JP3842695B2 - 半導体処理装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体ウエハー等の半導体材料を加熱し、エッチング、半導体膜形成等の処理を行うための処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セラミックスヒーターとしては、導電性粉末を含有するペーストをセラミックグリーンシートの表面に印刷し、焼結することによって発熱性の抵抗膜をセラミックス基盤上に形成する方法が知られている。しかし、こうした、いわゆる厚膜手法によって抵抗体を形成したセラミックスヒーターは、長期間繰り返して使用するうちに抵抗体の電気抵抗値が上昇したり、あるいは600℃といった高温では安定して使用できないという問題があった。このため、特に半導体製造用の熱CVD装置、プラズマCVD装置、プラズマエッチング装置等においては使用できなかった。
【0003】
一方、実開昭64−13689号公報においては、窒化物系セラミック体中に溝を形成し、この溝の中に発熱抵抗線を挿入したセラミックスヒーターが開示されている。このセラミックスヒーターにおいては、抵抗発熱線とセラミックスとの反応を防止することはできる。しかし、これを製造するために一対の窒化物セラミック焼結体を接合する必要があるが、この際には各焼結体の加工面に、この焼結体と同材質からなるペーストを塗布して各焼結体を重ね合わせ、この各焼結体の間のペーストを焼結させることによって両者を接合している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者が更に研究を進めた結果、この接合面における接合強度を向上させることは困難であることがわかった。特に窒化アルミニウム、窒化珪素といった窒化物系セラミックスの場合には、半導体製造装置内の600℃以上の高温領域で繰り返して使用したときに、焼結体同士の接合強度を長期間にわたって維持することは困難であった。また、セラミック体中の溝に設置された抵抗発熱線が溝中の雰囲気に触れるが、装置を繰り返して使用するうちに、この雰囲気内の酸素と抵抗発熱線とが反応し、抵抗発熱線が劣化してその抵抗値が上昇する傾向が見られた。更に、半導体製造装置内においてはハロゲン系腐食性ガスを使用するが、長期間使用するうちに、この腐食性ガスによって抵抗発熱線が腐食を受けることも見られた。
【0005】
本発明の課題は、上記したセラミックヒーター等の問題点を改善することである。具体的には、半導体製造装置内でセラミックスヒーター等を高温で繰り返して使用したときにも、抵抗発熱体等の抵抗値の上昇や断線、劣化を防止し、セラミック基材の接合強度の低下、特にクラックを防止できるようにし、またハロゲン系腐食性ガスを使用する環境下でも、抵抗発熱体等が腐食を受けないようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体処理装置は、窒化アルミニウムまたは窒化珪素の緻密質セラミックスからなり、内部に密閉空間が形成されている基材と、この密閉空間内に設置されている金属製のバルク材と、このバルク材に対して電気的に接続されている端子とを備えており、前記基材が固相接合体からなり、前記固相接合体の接合界面に沿って固相接合体の他の個所に比較して接合助剤の原子の豊富な層が存在しており、前記接合界面の両側に延びるようにセラミックス粒子が粒成長しており、前記接合界面は気密性を有しており、前記セラミックス粒子が窒化アルミニウムまたは窒化珪素からなり、前記接合助剤がイットリウム化合物およびイッテルビウム化合物からなる群より選ばれた一種以上の接合助剤であることを特徴とする、ハロゲン系腐食性ガスを使用する環境において用いられる半導体処理装置である。
【0007】
本発明に係る半導体処理装置は、窒化アルミニウムまたは窒化珪素の緻密質セラミックスからなる第一の部材と、窒化アルミニウムまたは窒化珪素の緻密質セラミックスからなり、凹部が形成されている第二の部材とを準備し、前記第一の部材と前記第二の部材との各表面を研磨加工して各加工面を形成すると共に前記凹部内に金属製のバルク材を収容し、これらの加工面のうち少なくとも一方の上に接合助剤の溶液を塗布し、次いで各加工面を当接させた状態で前記第一の部材と第二の部材とを、これらを構成するセラミックス粒子が成長する温度以上で熱処理することによって、前記第一の部材と前記第二の部材との接合界面の両側に延びるように前記セラミックス粒子を成長させて、固相接合体からなる基材を製造し、この基材中に前記凹部からなる密閉空間を形成し、この密閉空間中に前記バルク材を収容することによって製造することができ、前記セラミックス粒子を窒化アルミニウムまたは窒化珪素とし、前記接合助剤をイットリウム化合物およびイッテルビウム化合物からなる群より選ばれた一種以上の接合助剤としている。
【0008】
本発明者は、前記の第一の部材と第二の部材との各表面を研磨加工して各加工面を形成し、凹部内に金属製のバルク材を収容し、これらの加工面のうち少なくとも一方の上に接合助剤の溶液を塗布し、各加工面を当接させた状態で第一の部材と第二の部材とを熱処理することで、バルク材の収容された密閉空間を緻密質セラミックス基材の中に形成することに成功した。そして、この基材を高温で繰り返して使用したときにも、第一の基材の部分と第二の基材の部分とが分離したり、これらの接合界面にクラックが入ったりせず、バルク体の酸化や腐食を防止できることを確認し、本発明を完成した。
【0009】
また,一体焼結によって作成したセラミックスヒーターにおいては、埋設した抵抗発熱体が断線した場合に、セラミックスヒーターの基材は既に焼成されているので、修理が不可能である。しかし、本願発明をセラミックスヒーター等に適用した場合には、若干の修正加工および再接合を行うことによって、修理が可能である。
【0010】
また、一体焼結によって作成したセラミックスヒーターにおいては、抵抵抗発熱体を埋設したときに抵抗発熱体の位置ずれが生じ、期待した均熱性が得られない場合があった。本願発明をセラミックスヒーター等に適用した場合には、上記のヒーターに比べて抵抗発熱体等の位置ズレという問題は少ない。特に、例えば後述する図1に示すように、例えばラセン状の抵抗発熱体と同様の軌跡をセラミックス基材に加工によって設けることで、抵抗発熱体の位置ズレは皆無にできる。更に、セラミックスヒーターの場合には、用途によっては、リフトピンを通すための貫通孔を基材に設ける必要があるが、一体焼成型のセラミックスヒーターにおいては、焼成の後に、焼成体の中の抵抗発熱体の位置をX線撮影によって検出し、この抵抗発熱体を避けるように基材に加工を施す必要がある。しかし、本願発明を適用した場合には、抵抗発熱体の位置は正確に判っているので、このような処置は不要になる。
【0011】
【実施例】
本発明に係る半導体処理装置を製造する場合、特に好ましくは、第一の部材の加工面と第二の部材の加工面との中心線平均粗さ(Ra)を0.2μm以下とし、平面度を0.2μm以下とする。また、更に第一の部材と第二の部材とを、これらを構成するセラミックス粒子が成長する温度以上で熱処理することによって、第一の部材と第二の部材との接合界面の両側に延びるようにセラミックス粒子を成長させる。こうした接合の具体的態様については、後述する。
【0012】
本発明においては、バルク材を収容する凹部の密封性を顕著に向上させることができる。このため、基材中でバルク材を収容する密閉空間中の雰囲気を不活性ガスとすることによって、特に半導体処理装置を高温で使用するときにも、バルク材の酸化防止をきわめて有効に長期間にわたって維持することができる。
【0013】
また、本発明の半導体処理装置は、特にプラズマCVD装置、プラズマエッチング装置におけるエッチングガス、クリーニングガスのように、ハロゲン系腐食性ガスを使用する用途において、特に好適である。なぜなら、半導体処理装置の密閉空間中のバルク材が、気密に封止されており、ハロゲン系腐食性ガスに対する接触が防止される。
【0014】
ただし、半導体処理装置においては、バルク材に対して電力を供給できるようにする必要があり、このために端子をバルク材に対して電気的に接続する必要がある。このためには、基材に密閉空間に達する貫通孔を形成し、この貫通孔に端子を挿入する必要がある。このときに、密閉空間中のバルク材に対する高度の気密性を維持するためには、端子の基材に対する気密性を確保する必要がある。このためには、端子と基材との間をロウ材によって気密に接合することが好ましい。この場合、特に高度の気密性を維持するという観点からは、端子と基材との接合面積を大きくすることが必要であるが、このためには端子にフランジ部を設け、このフランジ部を基材の背面に対してロウ材によって接合することが好ましい。
【0015】
このように密閉空間中の雰囲気を不活性ガスとするためには、熱処理を不活性雰囲気中で実施することができる。また、密閉空間中を真空状態とすることによって、この中のバルク材の酸化を防止することもできる。この場合には、密閉空間の真空度を10- 2 トール以下とすることが好ましい。
【0016】
第一の部材の加工面側は、平坦面にすることができるが、こちらにもバルク材を収容するための凹部を形成してよい。
【0017】
第一の部材と第二の部材とは、それぞれ常圧焼結法、ホットプレス法、ホットアイソスタティックプレス法等によって製造することができる。第一の部材と第二の部材とを接合させる際には、両者の積層体に対して圧力を加えることができるが、この圧力は必ずしも必要ない。
【0018】
しかし、本発明に係る半導体処理装置のための製造方法の一態様においては、第二の部材において、接合面に対して垂直方向に見た凹部の寸法よりも前記バルク材の寸法を大きくし、熱処理の際に第一の部材と第二の部材とに対して圧力を加えることによってバルク材を変形させる。この変形の過程で、バルク材の形状が、密閉空間の形状に対して追従する。これによって、バルク材と密閉空間との間の隙間をほぼ完全に無くすることができ、これによってバルク材と密閉空間との間の熱伝達を顕著に向上させることができる。これは、特に半導体処理装置を加熱装置として使用するときに、応答性が顕著に向上するという作用効果をもたらす。しかも、従来のようにバルク材と基材との間には反応層が生じない。
【0019】
この場合、特にバルク材の体積を密閉空間の体積と同じになるようにしておけば、バルク材の変形によって密閉空間をほぼ完全に充填することができる。つまり、バルク材の形態から見れば、バルク材をセラミックス粉末中に埋設してセラミックス粉末と一体焼結させたときと同様に、バルク材を隙間無くセラミックス基材中に埋設することができ、しかも両者の間における反応層が生じないようにすることができる。
【0020】
本発明に係る半導体処理装置としては、バルク材として高融点金属からなる抵抗発熱体を使用したセラミックスヒーター、バルク材として静電チャック電極を使用した静電チャックを例示することができる。また、バルク材として高周波電極を使用した、プラズマを発生させるためのプラズマ発生電極装置を例示することができる。このプラズマ発生電極装置は本出願時には未公開の研究であるため、更に後述する。
【0021】
本発明の半導体処理装置を、ハロゲン系腐食性ガスを使用する半導体製造装置内に設置する場合には、ハロゲン系腐食性ガスのイオンのアタックによって緻密質セラミックス基材の表面に反応生成物が生ずるが、この反応生成物層の厚さは数〜数十μmに達する。従って、十分な絶縁性を維持するために、バルク材と表面との間の厚さの最小値を0.1mm以上にすることが好ましく、その平均値を0.5mm以上にすることが好ましい。
【0022】
特に相対密度99%以上の窒化アルミニウムによって基材を形成した場合には、ハロゲン系腐食性ガスと基材との反応生成物層として、AlF3からなるパッシベーション層が生成し、この層が耐蝕作用を有しているので、この層の内部へと腐食が進行するのを防止することができる。特に99%以上の相対密度を有した常圧焼結、ホットプレス焼成又は熱CVDにより製造した緻密な窒化アルミニウムが好ましい。
【0023】
また、半導体の重金属による汚染を防止する必要があるが、特に高密度化の進展によって、重金属の排除に対する要求が極めて高度になってきている。この観点からは、窒化アルミニウムにおける不純物の含有量を1%以下に抑制することが好ましい。
【0024】
本発明をプラズマ発生電極装置に対して適用する場合には、バルク材からなる高周波電極と基材のプラズマ発生側の表面との間に、緻密質セラミックスからなる電磁波透過層が設けられる。
【0025】
従来、プラズマを発生させるための対向電極としては、例えばアルマイト電極が知られているが、この表面上でプラズマシースが安定して生成しないことを発見した。通常の常識に従えば、電極の表面を絶縁物で被覆すると、絶縁物の表面はマイナス電位になるので、プラズマシースの領域が大きくなり、安定するはずである。しかし、アルマイト薄膜の場合には、高温に加熱したときなどに、表面電位を、十分な大きさの均一なマイナス電位に保持することができず、均一で十分に安定したプラズマシースを生成させることができないことが判明した。
【0026】
この一方、従来は、絶縁膜の厚さを大きくすると、プラズマ領域と電極との距離がその分大きくなり、プラズマ中のイオンの加速が不十分になって、プラズマの放電安定性が損なわれると考えられていた。
【0027】
しかし、バルク材からなる電極を緻密質セラミックス基材の密閉空間中に設置し、この基材のプラズマ発生側の部分からなる電磁波透過層の厚さの最小値を0.1mm以上と厚くすると、プラズマシースの領域が拡大し、均一で安定なプラズマを生成させることができた。しかも、このように電磁波透過層を厚くしても、この電磁波透過層が緻密質セラミックスからなっており、電磁波透過層の誘電率εは、真空の誘電率に比べて数倍以上大きい。この結果、電極間の電界強度の低下もなく、プラズマ中のイオンをプラズマシースにおいて十分に加速することができ、プラズマ放電が安定することを確認した。
【0028】
このプラズマ発生電極装置を設置するときには、この装置の密閉空間内の電極とほぼ平行に対向電極を設置し、これらの各電極に高周波電力を供給することができる。この際、基材内の電極に対して高周波電力を供給し、対向電極をアースすることもできるし、対向電極に対して高周波電力を供給し、基材内の電極をアースすることもできる。
【0029】
また、電磁波透過層を構成する緻密質セラミックスの誘電率は一般に大きいが、電磁波透過層の厚さの平均値が大きくなりすぎると、電磁波透過層の誘電体損失による自己発熱量が大きくなり、プラズマパワーの効率が低下してくる傾向があった。この観点から、電磁波透過層の厚さの平均値は、特に5.0mm以下とすることが好ましい。
【0030】
プラズマ発生電極装置においては、面状の金属バルク体を使用することが好ましい。ここで、面状の金属バルク材とは、例えば、線体あるいは板体をらせん状、蛇行状に配置することなく、一体の面状として形成したものをいう。この点に関して更に説明する。現在、半導体ウエハーの大型化が進行している。この一方、充分に高周波を伝えるためには、装置のリアクタンス成分を低減する必要があり、好ましくは電極の抵抗値を1Ω以下とする必要がある。このためには、電極の厚さを十分に大きくすることが必要である。しかし、印刷電極においては、これは困難である。
【0031】
この点、面状の金属バルク体を使用することによって、電極の抵抗値を小さくすることが容易である。例えば、スクリーン印刷電極は、厚さが高々数十μm程度なので、抵抗値が必然的に大きくなる。例えば電極がタングステンであり、周波数が13.56MHzの場合、電極の厚さは20μm以上が望ましい。しかし、この厚さの電極を、スクリーン印刷法で形成することは容易ではない。
【0032】
しかも、基材の中に前記したように電極が気密に封入されているので、高真空等の放電し易い条件下においても、接合面からの放電、絶縁破壊は生じ得ない。従って、プラズマ発生電極装置の信頼性が飛躍的に向上する。
【0033】
本発明の半導体処理装置において、基材を構成するセラミックスとしては、窒化珪素あるいは窒化アルミニウムの窒化物系セラミックスとする。本発明者の研究によれば、耐熱衝撃性の観点からは、窒化珪素が特に好ましく、ハロゲン系腐食性ガス等に対する耐蝕性の点では、前述したように、密度99%以上の窒化アルミニウムが特に好ましい。
【0034】
本発明の半導体処理装置を、特に600°C以上の高温にまで温度が上昇する用途に使用するときには、電極を高融点金属で形成することが好ましい。こうした高融点金属としては、タンタル,タングステン,モリブデン,白金,レニウム、ハフニウム及びこれらの合金を例示できる。また、こうした電極や抵抗発熱体を構成する高融点金属に対して、TiNやTiC等の窒化物や炭化物をコーティングすることが更に好ましく、これによって加熱サイクルに対する耐久性が向上し、即ち加熱サイクルを加えても断線や抵抗値の上昇が生じにくくなる。
【0035】
電極の形態は、薄板からなる面状の電極の他、多数の小孔を有する板状体からなる面状の電極や、網状の電極を含む。電極が、多数の小孔を有する板状体である場合、網状である場合には、これらの多数の小孔や編み目にセラミックス粉末が流動して回り込むので、面状の電極の両側におけるセラミックスの接合力が大きくなり、基体の強度が向上する。
【0036】
こうした電極としては、パンチングメタル、金網を例示できる。ただし、電極が高融点金属からなり、かつパンチングメタルである場合には、金属の硬度が高いので、高融点金属からなる板に多数の小孔をパンチによって開けることは困難であり、加工コストも非常に高くなる。
【0037】
この点、電極が網状電極である場合には、高融点金属からなる線材が容易に入手できるので、この線材を編組すれば網状電極を製造できる。従って、電極の製造が容易である。
【0038】
また、電極の形態が薄板である場合には、電極と基体との熱膨張係数の差によって、電極の周縁部分に特に大きな応力が加わり、この応力のために基体が破損することがあった。しかし、電極が、多数の小孔を有する板状体である場合や網状である場合には、この応力が多数の小孔によって分散される。更に、網状電極では、線材を使用するために、線材の断面が円形となるので、この線材の周囲における応力分散の効果が大きい。
【0039】
網状電極のメッシュ形状、線径等は特に限定しない。しかし、網状電極の線幅が0.8mm以下であり、1インチ当たり8本以上の線交差を有していることが好ましい。即ち、線幅が0.8mmを越えると、対向電極で構成したプラズマ発生用空間における電界強度分布が乱れるため、プラズマの分布が悪化し易い。また、プラズマ発生電極装置を長時間使用したときに,セラミックス中に異物として存在する線体による応力場がセラミックスの強度を越えることにより、セラミックスの破損が生じやすい傾向があった。また,1インチ当たりの線交差が8本未満であると、網状電極全体に均一な電流が流れにくくなった。
【0040】
実際の製造上の観点から見ると、網状電極の線幅は0.1mm以上とすることが好ましく、1インチ当たりの線交差の数は100本以下とすることが好ましい。
【0041】
網状電極を構成する線材の幅方向断面形状は、円形の他、楕円形、長方形等、種々の圧延形状であってよい。
【0042】
プラズマ発生電極装置において、電磁波透過層を透過する電磁波の周波数領域は、300GHz以下である。このうち、前記した電磁波透過層が特に有用であるのは、マイクロ波領域である。マイクロ波の周波数領域は、300MHz〜300GHzである。しかし、窒化アルミニウムの特性は、1MHzの領域でも、10GHzの特性と比べてほとんど変化しないため、1MHz〜300MHzの周波数領域でも、上記の効果を奏することができる。
【0043】
以下、図面を参照しつつ、本発明を更に詳細に説明する。図1(a)は、第一の部材1と第一の部材3とを固相接合する直前の状態を示す断面図であり、図1(b)は第二の部材3の凹部に抵抗発熱体を設置した状態を示す平面図であり、図2(a)は、これらの各部材の固相接合によって得られたセラミックスヒーター20を示す断面図であり、図2(b)はこのセラミックスヒーターの平面図である。第一の部材1は平板形状をなしており、この部材1の主面1aに前記溶液の塗布層2を設けた。部材1の他方の主面1bには塗布層は設けていない。第二の部材3も平板形状をなしており、この部材3の一方の主面側には、所定形状の溝ないし凹部3aが形成されている。本実施例ではこの凹部の平面形状は、抵抗発熱体4を収容できる形状となっており、凹部3の横断面の形状は長方形である。凹部3aの間には突起部分が残っている。この凹部3aと反対側の主面3cを、半導体ウエハーの加熱面として使用する。
【0044】
抵抗発熱体4は、本実施例では金属箔からなる箔状の抵抗体であり、平面的に見ると、3列の互いに直径の異なる同心円状部分4bと、これらの各列の同心円状部分の間を連結している直線部分4cとによって構成されている。これらの各部材1、3の相対向する表面側を研磨加工し、研磨面1aおよび3bを形成する。この後は前述した本発明の製造方法に従って、第一の部材1と第二の部材3とを固相接合し、図2(a)、(b)のセラミックスヒーター20を得る。
【0045】
セラミックスヒーター20においては、緻密質セラミックスからなる基材6の内部に密閉空間7が形成されており、密閉空間7の中に抵抗発熱体4が収容されている。6aはウエハー加熱面であり、6bは、端子を接続するための背面である。端子を抵抗発熱体へと接続するための好ましい構造は後述する。第一の部材1と第二の部材3との接合界面22では、剥離や気体の漏れ、クラックといった問題は生じない。密閉空間7中では、抵抗発熱体4と密閉空間の壁面との間に隙間8、9が残っている。つまり、抵抗発熱体は密閉空間7中にリジッドに固定されておらず、この中で変形可能な状態となっている。
【0046】
図2(b)に示すように、基材6の背面6b側には端子13が露出している。この端子13は、抵抗発熱体4の外側の末端と内側の末端とにそれぞれ固定されている。
【0047】
図3(a)、(b)は、抵抗発熱体4の両末端における端子の接合構造を示すものである。抵抗発熱体4の末端には環状部4aが形成されており、環状部4aの貫通孔5の中にボルト14が挿入されており、このボルト14にナット11が嵌められている。基材6の背面6b側に端子挿入孔12が形成されており、この挿入孔12に端子13の本体が挿入されている。端子13の雌ねじ13aにボルト14がはめ込まれ、固定されている。この雌ねじ13aと反対側に雌ねじ13bが設けられており、この雌ねじ13bにボルト10がはめ込まれている。端子13の本体には、横方向へと向かって広がる円環形状のフランジ部13cが形成されており、このフランジ部13cが背面6bにロウ材30によって接合されている。
【0048】
第一の部材1と第二の部材3との接合界面の状態について、更に図4および図5を参照しつつ説明する。ただし、この接合構造は、他の半導体処理装置においても当てはまるので、図4ではこれらをまとめて説明する。まず、接合後に半導体処理装置の基材を構成する第一の部材71(図1においては第一の部材1)と第二の部材72(図1においては第二の部材3)とを準備する。第一の部材71と第二の部材72とのうち接合すべき面(図1においては1aおよび3b)を精密研磨加工する。この際、加工後において、好ましくは、各加工面73、74の中心線平均粗さ(Ra)を0.2μm以下とし、平面度を0.2μm以下とする。次いで、これらの各加工面の少なくとも一方の上に、接合助剤を含有する溶液を塗布し、塗布層を設ける。この際には、この溶液を、両方の加工面73、74に対して塗布することができ、また一方の加工面のみに塗布することもできる。次いで、各加工面を隙間なく接触させる。
【0049】
この時点においては、図4(a)に模式的断面図として示すような状態になる。即ち、第一の部材71と第二の部材72との微構造を検討すると、多結晶構造であり、セラミックス粒子16、17が多数存在しており、粒子16、17の間に粒界層18が存在している。ここで、加工面73、74においては、粒子16が切断され、切断面16aが露出する。ここで、加工面73、74において、平面度および中心線平均粗さ(Ra)を前記のように小さくすることで、切断面73と74とが完全に密着する。
【0050】
そして、溶液2を切断面73と74との間に介在させて熱処理すると、互いに研磨面で接触していた粒子16同士が、接合助剤の拡散に応じて接合し、図4(b)に示すように成長し、接合粒子21が生成する。この接合粒子21は、接合界面22をまたぐように、接合界面22の両側に向かって延びる。これによって固相接合体75が得られる。
【0051】
このように、いったん切断され、この切断面が研磨された粒子16同士を密着させ、接合助剤の拡散の助けによって、粒子16同士を接合および成長させる。この結果、例えば図5に示すように、接合界面22に沿って接合助剤の豊富な層80が生成すると共に、この接合助剤の豊富な層80において、接合粒子21が発生して成長し、接合界面22の両側に向かって延びる。この過程において、接合助剤を多量に含む粒界部分18が、粒子21の成長によって接合界面から両側へと向かって排除されてくる。しかし、この接合助剤の豊富な層80は結果的に残留しており、電子顕微鏡によって、明瞭に確認することができる。
【0052】
ここで、中心線平均粗さが前記の値よりも大きいと、切断された粒子16の切断面の間に微小な隙間が生じるために、粒子の接合が生じにくいものと思われる。また、平面度が上記の値よりも大きい場合にも、全体として加工面同士が隙間無く密着しないために、粒子の接合が生じにくいものと思われる。また、接合助剤は溶解させることが必要であり、接合助剤の粒子を含むスラリーを使用した場合には、第一の部材と第二の部材とを良好に接合させることはできなかった。
【0053】
なお、中心線平均粗さ(Ra)とは、粗さ断面曲線を中心線から折り返し、その粗さ曲線と中心線とによって得られた面積(折り返し部分を含む)を、長さLで除した値である。平面度とは、平面部分の幾何学的平面からの狂いの大きさを言い、JISでは、平面部分を2つの平行な幾何学的平面で挟んだとき、これらの両平面の間隔が最小となるときの、両幾何学的平面の間隔で表す。中心線平均粗さと平面度とは、表面粗さ計およびレーザー干渉計で測定することができる。
【0054】
前記加工面の中心線平均粗さは、0.1μm以下とすることが一層好ましく、平面度を0.1μm以下とすることが一層好ましい。これらは、切断された粒子同士の接合を更に容易にするためには、できるだけ小さくすることが好ましいので、下限を限定する必要はない。しかし、本出願時点における加工精度は、中心線平均粗さが0.05μm程度であり、平面度が0.07μm程度である。加工面の平面度および中心線平均粗さを、前記の値の範囲内にするには、各部材の表面を平面研削盤および高速ラップ盤で加工することが好ましい。
【0055】
セラミックス粒子の成長は、比較的に低温でも、ある程度は生ずる。しかし、第一の部材および第二の部材の焼結温度をTとしたとき、(T−50)℃以上の温度で熱処理することが、接合強度を特に高くするという観点から見て好ましい。これによって、一体焼結によって製造した焼結体とほぼ同等の強度を備えた接合体を製造できることを、確認した。
【0056】
前記熱処理の温度が焼結温度以下であるときに、接合体の強度を最大にすることができる。これが焼結温度よりも高くなると、接合界面における粒子の成長が十分に行われる間に、他の部分で生ずる異常粒成長によって、欠陥が発生し、接合界面以外の部分における強度が低下してくるためである。この意味で、第一および第二の部材の焼結温度をTとしたとき、(T+50)℃以下の温度で熱処理することが好ましい。
【0057】
本発明では、第一の部材および第二の部材を焼結する際に焼結助剤を使用している場合、その焼結助剤と同一の焼結助剤を使用することが好ましい。
【0058】
本発明ではセラミックス粒子が、窒化アルミニウムまたは窒化珪素からなり、イットリウム化合物およびイッテルビウム化合物からなる群より選ばれた一種以上の接合助剤を用いるが、イットリウム化合物が特に好ましい。この場合に、特に顕著な接合強度の増大および耐久性の向上を確認することができた。この場合には、水溶性の塩化イットリウム、塩化イットリウム水和物、硫酸イットリウム、酢酸イットリウムの水溶液や、塩化イットリウム、塩化イットリウム水和物、酢酸イットリウムのエチルアルコール溶液を、使用することが好ましい。
【0059】
加熱方法としては、常圧での熱処理、ホットプレス法、プラズマ活性化焼結、レーサーによる局部加熱法等がある。加熱処理の時間は、焼結体の大きさや熱処理温度等に応じて、変化させることができる。
【0060】
次に、本発明を静電チャックに対して適用した実施例を示す。図6(a)は、第一の部材23と第二の部材24とを接合する直前の状態を示す断面図であり、図6(b)は、これらの固相接合体からなる静電チャック26を示す断面図である。部材23、24は平板形状をなしている。第一の部材23の一対の主面23a、23bは平坦であり、これらの間に貫通孔12が形成されている。主面23a上に前記溶液の塗布層2を設ける。第二の部材24の一方の主面側には、所定形状の凹部24aが形成されている。本実施例ではこの凹部24の平面形状は、半導体ウエハーと同じ形状となっている。凹部24aと反対側の主面24cを、半導体ウエハーの吸着面として使用する。
【0061】
静電チャック電極25は、本実施例では平板形状の金属バルク材であり、端子取り付け用の貫通孔25aが形成されている。これらの各部材23、24の相対向する表面側を研磨加工し、研磨面23aおよび24bを形成する。この後は前述した本発明の製造方法に従って、部材23と24とを固相接合し、図6(b)の静電チャック26を得る。
【0062】
静電チャック26においては、緻密質セラミックスからなる基材27の内部に密閉空間28が形成されており、密閉空間28の中にバルク材25が収容されている。27aはウエハー吸着面であり、27bは背面である。端子13とバルク材25との接続構造は、図3に示したものである。部材23と24との接合界面22では、剥離や気体の漏れ、クラックといった問題は生じない。密閉空間28中では、電極25と密閉空間28の壁面との間に隙間8、9が残っている。つまり、電極25は密閉空間28中にリジッドに固定されておらず、この中で変形可能な状態となっている。電極25とウエハー吸着面との間には所定厚さの誘電体層29が形成される。
【0063】
図7(a)は、第一の部材23と第二の部材31とを接合する直前の状態を示す断面図であり、図6(b)は、これらの固相接合体からなる静電チャック33を示す断面図である。部材23は前述したものである。第二の部材31の一方の主面側には、所定形状の凹部31aが2箇所に形成されている。本実施例ではこの凹部31dの平面形状は、いずれも略半円形状となっている。凹部31aと反対側の主面31cを、半導体ウエハーの吸着面として使用する。
【0064】
静電チャック電極32は、本実施例では平板形状の金属バルク材であり、端子取り付け用の貫通孔32aが形成されている。各電極32は各凹部31a内に収容されている。これらの各部材23、31の相対向する表面側を研磨加工し、研磨面23aおよび31bを形成する。この後は前述した本発明の製造方法に従って、部材23と31とを固相接合し、図7(b)の静電チャック33を得る。
【0065】
静電チャック33においては、緻密質セラミックスからなる基材35の内部に2箇所に密閉空間33が形成されており、密閉空間33の中にバルク材32が収容されている。35aはウエハー吸着面であり、35bは背面である。端子13とバルク材32との接続構造は、図3に示したものである。密閉空間33中では、電極32と密閉空間33の壁面との間に隙間8、9が残っており、電極32は密閉空間33中にリジッドに固定されておらず、この中で変形可能な状態となっている。
【0066】
図7(c)は、本発明の実施例に係るヒーター付きの静電チャック34を示す断面図である。静電チャック34においては、緻密質セラミックスからなる基材36の内部に、前記した抵抗発熱体4と静電チャック電極25とが収容されている。即ち、基材36の背面36b側に抵抗発熱体4が収容されており、ウエハー吸着面36a側に静電チャック電極25が収容されている。22A、22Bはそれぞれ固相接合の接合界面である。
【0067】
図8、図9は、本発明をプラズマ発生用の電極装置に適用した実施例を示すものである。図8(a)は、網状電極37を示す斜視図であり、図8(b)は、プラズマ発生用の電極装置を切り欠いて示す斜視図であり、図9(a)は、プラズマ発生電極装置41を示す断面図であり、図9(b)は、プラズマ発生電極装置41をチャンバー51内に設置した状態を模式的に示す部分断面図である。
【0068】
網状電極37は、全体として円形をなしており、円形の線体37bと縦横の線体37aとを編組したものである。38は編み目である。基材39は、緻密質セラミックスからなり、円盤形状の本体39aと、本体39aの背面39b側で水平方向に延びるように形成されているフランジ部39cとからなる。基材39の内部に密閉空間40が形成されており、密閉空間40の中に網状電極37が収容されている。39dはウエハー設置面である。基材39の背面39b側には端子13が露出している。端子13と網状電極7とはネジ14によって接合されている。半導体ウエハー設置面39d側には電磁波透過層42が形成されている。
【0069】
チャンバー51内に、アーム48を介してプラズマ発生電極装置41が設置されている。この際、電極37が上面側となるようにプラズマ発生電極装置を設置し、設置面39dに半導体ウエハーWを載置する。電力供給用のケーブル52Bの一端を端子13に接続し、ケーブル52Bの他端をチャンバー51外へと出し、高周波電源49に接続する。電極37と対向する位置に、所定間隔を置いて平行に対向電極47を設置する。電力供給用のケーブル52Aの一端を対向電極47に接続し、ケーブル52Aの他端をチャンバー51外へと出し、高周波電源49及びアース50へと接続する。
【0070】
この状態で、一対のケーブル52A、52Bを介して高周波電力を供給することにより、半導体ウエハーWの上のプラズマ発生領域46に、プラズマを発生させることができる。この際、プラズマ発生領域46と設置面39dとの間にプラズマシースが発生する。
【0071】
図10(a)は、高周波電極として使用できるパンチングメタル54を示す斜視図である。パンチングメタル54は円形をしており、円形の平板55内に、多数の円形孔56が碁盤目形状に多数形成されている。
【0072】
図10(b)は、高周波電極として使用できる円形の薄板57を示す斜視図である。図10(c)は、高周波電極として使用できる薄板58を示す平面図である。薄板58内には、細長い直線状の切り込み59b、59cが、互いに平行に合計6列形成されている。このうち、3列の切り込み59bは、図10(c)において下側に開口しており、残り3列の切り込み59cは上側に開口している。切り込み59bと59cとは、交互に配置されている。こうした形状を採用した結果、薄板によって細長い導電路が形成されている。従って、この導電路の両端部分59aにそれぞれ端子を接続する。
【0073】
図11は、本発明の他の実施例に従って静電チャックを製造するプロセスを説明するための図面である。図11(a)は、第一の部材60と第二の部材24とを接合する直前の状態を示す断面図であり、図11(b)は、これらの各部材の固相接合によって得られた静電チャック61を示す断面図である。第一の部材60は平板形状をなしており、この部材60の主面60aに前記溶液の塗布層2を設け、他方の主面60bには塗布層を設けていない。第二の部材24も平板形状をなしており、この部材24の一方の主面側には、所定形状の凹部24aが形成されている。この凹部24aと反対側の主面24cを、半導体ウエハーの吸着面として使用する。
【0074】
第二の部材24の凹部24aに金属板71を設置する。各部材60、24の相対向する表面側を研磨加工し、研磨面60aおよび24bを形成する。この後は前述した本発明の製造方法に従って、部材60と24とを固相接合する。ただし、この際に、本実施例では、金属板71の高さを凹部24aの深さよりも大きくし、即ち、金属板71が寸法sだけ凹部24aから突出するようにした。この代わりに、金属板71と凹部24の壁面との間に寸法tの隙間を設けた。
【0075】
この状態で、金属板71が加圧下に変形可能な温度範囲で、部材60と部材24との間で図11(a)において縦方向に圧力を加えることによって、金属板71を変形させる。これによって図11(b)に示す静電チャックが得られる。基材62の内部に密閉空間28が形成されており、密閉空間28の中に電極63が収容されている。62aはウエハー設置面であり、62bは背面である。ここで、密閉空間28の形状に沿って金属板71を変形させているので、この電極63が壁面に対して密着する。
【0076】
図12(a)は、第一の部材1と第二の部材3とを接合する直前の状態を示す断面図であり、図12(b)は、これらの各部材の固相接合によって得られたセラミックスヒーター65を示す断面図である。第二の部材3の凹部3aに、抵抗発熱体を構成する金属板64を設置する。各部材1、3の相対向する表面側を研磨加工し、研磨面1aおよび3bを形成する。この後は前述した本発明の製造方法に従って、部材1と3とを固相接合する。ただし、この際に、本実施例では、金属板64の高さを凹部3aの深さよりも大きくし、即ち、金属板64が寸法sだけ凹部3aから突出するようにした。この代わりに、金属板64と凹部3aの壁面との間に寸法tの隙間を設けた。
【0077】
この状態で、金属板64が加圧下に変形可能な温度範囲で、部材1と3との間で、図12(a)において縦方向に圧力を加えることによって、金属板64を変形させる。これによって、基材6の内部に密閉空間7が形成され、密閉空間7の中に電極66が収容される。6aはウエハー加熱面であり、6bは背面である。ここで、密閉空間7の形状に沿って金属板64を変形させているので、この電極66が壁面に対して密着する。
【0078】
ここで、寸法tおよび寸法sは、s×金属板64の幅×金属板64の長さ≦2(t×凹部3aの深さ×凹部3aの長さ)の関係を満たすようにすることが好ましい。また、この金属板の形態は、バルク材である限りは他の形態のものに変更することができる。
【0079】
以下、更に具体的な実験結果について述べる。
〔実施例A〕
図1〜図5を参照しつつ前述した方法に従って、セラミックスヒーターを製造した。第一の部材および第二の部材を窒化アルミニウム焼結体によって製造し、1900℃で焼結させた。焼結助剤としてイットリウムを使用した。各部材の寸法は、直径200mm、厚さ10mmの円盤形状とした。この表面を平面研削加工し、凹部を形成した。この凹部の幅を3mmとし、深さを50μmとした。次いで、第一の部材および第二の部材の接合面側をそれぞれラップ装置を使用して鏡面研磨加工し、各加工面の中心線平均粗さおよび平面度を0.2μmとした。厚さ25μmのモリブデン箔をエッチング加工することによって所望の平面的パターンの発熱体を形成し、この発熱体を凹部中に設置した。
【0080】
イットリウム濃度が2.61×10-4mol/ccの硝酸イットリウム溶液水和物:Y(NO3)2・6H2O水溶液を、第一の部材および第二の部材の各加工面に塗布した。所定の治具を使用して第一の部材と第二の部材とを固定し、電気炉を使用して1900℃で1時間の間1.5atmで窒素雰囲気下に加熱し、セラミックスヒーターを得た。次いで、図3に示すようにして、端子を基材に対してロウ接合した。
【0081】
第一の部材と第二の部材との接合界面には、欠陥がなく、気密性が良好であった。図13は、接合体のセラミックス組織の電子顕微鏡写真(二次電子像)である。図14は、接合界面の近辺におけるセラミックス組織の反射電子像の電子顕微鏡写真である。白い像は、イットリウムを示している。中央部に接合界面があるが、この接合界面に沿って、白い線が存在しているのが判る。これは、接合界面に塗布した接合助剤が、熱処理後において、接合界面付近に残留した状態を示している。図15は、図14の中央部分を拡大して撮影した、反射電子像の電子顕微鏡写真である。写真の中央部からやや左側に、白い線が連続しているのが見える。これは、接合助剤であるイットリウムが接合界面に沿って残留しているからである。図16は、図15において、接合界面付近を更に拡大して撮影した、反射電子像の電子顕微鏡写真である。
【0082】
図14〜図16、特に図16に示す微構造は、窒化アルミニウム粒子と、イットリウムを含む粒界とからなっている。図16において、白色部分はイットリウムを示している。粒界には、イットリウム以外の金属原子は、ほとんど存在していない。濃い灰色に着色した粒子は、窒化アルミニウム粒子を示している。窒化アルミニウム粒子の間に、黒色部分が見えるが、これは開気孔を示している。電子顕微鏡による観察を実施するときに、試料の表面を研磨加工したために、試料内部の閉気孔が、表面に開気孔として現れている。図5に模式的に示したのは、図16における左下の中央部分である。このように、図16を見ると、接合助剤を含む粒界層が、成長した粒子によって、移動し、分断されているのがわかる。
【0083】
〔実施例B〕
図6(a)、(b)を参照しつつ前述した方法に従って、静電チャックを製造した。第一の部材および第二の部材を窒化アルミニウム焼結体によって製造し、1900℃で焼結させた。焼結助剤としてイットリウムを使用した。各部材の寸法は、直径200mm、厚さ10mmの円盤形状とした。この表面を平面研削加工し、円形の凹部を形成した。この凹部の直径を190mmとし、深さを1.0mmとした。直径189.5mm、厚さ0.8mmのモリブデン板をこの凹部内に設置した。次いで、第一の部材および第二の部材の接合面側をそれぞれラップ装置を使用して鏡面研磨加工し、各加工面の中心線平均粗さおよび平面度を0.2μmとした。
【0084】
イットリウム濃度が2.61×10-4mol/ccの硝酸イットリウム溶液水和物:Y(NO3)2・6H2O水溶液を、第一の部材および第二の部材おき各加工面に塗布した。所定の治具を使用して第一の部材と第二の部材とを固定し、電気炉を使用して1900℃で1時間の間1.5atmで窒素雰囲気下に加熱し、静電チャックを得た。次いで、図3に示すようにして、端子を基材に対してロウ接合した。
【0085】
第一の部材と第二の部材との接合界面には、欠陥がなく、気密性も保持されていた。
【0086】
〔実施例C〕
実験Aで製造したセラミックスヒーターについて耐久性を試験した。即ち、室温から600℃まで10℃/分間の温度上昇速度で温度を上げ、600℃で1時間維持し、10℃/分間の温度降下速度で室温まで温度降下させた。これを1サイクルとしたところ、10サイクルの温度抵抗カーブは変化がなかった。
【0087】
〔実施例D〕
図9および図10に示すプラズマ発生電極装置を製造した。セラミックス粉末として窒化アルミニウム粉末を準備し、焼結助剤としてイットリウムを使用した。これを1900℃で焼結させることによって、第一の部材および第二の部材を製造した。各部材の寸法は、直径200mm、厚さ10mmの円盤形状とした。この表面を平面研削加工し、円形の凹部を形成した。この凹部の直径を190mmとし、深さを1.0mmとした。金属モリブデンからなる網状電極を準備した。網状電極を構成する線体の線径は、0.35mmであり、♯24(1インチ当たり24本の交差本数)であり、外形はφ190mmであった。この網状電極を凹部内に収容した。第一の部材および第二の部材の接合面側をそれぞれラップ装置を使用して鏡面研磨加工し、各加工面の中心線平均粗さおよび平面度を0.2μmとした。
【0088】
イットリウム濃度が2.61×10-4mol/ccの硝酸イットリウム溶液水和物:Y(NO3)2・6H2O水溶液を、第一の部材および第二の部材おき各加工面に塗布した。所定の治具を使用して第一の部材と第二の部材とを固定し、電気炉を使用して1900℃で1時間の間1.5atmで窒素雰囲気下に加熱し、プラズマ電極発生装置を得た。図3に示すようにして、端子を基材に対してロウ接合した。
【0089】
このプラズマ発生電極装置の表面に8インチウエハーを設置した。チャンバー内にCF4ガスを導入し、400mTorrで圧力をコントロールできるように、ガス供給系及びガス排気系を制御した。高周波電源として、周波数13.56MHz、2kWのものを使用した。放電状態を安定にするため、電源と高周波電極との間のケーブルにはマッチングボックスを挿入した。この結果、安定したプラズマシースを形成することができた。
【0090】
【発明の効果】
以上述べたように、半導体製造装置内でセラミックスヒーター等を高温で繰り返して使用したときにも、抵抗発熱体等のバルク材の抵抗値の上昇や劣化を防止し、セラミック基材の接合強度の低下、特にクラックを防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、第一の部材1と第二の部材3とを固相接合する直前の状態を示す断面図であり、(b)は、第二の部材3の凹部に抵抗発熱体を収容した状態を示す平面図である。
【図2】(a)は、セラミックスヒーター20を示す断面図であり、(b)は、セラミックスヒーター20を示す平面図である。
【図3】(a)は、抵抗発熱体の端部にネジを固定した状態を示す斜視図であり、(b)は、抵抗発熱体の端部と端子との接合構造の好適例を示す断面図である。
【図4】(a)、(b)は、第一の部材と第二の部材との接合の進展を説明するための模式的断面図である。
【図5】接合助剤の豊富な層23において、セラミックス粒子21の成長によって接合助剤が移動した状態を示す断面図である。
【図6】(a)は、第一の部材23と第二の部材24とを接合する直前の状態を示す断面図であり、(b)は、これによって得られた静電チャック26を示す断面図である。
【図7】(a)は、第一の部材23と第二の部材31とを接合する直前の状態を示す断面図であり、(b)は、これによって得られた静電チャック33を示す断面図であり、(c)は、ヒーターが一体化された静電チャックを示す断面図である。
【図8】(a)は、網状電極37を示す斜視図であり、(b)は、網状電極を内蔵したプラズマ発生電極装置を示す破断斜視図である。
【図9】(a)は、プラズマ発生電極装置を示す断面図であり、(b)は、プラズマ発生電極装置をプラズマ装置内に取り付けた状態を示す模式的部分断面図である。
【図10】(a)は、パンチングメタルからなる電極を示す斜視図であり、(b)は、平板状の金属バルク材からなる電極57を示す斜視図であり、(c)は、切り込みの入った平板状のバルク材からなる電極58を示す平面図である。
【図11】(a)は、第一の部材60と第二の部材24とを接合する直前の状態を示す断面図であり、(b)は、これによって得られた静電チャック61を示す断面図である。
【図12】(a)は、第一の部材1と第二の部材3とを接合する直前の状態を示す断面図であり、(b)は、これによって得られたセラミックスヒーター65を示す断面図である。
【図13】接合体のセラミックス組織の電子顕微鏡写真(二次電子像)である。
【図14】図13の接合体のセラミックス組織の電子顕微鏡写真(反射電子像)である。
【図15】図14の接合体の中央部分を拡大して撮影した、セラミックス組織の電子顕微鏡写真(反射電子像)である。
【図16】図15において、接合界面付近を更に拡大して撮影した、セラミックス組織の電子顕微鏡写真(反射電子像)である。
【符号の説明】
1、23、60 第一の部材 3、24、31 第二の部材
3a、24a、31a 凹部 4、25、32、37、54、57、58バルク材 13 端子 15 端子の接続構造 22、22A、22B接合界面
Claims (3)
- 窒化アルミニウムまたは窒化珪素の緻密質セラミックスからなり、内部に密閉空間が形成されている基材と、この密閉空間内に設置されている金属製のバルク材と、このバルク材に対して電気的に接続されている端子とを備えており、前記基材が固相接合体からなり、前記固相接合体の接合界面に沿って固相接合体の他の個所に比較して接合助剤の原子の豊富な層が存在しており、前記接合界面の両側に延びるようにセラミックス粒子が粒成長しており、前記接合界面は気密性を有しており、前記セラミックス粒子が窒化アルミニウムまたは窒化珪素からなり、前記接合助剤がイットリウム化合物およびイッテルビウム化合物からなる群より選ばれた一種以上の接合助剤であることを特徴とする、ハロゲン系腐食性ガスを使用する環境において用いられる半導体処理装置。
- 前記密閉空間中の雰囲気が不活性ガスであることを特徴とする、請求項1に記載の半導体処理装置。
- 前記基材に貫通孔が設けられており、前記端子がこの貫通孔内に固定されており、前記端子と前記基材との間がロウ材によって気密に接合されていることを特徴とする、請求項1または2記載の半導体処理装置。
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