JP5704011B2 - ピッチ抑制方法 - Google Patents

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本発明は、パルプ原料からパルプを製造するパルプ製造設備を含む施設におけるピッチ抑制方法に関する。
パルプ原料からパルプを製造するパルプ製造設備や、パルプから紙を製造する紙製造設備において、ピッチ(原料木材に含まれている粘着樹脂成分や再生古紙中の合成粘着物質)による障害が生じることがある。すなわち、ピッチが水中や抄紙用具上で析出したり、水中に析出した微細ピッチ同士の凝集物が抄紙用具上に付着することで、製品への塵の混入、搾水不良、断紙等を引き起こしたりすることがある。これにより、製品の品質低下や、設備を停止して抄紙用具等を洗浄することによる生産性低下等の問題が発生する。
上記のピッチ障害を抑制するために、種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1には、カチオンポリマーと特定の非イオン界面活性剤とを併用することにより、ピッチの付着を抑制し得ることが記載されている。特許文献2には、ピッチをタルクに吸着させることが記載されている。特許文献3には、特定の微生物に由来する酵素により、ピッチを分解することが記載されている。特許文献4には、メラミン・アルデヒド酸コロイド溶液及びキレート剤を外添することにより、粘着性汚れ(ピッチ)を抑制することが記載されている。
特開2004−44067号公報 特公昭61−48975号公報 特表平8−500726号公報 特開2003−301393号公報
特許文献1のように界面活性剤を用いる場合、十分な効果を得るためには高濃度の界面活性剤を添加する必要があるため、界面活性剤の発泡により洗浄機における脱水不良を引き起こすという問題がある。
特許文献2のようにタルクを用いる場合、得られるパルプ製品の色品質が不十分となり、また、タルクが粉体であるために用具を摩耗させるという問題がある。
特許文献3のように微生物由来の酵素を用いる場合、酵素による効果が発現するまでに長時間を必要とし、その間にピッチの付着が生じるという問題がある。
特許文献4には、キレート剤をメラミン・アルデヒド酸コロイド溶液と併用してもよいことは記載されているものの、キレート剤の種類及び添加量に関する記載が全くない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、高品質のパルプ及び/又は紙を生産効率よく製造することができるピッチ抑制方法を提供することを目的とする。
本発明者は前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、キレート剤として特定の種類のものを用い、水中のカルシウムに対する当該キレート剤のモル比(キレート剤/カルシウム)が1/5以下となるように添加することにより、少量のキレート剤でピッチを良好に抑制し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[3]を提供するものである。
[1]パルプ原料から水を用いてパルプを製造するパルプ製造設備を含む施設におけるピッチ抑制方法であって、前記パルプ製造設備内の対象箇所における水中のカルシウムに対するキレート剤のモル比(キレート剤/カルシウム)が1/5以下となるように、前記パルプ製造設備内のパルプ又はその中間体と水とが接触する箇所にキレート剤を添加する工程を含み、前記キレート剤が、エチレンジアミン4酢酸及びその塩、ジエチレントリアミン5酢酸及びその塩、トリエチレンテトラアミン6酢酸及びその塩、並びにグリコールエーテルジアミン4酢酸及びその塩の1種又は2種以上を含むものであるピッチ抑制方法。
[2]前記キレート剤と共に界面活性剤を添加する前記[1]に記載のピッチ抑制方法。
[3]前記界面活性剤が、一般式(1)
R−O−[CH2CH(CH3)O]m−[CH2CH2O]n−H(1)
(ただし、Rは炭素数6〜30のアルキル基、mは2〜50、nは2〜50)
で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルである前記[2]に記載のピッチ抑制方法。
本発明によれば、パルプ製造設備を含む施設において、少量のキレート剤を用いてピッチを良好に抑制することができる。
次に、本発明に係るピッチ抑制方法について説明する。
本発明に係るピッチ抑制方法は、パルプ原料から水を用いてパルプを製造するパルプ製造設備を含む施設におけるピッチ抑制方法であって、前記パルプ製造設備内の対象箇所における水中のカルシウムに対するキレート剤のモル比(キレート剤/カルシウム)が1/5以下となるように、前記パルプ製造設備内のパルプ又はその中間体と水とが接触する箇所にキレート剤を添加する工程を含み、前記キレート剤が、エチレンジアミン4酢酸及びその塩、ジエチレントリアミン5酢酸及びその塩、トリエチレンテトラアミン6酢酸及びその塩、並びにグリコールエーテルジアミン4酢酸及びその塩の1種又は2種以上を含むものである。
このようなピッチ抑制方法によれば、少量のキレート剤を用いてピッチを良好に抑制することができる。
<パルプ原料>
パルプ原料としては、例えば、木材チップ、古紙、及び損紙の1種又は2種以上が挙げられる。木材チップとしては、針葉樹を原料とするN材や、広葉樹を原料とするL材が挙げられる。
<施設>
本発明のピッチ抑制方法においては、施設として、パルプ原料から水を用いてパルプを製造するパルプ製造設備を含むものが用いられる。
このパルプ製造設備としては、木材チップを化学的な反応で分解することでパルプ化するケミカルパルプ製造設備、木材チップを物理的な力で破砕することでパルプ化する機械パルプ製造設備、古紙の印刷インキなどを除去(脱墨)して再生パルプ(脱墨パルプ、DIP)を得る脱墨設備等が挙げられる。
上記ケミカルパルプ製造設備としては、主に、木材チップを煮込んで繊維を取り出す蒸解部と、蒸解部で可溶化されたリグニン、樹脂、有機酸、残留蒸解薬液等を繊維から除去する洗浄部と、洗浄後の繊維を漂白剤(塩素ガスのような塩素剤、カセイソーダ等のアルカリ剤、次亜塩素酸、二酸化塩素等)で漂白する漂白部とを含むものが好適である。
上記機械パルプ設備としては、主に、木材チップをすり潰すリファイナーと、洗浄部、漂白部とを含むものが好適である。
上記脱墨設備としては、主に、羽根の回転力によって古紙を水に溶解させるパルパーと、空気を送ってインクを泡と共に付着させて除去するフローテーターと、洗浄部、漂白部とを含むものが好適である。
また、本発明の施設は、上記パルプ製造設備の他に、当該パルプ製造設備で得られたパルプを調成する調成設備や、調成した原料(精選紙料)から紙を製造する紙製造設備を含んでいてもよい。
紙製造設備は、主に、精選紙料を紙にする抄紙部と、紙の表面を塗料配合物によって表面塗工する塗工部とを含んでいる。
抄紙部は、主に、精選紙料を網上に流し込んでろ過させて紙層を形成するワイヤー部と、得られた湿紙を毛布(フェルト)と共に2本のロール間に通して圧搾脱水するプレス部と、これを乾燥するドライ部とを含んでいる。
<ピッチ>
ピッチとは、原料木材に含まれている粘着樹脂成分や再生古紙中の合成粘着物質のことであり、粘着樹脂成分とは、樹脂酸、脂肪酸、これらの塩、これらのエステル等に由来する天然物質であり、合成粘着物質とは、インキビヒクル、コート紙のバインダーに用いられるラテックス類、ガムテープやラベルに用いられる粘着剤、書籍や雑誌類の背糊として使用される酢酸ビニル系接着剤等に由来する物質である。
<カルシウム濃度の測定>
本発明のピッチ抑制方法では、前記パルプ製造設備内の対象箇所における水中のカルシウム濃度を測定する。水中のカルシウム濃度は、各工場や使用する原料木材の種類等によって異なるが、例えば0.1〜10mmol/Lである。
測定の対象箇所としては、パルプ製造設備内であれば特に制限はないが、好ましくは、蒸解部、パルプ洗浄部、及び漂白部の1箇所又は2箇所以上である。
<キレート剤の添加>
次いで、水中のカルシウムに対するキレート剤のモル比(キレート剤/カルシウム)が1/5以下となるように、パルプ又はその中間体と水とが接触する箇所にキレート剤を添加する。
このように、カルシウム量に応じてキレート剤を添加する理由は、次のとおりである。
ピッチは、通常はパルプ及び紙の製造工程中で懸濁微粒子又は疎水性コロイドとなって存在している。この懸濁微粒子は通常アニオン部を持っているため分散状態を保っている。これら懸濁微粒子や疎水性コロイドがカルシウムイオンと接触すると、分散状態が容易に破壊されて析出し、凝集、集塊化する。
このように凝集、集塊化したピッチは、その粘着性により、パルプや紙に直接付着して斑点となる。また、凝集、集塊化したピッチは、ファンポンプ、配管内、チェスト、ワイヤー、フェルト、ロールなどの紙製造装置類に一旦付着堆積したのち、剥離して紙へ再付着し、斑点や断紙を引き起こす。このように、ピッチは、斑点発生による品質の低下や、断紙の発生による作業性、生産性の低下などの障害を引き起こし、障害の程度は、カルシウム量に応じて大きくなる。よって、これらの障害の抑制のために、カルシウム濃度に応じてキレート剤を添加する。
≪キレート剤の種類≫
上記のキレート剤としては、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)及びその塩、トリエチレンテトラアミン6酢酸(TTHA)及びその塩、並びにグリコールエーテルジアミンン4酢酸(GEDTA)及びその塩の1種又は2種以上(以下、「特定のキレート剤」と称することがある)を含むものを用いる。
上記のキレート剤を用いることにより、水中のカルシウムに対するキレート剤のモル比(キレート剤/カルシウム)が1/5以下であっても、優れたピッチ抑制効果を発揮する。これにより、ピッチの抑制とキレート剤の添加量の削減との両方を達成することができる。
このように、特に上記キレート剤がピッチ抑制効果に優れる理由は定かではないが、上記キレート剤中の上記特定のキレート剤は、次の一般式(2)で示される安定度定数(log(K))が高いためであると推測される。
log(K)=log{Caのキレート錯塩濃度/[Ca濃度][キレート剤濃度]} (2)
すなわち、上記EDTA、DTPA、TTHA、及びGEDTAのCaに対する25℃における安定度定数は、いずれも10以上である。これに対し、例えば、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)及びニトリロ3酢酸(NTA)のCaに対する25℃における安定度定数は、それぞれ、8.5及び6.6であり、10未満である。そのため、ピッチ抑制という観点からは、当該安定度定数10が閾値であり、10以上のカルシウム封鎖能力を有するキレート剤であることが効果的であると推測される。
また、上記キレート剤の他に、他のキレート剤が添加してもよい。他のキレート剤としては、例えば、ニトリロ3酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)、グルタミン酸2酢酸(CMGA)、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、アミノトリメチレンホスホン酸(ATMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、クエン酸、コハク酸、シュウ酸、フタル酸、リンゴ酸、及び酒石酸並びにこれらの塩等が挙げられる。
≪キレート剤の添加量≫
上記の特定のキレート剤(EDTA及びその塩、DTPA及びその塩、TTHA及びその塩、並びにGEDTA及びその塩の1種又は2種以上)を含むキレート剤の添加量は、水中のカルシウムに対するキレート剤のモル比(キレート剤/カルシウム)が1/5以下となる量である。1/5よりも多くなると、キレート剤の添加量の削減を達成することができない。このキレート剤の添加量は、好ましくは、モル比が1/20以上となる量である。1/20以上であると、ピッチ抑制効果に優れる。上記観点から、このキレート剤の添加量は、より好ましくは1/20〜1/5であり、更に好ましくは1/10〜1/5である。界面活性剤と併用する場合には、キレート剤の添加量は、より好ましくは上記モル比1/100〜1/10であり、更に好ましくは上記モル比1/50〜1/10である。
なお、上記特定のキレート剤(EDTA及びその塩、DTPA及びその塩、TTHA及びその塩、並びにGEDTA及びその塩の1種又は2種以上)のみの添加量が、上記範囲内であることが特に好ましい。
≪添加箇所≫
上記キレート剤の添加箇所としては、パルプ又はその中間体と水とが接触する箇所であれば特に制限はないが、好ましくは、蒸解部、パルプ洗浄部、及び漂白部の1箇所又は2箇所以上である。
≪界面活性剤≫
上記キレート剤と共に、界面活性剤を添加してもよい。これらキレート剤と界面活性剤との両方を添加すると、これら2つの薬剤の総量と同量のキレート剤又は界面活性剤を単独で添加した場合と比べてより優れた効果が得られる。
界面活性剤の種類としては、好ましくは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが用いられる。このポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、好ましくは次の一般式(1)で表されるものが用いられる。
R−O−[CH2CH(CH3)O]m−[CH2CH2O]n−H(1)
(ただし、Rは炭素数6〜30のアルキル基、mは2〜50、nは2〜50)
なお、この一般式(1)では、表記の便宜上、m個のプロピレンオキサイドとn個のエチレンオキサイドとをまとめて記載したがこれに限定されるものではなく、これらm個のプロピレンオキサイド及びn個のエチレンオキサイドは、上記R−O−と−Hとの間で任意の順序でランダム結合又はブロック結合していてもよい。
この一般式(1)で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルは、ピッチに対して優れた浸透力、溶解力及び乳化分散力を有し、ピッチの粗大化を良好に防止することができる。この観点からは、Rで示すアルキル基の炭素数は、より好ましくは8〜25であり、更に好ましくは11〜19である。また、mは、より好ましくは5〜30であり、更に好ましくは7〜25である。更にnは、より好ましくは4〜25であり、更に好ましくは7〜25である。
この界面活性剤の添加量は、好ましくは0.1〜200mg/Lである。0.1mg/L以上であると、ピッチ抑制効果に優れる。200mg/L以下であると、界面活性剤の削減を達成することができる。この観点からは、界面活性剤のパルプに対する添加量は、より好ましくは0.1〜100mg/Lであり、更に好ましくは0.1〜50mg/Lである。
上記特定のキレート剤及び界面活性剤の合計に対する界面活性剤の含有量は、好ましくは20〜95質量%である。この範囲内であると、これらキレート剤と界面活性剤との相乗効果がより顕著なものとなる。この観点からは、当該界面活性剤の含有量は、より好ましくは55〜90質量%であり、更に好ましくは60〜80質量%である。
界面活性剤の添加箇所としては、前述したキレート剤の添加箇所と同様の箇所が挙げられる。なお、界面活性剤はキレート剤と同一箇所に添加してもよく、異なる箇所に添加してもよい。
≪その他の添加剤≫
上記キレート剤及び界面活性剤と共に、分散剤(アクリル酸系ポリマーやホスホン酸等)や従来のピッチコントロール剤(タルク、カチオンポリマー、溶剤、酵素等)を更に添加してもよい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、キレート剤としては、次のものを使用した。
Figure 0005704011
また、界面活性剤としては、一般式(1)で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルにおいて、Rで示されるアルキル基の炭素数、1分子中におけるオキシプロピレン(PO)の数m、及び1分子中におけるオキシエチレン(EO)の数nを、表2に示すとおりとしたものを使用した。
R−O−[CH2CH(CH3)O]m−[CH2CH2O]n−H (1)
Figure 0005704011
[実施例1〜4及び比較例1〜18]
<A液及びB液の調製>
トール油20質量%及びエタノール80質量%に調製した溶液25gに対して、水酸化ナトリウム50gとエタノール425gとを混合した。この混合液に対して表3に示すキレート剤を添加すると共に純水で希釈することにより、キレート剤の有効成分濃度が100mg/L、トール油濃度が100mg/Lである溶液(A液)を調製した。
また、塩化カルシウム・2水和物18.4gを純水で希釈し、カルシウム濃度が100mg/Lである溶液(B液)を調製した。
<模擬パルプ製造設備(SUS304配管)への通液>
A液10mL/minとB液10mL/minとを、内径6mm、長さ500mmのSUS304配管に連続的に72時間通液した。72時間後に当該配管内の液を除去し、空気で乾燥させた。乾燥後、配管内の付着物を、クロロホルム50体積%及びベンゼン50体積%に調製した溶媒150mLで6時間抽出し、付着物の質量を測定した。また、付着抑制率を、次の式により測定した。
付着抑制率(%)=〔1−キレート剤使用時の付着量(g)/キレート剤不使用時
の付着量(g)〕×100
その結果を表3に示す。
なお、実用上は、キレート剤の添加濃度を「kg/パルプt」で表記することがある。そこで、一般的なパルプ製造設備における水の使用量を5m3/パルプtと仮定すると、実施例及び比較例におけるキレート剤の添加濃度は0.25kg/パルプtと導出される。
<結果>
一般的にカルシウムを封鎖するためには、等モルのキレート成分が必要とされる。例えば、上記のとおり、SUS304配管内のAB混合液(カルシウム濃度50mg/L(1.25mmol/L))中におけるカルシウムを封鎖するためには、1.25mmol/Lのキレート成分が必要とされる。しかしながら、TTHA・6Na、GEDTA、EDTA・4Na、及びDTPA・5Naの4種は、特にピッチ付着抑制効果に優れ、カルシウムの1/5以下のキレート剤で90%以上の付着抑制率を達成することができた。
Figure 0005704011
[実施例5〜8]
表4に示すとおり、4箇所の工場(A工場、B工場、C工場、及びD工場)において、キレート剤の添加を行った。
すなわち、工場として、蒸解部、洗浄部、及び漂白部を有するケミカルパルプ製造設備と、その下流側の紙製造設備とを有する4つの紙パルプ製造工場(A工場、B工場、C工場、及びD工場)を選択した。各工場で使用される木材チップの種類は、表4に示すとおりである。
各工場において、ケミカルパルプ製造設備の洗浄部における最終洗浄機のろ液中のカルシウム濃度を測定した。このカルシウム濃度の測定は、測定装置として株式会社島津製作所製原子吸光分光光度計装置「商品名;AA−6300」を用い、JIS K0102 50.2に準拠し、フレーム原子吸光法により行った。
また、ケミカルパルプ製造設備のパルプ洗浄機ろ液タンク内に、水中におけるキレート剤濃度が所定濃度となるように各種キレート剤を添加した。
各工場での運転を30日以上継続し、パルプ製品及び紙製品におけるピッチ障害の程度を観察した(ピッチ数を肉眼で数えた)。また、各工場において、キレート剤を添加しない運転も行い、パルプ製品及び紙製品におけるピッチ障害の程度を観察した(ピッチ数を肉眼で数えた)。そして、工場ごとに、キレート剤を添加しない場合のピッチ数に対するキレート剤を添加した場合のピッチ数の割合を測定した。その結果を表4に示す。
表4に示されているとおり、上記4種類のキレート剤のいずれも、カルシウムの1/5以下の量でピッチ障害の改善効果が得られた。このように、未晒最終洗浄機のカルシウム濃度に応じてキレート剤濃度を制御することにより、十分なピッチ抑制効果を維持しつつ、薬品使用量を削減することができる。
Figure 0005704011
[実施例9〜14及び比較例19]
<C液及びD液の調製>
トール油20質量%及びエタノール80質量%に調製した溶液50gに対して、水酸化ナトリウム50gとエタノール400gとを混合した。この混合液に対して表5に示すキレート剤及び/又は界面活性剤を添加すると共に純水で希釈することにより、キレート剤の有効成分と界面活性剤の有効成分との合計濃度が100mg/L、トール油濃度が200mg/Lである溶液(C液)を調製した。
また、塩化カルシウム・2水和物36.8gを純水で希釈し、カルシウム濃度が200mg/Lである溶液(D液)を調製した。
<模擬パルプ製造設備(SUS304配管)への通液>
実施例1と同様にしてC液及びD液をSUS配管内に通液し、付着物及び付着抑制率を測定した。その結果を表5に示す。
なお、実施例1と同様にしてキレート剤及び界面活性剤の添加濃度を算出した結果、キレート剤の添加濃度は0.025〜0.25kg/パルプtであり、界面活性剤の添加濃度は0.025〜0.25kg/パルプtであった。
[実施例15〜20及び比較例20]
キレート剤及び界面活性剤の種類を表6のとおりとしたこと以外は実施例9〜14及び比較例19と同様の操作を行った。その結果を表6に示す。
[実施例21〜26及び比較例21]
キレート剤及び界面活性剤の種類を表7のとおりとしたこと以外は実施例9〜14及び比較例19と同様の操作を行った。その結果を表7に示す。
[実施例27〜32及び比較例22]
キレート剤及び界面活性剤の種類を表8のとおりとしたこと以外は実施例9〜14及び比較例19と同様の操作を行った。その結果を表8に示す。
[実施例33〜38及び比較例23]
キレート剤及び界面活性剤の種類を表9のとおりとしたこと以外は実施例9〜14及び比較例19と同様の操作を行った。その結果を表9に示す。
[実施例39〜44及び比較例24]
キレート剤及び界面活性剤の種類を表10のとおりとしたこと以外は実施例9〜14及び比較例19と同様の操作を行った。その結果を表10に示す。
Figure 0005704011
Figure 0005704011
Figure 0005704011
Figure 0005704011
Figure 0005704011
Figure 0005704011
<実施例9〜44及び比較例19〜24の結果>
総ての種類のキレート剤と界面活性剤の組合せにおいて、相加作用以上の効果が確認された。すなわち、これらキレート剤と界面活性剤の合計濃度が同一であっても、キレート剤と界面活性剤とを組み合わせて使用した方が、キレート剤又は界面活性剤を単独で使用したよりも付着物(ピッチ)抑制効果に優れていた。このように、キレート剤と界面活性剤とを併用することにより、薬剤使用量の低減が図られる。

Claims (3)

  1. パルプ原料から水を用いてパルプを製造するパルプ製造設備を含む施設におけるピッチ抑制方法であって、
    前記パルプ製造設備内の対象箇所における水中のカルシウムに対するキレート剤のモル比(キレート剤/カルシウム)が1/5以下となるように、前記パルプ製造設備内のパルプ又はその中間体と水とが接触する箇所にキレート剤を添加する工程を含み、
    前記キレート剤が、エチレンジアミン4酢酸及びその塩、ジエチレントリアミン5酢酸及びその塩、トリエチレンテトラアミン6酢酸及びその塩、並びにグリコールエーテルジアミン4酢酸及びその塩の1種又は2種以上を含むものであるピッチ抑制方法。
  2. 前記キレート剤と共に界面活性剤を添加する請求項1に記載のピッチ抑制方法。
  3. 前記界面活性剤が、一般式(1)
    R−O−[CH2CH(CH3)O]m−[CH2CH2O]n−H(1)
    (ただし、Rは炭素数6〜30のアルキル基、mは2〜50、nは2〜50)
    で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルである請求項2に記載のピッチ抑制方法。
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