JP3842162B2 - 光情報記録媒体と情報記録再生装置及び光情報記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、近接場光を用いて超高密度に情報を記録し再生できる光情報記録媒体と情報記録再生装置及び光情報記録媒体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、オーディオやビデオ動画像(motion picture)ファイルやテキストファイルなどのような多様なタイプの情報が組み合わされたマルチメディア時代への進展に伴い、大容量の情報を迅速に処理し格納する大容量の情報を記録する記録媒体が必要になっている。また、今後、更に普及されると予想される高鮮明(high-definition)動画像とVOD(Video-On-Demand)のような双方向性画像通信が実現されると、情報記録媒体の容量はさらに増大される。
【0003】
このような要請にしたがい、現在広く使用される記録媒体に対する多様な記録及び再生方式が提案されているが、この情報の記録再生方法の一つとして、光を用いて記録媒体に記録し再生する方法がある。光を用いた記録の方法の代表的な例としては、特定の高分子材料に所定の光を照射してその分子構造を変化させることによる局所的な屈折率の変化をもちいるものや、希土類金属と遷移金属からなるアモルファス合金薄膜を所定の磁界中で光を照射し、局所的にキュリー点または補償点以上に加熱することにより局所的な磁化方向を変化させるものなどがある。
【0004】
これらの方法は記録したり再生するとき、レーザ光をレンズ光学系で集光して記録媒体に照射する方法であり、レーザ光のスポット径が記録マークの大きさを決定する重要なパラメータになっている。すなわち、レーザ光のスポットの大きさを小さくすればするほど、光記録媒体に多くの情報を記録することができ、高記録密度を達成することができるが、このためにはレーザ光の波長を短くし、光ピックアップの対物レンズの開口数(NA)を増加させれば良い。
【0005】
すなわち、一般に、光の回折理論に基いて、光集束スポットの大きさ(長径)は、光源波長及び開口数により決定され、光集束スポットの大きさの低減程度により記録媒体の記録密度の上限が決定される。かつ光の回折現象はレンズを用いて光のビームの大きさを小さくするほど、ビームが広くなる性質を有する。すなわち、回折角θは光の波長λとビームの直径dの比λ/dで定まり、ビームの直径dを小さくするほど回折角θは大きくなる。このためビームの直径dを所定値以下に低減することはできず、光記録媒体の記録密度の限界はd=1.22λ/NAと近似的に表される光の回折理論により決定される。すなわちレーザ光の波長λが短く、レンズの開口数NAが大きくなるほど、集光されるビームの大きさは小さくなり、記録媒体の記録面密度はスポットの大きさの自乗に反比例して増大し、光の波動性による回折現象により、1ビット当たり記録,再生可能な情報の最小の大きさはほぼ光の波長程度になる。例えば、レーザ光の波長を短かくするため、現在、DVDの光源として用いられる赤色半導体レーザ(〜660nm)に代わって、青色半導体レーザ(〜400nm)をDVDの光源に用いると、DVDの単位面積当たり記録可能な情報量は、赤色半導体レーザを用いた場合の記録媒体の情報量に比べて、約2.5倍ほど向上させることができる。このようにして記録密度を増大させ記録密度は、20〜30Gbit/in2が限界になると予想され、記録密度を向上させるとき、回折限界に伴う制約が避けられなかった。
【0006】
そこでテラバイト(TB,terabyte)級の情報量を処理するように、近接場光やボリュームホログラム(Volume Hologram)や光化学ホールバーニング(photo-chemical hole burning)又は3次元光記録などのような超高密度記録方式が提案されている。しかし、ボリュームホログラム及び光化学ホールバーニングにおいては、記録媒体の使用環境に大きな制約がある。
【0007】
物質の表面から光波長以下の距離である近接場に存在する近接場光を利用して情報を記録したり再生する方法は、図6に示すように、光ファイバ61の先端を先鋭化した後、先鋭部62の周囲を金属薄膜をコーティングして遮光性の被覆層63で覆い、先鋭部62の先端に被覆層62から露出した波長以下のサイズの開口部64を有する光ファイバプローブ60を用い、この光ファイバプローブ60の先端開口部64を記録媒体65の表面から記録光の波長程度の距離に接近させ、光ファイバプローブ60の他端より記録光を入射し、この記録光に基づいて先端開口部64から放射される近接場光を記録媒体65に照射して情報を記録するようにしている。この光ファイバプローブ60のスキャンはピエゾ素子をアクチェータとして用い、ラスタスキャンすることにより行われている。
【0008】
しかし、実用的なピエゾ素子はスキャンできる範囲が最大100μm程度であり、スキャン速度も数10kHz程度であるため、記録データの読み出し速度に限界がある。さらに、実際に出力される光の強度も小さく、記録、再生速度を高速にすることに限界があった。
【0009】
これらの短所を解消するために、例えば特許第3023085号公報や特開平11−191238号公報に平面アレイ型プローブが開示されている。この平面アレイ型プローブは、シリコン基板を異方性エッチングすることにより同一基板上に微小開口をアレイ状に作製している。したがって1つの素子にプローブが多数個あることになり、素子自体の掃引速度はそれほど高速である必要はない。また、碁盤目状に並んだプローブに対して記録媒体は回転するように配置され、2次元平面上に配置されたプローブはそれぞれ記録媒体上の異なった点を通過することになる。さらに、高効率化のために、特許第3023085号公報に示すように各プローブの開口部分に微小レンズを作製する方法が提案されている。
【0010】
さらに、近接場光を効率よく発生させるために、特開2001−208672号公報に示すように、ガラス基板上にピラミッド状のシリコン突起を有する近接場光プローブが提案されている。このピラミッド状のシリコン突起はKOH及びIPA(イソプロピルアルコール)からなるエッチング液によりウエットエッチングにより形成されている。
【0011】
しかしながら各プローブの開口部分に微小レンズを作製する方法として、微小開口の上にガラスビーズを落として微小レンズとしているが、ガラスビーズを所望の位置に落としたり、光を入射した場合の焦点距離を所望の値に調整することは困難である。また、ガラスビーズが固定されておらず長期にわたる信頼性に問題があった。
【0012】
また、これらの平面開口型プローブは、シリコン基板を異方性エッチングにより掘り込むことで微小開口を作製している。この場合、レーザ光がプローブを通過する部分は空洞であり、より高効率な光出力すなわちより高速な光書き込みと読み出しをすることが必要となったときに、この空洞部分を光の閉込め効果の高い屈折率の高い物質で充填する必要があった。
【0013】
また、特開2001−208672号公報に示すピラミッド状のシリコン突起を有する近接場光プローブにおけるピラミッド状のシリコン突起の形状はシリコン基板の異方性エッチングを用いているため、ピラミッド状を形成する傾斜角を変化させることは困難であり、またプローブの外形に結晶方位に対応した面が残ってしまい、円錐形上を形成するのが困難であるといった短所がある。
【0014】
さらに、いずれの方式においても、得られる信号強度は従来の伝播光を用いた方式に比べ小さく、実用に供するためには、さらに信号強度向上をはかる必要がある。
【0015】
ここで近接場光の伝搬は、物質表面との相互作用によって影響されるため、その強度分布も物質表面の形状に及び微小開口と照射される媒体の間隔によって左右される。すなわち、先鋭部の微小開口から記録媒体の表面に照射される近接場光は、微小開口から離れるにしたがって拡散し、この拡散によって微小開口の先端の大きさに比較して大きな領域の記録層の状態が変化する。これに対して高密度記録を行なうために記録層の状態が変化する領域を小さくしようとすると、微小開口と記録媒体とをさらに接近させることが必要になる。
【0016】
この発明は、このような条件を満足し、近接場光を用い、より高効率で信号光を検出することができる光情報記録媒体と情報記録再生装置及び光情報記録媒体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る光情報記録媒体は、平板状の基板と、該基板上に光の波長以下のサイズの平面を先端に有する微細構造を形成した微細構造層と、該微細構造層の先端の平面に形成された記録層を備えたことを特徴とする。
【0018】
前記微細構造層は、光の波長よりも短い間隔の回折格子状の凹凸を有していることを特徴とする。また、回折格子状の凸部における先端及びその近傍がそれ以外の領域より高い屈折率を有することを特徴とする。
【0019】
この発明の情報記録再生装置は、前記光情報記録媒体の記録層に、光の波長以下の平面からなる微小開口を備えたプローブで情報を記録し再生することを特徴とする。
【0020】
前記光情報記録媒体の微細構造層の先端平面の大きさと前記プローブの微小開口の開口寸法が等しく形成すること望ましい。
【0021】
また、前記光情報記録媒体の微細構造層の先端平面の大きさをx、前記プローブの微小開口の開口寸法をyとしたとき、0.72<y/x<1.5の関係があるように微細構造層の先端平面の大きさと前記プローブの微小開口の開口寸法を定めても良い。
【0022】
この発明に係る光情報記録媒体の製造方法は、ガラス基板の表面全面に高屈折率化できるイオンを注入し、その表面にレジストにより回折格子状の凹凸を形成し、該レジストを後退させながらガラス基板をエッチングしてガラス基板表面に所定の回折格子状で上部が平面となる凹凸を形成し、レジストを除去した後、回折格子状の凹凸形状の表面全体に遮光膜を形成し、遮光膜の表面に記録層を形成し、記録層の表面に保護層を形成することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の記録媒体1と情報記録再生装置2の構成図である。図に示すように、記録媒体1は、基板3に設けた光の波長以下の回折格子状の凹凸を有する微細構造4が設けられ、この微細構造4の表面に記録層5を有し、記録層5の表面に保護層6を有する。情報記録再生装置2は平面型プローブ7と光学系8を有する。平面型プローブ7はスライダ9に複数の微小開口を有する微小開口アレイ10を備え、ホルダ11に支持され、回転する記録媒体1上を走引される。光学系8は、半導体レーザ素子を有するレーザ光源12とコリメータレンズ13とビームスプリッタ14と対物レンズ15と結像レンズ16及び光検出器17を有する。記録媒体1に情報を記録したり再生するときは、レーザ光源12から出射したレーザ光をコリメータレンズ13により平行光束に変換してビームスプリッタ14に入射する。ビームスプリッタ14を通過した光束は対物レンズ15によって平面型プローブ7のスライダ9底面に形成された微小開口アレイ10にスポット光を結像し、微小開口アレイ10の先端部より近接場光を発生させる。発生した近接場光は記録媒体1に結合し、微細構造4上に形成されている記録層5に記録マークを形成する。記録媒体1に記録された情報を再生する場合は、記録媒体1から反射する近接場光成分を平面型プローブ7の微小開口アレイ10で検出する。検出した近接場光は対物レンズ15により平行光束に変換され、ビームスプリッタ14で偏向されて結像レンズ16により光検出器17上にスポットを結ぶ。この光検出器17上の光強度の明暗により記録媒体1上に記録された情報を再生することができる。
【0024】
このように記録媒体1の表面に回折格子状の凹凸を有する微細構造4を設けることにより、平面型プローブ7の微小開口アレイ10で発する近接場光を高効率で利用することができる。すなわち、文献K Jang and W. Jhe:Optics Letters Vol.21,No.4(1996)236.に示すように、近接場においては、微小開口アレイ10の微小開口の開口半径の大きさと、照射される記録媒体1の構造の大きさがほぼ同じとき、微小開口先端から記録媒体に結合する光強度は最大になる。実際に計算した記録媒体1の表面に設けた微細構造4の大きさと平面型プローブ7の微小開口アレイ10の先鋭部の開口半径の大きさの比と、平面型プローブ7から記録媒体1に結合する近接場光の光結合効率(任意単位)の関係を図2に示す。図2に示すように、微小開口の大きさと記録媒体1表面に設けた微細構造4の大きさには共鳴関係があり、微細構造4の大きさと微小開口アレイ10の先鋭部の微小開口の大きさが等しいとき、光結合効率が最大になる。
【0025】
ここで、図3に示すように、記録媒体1の微細構造4を形成する凹凸の凸部平面の大きさを2x、微小開口アレイ10の先鋭部の微小開口の半径を2yとすると、
0.72<y/x<1.5 (1)
のとき、光結合効率は最大結合効率の90%以上にすることができ、安定に記録再生動作を行うことができる。ここで、この場合も平面型プローブ7の微小開口アレイ10の先鋭部の微小開口と記録媒体1の間隔を入射光の波長より十分接近していることが必要であり、平面型プローブ7を浮上型ヘッドに形成することにより、記録媒体1と微小開口の間隔を一定にかつ微小に保つことができ、より微少な記録マークを記録媒体1に形成できる。ここで記録媒体1の微細構造4は実際の凹凸でも、屈折率がある間隔で変化しているもの、あるいは吸収率がある間隔で変化している構造などでも良い。
【0026】
この記録媒体1の微細構造4の作製方法を図4の工程図を参照して説明する。図4(a)に示すように、例えばガラス基板3の表面全面にイオンを注入して高屈折率層20を形成する。このガラス基板3しては、例えばアルミノシリケート系ガラスなどの化学強化ガラスや石英ガラスなどがあり、その厚さは通常0.5〜1.5mm、好ましくは0.6〜1.2mmである。不純物としては、ナトリウムやカリウムやリチウムやマグネシウム及びタリウムなどが挙げられるが、とくに分極率の大きいイオン又は分極能力の大きいイオンが良い。分極率の大きいイオンとしてはTl(タリウム)が良く、分極能力の大きいイオンとしては、Li(リチウム)が良い。さらに、ガラス基板3表面に選択的にイオン注入するには、イオン半径が大きいTlが良い。このイオンの注入としては例えばイオン注入法やイオン交換法やエレクトロフロート法などがあるが、特にイオン注入法が好ましい。この場合、注入するイオン濃度を大きくすることにより屈折率も大きくすることができる。したがって高屈折率層20の屈折率は注入するイオンの種類やその注入ドープ量を変えることで簡単に変えることができる。
【0027】
また、高屈折率層20の屈折率を高めるために導入する物質としては種々のものがあるが、例えばイオン交換法の場合では、イオン交換を効率よく行うために高温ガラス中での移動度が十分大きくなければならないことと、ガラス中に多量にドープしてもその性質を損なわないことなどの条件から1価イオンが選択される。さらに、平面型プローブ7や光ファイバプローブの性能を高めるためには、なるべく屈折率を高める効果を持ったイオンが望まれる。このことを考慮するとタリウムイオン(Tl+)やセシウムイオン(Cs+)が適当である。タリウムイオン(Tl+)は、外殻電子配列が非希ガラス型(18+2)構造であり、高温ガラス中で拡散し易く、しかもガラス編目修飾イオンとして多量にガラスに添加することができ、かつ大きな屈折率変化を得ることができる。
【0028】
次に、図4(b)に示すように、高屈折率層20の表面に回折格子状の凹凸をしたレジストパターン21を形成し、図4(c)に示すように、レジストパターン21を後退させながら高屈折率層20をエッチングしてガラス基板3の表面に所定の回折格子状の凹凸を有する微細構造4を形成する。その後、図4(d)に示すように、微細構造4の表面全体に遮光膜として機能する金属膜22を形成し、金属膜22の表面に記録層5を形成する。この遮光膜として機能する金属膜22の形成は、金属蒸着やメッキや電着など任意の方法を採用することができる。また、金属としてはアルミニウムや金や銀などがあるが、特に酸化性の低いものが好ましい。ここで金属膜22がない場合でも、ガラス基板3を透過した光により再生信号を得ることはできる。また、記録層5しては、公知の各種記録材料を用いて形成することができるが、とくに四元系相変化光記録材料、例えばAgInSbTe系が好ましい。この記録層5の形成方法はそれぞれの材料に応じた公知の形成方法を採用することができる。また、記録層4がAgInSbTeのように蒸発性をもつ場合には、その上に又はその上下に保護層、例えば、ZnS・SiO2層を設けることが好ましい。この保護層は記録層5の酸化防止と熱伝導性の向上及び記録時における記録材料の蒸発防止などの役割を果たしている。
【0029】
また、記録媒体1の最表面は平面型プローブ7と光の波長以下の距離に近づけて高速に走引するため、記録層5の磨耗を防ぐための保護層6が必要である。保護層6としては、近接場光は平面型プローブ7からの染み出しが光の波長以下であり、平面型プローブ7から記録層5までの距離をできるだけ近づけるために、厚さが薄く、光の吸収がほとんどない材料が望ましい。この条件を満足する材料として例えばダイアモンドライクカーボンやSiNを用いると良い。この保護膜6はスパッタリングやイオンビームスパッタリングやCVD法などの成膜装置で形成することができる。
【0030】
次に複数の微小開口を有する微小開口アレイ10をスライダ9に設けた平面型プローブ7の作製方法の1例を図5の工程図を参照して説明する。図5(a)に示すように、透明な石英基板30に高屈折率材料として窒化シリコン膜31を形成する。この窒化シリコン膜31はSiHとNHを700〜1100℃の高温下で熱反応させる高温熱CVD法で成膜することができる。この窒化シリコン膜31の膜厚は2μm以上であることが望ましい。ここでは高屈折率材料として窒化シリコン膜31をあげたが、他の高屈折率材料でもなんら問題ない。例えば、石英基板30上にSiO2を1μm程度スパッタしたのち、N原子あるいはC原子の侵入層を作製する。C原子の場合、CHをソースガスとするイオン注入法により石英基板30へイオン注入し、N原子の場合、SiHとNOを原料とする熱分解CVD法によってSiOを成膜することにより高屈折率層を形成することができる。また、この高屈折率層は上記方法以外にもほかのCVDや真空蒸着やスパッタリング等や熱拡散法によっても形成できる。また、SIO基板と呼ばれるシリコン単結晶基板に酸化シリコンのバッファ層が形成されている基板を使用し、SIO基板とガラス基板に電極を設け約300度程度の温度雰囲気中で適当な電圧を印可することによりSIO基板とガラス基板を接合することにより、石製基板30上に高屈折率材料を形成することができる。また、別の方法としては、接合する石英基板30の表面を十分に洗浄し、SOI基板の活性シリコン層を張り合わせ、窒素雰囲気中900℃以上で熱処理することにより接合することが可能である。さらに、接合する石英基板30とSOI基板の接合面を鏡面研磨してRCA洗浄し、1.333×103Pa以下の真空度のチャンバ内でArのFAB(Fast Atom Beam)を300sec程度同時に照射し、10MPaの圧力で圧着することにより接合することができる。
【0031】
石英基板30上に成膜した窒化シリコン膜31の表面に、図5(b)に示すように、半導体プロセスのフォトリソグラフ技術を用いて円柱状のレジストパターン32を形成する。この円柱状のレジストパターン32はシリコンの突起を形成する領域に作製される。このレジストパターン32をマスクとして窒化シリコン膜31をドライエッチングにより除去する。このエッチング時に、石英基板30をストッパ層とすることにより、光学的に透明な石英基板30の表面に高屈折率材料からなる窒化シリコン突起33を形成することができる。また、エッチング時間を調節することにより、石英基板30にレジストパターン32が無い領域の窒化シリコン膜31を石英基板30上に残すことができる。さらに、ドライエッチングの条件を変化させることにより、形成された窒化シリコン突起33の形状を変化させることができる。このドライエッチングは、平行平板型のRIE(Reactive Ion Etching)装置を用いた。ここでガス種と処理圧力及びRFパワーを最適条件に変化させることにより、各種形状の窒化シリコン突起33を形成できる。
【0032】
エッチング後、図5(c)に示すように、レジストパターン32を酸素プラズマによるレジストアッシングを行い除去する。そして、図5(d)に示すように、窒化シリコン突起33が形成されは面に金属膜34をスパッタにより成膜する。この金属膜34を光の染み込み深さ以上に蒸着することにより、窒化シリコン突起33から生じる近接場光以外を遮断することができる。
【0033】
このようにして作製した複数の微小開口を有する微小開口アレイ10が設けられた平面型プローブ7を使用して微細構造4を記録媒体1の記録層5に情報を記録したり再生するとき、光学系8から平面型プローブ7に照射するレーザ光は直線偏光であることが好ましく、直線偏光は偏光板を挿入してもよいが、レーザーダイオードなどから出射するレーザ光はそれ自体直線偏光をもっているので、そのまま又は偏光板と組合せても良い。
【0034】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、基板上に光の波長以下のサイズの平面を先端に有する微細構造を形成し、微細構造の先端の平面に記録層を形成することにより、光の波長以下の微小開口を備えたプローブにより高効率かつ安定に情報を記録再生することができる。
【0035】
また、微細構造は、光の波長よりも短い間隔の回折格子状の凹凸を有していることにより、プローブ先端に設けられた微小開口からの光を高効率で記録媒体に結合することができ、良好な記録マークを形成できるとともに、高SN比で信号を再生することができる。
【0036】
また、回折格子状の凸部における先端及びその近傍がそれ以外の領域より高い屈折率を有することにより、プローブ先端に設けられた微小開口からの光をより高効率で光情報記録媒体に結合することができ、良好な記録マークを形成できるとともに、高SN比で信号を再生することができる。
【0037】
また、基板上に光の波長以下のサイズの平面を先端に有する微細構造を形成し、微細構造の先端平面に記録層を形成した光情報記録媒体の記録層に、光の波長以下の微小開口を備えたプローブで情報を記録したり再生することにより、高効率でかつ安定に情報を記録し再生することができる。
【0038】
また、光情報記録媒体の微細構造の先端平面の大きさとプローブの微小開口の開口寸法が等しく形成することにより、プローブ先端に設けられた微小開口からの光をより高効率で光情報記録媒体の記録層に結合させることができ、良好な記録マークを形成できるとともに、高SN比で信号を再生することができる。
【0039】
さらに、光情報記録媒体の微細構造の先端平面の大きさをx、プローブの微小開口の開口寸法をyとしたとき、0.72<y/x<1.5の関係があるように微細構造の先端平面の大きさとプローブの微小開口の開口寸法を定めることにより、光情報記録媒体の微細構造とプローブの微小開口の作製誤差を緩和すことができ、光情報記録媒体とプローブを安価に作製することができる。
【0040】
また、光情報記録媒体を、ガラス基板の表面全面に高屈折率化できるイオンを注入し、その表面にレジストにより回折格子状の凹凸を形成し、該レジストを後退させながらガラス基板をエッチングしてガラス基板表面に所定の回折格子状で上部が平面となる凹凸を形成し、レジストを除去した後、回折格子状の凹凸形状の表面全体に遮光膜を形成し、遮光膜の表面に記録層を形成し、記録層の表面に保護層を形成して製造することにより、光情報記録媒体を安定かつ安価に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の記録媒体と情報記録再生装置の構成図である。
【図2】近接場光の光結合効率の変化特性図である。
【図3】記録媒体の表面に設けた微細構造の大きさと平面型プローブの微小開口アレイの先鋭部の開口半径を示す断面図である。
【図4】記録媒体の微細構造の作製方法を示す工程図である。
【図5】平面型プローブの微小開口アレイの作製方法を示す工程図である。
【図6】従来の光ファイバプローブの構成図である。
【符号の説明】
1;記録媒体、2;情報記録再生装置、3;基板、4;微細構造、
5;記録層、6;保護層、7;平面型プローブ、8;光学系、
9;スライダ、10;微小開口アレイ、11;ホルダ、12;レーザ光源、
13;コリメータレンズ、14;ビームスプリッタ、15;対物レンズ、
16;結像レンズ、17;光検出器。
Claims (7)
- 平板状の基板と、該基板上に光の波長以下のサイズの平面を先端に有する微細構造を形成した微細構造層と、該微細構造層の先端の平面に形成された記録層を備えたことを特徴とする光情報記録媒体。
- 前記微細構造層は、光の波長よりも短い間隔の回折格子状の凹凸を有している請求項1記載の光情報記録媒体。
- 前記回折格子状の凸部における先端及びその近傍がそれ以外の領域より高い屈折率を有する請求項2記載の光情報記録媒体。
- 請求項1,2又は3記載の光情報記録媒体の記録層に、光の波長以下の平面からなる微小開口を備えたプローブで情報を記録し再生することを特徴とする情報記録再生装置。
- 前記光情報記録媒体の微細構造層の先端平面の大きさと前記プローブの微小開口の開口寸法が等しく形成されている請求項4記載の情報記録再生装置。
- 前記光情報記録媒体の微細構造層の先端平面の大きさをx、前記プローブの微小開口の開口寸法をyとしたとき、0.72<y/x<1.5の関係があるように微細構造層の先端平面の大きさと前記プローブの微小開口の開口寸法を定めた請求項4記載の情報記録再生装置。
- ガラス基板の表面全面に高屈折率化できるイオンを注入し、その表面にレジストにより回折格子状の凹凸を形成し、該レジストを後退させながらガラス基板をエッチングしてガラス基板表面に所定の回折格子状で上部が平面となる凹凸を形成し、レジストを除去した後、回折格子状の凹凸形状の表面全体に遮光膜を形成し、遮光膜の表面に記録層を形成し、記録層の表面に保護層を形成することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
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