JP3840422B2 - 塩素分を含む廃棄物の水洗処理方法 - Google Patents

塩素分を含む廃棄物の水洗処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩素バイパスダスト等の水溶性塩素分を多く含む廃棄物から、水抽出によって水溶性塩素分を除去するための廃棄物の水洗処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴミ焼却設備等から排出される煤塵等の廃棄物をセメント原料として用いる技術が実用化されている。その際、廃棄物に含まれている塩素分は、セメントの品質を低下させるため、セメント原料化過程の中で除去する必要がある。
このような塩素分の除去の技術としては、廃棄物と水とを混合して、廃棄物中の塩素分を水中に溶出させる技術が知られている。例えば、特開平11−100243号公報には、塩素を含む廃棄物に水を添加して、廃棄物中の塩素を溶出させ、これを濾過し、得られた脱塩ケークをセメント原料に使用することを特徴とするセメント化処理方法が、記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報の技術は、撹拌槽の中に廃棄物(処理対象物)及び水を投入し、混合するものである。このように撹拌槽を用いる場合には、一般に、好適な撹拌作用を確保するために、水の投入量(重量)を処理対象物の重量よりも大きくすることが必要である。上記公報中の実施例においても、水の投入量(重量)は、処理対象物の重量の約1.3倍としている。
しかし、廃棄物と共に混合される水の量が多いと、廃棄物と水とを撹拌処理し更に固液分離した後の濾液(排水)中に含まれる塩素分濃度が小さくなるため、この塩素分を晶析法で回収する際に必要なエネルギー量が大きくなり、コストが増大するとともに、塩素分の回収工程中に設置される設備が大型化する等の欠点がある。また、水の量が多いと、廃棄物と水とを撹拌処理する際の全体の液量が大きくなるため、撹拌槽は、比較的容量の大きなものでなければならない。
したがって、本発明の目的は、廃棄物を水洗処理した後の濾液中の塩素分濃度を高めることができ、晶析法による塩素分の回収工程において、必要とされるエネルギー量を削減したり、設備を小型化することができるとともに、比較的小型の装置を用いて廃棄物を効率的に水洗処理して塩素分を除去することのできる廃棄物の処理方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、廃棄物に含まれる塩素分を水中に溶出させる操作を行なうに際し、混練機を用いれば、水の使用量が少ないため、水洗処理後の濾液に含まれる塩素分濃度が高くなり、晶析法によって塩素分を回収する際に必要なエネルギー量が少なくてすみ、かつ、塩素分の回収工程中に設置される設備を小型化することができること、及び、水の使用量が少ないため、混練物(混合物)全体の容積が減少し、比較的小型の装置で処理することができることに想到し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本願請求項1に記載の塩素分を含む廃棄物の水洗処理方法は、塩素分(具体的には、水中で塩化物イオンとなる水溶性の塩素分)を含む廃棄物(例えば、塩素分を多く含む塩素バイパスダスト)と、スラリー化用水(例えば、重金属の溶出を促進するためにカルシウムイオンを含む水溶液)とを混練機(例えば、水平軸を有するスクリュー式の連続混練機)内で混合し、スラリーとするスラリー化工程(A)と、上記スラリーを濾過装置等によって固液分離する固液分離工程(B)と、該固液分離工程(B)で得られた固形分(ケーキ)を再度、混練機(例えば、上記スラリー化工程(A)で用いる混練機と同様に構成された連続混練機)内で再スラリー化用水(具体的には、上記スラリー化工程で用いるスラリー化用水よりも塩素分濃度の低い水)と混合し、スラリーとする再スラリー化工程(C)と、該再スラリー化工程(C)で得られたスラリーを固液分離し、得られた固形分を洗浄用水(好ましくは、塩素分等の不純物をほとんど含まない水)で洗浄する洗浄工程(D)と、上記スラリー化工程(A)で得られる濾液の一部を、当該濾液中の塩素分を回収するために晶析法によって処理する塩化物回収工程(E)とを含む塩素分を含む廃棄物の水洗処理方法であって、上記スラリー化工程(A)における上記スラリー化用水の量が、上記廃棄物100重量部当たり30〜40重量部であり、上記固液分離工程(B)で得られた濾液の少なくとも一部を、上記スラリー化工程(A)のスラリー化用水として使用し、上記再スラリー化工程(C)における上記再スラリー化用水の量が、上記固液分離工程(B)で得られる固形分(濾別されたケーキ)100重量部当たり30〜40重量部であり、上記洗浄工程(D)で得られた洗浄後の洗浄濾液の少なくとも一部を、上記スラリー化工程(A)のスラリー化用水及び上記再スラリー化工程(C)の再スラリー化用水として使用し、上記塩化物回収工程(E)で発生する蒸留水を、上記洗浄工程(D)の洗浄用水として使用することを特徴とする。
このように混練機を用いることによって、処理対象物である廃棄物に対する水の使用量が少なくなり、混練物(スラリー)を濾過した後の濾液中の塩素分濃度を高めることができるので、晶析法による塩素分の回収工程において必要なエネルギー量を削減することができるとともに、塩素分の回収工程中に設置される設備の小型化を図ることができる。また、水の使用量が少なくなることから、廃棄物とスラリー化用水とからなるスラリーの量が少なくなり、廃棄物から塩素分を溶出させる装置(混練機)の小型化を図ることができる。
【0006】
また、スラリー化工程(A)におけるスラリー化用水の量を、廃棄物100重量部当たり30〜40重量部の範囲内に調整しているので、廃棄物からの塩素分の除去を十分に行ない、かつ、廃棄物とスラリー化用水とを均一な状態になるように良好に混練することができる。
【0007】
また、固液分離工程(B)で得られた濾液の少なくとも一部を、上記スラリー化工程(A)のスラリー化用水として使用することによって、スラリー化用水中の塩素分濃度をより一層高めて、塩素分回収工程における更なる省エネルギーや設備の小型化を図ることができる。
【0008】
また、再スラリー化工程(C)と洗浄工程(D)を含むことによって、廃棄物からの塩素分の除去率をより一層高めることができる。
【0009】
また、再スラリー化工程(C)における再スラリー化用水の量を、固液分離工程(B)で得られる固形分100重量部当たり30〜40重量部の範囲内に調整しているので、固液分離工程(B)から供給されたケーキ(固形分)からの塩素分の除去を十分に行なことができるとともに、混練機のハンドリング性を低下させることなく、ケーキとスラリー化用水とを均一な状態となるように良好に混練することができる。
【0010】
また、洗浄工程(D)で得られた洗浄後の洗浄濾液の少なくとも一部を、スラリー化工程(A)のスラリー化用水及び再スラリー化工程(C)の再スラリー化用水として使用することによって、塩素分を含む洗浄濾液を外部(系外)に排出させることなく、本発明の方法の工程中で利用することができる。
【0011】
また、塩化物回収工程(E)を含むことによって、廃棄物中の塩素分を塩化ナトリウム等として回収し利用することができる。また、塩化物回収工程(E)で発生する蒸留水を、洗浄工程(D)の洗浄用水として使用することによって、新たに外部(系外)から供給する水の量を削減することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の水洗処理方法の対象となる廃棄物は、水溶性の塩素分(塩化物イオン)を含む廃棄物である。中でも、水溶性の塩素分を高含有率(例えば、10重量%以上)で含む廃棄物は、本発明の方法を適用する対象として好適である。
水溶性の塩素分を高含有率で含む廃棄物としては、例えば、塩素バイパスダスト、溶融飛灰、焼却飛灰、セメントキルンから排出される煤塵等が挙げられる。ここで、塩素バイパスダストとは、セメント焼成工程の燃焼ガス中に高濃度で含まれる塩素分を抜き出すための塩素バイパス技術において、キルンから抽気してサイクロンに送られた高温の排ガスから粗粉ダストを除去した後のガス分を冷却することによって析出する微粉ダストをいう。なお、この塩素バイパス技術によれば、キルンの排ガスの2%程度を抽気することによって、塩素分の約80%を燃焼系から除去することができる。なお、塩素バイパスダストの主な成分は、カルシウム23重量%、カリウム30重量%、硫黄10重量%、塩素20重量%(ただし、塩素を除き、酸化物換算の数値である。)であり、重金属としては、鉛を33,500mg/kg(3.35重量%)の高い含有割合で含む。
【0013】
以下、本発明の廃棄物の洗浄方法を工程毎に分けて説明する。
本発明の廃棄物の水洗処理方法は、塩素分を含む廃棄物と、スラリー化用水とを混練機内で混合し、スラリーとするスラリー化工程(A)と、スラリー化工程(A)で得られたスラリーを固液分離する固液分離工程(B)と、固液分離工程(B)で得られた固形分(ケーキ)を再度、混練機内で再スラリー化用水と混合し、スラリーとする再スラリー化工程(C)と、再スラリー化工程(C)で得られたスラリーを固液分離し、得られた固形分(ケーキ)を洗浄用水で洗浄する洗浄工程(D)と、スラリー化工程(A)で得られた濾液の一部を、当該濾液中の塩素分を回収するために晶析法によって処理する塩化物回収工程(E)を含むものである。
【0014】
[スラリー化工程(A)]
本発明の方法の処理対象物である廃棄物は、混練機を用いて比較的少量のスラリー化用水と共に混練される。
ここで、スラリー化用水の量は、廃棄物100重量部当たり、好ましくは20〜60重量部、より好ましくは25〜50重量部、特に好ましくは30〜40重量部である。該量が20重量部未満であると、廃棄物の水洗処理が不十分になり、廃棄物に含まれる塩素分の除去率が低くなるだけでなく、次工程の固液分離工程(B)において固液分離を良好に行なうことが困難になるおそれがある。該量が60重量部を超えると、スラリーがほぼ液体状になり、混練機におけるハンドリング性が低下するおそれがある。
【0015】
混練機としては、廃棄物とスラリー化用水とを均一に混練することのできるものであればよく、連続式と回分式のいずれの種類であっても用いることができる。
連続式の混練機は、処理能力(単位時間当たりの処理量の大きさ)に優れる点、及び、設備を小型化することができる点で、好ましく用いられる。
連続式の混練機としては、例えば、スクリュー型ニーダー、セルフクリーニング式2軸ニーダー等の固定容器型の混練機や、湿式混練ミル等の回転容器型の混練機が挙げられる。
特に、連続式で固定容器型の混練機を用いた場合には、処理対象物である廃棄物を投入する投入口を一端に設け、スラリーの排出口を他端に設け、これら投入口と排出口の間の適宜の位置にスラリー化用水の投入口や塩素分の溶出を促進するための薬剤(例えば、塩化カルシウム水溶液)の投入口を設けることができるので、高い処理能力を有して効率的に混練することができる。
【0016】
[固液分離工程(B)]
スラリー化工程(A)で得られたスラリーは、濾過装置等の固液分離手段によって、濾液とケーキ(固形分)とに固液分離される。
固液分離手段は、回分式でも連続式でもよいが、処理能力(単位時間当たりの処理量の大きさ)に優れる点、及び、設備を小型化することができる点で、連続式のもの(特に、真空連続式の濾過装置)が好ましい。例えば、ドラムフィルターやスクリュープレス等の濾過装置は、水分含有量の少ないスラリーであっても良好な濾過作用を示すので、好ましく用いられる。
【0017】
固液分離工程(B)で得られた濾液は、一部が、スラリー化工程(A)のスラリー化用水として用いるために、スラリー化工程(A)に返送され、残部が、濾液中の塩素分(塩化物イオン)を塩化ナトリウム等として回収するために、塩化物回収工程(E)に送られる。
なお、スラリー化工程(A)に返送される濾液の量と、塩化物回収工程(E)に送られる濾液の量の比率は、流量調整弁等を用いて適宜調整される。こうして流量を調整されたスラリー化工程(A)に返送される濾液(高濃度の塩素分を含む。)は、洗浄工程(D)からの洗浄濾液(低濃度の塩素分を含む。)と適宜の比率で混合された後、スラリー化用水として用いられる。
【0018】
スラリー化工程(A)に返送される濾液は、廃棄物に含まれていた塩素分が溶出しているため、高濃度の塩素分を含んでいる。そして、固液分離工程(B)の濾液をスラリー化工程(A)のスラリー化用水として繰り返し循環させて用いることによって、スラリー化工程(A)を通過する毎に廃棄物から溶出する塩素分を液中に蓄積し、当該濾液中の塩素分の濃度を次第に高めていくことができる。そのため、塩化物回収工程(E)に送られる濾液中の塩素分の濃度が高くなり、晶析法によって塩化物を回収する工程の中で必要なエネルギー量が少なくなるので、低コストで塩化物を回収することができる。また、当該濾液中の塩素分の濃度が高くなることによって、塩化物回収工程(E)で用いられる設備の小型化を図ることができる。
【0019】
[再スラリー化工程(C)]
固液分離工程(B)で得られたケーキは、スラリー化工程(A)の混練機と同様に構成された混練機に供給されて、再スラリー化用水と共に混練され、スラリーにされる。
再スラリー化用水の量は、固液分離工程(B)で得られた固形分(ケーキ)100重量部当たり、好ましくは20〜60重量部、より好ましくは25〜50重量部、特に好ましくは30〜40重量部である。該量が20重量部未満であると、ケーキの水洗処理が不十分になり、ケーキに含まれる塩素分の除去率が低くなるおそれがあるだけでなく、次工程の固液分離工程(D)において固液分離を良好に行なうことが困難になるおそれがある。該量が60重量部を超えると、スラリーがほぼ液体状になり、混練機におけるハンドリング性が低下するおそれがある。
【0020】
[洗浄工程(D)]
再スラリー化工程(C)で得られたスラリーは、濾過装置等の固液分離手段によって、濾液とケーキ(固形分)とに固液分離される。固液分離後、ケーキは、散水器等の洗浄手段を用いて、塩素分をほとんど含まない洗浄水で洗浄される。固液分離手段及び洗浄手段としては、一体的に構成されたものを用いると好都合である。例えば、スラリーを濾過してケーキと濾液を得るための真空ドラムフィルターと、真空ドラムフィルター内に残ったケーキに向けて洗浄水を散布するための散水器とを有する濾過・洗浄兼用装置を挙げることができる。この場合、洗浄水を散布して含水率の高くなったケーキは、再度、真空ドラムフィルターを回転させて脱水することができる。
なお、洗浄工程(D)は、固液分離手段と洗浄手段とを直列的に分けて配置し、固液分離と洗浄とを別の位置で行なうようにしても差し支えない。
【0021】
洗浄水の量は、ケーキ(固形分)の重量の2倍程度であることが好ましい。
洗浄水で洗浄された後のケーキは、塩素分が十分に除去されており、かつ、カルシウム分を多く含むことから、セメントキルン内にセメント原料として投入することができる。
洗浄工程(D)で得られた洗浄後の洗浄濾液は、固液分離工程(B)で得られる濾液と比べて低濃度の塩素分を含むものであり、スラリー化工程(A)のスラリー化用水及び再スラリー化工程(C)の再スラリー化用水として用いられる。なお、スラリー化工程(A)のスラリー化用水は、固液分離工程(B)で得られる濾液の一部と、洗浄工程(D)で得られる洗浄濾液の一部と、必要に応じて添加される塩化カルシウム水溶液等の薬剤とが混合されてなるものであり、塩化物回収工程(E)における省エネルギー等の観点から、所定の濃度以上の塩素分濃度になるように調整される。一方、再スラリー化工程(C)の再スラリー化用水は、既にスラリー化工程(A)で塩素分がある程度除去されているケーキから更に塩素分を除去することを目的とするため、固液分離工程(B)で得られる濾液を合流させることなく、低濃度の塩素分を含む洗浄工程(D)の洗浄濾液のみが用いられる。
【0022】
[塩化物回収工程(E)]
固液分離工程(B)で得られた濾液の一部は、鉛回収工程及びカルシウム回収工程を経た後、塩化物回収工程(E)に送られる。
ここで、鉛回収工程は、スラリー化工程(A)で薬剤(例えば、塩化カルシウム水溶液)の添加によって液中に多く溶出した鉛を回収するための工程である。液中の鉛は、水硫化ソーダ等の硫化剤を添加して硫化鉛として沈澱させ、回収することができる。
また、カルシウム回収工程は、廃棄物及びスラリー化工程(A)で供給される薬剤(例えば、塩化カルシウム)に由来するカルシウム分を、炭酸ガスの吹き込み等によって炭酸カルシウムとして沈澱させ、回収するための工程である。
【0023】
塩化物回収工程(E)は、濾液中の塩素分を塩化物として回収する工程である。塩化物回収工程(E)において、濾液を減圧条件下で加熱し、液分を蒸発させて、濃縮した後、濾液の液温を変化させると、結晶析出温度の差異に基づいて、各種の塩化物を分別して析出させることができる。例えば、塩化ナトリウムと塩化カリウムを分別して回収するには、まず、濾液の温度を50℃以上にして、塩化ナトリウムを析出させて、これを濾別し回収した後、濾液の温度を30℃以下に冷却して、塩化カリウムを析出させて、これを濾別し回収すればよい。つまり、高温晶析工程によって塩化ナトリウムを回収した後、低温晶析工程によって塩化カリウムを回収するという手順を行なえばよい。
塩化物回収工程で発生する蒸留水は、塩素分等の不純物を含まないため、洗浄工程(D)の洗浄用水として好適に使用することができる。
【0024】
次に、図面に基づいて、本発明の方法の一例を説明する。図1は、本発明の塩素分を含む廃棄物の水洗処理方法の一例を示すフロー図である。
廃棄物は、まず、混練機1の一端に設けられた投入口から混練機1内に投入される。混練機1は、廃棄物の投入口の他に、ドラムフィルター2で得られる濾液等を供給するための濾液供給口と、系外から新たに薬剤(例えば、塩化カルシウム(CaCl2)水溶液)を供給するための薬剤供給口と、混練後のスラリーを排出するために廃棄物の投入口とは反対側の他端に設けられた排出口とを有している。また、混練機1内の空洞部分には、水平軸を有するスクリューが取り付けられており、このスクリューを回転させることによって、廃棄物とスラリー化用水とを混練し、スラリーとするようになっている。混練機1は、連続式のものであるため、廃棄物を所定の速度で連続的に供給し、効率的にスラリー化を行なうことができる。
【0025】
混練機1から排出されたスラリーは、導管を経由して、ドラムフィルター2の一端に設けられた投入口からドラムフィルター2内に供給される。ドラムフィルター2のフィルターは、水平方向に延びる略円筒形の形状を有しており、軸線(水平方向に延びる中心線)を中心にして回転し、かつ、フィルターの外部を減圧することによって、ドラムフィルター2内のスラリーをケーキ(固形分)と液分に固液分離するようになっている。
【0026】
ドラムフィルター2で得られたケーキは、混練機3に送られ、混練機3の一端に設けられたケーキの投入口から混練機3内に投入される。混練機3は、ケーキ投入口の他に、ドラムフィルター4で得られる洗浄濾液を再スラリー化用水として供給するための洗浄濾液供給口と、混練後のスラリーを排出するためにケーキ投入口とは反対側の他端に設けられた排出口とを有している。なお、混練機3は、薬剤供給口を有しない点を除き、混練機1と同様に構成されている。
【0027】
混練機3による混練によって得られたスラリーは、導管を通って、ドラムフィルター4の一端に設けられた投入口からドラムフィルター4内に供給される。ドラムフィルター4は、上述のドラムフィルター2と同様に構成されている。ただし、ドラムフィルター4の円筒形状のフィルターの上方には、散水器5が設けられており、ドラムフィルター4内で濾別されたケーキ(固形分)に対して、洗浄水を散布することのできるように構成されている。
【0028】
散水器5から散布される洗浄水は、塩化物回収装置11で発生する蒸留水と、系外から新たに供給される水(例えば、蒸留水)とを混合したものであり、ドラムフィルター4内のケーキに含まれている塩素分をほぼ完全に除去するために用いられる。
ドラムフィルター4内の固液分離及び洗浄によって得られるケーキ(固形分)は、塩素分が除去されているので、セメントキルンに送り、セメント原料として用いることができる。
一方、ドラムフィルター4内の固液分離及び洗浄によって得られる濾液は、導管を通って流量調整弁6に達した後、分岐して、一部が、混練機1にスラリー化用水として供給され、残部が、混練機3に再スラリー化用水として供給される。流量調整弁6は、混練機1に供給する濾液の量と、混練機3に供給する濾液の量の比率を調整するためのものである。
【0029】
ドラムフィルター2で得られた濾液は、一旦、濾液タンク7内に貯留された後、流量を調整した上で導管中に排出される。その後、濾液は、流量調整弁8にて、混練機1に送られる濾液の液量と、鉛回収装置9に送られる濾液の液量の比率を調整された上で、分岐して、混練機1と鉛回収装置9の各々に導管を通って導かれる。
鉛回収装置9に導かれた濾液は、鉛を除去された後、更に、カルシウム分を除去するためのカルシウム回収装置10を経て、塩化物回収装置11に送られる。塩化物回収装置11では、濾液中の塩化物(例えば、塩化ナトリウムや塩化カリウム)が除去され、回収される。また、塩化物回収装置11で蒸発した液分を凝結させて得られる蒸留水は、導管を通って散水器5に導かれ、ドラムフィルター4内のケーキの洗浄水として用いられる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実験例を説明する。
[実験例]
処理対象物の廃棄物として、塩素バイパスダスト(CaO:23%、Na2O:2.0%、K2O:25%、Cl:20%、Pb:3.5%)を用いた。この塩素バイパスダストを対象にして、図1に示す水洗処理システムを用いて、塩素分等を除去する処理を行なった。
まず、連続混練機1(水平軸を有するスクリュー型ニーダー)内に塩素バイパスダストを投入するとともに、塩素バイパスダスト100重量部当たり35重量部のスラリー化用水を供給し、これら塩素バイパスダストとスラリー化用水を混練した。
【0031】
この際、塩素バイパスダストが連続混練機1内に投入されてからスラリーとして排出されるまでの滞留時間は、15分であった。また、スラリー化用水としては、濾液タンク7からの濾液と、ドラムフィルター4からの濾液を、重量比で1:3の比率で混合したものを用いた。なお、スラリー化用水は、特に液温を上昇させず、常温のものを用いた。
【0032】
次に、連続混練機1で得られたスラリーをドラムフィルター(連続式の真空ドラムフィルター)2に供給し、濾過による固液分離を行ない、ケーキと濾液を得た。
得られた濾液の一部は、濾液タンク7及び流量調整弁8を経由し、連続混練機1のスラリー化用水として繰り返し循環して用いるようにした。濾液の残部は、鉛回収装置9及びカルシウム回収装置10を経由して、塩化物回収工程11に導き、塩化ナトリウム及び塩化カリウムを回収するとともに、塩化物回収工程11で生じた蒸留水を散水器5に導いた。
ドラムフィルター2で得られたケーキは、混練機3に導き、ケーキ100重量部(乾燥重量)当たり35重量部の再スラリー化用水を供給し、これらケーキと再スラリー化用水とを混練した。
この際、ドラムフィルター2から供給されたケーキが連続混練機3内に投入されてからスラリーとして排出されるまでの滞留時間は、15分であった。また、再スラリー化用水は、ドラムフィルター4で得られた洗浄濾液を導管で導いたものであり、特に液温を上昇させず、常温のものを用いた。
【0033】
次いで、連続混練機3で得られたスラリーを、ドラムフィルター(連続式の真空ドラムフィルター)4に供給し、濾過による固液分離を行ない、ケーキと濾液を得た。その後、ドラムフィルター4の上方から洗浄水を散布して、ドラムフィルター内のケーキを洗浄し、洗浄済みケーキを得た。
この際、洗浄水の量は、ケーキ100重量部(乾燥重量)当たり200重量部程度になるように調整した。なお、洗浄水としては、塩化物回収装置11における晶析法で発生した蒸留水と、系外から新たに供給される水を重量比で3:7の割合で混合したものを用いた。
ドラムフィルター4の洗浄濾液(すなわち、ケーキに由来する液分と、洗浄後の洗浄水とからなるもの)は、混練機1のスラリー化用水及び混練機3の再スラリー化用水として用いた。
【0034】
以上の処理工程において、ドラムフィルター2からの濾液と、混練機1に供給されるスラリー化用水と、混練機3に供給される再スラリー化用水と、ドラムフィルター4からの洗浄濾液と、ドラムフィルター4から回収される水洗済みケーキの各々について、塩化物イオン濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003840422
【0036】
表1から、スラリー化用水及び洗浄濾液中の塩化物イオン濃度が目標値の範囲内であるため、濾液中の塩化物イオン濃度が、目標値である13重量%以上となっており、本発明の目的の一つである高塩素濃度化を達成している。
また、水洗済みケーキの塩化物イオン濃度(0.8重量%)から算出される処理対象物(塩素バイパスダスト)の塩素除去率は、97.0重量%であり、極めて高い値が得られた。このことから、本発明の方法で得られる水洗済みケーキがセメント原料として好適に使用し得ることがわかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の水洗処理方法によれば、撹拌槽(混合槽)で水洗する場合と比べて水(スラリー化用水)の使用量が少なくてすむ混練機を用いているので、塩素バイパスダスト等の廃棄物を水洗処理した後の濾液中の塩素分濃度を高めることができ、晶析法による塩素分の回収工程において、必要とされるエネルギー量を削減したり、塩素分回収設備を小型化することができる。また、混練機は、撹拌槽(混合槽)等と比べて小型であるので、廃棄物の処理工場内において使用可能な空間が小さい場合等であっても、設置が可能であるなど、小型化に伴う利点を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塩素分を含む廃棄物の水洗処理方法の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1,3 混練機
2,4 ドラムフィルター
5 散水器
6 流量調整弁
7 濾液タンク
8 流量調整弁
9 鉛回収装置
10 カルシウム回収装置
11 塩化物回収装置

Claims (1)

  1. 塩素分を含む廃棄物と、スラリー化用水とを混練機内で混合し、スラリーとするスラリー化工程(A)と、
    上記スラリーを固液分離する固液分離工程(B)と、
    上記固液分離工程(B)で得られた固形分を再度、混練機内で再スラリー化用水と混合し、スラリーとする再スラリー化工程(C)と、
    上記再スラリー化工程(C)で得られたスラリーを固液分離し、得られた固形分を洗浄用水で洗浄する洗浄工程(D)と、
    上記スラリー化工程(A)で得られる濾液の一部を、当該濾液中の塩素分を回収するために晶析法によって処理する塩化物回収工程(E)とを含む塩素分を含む廃棄物の水洗処理方法であって、
    上記スラリー化工程(A)における上記スラリー化用水の量が、上記廃棄物100重量部当たり30〜40重量部であり、
    上記固液分離工程(B)で得られた濾液の少なくとも一部を、上記スラリー化工程(A)のスラリー化用水として使用し、
    上記再スラリー化工程(C)における上記再スラリー化用水の量が、上記固液分離工程(B)で得られる固形分100重量部当たり30〜40重量部であり、
    上記洗浄工程(D)で得られた洗浄後の洗浄濾液の少なくとも一部を、上記スラリー化工程(A)のスラリー化用水及び上記再スラリー化工程(C)の再スラリー化用水として使用し、
    上記塩化物回収工程(E)で発生する蒸留水を、上記洗浄工程(D)の洗浄用水として使用することを特徴とする塩素分を含む廃棄物の水洗処理方法。
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