JP3840518B2 - 気体炭化水素に対する固定化材とその使用及び炭化水素の固形化方法 - Google Patents

気体炭化水素に対する固定化材とその使用及び炭化水素の固形化方法 Download PDF

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本発明は、気体である炭化水素に対する固定化材及びその製造方法、並びに、気体である炭化水素を固形化する方法に関する。詳しくは、カルボン酸リチウムの長繊維状の結晶を用いた、気体である炭化水素に対する固定化材及びその製造方法、並びに、その固定化材を用いて気体である炭化水素を固形化する方法に関する。
石油化学、天然ガス工業の規模が年々拡大され、有機化合物が大量生産、大量消費されるようになったことに伴い、各種化学工場、石油化学コンビナートやタンカーの事故による河川、湖沼、海洋等の汚染、火災、爆発事故など、人類、生物の生存をも脅かす公害や事故が世界的に頻発しており、とりわけ石油化学物質をはじめとする気体状態の炭化水素の安全な取り扱い、輸送、備蓄時の適切な処理が大きな問題となっている。これらの爆発、火災、漏出事故に対する根本的な対策の1つは、各種化学工場、石油化学コンビナートやタンカーで取り扱う、大量の気体状態の炭化水素、それらの混合物を、安全な固形状に変化させ、必要に応じて、元の気体状態に戻すことである。安全で取扱が容易な固形状にすることによって、多くの事故を未然に防ぎ、且つ、巨大で、多くの危険性を有する貯蔵施設、パイプライン、運搬形態、冷凍、保温施設等を、大幅に変更することが可能になるものと思われる。また、化学工場の生産設備等から排出される排気ガス等に含まれる炭化水素、及び、液体である炭化水素から気化した蒸気を選択的に吸着、除去することは、資源の有効利用、大気汚染防止、爆発等の危険防止の観点からも、極めて重要なことである。
このような諸点を考慮すると、各種化学工場、石油化学コンビナートやタンカーで取り扱われている多種多様な気体状態の炭化水素、低沸点液体炭化水素、排ガス中に含まれる炭化水素等を容易に固形化して安全な形態に変化させ、必要に応じて元の炭化水素に戻す方法の開発が望まれる。何らかの化学反応を起こさせ、気体又は液体状態の炭化水素を他の安全な物質に変えてしまうことは、何ら解決にはならず、化学反応を伴う方法は避けなければならない。
このように考えると、物理化学的な手段を用いて、そのままの形で固形化する方法が、最も好ましいと考えられる。
気体である炭化水素に対する固定化材が備えるべき条件としては、i)工場内の反応装置を傷めることなく、容易に気体である炭化水素を固形化することが出来、また、固形化された集合体から、容易に元の炭化水素を回収でき、更に、回収された固定化材のリサイクル使用が可能であること、ii)化学的に比較的安定であること、iii)大量に使用されることが想定されるので、安全かつ無害な物質であり、万一、反応装置外への漏出が発生し回収が困難となっても、それ自体が環境中に棲む生物及び環境に対し悪影響を及ぼす危険が少ないこと、などが挙げられる。
このような物理化学的捕集材としては、短繊維状もしくは長繊維状のカルボン酸ナトリウム及びカルボン酸カリウムが考案されている(例えば、特許文献1参照)。これらの短繊維状もしくは長繊維状のカルボン酸ナトリウム及びカルボン酸カリウムは、極めて優れた気体炭化水素捕集能を有し、多量の炭化水素を安定に捕集することが知られているが、水への溶解度が比較的大きいことから、有効な炭素鎖長や、水溶液中での有効な塩濃度が限定される等のさらなる改良の余地を残していた。また、これらの繊維は、水中に分散した形態では極めて安定にその作用を長期間保持するが、乾燥状態では、繊維状結晶から、板状結晶に、安定形態が変化し、その結果、気体である炭化水素の捕集能が大きく低下する等の場合もあった。
特願2002−273216号公報
したがって本発明は、上記のような条件を満足する気体である炭化水素に対する固定化材を提供することを目的とする。また、本発明は、気体である炭化水素類を物理化学的方法によって効率よく固形化しうる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々の長さのアルキル基を有する脂肪族カルボン酸リチウムの水中における合成、溶解、乳化、分散挙動について検討する過程で、これらのカルボン酸リチウムが高温では、尿素を添加することによって、完全に水に溶解すること、また、必要に応じて、塩化リチウムを添加することによって、その溶解度を調節できること、完全溶解状態から撹拌、徐冷することによって、初めて、カルボン酸リチウムは長繊維状結晶体となって析出すること、このようにして得られた長繊維状結晶は、極めて高純度の結晶として精製、乾燥して、長時間保存できること、更に、このような繊維状集合結晶体が、特に効率よく各種炭化水素を固形化することを見出した。本発明はこの知見に基づき検討を重ね、なされたものである。
すなわち本発明は、
(1)純水中に炭素数9〜18の脂肪族カルボン酸、水酸化リチウム、及び、尿素を溶解させた後、徐冷し、析出した炭素数9〜18のカルボン酸リチウム長繊維結晶からなる、20℃、0.1MPaで気体である炭化水素に対する固定化材。
(2)前記純水中に、さらに塩化リチウムを溶解させたことによって得られる、(1)項記載の固定化材。
(3)純水中に炭素数9〜18の脂肪族カルボン酸ナトリウムもしくはカルボン酸カリウム、及び、尿素を完全に溶解させた後、塩化リチウム水溶液を加え、徐冷し、析出した炭素数9〜18のカルボン酸リチウム長繊維結晶からなる、20℃、0.1MPaで気体である炭化水素に対する固定化材。
(4)長繊維状結晶が乾燥されたものであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の固定化材。
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の固定化材を用いて、20℃、0.1MPaで気体である炭化水素を固形化する、炭化水素の固形化方法。
(6)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の固定化材を用いて、20℃、0.1MPaで気体である炭化水素を固形化し、得られた固形状集合体を加熱して分解し、カルボン酸リチウム結晶及び気体状態の炭化水素に分離して、回収し、再利用する、炭化水素の固形化方法。
を提供するものである。
本発明の固定化材により、工場内の反応装置を傷めることなく、容易に20℃、0.1MPaで気体である炭化水素(以下、単に「気体炭化水素」ともいう)を固形化することができ、また、固形化された集合体から、容易に元の炭化水素を回収でき、更に、回収された固定化材のリサイクル使用が可能である。また、本発明の固定化材は化学的に比較的安定である。また、安全かつ無害な物質であり、万一、反応装置外への流出が発生し回収が困難となっても、それ自体が環境中に棲む生物及び環境に対し悪影響を及ぼす危険が少ない。
さらに、本発明の固定化材は、極めて優れた気体炭化水素捕集能を有し、多量の炭化水素を安定に捕集し、水中に分散した形態では極めて安定にその作用を長期間保持するのに加え、乾燥状態でも、結晶の形態が安定し、炭化水素の高い捕集能を維持することができる。
本発明において、気体炭化水素の固定化材の製造に用いるカルボン酸、カルボン酸ナトリウム、又は、カルボン酸カリウムは、好ましくは直鎖状のアルキル鎖を有する構造の化合物である。カルボン酸、カルボン酸ナトリウム、又は、カルボン酸カリウムの炭素数は、9〜18であり、好ましくは11〜18である。即ち、カルボン酸の場合には水酸化リチウムを加え、カルボン酸ナトリウム、カルボン酸カリウムの場合には塩化リチウムを加え、更に適量の尿素を加え、加熱することによって、純水中に完全に溶解し、撹拌、徐冷することによって結晶として析出することが出来るだけの、適度な長さのアルキル鎖長を有していることが必要である。
通常の加熱手段により上記の各成分は純水に溶解させることができるが、完全溶解のために、必要に応じて、加える塩化リチウムの濃度を著しく濃くしたり、100℃以上に加熱温度を上げたり、尿素濃度を著しく高くすることなどを適宜行うことができる。
本発明において、長繊維状に結晶を析出する際のカルボン酸:水のモル比は、好ましくは0.5:1000〜5:1000、更に好ましくは0.5:1000〜2:1000である。
また、水酸化リチウムはカルボン酸に対し、好ましくは90モル%〜110モル%、さらに好ましくは、95モル%〜105モル%の範囲の濃度である。
尿素の添加量は、用いるカルボン酸の種類によって変化するが、通常、カルボン酸に対して、好ましくは1〜16倍、さらに好ましくは2〜8倍のモル比とするものである。
しかしながら、例えば、ステアリン酸を用いた場合には、8〜16倍のモル比の尿素を加えることが好ましい。
炭素原子数9から11のカルボン酸を用いる場合には、カルボン酸リチウムの水への溶解を抑制し、析出量を増大させるために、更に、塩化リチウムを水中に、カルボン酸に対して0.5から1モルの比率で添加し、溶解させることが好ましい。
また、炭素原子数12のカルボン酸であるドデカン酸(ラウリン酸)を用いる場合には、塩化リチウムは無添加とするか、あるいは0.5モル程度までの量を添加することが好ましい。炭素原子数13以上のカルボン酸を用いる場合には、塩化リチウムは無添加とすることが好ましい。
また、本発明において純水とは、海水ではない水のことを言い、塩分が実質的に含まれない水が好ましい。
長繊維状にカルボン酸リチウムを析出させるには、析出させる前に、カルボン酸を一旦完全に水に溶解させることが必要である。しかし、例えば、ラウリン酸リチウムC1123COOLiを析出させる場合、そのままではウラリン酸は溶解させることが非常に困難である。少量のラウリン酸(例えば、水1000モルに対し、ウラリン酸1モル)を加えることによってようやく水温98〜100℃の熱湯に溶解するが、等モルの水酸化リチウムのみを加えた水溶液では、徐冷後、燐片状、板状、或いは棒状の結晶のみが析出する。ラウリン酸とLiOH/HOのモル比をわずかに変化させ、更に2モル程度の尿素を加えることによって、長繊維状の結晶が水中に大量に析出する。このようにして得られた結晶が確かにLi塩であることは、例えば通常のフーリエ変換赤外分光法(FTIR)により確認することができる。同様にして、CからC18までの各種カルボン酸の場合にも、カルボン酸、水酸化ナトリウム、水、尿素添加量を調節することによって、長鎖状リチウム塩を水中で作ることが可能である。
本発明において、「徐冷」とは、通常の冷却方法により、加熱された状態から室温までゆっくりと温度を下げることを言い、好ましくは1時間当たり、5〜50℃冷却するものである。
また、本発明に用いられる長繊維状の結晶の1本の太さは好ましくは5μm以下、長さは好ましくは100〜2000μm、より好ましくは500〜2000μmである。また、1本の長繊維状の結晶は、更に細い多数の繊維状の結晶より構成されている。
また、撹拌は、それぞれ従来用いられている方法のいずれかを適宜選択して行うことができる。
本発明の固定化材製造の一つの実施態様は、以下の1)の通りである。
1)純水中にカルボン酸および尿素を溶解、懸濁して加熱、攪拌しながら、カルボン酸に対しておよそ等モル量の水酸化リチウムをゆっくりと滴下する。アルキル鎖長の短いカルボン酸の場合には、更に、塩化リチウムを加える。滴下完了後、攪拌を続けながら、室温までゆっくりと温度を下げる。更に、必要に応じて、室温で攪拌を続け、また、攪拌を停止して、室温で長時間静置する。高純度の結晶は、炭素原子数16までのカルボン酸リチウムの場合には一般に、その結晶形態に関わらず、反応容器内に存在する水全体に一様に分散する形で得られる。長繊維状の結晶が得られる場合には、総ての水を抱え込んで、全体が白色のゲル状を呈することもある。また、炭素原子数17以上のカルボン酸リチウムの場合にも、大半の水に分散する形で、水の上部に一様に析出する。
得られた結晶は、吸引ロートで濾過し、更に純水で洗浄して、水に溶解している尿素、場合によっては塩化リチウム、および、微量に残存している可能性のあるカルボン酸、水酸化リチウムを、完全に除去する。必要に応じて、更に、新たな純水中に懸濁、攪拌し、吸引濾過、洗浄を繰り返す。最後に真空乾燥を行い、固定化材を得る。
本発明の固定化材製造の別の実施態様は、以下の2)の通りである。
2)純水中にカルボン酸ナトリウムもしくはカルボン酸カリウムおよび尿素を溶解、懸濁して加熱、攪拌しながら、カルボン酸ナトリウムもしくはカルボン酸カリウムに対して過剰量の塩化リチウムを添加する。攪拌を続けながら、室温までゆっくりと温度を下げる。更に、必要に応じて、室温で攪拌を続け、また、攪拌を停止して、室温で長時間静置する。高純度の結晶は、一般に、その結晶形態に関わらず、反応容器内に存在する水全体に一様に分散する形で得られる。長繊維状の結晶が得られる場合には、総ての水を抱え込んで、全体が白色のゲル状を呈することもある。以下、得られた結晶を上記1)と同様に処理して固定化材を得る。
本発明に係るカルボン酸リチウム長繊維は、カルボン酸ナトリウム長繊維に比べ疎水性が大きいものとなる。また、析出された長繊維状の結晶は安定なもので、水から取り出して乾燥させても、長繊維構造を保っている。
本発明の固定化材は、気体炭化水素を導入して緩やかに振蕩するだけで、選択的に気化炭化水素を吸着する。カルボン酸リチウム長繊維に対して気化炭化水素の割合が過剰でない範囲では、水の存在下で実質的に気化炭化水素を全て吸着し、水上に浮遊する。気体炭化水素を吸着した後の複合体は、気体炭化水素の割合が小さいときには微粒子状複合体として、気体炭化水素の質量比がカルボン酸リチウム長繊維の数倍に達してからは、全体として球状の塊、ないし、丸みをおびた繊維塊として水上に浮遊する。これは容易に水中からすくい上げることができる。
本発明の固定化材が固形化しうる、20℃、0.1MPaで気体の炭化水素としては、例えば、n−ブタン、イソブタン、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、1,3−ブタジエン、プロパン、プロピレンなどが挙げられる。
また、本発明の固定化材は、化学工場の生産設備等から排出される排気ガス等に含まれた状態、或いは、液体である炭化水素から気化した状態であっても、特別な処理すること無しに炭化水素もそのまま固形化することができる。
また、本発明で、気体炭化水素の吸着、固形化を助けるために液体状態の炭化水素を若干添加してよい。用いられる液体状態の炭化水素としては、例えば、n−ペンタンからn−ヘキサデカンまでの、20℃、0.1MPaで液体の全てのn−パラフィン、分岐状パラフィン、オレフィン、シクロヘキサンなどの脂環式パラフィン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、軽油、灯油、流動パラフィンなどの混合炭化水素が挙げられるが、固形化後の取り扱い、分解、回収のし易さなどを考慮すれば、不安定なオレフィン、混合炭化水素を敢えて用いる必要はなく、比較的単純で安定な構造の、パラフィン系炭化水素、脂環式パラフィン、芳香族炭化水素を用いればよい。
固形化しようとする気体炭化水素の種類にもよるが、気体炭化水素単独の場合には、通常、本発明の固定化材1質量部に対し約1〜100質量部の気体炭化水素を吸着させることができる。また、液体状態の炭化水素を併用する場合には、通常、本発明の固定化材1質量部に対し、約5〜50質量部の気体炭化水素を吸着させることができるが、固形化された気体炭化水素は気体炭化水素単独の場合に比べ遥かに安定になる。
本発明の固定化材に気体炭化水素を吸着し、固形化させるには、好ましくは1分以上、気体炭化水素と固定化材を接触させればよく、緩やかに振蕩するのがさらに好ましい。
気体炭化水素のみを固形化した後の固形状集合体は、一般に、固形状集合体の蒸気圧が、大気圧よりもわずかに高いので、密閉容器に保存することが好ましい。従って、元の気体炭化水素を得るためには、常温で、大気圧下に開放し、通常の方法で気体炭化水素を回収すればよい。
気体炭化水素と液体状態の炭化水素を一緒に固形化した後の固形状集合体は、一般に、固形状集合体の蒸気圧が大気圧より低いので、密閉容器に保存することは必ずしも必要でないが、より確実に安全を確保するためには、やはり、簡易な密閉容器に保存することが好ましい。従って、この場合には、元の気体炭化水素を得るためには、約40〜60℃程度に加熱して、気体炭化水素を大気圧下に開放し、通常の方法で回収すればよい。
一方、上記の作業により、炭化水素から分離され、回収されたカルボン酸リチウム結晶(長繊維)は、気体である炭化水素に対する固定化材として使用しうるカルボン酸リチウム長繊維を製造するのに用いることができ、繰り返し使用することができる。
ラウリン酸(n-ドデカン酸、n-C11H23COOH)8.01g(0.04モル)、尿素((NH2)2CO)9.61g(0.16モル)、純水330gを、容量500mlのパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに入れ、オイルバスで加熱し(バス温度116℃、フラスコ内の水溶液の温度95℃)、ステンレス製撹拌羽根を用いて250rpmで撹拌しながら、水酸化リチウム1水和物(LiOH・H2O)1.68g(0.04モル)を30gの純水に溶かした水溶液をゆっくりとおよそ30分かけて滴下した。滴下終了後の純水の量は360g(20モル)になる。水酸化リチウムの滴下と共に、ラウリン酸は水に完全に溶解し、泡が大量に発生し、水溶液は無色透明に変化した。この間、液温は次第に上昇し、100℃に達し、一定となった。100℃に保ったまま更に撹拌を継続し、熟成を行った。この時点でラウリン酸リチウムが定量的に合成され、完全に水に溶解しているものと思われる。泡の発生量は次第に減少したが、無色透明の水溶液の状態は何等変化しなかった。2時間後ヒーターの電源を切り、撹拌速度を6rpmにして、ゆっくりと室温まで冷却した。冷却開始後30分、83℃になったところで結晶の析出が始まり、80℃で、ほぼ全量が析出した。長繊維状に結晶が互いに絡み合って、反応容器中の水全体を抱え込み、全体が均一の白色ゲル状を呈した。図1は、得られた長繊維状の結晶の光学顕微鏡写真を示す。長繊維は、単一の結晶ではなく、極めて細い短繊維が集合して、長く連なった構造をしていた。吸引濾過によって長繊維状の結晶と水溶液は用意に分離できた。結晶を更に純水で洗浄し、濾液を分離して、微量の残存ラウリン酸、水酸化リチウム、尿素を分離、除去し、真空乾燥を行って、固定化材を作成した。このように真空乾燥を行った後も、数ヶ月以上に渡って、この固定化材は、室温で安定に保たれることを確認した。元素分析の結果、約97.6%がカルボン酸リチウムであり、及び、残りの2.4%は尿素であることを確認した。また、赤外分光測定により、原料物質であるラウリン酸が残存していないことも確かめられた。
この固定化材100mgと18gの純水が入った、内容量60mlの耐圧ガラス容器を−30℃に冷却した。その容器にガスボンベからn−ブテン300mgを加え、密栓後、室温に戻し、軽く振とうしたところ、直ちにn−ブテンの固形化が確認された。
n−ブテンに代えて、n−ブタン、1,3−ブタジエン、トランス−2−ブテン、プロピレン、又は、プロパンを用いた以外は、実施例1と同様に固形化を行ったところ、気体であるそれぞれの炭化水素が固形化されたことが確認された。
本発明の固形化材に含まれる長繊維状の結晶の一例の顕微鏡写真である。

Claims (6)

  1. 純水中に炭素数9〜18の脂肪族カルボン酸、水酸化リチウム、及び、尿素を溶解させた後、徐冷し、析出した炭素数9〜18のカルボン酸リチウム長繊維結晶からなる、20℃、0.1MPaで気体である炭化水素に対する固定化材。
  2. 前記純水中に、さらに塩化リチウムを溶解させたことによって得られる、請求項1記載の固定化材。
  3. 純水中に炭素数9〜18の脂肪族カルボン酸ナトリウムもしくはカルボン酸カリウム、及び、尿素を完全に溶解させた後、塩化リチウム水溶液を加え、徐冷し、析出した炭素数9〜18のカルボン酸リチウム長繊維結晶からなる、20℃、0.1MPaで気体である炭化水素に対する固定化材。
  4. 長繊維状結晶が乾燥されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固定化材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の固定化材を用いて、20℃、0.1MPaで気体である炭化水素を固形化する、炭化水素の固形化方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の固定化材を用いて、20℃、0.1MPaで気体である炭化水素を固形化し、得られた固形状集合体を加熱して分解し、カルボン酸リチウム結晶及び気体状態の炭化水素に分離して、回収し、再利用する、炭化水素の固形化方法。
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