JP3840169B2 - 気液分離装置およびこれを備えた空気調和機 - Google Patents

気液分離装置およびこれを備えた空気調和機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共通の通路を介して排出される排気用空気等の気体とドレン水等の液体とを屋外側で分離する気液分離装置及びこれを備えた空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来技術として、ドレンパンの一側端面に隣接して排気ダクトが形成され、この排気ダクトの一側面に開口が形成され、室内空気を吸込んで室内に循環する室内送風ファンによる風の流れの一部を、排気ダクトの開口部に導き、この開口部に導いた風を排気ダクトを通して室外へ排出させるようにした空気調和機が知られている(特許文献1参照)。また、この特許文献1には、ドレンパンと排気ダクトの隣接部分に穴が開いており、ドレン水は、この穴から排気ダクトを通り、室外へ排出される構造となっている。
【0003】
【特許文献1】
実公平7-37072号公報(請求項、図1参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の空気調和機は、室内の空気を室外に放出する排気と、室内機で発生したドレン水とを一本のパイプで室内壁を貫通させて屋外に排出しているが、換気効率を良好にするためには排気流路をできるだけ短く設定する必要がある一方、ドレン水はできるだけ下方に導いて屋外に排水するのが望ましいが、上記特許文献1には、このような排気とドレン水とを分離する技術は開示されておらず、両者を貫通穴の近傍で分離できる構造の気液分離装置の出現が望まれていた。
【0005】
また、このような気液分離装置を空気調和機に組み込んだ場合、分離型空気調和機には、室内機と室外機との間で冷媒を循環させる配管類が室内壁の貫通穴を通ることになるが、この配管類と気液分離装置のドレンホース等は屋外側で並列して配設されるのが望ましい。しかし、室外機の設置場所によって配管方向も変わるので、気液分離装置のドレンホースの設置方向もこれに追随できる態様が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、排気用空気等の気体とドレン水等の液体とを共通の通路の屋外側の出口近傍で分離でき、この際、何らかの理由で共通の通路が満水状態となっても、排気用出口からの漏水を防止し得る気液分離装置の提供を目的としている。
【0007】
また、本発明の別の目的は、気液分離装置を空気調和機に組み込んだ場合に屋外側冷媒配管等の配管類に追随して並設することができ、その際の据え付け工事性を良好にし得、ドレン水の逆流を防止できる気液分離装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明においては、排気用出口を共通の通路の通路断面よりも上方に形成して、液体用出口の閉塞やドレン水の逆流など、何らかの理由により、共通の通路の断面の全域にドレン水が流れたとしても、排気用出口からの漏水を防止できるようにしたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、共通の通路を介して排出される排気用空気等の気体とドレン水等の液体とを屋外側で分離する気液分離装置であって、前記共通の通路の屋外側出口近傍に前記ドレン水等の液体と排気とを分離させて夫々の出口から排出する分配ボックスが接続され、該分配ボックスの排気用出口が前記共通の通路の通路断面よりも上側に位置するように形成されたことを特徴とする気液分離装置を提供するものである。
【0010】
上記構成によると、排気用出口を共通の通路の通路断面よりも上方に形成しているので、共通の通路断面の全域にドレン水が流れたとしても排気用出口からの漏水を極力防止することができる。
【0011】
排気用出口の形成する態様としては、分配ボックスに排気用出口を有する排気ダクトを接続する態様が例示できる。このような排気ダクトを採用した場合、排気ダクトが分配ボックスの本体に対して着脱自在に取り付けられた構成を採用すれば、排気用出口の目詰まりが生じた場合でもダクト内部を清掃することが可能となる。また、排気ダクトを据え付け現場の態様に合わせて取替え可能にできるので、種々の形状の排気ダクトを採用することができる。
【0012】
また、本発明は、共通の通路を介して排出される排気用空気等の気体とドレン水等の液体とを屋外側で分離する気液分離装置であって、前記共通の通路の屋外側出口近傍に前記ドレン水等の液体と排気とを分離させて夫々の出口から排出する分配ボックスが接続され、該分配ボックスの液体用出口が共通の通路の通路延長方向に形成され、該液体用出口に連通して略L字状の液体排出流路をなすエルボ管が前記液体用出口に回転自在に接続されたことを特徴とする気液分離装置も提供するものである。
【0013】
上記気液分離装置は、単独でも使用できるが、この気液分離装置を空気調和機に搭載した場合、エルボ管が回転自在に接続されているので、エルボ管を垂直姿勢(垂直引き)のみならず、水平姿勢(左右横引き)もできるようになり、冷媒配管等の他の配管類と共に並列させ、室外側でも見栄えのよい施工が可能となる。
【0014】
この際、エルボ管は、共通の通路の通路延長方向に形成された液体用出口に回転自在に接続されているので、エルボ管を軸受するボックス本体の外観形状も円筒状の単純な形状とすることができる。そのため、エルボ管に隣接して冷媒配管等の他の配管類を並列させる場合でも、他の配管類をエルボ管に可及的に近付けて整列させることができる。
【0015】
ここで、エルボ管は、液体の排出方向で上流側に位置してボックス本体の液体用出口に回転自在に接続される本体接続管部と、液体の排出方向で下流側に位置する下流側接続管部とから構成し、該下流側接続管部に延長用のドレンホースを接続することができる。
【0016】
また、エルボ管の回転範囲を規制する規制手段が設けられ、該規制手段は、エルボ管の下流側接続管部の出口が少なくとも水平位置より下方側に位置する範囲で回動するように設定した構成が好ましい。これにより、エルボ管が水平位置よりも上方に位置するのを防止できるので、エルボ管に流入した液体が逆流するのを防止できる。
【0017】
さらに、本発明においては、エルボ管の下流側接続管部の略水平姿勢で、その上方に冷媒配管等の他の配管類を通過させる通過空間を形成すれば、エルボ管に接続されるドレンホースと他の配管類とをコンパクトに整列させることができる。特に、分配ボックスの本体に排気用出口を有する排気ダクトを取り付ける場合、エルボ管の略水平姿勢で、該エルボ管とその上方に位置する排気ダクトとの間に他の配管類を通過させる通過空間を形成すれば、ドレンホースを左右横引きした際に、ドレンホースと他の配管類とを同時にテープ巻きするときの整列性が良好になる。
【0018】
また、ドレンホースと他の配管類とをテープ巻きして整列させる場合、テープにより、あるいは他の配管類により、排気用出口が閉塞されるおそれもある。しかし、排気ダクトの上下面及び端面に排気用出口を形成すれば、いずれかの排気用出口がテープなどにより閉塞されるのを回避することができ、良好な気液分離が可能となる。
【0019】
【発明の実施形態】
以下、本発明に係る気液分離装置を空気調和機に搭載した実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態である空気調和機の室内機において、前面パネルを取り外して主要部品を示す分解斜視図である。図1において、1は室内機、2は背面パネル、3は室内熱交換器、4は室内ファン、5は前面パネルや背面パネルに形成される吸込口、6は室内機1の下面に形成される吹出口、7はドレンパン、8は換気用排気ファン、9は合流ボックスである。
【0020】
室内機1は、図示しない前面パネルと背面パネルとからユニットケースが構成され、室内の壁面に取付板(図示略)により取り付けられる。このユニットケース内には、室内空気を前面パネルや背面パネル上面の吸込口5から吸い込み、かつ吹出口6から吹き出すための室内ファン4と、室内空気と室外ユニット(図示略)から供給された冷媒との間で熱交換を行う室内熱交換器3と、室内熱交換器3に発生するドレン水を受け止めるドレンパン7とを備えている。
【0021】
室内ファン4はクロスフローファンであり、室内熱交換器3の背面側に配置され、吸込口5から吸込んだ空気を室内熱交換器3を流れる冷媒との間で熱交換し、その空気を室内機下方の吹出口6から吹出すようにしている。
【0022】
冷房運転時や除湿運転時に室内熱交換器3で発生するドレン水を受け止めるドレンパン7は、室内熱交換器3の下方に室内ファン4の回転軸の軸方向に長く形成され、その一側に配置された排気路10の合流ボックス9に連通接続されている。
【0023】
図2は図1の室内ファンの一側の排気路に設けられた気液排出装置とその下流側に接続された気液分離装置とを背面側からみた斜視図、図3は同じく気液排出装置の側面断面図、図4は同じく気液排出装置の背面断面図である。図2ないし図4において、9は合流ボックス、10は排気路、11は排気ファンを覆うファンケース、12は合流ボックス内の仕切壁、13はドレンパン側の貯水部、14は排気路側の排気部、15は合流ボックスの排気・排水兼用の出口、16は仕切壁に設けられた逆止弁、17は共用ホースである。
【0024】
図2ないし図4に示すように、室内ファン4の回転軸の軸方向一側には、室内機1の前面側から吸込んだ、汚れた室内空気等の気体とドレン水等の液体を共通の通路を介して排出する気液排出装置32が設けられている。この気液排出装置32は、室内の汚れた空気を室外に排出する排気路10に、室内空気を室内機前面側から背面側に導く換気用排気ファン8と、ドレンパン7からのドレン水等の液体を排気路10に合流させる機能を有する合流ボックス9と、該合流ボックス9の出口15側に接続され、室内壁33に形成された貫通穴34を貫通可能な径を有する排気・排水兼用の共用ホース17とが設けられている。
【0025】
換気用排気ファン8は、図2〜図4に示すように、空気調和機の室内ファン4とは別に設けられた専用のファンであって、円筒状のファンケース11に覆われて合流ボックス9の上方に配置され、室内機1の前面から吸込んだ空気を合流ボックス9のファンケース11の入口から換気用排気ファン8により排気部14に導き、排気部14からボックス出口15に排出するものである。
【0026】
共用ホース17は、図2に示すように、排気用空気等の気体とドレン水等の液体の両方を排出する共通の通路となる蛇腹状ホースなどの管から構成されており、一側端が筒状のボックス出口15に外嵌接続され、他側端が室内壁33の貫通穴34を通り屋外側出口の近傍で気液分離装置35に接続されている。この共用ホース17は断熱材(図示略)で覆い、低温のドレン水が流れてもダクト表面の結露を防止できるようにしてもよい。
【0027】
合流ボックス9は、図4に示すように、排気ファンで吸込んだ室内空気を共用出口に導く排気部14と、ドレンパン7からのドレン水を貯水する貯水部13とを備え、貯水部13と排気部14とを仕切る仕切壁12の下部にドレン水を排気部14側に合流させるための開口部20が形成され、この開口部20の排気部14側に、気体が液体側に逆流するのを防止する逆流防止手段としての逆止弁16が配設されている。
【0028】
貯水部13は、図4に示すように、逆止弁16を強制的に開閉する第1のフロート24が配置されている。この第1のフロート24は、一端がボックス本体に軸支され、他端に前記逆止弁16を左右方向に回動させる突起部24bが形成されている。突起部24bの先端は、逆止弁16の閉弁状態では、逆止弁16と接触するか、または僅かに間隔をおいた状態に設定され、第1のフロート24の上昇と共に、逆止弁16に接圧してこれを開弁方向に回動させるようにしている。
【0029】
また、貯水部13には、第1のフロート24の上方位置に第2のフロート25が軸25a周りに回動自在に軸支されている。この第2のフロート25は、貯水部13の水位が異常に上昇したときに、運転を停止するための水位検出手段30の一部を構成しており、第2のフロート25の上方には第2のフロートの上動を検知するマイクロスイッチやリードスイッチなどの近接スイッチ、あるいは光センサなどの水位検出センサ31が設けられ、異常水位を検出できるようになっている。
【0030】
逆止弁16は、合成樹脂、ゴム、又は金属などの各種素材で略笠型状に形成することができ、この逆止弁16に、その排気側に風圧を受けるための受圧部26が設けられ、排気運転時に確実に閉弁するように設定されている。受圧部26は、図3及び図4に示すように、逆止弁16を形設している平坦な面の受圧側壁27と、排気路10に沿った鈍角状の三面からなる側壁28とから略L字状に形成されてなり、受圧側壁27は、その上端が仕切壁12に回転自在に軸支されている。
【0031】
上記構成において、空気調和機が冷房もしくは除湿運転すると、室内熱交換器3からドレン水がドレンパン7に流れ込み、合流ボックス9のドレン水の貯水部13に流れ込む。ドレン水の貯水部13に流れ込んだドレン水が溜まり、その水位が上昇すると、併せて貯水部13のフロート24も上昇するが、フロート24は、その上昇によって支点24aを軸に上方に回動し、フロート24の先端部の突起部24bが逆止弁16を押圧する。
【0032】
フロート24の突起部24bの押圧により、逆止弁16は、受圧側壁27の軸27aを支点とし、開口部20と反対方向に回動し、開口部20と逆止弁16との間に隙間が発生し、その隙間から貯水部13に溜まったドレン水が排気部14側に流れる。つまり、貯水部13に溜まったドレン水の水位により、フロートが受ける力が逆止弁16の自重に打ち勝つ時点で、ドレン水は逆止弁16を押し開き、排気部14、出口15、共用ホース17の順に通って室外側に排出される。
【0033】
また、冷房停止かつ排気運転時においては、換気用排気ファン8によって押し出された室内の空気は、合流ボックス9の排気部14、出口15、排気・排水兼用の共用ホース17の順に通って室外に排出される。このとき、逆止弁16は、換気用排気ファン8からの風圧が受圧側壁28の周壁に加わり、これと一体に形成されている側壁27が開口部20方向に押圧され、開口部20が逆止弁16で閉塞されるので、排気がドレン水貯水部13に流れ込むことは無く、室内へ逆流することは無い。
【0034】
さらに、冷房運転かつ排気運転時においては、排気は前記排気のみ運転時と同様の流れによって室外に排出される。一方、ドレン水は合流ボックス9のドレン水貯水部13に流れ込んだ後、貯水部13に溜まったドレン水による水圧、及び上昇するフロート24による逆止弁16への押圧力と、排気による風圧とが逆止弁16に加わる力関係で逆止弁16の開閉動作が決定され、ドレン水によるフロート24への水圧が打ち勝った時点で、ドレン水は逆止弁16を押し開き、開口部20との隙間から排気部14側に流れ、排気とともに排気部14、出口15、共用ホース17の順に通って室外に排出される。
【0035】
貯水部13の水位が換気用排気ファン8の能力に相当する深さとなり、貯水部13の水位が一定以上になると、フロート24も上昇してフロート24の突起部24bが逆止弁16を押圧し、開口部20が開口されてドレン水が貯水部13より流出する。
【0036】
貯水部13に貯水するドレン水の水位が異常上昇した場合、第2のフロート25の上昇により水位検出センサ31で一定水位を検出したときに、異常信号を制御部に送り、圧縮機などの運転を停止するので、ドレン水が逆流して漏水するなどのおそれがなく、安全で快適な空気調和機を提供することができる。
【0037】
次に、共用ホース17の端末側に接続される気液分離装置35について説明する。図5は図2の気液分離装置のうち排気ダクトを取り外した状態を屋外側からみた分解斜視図、図6は同じく分配ボックスを屋外側からみた図、図7は分配ボックスの縦断面図である。
【0038】
図8はエルボ管を水平姿勢にした状態を屋外側からみた斜視図、図9は同じくその分解斜視図、図10は同じく分配ボックスのエルボ管水平姿勢における側面図、図11は図10のA−A断面図、図12は分配ボックスを屋内側からみた図、図13は図10のB−B断面図、図14はドレンホースの水平横引き状態における配管類の整列状態を示す断面図である。
【0039】
共用ホース17は、図2に示すように、建物の屋内と屋外を仕切る室内壁33に貫通された貫通穴34を貫通する蛇腹状のホース等から構成され、その貫通穴出口近傍にドレン水と排気とを分離させて夫々の出口36,37から排出する分配ボックス38が接続されている。
【0040】
分配ボックス38は、図5ないし図7に示すように、円筒状のボックス本体39と、その本体の屋外側端面の下部に取り付けられたエルボ管40と、ボックス本体39の屋外側端面に取り付けられた排気ダクト41と、ボックス本体39の屋内側に取り付けられた共用ホースの接続筒43とを備えている。
【0041】
ボックス本体39は、図7に示すように、略円筒状に形成された合成樹脂製のものであって、その屋外側端面の下半分に断面円形の液体用出口37が形成され、その内方にエルボ管40の本体側接続部40aを回転自在に支承する円筒状の軸受筒44が形成され、この軸受筒44の出口側にシール用Oリング45を嵌着可能な大径口部44aが形成され、前記エルボ管40の本体側接続部40aが軸受筒44に回転自在に嵌着されると共にOリング45によりシールされるようになっている。
【0042】
また、ボックス本体39の屋外側端部の周面のうち上半分から上方に向かってシェル状の排気ダクト取付部46が一体形成され、該取付部46の排気ダクト側連通口47は、ボックス本体39の屋外側端面の上半分をも含む大径口になっている。
【0043】
排気ダクト41は、その基端側が前記ボックス本体側の取付部46の連通口47に合わせた形状の大径基部41aと、これに連続して屋外側に突出する水平管部41bとから構成され、大径基部41aがボックス本体側の連通口47の中央ボス部48に螺子49止めされる。
【0044】
また、水平管部41bの端面及び上下面に夫々排気用出口36が形成され、エルボ管40の水平姿勢でその先端に取り付けられるドレンホース51と冷媒配管等の他の配管類52とを共にテープ53巻きして整列させる際、前記排気用出口36の端面及び上下面のうち、少なくとも1面の出口が開放されるようになっている。また、排気用出口36は、共用ホース17を接続するボックス本体39の流路断面よりも上方に位置しており、ドレン水の逆流など、何らかの理由により、ボックス本体39の流路断面の全域をドレン水が流れたとしても排気用出口36からドレン水が漏水するのを防止できるようになっている。
【0045】
また、排気用出口36には、塵埃がボックス本体内に侵入するのを防止する塵埃侵入防止手段の一つとして、格子状のフィルタ部54が一体形成されている。また、排気ダクト41の水平管部41bは、その底面が水平姿勢を保っているため、フィルタ部45から侵入した塵埃が底面に溜まり、ボックス本体39側に流れるのを阻止する役目も担っている。なお、図7に示すように、排気用出口36からボックス本体39側に塵埃が侵入した場合でもドレン水等の液体流路の目詰まりを防止するため、ボックス本体39内の軸受筒44の内端が排気ダクト41の取付部46の下方位置まで延設されている。
【0046】
また、排気ダクト41の水平管部41bをボックス本体39の気液流路の断面よりも上側に配置したことにより、水平管部41bとその下側のエルボ管40との間には、エルボ管40の水平姿勢で、冷媒配管や配線などの他の配管類52の少なくとも1本を通す配管類通過空間55が形成される。この配管類通過空間55においては、図14に示すように、エルボ管40に接続されるドレンホース51とその上下の配管類52とで形成される断面が略三角形状をなし、これらをまとめてテープ53巻きして整列できるようになっている。
【0047】
エルボ管40は、図7に示すように、ドレン水等の液体用出口37に連通して略L字状の液体排出流路をなす合成樹脂製のものであって、液体の排出方向で上流側に位置してボックス本体39の液体用出口37に回転自在に接続される本体接続管部40aと、液体の排出方向で下流側に位置してドレンホースを接続可能とする下流側接続管部40bとから構成される。すなわち、エルボ管40は、室内機と室外機との間で冷媒を循環させる配管等の他の配管類52の引き出し方向に合わせて回転可能とされ、前記配管類52と共にドレンホース51を屋外側で並列できるようになっている。
【0048】
本体接続管部40aには、図7に示すように、その外周部にフランジ57が形成されると共にOリング45が嵌着され、該Oリング45を前記フランジ57と液体用出口の大径口部44aとの間で挟圧することにより、エルボ管40と液体用出口37との間の隙間をシールするようにしている。
【0049】
また、エルボ管40の回転範囲を規制する2つの規制手段62、63が設けられている。第1の規制手段62は、図6に示すように、エルボ管40の下流側接続管部40bの出口が少なくとも水平位置より下方側に位置する範囲の略180度で回動するように設定されている。この第1の規制手段62は、分配ボックス38の外側において、ボックス本体39の液体用出口37の大径口部44aよりも外側に形成された一対のストッパ62aと、該ストッパにより当接して規制されるようエルボ管40のフランジ57に形成された凸部62bとから構成される。
【0050】
第2の規制手段63は、図12および図13に示すように、分配ボックス38の内側において、エルボ管40の本体接続管部40aの周上の複数箇所に間隔をおいて形成された係合溝穴63aと、該溝穴63aに係合するようボックス本体39の液体用出口37を形成する軸受筒44から内方に向けて突出された係合爪63bとから構成される。この係合爪63bと溝穴63aとは、本来、エルボ管40の本体接続管部40aの管方向での抜け止め防止用のものであるが、これらは前記規制手段63と抜け止め防止手段とを兼ねるようにしている。溝穴63aは、エルボ管の周上の3箇所に形成され、前記係合爪63bが溝穴63aに係止可能とされ、エルボ管40を前記回動範囲のうち左右の水平位置と中央の垂直位置の3箇所で停止できるようにしている。
【0051】
ホース接続筒43は、図7に示すように、シリコンゴムなどのゴム状弾性体によって略筒状に形成され、ボックス本体39の他端側挿入口に外嵌固定されている。この接続筒43の内周面には、前記共用ホース17となる蛇腹状ホースの外周凹溝17a(図2参照)に係合するホース抜け止めリブ64が一体的に形成され、また、接続筒43の外周面には、内嵌した共用ホース17をボックス本体39に固定するためのバンドを巻き付け可能とされている。
【0052】
なお、図示しないが、接続筒43とボックス本体39の挿入口とは、接続筒43を構成するゴム状弾性体の弾性によりシールされるが、より確実にシールするためにシール剤を塗布するようにしてもよい。また、ボックス本体39の内面に、分配ボックス38の管接続部に共用ホース17の端末方向への移動を規制して、共用ホース17による排気ダクトの閉塞を防止するストッパを設けてもよい。
【0053】
次に、気液分離装置35の取付方法について説明すると、空気調和機の据え付け工事の際、室内機側から共用ホース17を冷媒配管等の他の配管類52と共に室内壁33の貫通穴34を通し、その端末に気液分離装置35の分配ボックス38を接続する。この際、ホース17を室内壁33の貫通穴34から屋外側に引き出して、ボックス本体39の接続筒43に挿入後、外側からバンドなどで固定すると共に、接続筒43の内側リブ64が共用ホース17の凹溝17aに係合することにより、共用ホース17を分配ボックス38から抜け出し不能に接続することができる。
【0054】
次に、分配ボックス38のボックス本体39に接続されたエルボ管40の下流側接続管部40bにドレンホース51を接続する。この際、貫通穴34を通して屋外に導き出される他の配管類52は、室外機の設置場所に応じて屋外壁壁面に沿って設置される。そこで、ドレンホース51が配管類52に追随して並列するように、エルボ管40を上流側本体接続管部40aの周りに回動させ、配管類52に隣接して配置することができる。
【0055】
エルボ管40の回転範囲は、分配ボックス38の外側のストッパ62aと、該エルボ管40の凸部62bとにより、また、分配ボックス38の内側のエルボ管40の溝穴63aと軸受筒44の係合爪63bとにより、下流側接続管部40bの回転が水平位置よりも下側の180度の範囲に規制されるので、下流側接続管部40bの出口が上向きになってドレン水が溢れてボックス本体39の排気用出口36から流出するのを防止することができる。
【0056】
また、エルボ管40を水平姿勢にして横引き状態とした場合、排気ダクト41とエルボ管40との間に配管類52を通過可能な通過空間55があるため、図14に示すように、エルボ管40と排気ダクト41との間に、例えば、循環用冷媒配管のうち往路側の配管類52を通し、エルボ管40の下側に復路側の配管類52を通して、これら配管類52とエルボ管40に接続されるドレンホース51とを共にテープ53巻きして束ねる場合、往路と復路の配管類52が隣接する括れ部分にドレンホース51を嵌め込んで、三者で断面略三角形状に形成することができるため、テープ巻きが容易で、かつテープ巻きにより延長管51および配管類52の位置が変わることがなくなる。そのため、例えば、ドレンホース51がエルボ管40よりも上側に移動して、ドレン水が逆流するなどの不具合が解消でき、排気ダクト41の排出用出口36などからの漏水を防止することができる。
【0057】
また、図14に示すように、排気ダクト41の水平管部41bの長さが他の配管類52の口径よりも大きく屋外側に突出するように形成され、その端面及び上下面に夫々排気用出口36が形成されているので、ドレンホース51と冷媒配管等の配管類52とを共に横引きしてテープ53巻きして整列させる際、テープ巻きによって排気用出口36が閉塞されるのを防止できる。
【0058】
上記のように据え付けられた気液分離装置35においては、図2に示すように、気液排出装置32の共用出口15を通って共用ホース17に流れてきたドレン水と排気が、室外の分配ボックス38側に排出される。分配ボックス38においては、室内機の換気用排気ファン8の圧力により、排気は屋外出口近傍の共用ホース17の管方向延長上にある分配ボックス38において、流路断面よりも上側に位置する排気用出口36から排気される。また、ドレン水は、ボックス本体39からエルボ管40を経てドレンホース51を通り、自然落下して下方に流出することになる。従って、排気流路は短くなって換気効率が良好になり、また、ドレン水はできるだけ下方に導いて屋外に排水することができる。
【0059】
この際、共用ホース17および分配ボックス38で、何らかの理由により、流路断面全域に渡ってドレン水が排出されるようになっても、排気ダクト41の排気用出口36が流路断面よりも上側に位置しているので、排気用出口36から漏水するのを極力防止することができる。なお、何らかの理由により、分配ボックス38の流路断面全域に渡ってドレン水が排出される場合、一定水位になったときに、空気調和機や気液分離装置に設置した水位センサ(図示略)によって、その水位を検知して、運転停止などを行う制御を付加する構成も採用することができる。
【0060】
図15は別形状の排気ダクトに取り替えた状態を示す気液分離装置の斜視図、図16は同じくその側面図、図17は同じくその中央縦断面図である。図5〜図14に示す排気ダクト41は、その水平管部41bを水平方向に長く形成し、その先端に格子状フィルタ54が形成されたものを例示したが、気液分離装置35の据え付け現場の状況により、このような排気ダクト41に代わり、図15〜図17に示す別形状の排気ダクト66を使用してもよい。この排気ダクト66は、ボックス本体39側の取付部46に取り付けられる大径基部66aと、これに連続して水平方向に延びる水平管部66bとを備えているが、水平管部66bを図5〜図14に示す排気ダクト41よりも短く形成し、かつ水平管部66bの先端の排気用出口36が管方向に大きく開口したものである。
【0061】
このような水平管部66bの短い排気ダクト66を使用した場合、気液分離装置35と他の配管類52とを同一の外装カバー(図示略)に容易に収納することができ、外観上の見栄えをよくすることができる。また、排気ダクト66の排気用出口36にはフィルタ54が付設されていないが、外装カバーによって排気用出口36が覆われ、排気用出口36からの塵埃の侵入も防止できる。
【0062】
このように、排気用ダクトをボックス本体39に対して着脱自在に構成すれば、据え付け現場の状況に応じて、種々の形状の排気ダクトに取替えることができる。また、排気ダクト41、66をボックス本体39に対して着脱自在に構成しているので、排気用出口36等からボックス本体39に侵入した塵埃等の除去も容易に行えることになる。
【0063】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で修正・変更を加えることができるのは勿論である。例えば、上記実施形態では、気液分離装置を空気調和機に搭載した例を示したが、これに限らず、単独で又は他の機器に搭載する態様であってもよい。また、上記実施形態では、分配ボックスの排気用出口に設けた塵埃侵入防止手段として、格子状のフィルタを例示したが、この出口に不織布などで構成された目の細かいフィルタやあるいは出口上方を覆うカバーを設けた構成を採用してもよい。
【0064】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によると、共通の通路から屋外側の出たところで排気とドレン水等の液体とを分離させる分配ボックスを設け、ドレン側は排水に適した位置まで伸ばして排水でき、また、排気は屋外に出たところで出口を形成し、ドレンホースの長さに関係なく排気できるので、換気効率の良い空気放出が可能となる。
【0065】
この際、排気用出口は、共通の通路の流路断面よりも上側に位置しているため、何らかの理由により流路断面全域にドレン水が流れたとしても、排気用出口からの漏水を防止することができる。
【0066】
また、本発明によると、ドレンホースを接続できるエルボ管を分配ボックスに回転自在に軸受させて、ドレンホースを垂直引きのみならず、横引きもできるようにし、さらに、ドレンホースと排気ダクトとの間に冷媒配管や配線などの他の配管類を収容可能な通過空間を形成しているので、ドレンホースを左右横引きした際、ドレンホースとこれら他の配管類とを同時にテープ巻きするときの整列性を良好にし得、これに伴いドレン水の逆流も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である空気調和機の室内機において前面パネルを取り外して主要部品を示す分解斜視図
【図2】図1の気液排出装置および気液分離装置を背面側からみた斜視図
【図3】図1の気液排出装置の側面断面図
【図4】同じく気液排出装置の背面断面図
【図5】図2の気液分離装置のうち排気ダクトを取り外した状態を屋外側からみた分解斜視図
【図6】同じく分配ボックスを屋外側からみた図
【図7】分配ボックスの縦断面図
【図8】エルボ管を水平姿勢にした状態を屋外側からみた斜視図
【図9】同じくその分解斜視図
【図10】同じく分配ボックスのエルボ管水平姿勢における側面図
【図11】図10のA−A断面図
【図12】分配ボックスを屋内側からみた図
【図13】図10のB−B断面図
【図14】ドレンホースの水平横引き状態における配管類の整列状態を示す断面図
【図15】分配ボックスの他の実施形態を示す斜視図
【図16】同じくその側面図
【図17】同じくその中央縦断面図
【符号の説明】
1 室内機
2 背面パネル
3 室内熱交換器
4 室内ファン
5 吸込口
6 吹出口
7 ドレンパン
8 換気用排気ファン
9 合流ボックス
17 共用ホース(共通の通路)
33 室内壁
34 貫通穴
35 気液分離装置
36 排気用出口
37 液体用出口
38 分配ボックス
39 ボックス本体
40 エルボ管
41 排気ダクト
43 接続筒
44 軸受筒
46 取付部
54 フィルタ(塵埃侵入防止手段)
55 配管類通過空間
62,63 規制手段
66 排気ダクト

Claims (11)

  1. 共通の通路を介して排出される排気用空気等の気体とドレン水等の液体とを屋外側で分離する気液分離装置であって、
    前記共通の通路の屋外側出口近傍に前記ドレン水等の液体と排気とを分離させて夫々の出口から排出する分配ボックスが接続され、該分配ボックスの排気用出口が前記共通の通路の通路断面よりも上側に位置するように形成されたことを特徴とする気液分離装置。
  2. 前記分配ボックスに、前記排気用出口を有する排気ダクトが接続されたことを特徴とする請求項1に記載の気液分離装置。
  3. 前記排気ダクトが分配ボックスの本体に対して着脱自在に取り付けられたことを特徴とする請求項2に記載の気液分離装置。
  4. 前記排気ダクトを据え付け現場の態様に合わせて取替え可能とされたことを特徴とする請求項3に記載の気液分離装置。
  5. 共通の通路を介して排出される排気用空気等の気体とドレン水等の液体とを屋外側で分離する気液分離装置であって、
    前記共通の通路の屋外側出口近傍に前記ドレン水等の液体と排気とを分離させて夫々の出口から排出する分配ボックスが接続され、該分配ボックスの液体用出口が共通の通路の通路延長方向に形成され、該液体用出口に連通して略L字状の液体排出流路をなすエルボ管が前記液体用出口に回転自在に接続されたことを特徴とする気液分離装置。
  6. 前記エルボ管は、液体の排出方向で上流側に位置してボックス本体の液体用出口に回転自在に接続される本体接続管部と、液体の排出方向で下流側に位置する下流側接続管部とから構成され、該下流側接続管部にドレンホースが接続されることを特徴とする請求項5に記載の気液分離装置。
  7. 前記エルボ管の回転範囲を規制する規制手段が設けられ、該規制手段は、エルボ管の下流側接続管部の出口が少なくとも水平位置より下方側に位置する範囲で回動するように設定されることを特徴とする請求項6に記載の気液分離装置。
  8. 前記エルボ管の下流側接続管部の略水平姿勢で、その上方に他の配管類を通過させる通過空間が形成されたことを特徴とする請求項7に記載の気液分離装置。
  9. 共通の通路を介して排出される排気用空気等の気体とドレン水等の液体とを屋外側で分離する気液分離装置であって、
    前記共通の通路の屋外側出口近傍に前記ドレン水等の液体と排気とを分離させて夫々の出口から排出する分配ボックスが接続され、該分配ボックスの液体用出口に連通して略L字状の液体排出流路をなすエルボ管が前記液体用出口に回転自在に接続され、また、分配ボックスの本体に排気用出口を有する排気ダクトが取り付けられ、前記エルボ管の略水平姿勢で、該エルボ管とその上方に位置する排気ダクトとの間に他の配管類を通過させる通過空間が形成されたことを特徴とする気液分離装置。
  10. 排気ダクトの先端の上下面及び端面に排気用出口が形成されたことを特徴とする請求項9に記載の気液分離装置。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の気液分離装置を備えたことを特徴とする空気調和機。
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