JP3839525B2 - 倉庫用固定式消火設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の大規模立体自動倉庫として知られた倉庫用固定式消火設備に関し、特に、可能な限り定常監視状態で管内に消火用水を入れておかないようした乾式の倉庫用固定式消火設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、荷物の収納、保管、配送といった倉庫業務を自動化した立体自動倉庫が広範に普及しており、荷物の収納数で見ると数千パレットから1万パレットを越える規模の大きなものもある。
このような倉庫設備にあっては、空間の有効利用を図るため、天井が高く比較的規模の大きいものが多い。また運用コストを低減するため、夜間は無人となることが多い。このような倉庫設備を対象とした固定式の消火設備としては、現在、閉鎖型スプリンクラー消火設備が主流となっている。
【0003】
図8は従来の倉庫用の閉鎖型スプリンクラー消火設備である。倉庫100内には、上下および左右方向に多数の荷棚101が設置され、各荷棚101にはパレットに搭載された荷物がスタッカークレーン等により搬送されて収納される。荷棚101の各々には、閉鎖型スプリンクラーヘッド103が設置される。
閉鎖型スプリンクラーヘッド103は、外部に設置した消火ポンプ104から引き出された給水本管105に対し分岐管106によって接続される。消火ポンプ104にはモータ107が設けられる。また消火ポンプ104からの給水本管105は圧力タンク109に分岐接続され、定常監視状態で給水本管105の管内圧力を規定値に保っている。
【0004】
荷棚101のいずれかで荷物等の火災が起きると、その場所に設置している閉鎖型スプリンクラーヘッド103が火災による熱を受けて作動し、消火用水を散水する。このため管内の圧力が低下し、この圧力低下を圧力タンク109に設けている圧力スイッチ110で検出し、ポンプ制御盤111によりモータ107を起動し、消火ポンプ104の運転による消火用水を加圧供給し、作動した閉鎖型スプリンクラーヘッドからの散水で消火する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の閉鎖型スプリンクラー消火設備にあっては、多数の棚に荷物が収納されている倉庫の火災では、棚の荷物が燃えてその荷物を防護するスプリンクラーヘッドが作動した時点では、隣接する荷物にも炎が移っており、火災を起こした荷物もかなり燃えている状況にあり、1個のスプリンクラーの作動だけでは、有効な消火能力を発揮できないことが火災実験を通して確認されている。
【0006】
即ち、火災発生場所のスプリンクラーヘッドが作動したときは、既に火災が大きくなっており、隣接する荷物に燃え移ってしまっている。続いて隣接する荷物を防護するスプリンクラーヘッドが作動するが、このときには更に隣接する荷棚に延焼し、次の火災が広がってゆく。更に、スプリンクラーヘッドの作動数が増加すると、ヘッド1個当りの散水量が減って所定の消火性能が得られなくなる。その結果、倉庫内の荷棚が全焼してしまうことがあった。
【0007】
また仮に火災を鎮火したとしても、火災の拡大に応じてスプリンクラーヘッドの作動個数が増加することで、それに伴う消火用水の散水量も増加し、荷物に対する二次的な水による損害も大きくなってしまう問題がある。
更に、収納パレット数で決まる防護区画の数が膨大になるため、スプリンクラーヘッドが作動していても、火災の発生場所を容易に判断することができず、消防による消火に手間取り、所定量の水源も早期に枯渇してしまい、全焼となってしまう恐れがあった。
【0008】
また倉庫内の荷棚にスプリンクラー消火設備を設置している空間は、一般には空調されておらず、冬季や寒冷地では、スプリンクラー消火設備の配管内の消火用水が凍結し、火災時に有効な消火活動ができない恐れがあった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、電気的な制御を必要とすることなく、倉庫内の荷棚火災に対し抑制と防護が確実にできる倉庫用固定式消火設備を提供することを目的とする。
【0009】
更に、本発明は、冬季や寒冷地であっても配管内の消火用水の凍結による作動不良を確実に防止できる信頼性の高い倉庫用固定式消火設備を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。本発明は、複数の荷棚を上下および左右方向に配列した倉庫用固定式消火設備であり、まず複数の荷棚を上下方向の複数の棚単位にグループ化し、1又は複数の該荷棚グループ毎に設置され、火災によって開放作動する閉鎖型の感知用スプリンクラーヘッドと、荷棚グループの1又は複数グループを1つの防護区画とし、各防護区画毎に設置された消火用スプリンクラーヘッドを設置する。
【0011】
またコンプレッサ設備から防護区画毎に分岐され、感知用スプリンクラーヘッドに加圧空気を供給するエアー配管が設けられる。このエアー配管には、制御弁が設けられる。制御弁は、エアー配管の加圧空気をパイロット圧として導入して弁を閉鎖し、感知用スプリンクラーヘッドの開放作動によるパイロット圧の減圧によって弁を開放する。制御弁は消火用水の分岐管に設けた一斉開放弁を制御する。
【0012】
一斉開放弁は、ポンプ設備の給水本管から分岐された分岐管に設けられ、一次側に消火ポンプ設備からの加圧消火用水を供給すると共に二次側を消火用スプリンクラーヘッドに接続する。更に一斉開放弁の一次側を制御弁を介してパイロットポートに接続し、制御弁の開放により一次側の加圧消火用水をパイロット圧として受けた際に弁を開放し、消火用スプリンクラーヘッドに消火用水を通水する。
【0013】
このような本発明の倉庫用固定式消火設備にあっては、感知用スプリンクラーヘッドの配管は、全て圧縮空気を充填したエアー配管であることから、感知用スプリンクラーヘッドの配管系統の凍結は全くなく、冬季や寒冷地であっても、確実に火災を検知して作動できる。特に感知用スプリンクラーヘッドの配管系統は、消火用水の配管系統に比べ細い配管を使用しているために、消火用水を使用すると凍結する可能性が高いが、本発明は、このような凍結の問題を完全に解消する。
また消火用水は一斉開放弁の一次側まで入っているが、一斉開放弁の二次側から消火用スプリンクラーヘッドまでは空配管であり、一斉開放弁の一次側までの配管は、倉庫内の棚が並んだ凍結を起し易い空間ではなく、倉庫の床面に沿った配管であり、消火用水を充満していても、凍結の可能性はかなり低い。
【0014】
更に本発明にあっては、制御弁と一斉開放弁を少なくとも1つおきの前記防護区画毎に設け、一斉開放弁の二次側を自己の防護区画に設置した開放型スプリンクラーヘッドの配管を接続すると共に、制御弁及び一斉開放弁を設けていない防護区画については、両側に位置する他の防護区画の一斉開放弁の二次側に消火用スプリンクラーヘッドを逆止弁を介して接続し、パイロットポートに接続した感知用スプリンクラーヘッドの作動時の一斉開放弁の弁開放で自己の防護区画及びそれに隣接する防護区画に散水する。
【0015】
このような構成にすることよって、設備構成を簡単にすることができると共に火災が発生した荷棚に対する消火用スプリンクラーヘッドからの散水と同時に、火災が発生した荷棚を取り囲む形で隣接する防護区画の消火用スプリンクラーヘッドからの散水が行われ、火災の抑制と早い段階で周囲を濡らすことによる火災の拡大防止を確実に図ることができる。
【0016】
また一斉開放弁を開放制御する制御弁としては、エアー配管の減圧により開放作動するエアーシリンダ弁を用いる。
【0017】
更に本発明は、制御弁の代りに減圧開型の一斉開放弁を使用することができる。即ち、感知用の減圧開型の一斉開放弁と消火用の加圧開型の一斉開放弁の組合せとする。減圧開型の一斉開放弁は、コンプレッサ設備からのエアー配管を一次側に接続すると共にパイロットポートをエアー配管を介して感知用スプリンクラーヘッドに接続し、感知用スプリンクラーヘッドの開放作動によるパイロット圧の減圧によって減圧開型一斉開放弁を開放して二次側に空気圧を供給する。
【0018】
加圧開型一斉開放弁は、ポンプ設備の給水本管から分岐された分岐管に設けられ、一次側に消火ポンプ設備からの加圧消火用水を供給すると共に二次側を消火用スプリンクラーヘッドに接続し、更にパイロットポートを減圧開型一斉開放弁の二次側に接続し、減圧開型一斉開放弁の開放による空気圧をパイロット圧として受けた際に加圧型一斉開放弁を開放し、消火用スプリンクラーヘッドに消火用水を通水する。
【0019】
この場合には、消火用水を通水する加圧開型一斉開放弁のパイロット配管までを乾式とすることができ、パイロット配管系統の凍結がなくなることで、火災時の作動をより一層確実にすることができる。
また隣接する防護区画から連動して散水するため、防護区画の感知用スプリンクラーヘッドに制御弁のパイロットポートを接続したエアー配管を、隣接する防護区画に設置された感知用スプリンクラーヘッドのエアー配管に連動配管により逆止弁を介して接続する。この連動配管によって、自己の防護区画の感知用スプリンクラーヘッドの作動時に隣接する防護区画の制御弁と一斉開放弁を連動制御して各消火用スプリンクラーヘッドから消火用水を散水させることができ、火災を起こした棚を取り囲むように散水する。
【0020】
本発明の倉庫用固定式消火設備で使用する感知用スプリンクラーヘッドは閉鎖型スプリンクラーヘッドであり、また消火用スプリンクラーヘッドは、開放型スプリンクラーヘッド又は泡ヘッドである。このように既存のヘッドを使用することでコスト低減と信頼性が確保できると共に、容易に乾式泡消火設備も構成できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による乾式構造を特徴とした倉庫用固定式消火設備の第1実施形態の説明図である。
図1において、倉庫内には上下方向及び左右方向に、多数の荷棚1a,1b,1c,1d,・・・のように例えば2段に配列されている。各荷棚1a〜1dにはパレットに搭載された荷物が、スタッカークレーン等により搬送され収納される。この実施形態にあっては、荷棚1a,1b,1c,1d,・・・のそれぞれを1つの防護区画として、消火用スプリンクラーヘッド2a,2b,2c,2d,・・・を設置している。
【0022】
ここで消火用スプリンクラーヘッド2a〜2dを設置する防護区画は、1つの荷棚に限定されず、必要に応じて上下方向及び左右方向に並んだ複数の荷棚をグループ化し、グループごとに防護区画を設定して消火用スプリンクラーヘッドを設置することもできる。この実施形態にあっては、上下2段に並んだ2つの荷棚を1つの防護区画として消火用スプリンクラーヘッドが設置されている。
【0023】
消火用スプリンクラーヘッド2a〜2dに対しては、1つおきに一斉開放弁5a,5cが設けられている。即ち、荷棚1aに設置した消火用スプリンクラーヘッド2aに対し一斉開放弁5aが設けられ、荷棚1bに設置した消火用スプリンクラーヘッド2bを1つおいた次の荷棚1cの消火用スプリンクラーヘッド2cに対し一斉開放弁5cを設けている。
【0024】
一斉開放弁5aの1次側は、消火ポンプ設備の給水本管12に対し分岐管13a,13cによって接続される。消火ポンプ設備は消火ポンプ11、圧力タンク14、圧力スイッチ15、ポンプ制御盤16、高架水槽17、モータ18、水源水槽19で構成される。
消火ポンプ11の吐出側に接続した給水本管12からは、一斉開放弁5a,5cごとに分岐管13a,13cが引き出され、仕切弁4a,4cを介して一斉開放弁5a,5cを接続している。一斉開放弁5a,5cの二次側は仕切弁6a,6cを介して、それぞれの消火用スプリンクラーヘッド2a,2cに接続される。
【0025】
一斉開放弁5a,5cを設けていない荷棚1b,1dの消火用スプリンクラーヘッド2b,2dに対しては、連動配管26ab,26bc,26cd,26deによる連動接続が行われる。即ち、一斉開放弁5aの二次側からの配管を、逆止弁27abを介して連動配管26abにより荷棚1bの消火用スプリンクラーヘッド2bに接続している。このため、一斉開放弁5aが開放されると消火ポンプ設備からの消火用水は荷棚1a,1bの消火用スプリンクラーヘッド2a,2bから散水されることになる。
【0026】
また一斉開放弁5cの二次側の配管は、連動配管26bc,26cdに設けた逆止弁27bc,27cdのそれぞれを介して、荷棚1b,1dに設置した消火用スプリンクラーヘッド2b,2dに接続されている。このため、一斉開放弁5cが開放すると消火ポンプ設備からの消火用水は消火用スプリンクラーヘッド2b,2c,2dの3つから散水されることになる。
【0027】
ここで消火用スプリンクラーヘッド2a〜2dとしては、通常のスプリンクラー消火設備で使用している開放型スプリンクラーヘッドを使用することができる。また通常の泡消火設備で使用している泡ヘッドを使用してもよい。これ以外にも開放型のヘッドであれば適宜の構造のものが使用できる。
一斉開放弁5a,5cを設置している荷棚1a,1bの各防護区画には感知用スプリンクラーヘッド3a,3cが設置されている。感知用スプリンクラーヘッド3a,3cとしては、スプリンクラー消火設備で使用されている火災による熱を受けて作動する閉鎖型スプリンクラーヘッドを使用することができ、通常の閉鎖型スプリンクラーヘッドに比べ感熱作動する作動温度を例えば65℃というように低めに設定しておいてもよい。
【0028】
感知用スプリンクラーヘッド3a,3cに対し本発明にあっては、コンプレッサ21のエアー配管20から分岐された分岐エアー配管23a,23cをそれぞれ接続している。エアー配管20から分岐した分岐エアー配管23a,23cの分岐部分には、オリフィス24a,24cと逆止弁25a,25cが設けられている。逆止弁25a,25cの二次側には、一斉開放弁5a,5cの制御弁として作動するエアーシリンダ弁8a,8cが設けられている。
【0029】
エアーシリンダ弁8aは、そのパイロットポートに逆止弁25a,25cの二次側の分岐エアー配管23aを接続しており、定常監視状態にあっては、感知用スプリンクラーヘッド3a,3cは閉鎖状態にあることから、コンプレッサ21より供給された規定の空気圧が管内に充填されており、この空気圧をパイロット圧としてエアーシリンダ弁8a,8cは導入し、弁を閉鎖状態に維持している。
【0030】
火災により感知用スプリンクラーヘッド3a,3cが作動すると、分岐エアー配管23a,23c内の空気が排出され、エアーシリンダ弁8a,8cに対するパイロット圧が減圧し、閉鎖状態にあったエアーシリンダ弁8a,8cが開放する。
エアーシリンダ弁8a,8cは、一斉開放弁5a,5cの一次側とパイロットポートとの間に接続されている。定常監視状態でエアーシリンダ弁8a,8cは閉鎖状態にあり、このため一斉開放弁5a,5cのパイロットポートに対する一次側からの加圧消火用水の供給は遮断され、パイロット圧は零となり、弁を閉鎖状態としている。これに対し感知用スプリンクラーヘッド3a,3cの作動による減圧でエアーシリンダ弁8a,8cが開放すると、一次側の加圧消火用水が一斉開放弁5a,5cのパイロットポートに供給され、パイロット圧の加圧により弁が開放作動される。
【0031】
一斉開放弁5a,5cの仕切弁6a,6cを経由した二次側には、圧力スイッチ7a,7cが設けられる。圧力スイッチ7a,7cは一斉開放弁5a,5cが開放したときの消火用水の通水による圧力を検出し、検出信号Ea,Ecを中継器28に出力し、この検出信号を受けて中継器28は制御盤29に散水検出信号を出力し、散水表示を行わせる。尚、圧力スイッチ7a,7cの代りに、エアーシリンダ弁8a,8c又は一斉開放弁5a,5cに設けたシリンダ内のピストンによるロッドの動きを検出するリミットスイッチによって、散水検出信号を得るようにしてもよい。
【0032】
また一斉開放弁5a,5cに設けたエアーシリンダ弁8a,8cと並列に手動開放弁9a,9cが設けられ、手動開放弁9a,9cを現場で開くことで一次側の加圧消火用水をパイロットポートに供給して、一斉開放弁5a,5cの手動開放を可能としている。更に一斉開放弁5a,5cのパイロットポートは、排水弁10a,10bに接続されて水抜きを可能としている。
【0033】
更にコンプレッサ21からのエアー配管20には圧力スイッチ22が設けられ、エアー配管20内の空気圧が規定圧力を下回ると検出信号E2をコンプレッサ21に出力して運転し、規定圧力に回復すると検出信号E2の出力を停止してコンプレッサ21を停止する。また圧力スイッチ22の検出信号E2はポンプ制御盤16にも与えられており、必要に応じて空気圧の検出信号をポンプ制御のインターロック等に使用することができる。
【0034】
図2は図1のパイロット圧の加圧により開放する一斉開放弁5a,5cの具体的な構造の断面図である。図2において、一斉開放弁5は一次側の仕切弁4に続いて設けられ、一次側と二次側を開閉するディスク35を連結するロッド32にピストン30を設け、ピストン30の外側にシリンダ室33を形成している。ディスク35は外部ロッド37を有し、スプリング36により図示の閉鎖位置に保持される。
【0035】
ピストン30の外側のシリンダ室33にはパイロット配管34が接続され、このパイロット配管34はエアーシリンダ弁8を介して一斉開放弁5の一次側に接続される。またエアーシリンダ弁8と並列に手動開放弁9を接続し、更に手動開放弁とエアーシリンダ弁8の二次側には排水弁10が設けられている。
一斉開放弁5は定常監視状態でエアーシリンダ弁8が分岐エアー配管23による空気圧の供給で閉じており、排水弁10による水抜きでエアーシリンダ弁8の二次側は空配管となり、シリンダ室33に対する加圧消火用水の供給はないことから、スプリング36によりディスク35が流路を閉じ、この状態で分岐管13となる一次側からの加圧消火用水の供給を受けて閉鎖状態を維持している。
【0036】
感知用スプリンクラーヘッドの開放作動によって分岐エアー配管23の空気圧が減圧するとエアーシリンダ弁8が開き、パイロット配管34に一次側の加圧消火用水が供給され、加圧消火用水のシリンダ室33への導入によりピストン30が押し上げられ、ロッド32を介してディスク35を押し上げて流路を開き、一次側から二次側に消火用水を通水する。
【0037】
図3は図1に設けたエアーシリンダ弁8a,8cの具体的構造の断面図である。図3においてエアーシリンダ弁8は、ボディ40に入口ポート41と出口ポート42を有し、両者の間を仕切る仕切壁に設けた弁座43に対し、弁体44を開閉自在に設けている。弁体44はロッド45に装着され、ロッド45の上部にはピストン47が固定されている。
【0038】
ピストン47はシリンダケース46内にリターンスプリング48に抗して摺動自在に設けられている。ピストン47の上側にはシリンダ室49が形成され、シリンダ室49はシリンダケース46に設けたパイロットポート50に連通している。
エアーシリンダ弁8はパイロットポート50に規定圧力の空気圧が供給された状態でピストン47をスプリング48に抗して押し下げ、弁体44を弁座43に押圧して入口ポート41と出口ポート42の間を閉じている。感知用スプリンクラーヘッドの開放作動によりパイロットポート50に対する空気圧が減圧すると、スプリング48によりピストン47が押し上げられ、弁体44が弁座43から離れて入口ポート41と出口ポート42を連通させる。
【0039】
次に図1の実施形態の動作を説明する。まず定常監視状態にあっては、消火ポンプ設備の給水本管12内の加圧された消火用水は、分岐管13a,13cに設けている一斉開放弁5a,5cの一次側まで供給されている。このため一斉開放弁5a,5cの二次側から消火用スプリンクラーヘッド2a〜2dに至る配管内は、消火用水が入っていない空配管となっている。
【0040】
一方、感知用スプリンクラーヘッド3a,3cに対するエアー配管20及び分岐エアー配管23a,23c内は規定圧力の空気が供給されており、消火用水が入っていない乾式配管となっている。このため、冬季や寒冷地に設置した際に凍結が問題となるのは、一斉開放弁5a,5cの一次側から消火ポンプ11に至る分岐管13a,13c及び給水本管12の部分だけとなる。
【0041】
通常、一斉開放弁5a,5cは、荷棚1aが配列された倉庫内の空間ではなく倉庫の床面もしくは床下部分に設置したトラフ内に設置されており、荷棚1aに比べると冷気の影響を受けにくい比較的温度の下がりにくい部分に設置されているため、一斉開放弁5a,5cの二次側配管に比べると凍結の可能性は極めて低い。
【0042】
また一斉開放弁5a,5cの一次側から消火ポンプ11までの配管は比較的配管長が短く、また荷棚1a側に比べると配管構成がシンプルであることから、配管部分にウレタンを巻き付ける等の凍結防止対策を容易にとることができ、消火用水の凍結防止をより確実に達成できる。
次に図1について、荷棚で火災が発生した場合の動作を説明する。例えば荷棚1cに収納している荷物で火災が発生したとすると、感知用スプリンクラーヘッド3cが火災による熱を受けて開放作動し、分岐エアー配管23cの圧縮空気が排出され、エアーシリンダ弁8cのパイロット圧が減圧して開放作動する。
【0043】
エアーシリンダ弁8cの開放により一斉開放弁5cの一次側の加圧消火用水がパイロットポートに供給され、パイロットポートの加圧により一斉開放弁5cが開放し、一次側から二次側に消火用水を供給する。
一斉開放弁5cの開放で通水した消火用水は、火災が発生した荷棚1cを防護区画として設置している消火用スプリンクラーヘッド2cに供給されて散水され、同時に連動配管26bc,26cdの逆止弁27bc,27cdのそれぞれを介して、分岐管13b,13dに設けている隣接する荷棚1b,1dに設置している消火用スプリンクラーヘッド2b,2dにも供給されて散水される。
【0044】
そして一斉開放弁52の開放で給水本管12の減圧が圧力タンク14の圧力スイッチ15で検出されると、検出信号E1がポンプ制御盤16に与えられ、モータ18の起動により消火ポンプ11の運転を開始し、これによって連続的に消火用スプリンクラーヘッド2a,2bから散水が行われる。
このため、火災が発生した荷棚1cに対する消火用スプリンクラーヘッド2cからの散水と同時に、火災が発生した荷棚1cを取り囲む形で両側の消火用スプリンクラーヘッド2b,2dからの散水が行われ、火災の抑制と早い段階で周囲を濡らすことによる火災の拡大防止を確実に図る。
【0045】
図4は乾式構造を特徴とした本発明による倉庫用固定式消火設備の第2実施形態であり、この実施形態にあっては、分岐管ごとに設けた一斉開放弁に対し更に給水本管側に統括制御弁を設けたことを特徴とする。
図4において、給水本管12に対し分岐された分岐管13a,13c以降については図1の実施形態と同じであり、分岐管13a,13cに一斉開放弁5a,5cを設け、また一斉開放弁5a,5cを感知用スプリンクラーヘッド3a,3cの火災による開放作動による分岐エアー配管23a,23cの減圧で加圧開制御するエアーシリンダ弁8a,8cを設けている。
【0046】
この第2実施形態にあっては、更に分岐管13a,13cに至る給水本管12の部分に統括制御弁を構成する一斉開放弁52と電動弁54を設けている。一斉開放弁52は給水本管12に設けられ、その一次側とパイロットポートとの間に電動弁54を設けている。また電動弁54と並列に手動開放弁55が接続される。
【0047】
電動弁54は荷棚1a〜1dを含む防護区画に対し設置した火災感知器56a〜56dの発報による火災検出信号E3を中継器28で受信した際に、中継器28から出力される制御信号E4により開放作動され、一次側の消火用水を一斉開放弁52のパイロットポートに供給して開放作動させる。
図4の統括制御弁としての一斉開放弁52及び電動弁54を設けた第2実施形態にあっては、定常監視状態で消火用水を分岐管13a,13cに設けた一斉開放弁5a,5cの一次側まで入れており、二次側は図1の第1実施形態と同様、空配管となっている。また統括制御弁を構成する一斉開放弁52は、電動弁54の閉鎖により一次側の加圧消火用水の供給が断たれることで閉鎖状態に初期設定されている。
【0048】
次に荷棚で火災が発生したときの動作を説明する。例えば荷棚1aに収納した荷物で火災が発生し、感知用スプリンクラーヘッド3aが火災による熱を受けて開放作動し、分岐エアー配管23aからの圧縮空気の排出によりエアーシリンダ弁8aが開放され、一次側の加圧消火用水が一斉開放弁5aのパイロットポートに加わることで、一斉開放弁5aも開放作動され、二次側の分岐管13aから消火用スプリンクラーヘッド2aに消火用水を供給し、散水を開始する。
【0049】
また連動配管26abから分岐管13bを介して、隣接する荷棚1bの消火用スプリンクラーヘッド2bからも散水させる。また一斉開放弁5aの開放による消火用水の圧力を受けて圧力スイッチ7aが作動し、検出信号Eaを中継器28に出力し、制御盤29において消火用スプリンクラーヘッド2aからの散水作動が表示される。
【0050】
しかしながら、この状態では給水本管12に設けた統括制御弁を構成する一斉開放弁52は閉鎖状態にあるため、一斉開放弁52から一斉開放弁5a,5cの一次側までの配管内に充填されている加圧消火用水しか放水されず、その内に消火用水の圧力が減圧し、圧力スイッチ7aが復旧して検出信号Eaがなくなる。引き続いて、火災が発生した荷棚1aの防護区画に設けている火災感知器56aが発報したとすると、火災検出信号E3が中継器28に与えられ、これを受けて中継器28は制御信号E4を電動弁54に出力し、電動弁54を開放する。電動弁54を開放すると、一斉開放弁52の一次側の加圧消火用水がパイロットポートに供給され、一斉開放弁52が開放され、給水本管12からの消火用水の供給が開始される。そして一斉開放弁52の開放で給水本管12の減圧が圧力タンク14の圧力スイッチ15で検出されると、検出信号E1がポンプ制御盤16に与えられ、モータ18の起動により消火ポンプ11の運転を開始し、これによって連続的に消火用スプリンクラーヘッド2a,2bから散水が行われる。
【0051】
この図4の給水本管に火災感知器からの火災検出信号により開放制御される統括制御弁としての一斉開放弁52及び電動弁54を設けた第2実施形態は、火災検出信号によるシングルインターロックを駆けた予作動式消火設備としての機能を備えたことに相当する。また定常監視状態における消火用水の配管内の入り方は図1の第1実施形態と同じであり、分岐管13a,13cに設けた一斉開放弁5a,5cの一次側に限定されることから、同様にして凍結防止高架が十分に期待できる。
【0052】
図5は、本発明による倉庫用固定式消火設備の第3実施形態の説明図である。この第3実施形態にあっては、構成そのものは図4の第2実施形態と同じであるが、統括制御弁を構成する一斉開放弁52と制御弁54の制御として、火災感知器からの火災検出信号に加え分岐エアー配管23に設けた圧力スイッチ22からの空気圧低下の検出信号をインターロックの条件に加え、火災検出信号とエアー配管の空気圧低下の検出信号の両方が得られたときに統括制御弁を開放制御するようにしたことを特徴とする。
【0053】
図5において、給水本管12に設けた統括制御弁を構成する一斉開放弁52及び電動弁54は、図4の第2実施形態と同じであるが、中継器28に対しては荷棚1a〜1dの各防護区画に設けた火災感知器56a〜56dからの火災検出信号E3に加え、更にコンプレッサ21からのエアー配管23に設けている圧力スイッチ22からの減圧検出信号E2を供給している。
【0054】
中継器28にあっては、火災検出信号E3と空気圧の減圧検出信号E2の論理積を判断しており、両方が得られたときに電動弁54に対し制御信号E4を出力して開放制御し、これによって一次側の加圧消火用水をパイロットポートに供給して一斉開放弁52を開放作動させる。
更に図5の第3実施形態にあっては、定常監視状態における消火用水は給水本管12に設けた一斉開放弁52の一次側までしか入れておらず、一斉開放弁52の二次側から消火用スプリンクラーヘッド2a〜2dに至る配管は全て空配管としている。このため消火用水の凍結防止の効果は、図4の第2実施形態に比べ更に確実なものとできる。
【0055】
次に図5の第3実施形態における火災発生時の動作を説明する。いま荷棚1aに収納している荷物で火災が発生したとすると、火災による熱を受けて感知用スプリンクラーヘッド3aが開放作動し、分岐エアー配管23aの加圧空気が排出され、エアーシリンダ弁8aが開放する。
しかしながら一斉開放弁5aの一次側は空配管となっているため、一次側とパイロットポートはエアーシリンダ弁8aの開放により連通しても一斉開放弁5aは閉鎖状態を維持している。一方、コンプレッサ21からの分岐エアー配管23の圧力は、感知用スプリンクラーヘッド3aの開放作動による減圧の影響をオリフィス24aを介して徐々に受け、ある時間遅れをもって圧力スイッチ22が作動し、空気圧の減圧検出信号E2を中継器28に出力する。
【0056】
引き続いて、火災が発生した荷棚1aの防護区画に設置している火災感知器56aが発報し、中継器28に火災検出信号E3を出力する。中継器28は圧力スイッチ22からの減圧検出信号E2と火災感知器56aからの火災検出信号E3の両方を受けたことで、電動弁54に対し制御信号E4を出力し、電動弁54を開放制御する。
【0057】
電動弁54が開放すると一次側の加圧消火用水が一斉開放弁52のパイロットポートに供給され、一斉開放弁52が開放し、一次側から二次側に消火用水を通水する。このとき火災が発生した荷棚1aに対応して設けている一斉開放弁5aは既に開放されていることから、消火用水は一斉開放弁5aを通って消火用スプリンクラーヘッド2a、更に連動配管26aを介して、隣接する消火用スプリンクラーヘッド2bに供給され、散水が開始される。
【0058】
更に一斉開放弁52の開放による給水本管12の減圧が圧力タンク14に設けた圧力スイッチ15で検出され、検出信号E1をポンプ制御盤16に供給することで、モータ18の起動により消火ポンプ11の運転が開始され、連続して消火用スプリンクラーヘッド2a,2bからの消火用水の散水を行う。
ここでポンプ制御盤16は、圧力タンク14に設けた圧力スイッチ15による給水本管12の圧力減の検出信号E1でモータ18の起動による消火ポンプ11の運転を開始しているが、更に電動弁54の場合と同様、分岐エアー配管23の減圧を検出する圧力スイッチ22からの検出信号E2と圧力タンク14の圧力スイッチ15からの検出信号E1の両方が得られたときに、モータ18の起動による消火ポンプ11の運転を開始するようにしてもよい。
【0059】
図6は本発明の倉庫用固定式消火設備の第4実施形態の説明図である。この第4実施形態にあっては、図1の第1実施形態で分岐管の一斉開放弁5a,5cの制御に設けていたエアーシリンダ弁8a,8cの代わりに、空気圧の供給で作動する減圧開型一斉開放弁を使用したことを特徴とする。
また図1の第1実施形態にあっては、防護区画の1つおきに一斉開放弁を設けていたが、図6の第4実施形態にあっては、防護区画の1対1に対応して一斉開放弁を設けるようにしたことを特徴とする。
【0060】
図6において、消火ポンプ設備の給水本管12からは荷棚1a,1b,1c,・・・の各防護区画に対応して、加圧開型の一斉開放弁60a,60b,60cを設けている。この加圧開型の一斉開放弁60a〜60cは図1の第1実施形態における一斉開放弁5a,5cと同じものであり、例えば図2のような具体的構造を有する。一斉開放弁60a〜60cに対しては、その制御弁として減圧開型一斉開放弁62a,62b,62cが設けられる。
【0061】
例えば減圧開型一斉開放弁62aを例にとると、コンプレッサ21のエアー配管20からの分岐エアー配管23aは、オリフィス63a及び逆止弁64aを介して減圧開型一斉開放弁62aの一次側に接続している。減圧開型一斉開放弁62aの二次側は、加圧開型一斉開放弁60aのパイロットポートにパイロット配管74aにより接続される。
【0062】
パイロット配管74aは更に排水弁10aが接続される。減圧開型一斉開放弁62aのパイロットポートは、逆止弁ユニット66aを介して荷棚1aの防護区画に設けた感知用スプリンクラーヘッド3aに接続されている。更に加圧開型一斉開放弁60aの一次側とパイロットポートの間には、手動開放弁65aが接続される。
【0063】
このような加圧開型一斉開放弁60aと減圧開型一斉開放弁62aの構成は、荷棚1b,1cに対応して設けた加圧開型一斉開放弁60b,60cと減圧開型一斉開放弁62b,62cについても同じである。
逆止弁ユニット66a,66b,66cは4つの逆止弁をユニット化しており、垂直方向の接続に対し横方向で他の防護区画の感知用スプリンクラーヘッドとの間を連動配管により接続することで、減圧開型一斉開放弁62a〜62cの連動による開放作動を行わせるようにしている。
【0064】
例えば荷棚1bに対応して設けた減圧開型一斉開放弁60bに対し接続した逆止弁ユニット66bを見ると、連動配管68abによって左側の逆止弁を隣接する荷棚1aの逆止弁ユニット66aの出力ポートに接続している。このため、荷棚1aに設けている感知用スプリンクラーヘッド3aが作動すると、減圧開型一斉開放弁62aのパイロット圧が減圧すると同時に、連動配管68ab及び逆止弁ユニット66bを介して、隣接する荷棚1bに対応して設けた減圧開型一斉開放弁62bのパイロット圧も減圧し、減圧開型一斉開放弁62a,62bが同時に開放作動される。
【0065】
また逆止弁ユニット66bの右側の逆止弁のポートは連動配管68bcを介して、荷棚1cに対応して設けた減圧開型一斉開放弁62cの逆止弁ユニット66cの出力ポートに接続されている。このため、荷棚1cに設けている感知用スプリンクラーヘッド3cが火災により開放作動した場合、減圧開型一斉開放弁62cのパイロット圧が減圧すると同時に、連動配管68bc及び逆止弁ユニット66bを介して減圧開型一斉開放弁62bのパイロット圧も減圧し、一斉開放弁62b,62cが開放作動することになる。
【0066】
この点は荷棚1aに対応して設けた逆止弁ユニット66a及び荷棚1cに対応して設けた逆止弁ユニット66cについても同じであり、隣接する逆止弁ユニットとの間に相互に連動配管68ab,68bc,68cdによる相互接続を行っている。
更に、加圧開型一斉開放弁60a〜60cの二次側には圧力スイッチ7a〜7cが設けられ、加圧開型一斉開放弁60〜60cの開放による消火用水の通水による圧力を検出して、検出信号Ea〜Ecを中継器28に出力し、制御盤29において消火用スプリンクラーヘッド2a〜2cの散水表示ができるようにしている。
【0067】
図7は図6の第4実施例に設けた減圧開型一斉開放弁62a〜62cの具体的構造の断面図である。
図7において、減圧開型一斉開放弁62は一次側に分岐エアー配管23を接続し、二次側を加圧開型一斉開放弁60のパイロットポートに接続するパイロット配管74を接続している。減圧開型一斉開放弁62には一次側と二次側を仕切るディスク76が設けられており、ディスク76に対してはシリンダ室78に設けたピストン80が連結され、ピストン80はスプリング82により流路を閉鎖する位置に押されている。シリンダ室78には感知用スプリンクラーヘッド3を接続した分岐エアー配管70が接続されている。更に一次側からシリンダ室78に対しては通気孔86が設けられている。
【0068】
定常監視状態にあっては、一次側の分岐エアー配管23からの加圧空気の供給を受けて通気孔86からシリンダ室78に圧縮空気が導入され、更に感知用スプリンクラーヘッド3が閉鎖状態にあることから分岐エアー配管70に圧縮空気が充填されている。このためピストン80の上下の圧力は等しく、ピストン80はスプリング82により押圧されて図示の位置に押し下げられており、これによりディスク76を弁座に押圧して減圧開型一斉開放弁62の一次側と二次側を閉鎖している。
【0069】
火災により感知用スプリンクラーヘッド3が開放作動すると、分岐エアー配管70内の圧縮空気が排出され、シリンダ室78が減圧し、ピストン80の下側に一次側の圧縮空気が導入されていることから、一次側の圧縮空気によりピストン80が押圧されて上方に移動する。
これによってディスク76を開いて一次側と二次側を連通し、一次側の分岐エアー配管23の加圧空気を二次側のパイロット配管74に供給し、パイロット配管74を接続している加圧開型一斉開放弁のパイロットポートにパイロット用の空気圧を供給し、加圧により加圧開型一斉開放弁60を開放作動させる。
【0070】
次に図6の第4実施形態の動作を説明する。定常監視状態にあっては、加圧開型一斉開放弁60a〜60cの一次側まで消火用水が入っており、二次側は空配管となっている。また減圧開型一斉開放弁62a〜62cについては、コンプレッサ21のエアー配管20からの空気圧の供給を一次側に受け、パイロットポートから分岐エアー配管70a〜70cに空気圧を供給し、感知用スプリンクラーヘッド3a〜3cが閉鎖状態にあることから、エアー配管の内部圧力を規定圧力に保持し、このため規定圧力を超えるパイロット圧を受けて減圧開型一斉開放弁62a〜62cは弁閉鎖状態を維持している。
【0071】
次に荷棚1bに収納している荷物で火災が発生した場合の動作を説明する。火災発生により感知用スプリンクラーヘッド3bが開放作動し、分岐エアー配管70bの加圧空気が排出され、逆止弁ユニット66bを介して減圧開型一斉開放弁62bのパイロット圧が減圧し、減圧開型一斉開放弁62bが開放し、一次側の空気圧を加圧開型一斉開放弁60bのパイロットポートに供給する。この空気圧によるパイロット圧を受けて加圧開型一斉開放弁60bは開放作動し、一次側から二次側に消火用水を通水し、消火用スプリンクラーヘッド2bから散水する。
【0072】
また感知用スプリンクラーヘッド3bの開放作動により、連動配管68ab及び68bc、逆止弁ユニット66a,66cを介して、両側に位置する荷棚1a,1cに対応して設けた加圧開型一斉開放弁60a,60cのパイロット圧が減圧し、減圧開型一斉開放弁62a,62cも開放し、加圧開型一斉開放弁60a,60cにパイロット圧として加圧空気を供給する。したがって加圧開型一斉開放弁60a,60cも開放作動し、一次側から二次側に消火用水を通水し、火災を発生した荷棚1bの両側に位置する消火ヘッド2a,2cからも消火用水を散水する。
【0073】
もちろん加圧開型一斉開放弁60a〜60cの開放作動による消火用水の通水で給水本管12の圧力が減圧し、圧力タンク14の圧力スイッチ15が作動して検出信号E1を出力し、ポンプ制御盤16はモータ18を起動して、消火ポンプ12の運転により連続的に消火用スプリンクラーヘッド2a〜2cから消火用水を散水させることになる。
【0074】
また、図6の減圧開型一斉開放弁62a〜62cを用いた第4実施形態にあっては、図1の第1実施形態と同様、消火用水は加圧開型一斉開放弁60a〜60cの一次側まで入っており、加圧開型一斉開放弁60a〜60cの二次側となる荷棚の配置空間の配管には消火用水がないことから、消火用水の凍結防止を十分に図ることができる。更に、また感知用スプリンクラーヘッド3a〜3c側の配管は全てエアー配管であることから、消火用水による凍結の問題は全くない。
【0075】
尚、図6の実施形態は図1の第1実施形態のエアーシリンダ弁を減圧開型一斉開放弁に代替したものであるが、同様に図4の第2実施例、図5の第3実施例についても全く同様にして、エアーシリンダ弁を減圧開型一斉開放弁に換えるようにしてもよい。
【0076】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、感知用のヘッド配管は全て圧縮空気を充填したエアー配管であることから、感知用スプリンクラーヘッドの配管系統については凍結の問題は全くなく、冬季や寒冷地であっても確実に火災を検知して作動することができる。
【0077】
また消火用スプリンクラーヘッドに対する配管系は分岐管の一斉開放弁の一次側まで消火用水が入っているが、一斉開放弁の二次側から消火用スプリンクラーヘッドまでは空配管であり、また一斉開放弁の一次側までの配管は棚の並んだ凍結を起こし易い倉庫空間ではなく、床面もしくは床下のトラフ等に配置されており、消火用水を入れていても凍結の可能性はかなり低く、配管にウレタン等を巻いた凍結防止対策も容易であり、冬季や寒冷地であっても凍結を起こすことなく確実に作動できる。
【0078】
逆止弁(逆止弁ユニット)及び連動配管の接続構成により、火災が発生した荷棚に対する消火用スプリンクラーヘッドからの散水と同時に、火災が発生した荷棚を取り囲む形で隣接する防護区画の消火用スプリンクラーヘッドからの散水が行われ、火災の抑制と早い段階で周囲を濡らすことによる火災の拡大防止を確実に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の説明図
【図2】図1の一斉開放弁の構造断面図
【図3】図1のエアーシリンダ弁の構造断面図
【図4】統括制御弁を設けた本発明の他の実施形態の説明図
【図5】統括制御弁にダブル・インターロックを掛けた本発明の他の実施形態の説明図
【図6】図1の制御弁を減圧開型一斉開放弁に換えた本発明の他の実施形態の説明図
【図7】図6の減圧開型一斉開放弁の構造断面図
【図8】従来設備の説明図
【符号の説明】
1a〜1d:棚
2a〜2d:消火用スプリンクラーヘッド
3a〜3d:感知用スプリンクラーヘッド
5a〜5d:一斉開放弁
8a〜8d:エアーシリンダ弁(制御弁)
11:消火ポンプ
12:給水本管
13a〜13d:分岐管
20:エアー配管
22:圧力スイッチ
23a〜23d:分岐エアー配管
26ab〜26de:連動配管
27ab〜27de:逆止弁
52:統括制御弁
56a〜56d:火災感知器
60a〜60d:加圧開型一斉開放弁
62a〜62d:減圧開型一斉開放弁(制御弁)
66a〜66d:逆止弁ユニット
Claims (2)
- 複数の荷棚を上下および左右方向に配列した倉庫用固定式消火設備に於いて、
1又は複数の荷棚を含む防護区画毎に設けられ、火災によって開放作動する閉鎖型の感知用スプリンクラーヘッドと、
1又は複数の荷棚を含む防護区画毎に設けられ、消火用水を散水する開放型の消火用スプリンクラーヘッドと、
コンプレッサ設備から前記防護区画毎に分岐されたエアー配管と、
前記エアー配管を一次側に接続すると共にパイロットポートをエアー配管を介して前記感知用スプリンクラーヘッドに接続し、前記感知用スプリンクラーヘッドの開放作動によるパイロット圧の減圧によって弁を開放して二次側に空気圧を供給する減圧開型一斉開放弁と、
ポンプ設備の給水本管から分岐された分岐管に設けられ、一次側に前記消火ポンプ設備からの加圧消火用水を供給すると共に二次側を前記消火用スプリンクラーヘッドに接続し、更にパイロットポートを前記減圧開型一斉開放弁の二次側に接続し、前記減圧開型一斉開放弁の開放による空気圧をパイロット圧として受けて弁を開放し、前記消火用スプリンクラーヘッドに消火用水を通水する加圧開型一斉開放弁と、
を備えたことを特徴とする倉庫用固定式消火設備。 - 請求項1記載の倉庫用固定式消火設備に於いて、前記防護区画の感知用スプリンクラーヘッドに前記減圧開型一斉開放弁のパイロットポートを接続したエアー配管を、隣接する防護領域に設置された感知用スプリンクラーヘッドのエアー配管に連動配管により逆止弁を介して接続し、自己の防護区画の感知用スプリンクラーヘッドの作動時に隣接する防護区画の制御弁を連動制御して各消火用スプリンクラーヘッドから消火用水を散水させることを特徴とする倉庫用固定式消火設備。
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---|---|---|---|
JP17634996A JP3839525B2 (ja) | 1996-07-05 | 1996-07-05 | 倉庫用固定式消火設備 |
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JP17634996A JP3839525B2 (ja) | 1996-07-05 | 1996-07-05 | 倉庫用固定式消火設備 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH1015102A JPH1015102A (ja) | 1998-01-20 |
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ID=16012055
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JP17634996A Expired - Lifetime JP3839525B2 (ja) | 1996-07-05 | 1996-07-05 | 倉庫用固定式消火設備 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101978745B1 (ko) * | 2018-09-05 | 2019-05-15 | 정희섭 | 복수의 적재공간들을 갖는 창고용 랙에서 발생한 화재를 진화하기 위한 랙 내의 스프링클러를 이용한 화재 진화 제어 장치 및 그 동작 방법 |
-
1996
- 1996-07-05 JP JP17634996A patent/JP3839525B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101978745B1 (ko) * | 2018-09-05 | 2019-05-15 | 정희섭 | 복수의 적재공간들을 갖는 창고용 랙에서 발생한 화재를 진화하기 위한 랙 내의 스프링클러를 이용한 화재 진화 제어 장치 및 그 동작 방법 |
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JPH1015102A (ja) | 1998-01-20 |
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