JP3842510B2 - 硬貨識別方法及びそれに用いられる硬貨識別センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬貨処理機に搭載された硬貨識別センサを用いた硬貨識別方法に関し、特に硬貨の端部を検知することにより硬貨を確実に識別できるようにした硬貨識別方法及びそれに用いられる硬貨識別センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
硬貨処理機に搭載されている硬貨識別部では、磁気的及び光学的なセンサにより硬貨の直径、材質、穴、ギザ、色、厚み(模様、凹凸)の要素を検出し、これらの組み合わせで金種判別、真偽判定を行っている。そして、硬貨の真偽等を磁気的に識別する従来の硬貨識別センサとしては、特開平11−175792号に示されるものがある。この識別センサでは、棒状コアの先端を凹凸のある金属製の硬貨の表面に相対移動可能に対向させると共に、棒状コアに硬貨の凹凸形状に起因して変化する磁束を検出するための検出手段を設け、棒状コアの相対移動方向に関する先端の幅を検出しようとする凹凸形状の幅よりも小さくしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の硬貨識別センサでは、硬貨全体のパターンを検出して識別するようにしているため、微細なパターンの違いを識別することができず、日本の500円硬貨の外周縁部分に設けられているようなパールを検出することができない。そのため、日本の500円硬貨と韓国の500ウォン硬貨との間で誤認識を生じることが多かった。即ち、従来の硬貨識別センサでは硬貨のエッジ形状に対する検知値能力がないため、同一径、同一材質、同一厚みの偽造貨(例えば、日本の500円硬貨に対する韓国の500ウォン硬貨)を検知することができず、偽造硬貨を排除できない欠点がある。
【0004】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、硬貨の外周縁部分(例えばパール部分)を検知して硬貨識別能力を一層向上させた硬貨識別方法及びそれに用いられる硬貨識別センサを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁気ヘッドの上部を内側に折曲された立体U字状コアを有し、励磁される側に1次コイル及び出力側に2次コイルが巻回された硬貨識別センサを用いて、硬貨の端部を磁気的に検知する硬貨識別方法に関し、本発明の上記目的は、前記硬貨識別センサの磁気ヘッドを、片寄せで搬送される硬貨の端部に対向し、かつ、前記硬貨の端部が通過する位置であって、さらに、発生する磁界方向が前記硬貨の搬送方向に対して直交するように配置すると共に、前記硬貨識別センサの1次コイルを前記硬貨の中心方向に、前記2次コイルを前記硬貨の外側方向にそれぞれ位置するように配置した状態で検知された前記2次コイルからの出力信号によって硬貨を識別することを特徴とする硬貨識別方法によって達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明では、硬貨の端部(パール部)を確実に検知できるようにするため、硬貨を片寄せで搬送させるようにすると共に、搬送される硬貨の端面からパール部を通過する位置に硬貨識別センサの磁気ヘッドを設け、その磁気ヘッドの磁界方向(ギャップ方向)を硬貨の搬送方向と直交するように配置すると共に、1次コイルを硬貨の中心方向に、2次コイルを硬貨の外側方向にそれぞれ配置している。磁気ヘッドのトラック幅方向を硬貨の搬送方向と平行にしたことにより、金属製の硬貨が磁気ヘッドの上に滞留する時間を長くすると共に、比透磁率が高い部分が2次側より1次側に長く接するようにして、良好な磁気出力を得るようにしている。500円硬貨と500ウォン硬貨との相違は、500円硬貨の縁の太さが500ウォン硬貨の縁の太さより太く、また、500円硬貨の表裏には整列されたパールが刻設されているに対し、500ウォン硬貨ではパールが不整列であると共に、表裏の一面にしかパールが刻設されていない点である。このため、本発明の硬貨識別センサによれば、硬貨の外周縁部(パール部分)を検知し、それに対応したエッジ部の信号を出力するようにしているので、500円硬貨と韓国の500ウォン硬貨とを確実に識別することができる。
【0007】
以下に、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
【0008】
図1は本発明に係る硬貨識別センサ10を用いた硬貨識別装置の構成例を示しており、硬貨識別センサ10は磁界を発生して磁気的に検知するための磁気ヘッド11を有し、本体部分の磁性材で成る立体U字状で、上部を内側に折曲された形状の磁気コア12には、1次コイル13及び2次コイル14が巻回されている。なお、磁気ヘッド11部分は磁界を発生させるための空隙を有し、本例ではギャップ幅は0.1mm、デプスは0.15mm、トラック幅は1.0mmと非常に小型となっている。
【0009】
硬貨識別センサ10の1次コイル13は発振回路1からの高周波励磁信号(2MHzの正弦波)で励磁され、2次コイル14からは1次コイル13に入力された高周波信号が出力され、磁気ヘッド11の上に存在する硬貨(金属)の比透磁率に応じてその振幅が変化する。このような2次コイル14からの検知出力信号は電流―電圧変換及び検波を行う誘導回路2に入力され、更に増幅器3で増幅、包絡線検波されて後にA/D変換器4でデジタル値に変換される。A/D変換器4からのデジタル値はCPU5に入力され、メモリ6のデータと協動して硬貨の識別を行い、識別結果DRを出力するようになっている。
【0010】
本発明では硬貨識別センサ10を図2に示すように、磁気ヘッド11での磁界発生方向が硬貨の搬送方向に対して直交するように配設すると共に、1次コイル13を硬貨の中心方向に、2次コイル14を硬貨の外側方向に配置する。そして、硬貨は片寄せ機構で硬貨の片面が常に同一経路を搬送されるようになっており、硬貨識別センサ10の磁気ヘッド11が搬送される硬貨の端部を検知するように配置されている。
【0011】
図3(A)は、500円硬貨20の搬送方向に対して硬貨識別センサ10の磁気ヘッド11による検知領域(斜線領域)11Aを示しており、本発明では500円硬貨20の縁部に刻設されているパール21を検知できるようにしている。図3(B)は図3(A)の500円硬貨20の検知領域11Aにおける断面構造を示しており、図3(C)は硬貨識別センサ10からのセンサ出力信号を示している。この例から分かるように、センサ出力信号は500円硬貨の端部において顕著な減衰傾向を示すと共に、パール21部分でも更に減衰傾向を示している。
【0012】
図4は500円硬貨のセンサ出力信号の例を示しており、図5は同じ条件で検知した500ウォン硬貨のセンサ出力信号の例を示している。この特性から、500円硬貨と500ウォン硬貨とを確実に識別することが可能である。硬貨識別センサ10を図6に示すように、磁界発生方向が硬貨の搬送方向に対して直交するようにしているが、2次コイル14を硬貨の中心方向に、1次コイル13を硬貨の外側方向と逆に配置した構造にした場合、その状態で500円硬貨及び500ウォン硬貨を同様に検知すると、図7及び図8に示すようないずれもが中央部で凹状に没したセンサ出力信号となり、ほぼ同一の特性になる。ほぼ同一の特性になるのは、硬貨の金属特性による渦流損の影響と考えられる。この測定結果より、500円硬貨と500ウォン硬貨とを識別することができない。
【0013】
また、硬貨識別センサ10を図9に示すように、磁界発生方向を硬貨の搬送方向と同一方向に配置して硬貨を検知すると、図10に示すような放物線状の凹凸のないセンサ出力信号となり、この結果より硬貨のエッジを検知することができない。
【0014】
本発明の硬貨識別センサ10で、他の硬貨を検知した場合のセンサ出力信号の例を図11及び図12に示す。図11は日本の1円硬貨の例を示し、(A)は表面、(B)は裏面の場合である。また、図12はイギリスの1ペニー硬貨の例を示し、(A)は表面、(B)は裏面の場合である。この測定結果からも、本発明の硬貨識別センサ10によれば硬貨の外周縁部分を確実に検知することができる。
【0015】
【発明の効果】
以上のように本発明の硬貨識別センサによれば、硬貨表面の凹凸を検知する精度が高くなり、特にパール模様のある硬貨とない硬貨の識別が容易である。また、本発明によれば、硬貨外周のエッジと内側の段差を精度良く検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る硬貨識別センサを用いた硬貨識別装置の概略構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の硬貨識別センサの配置例を示す図である。
【図3】硬貨識別センサ、硬貨形状及びセンサ出力信号の例を示す図である。
【図4】本発明による500円硬貨の出力信号例を示す図である。
【図5】本発明による500ウォン硬貨の出力信号例を示す図である。
【図6】硬貨識別センサの別の配置例を示す図である。
【図7】図6の配置による500円硬貨の出力信号例を示す図である。
【図8】図6の配置による500ウォン硬貨の出力信号例を示す図である。
【図9】硬貨識別センサの更に別の配置例を示す図である。
【図10】図9の配置による500円硬貨の出力信号例を示す図である。
【図11】本発明による1円硬貨の出力信号例を示す図である。
【図12】本発明による1ペニー硬貨の出力信号例を示す図である。
【符号の説明】
1 発振回路
2 誘導回路
4 A/D変換器
5 CPU
6 メモリ
10 硬貨識別センサ
11 磁気ヘッド
12 磁気コア
13 1次コイル
14 2次コイル
20 500円硬貨
21 パール

Claims (3)

  1. 磁気ヘッドの上部を内側に折曲された立体U字状コアを有し、励磁される側に1次コイル及び出力側に2次コイル巻回された硬貨識別センサを用いて、硬貨の端部を磁気的に検知して識別する硬貨識別方法であって、
    前記硬貨識別センサの磁気ヘッドを、片寄せで搬送される硬貨の端部に対向し、かつ前記硬貨の端部が通過する位置であって、さらに、発生する磁界方向が前記硬貨の搬送方向に対して直交するように配置すると共に、
    前記硬貨識別センサの1次コイルを前記硬貨の中心方向に、前記2次コイルを前記硬貨の外側方向にそれぞれ位置するように配置した状態で検知された前記2次コイルからの出力信号によって硬貨を識別することを特徴とする硬貨識別方法。
  2. 前記1次コイルを2MHzの正弦波で励磁する請求項1に記載の硬貨識別方法。
  3. 請求項1又は2に記載の硬貨識別方法において使用される前記硬貨識別センサ。
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