JP3837740B2 - ピッチコントロール剤及びピッチコントロール方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、ピッチコントロール剤及びピッチコントロール方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、パルプ又は紙の製造工程におけるピッチ障害を、効果的に抑制、防止することができるピッチコントロール剤及びピッチコントロール方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パルプ及び紙の製造工程でピッチと言われているものは、木材、パルプ又は紙から遊離した天然樹脂やガム物質、さらには、パルプ又は紙の製造工程で使用される添加薬品などに由来する有機物を主成分とする非水溶性の粘着物質である。一般に、ピッチは、パルプ又は紙の製造工程中、特に白水中では、コロイド状になって分散しているが、何らかの外的作用、例えば、大きなせん断力、pHの急激な変化、硫酸バンドの過剰添加などにより、コロイド状態が破壊されて凝集し、巨大化すると考えられている。凝集し、巨大化したピッチは、その粘着性によりパルプや紙へ付着し、またファンポンプ、配管内、チェスト、ワイヤー、フェルト、ロールなどの製造装置へも付着する。さらに、ピッチは後に剥離してパルプや紙へ再付着し、紙の汚点、欠点の発生による品質の低下や、断紙の発生による生産性、作業性の低下などのピッチ障害を引き起こす。近年、紙の多様化による使用薬品類の増加と、工程で使用する水のクローズド化が進むにつれて、従来にも増してピッチ障害が多くなるとともに、複雑化している。
従来より、ピッチ障害に対していろいろな方法が提案あるいは実施されてきた。例えば、ピッチの要因物を少なくする方法として、木材やチップのシーズニングによるピッチの原因物の低減と除去や、パルプの洗浄強化や白水の清浄化を強化する方法が行われてきた。しかし、シーズニングは、長期間かけることでその効果が発挿されるために、かつては6か月ないし1年のシーズニング期間がとられていたが、広い敷地を必要とすることや、生産量の増加により、原木やチップの確保及び保管が難しくなり、シーズニング期間は3か月ないし5か月へと短縮せざるを得なくなり、この方法には限界がある。また、パルプの洗浄強化と白水の清浄化強化は、水のクローズド化が進んでいるために、さらに大きな改善は困難であり、期待できない。
特開昭58−13795号公報には、少ない添加量で効果的にピッチ障害を防止することができる製紙用ピッチ付着防止剤として、構成単位としてマレイン酸又はマレインアミド酸とイソブチレン、ジイソブチレン又はスチレンとを含む重合体及びノニオン性界面活性剤を含有する製紙用ピッチ付着防止剤が提案されている。抄紙工程中のピッチ状樹脂の沈積の減少方法として、特開昭57−149591号公報には、パルプスラリーにジアリルジメチルアンモニウムクリドとアクリルアミドの共重合体を添加する方法が提案され、特開昭57−149592号公報には、パルプスラリーにジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジエチルアンモニウムクロリド、アクリルアミド及びアクリル酸塩の共重合体を添加する方法が提案されている。特開昭55−80598号公報には、良好なピッチ障害抑制効果を有し、起泡性や、サイジング剤の定着低下を起こさないピッチ障害の抑制方法として、抄紙工程中のパルプスラリーに脂肪酸エステルを添加する方法が提案され、特開昭55−45857号公報には、サイズ度に悪影響を与えることなく、顕著なピッチ抑制効果を得ることができるピッチ障害の抑制方法として、製紙工程にアルキルアミンのエチレンオキシド付加物である非イオン界面活性剤を添加する方法が提案されている。さらに、特開平2−182995号公報には、製紙機フェルトなどの装置部品への粘着物の析出を防止する方法として、装置部品にカチオン性ポリマーを含む水溶液と、非イオン又はカチオン界面活性剤を含む水溶液を適用する方法が提案されている。界面活性剤によってピッチを分散する方法は、簡便で有効な方法であるが、イオン性の異なる物質と会うと凝集して効果が失われる。さらに、系内のピッチ量の減少を伴わないために、状況の変化により分散不良となり、急にピッチが発生する危険性を常に有している。
特開昭59−105842号公報には、パルプ中に含まれるピッチ成分の吸着性能を高めるパルプピッチ吸着剤として、天然タルク粉末に少量の非膨潤性雲母粉末を混合してなる製紙用パルプピッチ吸着剤が提案され、特開昭60−94687号公報には、製紙工程において発生するピッチを吸着して系外へ取り出すための製紙用ピッチ吸着剤として、ハイドロタルサイト類を含有してなる製紙用ピッチ吸着剤が提案されている。タルク、クレイ、その他の多孔性無機物質を添加する方法は、ピッチ粒子に吸着してピッチの粘着性、付着性を低下させ、さらにこれを無機物填料として紙に抄き込む方法であり、現在、ピッチコントロールの主流となっている。これらの多孔性無機物は安価であるが、ピッチの吸着が必ずしも十分ではなく、紙への定着も低いために、白水の汚濁やスラッジ沈積の原因になるほかに、ワイヤーの磨耗、損傷が大きく、その改善が望まれている。
ピッチを溶解、分散して除去する方法として、パークロルエタン、トリクロルエタン、灯油などのピッチ可溶性有機溶剤を添加する方法も提案されているが、環境汚染と安全性の面で懸念が抱かれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、パルプ又は紙の製造工程において、ピッチ原因物質やピッチ発生状況に因らず、広い範囲で適用し、紙の汚点、欠点、断紙、作業性の低下などのピッチ障害を効果的に抑制、防止することができるピッチコントロール剤及びピッチコントロール方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カチオン性界面活性剤、カチオン性高分子化合物及びホスホン酸を用いることにより、パルプ又は紙の製造工程において、効果的にピッチ障害を防止し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)カチオン性界面活性剤、カチオン性高分子化合物及びホスホン酸を含有するピッチコントロール剤であって、前記カチオン性界面活性剤が第4級テトラアルキルアンモニウム塩、第4級ベンジルアンモニウム塩又はピリジニウム塩から選ばれたものであり、かつ前記ホスホン酸がニトリロトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1 , 1−ジホスホン酸、エチレンジアミン−N , N , N ', N ' −テトラメチレンホスホン酸若しくは2−ホスホノ−1 , 2 , 4−ブタントリカルボン酸又はこれらのホスホン酸の塩から選ばれたものであることを特徴とするピッチコントロール剤、
(2)カチオン性界面活性剤が、炭素数10〜20のアルキル基を有するベンジルジメチルアルキルアンモニウムクロリドである第1項記載のピッチコントロール剤、
(3)カチオン性高分子化合物が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド構造を有する第1項記載のピッチコントロール剤、
(4)パルプ又は紙の製造工程において、第1項記載のピッチコントロール剤を、パルプ100重量部に対して有効成分として0.001〜2重量部添加することを特徴とするピッチコントロール方法、及び、
(5)紙の製造工程において、ピッチが付着する製造装置に、第1項記載のピッチコントロール剤を噴霧することを特徴とするピッチコントロール方法、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(6)ベンジルジメチルアルキルアンモニウムクロリドのアルキル基の炭素数が、12〜16である第2項記載のピッチコントロール剤、及び、
(7)カチオン性高分子化合物がポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)であって、その分子量が1,000〜1,000,000である第3項記載のピッチコントロール剤、
を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のピッチコントロール剤は、カチオン性界面活性剤、カチオン性高分子化合物及びホスホン酸を含有する。
本発明に用いるカチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリドなどの第四級テトラアルキルアンモニウム塩、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリドなどの第四級ベンジルアンモニウム塩、N−ドデシルピリジニウムクロリドなどのピリジニウム塩などを挙げることができる。これらの中で、一般に塩化ベンザルコニウムと総称されるベンジルジメチルアルキルアンモニウムクロリドを好適に用いることができる。ベンジルジメチルアルキルアンモニウム塩のアルキル基の炭素数は、10〜20であることが好ましく、12〜16であることがより好ましい。
【0006】
本発明に用いるカチオン性高分子化合物に特に制限はなく、例えば、式[1]又は式[2]で表されるジアリルジアルキルアンモニウム塩構造、式[3]で表されるビニルピリジニウム塩構造、式[4]で表される(メタ)アクリロイルオキシエチルトリアルキルアンモニウム塩構造、式[5]で表される環状アミジンのアンモニウム塩構造、式[6]で表されるジアルキルアミンとエピハロヒドリンの付加重合体構造、式[7]で表されるN,N,N',N'−テトラアルキルアルキレンジアミンとアルキレンジハライドの付加重合体構造などを有する高分子化合物などを挙げることができる。本発明においては、カチオン性高分子化合として、これらの構造を有する単独重合体、共重合体のいずれをも用いることができ、さらに、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンなどのノニオン性単量体が共重合されたカチオン性高分子化合物も用いることができる。これらのカチオン性高分子化合物の中で、式[1]又は式[2]で表される構造単位を有するポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)を特に好適に用いることができる。
【化1】
【化2】
【0007】
本発明に用いるホスホン酸としては、例えば、ホスホン酸又はその塩若しくはエステル、ニトリロトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ドホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N',N'−テトラメチレンホスホン酸若しくは2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸又はそれらの塩などを挙げることができる。これらの中で、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸及び2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸を特に好適に用いることができる。
本発明において、カチオン性界面活性剤、カチオン性高分子及びホスホン酸を含有するピッチコントロール剤として用いることにより、これらの3成分の間に顕著な相乗効果が発現し、ピッチの付着を効果的に防止することができる。カチオン性界面活性剤、カチオン性高分子化合物及びホスホン酸の配合割合に特に制限はないが、いずれの成分もピッチコントロール剤中の全有効成分の10重量%以上含有されることが好ましい。いずれかの成分の含有量が全有効成分の10重量%未満であると、3成分の相乗効果が十分に発現しないおそれがある。
【0008】
本発明のピッチコントロール方法の第一の態様においては、パルプ又は紙の製造工程において、本発明のピッチコントロール剤を、パルプ100重量部に対して有効成分として0.001〜2重量部、より好ましくは0.05〜1重量部添加する。ピッチコントロール剤の有効成分の添加量が、パルプ100重量部に対して0.001重量部未満であると、ピッチの付着防止効果が十分に発現しないおそれがある。ピッチコントロール剤の添加量は、パルプ100重量部に対して有効成分として2重量部以下で十分な効果が得られ、通常はパルプ100重量部に対して有効成分として2重量部を超えるピッチコントロール剤を添加する必要はない。
本発明のピッチコントロール方法の第二の態様においては、紙の製造工程において、ピッチが付着する製造装置に、本発明のピッチコントロール剤を噴霧する。ピッチが付着しやすい製造装置としては、例えば、ワイヤー、フェルト、ロールなどを挙げることができる。ピッチコントロール剤は、水溶液として噴霧することが好ましい。ピッチコントロール剤の噴霧の方法に特に制限はないが、洗浄シャワーラインに10〜1,000ppm圧入し、噴霧することが好ましい。
本発明において、カチオン性界面活性剤、カチオン性高分子化合物及びホスホン酸の3成分が相乗的な効果を発揮する機構は明らかではないが、おおよそ次のように推定される。すなわち、カチオン性界面活性剤とカチオン性高分子化合物が、ワイヤーやフェルトなどの製造装置の機器の表面に親水性の皮膜を形成し、粘着性のピッチ物質の付着を抑制する。また、ピッチ粒子が凝集して巨大化する前に、カチオン性高分子化合物によりパルプに定着させ、系内のピッチ量を減らす。さらに、ホスホン酸により、カルシウムなどの多価金属イオンが樹脂酸などのカルボン酸系化合物と塩を形成し、粘着物化することを防止する。
【0009】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、カチオン性界面活性剤として塩化ベンザルコニウム[花王(株)]、カチオン性高分子化合物として重量平均分子量100,000のポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ホスホン酸として1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸を用いた。
実施例1
広葉樹晒しクラフトパルプ(LDKP)と針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)を重量比1:1で混合したパルプ50gを水5Lに浸漬してほぐしたのち、ナイヤガラビーターを用いてカナダ標準型ろ水度460mLに叩解した。叩解したパルプは、塩化ベンザルコニウムとポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)と1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸とを重量比1:1:1で混合したピッチコントロール剤A50mgとともに、ピッチテスター(J.TAPPI紙パルプ試験方法No.11−76「パルプピッチの金網付着量試験方法」において用いるもの)に入れ、40℃で1時間撹拌混合した。次いで、金網に付着したピッチをクロロホルムで抽出し、濃縮したのち、その重量を測定した。ピッチの付着量は、5mgであった。
実施例2
ピッチコントロール剤として、塩化ベンザルコニウムとポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)と1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸とを重量比2:1:5で混合したピッチコントロール剤Bを用いた以外は、実施例1と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、2mgであった。
実施例3
ピッチコントロール剤として、塩化ベンザルコニウムとポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)と1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸とを重量比1:3:2で混合したピッチコントロール剤Cを用いた以外は、実施例1と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、3mgであった。
【0010】
比較例1
ピッチテスターにピッチコントロール剤を添加しなかった以外は、実施例1と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、59mgであった。
比較例2
ピッチコントロール剤として、塩化ベンザルコニウムを用いた以外は、実施例1と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、30mgであった。
比較例3
ピッチコントロール剤として、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、21mgであった。
比較例4
ピッチコントロール剤として、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、16mgであった。
比較例5
ピッチコントロール剤として、塩化ベンザルコニウムとポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)とを重量比1:1で混合したピッチコントロール剤D用いた以外は、実施例1と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、25mgであった。
比較例6
ピッチコントロール剤として、塩化ベンザルコニウムと1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸とを重量比1:1で混合したピッチコントロール剤Eを用いた以外は、実施例1と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、24mgであった。
比較例7
ピッチコントロール剤として、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)と1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸とを重量比1:1で混合したピッチコントロール剤Fを用いた以外は、実施例1と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、11mgであった。
【0011】
実施例4
新聞紙を抄造しているマシンの白水と、フォイル、フェルト、ロールからピッチを採取して試料とした。この試料を、クロロホルムを溶媒としてソックスレー抽出し、抽出液から溶媒を蒸発させた抽出物を、クロロホルム溶媒に再溶解して濃度20重量%のピッチ試料を調製した。
容量200mLのビーカーに、白水100mLと、実施例1で調製したピッチコントロール剤A100mgを入れ、ミキサーを用いて900rpmで撹拌しながら、調製したピッチ試料500mgを注入し、さらに1分間撹拌した。ビーカーとミキサーの付着物をクロロホルムを用いて抽出し、濃縮したのち、その重量を測定した。ピッチ付着量は、10mgであった。
実施例5
ピッチコントロール剤として、実施例2で調製したピッチコントロール剤Bを用いた以外は、実施例4と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、5mgであった。
実施例6
ピッチコントロール剤として、実施例3で調製したピッチコントロール剤Cを用いた以外は、実施例4と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、8mgであった。
比較例8
ビーカーにピッチコントロール剤を添加しなかった以外は、実施例4と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、81mgであった。
比較例9
ピッチコントロール剤として、塩化ベンザルコニウムを用いた以外は、実施例4と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、54mgであった。
比較例10
ピッチコントロール剤として、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)を用いた以外は、実施例4と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、30mgであった。
比較例11
ピッチコントロール剤として、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸を用いた以外は、実施例4と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、22mgであった。
比較例12
ピッチコントロール剤として、比較例5で調製したピッチコントロール剤Dを用いた以外は、実施例4と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、31mgであった。
比較例13
ピッチコントロール剤として、比較例6で調製したピッチコントロール剤Eを用いた以外は、実施例4と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、34mgであった。
比較例14
ピッチコントロール剤として、比較例7で調製したピッチコントロール剤Fを用いた以外は、実施例4と同じ操作を行った。ピッチ付着量は、21mgであった。
実施例及び比較例で用いたピッチコントロール剤の配合組成を第1表に、実施例1〜3及び比較例1〜7の結果を第2表に、実施例4〜6及び比較例8〜14の結果を第3表に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】
第2表及び第3表に見られるように、塩化ベンザルコニウム、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸を含有する本発明のピッチコントロール剤を用いた実施例1〜3及び実施例4〜6では、ピッチコントロール剤を用いなかった比較例1及び比較例8に比べて、ピッチ付着量はほぼ10分の1以下に減少している。これに対して、塩化ベンザルコニウム、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)又は1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸をそれぞれ単独に用いた比較例2〜4及び比較例9〜11、これらのうち2成分のみを併用した比較例5〜7及び比較例12〜14では、ピッチ付着量の減少率は小さい。この結果から、塩化ベンザルコニウムとポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)と1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸の3成分の間に特異的な相乗効果が現れ、ピッチの付着が効果的に防止されることが分かる。
実施例7
上質中性紙を抄紙するオントップ多筒抄紙機で、ワイヤーにピッチが付着しやすく、従来は定期的に灯油を用いて付着したピッチを清拭除去していた。実施例1で調製したピッチコントロール剤Aを、ワイヤーシャワーライン水に100ppm圧入し、連続的に噴霧したところ、ピッチが付着しなくなり、定期的な清拭作業が不要になった。
【0016】
【発明の効果】
本発明のピッチコントロール剤及びピッチコントロール方法によれば、カチオン性界面活性剤、カチオン性高分子化合物及びホスホン酸の3成分間の相乗効果を利用して、パルプ又は紙の製造工程において発生するピッチ障害を、効果的に防止することができる。
Claims (5)
- カチオン性界面活性剤、カチオン性高分子化合物及びホスホン酸を含有するピッチコントロール剤であって、前記カチオン性界面活性剤が第4級テトラアルキルアンモニウム塩、第4級ベンジルアンモニウム塩又はピリジニウム塩から選ばれたものであり、かつ前記ホスホン酸がニトリロトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1 , 1−ジホスホン酸、エチレンジアミン−N , N , N ', N ' −テトラメチレンホスホン酸若しくは2−ホスホノ−1 , 2 , 4−ブタントリカルボン酸又はこれらのホスホン酸の塩から選ばれたものであることを特徴とするピッチコントロール剤。
- カチオン性界面活性剤が、炭素数10〜20のアルキル基を有するベンジルジメチルアルキルアンモニウムクロリドである請求項1記載のピッチコントロール剤。
- カチオン性高分子化合物が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド構造を有する請求項1記載のピッチコントロール剤。
- パルプ又は紙の製造工程において、請求項1記載のピッチコントロール剤を、パルプ100重量部に対して有効成分として0.001〜2重量部添加することを特徴とするピッチコントロール方法。
- 紙の製造工程において、ピッチが付着する製造装置に、請求項1記載のピッチコントロール剤を噴霧することを特徴とするピッチコントロール方法。
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