JP3840126B2 - 高温プレス方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の足廻り、メンバーなどの部品の成形で、高強度でかつ比較的高い成形性を要求される材料のプレス方法として知られる温間ならびに熱間プレスに関する技術である。
【0002】
【従来の技術】
高張力鋼のプレス加工の大きな問題点として、高強度化に伴う延性の劣化による破断の問題とスプリングバックという成形後の弾性変形による形状変化に伴う寸法精度の劣化の問題が挙げられる。この問題への対策として、変形能を高める高温でのプレス加工が行われている。しかし、鋼板を高温に加熱するために酸化が進行し、スケールが形成され、それを化成処理して塗装を施すと、スケール形成に伴う化成処理性の劣化や、スケールの存在による塗装の剥離に伴う塗装密着性の劣化を招くことが知られている。
【0003】
そのため、スケールを除去し、表面の調整をするのために酸洗を施すか、ショットピーニングによる脱スケール処理を行っている。しかし、これらの処理は、プレスメーカーにおける設備投資を意味し、プレス加工の高温化の足かせになっている。
【0004】
一方、酸化を抑制するために、鋼板にめっき処理する技術が開示されている。例えば、アルミめっきを施すことにより、鋼板の酸化を抑制し、高温プレスによる塗装後耐食性に優れた鋼板の製造方法が開示されている(特開2000−38640号公報)。この場合、一気に高温に加熱するとアルミめっきが溶融し、表面品位が劣化するので、加熱を徐加熱にするなどでFe−Alの合金化をはかり、その合金の融点を高めることにより、表面が溶融しない工夫がなされている。
【0005】
しかし、この方法では徐加熱が前提になるために、加熱時間が長くなり、大量生産を前提にすると比較的炉長の長い加熱炉が必要となり、設備コスト的に問題がある。また、アルミの溶融メッキ鋼板の製造においては、アルミ浴の温度が高いため、メッキラインの設備費が高くなり、それに伴い、鋼板の製造コストが高いという問題を抱えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高温でのプレス加工においてプレス材の表面処理とプレス材の高温での滞在時間を限定することにより、表面スケールの生成を適度に抑え、このことにより、塗装性に優れたプレス部品の製造法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行い、高温でのプレス加工の条件ならびに環境に適した適性厚みの表面処理を鋼板に施すことにより、上記問題を解決した。
【0008】
本発明の要旨とするところは、
(1) Ni、Cr、Cuの1種あるいは2種以上のめっきを施した鋼板を、500〜1080℃の大気雰囲気内での鋼板の滞在時間t(秒)が(1)式を満足した後、500〜1050℃でプレス加工することを特徴とする高温プレス方法、
【0009】
【数3】
【0010】
および、
(2) Ni、Cr、Cuの1種あるいは2種以上のめっきを施した鋼板を、500〜1080℃の大気雰囲気内での鋼板の滞在時間t(秒)が(1)式を満足し、かつ不活性雰囲気内での滞在時間ta(秒)が(2)式2を満足した後、500〜1050℃でプレス加工することを特徴とする高温プレス方法、
にある。
【0011】
【数4】
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、高温でプレス加工した鋼板の塗装密着性を確保するために、適正なメッキ処理を鋼板表面に行い、プレス加工前の高温域における鋼板の滞在時間を限定することを特徴とする高温プレス方法に関するものである。
【0013】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明で限定しためっき種のNi、Cr、Cuは高温における鋼板の酸化を抑制するが、鋼板が長時間高温にさらされるとこれらの元素は鋼板に拡散し、十分な酸化抑制効果を発揮できなくなる。この現象は拡散に起因するので、酸化抑制効果が不十分になる時間は、温度とめっきの厚さに依存する。
【0015】
しかし、たとえ、メッキ種の元素が鋼中に拡散し、表層部の酸化抑制効果が減少しても、雰囲気が不活性ガス雰囲気ならば、顕著な鋼板の酸化は起こらない。
【0016】
一般に、高温でプレス加工をする場合は、鋼板を大気雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気で加熱し、その後、炉から鋼板を取り出し、大気中でプレス加工を行う。
【0017】
一方、生産性の観点で加熱を短時間で行う方法として、通電加熱や高周波加熱による急速加熱を適用することが考えられる。この場合、作業の容易さから、大気加熱が主流になると思われる。どのような加熱方式を適用するかは、プレス現場での既存設備の有無、スペースの余裕度、生産性などの諸条件によって異なる。
【0018】
ここで注意しなければならないのは、ここで問題とされているメッキの厚さ、高温域の温度ならびに滞在時間の間の関係は、直接、鋼板とめっき種の相互拡散により形成されるめっき種の元素が濃化した層の厚さとか、表面に形成されたスケールの厚さに関連するのではなく、上記関係が(1)式、さらに、必要に応じて(2)式を満足すると優れた塗装密着性が得られるという事実に基づくことである。
【0019】
この詳細なメカニズムは不明であるが、鋼種によらず(1)式、および、(2)式が成り立つ範囲で塗装密着性が確保できることを確認した。(1)式、および、(2)式は熱的活性化現象に基づいて新たに塗装密着性の指標を定式化したものである。
【0020】
プレス加工前の鋼板の滞在温度の下限を500℃としたのは、それより低いと、後述するプレス加工において、変形抵抗の顕著な低下が得られないためである。一方、加熱温度を上げるということはエネルギーを必要とすることであるので、過剰なエネルギー消費を避けるために、上記滞在温度の上限を1080℃とした。
【0021】
めっき厚の上限は特に限定する必要はないが、経済的な観点から20μm以下が好ましい。
【0022】
プレス加工の温度を500℃以上としたのは、500℃未満では変形抵抗の顕著な抵下が得られず、鋼板を高温にする効果が十分に得られないためである。また、プレス加工温度を1050℃以下と限定したのは、これより高い温度に鋼板を加熱すると、金型寿命を顕著に縮めるためである。
【0023】
不活性雰囲気とは、一般に使われるArガス、水素ガス、窒素ガスならびにそれらの混合ガスの雰囲気を意味する。水蒸気を炉内に入れて加湿するようなことは好ましくないが、(2)式の関係に顕著な影響を及ぼさないので、露点による制約は課さない。
【0024】
【実施例】
(実施例)
表1に示す各種の材料に、表2に示すNi、Cu、Crめっきを施した。実験番号14のみ無電解めっき処理を行ない、その他は電気めっきを行った。
【0025】
塗装密着性の評価は、化成処理した鋼板に電着塗装を約20μm施した材料を170℃で20分焼き付け処理した後、1cm四方の正方形を1mm間隔の碁盤目状にきずを付けて描き、40℃で10日温水に漬けて置き、その後、その上にテープを貼って剥がしたときに、塗料が残存した数で示した。
【0026】
100/100は100の1mm四方の塗料が全て残存したということで優れた塗装密着性を示すことを意味する。
【0027】
加熱は、実験番号1〜4、7〜12については大気炉加熱、実験番号5、6については窒素雰囲気炉加熱、実験番号13、14については窒素と水素の混合ガスの不活性雰囲気炉加熱、そして、実験番号15、16については大気中通電加熱によってそれぞれ行った。
【0028】
本発明の範囲を満足する実験番号1〜3、5、7〜16は優れた塗装密着性を示した。実験番号4の材料は、(1)式の条件を満足せずに塗装の剥離が見られた。また、実験番号6の材料は(2)式の条件を満足せずに塗装の剥離が見られた。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】
本発明により、形状凍結性の優れた部品を高温のプレス加工で製造する際に、表面変質に伴う塗装性の劣化を抑制させることができるので、本発明は、自動車のハイテン化・軽量化に寄与し、省エネ・地球環境保全などに貢献するものである。
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