。
【図2】本発明の試験片の別の実施例の一つを示す断面図である。
【図3】本発明の試験片の別の実施例の一つを示す断面図である。
【図4】図1の試験片の断面図である。
【符号の説明】
1 ベースフィルム
2 支持体
3 試薬層
3’ 還元物質酸化剤を含む試薬層
4 還元物質酸化層
4’ 展開層
5 中間層
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体成分中の還元物質除去方法を用いた臨床化学検査に用いる試験片に関し、特に酸化発色反応を利用する場合などの発色抑制によって誤差の原因となりうる還元性の物質と選択的に反応し、それらを系内から除去することのできる還元物質の活性抑制方法を用いた分析用の試験片に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
血液や尿中の生体成分の検出において、その極めて複雑なマトリックスの中から目的成分のみを選択的に検出するために、現在はグルコースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ウリカーゼあるいは各種デヒドロゲナーゼなどを用いている酵素的分析方法や、生体中の酵素活性を測定するために酵素基質が広く利用されており、中でも各種酸化酵素を用いる方法は日常検査に欠かせない手法となっている。
【0003】
通常、測定対象である基質を各種酸化酵素で酸化することにより生成する過酸化水素は、カタラーゼやペルオキシダーゼ存在下、酸化発色基質と反応させることによって容易に吸光分析法で定量することができる。
これらの酵素的分析方法は、化学的反応を利用する測定方法と比較して、特異的であり、酵素の種類に関わらず緩和な条件で反応が進行することから、多数の成分を同一の分析条件で測定できるために容易に自動化が可能であり、臨床面での成分の測定意義が明確になるにつれて今後ますます普及していくものと思われる。
【0004】
一方、生体成分の臨床化学検査法においては、溶液系による検査方法すなわちウェットケミストリーは一般的なものであるが、分離操作や反応セルを持ちいる必要があるなど、検査試薬溶液の保存安定性や取り扱いの簡便さに問題があり、特に緊急を要する場合や検体数が多い場合においては、試薬を乾燥した状態で安定化させた試験片を用いて、測定時に検体によって液相を生じさせ反応が行われるドライケミストリーシステムが近年では多く見られてきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の各種酸化酵素を用いる方法において、特にペルオキシダーゼ過酸化水素系を用いる酸化酵素反応においては、生体試料中に存在する種々の還元物質によりその過酸化水素が消費されて負の誤差を与えることが知られている。
【0006】
その還元物質の内、最も問題となっている化合物はアスコルビン酸で、近年の健康飲料のブームと共に大量にアスコルビン酸が添加された飲料水や食品が増加しつつあることから、これらの干渉はますます増えてくるものと思われる。
これらのアスコルビン酸などの還元物質は簡単な前処理によって除くことが望まれるが、これまでに試みられた酸化性の金属塩や有機物の添加は、これらの干渉物質のみならず、酸化発色基質とも反応してしまい、正の誤差を生じるため、酸化発色色素を用いる反応系には使用できない。
【0007】
本発明の目的は、特異的に生体中の還元物質と反応し、その干渉をなくし、かつ、ペルオキシダーゼまたはカタラーゼ過酸化水素の反応系への影響が少ない還元物質の活性抑制方法を用いた分析用の試験片を提供することにある
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、酸化発色反応を利用する分析用の試験片において、液体不透性支持体層の上に、順次、特定成分を分析するのに必要な試薬を含む試薬層、、液体不透性支持体層の上に、順次、特定成分を分析するのに必要な試薬を含む試薬層、および次の一般式(1)で示されるフリーラジカルを持った化合物を含む還元物質酸化層を設けてなることを特徴とする試験片;並びに、酸化発色反応を利用する分析用の試験片において、液体不透性支持体の上に、順次、特定成分を分析するのに必要な試薬および次の一般式(1)で示されるフリーラジカルを持った化合物を含む試薬層、および検体を展開する展開層を設けてなることを特徴とする試験片を提供するものである。
(式中Rは炭素数が4または5の環状アルキル基、または窒素原子との間に一つの二重結合を有していてもよい環状アルキル基で、アルキル基、アミノ基、アミド基、カルバモイル基、カルボキシル基、ケト基、水酸基、スルホン基、フェニル基などの置換基を有していてもよく、環状アルキル基の炭素原子が窒素原子、酸素原子、硫黄原子などで置換していてもよい。)
【0009】
本発明に用いる上記の化合物(1)は、金属塩などの通常の酸化剤とは異なり、分子内に持つ安定なラジカルが、アスコルビン酸などの還元物質に作用して、該還元物質を酸化し、自らはヒドロキシ体となることで還元物質の抑制を行うものである。
該化合物(1)の一般的な合成方法は、A.M.Feldmanらの方法(米国特許第3334103号)やW.Bueschkenら(独国特許4219459号)によって示されており、数種類は既に市販されている。
また、本発明に用いる上記の化合物(1)が酸化する対象である還元物質は、特に限定はされず、アスコルビン酸、尿酸等が挙げられるが、特にアスコルビン酸の場合に有効である。
【0010】
本発明の試験片は、少なくとも、特定成分を分析するのに必要な試薬および上記の化合物(1)を含有する。
【0011】
本発明の試験片の、特定成分を分析するのに必要な試薬は、酸化発色分析に用いる試薬であれば、分析の対象物によって適宜選択され、特に制限はされない。例えば、血清中のトリグリセライドが対象である場合、アデノシン−3−リン酸、リポプロテインリパーゼ、グリセロールキナーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、4−アミノアンチピリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリンなどの酵素、色素を含む。
【0012】
上記の化合物(1)は試薬層に含まれていてもよいし、化合物(1)を含む還元物質酸化層と、特定成分を分析するのに必要な試薬を含む試薬層を分離させて2層とし、順次積層させても良い。還元物質酸化層と試薬層とを別々に分離した場合は、化合物(1)による酸化発色基質への影響をより軽減できる。
化合物(1)による酸化発色基質への影響をさらに軽減する場合には、還元物質酸化層と試薬層との間に一種の保護層である中間層を有していてもよい。
【0013】
さらに、実際の分析において取り扱いが容易なように、支持体を有していてもよい。支持体は、液層を保持するために液体不透性であるのが好ましく、ポリエチレンテレフタレート等のプラスティックフィルム、不透性の紙、金属箔等が挙げられる。発色反応の測定を支持体側から行う場合は、支持体は透明でなければならない。
【0014】
本発明の試験片の試薬層、還元物質酸化層は、試薬成分および/または化合物(1)をバインダーと共に適当な溶媒に溶解し、成膜して形成してもよいし、あるいは適当な溶媒に溶解し、多孔性マトリックスに含浸、乾燥して形成してもよい。
【0015】
バインダーとしては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン,ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの親水性高分子が好適である。これらの親水性高分子を用いる場合、溶媒は水性媒体、特に水である。
【0016】
成膜方法は、常法による。支持体の上にコーティング、乾燥させて成膜してもよいし、平面上に塗布、展開し、乾燥ののち剥離させてフィルム状にしてもよい。
【0017】
多孔性マトリックスとしては、濾紙、布、メンブレンフィルター等が挙げられるが、特に限定はされない。
【0018】
バインダーを使用する場合と多孔性マトリックスに含浸する場合のいずれの場合も、溶媒に緩衝剤や、試薬の溶解性、溶液の塗布性を良くするための界面活性剤等の添加剤を加えてもよい。
【0019】
中間層は、バインダーを適当な溶媒に溶解し、成膜して形成するのが好ましい。バインダーとしては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン,ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの親水性高分子が挙げられ、溶媒としては、水、アセトン、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、ブチルアルコール、クロロホルム、塩化メチル、トルエン等が挙げられるが、特に限定はされない。また、中間層にも、溶液の塗布性を良くするための界面活性剤等の添加剤を加えてもよい。
【0020】
本発明の試験片が、、支持体も含め2層以上の構成となる場合、積層方法は常法による。すなわちバインダーを使用する場合は、グラビアロール、グラビアコーター等任意のコーティング法を用いて積層し、多孔性マトリックスに含浸した層を積層する場合には、含浸後、湿潤状態でラミネートする、若しくは、含浸、乾燥した後、中間層を接着剤としてラミネートする等の方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
中間層を設ける場合、試薬層および/または還元物質酸化層に、水溶性で、ある種の有機溶剤には溶解しないバインダーを用い、水を溶媒にして層の形成を行い、中間層に還元物質酸化層と試薬層に用いたバインダーを溶解しない有機溶剤に溶解する別の水溶性バインダーを用い、該有機溶剤を溶媒にして層形成を行うと、各層が混じり合うことなく分離して形成されるため、良い。
【0022】
前記の各層を積層する場合には、支持体を最下層とし、その上に順次、試薬層、還元物質酸化層を設けると、分析対象を上から滴下した場合、分析対象中の還元物質がまず酸化された後に試薬層に達し、支持体が液体不透性であるために試薬層中で容易に液層を形成して、試薬と反応し、分析を行うことができて望ましい。必要であれば試薬層と還元物質酸化層の間に中間層を設けると、還元物質の分離がより完全に行われる。また、試薬層や還元物質酸化層の汚染を防ぐために、最上層に保護層を設けてもよい。保護層は、液体透過性、若しくは液体溶解性を持っていれば、特に限定はされないが、親水性で透明であるのが好ましい。
【0023】
各層を積層した後、適当な大きさ、例えば5mmx7mm程度にカットし、更にベースフィルムに両面テープ、接着剤などで固定してもよい。ベースフィルムの材質はポリエチレンテレフタレート等が挙げられるが、特に限定はされない。また、ベースフィルムの形状も特に限定はされないが、ストリップ状の形状が好ましい。
【0024】
試薬層、還元物質酸化層、中間層、保護層等の厚さは、必要に応じて適宜定めれば良いが、好ましくは試薬層の厚さがウェット厚100〜200ミクロン、還元物質酸化層がウェット厚50〜150ミクロンである。
【0025】
本発明を、図面により説明すれば、図1は特定成分を分析するのに必要な試薬を含有する試薬層と、化合物(1)を含有し、検体を展開する展開層を兼ねる還元物質酸化層、これら2層の間に設けられた中間層、および支持体、ベースフィルムからなる本発明の試験片の構成を示す説明図である。図2は特定成分を分析するのに必要な試薬および化合物(1)を含有する試薬層と検体を展開する展開層をもつ試験片の断面図であり、図3は特定成分を分析するのに必要な試薬を含有する試薬層と、化合物(1)を含有し、検体を展開する展開層を兼ねる還元物質酸化層をもつ試験片の断面図、図4は図3の試験片の試薬層と還元物質酸化層の間に中間層を設けた試験片の断面図である。
【0026】
以下、試験例および実施例に従ってこの発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0027】
試験例
(1)使用材料
(a)血中トリグリセライド分析用試薬
アデノシン−3−リン酸(オリエンタル酵母製)
リポプロテインリパーゼ(東洋紡製)
グリセロールキナーゼ(東洋紡製)
グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(東洋紡製)
ペルオキシダーゼ(東洋紡製)
4−アミノアンチピリン(キシダ化学製)
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(同仁化学製)
(b)試薬層形成物質(バインダー、界面活性剤)
10%アクリルアミド水溶液(ナカライテスク製)
エマルゲン709(花王製)
精製水
(c)中間層形成物質
1−ブタノール(和光純薬製)
ヒドロキシプロピルセルロース−M(日本曹達製)
(d)検体展開層または還元物質酸化剤展開層形成物質
エマルゲン709(花王製)
精製水
ポリエステル製の布
(e)還元物質酸化剤
4−ヒドロキシ−TEMPO(同仁化学製)
(F)添加剤(緩衝剤)
リン酸1カリウム(和光純薬製)
リン酸2ナトリウム(和光純薬製)
(2)試験方法
血中トリグリセライドの測定に対するアスコルビン酸の影響の測定
実施例1〜4、および比較例1の試験片の試薬部分にアスコルビン酸無添加のプール血清、およびプール血清にアスコルビン酸を最終濃度が20mg/dlとなるよう添加した溶液をそれぞれ5μl滴下し、37℃、240秒静置したのち反射率の測定を行った。(n=3)
反射率の測定方法
反射率の測定は、反射率計(スポットケムSP−4410:京都第一科学製)を用いて行った。
(3)試験結果
血中トリグリセライドの測定に対するアスコルビン酸の影響に関し、反射率の測定結果を表1に、バックグラウンド値を考慮して反射率より算出した濃度の計算値を表2に示す。
【表1】
血中トリグリセライドの測定に対するアスコルビン酸の影響(反射率の測定結果)
【表2】
血中トリグリセライドの測定に対するアスコルビン酸の影響(バックグラウンド値を考慮した反射率の濃度換算値)
表2においてプール血清のみの場合とアスコルビン酸添加の場合の濃度の差が大きいほどアスコルビン酸による妨害が大きいことを示す。表2の結果から実施例の活性抑制試薬を用いた試験片はいずれも活性抑制試薬を用いていない試験片よりもアスコルビン酸による妨害が減少していることが分かる。
【0028】
実施例1
試薬層中の試薬として
アデノシン−3−リン酸(オリエンタル酵母製) 0.72 g
リポプロテインリパーゼ(東洋紡製) 15 KU
グリセロールキナーゼ(東洋紡製) 0.8 KU
グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(東洋紡製) 4.5 KU
ペルオキシダーゼ(東洋紡製) 3.6 KU
4−アミノアンチピリン(キシダ化学製) 0.102 g
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメ
トキシアニリン(同仁化学製) 0.174 g
試薬層中の還元物質酸化剤として
4−ヒドロキシ−TEMPO(同仁化学製) 0.25 g
および
10%アクリルアミド水溶液(ナカライテスク製) 30 g
精製水 30 g
リン酸1カリウム(和光純薬製) 0.64 g
リン酸2ナトリウム(和光純薬製) 1.04 g
エマルゲン709(花王製) 0.01 g
を混合して試薬塗工液を調製し、この塗工液を厚さ0.188mm白色ポリエチレンテレフタレートフィルム上へ濡れ厚さ150μmで塗工し、40℃で20分間乾燥することにより、試薬層を得、さらに、
エマルゲン709(花王製) 0.001 g
精製水 233.6 g
を混合したものを、厚さ0.25mmのポリエステル製の布に含浸して、先の試薬層の上に濡れた状態でラミネートし、40℃で15分間乾燥させて展開層とした。得られた積層物を5mm×7mmにカットし、5mm×80mmの厚さ0.25mm白色ポリエチレンテレフタレート片の先端に両面テープで固定し、試験片とした。
【0029】
実施例2
試薬層中の試薬として
アデノシン−3−リン酸(オリエンタル酵母製) 0.72 g
リポプロテインリパーゼ(東洋紡製) 15 KU
グリセロールキナーゼ(東洋紡製) 0.8 KU
グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(東洋紡製) 4.5 KU
ペルオキシダーゼ(東洋紡製) 3.6 KU
4−アミノアンチピリン(キシダ化学製) 0.102 g
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメ
トキシアニリン(同仁化学製) 0.174 g
および
10%アクリルアミド水溶液(ナカライテスク製) 30 g
精製水 30 g
リン酸1カリウム(和光純薬製) 0.64 g
リン酸2ナトリウム(和光純薬製) 1.04 g
エマルゲン709(花王製) 0.01 g
を混合して試薬塗工液を調製し、この塗工液を厚さ0.188mm白色ポリエチレンテレフタレートフィルム上へ濡れ厚さ150μmで塗工し、40℃で20分間乾燥することにより、試薬層を得、さらに
還元物質酸化剤として
4−ヒドロキシ−TEMPO(同仁化学製) 2.5 g
および
エマルゲン709(花王製) 0.001 g
精製水 233.6 g
を混合したものを、厚さ0.25mmのポリエステル製の布に含浸して、先の試薬層の上に濡れた状態でラミネートし、40℃で15分間乾燥させてアスコルビン酸酸化層とした。得られた積層物を5mm×7mmにカットし、5mm×80mmの厚さ0.25mm白色ポリエチレンテレフタレート片の先端に両面テープで固定し、試験片とした。
【0030】
実施例3
試薬層中の試薬として
アデノシン−3−リン酸(オリエンタル酵母製) 0.72 g
リポプロテインリパーゼ(東洋紡製) 15 KU
グリセロールキナーゼ(東洋紡製) 0.8 KU
グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(東洋紡製) 4.5 KU
ペルオキシダーゼ(東洋紡製) 3.6 KU
4−アミノアンチピリン(キシダ化学製) 0.102 g
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメ
トキシアニリン(同仁化学製) 0.174 g
および
10%アクリルアミド水溶液(ナカライテスク製) 30 g
精製水 30 g
リン酸1カリウム(和光純薬製) 0.64 g
リン酸2ナトリウム(和光純薬製) 1.04 g
エマルゲン709(花王製) 0.01 g
を混合して試薬塗工液を調製し、この塗工液を厚さ0.188mm白色ポリエチレンテレフタレートフィルム上へ濡れ厚さ150μmで塗工し、40℃で20分間乾燥することにより、試薬層を得、さらに
還元物質酸化剤として
4−ヒドロキシ−TEMPO(同仁化学製) 2.5 g
および
リン酸1カリウム(和光純薬製) 0.64 g
リン酸2ナトリウム(和光純薬製) 1.04 g
エマルゲン709(花王製) 0.001 g
精製水 233.6 g
を混合したものを、厚さ0.25mmのポリエステル製の布に含浸して、先の試薬層の上に濡れた状態でラミネートし、40℃で15分間乾燥させてアスコルビン酸酸化層とした。得られた積層物を5mm×7mmにカットし、5mm×80mmの厚さ0.25mm白色ポリエチレンテレフタレート片の先端に両面テープで固定し、試験片とした。
【0031】
実施例4
試薬層中の試薬として
アデノシン−3−リン酸(オリエンタル酵母製) 0.72 g
リポプロテインリパーゼ(東洋紡製) 15 KU
グリセロールキナーゼ(東洋紡製) 0.8 KU
グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(東洋紡製) 4.5 KU
ペルオキシダーゼ(東洋紡製) 3.6 KU
4−アミノアンチピリン(キシダ化学製) 0.102 g
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメ
トキシアニリン(同仁化学製) 0.174 g
および
10%アクリルアミド水溶液(ナカライテスク製) 30 g
精製水 30 g
リン酸1カリウム(和光純薬製) 0.64 g
リン酸2ナトリウム(和光純薬製) 1.04 g
エマルゲン709(花王製) 0.01 g
を混合して試薬塗工液を調製し、この塗工液を厚さ0.188mm白色ポリエチレンテレフタレートフィルム上へ濡れ厚さ150μmで塗工し、40℃で20分間乾燥することにより、試薬層を得、
1−ブタノール(和光純薬製) 60 g
ヒドロキシプロピルセルロース−M(日本曹達製) 2 g
を混合して先に作製した試薬層上へ濡れ厚さ100μmで塗工し、40℃で10分間乾燥することにより、中間層を得た。
さらに還元物質酸化剤として
4−ヒドロキシ−TEMPO(同仁化学製) 2.5 g
および
リン酸1カリウム(和光純薬製) 0.64 g
リン酸2ナトリウム(和光純薬製) 1.04 g
エマルゲン709(花王製) 0.001 g
精製水 233.6 g
を混合したものを、厚さ0.25mmのポリエステル製の布に含浸して、先の中間層の上に濡れた状態でラミネートし、40℃で15分間乾燥させてアスコルビン酸酸化層とした。得られた積層物を5mm×7mmにカットし、5mm×80mmの厚さ0.25mm白色ポリエチレンテレフタレート片の先端に両面テープで固定し、試験片とした。
【0032】
比較例1
試薬層中の試薬として
アデノシン−3−リン酸(オリエンタル酵母製) 0.72 g
リポプロテインリパーゼ(東洋紡製) 15 KU
グリセロールキナーゼ(東洋紡製) 0.8 KU
グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(東洋紡製) 4.5 KU
ペルオキシダーゼ(東洋紡製) 3.6 KU
4−アミノアンチピリン(キシダ化学製) 0.102 g
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメ
トキシアニリン(同仁化学製) 0.174 g
および
10%アクリルアミド水溶液(ナカライテスク製) 30 g
精製水 30 g
リン酸1カリウム(和光純薬製) 0.64 g
リン酸2ナトリウム(和光純薬製) 1.04 g
エマルゲン709(花王製) 0.01 g
を混合して試薬塗工液を調製し、この塗工液を厚さ0.188mm白色ポリエチレンテレフタレートフィルム上へ濡れ厚さ150μmで塗工し、40℃で20分間乾燥することにより、試薬層を得、さらに、
エマルゲン709(花王製) 0.001 g
精製水 233.6 g
を混合したものを、厚さ0.25mmのポリエステル製の布に含浸して、先の試薬層の上に濡れた状態でラミネートし、40℃で15分間乾燥させて展開層とした。得られた積層物を5mm×7mmにカットし、5mm×80mmの厚さ0.25mm白色ポリエチレンテレフタレート片の先端に両面テープで固定し、試験片とした。
【0033】
【発明の効果】
本発明の試験片により、酸化発色反応を用いる生体成分の臨床化学検査において、アスコルビン酸等の還元物質による干渉を抑制して対象物質の正確な定量分析結果を得ることができ、かつドライケミストリーであるために簡便かつ安定に測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の試験片の一実施例の層構造を示す説明図である。
【図2】本発明の試験片の別の実施例の一つを示す断面図である。
【図3】本発明の試験片の別の実施例の一つを示す断面図である。
【図4】図1の試験片の断面図である。
【符号の説明】
1 ベースフィルム
2 支持体
3 試薬層
3’ 還元物質酸化剤を含む試薬層
4 還元物質酸化層
4’ 展開層
5 中間層
Claims (3)
- 該試薬層と該還元物質酸化層との間に、親水性高分子バインダーを含む中間層を有することを特徴とする請求項1記載の試験片。
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