JP3837097B2 - 走行作業機のエンジンルーム構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタ等の走行作業機のエンジンルーム構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平8−113043号公報に示されるようにエンジンの冷却ファンの前方に、前側からコンデンサ、オイルクーラ並びにラジエータを直列に配置するとともに、コンデンサの前方にバッテリを設置した状態でボンネットで覆うことによりエンジンルームを構成するトラクタは既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に示されるようなトラクタのエンジンルーム構造は、作業に伴う塵埃等によるラジエータに目詰りを生じた場合の清掃、或いは各部の修理や点検等のメンテナンス作業をしたい場合に、先ずバッテリを取外したのち、コンデンサ及びオイルクーラを取外してラジエータの前面を開放し、これの清掃を行なわねばならないので作業が面倒であった。また、コンデンサやオイルクーラを取り外す際には冷媒ガスや作動オイルを抜き取らなければならない等の煩雑な作業を伴う等の問題があった。
【0004】
このため近年ではコンデンサやオイルクーラを取外すことなく一側の回動取付軸部を支点に、他側を傾倒させてラジエータの前方を開放しメンテナンス作業を行なうものもある。このような走行作業機においてエンジンEにターボチャージャーを備えると共にこのターボチャージャーによって加圧された空気を冷却するインタークーラを設置したい場合に、コンデンサ及びオイルクーラとインタークーラを同一の回動取付軸部を支点とし回動させると、各部のメンテナンス作業が行い難いうえに、三者を同方向に回動させると回動取付具が大きくなるとともに取付機枠等の構造も大型化する等の問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の走行作業機のエンジンルーム構造は、次のように構成している。
【0006】
すなわち、走行機体2に搭載されるエンジンEの冷却ファン31を備えたラジエータ4の前方に、前側からコンデンサ5とインタークーラ7とオイルクーラ6を直列に配置し、かつ、それぞれの機器を個別の回動取付具を支点に作用姿勢からラジエータ4の前面を開放するメンテナンス姿勢に退避回動可能に設けた走行作業機のエンジンルーム構造において、前記コンデンサ5を、回動支点となる縦軸を支点に側方に回動可能に設けるとともに、前記ラジエータ5を装着するためのラジエータ取付枠3の下方において、インタークーラ7の回動支点となる横軸を、オイルクーラ6の回動支点となる横軸よりも下方に離間した位置に設けたことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0009】
図1に示す1は、クローラ式の走行装置2aを備えたトラクタ(走行作業機)であり、この走行装置2aの走行フレーム2bと連結する機台(走行機体)2上に、前方からエンジンEを搭載したエンジンルーム3Rをボンネット10で覆って形成するとともに、キャビン11付きの運転部を備え、後部に耕耘装置等の作業機を装着する三点リンク機構12を設け、エンジンEの動力をプロペラシャフト(図示せず)を介して駆動されるHST方式のそのままから、上記左右の走行装置2aを駆動すると共に、同じくプロペラシャフトから変速装置を介して作業機伝動用のPTO軸を駆動するようにしている。
【0010】
上記エンジンルーム3R内のエンジンルーム構造は、図2乃至図4に示すようにラジエータ取付枠3で前後を区画されており、このラジエータ取付枠3は中央に形成された通風口3a(図3)の裏面に、ラジエータ4を着脱可能に固定するとともにこの通風口3aの外周から後方に向けて一体的にシュラウド30を延設して形成し、このシュラウド30内にエンジンEの回転軸に設けた冷却ファン31を内装し、ボンネット10の前側から冷却風AをエンジンE側に向けて導入するようにしている。
【0011】
また、ラジエータ取付枠3の前側には、冷却上手側から前方からの塵・ゴミ等の進入を防ぐ網体8と運転部のエアコン用のコンデンサ5と、油圧駆動装置用の作動油を冷却するオイルクーラ6とを従来の装置と同様に配置し、両者の間にエアクリーナ7aを通じて吸気され、ターボチャージャーで加圧されて加熱された空気を冷却してエンジンEに供給するためのインタークーラ7を介装し、これらをラジエータ4とともに直列状に設けて一連の導風路によって冷却風Aによる冷却を効率よく行なうことができるようにしている。
【0012】
尚、上記三者の正面視における面積は、コンデンサ5、インタークーラ7、オイルクーラ6、ラジエータ4の順で大きくした状態で設けることにより冷却風Aがスムーズに流れるように配慮している。
【0013】
また最前列(最上流側)の網体8の前側にバッテリ15を機台2に着脱可能に取付けている。そして、ラジエータ取付枠3の前側には図3に示すように前記通風口3aの前側を囲繞する固定枠32を設けているとともに、この固定枠32の上方部を切欠した前側部に接離可能に接合するコンデンサ5取付け用の可動枠33(一種の箱状のもの)を、上記固定枠32の右側一側でヒンジ等の回動取付具35によって、図3の実線で示す“作用状態”から、この回動取付具35の縦軸を中心にバッテリ15上を通過させて側方に向けて退避回動させた鎖線で示す“メンテナンス姿勢”に切換えて固定できるようにしている。
【0014】
なお、上記可動枠33の下端の高さは前方に設置されているバッテリ15よりも高い位置にしており、この可動枠33の下端がバッテリ15に衝突しないようにしている。また、回動取付具35の他側に延設した取付片33aを固定枠32の取付ネジ32aに係脱可能に固定するようにしている。
【0015】
また上記可動枠33内に前記コンデンサ5を固定しているとともに、回動取付具35側の側面にエアコン用のレシーバ50を取付けている(図3)。なお、51はエアコン本機側のエバポレータ(図示せず)と連結するホースである。
【0016】
次に、オイルクーラ6の取付構造について説明する。
【0017】
このオイルクーラ6は、ラジエータ取付枠3の下方において図2に示すようにヒンジ等の回動取付具60で回動可能に取付けられるとともに、上部をネジ等の固定具61によってラジエータ取付枠3と係脱可能に固定するようにしている。具体的には図2の実線で示す“作用姿勢”から前方の可動枠33を“メンテナンス姿勢”に回動させた際に固定具61を解除してオイルクーラ6を下方の回動取付具60の横軸を中心に前側に向けてバッテリ15に近接する方向に大きく回動させることができ、鎖線で示すように“メンテナンス姿勢”に切換えることができるようにしている。なお、63は油圧駆動装置側と連結する可撓性のオイルホースである。
【0018】
一方インタークーラ7は、ラジエータ取付枠3の下方において、上記オイルクーラ6の回動取付具60よりも下方に離間した位置に回動取付具65を設けて前側に向けてバッテリ15に可及的に近接する位置まで大きく回動するように取付けるとともに、上部をネジ等の固定具61aによって、ラジエータ取付枠3と係脱可能に止着するようにしている。
【0019】
尚、インタークーラ7側のパイプ67とエンジンE側のパイプ68とはラジエータ4の上方で挿脱可能に接続される。
【0020】
以上のように構成した走行作業機のエンジンルーム構造は、図2、図3で示す”作用姿勢”で、コンデンサ5とインタークーラ7とオイルクーラ6とラジエータ4は直列に配置されており、冷却ファン31による冷却風Aをそれぞれ全面に受けて良好に冷却することができるものである。
【0021】
また作業に伴う塵埃等による目詰まりを生じた際の塵埃除去等のメンテナンス作業の際には、先ず左右にサッシを形成した網体8を上方に向けて抜いておき、次にコンデンサ5を図3に示すように、縦軸を支点に側方に回動してインタークーラ7から離間させて自由な姿勢でその表面及び裏面の清掃等のメンテナンス作業を簡単に行なうことができる。
【0022】
このとき可動枠33はメンテナンス姿勢に回動させると、インタークーラ7の前側に位置するコンデンサ5とレシーバ50を、バッテリ15の上方を通過させて側方に退避させてインタークーラ7の表側のメンテナンス作業を簡単に行なうことができる。
【0023】
また、インタークーラ7のメンテナンスをする時は、図3に示すコンデンサ5のメンテナンス姿勢において、図2に示すように横軸65を支点として前方に回動(倒す)してラジエータ取付枠3に固定されているオイルクーラ6から離間させてバッテリ15に近接する位置まで傾倒する。
【0024】
この状態においてインタークーラ7の裏側及びオイルクーラ6の表側のメンテナンス作業をすることができる。このとき回動取付具65をオイルクーラ6の回動取付具60より下方に設けているので、インタークーラ7とオイルクーラ6の下方も大きく離間でき、メンテナンス作業を行い易くできる(図2)。
【0025】
次にラジエータ4のメンテナンス作業を行う際には、前記のようにコンデンサ5及びインタークーラ7のメンテナンス姿勢に退避させておく。そしてオイルクーラ6を図2に示すようにメンテナンス姿勢に倒すことによってラジエータ4の前面を広く開放することができる。
【0026】
このとき回動取付具60をインタークーラ7の回動取付具65の上方に設けたオイルクーラ6は、その上部をインタークーラ7に接当させてメンテナンス姿勢に支持させると、その傾倒角度をインタークーラ7の傾倒角度より大きくするので、最も奥側に位置し、しかも最も広い面積を持っているラジエータ4の前面を大きく開放することができてメンテナンス作業を能率よく、簡単に行なうことができる。
【0027】
そして、上記のようなメンテナンス作業を終えた後、再び作業姿勢に戻してトラクタ1による作業を行なう。この時インタークーラ7はオイルクーラ6の前側に配置したことにより、オイルクーラ6よりもインタークーラ7の冷却性を高くすることができるので、エンジンEに対して冷却空気を供給し続けてエンジン効率を高め、燃料の完全燃焼を促して排ガスを清浄にすることができる等の特徴もある。
【0028】
また、上記のようにコンデンサ5並びにラジエータ4の前面がメンテナンス姿勢に切換えられて開放された際には、コンデンサ5やオイルクーラ6を取外して修理するなどの作業を容易に行なうことができるものである。
【0029】
また、コンデンサ5やオイルクーラ6をラジエータ4の前面より退避させることができるので、クーラーガス及び作動油を抜くことなくラジエータ4やオイルクーラ6等を清掃することができる。
【0030】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、本発明の走行作業機のエンジンルーム構造によれば、直列に配置されたコンデンサ5とインタークーラ7とオイルクーラ6とラジエータ4は冷却ファン31による冷却空気の強制流動により冷却を良好に行なわせるとともに、インタークーラ7の冷却を促進させてエンジンEの吸気充填効率を高くしてエンジン効率を向上させることができる。
【0031】
そしてラジエータ4等の目詰まり除去等のメンテナンス作業の際に、コンデンサ5とインタークーラ7とオイルクーラ6は取外したりすることなく、各別に回動して退避させるだけで個別のメンテナンス作業を能率よく行なうことができるものである。
【0032】
また、コンデンサ5を回動取付具35の縦軸を支点に側方に回動させるとともに、ラジエータ取付枠3の下方にインタークーラ7とオイルクーラ6の回動支点となる横軸をそれぞれ上下方向に離間させて設け、前方に回動させたメンテナンス姿勢において、オイルクーラ6の傾倒姿勢をインタークーラ7に接当状態で支持したことにより、最前側のコンデンサ5は縦軸中心にバッテリ7等の上方を横方向に通過させて回動退避させ、また、インタークーラ7及びオイルクーラ6はラジエータ4の前側下方で横軸中心として前側に傾倒させ、この状態でオイルクーラ6をインタークーラ7に安定よく接当支持させてラジエータ4の前面を広く開放するので、メンテナンス作業を能率よく行なうことができ、更にエンジンルーム3Rの構造を簡潔でコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの側面図である。
【図2】エンジンルーム構造を示す左側面図である。
【図3】図2の要部の構造を示す平面図である。
【図4】 各種の熱交換器とエンジンとの関係を示す左側面図である。
【符号の説明】
1 トラクタ(走行作業機)
2 走行機体(機台)
3 ラジエータ取付枠
4 ラジエータ
5 コンデンサ
6 オイルクーラ
7 インタークーラ
31 冷却ファン
32 固定枠
33 可動枠
35 回動取付具(縦軸)
60 回動取付具(横軸)
Claims (1)
- 走行機体2に搭載されるエンジンEの冷却ファン31を備えたラジエータ4の前方に、前側からコンデンサ5とインタークーラ7とオイルクーラ6を直列に配置し、かつ、それぞれの機器を個別の回動取付具を支点に作用姿勢からラジエータ4の前面を開放するメンテナンス姿勢に退避回動可能に設けた走行作業機のエンジンルーム構造において、前記コンデンサ5を、回動支点となる縦軸を支点に側方に回動可能に設けるとともに、前記ラジエータ5を装着するためのラジエータ取付枠3の下方において、インタークーラ7の回動支点となる横軸を、オイルクーラ6の回動支点となる横軸よりも下方に離間した位置に設けたことを特徴とする走行作業機のエンジンルーム構造。
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