JP3841843B2 - 管状体 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、エポキシ樹脂を使用したプリプレグによって加熱焼成された管状体に関する。従って、釣竿竿管、ゴルフクラブのシャフト、スキーのストック、テニス等のラケット、自転車のフレームなどに利用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来、樹脂をマトリックスとして強化繊維によって強化された管状体素材の表面を研磨する場合、サンダー研磨やバフ研磨のように研磨粒子を保持した保持体を素材表面に直接に擦り付ける方法が知られている。
この保持体を直接に擦り付ける方法では強化繊維を研削、或いは切断してしまい、管状体素材の樹脂を補強する補強部材としての強化繊維の意義を減殺してしまうため、特開平6−327380号公報では振動によって研磨粒子に流動性を持たせたりブラスト加工によって竿素材の表面を仕上げ、竿素材の表面の強化繊維をその断面の下側半分程度を樹脂の中に埋設させ、上側半分を露出させるようにさせ、樹脂は強化繊維の表面から掘り下げられた状態にすることが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、このように強化繊維間の結合作用を果たしている埋設樹脂を削り取ることは繊維間の結合力を低下させ、延いては竿管の強度を低下させることになり、また、表面の強化繊維といっても、それらの高さ位置は一定というわけではなく、また、繊維径は数ミクロン程度の極細のため、竿管表面の強化繊維の大部分を上記のように露出させるべく表面加工した場合、実際には樹脂層から完全に浮き上がった多量の強化繊維が発生することになる。こうした毛羽立った状態では竿管強度は益々低下する。
また、エポキシ樹脂系やウレタン樹脂系等の塗料との密着性については、表面を研磨露出させた強化繊維との密着性よりも、プリプレグに使用されるエポキシ等の樹脂との密着性の方が優れており、上記公報の開示構造では、必ずしも塗膜の密着力を向上し難い。
【0004】
依って本発明は、大きな撓み変形を受けて大きな曲力や潰れ力が作用する竿管をはじめ、各種の管状体につき、軽量かつ高強度となる表面形態の提供を目的とする。
また、塗膜の密着力の向上する表面形態の提供も目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑みて本発明は、強化繊維としての炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグを焼成して形成した管状体本体に属する表面のエポキシ樹脂を、前記炭素繊維を殆ど露出させないで極薄の被膜状に覆った状態にさせると共に該被膜状樹脂表面を微細な粗面状態に形成した領域を有することを特徴とする管状体を提供する。
領域を有するとは、管状体の表面全体を上記のように形成することが好ましいが、特に強度を要求される領域やその他領域にのみ形成してもよいことを意味する。
また、上記管状体本体の表面近くの炭素繊維間の樹脂を、当該炭素繊維同士の頂部を結ぶラインよりも掘り下げた管状体とする。
【0006】
【作用】
前者では、管状体本体の表面は強化繊維としての炭素繊維が殆ど露出しておらず、エポキシ樹脂に埋もれているため炭素繊維間の結合が強く、管状体本体の強度が高い。また、エポキシ樹脂が表面を覆っているといえども極薄状に覆っている程度であるため、管状体素材の無駄な表面樹脂が殆ど除去され、軽量な管状体本体となる。更には、このように表面を炭素繊維ではなく極薄ではあるが樹脂によって殆ど被覆しているため、この本体の表面に塗装を施す場合に塗膜との密着力が高く、またこの樹脂表面を微細な粗面状態にしているため、更に塗膜との密着力が向上したり、部品接着力が向上する。
後者では、上記作用の他、表面近くの炭素繊維がその周りに薄い樹脂膜を残しつつ当該炭素繊維間の樹脂を掘り下げた表面を有する管状体となるので、炭素繊維間の結合力は維持されたまま更に軽量化が達成される。また塗装の際には、管状体本体の表面が上記微細な粗面に比べて深目の凹凸状になるため、更に塗膜との密着力が向上する。
【0007】
【実施例】
以下、本発明を添付図面に示す実施例に基づき、更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る管状体の一例としての釣竿竿管の加熱成形後の素材10を示す。即ち、炭素繊維の強化繊維束や織布状のものにエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグを芯金に巻回し、その上から緊締用テープで緊締する等して加圧しつつ加熱成形し、緊締テープと芯金を取り外した竿管素材10である。この実施例では竿管素材は3層構造に形成されており、主として強化繊維が円周方向に指向している内側層10Aと、主として竿管の長手方向に強化繊維が指向している中間層10Bと、主として強化繊維が円周方向に指向している外側層10Cとを有している。外側表面には緊締テープ跡12が残っている。
【0008】
この竿管素材10の表面の余分な樹脂を除去して竿管重量を可級的に軽量化させると共に、その後の塗装のために表面処理を施し、該表面を微細な凹凸を施した粗面状に形成する。そのため、液体(水や油)に微細な研磨粒子を混入して、この研磨粒子の混入した液体を、例えば2〜6kg/cm2 の圧縮空気によって竿管素材表面に吹き付ける液体ホーニング加工を施す。研磨粒子の材料としてはアルミナ、ガラスビーズ、その他金属やセラミックスを用いることができ、更には天然材を用いてもよい。研磨粒子の大きさは、強化繊維の直径よりも大きいことが樹脂に埋もれている強化繊維を露出させ難く、好ましいが、小さな場合は請求項2のように強化繊維間の樹脂を掘り下げる場合に適する。研磨時間や上記の圧力等は適宜に調節する。また、強化繊維を損傷させない観点から研磨粒子の形状は球状、楕円状等のエッジのない粒子を用いることが好ましい。
【0009】
こうして竿管素材表面を研磨した状態を図2に拡大図示している。竿管外周面の2点鎖線14で示す段状のラインは、芯金にプリプレグを巻き付け、その外側にセロファンテープやポリエステルテープを重合して巻き付け、加熱硬化させた後、上記テープを取り除いた跡の状態であり、研磨前の竿管素材10の表面であり、その表面の樹脂を研磨除去して実線の表面に形成している。この研磨形成した表面の内、A部を更に拡大図示したものが図3であり、この図3では強化繊維16の配列は模式的に示しているが、これによれば最表層列の強化繊維16は樹脂18に埋もれており、更にそれらの強化繊維16の表面は極薄の樹脂被膜によって覆われ、更には樹脂被膜表面20に凹凸が生じている。即ち、液体ホーニング加工によれば、表層列の強化繊維16を後述の図6のようには露出させず、薄い樹脂膜内に埋没させた状態にしつつこの樹脂表面を粗面状に研磨することができる。実験によれば図3に示すように殆どの強化繊維が露出していないが、繊維方向の乱れた強化繊維等の幾分かは夫々の上部表面が露出することはある。然しながら、図6の場合とは明らかにその状態を異にする。
【0010】
図2のB部を拡大図示したものが図4であり、既述のように2点鎖線14の段部は緊締テープの巻回ピッチ跡である。実際の強化繊維16の並び状態はこのように上下にばらつきがある。然しながら、図6の場合と異なり、強化繊維16は殆ど露出せず、それらの表面に樹脂の凹凸状の被膜が覆う程度にまで表面の樹脂を研磨除去できる。この図4は発明の説明のために図3と異なり、請求項2に対応する強化繊維間の樹脂の掘り下げ状態をも示している。即ち、隣接した強化繊維間の樹脂は、当該強化繊維頂部同士を仮想的に結ぶラインよりも掘り下げられた所が多く、それだけ軽量化に寄与しており、また、塗装の際には密着力が向上する。なお、図4の強化繊維16は最表層のもののみ図示しており、他は省略している。
こうして研磨された竿管は表面の余分な樹脂が除去されて軽量でありながら、強化繊維16が樹脂の中に埋もれているため、強化繊維同士の結合は強固なままであるため竿管強度は強い。従って、釣竿の操作性が向上する。
更には、この表面に塗装を施すと、塗膜が凹凸状の粗面樹脂表面20に対して密着性がよく、大きな撓み変形等を繰り返し受けても剥がれ難い。管状体の表面としての平滑化や塗膜の密着力の均一化から、表面の凹凸は、例えていえば鋸切歯のようにエッジを有するものは好ましくなく、数ミクロン以下の滑らかな凹凸が好ましい。
【0011】
これに対して、図5は既述のサンダー研磨による研磨状態を示す図であり(表面の凹凸は図示していない)、最表層の強化繊維16が削られ、このため竿管等として強度が低下する。この場合は強化繊維が円周方向に指向しているため、主として竿管の潰れ強度が低下するが、釣竿の長手方向に指向しておれば、曲げ強度が低下する。
また、図6は既述の特開平6−327380号公報に開示の研磨状態を示す図であり、この場合は最表層の強化繊維16は上側半分程度が露出しており、これは本発明のように樹脂に埋設された状態と比べると強化繊維同士の結合が弱く、その分竿管強度が低下する。また、塗料と樹脂との密着性に比べて塗料と繊維との密着性は劣るため、塗膜の密着力も本発明の方が向上する。
【0012】
竿管本体にエポキシ系樹脂を用いているので、塗料はエポキシ系塗料やウレタン系塗料を用いるのが密着力向上に寄与する。また、管状体表面が微細な凹凸状になるため、その密着面積増大効果等によってゴム系塗料やフッ素粒子混合の塗料を使用しても密着力が向上する。
以上では、管状体表面が円周方向に指向した強化繊維(炭素繊維)を主体としているが、管状体の長手方向に指向した強化繊維を主体とする場合や織布状の強化繊維を表面に配設した場合でも同様である。
【0013】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、大きな撓み変形を受けて大きな曲力や潰れ力が作用する竿管をはじめ、各種の管状体につき、軽量かつ高強度となる表面形態が提供できる。
更に、表面の強化繊維としての炭素繊維周りに薄い樹脂を残しつつ当該炭素繊維間の樹脂を掘り下げれば、更に軽量化が図れ、塗装の際にも管状体表面がより深い凹凸を有するために塗膜との密着力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係る実施例の釣竿要部の部分断面図である。
【図2】 図2は図1の要部の縦断面図である。
【図3】 図3は図2のA部の拡大図である。
【図4】 図4は図2のB部の拡大図である。
【図5】 図5は従来の表面研磨によって形成された状態を示す図である。
【図6】 図6は従来の他の表面研磨によって形成された状態を示す図である。
【符号の説明】
10C 管状体外側層
16 強化繊維
18 樹脂
20 樹脂被膜表面
【産業上の利用分野】
本発明は、エポキシ樹脂を使用したプリプレグによって加熱焼成された管状体に関する。従って、釣竿竿管、ゴルフクラブのシャフト、スキーのストック、テニス等のラケット、自転車のフレームなどに利用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来、樹脂をマトリックスとして強化繊維によって強化された管状体素材の表面を研磨する場合、サンダー研磨やバフ研磨のように研磨粒子を保持した保持体を素材表面に直接に擦り付ける方法が知られている。
この保持体を直接に擦り付ける方法では強化繊維を研削、或いは切断してしまい、管状体素材の樹脂を補強する補強部材としての強化繊維の意義を減殺してしまうため、特開平6−327380号公報では振動によって研磨粒子に流動性を持たせたりブラスト加工によって竿素材の表面を仕上げ、竿素材の表面の強化繊維をその断面の下側半分程度を樹脂の中に埋設させ、上側半分を露出させるようにさせ、樹脂は強化繊維の表面から掘り下げられた状態にすることが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、このように強化繊維間の結合作用を果たしている埋設樹脂を削り取ることは繊維間の結合力を低下させ、延いては竿管の強度を低下させることになり、また、表面の強化繊維といっても、それらの高さ位置は一定というわけではなく、また、繊維径は数ミクロン程度の極細のため、竿管表面の強化繊維の大部分を上記のように露出させるべく表面加工した場合、実際には樹脂層から完全に浮き上がった多量の強化繊維が発生することになる。こうした毛羽立った状態では竿管強度は益々低下する。
また、エポキシ樹脂系やウレタン樹脂系等の塗料との密着性については、表面を研磨露出させた強化繊維との密着性よりも、プリプレグに使用されるエポキシ等の樹脂との密着性の方が優れており、上記公報の開示構造では、必ずしも塗膜の密着力を向上し難い。
【0004】
依って本発明は、大きな撓み変形を受けて大きな曲力や潰れ力が作用する竿管をはじめ、各種の管状体につき、軽量かつ高強度となる表面形態の提供を目的とする。
また、塗膜の密着力の向上する表面形態の提供も目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑みて本発明は、強化繊維としての炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグを焼成して形成した管状体本体に属する表面のエポキシ樹脂を、前記炭素繊維を殆ど露出させないで極薄の被膜状に覆った状態にさせると共に該被膜状樹脂表面を微細な粗面状態に形成した領域を有することを特徴とする管状体を提供する。
領域を有するとは、管状体の表面全体を上記のように形成することが好ましいが、特に強度を要求される領域やその他領域にのみ形成してもよいことを意味する。
また、上記管状体本体の表面近くの炭素繊維間の樹脂を、当該炭素繊維同士の頂部を結ぶラインよりも掘り下げた管状体とする。
【0006】
【作用】
前者では、管状体本体の表面は強化繊維としての炭素繊維が殆ど露出しておらず、エポキシ樹脂に埋もれているため炭素繊維間の結合が強く、管状体本体の強度が高い。また、エポキシ樹脂が表面を覆っているといえども極薄状に覆っている程度であるため、管状体素材の無駄な表面樹脂が殆ど除去され、軽量な管状体本体となる。更には、このように表面を炭素繊維ではなく極薄ではあるが樹脂によって殆ど被覆しているため、この本体の表面に塗装を施す場合に塗膜との密着力が高く、またこの樹脂表面を微細な粗面状態にしているため、更に塗膜との密着力が向上したり、部品接着力が向上する。
後者では、上記作用の他、表面近くの炭素繊維がその周りに薄い樹脂膜を残しつつ当該炭素繊維間の樹脂を掘り下げた表面を有する管状体となるので、炭素繊維間の結合力は維持されたまま更に軽量化が達成される。また塗装の際には、管状体本体の表面が上記微細な粗面に比べて深目の凹凸状になるため、更に塗膜との密着力が向上する。
【0007】
【実施例】
以下、本発明を添付図面に示す実施例に基づき、更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る管状体の一例としての釣竿竿管の加熱成形後の素材10を示す。即ち、炭素繊維の強化繊維束や織布状のものにエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグを芯金に巻回し、その上から緊締用テープで緊締する等して加圧しつつ加熱成形し、緊締テープと芯金を取り外した竿管素材10である。この実施例では竿管素材は3層構造に形成されており、主として強化繊維が円周方向に指向している内側層10Aと、主として竿管の長手方向に強化繊維が指向している中間層10Bと、主として強化繊維が円周方向に指向している外側層10Cとを有している。外側表面には緊締テープ跡12が残っている。
【0008】
この竿管素材10の表面の余分な樹脂を除去して竿管重量を可級的に軽量化させると共に、その後の塗装のために表面処理を施し、該表面を微細な凹凸を施した粗面状に形成する。そのため、液体(水や油)に微細な研磨粒子を混入して、この研磨粒子の混入した液体を、例えば2〜6kg/cm2 の圧縮空気によって竿管素材表面に吹き付ける液体ホーニング加工を施す。研磨粒子の材料としてはアルミナ、ガラスビーズ、その他金属やセラミックスを用いることができ、更には天然材を用いてもよい。研磨粒子の大きさは、強化繊維の直径よりも大きいことが樹脂に埋もれている強化繊維を露出させ難く、好ましいが、小さな場合は請求項2のように強化繊維間の樹脂を掘り下げる場合に適する。研磨時間や上記の圧力等は適宜に調節する。また、強化繊維を損傷させない観点から研磨粒子の形状は球状、楕円状等のエッジのない粒子を用いることが好ましい。
【0009】
こうして竿管素材表面を研磨した状態を図2に拡大図示している。竿管外周面の2点鎖線14で示す段状のラインは、芯金にプリプレグを巻き付け、その外側にセロファンテープやポリエステルテープを重合して巻き付け、加熱硬化させた後、上記テープを取り除いた跡の状態であり、研磨前の竿管素材10の表面であり、その表面の樹脂を研磨除去して実線の表面に形成している。この研磨形成した表面の内、A部を更に拡大図示したものが図3であり、この図3では強化繊維16の配列は模式的に示しているが、これによれば最表層列の強化繊維16は樹脂18に埋もれており、更にそれらの強化繊維16の表面は極薄の樹脂被膜によって覆われ、更には樹脂被膜表面20に凹凸が生じている。即ち、液体ホーニング加工によれば、表層列の強化繊維16を後述の図6のようには露出させず、薄い樹脂膜内に埋没させた状態にしつつこの樹脂表面を粗面状に研磨することができる。実験によれば図3に示すように殆どの強化繊維が露出していないが、繊維方向の乱れた強化繊維等の幾分かは夫々の上部表面が露出することはある。然しながら、図6の場合とは明らかにその状態を異にする。
【0010】
図2のB部を拡大図示したものが図4であり、既述のように2点鎖線14の段部は緊締テープの巻回ピッチ跡である。実際の強化繊維16の並び状態はこのように上下にばらつきがある。然しながら、図6の場合と異なり、強化繊維16は殆ど露出せず、それらの表面に樹脂の凹凸状の被膜が覆う程度にまで表面の樹脂を研磨除去できる。この図4は発明の説明のために図3と異なり、請求項2に対応する強化繊維間の樹脂の掘り下げ状態をも示している。即ち、隣接した強化繊維間の樹脂は、当該強化繊維頂部同士を仮想的に結ぶラインよりも掘り下げられた所が多く、それだけ軽量化に寄与しており、また、塗装の際には密着力が向上する。なお、図4の強化繊維16は最表層のもののみ図示しており、他は省略している。
こうして研磨された竿管は表面の余分な樹脂が除去されて軽量でありながら、強化繊維16が樹脂の中に埋もれているため、強化繊維同士の結合は強固なままであるため竿管強度は強い。従って、釣竿の操作性が向上する。
更には、この表面に塗装を施すと、塗膜が凹凸状の粗面樹脂表面20に対して密着性がよく、大きな撓み変形等を繰り返し受けても剥がれ難い。管状体の表面としての平滑化や塗膜の密着力の均一化から、表面の凹凸は、例えていえば鋸切歯のようにエッジを有するものは好ましくなく、数ミクロン以下の滑らかな凹凸が好ましい。
【0011】
これに対して、図5は既述のサンダー研磨による研磨状態を示す図であり(表面の凹凸は図示していない)、最表層の強化繊維16が削られ、このため竿管等として強度が低下する。この場合は強化繊維が円周方向に指向しているため、主として竿管の潰れ強度が低下するが、釣竿の長手方向に指向しておれば、曲げ強度が低下する。
また、図6は既述の特開平6−327380号公報に開示の研磨状態を示す図であり、この場合は最表層の強化繊維16は上側半分程度が露出しており、これは本発明のように樹脂に埋設された状態と比べると強化繊維同士の結合が弱く、その分竿管強度が低下する。また、塗料と樹脂との密着性に比べて塗料と繊維との密着性は劣るため、塗膜の密着力も本発明の方が向上する。
【0012】
竿管本体にエポキシ系樹脂を用いているので、塗料はエポキシ系塗料やウレタン系塗料を用いるのが密着力向上に寄与する。また、管状体表面が微細な凹凸状になるため、その密着面積増大効果等によってゴム系塗料やフッ素粒子混合の塗料を使用しても密着力が向上する。
以上では、管状体表面が円周方向に指向した強化繊維(炭素繊維)を主体としているが、管状体の長手方向に指向した強化繊維を主体とする場合や織布状の強化繊維を表面に配設した場合でも同様である。
【0013】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、大きな撓み変形を受けて大きな曲力や潰れ力が作用する竿管をはじめ、各種の管状体につき、軽量かつ高強度となる表面形態が提供できる。
更に、表面の強化繊維としての炭素繊維周りに薄い樹脂を残しつつ当該炭素繊維間の樹脂を掘り下げれば、更に軽量化が図れ、塗装の際にも管状体表面がより深い凹凸を有するために塗膜との密着力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係る実施例の釣竿要部の部分断面図である。
【図2】 図2は図1の要部の縦断面図である。
【図3】 図3は図2のA部の拡大図である。
【図4】 図4は図2のB部の拡大図である。
【図5】 図5は従来の表面研磨によって形成された状態を示す図である。
【図6】 図6は従来の他の表面研磨によって形成された状態を示す図である。
【符号の説明】
10C 管状体外側層
16 強化繊維
18 樹脂
20 樹脂被膜表面
Claims (2)
- 強化繊維としての炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグを焼成して形成した管状体本体に属する表面のエポキシ樹脂を、前記炭素繊維を殆ど露出させないで極薄の被膜状に覆った状態にさせると共に該被膜状樹脂表面を微細な粗面状態に形成した領域を有することを特徴とする管状体。
- 管状体本体の表面近くの炭素繊維間の樹脂を、当該炭素繊維同士の頂部を結ぶラインよりも掘り下げていることを特徴とする請求項1記載の管状体。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06866995A JP3841843B2 (ja) | 1995-03-02 | 1995-03-02 | 管状体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP06866995A JP3841843B2 (ja) | 1995-03-02 | 1995-03-02 | 管状体 |
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JPH08238684A JPH08238684A (ja) | 1996-09-17 |
JP3841843B2 true JP3841843B2 (ja) | 2006-11-08 |
Family
ID=13380361
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP06866995A Expired - Fee Related JP3841843B2 (ja) | 1995-03-02 | 1995-03-02 | 管状体 |
Country Status (1)
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JP4547353B2 (ja) * | 1997-11-28 | 2010-09-22 | グローブライド株式会社 | 釣り・スポーツ用品用管状体 |
JP5723533B2 (ja) * | 2010-01-29 | 2015-05-27 | グローブライド株式会社 | 管状体 |
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1995
- 1995-03-02 JP JP06866995A patent/JP3841843B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08238684A (ja) | 1996-09-17 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A912 | Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
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