JP3840062B2 - カラー陰極線管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカラー陰極線管に関する。より詳しくは、画質、特に色均一性を向上するためにマスクフレームの構造に特徴を有するカラー陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー陰極線管は、図17に示すように、内面に蛍光体スクリーン14が形成された前面パネルとファンネルとからなるガラスバルブ13のネック部内に電子銃81が設けられ、蛍光体スクリーン14には、マスクフレーム31に架張されたシャドウマスク1が対置している。マスクフレーム31は、断面が略L字型であり、シャドウマスク1が架張され、ガラスバルブ13に固定される部分と、シャドウマスク1とほぼ平行にガラスバルブ13の管軸(中心軸)側に張り出す内側張出部32とからなる。内側張出部32には内部磁気シールド2が固定される。
【0003】
電子銃81からのR(赤)、G(緑)およびB(青)の三色に対応する電子ビーム5が前面パネル直前のシャドウマスク1を通過し、その際の入射角によって前面パネルに射突する位置を制限できる。したがって前面パネル内面をそれぞれの射突位置に応じてR、GおよびBの蛍光体で塗り分けることにより、幾何学的に色選別を行ない、蛍光体スクリーン14上にカラー画像を形成することができる。
【0004】
ところで、通常のカラー陰極線管では、蛍光体スクリーン上の画面全域に画像を描くようにオーバースキャン方式により画像を再生している。そのオーバースキャン量は、蛍光体スクリーンに対して水平、垂直方向にそれぞれ105〜110〔%〕程度である。このようにオーバースキャン方式により蛍光体スクリーンを走査すると、図18に示したように、オーバースキャンした電子ビーム5の一部がシャドウマスク1を保持するマスクフレーム31などに衝突し、その反射ビームが蛍光体スクリーン14に入射して所定以外の蛍光体層を発光させ、画像の色純度やコントラストを低下させ、画質を劣化させる。
【0005】
そのため、従来よりこの反射ビームによる画質の劣化を防止するため、図19に示すようにマスクフレーム31の内側張出部32の管軸側端部にエレクトロンシールド部33を形成したり、図20に示すように内部磁気シールド2とマスクフレーム31の内側張出部32との間に、マスクフレーム31から管軸側に突き出すようにエレクトロンシールド部33を取り付けたりすることがおこなわれてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来エレクトロンシールド部33は磁性体で形成されてきたため、800〔A/m〕(10〔Oe〕)程度の地磁気が存在する中に陰極線管を設置した場合、エレクトロンシールド部33の先端部からの漏れ磁界の影響で、電子ビーム軌道が偏向されて所望する位置の蛍光体層を射突しない現象(ミスランディング)が発生することがあった。
【0007】
本発明の目的は、地磁気によるミスランディングを防ぎ色ズレのないカラー陰極線管を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明のカラー陰極線管は、マスクフレームと、前記マスクフレームに固定されたシャドウマスクと、前記マスクフレームに保持された内部磁気シールドと、前記マスクフレームに設けられたエレクトロンシールド部とを備えたカラー陰極線管において、印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における前記エレクトロンシールド部の少なくとも一部の非履歴透磁率が、前記シャドウマスク、前記マスクフレームおよび前記内部磁気シールドの各非履歴透磁率に比べて小さいことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、エレクトロンシールド部の磁気抵抗が増すので、エレクトロンシールド部の先端部へ流れる磁束を減少させることができ、エレクトロンシールド部の先端部からの漏れ磁界を減少できる。従って、地磁気によるミスランディングを減少させ色ズレのないカラー陰極線管を提供することができる。
【0010】
また、前記エレクトロンシールド部は、前記マスクフレームの電子ビーム寄りの先端部を延長するように形成されたものであることが好ましい。
【0011】
あるいは、前記エレクトロンシールド部は、前記マスクフレームとは別部材からなり、前記マスクフレームの電子ビーム寄りの先端部からさらに突き出すように設けられていることが好ましい。
【0012】
また、前記エレクトロンシールド部は、その一部にそれ以外の部分に比べて、印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における非履歴透磁率が小さい領域を有することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、内部磁気シールドからマスクフレームを経てエレクトロンシールド部の先端部へ流れる磁束を整流することができ、エレクトロンシールド部の先端部からの漏れ磁界を減少できる。
【0014】
また、前記マスクフレームは、断面がL字型であるL字型部材と、前記L字型部材と組み合わされる補強部材とからなり、前記補強部材は、その一部にそれ以外の部分に比べて、印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における非履歴透磁率が小さい領域を有することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、内部磁気シールドからマスクフレームの補強部材へ流れる磁束を整流することができ、マスクフレームの補強部材からの漏れ磁界を減少できる。
【0016】
また、電子ビームを蛍光体スクリーンに対して100〔%〕スキャンしたときに、前記エレクトロンシールド部と前記電子ビームの軌道との間の最小距離が8〔mm〕以上であることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、電子ビームが漏れ磁界の小さい領域を通過するので、ミスランディングを更に減少させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。本発明の陰極線管は、マスクフレーム近傍の構造に特徴を有するものである。陰極線管の基本構造は図17に示す従来の陰極線管と同様であるので、以下、全体の説明は省略し、マスクフレーム近傍の主要部分について詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明のカラー陰極線管の断面のうち、マスクフレーム31の付近を拡大して示す。
【0020】
マスクフレーム31は、断面が略L字型であり、シャドウマスク1が架張され、ガラスバルブ13に固定(固定具は図示せず)される部分と、シャドウマスク1とほぼ平行にガラスバルブ13の管軸(中心軸)側に張り出す内側張出部32とからなる。マスクフレーム31には、内部磁気シールド2が固定される(内側張出部32に設けられる固定具は図示せず)。
【0021】
内側張出部32の管軸側端部に、そのほぼ全長にわたって、内側張出部32を延長するように、内側張出部32とほぼ同じ厚さの帯状のエレクトロンシールド部33が設けられている。印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)(地磁気に相当)におけるエレクトロンシールド部33の全部または一部の非履歴透磁率が、シャドウマスク1、マスクフレーム31、および内部磁気シールド2に比べて小さいことが、本実施の形態の特徴である。
【0022】
ここで、「非履歴透磁率」とは、非履歴磁化モデルによってヒステリシスを発生させ、交流減衰磁界がゼロになったときのヒステリシス上の収束点の磁束密度Bと直流磁界Hで定義できる実効的な比透磁率をいい、次の式で表される。
【0023】
μμ=(1/μ0)×(B/H)
ここで、μ0は真空中の透磁率である。非履歴透磁率については、たとえば、電子情報通信学会論文誌C−II Vol.J79−C−II No.6 pp.311−319(1996年6月)に記述されている。
【0024】
図2および図3は、マスクフレーム31における磁界の作用を示す。図2は従来例を示し、内側張出部32の管軸側端部に内側張出部32と一体のエレクトロンシールド部を有するが、その非履歴透磁率は内側張出部32と同一である。図3は本実施の形態の構成によるものである。それぞれマスクフレーム31の内側張出部32に設けられたエレクトロンシールド部からの漏れ磁界の様子を矢印61,62で示している。矢印の太さは漏れ磁界の大小に対応している。
【0025】
図2の従来例では、内部磁気シールド2を経てマスクフレーム31へ流れ込んだ磁束が、内側張出部32からシャドウマスク1へ向けて真空中へ漏れる(漏れ磁界61)。一方、図3に示す本発明では、内側張出部32の管軸側端部に設けたエレクトロンシールド部33の少なくとも一部の非履歴透磁率が、印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)においてシャドウマスク1、マスクフレーム31、および内部磁気シールド2の非履歴透磁率に比べ小さいので、エレクトロンシールド部33とシャドウマスク1との間の磁気抵抗が高まり、漏れ磁界62は減少する。したがって、ミスランディングを低減できる。
【0026】
非履歴透磁率の異なる部材の固定方法としては、溶接、ねじ止め、クランピングスプリングによる方法等がある。また図1では、内側張出部32に対して一定の角度をもってエレクトロンシールド部33が固定されているが、適度な角度をつけることにより、エレクトロンシールド部33に衝突し反射する電子ビームの軌道を制限でき、ハレーションの発生を防止することができる。
【0027】
本実施の形態では、印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における非履歴透磁率が、内部磁気シールド2が12000程度(軟鉄)、マスクフレーム31が2200程度(Fe−36Ni、Fe−42Ni等)、シャドウマスク1が2000程度(570〜640℃程度で熱処理したFe−36Ni等)、エレクトロンシールド部33が1800程度(鉄)の材料を用いた。1800程度の非履歴透磁率は、シャドウマスクに用いた鉄材(Fe−36Ni)を比較的低温(450〔℃〕以下)で熱処理することにより得た。
【0028】
内側張出部32の管軸側端部からのエレクトロンシールド部33の突き出し長さを20〔mm〕としたところ、内側張出部32を同量だけ延長させた図2に比べて、ミスランディングが2〔μm〕以上低減された。
【0029】
なお、エレクトロンシールド部33の材料としては、上記以外にステンレス鋼(SUS)やアルミニウムを使用することができる。これらの材料の印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における非履歴透磁率は1程度である。
【0030】
(実施の形態2)
図4に示すように、本実施の形態では、マスクフレーム31の内側張出部32の電子銃側の面に、厚さ0.1〜0.3〔mm〕程度の薄板からなるエレクトロンシールド部33が、内側張出部32のほぼ全長にわたって、内側張出部32の管軸側端部より30〔mm〕程度管軸側に突き出すように設けられている。エレクトロンシールド部33の材料は、内部磁気シールド2の材料と同じ軟鉄である。エレクトロンシールド部33の管軸側の先端部はやや電子銃側に曲げられてハレーションの発生を防止している。エレクトロンシールド部33の印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における非履歴透磁率はエレクトロンシールド部33の全体で一様ではなく、その一部8の非履歴透磁率がそれ以外の部分の非履歴透磁率に比べて小さい。本実施の形態では、一部8に特定の材料の部材を設けるかわりに、エレクトロンシールド部33の一部8を空隙(長方形の孔)としている。
【0031】
図5は従来のエレクトロンシールド部33を、また、図6は本実施の形態のエレクトロンシールド部33を、それぞれ電子銃側から見た場合の磁束の様子を示す。図5に示す従来例では、エレクトロンシールド部33は空隙を有さず、非履歴透磁率は全体で一様である。図6は本実施の形態によるものであり、空隙8を有する以外は図5と同一構成である。図5,図6では、図面を簡略化するために、上側の長辺における磁束の様子のみを図示している。
【0032】
図5の従来例の構成では、エレクトロンシールド部33を流れる磁束が、エレクトロンシールド部33からシャドウマスク1へ向けて真空中に漏れる。図中に矢印で、エレクトロンシールド部33内を流れる磁束と、エレクトロンシールド部33からの漏れ磁界61の様子を示している。一方、図6の本発明では、内部磁気シールド2からエレクトロンシールド部33先端へ流れる磁束(図中の矢印)が空隙8により整流されて、エレクトロンシールド部33の空隙8よりも管軸側(内側)を流れる磁束を少なくすることができる。従って、従来の構成(図5)に比べてエレクトロンシールド部33の先端部からの漏れ磁界62を減少できるので、ミスランディングを減少できる。
【0033】
本実施の形態では、幅40〔mm〕のエレクトロンシールド部33の内側端から5〔mm〕の位置に、幅2〔mm〕、長さ25〔mm〕の長方形の空隙8を設けたところ、スクリーン上のミスランディングは2〔μm〕以上低減された。空隙8の非履歴透磁率は約1である。
【0034】
また、図7に示すように、エレクトロンシールド部33のコーナー部に幅2〔mm〕のL字状の空隙8を設けたところ、スクリーン上のコーナー部のミスランディングが2〔μm〕以上低減された。
【0035】
なお、空隙8を開口状態にしておくのではなく、空隙8を、印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における非履歴透磁率が、シャドウマスク1、マスクフレーム31,及び内部磁気シールド2の各非履歴透磁率よりも小さい材料で封印しても良い。そのような材料としては、例えば実施の形態1でエレクトロンシールド部33に用いた材料を使用することができる。
【0036】
非履歴透磁率が小さい部材または空隙は、漏れ磁界を小さくしたい場所に、適当な大きさのものを、適当な個数だけ設ければよい。
【0037】
図5〜図7ではエレクトロンシールド部33内を水平方向に流れる磁束を示したが、これ以外の方向の磁束に対しても、本実施の形態は上記と同様の効果を奏する。
【0038】
(実施の形態3)
図8に示すように、本実施の形態では、内側張出部32の管軸側端部に、そのほぼ全長にわたって、内側張出部32を延長するように、内側張出部32とほぼ同じ厚さの帯状のエレクトロンシールド部33が設けられている。エレクトロンシールド部33の材料は、マスクフレーム31の材料と同じFe−36NiやFe−42Ni等である。エレクトロンシールド部33のうち一部9の非履歴透磁率が、印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)(地磁気に相当)において、エレクトロンシールド部33の他の領域の非履歴透磁率よりも小さい。具体的には、該一部9に複数個の孔を設けて空隙としている。
【0039】
図9は従来の内側張出部32及びエレクトロンシールド部33を、また、図10は本実施の形態の内側張出部32およびエレクトロンシールド部33を、それぞれ電子銃側から見た場合の磁束の様子を示したものである。図9の従来例では、エレクトロンシールド部33の全域にわたって非履歴透磁率は一様である。図10は本実施の形態の構成によるものであり、エレクトロンシールド部33に空隙9を有する以外は図9と同一構成である。図9,図10では、図面を簡略化するために、上側の長辺に設けられたエレクトロンシールド部33のみを図示しているが、エレクトロンシールド部33は実際には内側張出部32の管軸側端部に全周にわたって設けられている。また、図9,図10では上側の長辺における磁束の様子のみを示している。
【0040】
図9の従来例の構成では、内側張出部32を流れる磁束が、エレクトロンシールド部33からシャドウマスク1へ向けて真空中に漏れる。図9中に、内側張出部32内及びエレクトロンシールド部33内を流れる磁束と、エレクトロンシールド部33からの漏れ磁界61とを矢印で示している。一方、図10の本発明では、エレクトロンシールド部33の長辺側の一部に複数個の空隙(孔)9を設け、印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における空隙9の非履歴透磁率をその他の部分に比べて小さくすることにより、内部磁気シールド2からマスクフレーム31を経てエレクトロンシールド部33先端へ流れる磁束が非履歴透磁率を小さくした部分(空隙9)によって整流されて、非履歴透磁率を小さくした部分より管軸側に流れる磁束を小さくすることができる。従って、従来の構成(図9)に比べてエレクトロンシールド部33先端部からの漏れ磁界62を減少できるので、ミスランディングを減少できる。
【0041】
本実施の形態では、直径8〔mm〕の円形の空隙9を、エレクトロンシールド部33の長辺の中央部近傍の4箇所に設けたところ、スクリーン上のミスランディングが2〔μm〕以上低減された。
【0042】
空隙9の個数、位置、形状は、目的に応じて適当に設定すればよい。
【0043】
また、空隙9を開口状態にしておくのではなく、空隙9を、印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における非履歴透磁率が、シャドウマスク1、マスクフレーム31、及び内部磁気シールド2の各非履歴透磁率よりも小さい材料で封印しても良い。そのような材料としては、例えば実施の形態1でエレクトロンシールド部33に用いた材料を使用することができる。
【0044】
(実施の形態4)
図11に示すように、本実施の形態では、内側張出部32の管軸側端部にエレクトロンシールド部33を設けるとともに、マスクフレーム31の断面が三角形になるように板材からなる補強部材34をマスクフレーム31の全長にわたって、または一部に組み合わせている。補強部材34は、管軸側(エレクトロンシールド33側)の端部にあたる一部10がその全長にわたって非磁性材料からなり、一部10の印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における非履歴透磁率が他の領域の非履歴透磁率に比べて小さい。
【0045】
図12および図13は、図2および図3と同様に、マスクフレーム31における磁界の作用を概念的に示す。図12は参考例であり、実施の形態1(図1)と同様に内側張出部32の管軸側端部にエレクトロンシールド部33を有するが、補強部材34は単一の材料からなっている。図13は本実施の形態の構成によるものであり、補強部材34を上記のように構成した以外は図12と同一構成である。図中の矢印はエレクトロンシールド部33からの漏れ磁界の様子を示し、矢印の太さが磁界の強さを示す。
【0046】
図12の参考例の構成では、エレクトロンシールド部33を流れる磁束が、エレクトロンシールド部33および補強部材34からシャドウマスク1へ向けて真空中に漏れる(漏れ磁界62)。一方、図13の本実施の形態では、補強部材34の一部にその周辺部に比べて、印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における非履歴透磁率が小さい部分10を設けることにより、内部磁気シールド2から内側張出部32を経て補強部材34へ流れる磁束を整流して少なくすることができる。このため、補強部材34からの漏れ磁界63を更に減少できるので、ミスランディングを更に減少できる。
【0047】
本実施の形態では、長辺側のマスクフレーム31の全長にわたって設けた補強部材34の長手方向の中央部分を幅30〔mm〕、長さ(マスクフレーム31の長手方向の長さ)50〔mm〕の大きさに切り欠いて、該切り欠き部分にステンレス鋼(非履歴透磁率が1程度)を接続することにより、スクリーン上のミスランディングが図12の構成より2〔μm〕以上低減された。
【0048】
補強部材34以外の各部材の材料は、実施の形態1と同様の材料を使用すればよい。例えば、内部磁気シールド2として印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における非履歴透磁率が12000程度の軟鉄を、マスクフレーム31として該非履歴透磁率が2200程度のFe−36Ni又はFe−42Ni等を、シャドウマスク1として該非履歴透磁率が2000程度の570〜640℃程度で熱処理したFe−36Ni等を、エレクトロンシールド部33として該非履歴透磁率が1800程度の450℃程度で熱処理したFe−36Niを、それぞれ用いることができる。
【0049】
また、実施の形態3に示したように、エレクトロンシールド部33の一部9の、印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における非履歴透磁率を他の部分の非履歴透磁率より小さくした構成(図8参照)に、本実施の形態の上記補強部材34を組み合わせても良い。このとき、エレクトロンシールド部33の材料として実施の形態3と同様にマスクフレーム31と同一材料を用いても良く、あるいは実施の形態1と同様の材料としても良い。
【0050】
更に、実施の形態2に示した薄板のエレクトロンシールド部33を備えたマスクフレーム31(図4参照)に、本実施の形態の補強部材34を組み合わせても良い。
【0051】
補強部材34の形態は、本実施の形態のものには限らず、その一部の非履歴透磁率が他の部分の非履歴透磁率より小さくなるように構成されていればよい。
【0052】
(実施の形態5)
図14に示すように、本実施の形態では、マスクフレーム31の内側張出部32の管軸側端部に、全長にわたって幅20〔mm〕の帯状のエレクトロンシールド部33を有している。電子ビーム5を蛍光体スクリーン14に対して100〔%〕スキャンしたときに、電子ビーム5とエレクトロンシールド部33との間の最小距離dが8〔mm〕以上であることを特徴とする。このようにすることで、蛍光体スクリーン上での電子ビームのミスランディングを低減できる。
【0053】
図15および図16は、マスクフレーム31における磁界の作用を概念的に示し、図15は上記最小距離d=6[mm]の場合、図16は上記最小距離d=10[mm]の場合を示す。本実施の形態による効果を容易に理解できるように、図15及び図16のいずれの場合も、エレクトロンシールド部33及びマスクフレーム31には同一材料を用いている。従って、図15及び図16に示したエレクトロンシールド部33からシャドウマスク1への漏れ磁界61の様子は同一である。電子ビーム5を100〔%〕スキャンした場合、図15の構成では、電子ビーム5がエレクトロンシールド部33の近傍を通過するので、漏れ磁界61によりその軌道が曲げられて大きなミスランディングが発生する。一方、図16の構成では、電子ビーム5を100〔%〕スキャンした場合でも、漏れ磁界61の比較的弱い領域を電子ビーム5が通過するので、ミスランディングが低減される。具体的には、図16の構成は図15の構成に対して蛍光体スクリーン上でのミスランディング量を3〔μm〕以上低減することができた。
【0054】
電子ビーム5を蛍光体スクリーン14に対して100〔%〕スキャンしたときに、エレクトロンシールド部33と電子ビーム5の軌道との間の最小距離dを8〔mm〕以上確保するという本実施の形態の構成は、上述の実施の形態1〜4のいずれとも組み合わせることができ、これにより蛍光体スクリーン14上でのミスランディングをより一層低減することができる。従って、本実施の形態における各部材の材料は、前記各実施の形態で説明したものを適宜選択して使用できる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、エレクトロンシールド部の磁気抵抗が増すので、エレクトロンシールド部の先端部へ流れる磁束を減少させることができ、エレクトロンシールド部の先端部からの漏れ磁界を減少できる。従って、地磁気によるミスランディングを減少させ色ズレのないカラー陰極線管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のカラー陰極線管の要部拡大断面図
【図2】従来のエレクトロンシールド部における磁界の作用を示した概念図
【図3】本発明の実施の形態1のエレクトロンシールド部における磁界の作用を示した概念図
【図4】本発明の実施の形態2のカラー陰極線管の要部拡大断面図
【図5】従来のエレクトロンシールド部における磁束の様子を示した概念図
【図6】本発明の実施の形態2のエレクトロンシールド部における磁束の様子を示した概念図
【図7】本発明の実施の形態2の他の実施例に係るエレクトロンシールド部における磁束の様子を示した概念図
【図8】本発明の実施の形態3のカラー陰極線管の要部拡大断面図
【図9】従来のマスクフレームの内側張出部における磁束の様子を示した概念図
【図10】本発明の実施の形態3に係る内側張出部における磁束の様子を示した概念図
【図11】本発明の実施の形態4のカラー陰極線管の要部拡大断面図
【図12】本発明の実施の形態4の構成を具備しない場合の補強部材付近における磁界の作用を示した概念図
【図13】本発明の実施の形態4に係る補強部材付近における磁界の作用を示した概念図
【図14】本発明の実施の形態5のカラー陰極線管の要部拡大断面図
【図15】エレクトロンシールド部近傍を通過する電子ビーム対するエレクトロンシールド部からの漏れ磁界の作用を示した概念図
【図16】エレクトロンシールド部から離れた領域を通過する電子ビームに対するエレクトロンシールド部からの漏れ磁界の作用を示した概念図
【図17】カラー陰極線管(装置)の概略断面図
【図18】オーバースキャンした電子ビームの軌道を示す概念図
【図19】従来のカラー陰極線管のエレクトロンシールド部付近を示す要部拡大断面図
【図20】従来のエレクトロンシールド部の他の例を示す要部拡大断面図
【符号の説明】
1 シャドウマスク
2 内部磁気シールド
5 電子ビーム
8 エレクトロンシールド部の一部(空隙)
9 エレクトロンシールド部の一部(空隙)
10 補強部材の一部
14 蛍光体スクリーン
31 マスクフレーム
32 内側張出部
33 エレクトロンシールド部
34 補強部材
62,63 漏れ磁界
Claims (6)
- マスクフレームと、前記マスクフレームに固定されたシャドウマスクと、前記マスクフレームに保持された内部磁気シールドと、前記マスクフレームに設けられたエレクトロンシールド部とを備えたカラー陰極線管において、
前記エレクトロンシールド部の少なくとも一部は、前記エレクトロンシールド部のそれ以外の部分、前記シャドウマスク、前記マスクフレームおよび前記内部磁気シールドに比べて、印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における非履歴透磁率が小さいことを特徴とするカラー陰極線管。 - 前記エレクトロンシールド部は、前記マスクフレームの電子ビーム寄りの先端部を延長するように形成されている請求項1に記載のカラー陰極線管。
- 前記エレクトロンシールド部は、前記マスクフレームとは別部材からなり、前記マスクフレームの電子ビーム寄りの先端部からさらに突き出すように設けられている請求項1に記載のカラー陰極線管。
- 前記マスクフレームは、断面がL字型であるL字型部材と、前記L字型部材と組み合わされる補強部材とからなり、
前記補強部材は、その一部にそれ以外の部分に比べて、印加磁界が800〔A/m〕(10〔Oe〕)における非履歴透磁率が小さい領域を有する請求項1に記載のカラー陰極線管。 - 電子ビームを蛍光体スクリーンに対して100〔%〕スキャンしたときに、前記エレクトロンシールド部と前記電子ビームの軌道との間の最小距離が8〔mm〕以上である請求項1に記載のカラー陰極線管。
- 前記エレクトロンシールド部の前記非履歴透磁率が小さい部分は、前記マスクフレームよりも管軸寄りに位置する請求項1に記載のカラー陰極線管。
Priority Applications (1)
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