JP3843009B2 - 呈味が改善された経口材、経口材の呈味の改善方法並びに酵素処理イチョウ葉エキスの使用方法 - Google Patents

呈味が改善された経口材、経口材の呈味の改善方法並びに酵素処理イチョウ葉エキスの使用方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、呈味が改善された経口材、経口材の呈味改善方法並びに酵素処理イチョウ葉エキスの使用方法に関し、さらに詳しくは、高甘味度甘味料を含有する飲食物、生薬含有飲食品、歯磨剤などの経口材の苦味、後甘味が改善されるなど、各種経口材の呈味が改善された経口材、経口材の呈味改善方法並びに酵素処理イチョウ葉エキスの使用方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
甘味料としては、特開平8−256725号公報の「従来の技術」の項にも記載されているように、天然甘味料と人工甘味料とがあり、天然甘味料としては、砂糖、ブドウ糖、マルトース等の糖類、キシリトール、マルチトール等の糖アルコール類、ステビアに代表される配糖体系甘味などが挙げられ、また人工甘味料としては、アスパルテームに代表されるペプチド甘味物質、スクラロースに代表される蔗糖誘導体、サッカリン、アセスルファムKなどが挙げられる。これらの甘味料のうちでは、天然甘味料の糖類、特に砂糖には、嫌味や苦味がなく良好な甘味質を有するため最も広く普及している。
【0003】
砂糖に比べて強い甘味を有し、通常高甘味度甘味料と呼ばれる、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、アセスルファムKなども、ダイエット甘味料をはじめとして多くの用途に使用されている。しかしながらこれらの高甘味度甘味料は、後味として持続する甘味である「後甘味」を有しており、味質の点で好まれないという欠点を有する。
【0004】
これに対して、例えば、前記特開平8−256725号公報には、ヘスペリジン及び/又はヘスペリジン誘導体からなる呈味改良剤が開示されており、該呈味改良剤を、高甘味度甘味料を使用した食品に少量添加することにより、対象食品の物性やカロリーなどをほとんど変更することなく、高甘味度甘味料の甘味のピークの甘味度はほとんど落さず、かつ嗜好的に好ましくない後味として持続する甘味を抑えた食品が得られると記載されている。
【0005】
しかしながら該公報に記載の呈味改良剤では、高甘味度甘味料の後甘味、異味などの点で更なる改良の余地があった。
そこで、本発明者らは上記問題点を解決するため鋭意研究を重ねた結果、高甘味度甘味料と酵素処理イチョウ葉エキスとを組み合わせて用いると、対象食品などの物性やカロリーなどをほとんど変更することなく、高甘味度甘味料の甘味のピークの甘味度はほとんど落さず、高甘味度甘味料の異味や苦味を強めることもなく、かつ嗜好的に好ましくない後味として持続する甘味(後甘味)を抑えた飲食物などが得られること、またこの酵素処理イチョウ葉エキスは、高甘味度甘味料の後甘味改善作用のみならず、このエキスが添加される飲食物などの酸化防止作用なども有し、また、糖アルコールを含有する飲食物に添加すれば、甘味の厚みを増強でき、色素を含有する食品等に配合すれば退色防止効果も有することなどを見出して、本発明を完成した。
【0006】
なお、高甘味度甘味料の1種であるアスパルテームの甘味質に関しては、ミョウバンやナリンギン(特開昭52−90667号公報)、L−グルタミン酸ナトリウム(特開昭56−148256号公報)、グリシン、アラニン又はセリン(特開昭57−63068号公報)、蔗糖(特開昭57−155965号公報)、アスパルテーム分解生成物(特公昭58−162260号公報)、L−アスコルビン酸(特開昭58−141760号公報、特開昭60−114167号公報)、塩化ナトリウム(特公平6−48966号公報)を使用した改良法が公知である。
【0007】
また、ステビオサイドに関しては、有機酸を使用した呈味改良法(特公平5−981号公報)が公知である。その他、フラボン誘導体による高甘味度甘味料の残存甘味の改良法(特開平6−335362号公報)が公知である。
しかしながら、上記の各種呈味改良剤は、前記特開平8−256725号公報にも記載されているように、それ自体の有する味や物性のためその用途が限定されたり、あるいは、塩化ナトリウムのように、甘味の厚みを改良できるが同時に後甘味も強調されてしまうという問題がある。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、高甘味度甘味料を含有する飲食物、生薬含有飲食品、歯磨剤などの経口材であって、苦味が低減され、甘味の収束時間が遅いことによる嗜好的に好ましくない後甘味特性を抑え、しかも高甘味度甘味料のピークの甘味度をほとんど落さず、経済的かつ食品への利用の安全性の点から優れている経口材を提供することを目的としている。
【0009】
また、本発明は、糖アルコールを含有する飲食物、生薬含有飲食品、歯磨剤などの経口材であって、糖アルコールの甘味を保持しつつその甘味に厚みが付与された経口材を提供することを目的としている。
本発明は、高甘味度甘味料や糖アルコールなどが配合される経口材の呈味の改善方法を提供することを目的としている。
【0010】
また本発明は、酵素処理イチョウ葉エキスの新たな利用方法、より具体的には、経口材の新規な酸化防止方法を提供することを目的としている。
さらにまた本発明は、色素、特に天然色素の新規な退色防止方法を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係る第1の経口材は、高甘味度甘味料に酵素処理イチョウ葉エキスを配合してなることを特徴としており、高甘味度甘味料の苦味、後甘味が改善されている。
本発明に係る第2の経口材は、糖アルコールに酵素処理イチョウ葉エキスを配合してなることを特徴としており、糖アルコールの甘味に厚みが付与されている。
【0012】
本発明に係る第3の経口材は、柑橘飲料、野菜飲料、茶飲料、生薬含有飲食品、コーヒー、カカオ製品からなる群から選ばれる経口材であって、酵素処理イチョウ葉エキスを配合してなることを特徴としており、経口材の呈味、特に青臭味、苦味あるいは渋味が改善されている。
本発明に係る、高甘味度甘味料が配合される経口材の呈味の改善方法は、高甘味度甘味料を含有する経口材に、酵素処理イチョウ葉エキスを添加するか、高甘味度甘味料を含有していない経口材に、高甘味度甘味料と酵素処理イチョウ葉エキスとを添加することを特徴としており、これにより経口材中の高甘味度甘味料の呈味、特に苦味、後甘味を改善している。
【0013】
本発明においては、上記高甘味度甘味料が、スクラロース、アセスルファムK、アスパラテーム、ステビア、酵素処理ステビア、グリチルリチンのうちから選択される1種以上であることが好ましい。
本発明に係る、糖アルコールが配合される経口材の呈味の改善方法は、糖アルコールを含有する経口材に、酵素処理イチョウ葉エキスを添加するか、糖アルコールを含有していない経口材に、糖アルコールと酵素処理イチョウ葉エキスとを添加することを特徴としており、これにより経口材中の糖アルコールの呈味、特に甘味の厚みを改善している。
【0014】
本発明に係る経口材の青臭味、苦味、渋味の改善方法は、柑橘飲料、野菜飲料、茶飲料、生薬含有飲食品、コーヒー、カカオ製品のうちから選択される経口材に、酵素処理イチョウ葉エキスを添加することを特徴としており、これにより、経口材中の上記呈味を改善している。
本発明においては、上記経口材、経口材の呈味改善方法などの何れの場合においても、上記高甘味度甘味料が、スクラロース、アセスルファムK、アスパラテーム、ステビア、酵素処理ステビア、グリチルリチンのうちから選択される1種以上であることが好ましい。
【0015】
また、上記高甘味度甘味料1重量部に対して、酵素処理イチョウ葉エキスを0.000001〜1.0重量部の量で配合してなることが好ましい。
本発明においては、上記経口材、経口材の呈味改善方法などの何れの場合においても、上記糖アルコールが、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、パラチニット、還元水あめのうちから選択される1種以上の甘味料であることが好ましい。
【0016】
また、上記糖アルコール1重量部に対して、酵素処理イチョウ葉エキスを0.000001〜0.001重量部の量で配合してなることが好ましい。
本発明に係る経口材の酸化防止方法は、経口材に酵素処理イチョウ葉エキスを添加することを特徴としている。
本発明に係る色素の退色防止方法は、色素に酵素処理イチョウ葉エキスを添加することを特徴としている。
【0017】
本発明によれば、高甘味度甘味料を含有する経口材の苦味、後甘味が改善され、糖アルコールを含有する経口材の糖アルコールの甘味の厚みが増し、また青臭味、苦味、渋味を有する上記経口材などの各種経口材のこれらの呈味が改善できる。
また、本発明によれば、経口材の酸化が防止でき、また、色素の退色が防止できるなど、酵素処理イチョウ葉エキスの新規な使用方法が提供される。
【0018】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る呈味が改善された経口材、経口材の呈味改善方法並びに酵素処理イチョウ葉エキスの使用方法について、具体的に説明する。
呈味が改善された経口材
[高甘味度甘味料含有経口材]
本発明に係る経口材、特に第1の経口材である高甘味度甘味料含有経口材は、高甘味度甘味料に酵素処理イチョウ葉エキスを配合してなり、高甘味度甘味料の苦味、後甘味が改善されている。なお、酵素処理イチョウ葉エキスに高甘味度甘味料を配合してもよく、経口材中へのこれら成分の配合(添加)順序、配合方法は特に限定されない。
【0019】
このような経口材における高甘味度甘味料と酵素処理イチョウ葉エキスとの配合比は、用いられる高甘味度甘味料の種類、酵素処理イチョウ葉エキスの調製法、濃度等により異なり一概に決定されないが、例えば、高甘味度甘味料(固形分)1重量部に対して、酵素処理イチョウ葉エキスは、通常、0.000001(100万分の1)〜1.0重量部、好ましくは0.0001〜0.5重量部の量で含まれていることが望ましい。
【0020】
このような量で、高甘味度甘味料と酵素処理イチョウ葉エキスとが経口材中に含まれていると、得られる経口材は、高甘味度甘味料が砂糖に比して少量であっても高甘味度甘味料の強い甘味を有すると共に、高甘味度甘味料に起因する苦味、後甘味に代表される異味が著しく改善され、呈味性に優れ、さらには該経口材の酸化が防止され、また色素を含有しているような場合にはその退色も防止され、含まれるフレーバーの劣化が防止されるなどの傾向がある。
【0021】
このような経口材としては、高甘味度甘味料が配合され、経口摂取(投与)あるいは口内の清浄など(以下、これらをまとめて「経口摂取等」ともいう。)に利用され得るもので、舌や喉での呈味が問題となる限り特に限定されず、飲食物、嗜好品、経口医薬、歯磨剤等が挙げられる。また、該経口材には、高甘味度甘味料と酵素処理イチョウ葉エキスのみが含まれるものであってもよく、それら以外の成分が含まれていてもよい。
【0022】
上記飲食物としては、例えば、柑橘飲料、野菜飲料;ウーロン茶、緑茶、麦茶、紅茶等の茶飲料;コーヒー;ココア飲料、チョコレート飲料、チョコレート等のカカオ製品;ガム;コーラ、ラムネ、サイダー、アイソトニック飲料などの清涼飲料および清涼飲料の素;ビール、日本酒、洋酒、焼酎、果実酒、中国酒、薬味酒などのアルコール飲料;醤油、つゆ、ドレッシング、たれ、ソース、ケチャップ、化学調味料等の調味料;カレー、シチュー、スープの素;鯛みそなどのなめもの;ふりかけ;アイスクリームやアイスキャンデー、シャーベット等の氷菓子および氷菓子の素;ゼリーの素、ドーナツの素、プリンの素、ホットケーキの素、水ようかんの素などの即席菓子の素;菓子およびパン;果実、野菜、ジャム、ピーナツバター、マーマレード、漬け物、めんまなどの加工野菜および加工果実;粕漬け魚介類、魚肉ソーセージ、魚介佃煮、ちくわ、かまぼこ、魚肉ハム、魚介薫製品などの加工水産物;粕漬け肉、乾燥肉、ハム、ベーコンなどの肉製品;餃子、しゅうまい、肉饅頭およびたこ焼き;等が挙げられる。
【0023】
嗜好品としては、例えば、タバコが挙げられる。
経口医薬としては、例えば、鎮咳去痰用シロップ、咳止め飴、咳止めトローチ、生薬含有飲食品などや経口摂取する医薬品が挙げられる。
歯磨剤は、歯磨き粉または歯磨きペースト等の何れでもよい。
これら経口材は、取引形態において、液状、顆粒・粉末状、固形物の何れであってもよいが、経口摂取時あるいは利用時には、水や湯で溶解・希釈・分散等され、液状あるいはペースト状のものが多い。
【0024】
高甘味度甘味料としては、例えば、スクラロース(シュークラロース)、アセスルファムK、アスパラテーム(アスパルテーム)、ステビア、酵素処理ステビア、グリチルリチン等が挙げられ、これらの高甘味度甘味料は、1種または2種以上含まれていてもよい。
また、酵素処理イチョウ葉エキスとしては、従来より公知の方法で得られたものを使用でき、例えば、特開平3−91490号公報、特開平3−98592号公報、本願出願人が先に提案した特開平7−33671号公報等に記載の方法で得られた酵素処理イチョウ葉エキスなどを用いることができ、好ましくは特開平7−33671号公報に記載の方法で得られたイチョウ葉抽出エキスは一層苦味・渋味が低減されており、経口摂取容易であり、得られる経口材も呈味性に優れるため望ましい。
【0025】
すなわち、特開平7−33671号公報には、イチョウ葉抽出物含有液(I)を非極性多孔性樹脂に通過させて、イチョウ葉抽出物含有液に含まれる苦味成分および難水溶性成分を非極性多孔性樹脂に吸着させて除去する、イチョウ葉抽出物含有液の処理方法(イ)、および、該処理方法で得られたイチョウ葉抽出物含有液(II)に、澱粉質の存在下、α- グルコシル転移酵素、好ましくはバチルス・ステアロサーモフィラス菌により生産される酵素を作用させる、イチョウ葉抽出物含有液の処理方法(ロ)が開示されているが、これらの処理方法(イ)、(ロ)の中でも後者の処理方法(ロ)で得られたイチョウ葉エキスは、苦味・渋味が著しく低減されており、得られる経口材も一層呈味性に優れるため、より好ましい。
【0026】
このようなイチョウ葉エキスは、必要によりさらに分離精製、濃縮、凍結乾燥などを行って用いてもよく、また液状、粉末・顆粒状等の何れでもよい。
また、特開平3−91490号公報には、イチョウ葉から水または水−エタノール混合液で水可溶性成分を抽出し、次いで該水可溶性成分及びイチョウ葉を含む抽出液に澱粉部分加水分解物とグリコシダーゼまたはトランスグリコシダーゼを加えて、澱粉部分加水分解物のグルコース基を転移(糖転移)させ、該イチョウ葉に含有されている油溶性または水に難溶ないし不溶の成分を水に可溶な配糖体にして、抽出液中に溶出させ、必要により分離精製、濃縮などを行い、酵素処理イチョウ葉エキスを分取することが記載されており、本発明ではこの公報に記載の方法で得られた酵素処理イチョウ葉エキスを用いてもよい。
[高甘味度甘味料含有経口材の製造]
上記のような高甘味度甘味料含有経口材を製造するには、高甘味度甘味料を含有する経口材に、酵素処理イチョウ葉エキスを添加し、あるいは高甘味度甘味料を実質上含有していない経口材に高甘味度甘味料と酵素処理イチョウ葉エキスとを上記量で添加(配合)する点以外は、それぞれ上記経口材の種類などに応じて常法にて製造すればよい。本発明では、このようにして経口材を調製することにより、経口材中の高甘味度甘味料の苦味、後甘味を改善している。上記高甘味度甘味料としては、前記と同様のものが挙げられ、前記と同様の量で用いられる。
【0027】
なお、このように経口材に添加・混合された酵素処理イチョウ葉エキスは、経口材中に高甘味度甘味料とともにそのまま共存しているものと推測され、ヒトがこの飲食物などの経口材を経口摂取すると、高甘味度甘味料と酵素処理イチョウ葉エキスとが、舌の味蕾や口腔内壁などに競合的に嵌合・付着し、高甘味度甘味料の苦味、後甘味は改善(低減)され、高甘味度甘味料の良好な甘味のみが強く感じられるのであろうと推測されるが、そのメカニズムは明らかではない。なお、経口材中において、酵素処理イチョウ葉エキスは、経口材中の高甘味度甘味料と何らかの反応物などを形成していてもよく、両者(高甘味度甘味料と、酵素処理イチョウ葉エキス)がそのまま共存していてもよい。以下に説明する他の経口材などの場合もこれと同様である。
【0028】
なお、経口摂取された経口材中の高甘味度甘味料や酵素処理イチョウ葉エキスは、胃や腸内ではそれぞれ元の高甘味度甘味料、テルペンラクトン類、あるいは付加していた糖(グルコース)が外れたイチョウ葉フラボノイド類などとなり、各機能が発揮され、何れも安全性に優れている。例えば、付加糖が外れたイチョウ葉エキスは、通常のイチョウ葉エキスと同様の機能が体内で発揮され、極めて安全性にも優れている。
[糖アルコール含有経口材]
本発明に係る経口材、特に第2の経口材である糖アルコール含有経口材は、糖アルコールに上記酵素処理イチョウ葉エキスを配合してなり、糖アルコールの甘味に厚みが付与され、さらには該経口材の酸化が防止され、色素を含有しているような場合にはその退色も防止され、含まれるフレーバーの劣化が防止されるなどの傾向がある。
【0029】
なお、糖アルコールに高甘味度甘味料を配合してもよく、経口材中へのこれら成分の配合(添加)順序、配合方法は特に限定されない。また、該経口材には、糖アルコールと酵素処理イチョウ葉エキスのみが含まれるものであってもよく、それら以外の成分が含まれていてもよい。
上記糖アルコールとしては、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、パラチニット、マンニトール、還元水あめなどが挙げられる。本発明では、これらの糖アルコールを1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0030】
なお、本発明では、この糖アルコールと共に、糖類、例えば、ショ糖やその誘導体、転化糖、異性化糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、麦芽糖、D−キシロース、異性化乳糖などや、オリゴ糖類、例えば、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳化オリゴ糖等を1種または2種以上組み合わせて用いても良い。
【0031】
このような経口材における糖アルコールと酵素処理イチョウ葉エキスとの配合比は、用いられる糖アルコールの種類、酵素処理イチョウ葉エキスの調製法、濃度等により異なり一概に決定されないが、例えば、糖アルコール1重量部に対して、酵素処理イチョウ葉エキスは、通常、0.000001(100万分の1)〜0.001重量部、好ましくは0.00001〜0.0008重量部の量で含まれていることが望ましい。
【0032】
このような量で、糖アルコールと上記酵素処理イチョウ葉エキスとが経口材中に含まれていると、得られる経口材は、糖アルコールの甘味に厚みが増し、呈味性に優れる傾向がある。
このような経口材としては、糖アルコールが配合され、経口摂取等され得るものである限り特に限定されず、上記と同様のものが挙げられる。また、これら経口材の性状は、上記同様、特に限定されない。
[糖アルコール含有経口材の製造]
また、このような糖アルコール含有経口材を製造するには、糖アルコールを含有する経口材に、酵素処理イチョウ葉エキスを添加し、あるいは糖アルコールを実質上含有していない経口材に、この糖アルコールと酵素処理イチョウ葉エキスとを上記量で添加すればよく、これにより、経口材中の糖アルコールの甘味に厚みを付与している。上記糖アルコールとしては、前記と同様のものが挙げられ、前記と同様の量で用いられる。
【0033】
本発明に係る経口材、特に第3の経口材は、上記第1〜第2の経口材のように高甘味度甘味料や糖アルコールを含有していてもよいが、含有していなくともよく、柑橘飲料、野菜飲料、茶飲料、コーヒー、カカオ製品、さらには生薬含有飲食品など、それ自体では、元来、青臭味、苦味あるいは渋味などの好まれない呈味を有する経口材であるが、酵素処理イチョウ葉エキスを含有していることにより、その呈味特に、青臭味、苦味あるいは渋味が改善されている。
【0034】
なお、これらの経口材に甘味料成分として上記高甘味度甘味料が配合される場合には、前記第1の経口材に含め、また、糖アルコールが配合され場合には、上記第2の経口材に含める。
このような経口材における酵素処理イチョウ葉エキスの配合量は、用いられる経口材の種類や配合組成、酵素処理イチョウ葉エキスの調製法、濃度等により異なり一概に決定されないが、例えば、野菜飲料では、原料の濃縮されていない野菜搾汁100重量部に対して、酵素処理イチョウ葉エキスは、通常、0.0001〜1重量部、好ましくは0.001〜0.1重量部の量で含まれていることが望ましい。
【0035】
また、酵素処理イチョウ葉エキスは、柑橘飲料、野菜飲料、茶飲料、コーヒー、カカオ製品、生薬含有飲食品などの経口材中の固形分100重量部に対して、通常、0.0001〜1重量部、好ましくは0.001〜0.1重量部の量で含まれていることが望ましい。
このような量で、酵素処理イチョウ葉エキスが経口材中に含まれていると、得られる経口材は、青臭味、苦味あるいは渋味などが著しく改善され、呈味性に優れ、さらには該経口材の酸化が防止され、色素を含有しているような場合にはその退色も防止され、また含まれるフレーバーの劣化が防止されるなどの傾向がある。
【0036】
このような経口材としては、元来配合成分由来の青臭味、苦味あるいは渋味などを有し、経口摂取等され得るものである限り特に限定されず、例えば、柑橘飲料、野菜飲料、茶飲料、コーヒー、カカオ製品(例:ココア飲料)、調味料、ビタミン含有飲食物などの他、生薬含有飲食品、ガムなどが挙げられる。
これら経口材は、取引形態において、液状、顆粒・粉末状、固形物の何れであってもよいが、経口摂取等の時には、水や湯で溶解・希釈・分散等され、液状のものが多い。
【0037】
本発明に係るこれら経口材は、上記高甘味度甘味料、糖アルコール、これら以外の青臭味、苦味あるいは渋味等の好まれない呈味を有する成分のうちの少なくとも1種の成分と、酵素処理イチョウ葉エキスとを含むが、これらの成分以外に、経口材の種類に応じて、通常、上記各種経口材に配合され得るような各種成分(任意成分)が含まれていてもよい。
【0038】
このような任意成分としては、柑橘飲料、野菜飲料、茶飲料、コーヒー、カカオ製品(例:ココア飲料)では、食塩などの調味料、ビタミンC、E等の酸化防止剤が挙げられる。
ガムでは、ガムベース、着色料、酸化防止剤、安定剤、香料、軟化剤、研磨剤(例:メタリン酸ナトリウム、リン酸カルシウム)、保存料(例:パラオキシ安息香酸ブチル)、湿潤剤(例:ソルビット、グリセリン)、薬効成分(例:フッ素化合物)、粘結剤等が挙げられる。
【0039】
また、本発明に係る青臭味、苦味、渋味の改善された経口材を製造するには、ベースとなる柑橘飲料、野菜飲料、茶飲料、生薬含有飲食品、コーヒーあるいはカカオ製品に、酵素処理イチョウ葉エキスを添加・混合すればよく、これにより、これらの青臭味、苦味、あるいは渋味を改善している。
なお、各経口材への酵素処理イチョウ葉エキスの添加方法は、特に限定されず、経口材調製過程の任意の時期に添加・混合すればよい。添加される酵素処理イチョウ葉エキス量などは、前記と同様である。
【0040】
<経口材の呈味改善方法>
また、高甘味度甘味料が配合される経口材の呈味を改善するには、高甘味度甘味料を含有する経口材に、酵素処理イチョウ葉エキスを添加するか、高甘味度甘味料を含有していない経口材に、高甘味度甘味料と酵素処理イチョウ葉エキスとを添加すればよい。
【0041】
また、糖アルコールが配合される経口材の呈味を改善するには、糖アルコールを含有する経口材に、酵素処理イチョウ葉エキスを添加するか、糖アルコールを含有していない経口材に、糖アルコールと酵素処理イチョウ葉エキスとを添加すればよい。
また、経口材の青臭味、苦味、渋味を改善するには、柑橘飲料、野菜飲料、茶飲料、生薬含有飲食品、コーヒー、カカオ製品のうちから選択される経口材に、酵素処理イチョウ葉エキスを添加すればよい。
【0042】
何れの場合も、高甘味度甘味料、糖アルコール、並びに酵素処理イチョウ葉エキスの配合量は、上記経口材の場合と同様の量で用いればよい。
<酵素処理イチョウ葉エキスの使用方法>
本発明に係る経口材の酸化防止方法は、上記経口材に酵素処理イチョウ葉エキスを添加することを特徴としている。すなわち、酵素処理イチョウ葉エキスは、酸化防止剤としても使用でき、この酵素処理イチョウ葉エキスを上記飲食物、生薬含有飲食品などの経口材に添加し、共存等させることにより経口材の酸化を効率よく防止できる。特に酸化防止効果を期待して上記飲食物などに酵素処理イチョウ葉エキスを添加する場合には、経口材100重量部に対して、酵素処理イチョウ葉エキス(固形分)を、通常、0.001〜1.0重量部、好ましくは0.01〜1.0重量部の量で用いることが望ましい。
【0043】
特に、酵素処理イチョウ葉エキスと、それ以外の従来より公知の酸化防止剤、例えば、ビタミンC、ビタミンE、酵素処理ルチン、酵素処理ヘスペリジンなどとを併用すると、相乗効果が得られ好ましい。この場合、酵素処理イチョウ葉エキス(固形分)1重量部に対して、それ以外の酸化防止剤、例えば、ビタミンCは、通常、0.01〜10重量部、好ましくは、0.1〜10重量部の量で用いられる。
【0044】
本発明に係る色素の退色防止方法は、色素に酵素処理イチョウ葉エキスを添加・混合することを特徴としている。このように色素や経口材に添加・混合された酵素処理イチョウ葉エキスは、色素や経口材と何らかの反応物などを形成していてもよく、両者(色素あるいは経口材と、酵素処理イチョウ葉エキス)がそのまま共存していてもよい。
【0045】
特に退色防止効果を期待して上記色素などに酵素処理イチョウ葉エキスを添加する場合には、色素100重量部に対して、酵素処理イチョウ葉エキス(固形分)を、通常、0.01〜1000重量部、好ましくは1〜50重量部の量で用いることが望ましい。
本発明によれば、高甘味度甘味料を含有する経口材の苦味、後甘味が改善されるなど、各種経口材の呈味が改善された経口材、経口材の呈味改善方法並びに酵素処理イチョウ葉エキスの使用方法が提供される。
【0046】
本発明においては、上記高甘味度甘味料、糖アルコールに代表される甘味料と、酵素処理イチョウ葉エキスとを含有するもの(甘味料組成物)は、それ自体呈味の改善された経口材として、上記したような高甘味度甘味料や糖アルコールを含有していない飲食物、生薬含有飲食品、歯磨剤などの各種経口材に配合して用いることができる。この場合、これら甘味料と酵素処理イチョウ葉エキスとは、上記したような量比で経口材(甘味料組成物)に含まれていることが好ましい。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、高甘味度甘味料を含有する経口材の苦味、後甘味が改善されるなど、各種経口材の呈味が改善された経口材、経口材の呈味の改善方法並びに酵素処理イチョウ葉エキスの使用方法が提供される。
本発明によれば、高甘味度甘味料を含有する飲食物、生薬含有飲食品、歯磨剤などの経口材であって、苦味が低減され、甘味の収束時間が遅いことによる嗜好的に好ましくない後甘味特性を抑え、しかも高甘味度甘味料のピークの甘味度をほとんど落さず、経済的かつ食品への利用の安全性の点から優れている経口材を提供することができる。
【0048】
また、本発明によれば、糖アルコールを含有する飲食物、生薬含有飲食品、歯磨剤などの経口材であって、糖アルコールの甘味を保持しつつその甘味に厚みが付与された経口材を提供することができる。
また本発明によれば、高甘味度甘味料や糖アルコールなどが配合される経口材の呈味の改善方法を提供することができる。
【0049】
また本発明によれば、酵素処理イチョウ葉エキスの新たな利用方法、より具体的には、安全性に優れた、経口材の新規な酸化防止方法を提供することができる。
さらにまた本発明によれば、色素、特に天然色素の新規な退色防止方法を提供することができる。
【0050】
経口摂取された酵素処理イチョウ葉エキスは、消化酵素により容易に元のイチョウ葉エキスに戻り、血管拡張、血流増大、血管系の老化防止、炎症作用抑制、脳の末梢血流の改善作用を通して、脳機能低下、動脈硬化、糖尿病、頭痛、種々の痴呆症状などさまざまな疾患や症状の改善に効果があり、これら用途に好適に用いられる。また、酵素処理イチョウ葉エキスは水溶性であるため育毛剤、クリーム、ローション、口紅等の医薬部外品にも容易に利用され効果を発揮しやすい。
【0051】
【実施例】
以下、本発明について実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。
【0052】
【酵素処理イチョウ葉エキスの調製1】
市販のイチョウ葉エキス末((株)常磐植物化学研究所製)20gに水250mlを加え、撹拌しながら2N水酸化ナトリウムでPH6.0に調整し、デキストリン40gを添加、溶解した。シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ((株)林原生物化学研究所製)を600単位加え、65℃で24時間反応した後、加熱して酵素を失活させてからろ過乾燥して酵素処理イチョウ葉エキス粉末58.0gを得た。
【0053】
【実施例1】
(高甘味度甘味料の甘味質改善)
<高甘味度甘味料溶液の調製>
高甘味度甘味料として、スクラロース(Tate&Lyle(株)製)、アセスルファムK(ニュートリノヴァ社製、商品名:サネット)、アスパルテーム(味の素(株)製、商品名:パルスイート)、ステビア抽出物(東洋精糖(株)製、商品名:ステビロース90)、酵素処理ステビア(東洋精糖(株)製、商品名:αGスイートPX)、あるいは、グリチルリチン(丸善製薬(株)製、商品名:純グリチミン)の何れか1種を用いて、蔗糖2%水溶液と同等の甘味になるように高甘味度甘味料の水溶液を調製した。
【0054】
次いで、該溶液当り上記酵素処理イチョウ葉エキス粉末を20mg/kg添加したものと、酵素処理イチョウ葉エキス無添加の対照品とを準備し、それらの味質、異味について訓練されたパネラー10名で官能検査を行い、酵素処理イチョウ葉エキス添加による甘味質改善効果を調べた。なお、評価は対照区との対比で示す。
【0055】
結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
Figure 0003843009
【0057】
<甘味質改善効果の評価基準>
4:非常に効果がある。
3:効果がある。
2:変わらない。
1:かえって悪くなっている。
<考察>
酵素処理イチョウ葉エキス粉末を20mg/kgの量で添加した高甘味度甘味料溶液では、酵素処理イチョウ葉エキス粉末無添加の対照区に比して相対的に甘味に広がりが生じると共に、甘味の後引きも改善されていた。
【0058】
【実施例2】
(糖アルコールの甘味質改善)
<糖アルコール水溶液の調製>
糖アルコールとして、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、パラチニットあるいは還元水あめの何れか1種を用いて、蔗糖2%水溶液と同等の甘味になるように糖アルコール水溶液を調製した。
【0059】
次いで、該溶液当り上記酵素処理イチョウ葉エキス粉末を20mg/kg添加したものと、該酵素処理イチョウ葉エキス無添加の対照品とを準備し、それらの味質、異味について訓練されたパネラー10名で官能検査を行ない、酵素処理イチョウ葉エキス添加による甘味質改善効果を調べた。なお、評価は対照区との対比で示す。
【0060】
結果を表1に示す。
なお、試験に用いた糖アルコールとしてはそれぞれ一般市販品を用いた。
【0061】
【表2】
Figure 0003843009
【0062】
<甘味質改善効果の評価基準>
4:非常に効果がある。
3:効果がある。
2:変わらない。
1:かえって悪くなっている。
【0063】
【実施例3】
(柑橘飲料の呈味改善)
グレープフルーツ(フロリダ産)の皮をむき、搾汁して100%グレープフルーツジュース(飲料)を調製した。該飲料当り50mg/kgになるように酵素処理イチョウ葉エキス粉末を添加したものと、対照区として何も添加しなかったものとを準備し、訓練されたパネラー10名で官能検査を行ない、柑橘飲料への酵素処理イチョウ葉エキス添加による呈味(味質など)の改善効果を調べた。なお、評価は対照区との対比で示す。
【0064】
結果を表3に示す。
【0065】
【表3】
Figure 0003843009
【0066】
<甘味質改善効果の評価基準>
4:非常に効果がある。
3:効果がある。
2:変わらない。
1:かえって悪くなっている。
<考察>
柑橘飲料であるグレープフルーツ飲料に、酵素処理イチョウ葉エキス粉末を添加した試験区(本発明品)では、酵素処理イチョウ葉エキス粉末を添加しなかった対照区に比べて酸味が緩和され、またグレープフルーツ特有の渋みが低下し、飲みやすくなる傾向が見られた。
【0067】
【実施例4】
(野菜飲料の呈味改善)
トマト搾汁液(80重量%)、ニンジン搾汁液(15重量%)、セロリ搾汁液(3重量%)、パセリ搾汁液(2重量%)からなる野菜飲料(合計100重量%)を調製した。該飲料当り50mg/kgになるように酵素処理イチョウ葉エキス粉末を添加したものと、対照区として酵素処理イチョウ葉エキスを添加しなかったものとを準備し、訓練されたパネラー10名で、野菜飲料への酵素処理イチョウ葉エキス添加による呈味(味質など)の改善効果を調べた。なお、評価は、対照区との対比で示す。
【0068】
結果を表4に示す。
【0069】
【表4】
Figure 0003843009
【0070】
<甘味質改善効果の評価基準>
4:非常に効果がある。
3:効果がある。
2:変わらない。
1:かえって悪くなっている。
<考察>
野菜飲料に酵素処理イチョウ葉エキス粉末を添加した試験区(本発明品)では、酵素処理イチョウ葉エキスを添加しなかった対照区に比して、酸味が緩和され、また野菜由来青臭みが低下し、飲みやすくなる傾向が見られた。
【0071】
【実施例5】
(茶飲料の呈味改善)
市販の紅茶ティーパック(ダージリン)1袋に沸騰水250mlを注ぎ2分間そのエキスを滲出させた。次いで、該紅茶浸出液に、酵素処理イチョウ葉エキス粉末を飲料当り50mg/kgの量で加えて、4℃に冷却した。
一方、対照区として紅茶浸出液に酵素処理イチョウ葉エキス粉末を添加しなかった以外は、上記と同様に処理して調製した飲料を調製した。
【0072】
次いで、これら茶飲料について、訓練されたパネラー10名で官能検査を行ない、茶飲料への酵素処理イチョウ葉エキス添加による呈味(味質など)の改善効果を調べた。なお、評価は、対照区との対比で示す。
結果を表5に示す。
【0073】
【表5】
Figure 0003843009
【0074】
<甘味質改善効果の評価基準>
4:非常に効果がある。
3:効果がある。
2:変わらない。
1:かえって悪くなっている。
<考察>
茶飲料に酵素処理イチョウ葉エキス粉末を添加した試験区(本発明品)では、酵素処理イチョウ葉エキス粉末を添加しなかった対照区に比して、渋味が緩和され、飲みやすくなる傾向が見られた。
【0075】
【実施例6】
(色素の退色防止)
濃度0.05重量%のクチナシ黄色素溶液(クエン酸緩衝液、PH3.3)に、酵素処理イチョウ葉エキス粉末を溶液重量当り100mg/kgの量で加えたもの(本発明品(イ))と、さらにL−アスコルビン酸を上記クチナシ黄色素溶液重量当たり200mg/kgの量で添加したもの(本発明品(ロ))、上記クチナシ黄色素溶液に酵素処理イチョウ葉エキス粉末を添加せず、L−アスコルビン酸のみを上記クチナシ黄色素溶液重量当たり200mg/kgの量で添加したもの(対照区(イ))と、上記クチナシ黄色素溶液に何も添加しなかったもの(対照区(ロ))とを準備した。
【0076】
次いで、これらを溶液を密閉容器中にて加熱殺菌処理した後、5℃の温度で、蛍光灯照射(照度:7000ルクス)下に保存し、クチナシ黄色素の残存率(%)を0日後(試験開始直後)、2日後、4日後について分光光度計(波長442nm)で測定した。
結果を表6に示す。
【0077】
【表6】
Figure 0003843009
【0078】
<考察>
クチナシ色素溶液に酵素処理イチョウ葉エキス粉末を添加することにより、クチナシ黄色素の退色が有為に抑制された。またL−アスコルビン酸との相乗効果も見られた。
【0079】
【実施例7】
(酸化防止効果)
DPPH法により酵素処理イチョウ葉エキスの抗酸化力を測定した。
<試薬調製>
(イ)トリス緩衝液:トリスヒドロキシアミノメタン2.4gを40mlの水に溶解し2N塩酸でpH7.4に調製した後200mlに定容する。
(ロ)DPPH試薬:1,1-Diphenyl-2-picrylhydrazyl 0.0040gを99.5%エタノール100mlに溶解する。
<DPPHラジカル消去活性の測定>
▲1▼イオン交換水を用いて酵素処理イチョウ葉エキスの最終濃度が60ppmになるように試料を調製する。
▲2▼試験管に試料0.2mlを加え、直ちにミキサーで約5秒間撹拌する。
▲3▼室温下、暗所に静置し、DPPH試薬を加えてから正確に20分後に517nmでの吸光度を測定する。
▲4▼次の式によりラジカル消去活性を算出する。
【0080】
ラジカル消去活性=100−(試料吸光度/ブランク)×100
結果を表7に示す。
【0081】
【表7】
Figure 0003843009
【0082】
<考察> 酵素処理イチョウ葉エキスに有意なラジカル消去活性が見られた。
【0083】
【実施例8】
(酸化防止効果)
<クッキー>
酵素処理イチョウ葉エキスなどを下記量(重量%)で配合して乳化し、油性製剤を調製した。
Figure 0003843009
(ロ)この油性製剤を、次のクッキー生地配合中のラードに添加して、クッキーを作り、60℃で暗所に下記日数保存して、経時POV((peroxide value:過酸化物価)を測定した。
【0084】
【表8】
Figure 0003843009
【0085】
結果を表9に示す。
【0086】
【表9】
Figure 0003843009
【0087】
<考察> 酵素処理イチョウ葉エキスを含む油性製剤を用いた場合、試験した全区間にわたって、クッキー生地のPOV(peroxide value:過酸化物価)が低く保たれ、油脂の酸化が抑制されていた。また、フレーバーの変化も少なかった。

Claims (5)

  1. 高甘味度甘味料に酵素処理イチョウ葉エキスを配合してなることを特徴とする高甘味度甘味料の苦味、後甘味が改善された経口材。
  2. 上記高甘味度甘味料が、スクラロース、アセスルファムK、アスパラテーム、ステビア、酵素処理ステビア、グリチルリチンのうちから選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の経口材。
  3. 上記高甘味度甘味料1重量部に対して、酵素処理イチョウ葉エキスを0.000001〜1.0重量部の量で配合してなる請求項1または2に記載の経口材。
  4. 高甘味度甘味料を含有する経口材に、酵素処理イチョウ葉エキスを添加するか、高甘味度甘味料を含有していない経口材に、高甘味度甘味料と酵素処理イチョウ葉エキスとを添加することを特徴とする、高甘味度甘味料が配合される経口材の呈味の改善方法。
  5. 上記高甘味度甘味料が、スクラロース、アセスルファムK、アスパラテーム、ステビア、酵素処理ステビア、グリチルリチンのうちから選択される1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の経口材の呈味の改善方法。
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