JP3839703B2 - 樹脂硬化度測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂硬化度測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の樹脂硬化度測定装置は、特開平5−164692号公報、特開平5−45288号公報及び特開昭62−103540号公報に記載されている。これらの装置においては、樹脂に測定用の赤外線を照射し、その樹脂硬化前後の反射光に基づいて、樹脂硬化判定を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置においては、測定前と測定後の光検出器の出力信号の相対値を求めているため、樹脂を硬化させる硬化促進手段の特性変化、樹脂の位置変化、対象物の温度変化によって、相対値がばらつき、正確な硬化度測定を行うことができなかった。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、適切な樹脂硬化の度合いを測定することが可能な樹脂硬化度測定装置を提供することを特徴とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、対象物表面上に塗布された樹脂の硬化を促進させる硬化促進手段と共に用いられる樹脂硬化度測定装置を対象とする。
【0006】
この樹脂硬化度測定装置は、対象物表面で反射された又はこれを透過した測定光を第1及び第2測定光に分岐する分岐手段と、この分岐手段によって分岐した第1測定光の第1波長成分、第2測定光の第2波長成分をそれぞれ選択的に通過させる第1及び第2フィルタと、第1及び第2フィルタを通過した第1及び第2波長成分をそれぞれ検出する第1及び第2光検出器と、第1及び第2光検出器の出力信号が入力される制御装置とを備える。
【0007】
ここで、本発明においては、当該制御装置は、(a)樹脂塗布後であって硬化促進手段の駆動期間前に対象物表面で反射された又はこれを透過した測定光を前記第1及び第2光検出器で検出した場合の第1及び第2光検出器の出力信号間の相対値と、(b)樹脂塗布後であって硬化促進手段の駆動期間中に対象物表面で反射された又はこれを透過した測定光を第1及び第2光検出器で検出した場合の第1及び第2光検出器の出力信号間の相関値と、(c)樹脂塗布前に固体からなる対象物表面で反射された又はこれを透過した測定光を第 1 及び第 2 光検出器で検出した場合の第 1 及び第 2 光検出器の出力信号とに基づいて樹脂硬化の度合いXを演算することを特徴とする。
【0008】
第1及び第2フィルタを通過した波長成分の強度は、樹脂硬化の進捗度に対する変化率が異なる。すなわち、一方の波長成分の強度は樹脂硬化が進捗するに従って相対的に大きく変化し、他方の波長成分の強度は樹脂硬化が進捗するに従って相対的に小さく強度変化する。換言すれば、樹脂硬化度という要因の観点からは、これらの波長成分の強度は異なる影響を受けるのである。
【0009】
そこで、この強度変化の小さい方の波長成分を基準とすれば、大きな方の波長成分の強度が、対象物の温度変化等の外的要因よって変化しても、このような外的要因は、双方の波長成分の強度に同時に影響を与えるのであるから、これらの相関値は、樹脂硬化度以外の外的要因の影響を受けにくくなる。
【0010】
制御装置は、樹脂塗布後であって硬化促進手段の駆動期間前と、樹脂塗布後であって硬化促進手段の駆動期間中に、これらの波長成分の強度に応じた出力信号を得る。上述のように、相関値は樹脂硬化度に影響を大きく受けるが、その他の要因には影響を受けにくいのであるから、樹脂硬化前と、硬化後において、相関値はより正確に変化することとなる。
【0011】
したがって、本制御装置は、樹脂硬化前後の相関値に基づいて硬化の度合いXを正確に演算することができる。すなわち、完全硬化が行われた場合に得られる度合いXを100%とし、硬化が全く行われていない場合の度合いXを0%等とすれば、それぞれの状態を硬化前後に得られた相関値を対応させることができ、これらに基づいて度合いXを演算することができる。
【0012】
また、制御装置は、(c)樹脂塗布前に固体からなる対象物表面で反射された又はこれを透過した測定光を第1及び第2光検出器で検出した場合の第1及び第2光検出器の出力信号を更に用いて、演算値Xを演算することが好ましい。樹脂塗布前に固体からなる対象物表面で反射された又はこれを透過した測定光は、硬化前後に樹脂を介在させて反射された又はこれを透過した測定光よりも特性が安定しているため、これを基準値として、双方の波長成分の強度を相対的に数値化すれば、より正確な硬化の度合いXを測定することができる。
【0013】
工程(a)における出力信号をA2,B2、工程(b)における出力信号をAs,Bs、工程(c)における出力信号をA1,B1、既知係数をKoとした場合、度合いXは以下の式で与えられることが好ましい。
【数3】
Figure 0003839703
工程(a)、工程(b)において得られる出力信号、すなわち各工程における各波長成分の反射強度A2,B2、As,Bsは、安定した反射が得られる工程(c)における出力信号、すなわち、反射強度A1,B1を基準する相対値に各波長毎に換算されている。すなわち、A2は(A2/A1)に、B2は(B2/B1)に、Asは(As/A1)に、Bsは(Bs/B1)に、それぞれ換算されている。もちろん、前記の「反射強度」は「透過強度」に読み替えることができる。
【0014】
相対値換算された各波長成分の強度は、硬化前後でそれぞれ相関値にされている。硬化前においては波長Aに対する波長Bの比率、すなわち、相関値は、上記換算値を用いれば、(B2/B1)/(A2/A1)である。硬化後においては波長Aに対する波長Bの比率、すなわち、相関値は、上記換算値を用いれば、(Bs/B1)/(As/A1)である。
【0015】
硬化前後の相関値の比率は、硬化の度合いを示す値となるが、ここでは、完全硬化の場合に略100%という数値化ができるように、硬化の度合いXを示す上式に既知係数Koを用いている。
【0016】
このように、上式は各種外的要因の中で硬化の度合いに対して大きく影響を受けるように設定されている。したがって、硬化の度合いXは非常に正確なものとなる。
【0017】
上式では既知係数Koを用いたが、制御装置においては既に硬化した樹脂を表面上に有する対象物を標準サンプルとし、この標準サンプルに測定光を照射した場合の前記第1及び第2検出器の出力信号に基づいて既知係数Koを決定する。この場合、装置起動時に測定の基準となる標準サンプルを用いて既知係数Koを決定するため、正確な度合いXを測定することができる。標準サンプルは、装置起動の度に作製することとしてもよいし、既に用意されたものを使い回してもよい。
【0018】
また、硬化促進手段は紫外線光源であり、前記第1及び第2フィルタは紫外線以外の波長帯から選択される波長を前記第1及び第2波長成分として透過させるフィルタであり、この樹脂は紫外線硬化樹脂であることが好ましい。紫外線硬化樹脂は紫外線光源からの紫外線の照射によって硬化するが、本装置においては第1及び第2フィルタを用いているので、紫外線の影響が除去され、正確な硬化の度合い測定を行うことができる。
【0019】
また、制御装置は、度合いXが以下の条件:
【数4】
Figure 0003839703
を満たした場合に前記硬化促進手段を停止させる制御信号を出力することが好ましく、この場合には、樹脂硬化が完了した時点で硬化促進を終了することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に係る樹脂硬化度測定装置について説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0021】
図1は樹脂硬化度測定装置の構成図である。この樹脂硬化度測定装置10は、対象物1の表面1s上に塗布された樹脂RSNの硬化を促進させる紫外線光源(硬化促進手段)2と共に用いられる。樹脂硬化度測定装置10は、投光系と受光系を備えている。
【0022】
投光系は、ハウジング10a内に収納された電源10b、電源10bから供給される電力によって発光するアルミ反射鏡付の測定光出射光源(100W:ハロゲンランプ)10c、測定光出射光源10cから出射された測定光を整形光学系10dに導く光ファイバ10eを備えている。光ファイバ10eから出射された後、整形光学系10dにより適当なビーム径に整形された測定光(赤外線)は、樹脂RSN上に照射される。
【0023】
樹脂RSNを透過し対象物表面1sで反射された測定光は、投光時と逆方向に進行し、受光系に入射する。
【0024】
受光系は、投光系と共用の整形光学系10d、整形光学系10dを投光時とは逆方向に進行した測定光を伝達する光ファイバ10f及び10gを備えている。光ファイバ10f及び10gは、対象物表面1sにおいて反射された測定光を分岐させるものであり、測定光は分岐させられた後、それぞれ第1及び第2フィルタ10h,10iに入射する。すなわち、光ファイバ10f及び10gは、対象物表面1sで反射された測定光を第1及び第2測定光に分岐する分岐手段として機能する。
【0025】
なお、光ファイバ10e,10f,10gの数は、それぞれ複数であって、これらの光ファイバ10e,10f,10gは束ねられており、光ファイバ10e,10f,10gの整形光学系10d側の一端部が光軸に垂直な面内において均等に分布するように配置され(ランダム配置)、他端部は光ファイバ10e,10f,10g毎に分離されている。
【0026】
第1及び第2フィルタ10h,10iは、光ファイバ10f及び10gによって分岐した第1測定光の第1波長成分(1580nm)、第2測定光の第2波長成分(1620nm)をそれぞれ選択的に通過させる。ここでは、第1及び第2フィルタ10h,10iは、第1及び第2波長成分を中心波長(1580nm、1620nm)とするバンドパスフィルタである。より詳細には、第1フィルタ10hは、透過波長帯域1580nm±20nm(半値幅)、透過率30%以上のフィルタであり、第2フィルタ10iは透過波長帯域1620nm±10nm(半値幅):透過率30%以上のフィルタある。
【0027】
第1及び第2フィルタ10h,10iを通過した第1及び第2波長成分は、それぞれ集光レンズ10j,10kによって集光され、それぞれ第1及び第2光検出器(ホトダイオード:InGaAs:900〜3500nmに感度を有する、Geでもよい)10m,10nに入射する。すなわち、第1及び第2波長成分は、それぞれ第1及び第2光検出器10m,10nによって検出される。
【0028】
第1及び第2光検出器10m,10nの出力信号の大きさは、入射光強度に比例するが、この出力信号はそれぞれ増幅/AD変換器10p,10qによって、増幅及びデジタル変換され、演算装置10rに入力される。ここでは、増幅/AD変換器10p,10q及び演算装置10rは、第1及び第2光検出器10m,10nの出力信号が入力される制御装置を構成している。
【0029】
制御装置を構成する演算装置10rは、(a)樹脂塗布「後」であって硬化促進手段の駆動期間「前」に対象物表面1sで反射された測定光を第1及び第2光検出器10m,10nで検出した場合の第1及び第2光検出器10m,10nの出力信号間の相対値と、(b)樹脂塗布「後」であって硬化促進手段の駆動期間「中」に対象物表面1sで反射された測定光を第1及び第2光検出器10m,10nで検出した場合の第1及び第2光検出器10m,10nの出力信号間の相関値とに基づいて樹脂硬化の度合いXを演算する。この演算結果、すなわち度合いXは、表示器10s上に表示される。
【0030】
第1及び第2フィルタ10h,10iを通過した波長成分の強度は、樹脂硬化の進捗度に対する変化率が異なる。すなわち、波長成分(1580nm)の強度I1は樹脂硬化が進捗するに従って相対的に小さく強度変化し、波長成分(1620nm)の強度I2は樹脂硬化が進捗するに従って相対的に大きく変化する。換言すれば、樹脂硬化度という要因の観点からは、これらの波長成分の強度は異なる影響を受けるのである。
【0031】
そこで、この強度変化の小さい方の波長成分(1580nm)を基準とすれば、大きな方の波長成分(1620nm)の強度I2が、対象物1の温度変化等の外的要因よって変化しても、このような外的要因は、双方の波長成分の強度に同時に影響を与えるのであるから、これらの相関値(I2/I1)は、樹脂硬化度以外の外的要因の影響を受けにくくなる。
【0032】
演算装置10rは、樹脂塗布「後」であって硬化促進手段2の駆動期間「前」と、樹脂塗布「後」であって硬化促進手段2の駆動期間「中」に、これらの波長成分の強度I1,I2に比例した大きさの出力信号を得る。上述のように、相関値(I2/I1)は、樹脂硬化度に影響を大きく受けるが、その他の要因には影響を受けにくいのであるから、樹脂硬化前と、硬化後において、相関値(I2/I1)はより正確に変化することとなる。
【0033】
したがって、演算装置10rは、樹脂硬化前の相関値(F=I2/I1)、樹脂硬化後の相関値(R=I2/I1)に基づいて、硬化の度合いXを正確に演算することができる。すなわち、完全硬化が行われた場合に得られる度合いXを100%とし、硬化が全く行われていない場合の度合いXを0%等とすれば、それぞれの状態を硬化前後に得られた相関値F,Rを対応させることができ、これらに基づいて度合いXを演算することができる。
【0034】
なお、対象物1は固体からなる例えばSiやアルミニウムである。演算装置10rは、(c)樹脂塗布「前」に固体からなる対象物表面1sで反射された測定光を第1及び第2光検出器10m,10nで検出した場合の第1及び第2光検出器10m,10nの出力信号を更に用いて、演算値Xを演算することが好ましい。樹脂塗布「前」に固体からなる対象物表面1sで反射された測定光は、硬化前後に樹脂を介在させて反射された測定光よりも特性が安定しているため、これを基準値として、双方の波長成分の強度I1,I2を相対的に数値化すれば、より正確な硬化の度合いXを測定することができる。
【0035】
各ステップ(工程)の出力信号は以下の通りである(図6参照)。
・ステップ21(工程(c))における出力信号をA1(=I1(塗布前)),B1(=I2(塗布前))とする。
・ステップ41(工程(a))における出力信号をA2(=I1(硬化前)),B2(=I2(硬化前))とする。
・ステップ61(工程(b))における出力信号をAs(=I1(硬化中)),Bs(=I2(硬化中))とする。
・既知係数をKoとする。
この場合、度合いXは以下の式で与えられることが好ましい。
【数5】
Figure 0003839703
工程(a)、工程(b)において得られる出力信号、すなわち各工程における各波長成分の反射強度A2,B2、As,Bsは、安定した反射が得られる工程(c)における出力信号、すなわち、反射強度A1,B1を基準する相対値に各波長毎に換算されている。すなわち、A2は(A2/A1)に、B2は(B2/B1)に、Asは(As/A1)に、Bsは(Bs/B1)に、それぞれ換算されている。
【0036】
相対値換算された各波長成分の強度は、硬化前後でそれぞれ相関値にされている。硬化前においては波長Aに対する波長Bの比率、すなわち、相関値は、上記換算値を用いれば、(B2/B1)/(A2/A1)である。硬化後においては波長Aに対する波長Bの比率、すなわち、相関値は、上記換算値を用いれば、(Bs/B1)/(As/A1)である。
【0037】
纏めると、以下のようになる。
【0038】
(硬化前相関値)
相関値F=I2(硬化前)/I1(硬化前)∝B2/A2≒(B2/B1)/(A2/A1))である。
【0039】
(硬化後相関値)
相関値R=I2(硬化後(完全硬化前の硬化中を含む))/I1(硬化後(完全硬化前の硬化中を含む))∝Bs/As≒(Bs/B1)/(As/A1))である。
【0040】
X=R/Fとしてもよい。硬化前後の相関値の比率は、硬化の度合いを示す値となるが、ここでは、完全硬化の場合に略100%という数値化ができるように、硬化の度合いXを示す上式に既知係数Koを用いている。
【0041】
以上のように、上式は各種外的要因の中で硬化の度合いに対して大きく影響を受けるように設定されている。したがって、硬化の度合いXは非常に正確なものとなる。
【0042】
上式では既知係数Koを用いたが、演算装置10rにおいては既に硬化した樹脂RSNを表面1s上に有する対象物1を標準サンプルとし、この標準サンプルに測定光を照射した場合の第1及び第2検出器10m,10nの出力信号に基づいて既知係数Koを決定する。この場合、装置起動時に測定の基準となる標準サンプルを用いて既知係数Koを決定するため、正確な度合いXを測定することができる。標準サンプルは、装置起動の度に作製することとしてもよいし、既に用意されたものを使い回してもよい。
【0043】
既知係数Koを求める場合、予め、樹脂塗布前の状態、樹脂塗布後硬化前の状態、既に100%硬化していると判断されている樹脂の状態を測定する。本装置にて、この樹脂に光を照射し表面で反射した光を測定する。もちろん、この光は樹脂自体を透過する。これを、Xを与える式に代入し、X=100%とすることで、Koを決定することができる。
【0044】
なお、本装置では硬化促進手段2として紫外線光源を用いた。第1及び第2フィルタは紫外線以外の波長帯から選択される波長を第1及び第2波長成分として透過させるフィルタであった。また、樹脂RSNは紫外線硬化樹脂である。紫外線硬化樹脂RSNは、紫外線光源2、具体的にはUVスポットランプからの紫外線を光ファイバの先端部から出射し、この紫外線の照射によって硬化するが、本装置においては第1及び第2フィルタ10h,10iを用いているので、紫外線の影響が除去され、正確な硬化の度合い測定を行うことができる。
【0045】
演算装置10rは、度合いXが以下の条件:
【数6】
Figure 0003839703
を満たした場合に硬化促進手段2を停止させる制御信号を出力する。この場合には、樹脂硬化が完了した時点で樹脂RSNの硬化促進を終了することができる。樹脂RSNは図示しないディスペンサから対象物表面1s上に供給される。樹脂RSNは光硬化樹脂であって、樹脂硬化用の紫外線光源2から樹脂RSNに樹脂硬化用光を照射すると、樹脂RSNの主成分である高分子材料が重合反応し、樹脂RSNは硬化する。
【0046】
本例の樹脂RSNはアクリル系接着剤である。樹脂RSNがアクリル系接着剤である場合には、エチレン二重結合(=CH2)が1617nmに吸収スペクトルを有し、重合が行われることによりこの結合が切断されることから、スペクトルのうちの波長1617nmの光を第2波長成分(本例で1620nmを含むバンドパスフィルタで選別)とする。この場合、硬化が進行すると強度I2は徐々に低下し、硬化が終了すると変化が止まる。
【0047】
図2はアクリル系接着剤を対象物表面1s上に塗布した場合の反射光(測定光)の反射率の波長依存性を示すグラフである。また、図3はアクリル系接着剤を対象物表面1s上に塗布した場合の樹脂による吸光度の波長依存性を示すグラフである。図4はアクリル系接着剤を対象物表面1s上に塗布した場合の樹脂による強度比(I2/I1)の時間微分値と度合いXの時間依存性をそれぞれ太線及び細線で示すグラフである。なお、対象物1はアルミである。なお、図5はアクリル系接着材の硬化進行度(%)と、アクリル系接着剤に照射される紫外線の積算光量(mJ/cm2)との関係を示すグラフである。
【0048】
硬化前に比べて硬化後の反射率(強度)は、第1及び第2波長成分において、共に減少するが、第2波長成分の方が硬化の影響を強く受けることが分かる。
【0049】
なお、樹脂RSNがエポキシ系接着剤である場合には、一重結合(CH−CH)が1166nmに、CONH2結合が1429nmに吸収スペクトルを有することから、スペクトルのうちの波長1166nm及び1429nmのいずれか一方の光を第2波長成分とする。この場合、硬化が進行すると前者の強度Iは徐々に上昇し、硬化が終了すると変化が止まるが、後者の強度Iは、硬化が進行すると徐々に下降し、硬化が終了すると変化が止まる。
【0050】
次に、演算装置10rによる制御の一例について説明する。
【0051】
図6は、演算装置10rの制御を示すフローチャートである。まず、図示しないベルトコンベアを駆動して対象物1を測定光及び樹脂硬化用光が照射される領域まで移動させる(S1)。次に、樹脂硬化用光を照射する前に、測定光を照射し、基準値を得るための測定を行う(S2)。ここで、第1及び第2波長成分の強度I1,I2(データA1,B1)に対応する出力信号を得ることができる(S21)。
【0052】
次に、接着剤としての樹脂RSNを対象物表面1s上に塗布し(S3)、しかる後、樹脂硬化用光を照射する前に、測定光を照射し、もう1つの基準値を得るための測定を行う(S4)。ここで、第1及び第2波長成分の強度I1,I2(データA2,B2)に対応する出力信号を得ることができる(S41)。
【0053】
次に、樹脂硬化を開始する。すなわち、紫外線光源2を駆動し、樹脂硬化用光(紫外線)を樹脂RSNに照射する。この照射を行いながら、測定光を照射し、現在の硬化の度合いXに依存する数値を得るための測定を行う(S6)。ここで、第1及び第2波長成分の強度I1,I2(データAs,Bs)に対応する出力信号を得ることができる(S61)。
【0054】
次に、得られた値A1,B1,A2,B2,As,Bsと既知係数Koを用いて硬化の度合いXを演算し、度合いXが所定値を以上かどうかを判定する(S7)。度合いXが所定値よりも小さい場合には、紫外線光源2を停止させ、樹脂硬化用光の照射を中止する。これにより、樹脂RSNが完全硬化している旨が判明する。
【0055】
しかる後、図示しないベルトコンベアを駆動して対象物1を、測定光及び樹脂硬化用光が照射される領域から外れる領域まで移動させ、樹脂硬化作業が終了する(S9)。
【0056】
図7は図1に示した樹脂硬化度測定装置に測定光直接検出光学系を付加した樹脂硬化度測定装置の構成図である。すなわち、この装置は、測定光出射光源10cから出射された測定光の一部を分岐する光ファイバ10F,10Gを備え、光ファイバ10F,10Gは分岐後の測定光を波長別受光系にそれぞれ導いている。
【0057】
波長別受光系は、分岐されたそれぞれ測定光から第1及び第2波長成分を選択した後、それぞれの波長成分を光検出器10M,10Nに入射させる。すなわち、第1波長成分(1620nm)の選択には第1フィルタ10H及び集光レンズ10Jが用いられ、第2波長成分(1580nm)の選択には第2フィルタ10I及び集光レンズ10Kが用いられる。光検出器10M,10Nの出力信号は、それぞれ増幅・AD変換器10P,10Qに入力され、デジタル信号として演算装置10rに入力される。ここで得られるそれぞれの波長成分の強度I1,I2を、測定光参照値C,Dとする。
【0058】
測定光参照値C,Dは、樹脂塗布前であって樹脂硬化開始前に得られるC1,D1、樹脂塗布後であって樹脂硬化開始前に得られるC2,D2、樹脂塗布後であって樹脂硬化開始中に得られるCs,Dsがある。
【0059】
データC1,D1、データC2,D2、データCs,Dsは、それぞれ、データA1,B1(ステップS21)、データA2,B2(ステップS41)、データAs,Bs(ステップS61)と同時に得ることができる。
【0060】
この場合、樹脂硬化の度合いXを測定光参照値C,Dで補正することができる。すなわち、度合いXは以下の式で与えられる。
【数7】
Figure 0003839703
これにより、測定光自体に含まれるノイズ成分が減じられ、より正確な度合いXを求めることができるが、この式は、上述のXの式を補正したものであり、実質的には数5を含むものである。また、これらの式は、その他の補正をかけることもできる。なお、上記ではアクリル系樹脂を用いた場合の第1波長成分として1580nmを波長帯域の中心波長として用いたが、これは1600nmとすることもできる。
【0061】
なお、上述の「反射」は全て「透過」に読み替えることができる。すなわち、測定光は、これが樹脂内を透過した後に対象物表面で反射され、しかる後に樹脂内を逆方向に透過した場合に対象物表面で「反射」が行われたことになり、測定光が樹脂内を透過した後に対象物も透過した場合に対象物表面を「透過」したことになる。いずれの場合も、樹脂内を測定光が透過しているため、これを検出すれば硬化度を測定することができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明の樹脂硬化度測定装置によれば、樹脂硬化の度合いを正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂硬化度測定装置の構成図である。
【図2】アクリル系接着剤を対象物表面1s上に塗布した場合の反射光(測定光)の反射率の波長依存性を示すグラフである。
【図3】アクリル系接着剤を対象物表面1s上に塗布した場合の樹脂による吸光度の波長依存性を示すグラフである。
【図4】アクリル系接着剤を対象物表面1s上に塗布した場合の樹脂による強度比(I2/I1)の時間微分値と度合いXの時間依存性を示すグラフである。
【図5】アクリル系接着材の硬化進行度(%)と、アクリル系接着剤に照射される紫外線の積算光量(mJ/cm2)との関係を示すグラフである。
【図6】演算装置10rの制御を示すフローチャートである。
【図7】 1に示した樹脂硬化度測定装置に測定光直接検出光学系を付加した樹脂硬化度測定装置の構成図である。
【符号の説明】
1…対象物、1s…対象物表面、2…硬化促進手段(紫外線光源)、10a…ハウジング、10h,10i、10H…フィルタ、10I…フィルタ、10e,10f,10g…光ファイバ、10F,10G…光ファイバ、10m,10n…光検出器、10M,10N…光検出器、10d…整形光学系、10…樹脂硬化度測定装置、10c…測定光出射光源、10j,10k…集光レンズ、10J…集光レンズ、10K…集光レンズ、10b…電源、RSN…紫外線硬化樹脂。

Claims (5)

  1. 対象物表面上に塗布された樹脂の硬化を促進させる硬化促進手段と共に用いられる樹脂硬化度測定装置において、
    前記対象物表面で反射された又はこれを透過した測定光を第1及び第2測定光に分岐する分岐手段と、この分岐手段によって分岐した第1測定光の第1波長成分、第2測定光の第2波長成分をそれぞれ選択的に通過させる第1及び第2フィルタと、前記第1及び第2フィルタを通過した第1及び第2波長成分をそれぞれ検出する第1及び第2光検出器と、前記第1及び第2光検出器の出力信号が入力される制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    (a)前記樹脂塗布後であって前記硬化促進手段の駆動期間前に前記対象物表面で反射された又はこれを透過した測定光を前記第1及び第2光検出器で検出した場合の前記第1及び第2光検出器の出力信号間の相対値と、
    (b)前記樹脂塗布後であって前記硬化促進手段の駆動期間中に前記対象物表面で反射された又はこれを透過した測定光を前記第1及び第2光検出器で検出した場合の前記第1及び第2光検出器の出力信号間の相関値と、
    (c)前記樹脂塗布前に固体からなる前記対象物表面で反射された又はこれを透過した測定光を前記第 1 及び第 2 光検出器で検出した場合の前記第 1 及び第 2 光検出器の出力信号と、
    に基づいて、度合いXを演算することを特徴とする樹脂硬化度測定装置。
  2. 前記工程(a)における出力信号をA2,B2、前記工程(b)における出力信号をAs,Bs、前記工程(c)における出力信号をA1,B1、既知係数をKoとした場合、度合いXは以下の式:
    Figure 0003839703
    で与えられることを特徴とする請求項1に記載の樹脂硬化度測定装置。
  3. 前記制御装置は、既に硬化した樹脂を表面上に有する対象物を標準サンプルとし、この標準サンプルに測定光を照射した場合の前記第1及び第2検出器の出力信号に基づいて既知係数Koを決定することを特徴とする請求項2に記載の樹脂硬化度測定装置。
  4. 前記硬化促進手段は紫外線光源であり、前記第1及び第2フィルタは紫外線以外の波長帯から選択される波長を前記第1及び第2波長成分として透過させるフィルタであり、前記樹脂は紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂硬化度測定装置。
  5. 前記制御装置は、度合いXが以下の条件:
    Figure 0003839703
    を満たした場合に前記硬化促進手段を停止させる制御信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の樹脂硬化度測定装置。
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