JP3836417B2 - ガスの回収方法およびガスの回収システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のガスを回収する技術に関する。例えば、本発明は、都市ガス用のガスメータの取替え時に配管やガスメータ内に残存している都市ガスを回収する技術に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
調理、給湯あるいは冷暖房といった用途に利用される都市ガスは、地中の基幹となるガス輸送導管、引き込み用のガス輸送導管、さらにガスメータを介して各顧客に供給されている。ガスメータは、法律により一定期間毎に交換することが義務付けられている。
【0003】
以下、都市ガス用ガスメータの交換作業の一例を概説する。図11は、従来におけるガスメータの交換作業の一例を説明するための模式図である。図11には、ガス輸送導管901の途中にガスメータ904が接続された状態が示されている。ガス輸送導管901は、図示しない基幹となるガス輸送導管(例えば地中に埋設されている基幹となるガス輸送導管)から分岐した分岐配管で、矢印902、903の向きに都市ガスが流れる。矢印903の先には、例えばガスレンジ、ガス給湯器、ガス冷暖房機等が接続される。ガス輸送導管901には、バルブ905および906が配置され、またガス回収用配管907が接続されている。ガス回収用配管907には、バルブ908が設けられ、その先にガス回収用チューブ909が接続可能となっている。また、ガス回収用チューブ909の先には、バーナー910が接続されている。911はバーナー910で燃焼を行わせる場合に用いる開閉バルブである。なお、ガス回収用チューブ909としては、軽量で柔軟性のあるゴムホース等が利用される。この回収したガスを燃焼させるバーナーについては、例えば特許文献1に記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−227442号公報
【0005】
通常、都市ガスが消費される状態では、バルブ905と906は開放状態、バルブ908は閉鎖状態であり、またガス回収用チューブ909はガス回収用配管907に接続されていない。この状態で、顧客が都市ガスを消費すると、ガスメータ904内で通過する都市ガスの流量が計測される。
【0006】
次に、ガスメータ904の交換作業について説明する。ガスメータ904の交換は、作業員がガスメータ904の設置場所に出向いて行われる。作業手順の概略は以下の通りである。まず、バルブ905と906を閉鎖する。次にガス回収用配管907に持参したガス回収用チューブ909を接続する。ガス回収用チューブ909の他の端には、バーナー910を接続する。この状態において、バルブ908と911は共に閉鎖状態である。次にバルブ908を開放し、さらにバルブ911を開放し、バーナー910に着火する。バルブ905と906の間、およびガスメータ904に残留している都市ガスは、大気圧より高い圧力であるから、ガス回収用チューブ909を介してバーナー910へ都市ガスは流れ、炎912として燃焼処理される。
【0007】
このようにして、バルブ905と906の間、およびガスメータ904内を大気圧にする。上述した作業を行うことで、単にバルブ905と906を閉鎖しただけの状態でガスメータ904を外した場合に発生する作業現場における都市ガスの放散を防止できる。都市ガスを大気に放散させることは作業現場によっては不可能なため、ガスメータ904の交換の前に前記した燃焼操作を行い、ガスメータ内に残った都市ガスを適切に処理している。
【0008】
バルブ905と906の間、およびガスメータ904に残留している都市ガスの圧力が大気圧になれば、ガスメータ904の取り外しと、交換用の新たなガスメータの取り付けを行う。バルブ905と906の間、およびガスメータ904内を大気圧にすれば、ガスメータ904の交換時に作業環境への多量の都市ガスの放散は発生しない。
【0009】
ついで、新たなガスメータを接続したのち、バルブ911と908を閉鎖し、バルブ905を一旦開放する。そして、一旦開放したバルブ905を閉鎖し、再度バルブ908と911を開放し、バルブ905と906の間、および新たに交換されたガスメータ904内の都市ガスをバーナー910で燃焼処理する。この手順を1回以上繰り返すことで、新たに交換されたガスメータ904内に残る空気が都市ガスで置換される。この作業は、ガスメータの交換後に、ガスメータ内に残留する空気に起因して、消炎や逆火等の不具合が発生することを防止するために行われる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したガスメータの交換作業では、バーナー910を残留ガスの燃焼処理を行っても安全な場所に配置する必要がある。しかし、作業場所によってはガスメータの設置位置とバーナーを置ける安全な場所との距離が離れている場合もある。このような場合、ガス回収用チューブを長く引き回さなくてはならない。しかし、長いガス回収用チューブは、運搬や取り扱いに多大に労力を必要とし、また作業時間も長くなってしまう。また、ガスメータの交換を行う現場と、バーナーを配置する場所とが互いに離れている場合、それぞれの場所に人員を配置しなければならないし、何らかの遠隔通信手段によりガスメータの設置場所とバーナーの配置場所との間で連絡を取り合いながら上述した燃焼処理を遠隔的に行わなくてはならず、作業が煩雑になる。さらに、作業中にガス回収用チューブを長く引き回すことには、安全性確保の観点から好ましくない。また、ガス回収用チューブが長くなると、作業終了後にガス回収用チューブに残存するガスを別途処理する作業も発生する。
【0011】
本発明が解決すべき課題は、所定の閉空間に残存する所定のガスを安全にまた労力をかけずに回収する技術を提供することにある。本発明が解決すべき他の課題は、ガスメータの交換時において、配管やガスメータに残存する都市ガスを安全にまた労力をかけずに回収する技術を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では、閉空間に残存するガスの回収手段として、そのガスを吸着する吸着材料を収納した減圧容器を用いる。吸着材料にガスを吸着させてしまうことで、例えば都市ガスであれば、作業現場でガスを燃焼させる必要がない。また、燃焼しない、あるいはできないガスの回収も行える。また、回収するガスの貯蔵効率の高い吸着材料を用いることで、容器の容積を小型化できる。また、吸着したガスを後に脱着させることで、回収したガスの再利用を行える。なお、脱着とは、吸着と逆の現象、つまり吸着材料に吸着しているガスが吸着材料から離脱する現象をいう。
【0013】
所定のガスは、回収対象となるガスであり、環境にそのまま放出することが好ましくないガス、あるいは特に回収が必要とされるガスが対象となる。例えば、可燃性や爆発性のあるガス、環境破壊に寄与するガス(またはその可能性が指摘されるガス)、毒性ガスおよび臭気性ガスが挙げられる。所定のガスとしては、都市ガスやLPガス(液化石油ガス)等の燃料用に用いられる可燃性のガスが挙げられる。また、所定のガスとして、例えば、塩素系のガスであれば、トリクロロエチレンメチレンクロライド(塩化メチレン)およびパークロロエチレンが挙げられる。フッ素系のガスであれば、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、PFC(パーフロロカーボン)、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、HFC(ハイドロフロロカーボン)、CFC(クロロフルオロカーボン)、SF3(3フッ化硫黄ガス)およびSF6(6フッ化硫黄ガス)が挙げられる。臭素系のガスであれば、1−ブロモプロパンが挙げられる。アルコール系のガスであれば、IPA(イソプロピルアルコール)およびメタノール(メチルアルコール)が挙げられる。
【0014】
閉空間とは、外部に開放されていない空間をいう。ガスの回収は、容器内の圧力が負圧(大気圧を下回る圧力)〜正圧(大気圧を上回る圧力)の範囲において行える。容器内の圧力が減圧状態の場合、ガスの回収時に閉空間との圧力差によって自動的に閉空間からガスを吸い込み回収する能力が得られる。容器内が後述する加圧手段を用いて正圧に出来る場合は、吸着材料の吸着能力をより高い状態とすることができ、圧力が低い場合に比較して、より多くの吸着を行わすことが出来る。例えば吸着材料として活性炭を用いる場合、実用となる容器内の圧力範囲は、高真空状態〜10(MPa.abs)(約100気圧)の範囲である。なお、高真空とは、極力排気を行った状態をいう。
【0015】
吸着材料としては、多孔質構造を有して表面積が大きく、回収対象となるガスを吸着する能力に優れた材料が好ましい。具体的な吸着材料としては、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、粘土鉱物、金属酸化物、多孔質ガラス等が挙げられる。
【0016】
吸着材料に吸着した前記所定のガスを回収または処理するステップとは、容器に回収された所定のガスを吸着材料に吸着している状態から脱着させ、容器内から回収するステップ、あるいは脱着した所定のガスを処理装置で燃焼や分解等によって処理するステップをいう。容器内から脱着させたガスを回収する場合、それを集めて再利用できる。
【0017】
第1の発明によれば、回収対象となるガスをその場で燃焼処理することなく回収できる。また、ガスの回収作業に当たり、配管やチューブの引き回しも必要とされず、安全にガスを容器内に回収できる。また、容器内に回収したガスを再利用できる。また、容器内に回収されたガスを安全が確保された場所に運び、そこでガスを安全に処理できる。
【0018】
第2の発明は、第1の発明において、所定のガスが都市ガスであることを特徴とする。前述したように、都市ガス用ガスメータの交換作業では、配管やガスメータ内に残留する都市ガスの回収が必要となる。しかし、第1の発明を利用すれば、より簡単に、そしてより安全に作業を行える。ガスメータは、顧客毎に配置されているので、その数は膨大である。故に、その交換作業は、日常的に日々何処かの場所で行われる。よって、第1の発明を適用することによる都市ガス用ガスメータ交換時における簡便性および安全性の確保は、極めて有意義なことである。
【0019】
第3の発明は、第1または第2の発明において、吸着材料が活性炭であることを特徴とする。
【0020】
第4の発明は、第1〜第3の発明の何れかにおいて、所定のガスが都市ガスであり、閉空間にガスメータの内部空間及び/又はガス輸送導管の内部空間が含まれ、ガス吸着ステップでは、ガスメータ及び/又はガス輸送導管の内部空間の圧力が大気圧近傍の圧力にされ、さらにガス吸着ステップの後にガスメータ及び/又はガス輸送導管を交換するステップを含むことを特徴とする。
【0021】
都市ガスとは、燃料ガスとしてガス会社からガス輸送導管を通じて、顧客に供給される可燃性のガスをいう。一般的に都市ガスとして天然ガスが用いられている。
【0022】
ガスメータは、顧客が消費した都市ガスの容積を積算する計測装置である。ガスメータは、内部を通過したガスの通過量を積算し、記録する機能を有する。ガスメータには、ガスの流れで回転するまゆ型回転子やタービン等によって流量を計測する構造(ルーツ型ガスメータ、タービン式ガスメータ)、カルマン渦の生成状態をサーミスタで検出し流量を算出する構造(渦式ガスメータ)、可動性の膜によって仕切られた空間にガスを流入させガスの流入量に従って往復する膜の往復移動回数を計測しそれに基づいて流量を計測する構造(膜式ガスメータ)、超音波の伝播を利用して流量を計測する構造、しぼり構造における圧力の値から流量を計測する構造等があり、計測圧力については、高圧(1MPa以上)、中圧(0.1MPa〜1MPa未満)、低圧(0.1MPa未満)の圧力がある。一般的に普及しているガスメータは、膜式ガスメータである。
【0023】
ガスメータの内部空間及び/又はガス輸送導管の内部空間との語意には、(1)ガスメータの内部空間とガス輸送導管の内部空間の両方である場合、(2)ガスメータの内部空間又はガス輸送導管の内部空間のどちらか一方の内部空間である場合、の2通りの解釈が含まれる。また、ガスメータ及び/又はガス輸送導管という語意にも同様に、(1)ガスメータとガス輸送導管の両方である場合、(2)ガスメータ又はガス輸送導管のどちらか一方である場合、の2通りの解釈が含まれる。
【0024】
大気圧近傍の圧力とは、大気圧±5%以内の圧力、好ましくは大気圧±3%以内の圧力、より好ましくは大気圧±1%以内の圧力をいう。この程度の圧力範囲であれば、ガスメータの交換時に外部環境への都市ガスの急激な放散は発生せず、発明の目的は達せられる。なお、大気圧近傍の圧力には、大気圧も含まれる。
【0025】
第4の発明によれば、ガスメータの交換時における都市ガスの放散を防止できる。また、従来における方法よりも安全にしかも簡便にガスメータの交換を行える。
【0026】
第5の発明は、第1〜第4の発明の何れかにおいて、前記ガス吸着ステップで、所定のガスを容器内に加圧して送り込むことを特徴とする。容器内に送り込むガスを加圧することで、容器内の吸着材料へのガスの吸着量を増加させることができ、より多くのガスを容器内に回収できる。吸着材料へのガスの吸着は、より高い圧力下においての方が、単位表面積当たりにより多く吸着する。つまり、高い圧力下においての方が吸着効率は高くなる。よって、ガスを容器内へ加圧して送り込む方法は、より多くのガスを回収しようとするのに効果がある。
【0027】
第6の発明は、第1〜第5の発明の何れかにおいて、容器と閉空間とは、前記閉空間を負圧にしない圧力調整手段を介して接続されることを特徴とする。負圧は大気圧よりも低い圧力をいう。第6の発明によれば、例えばガスメータの交換作業において、都市ガスの回収対象となる配管内が負圧になり、ガスメータの交換時に大気が配管内に多量に流入する事態を回避できる。ガス輸送導管内に大気が多量に流入すると、ガスメータの交換後に行う都市ガスによるパージ作業をより入念に行わなくてはならず、作業の効率化の点で好ましくない。ガスメータの交換作業中、顧客は都市ガスを利用できない配管構造の場合もあるので、作業の効率化を図ることは、顧客サービスの観点からも重要である。また、ガス輸送導管内を負圧にしないようにすることは、膜式ガスメータのように、内部を負圧にするのが好ましくないガスメータにとって都合がよい。
【0028】
第7の発明は、所定のガスが含まれる閉空間に接続された配管と、前記配管に接続され、その内部空間に前記所定のガスを吸着する吸着材料を備える容器と、を含むガス回収システムである。第8の発明によれば、所定のガスを容器内に安全に且つ簡便に回収できるシステムが提供される。
【0029】
第8の発明は、第7の発明において、配管と容器との間に配置される、所定のガスが含まれる閉区間を負圧にしない圧力調整手段を有することを特徴とする。
【0030】
第9の発明は、第8の発明において、所定のガスを加圧して前記容器に送り込む加圧手段を更に含むことを特徴とする。
【0031】
第10の発明は、第8または第9の発明において、所定のガスが都市ガスであることを特徴とする。
【0032】
第11の発明は、第7〜第10の発明の何れか一つにおいて、閉空間がガスメータの内部空間及び/又はガス輸送導管の内部空間であることを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本実施の形態の記載内容に限定して解釈すべきではない。なお、全体を通して同じ要素には同じ番号を付するものとする。
【0034】
以下において、都市ガスの配管に接続されたガスメータを交換する作業に本発明を適用した場合の例を説明する。
【0035】
図1は、都市ガスの回収に用いる容器の一例を示す図である。容器101は、金属製で、内部は減圧状態であり、また内部に都市ガスの吸着材料となる活性炭102が充填されている。容器101はバルブ103を備え、バルブ103には配管104が接続されている。配管104の端部にはバルブ105が取り付けられている。配管104には、圧力計106が取り付けられている。
【0036】
活性炭102は、後述する脱着再生処理、あるいは活性化処理が施され、ガスが吸着し易い状態とされている。またその処理の際、容器101の内部は、減圧状態とされる。
【0037】
次に活性炭102について説明する。活性炭102としては、例えばヤシガラ活性炭が安価で吸着性能も優れている。ヤシガラ活性炭は市販されており、入手も容易である。
【0038】
活性炭102の製造方法の一例を以下に示す。活性炭の原料としては、セルロース、セルロース化合物、ポリイミド、ポリイミド化合物、セルロースを主成分とする天然物または人工物の中から選択される何れかの材料または複数を混合したものを利用できる。製造に当たっては、まず原料を粉末状にし、そこに必要に応じてバインダを加えて型に入れる。これを加圧し、所定形状の試料を得る。その後、成型された試料に対して熱処理を施す。熱処理は、2段階に分けて行う。まず炭化のための熱処理を行う。この熱処理は例えば窒素雰囲気中において、800℃、6時間の条件で行う。この熱処理によって、試料の炭化が行なわれる。次に第2の熱処理を行う。この第2の熱処理は、例えば二酸化炭素雰囲気中において、900℃、6時間の条件で行う。この第2の熱処理により、賦活が行われ、多孔質状態への変化が進行する。第1の熱処理においも多孔質化が進行しているが、第2の熱処理を行うことで、多孔質化がより進行する。第2の熱処理条件を制御することで、開孔の密度や開孔径を制御できる。開孔径や開口の密度の制御条件は、原料や雰囲気によって異なるので、実験的に求める必要がある。
【0039】
図2は、ガスメータの交換作業において、配管内に残留する都市ガスおよびガスメータ内に残留する都市ガスの回収手順を説明する模式図である。図2には、ガス輸送導管901、ガスメータ904、バルブ905、バルブ906、ガス回収用配管907、バルブ908、圧力調整装置913、ガス回収用チューブ909、バルブ105、圧力計106、バルブ103、容器101および活性炭102が示されている。
【0040】
ガス輸送導管901は、図示しない基幹となるガス輸送導管から分岐した配管で、各顧客にガスを供給するための配管である。都市ガスの通常の使用状態において、ガス輸送導管901には矢印902から903の方向に流れる。矢印903の先にガスコンロ等の都市ガスを消費する装置が接続される。ガスメータ904は交換されるガスメータである。
【0041】
圧力調整装置913は、ガス回収用配管907内が負圧(大気圧以下)にならないようにする手段である。圧力調整装置によって、バルブ905と906の間、およびガスメータ904内が負圧になる事態を回避する。
【0042】
圧力調整装置913を配置する理由は2つある。第1の理由は、バルブ905と906の間、およびガスメータ904内が負圧になり、後述するガスメータ904の交換時にバルブ905と906との間の配管に多量の空気が吸い込まれる事態を防止するためである。バルブ905と906との間の配管に多量の空気が吸い込まれると、後述の空気を除去するパージ処理の効率が低下し、作業の手間が余計に必要とされる。これは、作業時間が長くなることに加え、また容器101の利用効率が低下するので好ましくない。
【0043】
第2の理由は、最も広く用いられている膜式ガスメータの場合、内部を負圧にするのは好ましくないからである。
【0044】
圧力調整装置913について説明する。図9は、圧力調整装置913の一例を示す図である。図9に示す圧力調整装置913は、自動制御で吸気側の圧力が大気圧以下にならないように作動する。図9に示す圧力調整装置913は、配管921に電子圧力計922、流量調整バルブ923、バルブ924、流量調整装置925およびバルブ制御装置926を備えている。電子圧力計922は、配管921内の吸気側の圧力を計測し、計測値を電気信号でバルブ制御装置926へ送る。流量調整バルブ923は、配管921内を流れるガスの流量を調整する。配管921内を流れるガスの流量を調整しないと、後述するガス回収プロセスにおいて、一瞬にガスが流れてしまい、吸気側を大気圧以下にする機能を得るのが困難になる。バルブ924は、バルブ制御装置926の働きによって、開閉が電子的に制御される。流量調整装置925は、流量調整バルブ923を電子的に制御し、配管921内を流れるガス流の流量を調整する。バルブ制御装置926は、電子圧力計922の計測値に基づいて、バルブ924の開閉を制御する。バルブ制御装置926は、電子圧力計922の計測値が大気圧以下になった場合にバルブ924を閉鎖する制御を行う。なお、図9において、吸気側がガス回収用配管907(図2参照)が接続される側であり、排気側がガス回収用チューブ909の接続される側である。
【0045】
図9に例示する圧力調整装置によれば、吸気側が大気圧以下になると自動的にバルブ924が閉鎖され、ガスの通気が妨げられ、吸気側が負圧になる事態を防ぐことができる。
【0046】
図10は、圧力調整手段の他の一例を示す図である。図10に例示する圧力調整装置913は、吸気側を負圧にしない調整を手動で行う機能を有する。図10には、配管921、圧力計931、流量調整バルブ932およびバルブ933を備えている。圧力計931は配管921の吸気側の内圧を計測する。流量調整バルブ931は、配管921内を流れるガスの流量を手動で調整する。流量調整バルブ932の機能は、前述の流量調整バルブ923と同じである。バルブ933は、手動で閉鎖可能なバルブである。作業者は、バルブ933を開放した状態で圧力計931の示す圧力計測値が急激に変化しないように流量調整バルブ932を調整する。そして、圧力計931の表示に注意し、圧力計931に示す圧力が大気圧になった段階でバルブ933を閉鎖する。こうすることで、吸気側の圧力が負圧にならないようにできる。
【0047】
なお、バルブ924または933を閉鎖する吸気側の圧力値は、大気圧より若干高い圧力に設定してもよい。
【0048】
次に、ガスメータの交換作業に従う配管およびガスメータ内に残留する都市ガスの回収手順について図2を参照して説明する。作業に当たっては、活性炭102に後述する脱着再生処理(または再生処理)を施した容器101を用意し、作業現場に持参する。当然、バルブ103、105は閉鎖状態である。また、圧力調整装置913とガス回収用チューブ909も作業現場に持参する。
【0049】
まず、バルブ905と906が開放、バルブ908を閉鎖した状態で、まず、ガス回収用配管907に圧力調整装置913を接続し、さらに圧力調整装置913にガス回収用チューブ909を接続する。また、バルブ105にガス回収用チューブ909の他の端部を接続する。この状態でバルブ905と906を閉鎖する。そして、バルブ103、105および908を開放する。バルブ905と906との間、およびガスメータ904内の閉空間に残存している都市ガスは大気圧より高圧の正圧状態である、他方で、容器101の内部は減圧状態である。また、活性炭102は後述する脱着再生処理(または再生処理)が施され、ガスが吸着し易い状態となっている。よって、バルブ103、105および908を開放することで、バルブ905と906との間、およびガスメータ904内に残存している都市ガスは、容器101内に吸い込まれ、さらに活性炭102に吸着する。この際、圧力調整装置913を動作させて、バルブ905と906との間、およびガスメータ904内が負圧にならないようにする。バルブ905と906との間、およびガスメータ904内が大気圧になったら、バルブ103、105および908を閉鎖する。
【0050】
上記の作業の結果、バルブ905と906との間、およびガスメータ904内は、大気圧になる。この状態で、ガスメータ904を取り外し、交換用の新たなガスメータ904を取り付ける。この際、バルブ905と906との間、およびガスメータ904内は、大気圧であるから、ガスメータ904の取り外しの際に残存する都市ガスの放散を最小限にとどめることができる。また、ガス輸送導管901のバルブ905と906との間に大気が吸い込まれることもない。
【0051】
ガスメータ904の交換を行ったら、バルブ905と906との間、およびガスメータ904内に残留して空気を追い出すための都市ガスによるパージ作業を行う。まず、バルブ905を開放する。バルブ905の図示しない基幹となるガス輸送導管側は、正圧状態である。よって、バルブ905を開放することで、大気圧状態にあるバルブ905と906との間、および新たなガスメータ904内にバルブ905を介して都市ガスが流れ込む。そして再度バルブ905を閉鎖し、ついでバルブ908、105および103を開放して、活性炭102に都市ガスおよび残留した空気を吸着させる。この際、圧力調整装置913を前と同様に動作させる。上記の作業を1回以上繰り返し行うことで、バルブ905と906との間、およびガスメータ904内が都市ガスで満たされ、残留した空気が問題とならないレベルに減少する。こうして、ガスメータ904の交換作業を終了する。
【0052】
ガスメータ904の交換作業が終了したら、バルブ908、105および103を閉鎖した状態で、ガス回収用チューブ909を圧力調整装置913から取り外し、さらに圧力調整装置913を取り外す。こうして一連の作業が終了する。
【0053】
使用した容器101は、持ち帰る、あるいは所定の場所へ運び、そこで脱着再生処理を施す。脱着再生処理について後述する。活性炭102に都市ガスをさらに吸着できる能力が残っているならば、別の作業現場で上述した都市ガス回収作業をさらに行っても良い。
【0054】
以上説明した作業の例では、ガス回収用チューブ909を長く引き回す必要はなく、また燃焼を行う作業も必要ない。よって、簡単な作業で安全に都市ガスを回収できる。また、圧力調整装置913の働きによって、ガス輸送導管901のバルブ905と906との間、およびガスメータ904内が負圧にならないので、ガスメータ904の交換時にガス輸送導管901内に外気が吸い込まれる事態が抑制される。また、ガスメータ904内が負圧になる事態が避けられる。
【0055】
次に都市ガスの回収を行った後に行う活性炭102の脱着再生処理について説明する。図3は脱着再生処理の一例を示す模式図である。図3には、脱着ガス回収用チューブ301、排気ポンプ302、配管303、バルブ304、バルブ305、脱着ガス回収タンク306およびヒータ307が示されている。ヒータ307は、容器101を加熱して活性炭102を加熱することで、脱着再生処理の効率を高める手段である。ヒータ307は、抵抗加熱式のヒータであり、容器101を加熱することで、間接的に活性炭102を加熱する。ヒータ307は、容器101の温度が室温〜100℃程度の温度となるように図示しない温度調整機構によって制御される。
【0056】
まず、上述した都市ガスの回収作業に用いた容器101に脱着ガス回収用チューブ301を接続する。この段階では、全てのバルブは閉鎖状態である。この状態で排気ポンプ302を始動させ、さらにバルブ103と105と305を開放する。次にヒータ307に通電し、容器101を約50℃の温度に加熱する。これにより、容器101内のガスが排気ポンプ302によって吸い出され、脱着ガス回収タンク306へ送られる。また、活性炭102は加熱されて、吸着しているガスの脱着が促進され、活性炭102の脱着再生処理が行われる。
【0057】
容器101内の圧力が例えば0.1Pa程度になったらバルブ103および105を閉鎖し、活性炭102の脱着再生処理が終了する。この処理において、活性炭102に吸着した都市ガスは脱着し、脱着ガス回収タンク306に回収される。活性炭102から都市ガスを脱着させることで、活性炭102は再び吸着能力を回復し、再生される。また101容器内も減圧状態になる。こうして、容器101を再び都市ガス回収に再利用できる。脱着ガス回収タンク306に回収された都市ガスは、再利用できる。例えば、メタンガスとして再利用できる。
【0058】
次に活性炭102が都市ガスの吸着を行っていない未使用状態である場合の処理(再生処理)について説明する。これは、容器101に新しい活性炭を充填した場合に行う処理である。この場合も上述した脱着再生処理と同様の手順に従って、活性炭102に吸着したガスを脱着させればよい。ただし、脱着ガスは主に空気の構成成分であるから、脱着ガスを脱着ガス回収タンク306に回収する必要はない。
【0059】
次に活性炭の都市ガスを吸着する能力について確認した実験について説明する。図4は、活性炭の都市ガスに対する吸着能力を確認するシステムを示す模式図である。図4には、容器311、容器312、ガス供給配管313、バルブ314、バルブ315、圧力計316が示されている。容器311の容積は34cc、容器312の容積は31ccである。容器312には上述した再生処理が施された市販のヤシガラ活性炭が充填されている。容器311の容積には、バルブ314と315との間の配管容積も加えてある。
【0060】
試験ガスは、13A都市ガスを用い、吸着剤には市販ヤシガラ活性炭を10.7g用いた。試験温度は298Kである。13A都市ガスとは、天然ガスを原料とした都市ガスの種類を示す名称である。13A都市ガスは、熱量が46MJ/Nm3であり、組成はメタンが88.5体積%、エタンが4.6体積%、プロパンが5.4体積%、ブタンが1.5体積%である。
【0061】
試験は以下のようにして行った。まず、容器311と容器312を高真空にした状態でバルブ314と315を閉鎖する。次にバルブ314を開放し、容器311内が所定の圧力になるまで13A都市ガスを導入する。この圧力は、圧力計316で計測する。この圧力を試験圧力とする。
【0062】
容器311内の圧力が所定の試験圧力になったら、バルブ314を閉鎖し、次いでバルブ315を開放する。平衡状態に達した段階で圧力計316から容器311と312でなる系の内圧を読み取る。この圧力を平衡圧力とする。
【0063】
下記「表1」に、試験圧力と平衡圧力との関係を計測したデータを示す。
【0064】
【表1】
【0065】
表1において、全ガス量とは、容器311内に貯留されたガスが大気圧下で占めるであろう容積である。図5は、表1に基づいて作成した試験圧力(MPa.G)と平衡圧力(MPa.G)との関係を示すグラフである。ここで、(MPa.G)はゲージ圧である。ちなみに、絶対圧は、(MPa.abs)で表記される。また、ゲージ圧と大気圧の和が絶対圧となる。
【0066】
図5は、表1に基づいて作成したグラフである。図5から、試験圧力が約1(MPa.G)近くであっても平衡圧力は大気圧程度であり、31ccと少ない容積にもかかわらず、多量の都市ガスを活性炭は吸着することが分かる。
【0067】
このことは、表1からも明らかである。例えば、試験圧力が0.891(MPa.G)である場合、バルブ315を開放する前には、容器311には大気圧換算で約303ccの都市ガスが格納されているが、バルブ315の開放後には、(約303cc−34cc)の都市ガスが容器312内に格納され、しかも圧力は−0.011(MPa.G)(絶対圧に換算して約0.089(MPa.abs))と大気圧よりやや低い圧力に保たれる。
【0068】
次に、吸着を利用したガス回収システムの優位性を、吸着を利用しないガス回収システムとの比較を例に挙げ説明する。ここでは、所定のガスが大気圧の5倍の圧力で密閉された閉空間(体積はV=10リットル)の空間からガスを排出させ、大気圧にまで圧力を低下させる場合を例に挙げて説明する。
【0069】
図6は、高圧ガスが密閉された閉空間からガスを回収する例を説明する模式図である。図6には、両端がバルブで仕切られた容積がV=10リットルの配管403、体積V1で内部が真空の容器1(401)、体積V2で内部に大気圧における貯蔵効率が9倍の吸着材料を充填した内部が真空の容器2(402)が示されている。大気圧における貯蔵効率が9倍の吸着材料は、大気圧において、吸着材料の体積の9倍に相当するガスを吸着する能力を有する。なお、真空は、理想的な状態を考え0気圧とする。
【0070】
ここで、配管403には、所定のガスが大気圧の5倍の圧力で密閉されているとする。そして、配管403に容器1および容器2を個別に接続し、配管内のガスを各容器に吸引させ、配管403内の圧力を大気圧にまで低下させる場合を考える。
【0071】
まず、容器1にガスを吸引させる場合について説明する。大気圧をP、容器1の体積をV1とすると、ボイルの法則から5PV=P(V+V1)の式が成り立つ。なお、温度は一定とし、接続用の配管等の容積は無視する。
【0072】
上式において、左辺は容器1(401)への吸引前の状態を表し、右辺は容器1(401)への吸引を行った後に配管403内と容器1(401)内が大気圧になった状態を表す。
【0073】
上式より、V1=4V、つまりV1=40リットルが得られる。これは、容積10リットルの配管403に5気圧のガスが残され、そこに真空容器を接続して、内部のガスを回収する場合、真空の容器1(401)は、40リットルの容積が必要であることを意味する。
【0074】
これに対して、貯蔵効率9倍の吸着材料を充填した容器2(402)は、同じ容積なら真空容器に比較して体積で9倍のガスを吸着できるので、必要な容積は40/9=4.44リットルでよい。このように、単なる真空容器を用いる場合に比較して、吸着材料を用いる方法は、同じ回収容量を確保するのに容器を小型で済ますことができる。また、同じ容器の容積ならば、より多くのガスを回収できる。
【0075】
次に図2の変形技術を例示する。ここでは、活性炭への都市ガスの吸着工程において、加圧ポンプを用いて容器101内に都市ガスを加圧して送り込む例を説明する。図7は、図2に例示するシステムに加圧ポンプ501を加え、バルブ905と906の間の配管、およびガスメータ904内に残存する都市ガスをポンプ501で加圧して容器101に回収するシステムの例である。圧力を高くすると、吸着材料に対するガスの吸着量を増やすことができるので、図7の例では、図2に示すシステムに比較して容器101内により多くの都市ガスを回収できる。活性炭用の都市ガスに対する貯蔵効率は、10MPa.abs程度(約100気圧程度)まで、圧力が高い程高くなる。よって、加圧ポンプを用いて活性炭が充填された容器内に都市ガスを送り込む方法は、より多くの都市ガスを回収する方法として有効である。この方法は、都市ガス以外の他のガスを回収する場合にも有効である。
【0076】
以上の例示においては、都市ガス用のガスメータの交換時における配管およびガスメータ内に残留する都市ガスの回収作業の例を説明した。しかし本発明は、都市ガスの回収にその利用が限定されるものではなく、刺激性ガスや有毒性のガス、環境への悪影響が懸念されるガス、さらには高価なガスで回収が必要とされるガス等の回収に利用できる。また本発明は、ガスメータの交換作業以外に、配管の交換、バルブの交換、その他工事において特定箇所からガスを回収する必要がある場合に利用できる。
【0077】
以下に示すのは、地中に埋められているガス輸送導管を交換する場合に本発明を利用した場合の例である。地中に埋められている基幹となるガス輸送導管の交換も時として必要とされる。例えば、地震等の災害時における復旧作業時におけるガス輸送導管の交換、古くなったガス輸送導管の交換等である。ガス輸送導管は、正圧の都市ガスが供給されているので、交換時に、交換対象の管内部に残存するガスを安全に回収する必要が生じる。地中に埋められているガス輸送導管は延長距離が長いので、一度にできるだけ多くの都市ガスを回収できる技術が要求される。
【0078】
図8は、ガス輸送導管から残留ガスを回収するシステムの一例を示す模式図である。図8(a)は、本発明を利用した例であり、図8(b)は比較例である。図8(a)には、ガス輸送導管801、ガス輸送導管801の一部802、ガス輸送導管802の内部圧力を計測する圧力計803、加圧ポンプ804、ガス回収タンク805、ガス回収タンク805を搭載したトラック806が示されている。
【0079】
ガス輸送導管802は、交換の対象となる配管である。ガス輸送導管802は、適当な部分で切断される、あるいは継手が取り外される等の方法によって取り外される。加圧ポンプ804は、ガス回収タンク805へガス輸送導管802内の都市ガスを加圧して送り出す。ガス回収タンク805は、内部に脱着処理あるいは活性化処理された活性炭が充填され、且つ減圧状態にされている。ガス回収タンク805は、規模が異なるだけ、図1〜3に例示した容器101と基本的には同じものである。
【0080】
以下、ガス輸送導管802の交換作業について手順の一例を説明する。まず、ガス輸送導管802をその間に含む2ヶ所のバルブを閉鎖する。次にガス輸送導管802の適当な場所に回収用の配管を接続し、加圧ポンプ804を動作させて回収タンク805へガス輸送導管802内に残留した都市ガスを回収する。ガス輸送導管802の圧力が大気圧以下になったら、加圧ポンプ804を停止させ、さらに回収用配管をガス輸送導管802から取り外す。そして、ガス輸送導管802の交換を行う。
【0081】
例えば、ガス輸送導管802の内径が600mmで延長距離が800m、供給されている都市ガスの圧力が8.9気圧である場合、ガス輸送導管802内に残留する都市ガスの体積は、大気圧下で約2000立方メートルとなる。このガスを吸着により回収するには、(回収タンク805)内部を10気圧まで加圧する場合、回収タンク805の容積は25立方メートルでよい。なお、この試算は、10気圧における活性炭の貯蔵効率が約8倍として計算している。
【0082】
図8(B)に示すのは、交換の対象であるガス輸送導管802から他のガス輸送導管(つまり工事区間以外のガス輸送導管)へ都市ガスを送り込むことで、ガス輸送導管802内に残留する都市ガスを除去する方法である。この方法では、都市ガスを流し込む先のガス輸送導管の圧力が上昇しないようにしなければならないので、長い処理時間が必要とされる。多様な条件があり、一概にはいえないが、ガスを流し込む先のガス輸送導管内の圧力を問題とならないレベルの変動に抑える場合、流し込める流量は、毎時300立方メートル程度が限度である。よって、図8(B)に示す方法で、2000立方メートルのガスを工事区間以外のガス輸送導管に流し込むには、7時間近くの時間が必要となる。これに対して、図8(A)の方法は、加圧ポンプ804として、処理能力の大きなポンプを用いれば、より短時間でガスの回収作業を行える。
【0083】
以上本発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0084】
【発明の効果】
本願で開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果は、以下の通りである。すなわち、本発明により、所定の閉空間に残存する所定のガスを安全にまた労力をかけずに回収する技術が提供される。また、都市ガスのガスメータやガス輸送導管の交換時において、配管やガスメータに残存する都市ガスを安全にまた労力をかけずに回収する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 都市ガスの回収に用いる容器の一例を示す図である。
【図2】 ガスメータの交換作業に従う配管およびガスメータ内に残留する都市ガスの回収手順の一例を説明する模式図である。
【図3】 脱着再生処理の一例を示す模式図である。
【図4】 活性炭の吸着能力を確認するシステムを示す模式図である。
【図5】 試験圧力と平衡圧力との関係を示すグラフである。
【図6】 高圧ガスが密閉された閉空間からガスを回収する例を説明する模式図である。
【図7】 ガスメータの交換作業に従う配管およびガスメータ内に残留する都市ガスの回収手順の一例を説明する模式図である。
【図8】 配管に残った都市ガスを回収するシステムの一例を示す模式図である。
【図9】 圧力調整手段の一例を示す図である。
【図10】圧力調整手段の他の一例を示す図である。
【図11】 従来技術における残留ガスの処理方法である。
【符号の説明】
101…容器、102…活性炭、103…バルブ、104…配管、105…バルブ、106…圧力計、301…脱着ガス回収用チューブ、302…排気ポンプ、303…配管、304…バルブ、305…バルブ、306…脱着ガス回収タンク、307…ヒータ、403…配管、501…加圧ポンプ、801…ガス輸送導管、802…ガス輸送導管、803…圧力計、804…加圧ポンプ、805…ガス回収タンク、806…トラック、901…ガス輸送導管、904…ガスメータ、905…バルブ、906…バルブ、907…ガス回収用配管、908…バルブ、909…ガス回収用チューブ、910…バーナー、911…バルブ、912…炎、913…逆止弁、921…配管、922…電子圧力計、923…流量調整バルブ、924…バルブ、925…流量調整装置、926…バルブ制御装置、931…圧力計、932…流量調整バルブ、933…バルブ。
Claims (9)
- 所定のガスが含まれる閉空間から前記所定のガスを回収する方法であって、
前記所定のガスを吸着する吸着材料が収納された減圧容器を前記閉空間に、前記閉空間を負圧にしない圧力調整手段を介して、接続するステップと、
前記所定のガスを前記吸着材料に吸着させるガス吸着ステップと、
前記吸着材料に吸着した前記所定のガスを回収または処理するステップと、
を含むガスの回収方法。 - 前記所定のガスが都市ガスである請求項1に記載のガスの回収方法。
- 前記吸着材料が活性炭である請求項1または2に記載のガスの回収方法。
- 前記所定のガスが都市ガスであり、
前記閉空間にガスメータの内部空間及び/又はガス輸送導管の内部空間が含まれ、
前記ガス吸着ステップでは、前記ガスメータ及び/又はガス輸送導管の内部空間の圧力が大気圧近傍の圧力にされ、
前記ガス吸着ステップの後に前記ガスメータ及び/又はガス輸送導管を交換するステップを更に含む、
請求項1〜3の何れか一項に記載のガスの回収方法。 - 前記ガス吸着ステップにおいて、前記所定のガスを前記減圧容器内に加圧して送り込む請求項1〜4の何れか一項に記載のガスの回収方法。
- 所定のガスが含まれる閉空間に接続された配管と、
前記配管に接続され、その内部空間に前記所定のガスを吸着する吸着材料が収納された減圧容器と、
前記配管と前記減圧容器との間に配置された前記閉空間を負圧にしない圧力調整手段と、
を含むガス回収システム。 - 前記所定のガスを加圧して前記減圧容器に送り込む加圧手段を更に含む請求項6に記載のガス回収システム。
- 前記所定のガスが都市ガスである請求項6または7に記載のガス回収システム。
- 前記閉空間がガスメータの内部空間及び/又はガス輸送導管の内部空間である請求項6〜8の何れか一項に記載のガス回収システム。
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