JP3836291B2 - 箱形熱処理炉 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、炉内に搬入した被処理物を複数の位置に移送して熱処理する箱形熱処理炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、箱形熱処理炉を用いて例えば浸炭焼入を行う場合には、図5に示すように、まず、熱処理対象となる歯車等の被処理物Wが、箱形熱処理炉50の前方側に設けられた炉前テーブル51上に搬送されてくると、炉体前方の搬入出扉52が開いて、被処理物Wが図示しない搬送機構によって炉内の油槽室53に搬入される。次いで、炉内に設けられている断熱扉54が開いて、被処理物Wが図示しない搬送機構によって油槽室53から加熱室55に移送される。
【0003】
そして、断熱扉54が閉じられ、加熱室55で被処理物Wが加熱されてガス浸炭等の処理が行われる。この処理の後、断熱扉54が開いて被処理物Wが再び油槽室53に移送される。続いて、被処理物Wが図示しないリフト機構によって下降し、油槽室53の下部に設けられた焼入油槽56内の油中に浸漬されて焼入が行われた後、被処理物Wが上昇して油槽室53の上部に戻され、搬入出扉52が開いて炉前テーブル51に移送される。
【0004】
ところで、このような熱処理を行う場合において、被処理物Wの熱処理歪が大きいと、後工程の例えば研磨工程において加工工数が増えて生産性が低下することになる。したがって、被処理物Wの熱処理歪を最小にすることが望ましい。
被処理物Wの熱処理歪を極力少なくするには、炉内での最適な熱処理条件を把握しておくことが重要である。そのためには、被処理物Wの加熱室55での加熱温度や浸炭温度、焼入油槽56における焼入温度等、被処理物Wの実際の温度をリアルタイムにて正確に検出することが必要となる。
このような被処理物Wの実際の温度は、熱電対入りのシース線の先端部を被処理物に直接固定し、シース線の他端部を炉外に引き出して測温することにより検出できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように、被処理物Wは油槽室53上部、加熱室54、焼入油槽56等の複数の位置に順次移送されるため、シース線の先端を単に被処理物Wに固定しただけでは、シース線が絡まったり炉内の部材に巻き付いたりして不意に切断されてしまうおそれがある。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、被処理物を複数の位置に移送して熱処理する場合に、前記シース線が被処理物に円滑に追随することができ、被処理物の実際の温度を正確に測定することができる箱形熱処理炉を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するためのこの発明の箱形熱処理炉は、炉内に搬入した被処理物を複数位置に移送して熱処理する箱形熱処理炉であって、先端側を炉内に導入しているとともに、先端部を被処理物に取り付ける測温用のシース線と、炉内において前記シース線の途中部を保持した状態で、被処理物の移送位置に応じて当該シース線を引き回して被処理物に追随させるシース線保持装置とを備えることを特徴としている(請求項1)。
このように構成された箱形熱処理炉によれば、測温用のシース線の先端部を被処理物に取り付け、途中部をシース線保持装置によって保持した状態で、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を引き回して被処理物に追随させることができる。このため、シース線が弛み過ぎたり張り過ぎたりするのを防止することができる。
【0007】
前記シース線保持装置は、被処理物の移送位置に応じて回動角度が切り換えられる作動アームと、この作動アームに揺動自在に取り付けられた従動アームとを備えるものであってもよい(請求項2)。
この場合には、被処理物の移送位置に応じて作動アームの回動角度を切り換えるだけで、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を被処理物に追随させることができる。このため、シース線保持装置の構造を簡素にすることができる。
【0008】
またこの発明の箱形熱処理炉は、炉内に搬入した被処理物を複数位置に移送して熱処理する箱形箱形熱処理炉であって、先端側を炉内に導入しているとともに、先端部を被処理物に取り付ける測温用のシース線と、炉内において前記シース線の途中部を保持した状態で、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を昇降させて被処理物に追随させるシース線保持装置とを備えることを特徴としている(請求項3)。
このように構成された箱形熱処理炉によれば、測温用のシース線の先端部を被処理物に取り付け、途中部をシース線保持装置によって保持した状態で、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を昇降させて被処理物に追随させることができる。このため、シース線が弛み過ぎたり張り過ぎたりするのを防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を示してその特徴とするところをさらに詳しく説明する。
図1はこの発明の実施の形態に係る箱形熱処理炉1の断面図、図2はその一部欠截側面図である。
この実施の形態の箱形熱処理炉1は、歯車等の被処理物Wに浸炭焼入処理を施すものであり、ドーム状の炉体2内に油槽室4と加熱室5とが設けられ、両室4,5が断熱扉7によって区画されている。また、前記油槽室4の下部には油焼入のための焼入油槽8が設けられている。
【0010】
前記炉体2の前方壁の外側には、被処理物Wを一時的に待機させるための炉前テーブル10が配置されており、この炉前テーブル10に対面する炉体2の前方壁の開口部2cには、被処理物Wの搬入出扉11が設けられている。
また、前記前テーブル10から加熱室5にかけて、被処理物Wを炉前テーブル10から油槽室4及び加熱室5の各位置に移送するための搬送機構12が設けられている。この搬送機構12は、炉前テーブル10、油槽室4及び加熱室5にそれぞれ設けられた一対のガイドレール12aと、被処理物Wを搭載して前記ガイドレール12aに沿って移動する台車12bとを備えるものである。
【0011】
前記油槽室4には、被処理物Wを油槽室4上部と焼入油槽8との間で昇降させるシリンダ式のリフト機構14が設けられている。このリフト機構14は、被処理物Wを載置する片持式のフォーク15を備え、このフォーク15が上下に駆動されるようになっている。また、前記フォーク15には、油槽室4内のガイドレール12aが搭載されており、このガイドレール12aと台車12bとは、フォーク15とともに昇降するようになっている。
【0012】
炉体2の側壁部2aには、炉内に導入された測温用のシース線18を吊下保持するとともに、被処理物Wの移送位置に応じて当該シース線18を引き回すシース線保持装置20が設けられている。このシース線保持装置20は、図3に示すように、クランク状の作動アーム21と、この作動アーム21の上端部に揺動自在に吊り下げられた従動アーム22とを備えている。
【0013】
前記作動アーム21の基端部は、アーム軸23に固定されている。このアーム軸23は炉体1の側壁部2aを貫通しており、その炉外に突出した端部にギヤ25が固定され、このギヤ25と炉外に設置されたモータ26の駆動軸とが、チェーン27を介して連結されている(図1参照)。前記モータ26は、被処理物Wの移送位置に応じて正逆転駆動されるものであり、これにより、作動アーム21の回動角度を選択的に切り換えて、当該作動アーム21を被処理物Wの移送位置に応じてアーム軸23を中心に3つの角度位置に回動させることができる。この実施の形態における前記作動アーム21の回動位置は、図2の二点鎖線で示すように、アーム軸23から鉛直上方に延びる垂直位置と、同図の実線で示すように、前記垂直位置から反時計回り方向に所定角度傾動した前傾位置と、同図の点線で示すように、前記垂直位置から時計回り方向に所定角度傾動した後傾位置の3位置に設定されている。
【0014】
前記シース線18は、先端内部に熱電対が封止されているものであり、その先端側の所定長さ部分が炉内に導入されているとともに、炉体2の側壁部2aに設けられた接続用プラグ30を介して炉外の図示しない測温用の計器に接続されている。また、前記シース線18は、接続用プラグ30部分から途中部までが、作動アーム21及び従動アーム22に沿って配線されており、従動アーム22の先端から先の部分は、自由状態にて被処理物Wに向けて延びており、その先端部は被処理物Wに結束等によって直接固定される。
【0015】
次に、前記の構成の箱形熱処理炉1の動作について説明する。
まず、炉前テーブル10上(図2のA位置)に被処理物Wが搬送されてくると、この被処理物Wの側面等にシース線18の先端部を固定する。このとき、搬入出扉11が開かれているとともに、シース線保持装置20の作動アーム21は前傾位置に傾動している。また、被処理物Wが作動アーム21よりも前方位置にあるため、従動アーム22はシース線18に引っ張られて作動アーム21よりも前方に振れた状態となる。
【0016】
その後、被処理物Wが搬送機構12によって炉内の油槽室4内の所定位置(図2のB位置)まで移送されて、片持式のフォーク15によって支承される。この移送動作中にモータ26が駆動されて、作動アーム21が垂直位置に切り換えられる。このとき従動アーム22は作動アーム21とほぼ重なっている。
【0017】
続いて、炉内に設けられている断熱扉7が開かれて、被処理物Wが搬送機構12によって油槽室4から加熱室5内の所定位置(図2のC位置)まで移送される。この被処理物Wの加熱室5への移送に伴って、作動アーム21が垂直位置から後傾位置に切り換えられる。このとき被処理物Wは作動アーム21よりもさらに後方位置にあるので、従動アーム22はシース線18で引っ張られて作動アーム21よりもさらに後方に振れた状態となる。そして、断熱扉7が閉じられた後、この加熱室5で被処理物Wが加熱されてガス浸炭等の処理が行なわれる。なお、前記断熱扉7が閉じられた状態では、その下面と加熱室5の開口縁5aとの間に、シース線18を通すための隙間が形成されている。
【0018】
その後、断熱扉7が開かれて被処理物Wは搬送機構12によって油槽室4の元の位置(図2のB位置)まで移送されて、再び片持式のフォーク15によって支承される。このとき作動アーム21は後傾位置のまま保持される。この場合、被処理物Wは作動アーム21と略同じ位置にあるので、シース線18は従動アーム22と被処理物Wとの間で弛んだ状態になる。したがって、従動アーム22はシース線18で引っ張られないため、垂直に垂れ下がった状態に維持される。
【0019】
続いて、リフト機構14の片持式のフォーク15が下降して、このフォーク15に支承された被処理物Wが、焼入油槽8内(図2のD位置)に移送される。これによって油中に浸漬されて油焼入が行われる。このとき作動アーム21は後傾位置に維持される。また、シース線18は従動アーム22と被処理物Wとの間で弛んだ状態になり、従動アーム22はシース線18で引っ張られないため、垂直に垂れ下がった状態に維持される。
この焼入処理の後、被処理物Wはリフト機構14によって上昇移動されて、油槽室4の元の位置(図2のB位置)に戻される。このとき作動アーム21は後傾位置に維持される。この被処理物Wの昇降に際しては、当該被処理物Wを支承するフォーク15が片持式であるのでシース線18がリフト機構14に巻き付くのを抑制することができる。
【0020】
次いで、搬入出扉11が開かれて、被処理物Wは搬送機構12によって再び炉前テーブル10の元の位置(図2のA位置)に移送される。この被処理物Wの移送に伴って、作動アーム21は後傾位置から前傾位置に切り換えられる。このとき、被処理物Wは作動アーム21よりも前方位置にあるので、従動アーム22はシース線18で引っ張られて作動アーム21より前方に振れた状態となり、シース線18は最初の状態に戻る。
【0021】
なお、前記の実施の形態においては、作動アーム21を駆動するアーム軸23を、炉体2の側壁部2aのうちの搬入出扉11寄りに設けているので、炉内におけるシース線18の吊下位置も前方寄りになっているが、炉の設計上特に差し障りがなければ、アーム軸23は、炉体2の側壁部2aのうちの被処理物Wの移送範囲の略中央位置に設けるのが好ましい。このようにすれば、被処理物Wを移送した際に、シース線18に余分な弛みが生じるのを極力少なくできるので、シース線18が絡まるのをより確実に阻止することができる。
【0022】
図4はシース線保持装置20の他の実施の形態を示す一部欠截側面図である。前記の実施の形態におけるシース線保持装置20は、シース線18を被処理物Wの移送に追随させて吊下状態で引き回すものであるが、この実施の形態のシース線保持装置20は、シース線18の途中部を保持した状態で、被処理物Wの移送位置に応じて前記シース線18を昇降させて被処理物Wに追随させるものである。
すなわち、この実施の形態のシース線保持装置20は、油槽室4の上方に位置する炉体2の天井壁2に、エアシリンダ等からなる昇降機構32を設けており、この昇降機構32によってシース線18を吊り下げた状態で上下動させることにより、当該シース線18の弛み具合を被処理物Wの移送位置に応じて調整するものである。
この実施の形態によれば、シース線保持装置20がシース線18を上下動させるだけのものであるので、その構造を極めて簡素にすることができる。
【0023】
なお、前記の実施の形態においては、浸炭処理用の箱形熱処理炉を例にとって説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、被処理物Wに焼入処理のみを施す箱形熱処理炉ついてもこの発明を勿論適用して実施することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の箱形熱処理炉によれば、測温用のシース線の先端部を被処理物に取り付け、途中部をシース線保持装置によって保持した状態で、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を引き回して被処理物に追随させることができるので、シース線が弛み過ぎたり張り過ぎたりするのを防止することができ、シース線が絡まったり炉内の部材に巻き付いたりして不意に切断するのを防止することができる。したがって、被処理物の実際の熱処理温度を正確に測定することができる。
【00025】
請求項2記載の箱形熱処理炉によれば、被処理物の移送位置に応じて作動アームの回動角度を切り換えるだけで、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を被処理物に追随させることができるので、シース線保持装置の構造を簡素にすることができ、その製造コストを安くすることができる。
【00026】
請求項3記載の箱形熱処理炉によれば、測温用のシース線の先端部を被処理物に取り付け、途中部をシース線保持装置によって保持した状態で、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を昇降させて被処理物に追随させることができるので、シース線が弛み過ぎたり張り過ぎたりするのを防止することができ、シース線が絡まったり炉内の部材に巻き付いたりして不意に切断するのを防止することができる。したがって、被処理物の実際の熱処理温度を極めて簡素な構造でもって正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る箱形熱処理炉の断面図である。
【図2】前記箱形熱処理炉の一部欠截側面図である。
【図3】シース線保持装置を示す要部斜視図である。
【図4】シース線保持装置の他の実施の形態を示す一部欠截側面図である。
【図5】箱形熱処理炉の熱処理手順の説明図である。
【符号の説明】
1 箱形熱処理炉
2 炉体
4 油槽室
5 加熱室
8 焼入油槽
12 搬送機構
14 リフト機構
15 フォーク
18 シース線
20 シース線保持装置
21 作動アーム
22 従動アーム
23 アーム軸
32 昇降機構
【発明の属する技術分野】
この発明は、炉内に搬入した被処理物を複数の位置に移送して熱処理する箱形熱処理炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、箱形熱処理炉を用いて例えば浸炭焼入を行う場合には、図5に示すように、まず、熱処理対象となる歯車等の被処理物Wが、箱形熱処理炉50の前方側に設けられた炉前テーブル51上に搬送されてくると、炉体前方の搬入出扉52が開いて、被処理物Wが図示しない搬送機構によって炉内の油槽室53に搬入される。次いで、炉内に設けられている断熱扉54が開いて、被処理物Wが図示しない搬送機構によって油槽室53から加熱室55に移送される。
【0003】
そして、断熱扉54が閉じられ、加熱室55で被処理物Wが加熱されてガス浸炭等の処理が行われる。この処理の後、断熱扉54が開いて被処理物Wが再び油槽室53に移送される。続いて、被処理物Wが図示しないリフト機構によって下降し、油槽室53の下部に設けられた焼入油槽56内の油中に浸漬されて焼入が行われた後、被処理物Wが上昇して油槽室53の上部に戻され、搬入出扉52が開いて炉前テーブル51に移送される。
【0004】
ところで、このような熱処理を行う場合において、被処理物Wの熱処理歪が大きいと、後工程の例えば研磨工程において加工工数が増えて生産性が低下することになる。したがって、被処理物Wの熱処理歪を最小にすることが望ましい。
被処理物Wの熱処理歪を極力少なくするには、炉内での最適な熱処理条件を把握しておくことが重要である。そのためには、被処理物Wの加熱室55での加熱温度や浸炭温度、焼入油槽56における焼入温度等、被処理物Wの実際の温度をリアルタイムにて正確に検出することが必要となる。
このような被処理物Wの実際の温度は、熱電対入りのシース線の先端部を被処理物に直接固定し、シース線の他端部を炉外に引き出して測温することにより検出できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように、被処理物Wは油槽室53上部、加熱室54、焼入油槽56等の複数の位置に順次移送されるため、シース線の先端を単に被処理物Wに固定しただけでは、シース線が絡まったり炉内の部材に巻き付いたりして不意に切断されてしまうおそれがある。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、被処理物を複数の位置に移送して熱処理する場合に、前記シース線が被処理物に円滑に追随することができ、被処理物の実際の温度を正確に測定することができる箱形熱処理炉を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するためのこの発明の箱形熱処理炉は、炉内に搬入した被処理物を複数位置に移送して熱処理する箱形熱処理炉であって、先端側を炉内に導入しているとともに、先端部を被処理物に取り付ける測温用のシース線と、炉内において前記シース線の途中部を保持した状態で、被処理物の移送位置に応じて当該シース線を引き回して被処理物に追随させるシース線保持装置とを備えることを特徴としている(請求項1)。
このように構成された箱形熱処理炉によれば、測温用のシース線の先端部を被処理物に取り付け、途中部をシース線保持装置によって保持した状態で、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を引き回して被処理物に追随させることができる。このため、シース線が弛み過ぎたり張り過ぎたりするのを防止することができる。
【0007】
前記シース線保持装置は、被処理物の移送位置に応じて回動角度が切り換えられる作動アームと、この作動アームに揺動自在に取り付けられた従動アームとを備えるものであってもよい(請求項2)。
この場合には、被処理物の移送位置に応じて作動アームの回動角度を切り換えるだけで、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を被処理物に追随させることができる。このため、シース線保持装置の構造を簡素にすることができる。
【0008】
またこの発明の箱形熱処理炉は、炉内に搬入した被処理物を複数位置に移送して熱処理する箱形箱形熱処理炉であって、先端側を炉内に導入しているとともに、先端部を被処理物に取り付ける測温用のシース線と、炉内において前記シース線の途中部を保持した状態で、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を昇降させて被処理物に追随させるシース線保持装置とを備えることを特徴としている(請求項3)。
このように構成された箱形熱処理炉によれば、測温用のシース線の先端部を被処理物に取り付け、途中部をシース線保持装置によって保持した状態で、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を昇降させて被処理物に追随させることができる。このため、シース線が弛み過ぎたり張り過ぎたりするのを防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を示してその特徴とするところをさらに詳しく説明する。
図1はこの発明の実施の形態に係る箱形熱処理炉1の断面図、図2はその一部欠截側面図である。
この実施の形態の箱形熱処理炉1は、歯車等の被処理物Wに浸炭焼入処理を施すものであり、ドーム状の炉体2内に油槽室4と加熱室5とが設けられ、両室4,5が断熱扉7によって区画されている。また、前記油槽室4の下部には油焼入のための焼入油槽8が設けられている。
【0010】
前記炉体2の前方壁の外側には、被処理物Wを一時的に待機させるための炉前テーブル10が配置されており、この炉前テーブル10に対面する炉体2の前方壁の開口部2cには、被処理物Wの搬入出扉11が設けられている。
また、前記前テーブル10から加熱室5にかけて、被処理物Wを炉前テーブル10から油槽室4及び加熱室5の各位置に移送するための搬送機構12が設けられている。この搬送機構12は、炉前テーブル10、油槽室4及び加熱室5にそれぞれ設けられた一対のガイドレール12aと、被処理物Wを搭載して前記ガイドレール12aに沿って移動する台車12bとを備えるものである。
【0011】
前記油槽室4には、被処理物Wを油槽室4上部と焼入油槽8との間で昇降させるシリンダ式のリフト機構14が設けられている。このリフト機構14は、被処理物Wを載置する片持式のフォーク15を備え、このフォーク15が上下に駆動されるようになっている。また、前記フォーク15には、油槽室4内のガイドレール12aが搭載されており、このガイドレール12aと台車12bとは、フォーク15とともに昇降するようになっている。
【0012】
炉体2の側壁部2aには、炉内に導入された測温用のシース線18を吊下保持するとともに、被処理物Wの移送位置に応じて当該シース線18を引き回すシース線保持装置20が設けられている。このシース線保持装置20は、図3に示すように、クランク状の作動アーム21と、この作動アーム21の上端部に揺動自在に吊り下げられた従動アーム22とを備えている。
【0013】
前記作動アーム21の基端部は、アーム軸23に固定されている。このアーム軸23は炉体1の側壁部2aを貫通しており、その炉外に突出した端部にギヤ25が固定され、このギヤ25と炉外に設置されたモータ26の駆動軸とが、チェーン27を介して連結されている(図1参照)。前記モータ26は、被処理物Wの移送位置に応じて正逆転駆動されるものであり、これにより、作動アーム21の回動角度を選択的に切り換えて、当該作動アーム21を被処理物Wの移送位置に応じてアーム軸23を中心に3つの角度位置に回動させることができる。この実施の形態における前記作動アーム21の回動位置は、図2の二点鎖線で示すように、アーム軸23から鉛直上方に延びる垂直位置と、同図の実線で示すように、前記垂直位置から反時計回り方向に所定角度傾動した前傾位置と、同図の点線で示すように、前記垂直位置から時計回り方向に所定角度傾動した後傾位置の3位置に設定されている。
【0014】
前記シース線18は、先端内部に熱電対が封止されているものであり、その先端側の所定長さ部分が炉内に導入されているとともに、炉体2の側壁部2aに設けられた接続用プラグ30を介して炉外の図示しない測温用の計器に接続されている。また、前記シース線18は、接続用プラグ30部分から途中部までが、作動アーム21及び従動アーム22に沿って配線されており、従動アーム22の先端から先の部分は、自由状態にて被処理物Wに向けて延びており、その先端部は被処理物Wに結束等によって直接固定される。
【0015】
次に、前記の構成の箱形熱処理炉1の動作について説明する。
まず、炉前テーブル10上(図2のA位置)に被処理物Wが搬送されてくると、この被処理物Wの側面等にシース線18の先端部を固定する。このとき、搬入出扉11が開かれているとともに、シース線保持装置20の作動アーム21は前傾位置に傾動している。また、被処理物Wが作動アーム21よりも前方位置にあるため、従動アーム22はシース線18に引っ張られて作動アーム21よりも前方に振れた状態となる。
【0016】
その後、被処理物Wが搬送機構12によって炉内の油槽室4内の所定位置(図2のB位置)まで移送されて、片持式のフォーク15によって支承される。この移送動作中にモータ26が駆動されて、作動アーム21が垂直位置に切り換えられる。このとき従動アーム22は作動アーム21とほぼ重なっている。
【0017】
続いて、炉内に設けられている断熱扉7が開かれて、被処理物Wが搬送機構12によって油槽室4から加熱室5内の所定位置(図2のC位置)まで移送される。この被処理物Wの加熱室5への移送に伴って、作動アーム21が垂直位置から後傾位置に切り換えられる。このとき被処理物Wは作動アーム21よりもさらに後方位置にあるので、従動アーム22はシース線18で引っ張られて作動アーム21よりもさらに後方に振れた状態となる。そして、断熱扉7が閉じられた後、この加熱室5で被処理物Wが加熱されてガス浸炭等の処理が行なわれる。なお、前記断熱扉7が閉じられた状態では、その下面と加熱室5の開口縁5aとの間に、シース線18を通すための隙間が形成されている。
【0018】
その後、断熱扉7が開かれて被処理物Wは搬送機構12によって油槽室4の元の位置(図2のB位置)まで移送されて、再び片持式のフォーク15によって支承される。このとき作動アーム21は後傾位置のまま保持される。この場合、被処理物Wは作動アーム21と略同じ位置にあるので、シース線18は従動アーム22と被処理物Wとの間で弛んだ状態になる。したがって、従動アーム22はシース線18で引っ張られないため、垂直に垂れ下がった状態に維持される。
【0019】
続いて、リフト機構14の片持式のフォーク15が下降して、このフォーク15に支承された被処理物Wが、焼入油槽8内(図2のD位置)に移送される。これによって油中に浸漬されて油焼入が行われる。このとき作動アーム21は後傾位置に維持される。また、シース線18は従動アーム22と被処理物Wとの間で弛んだ状態になり、従動アーム22はシース線18で引っ張られないため、垂直に垂れ下がった状態に維持される。
この焼入処理の後、被処理物Wはリフト機構14によって上昇移動されて、油槽室4の元の位置(図2のB位置)に戻される。このとき作動アーム21は後傾位置に維持される。この被処理物Wの昇降に際しては、当該被処理物Wを支承するフォーク15が片持式であるのでシース線18がリフト機構14に巻き付くのを抑制することができる。
【0020】
次いで、搬入出扉11が開かれて、被処理物Wは搬送機構12によって再び炉前テーブル10の元の位置(図2のA位置)に移送される。この被処理物Wの移送に伴って、作動アーム21は後傾位置から前傾位置に切り換えられる。このとき、被処理物Wは作動アーム21よりも前方位置にあるので、従動アーム22はシース線18で引っ張られて作動アーム21より前方に振れた状態となり、シース線18は最初の状態に戻る。
【0021】
なお、前記の実施の形態においては、作動アーム21を駆動するアーム軸23を、炉体2の側壁部2aのうちの搬入出扉11寄りに設けているので、炉内におけるシース線18の吊下位置も前方寄りになっているが、炉の設計上特に差し障りがなければ、アーム軸23は、炉体2の側壁部2aのうちの被処理物Wの移送範囲の略中央位置に設けるのが好ましい。このようにすれば、被処理物Wを移送した際に、シース線18に余分な弛みが生じるのを極力少なくできるので、シース線18が絡まるのをより確実に阻止することができる。
【0022】
図4はシース線保持装置20の他の実施の形態を示す一部欠截側面図である。前記の実施の形態におけるシース線保持装置20は、シース線18を被処理物Wの移送に追随させて吊下状態で引き回すものであるが、この実施の形態のシース線保持装置20は、シース線18の途中部を保持した状態で、被処理物Wの移送位置に応じて前記シース線18を昇降させて被処理物Wに追随させるものである。
すなわち、この実施の形態のシース線保持装置20は、油槽室4の上方に位置する炉体2の天井壁2に、エアシリンダ等からなる昇降機構32を設けており、この昇降機構32によってシース線18を吊り下げた状態で上下動させることにより、当該シース線18の弛み具合を被処理物Wの移送位置に応じて調整するものである。
この実施の形態によれば、シース線保持装置20がシース線18を上下動させるだけのものであるので、その構造を極めて簡素にすることができる。
【0023】
なお、前記の実施の形態においては、浸炭処理用の箱形熱処理炉を例にとって説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、被処理物Wに焼入処理のみを施す箱形熱処理炉ついてもこの発明を勿論適用して実施することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の箱形熱処理炉によれば、測温用のシース線の先端部を被処理物に取り付け、途中部をシース線保持装置によって保持した状態で、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を引き回して被処理物に追随させることができるので、シース線が弛み過ぎたり張り過ぎたりするのを防止することができ、シース線が絡まったり炉内の部材に巻き付いたりして不意に切断するのを防止することができる。したがって、被処理物の実際の熱処理温度を正確に測定することができる。
【00025】
請求項2記載の箱形熱処理炉によれば、被処理物の移送位置に応じて作動アームの回動角度を切り換えるだけで、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を被処理物に追随させることができるので、シース線保持装置の構造を簡素にすることができ、その製造コストを安くすることができる。
【00026】
請求項3記載の箱形熱処理炉によれば、測温用のシース線の先端部を被処理物に取り付け、途中部をシース線保持装置によって保持した状態で、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を昇降させて被処理物に追随させることができるので、シース線が弛み過ぎたり張り過ぎたりするのを防止することができ、シース線が絡まったり炉内の部材に巻き付いたりして不意に切断するのを防止することができる。したがって、被処理物の実際の熱処理温度を極めて簡素な構造でもって正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る箱形熱処理炉の断面図である。
【図2】前記箱形熱処理炉の一部欠截側面図である。
【図3】シース線保持装置を示す要部斜視図である。
【図4】シース線保持装置の他の実施の形態を示す一部欠截側面図である。
【図5】箱形熱処理炉の熱処理手順の説明図である。
【符号の説明】
1 箱形熱処理炉
2 炉体
4 油槽室
5 加熱室
8 焼入油槽
12 搬送機構
14 リフト機構
15 フォーク
18 シース線
20 シース線保持装置
21 作動アーム
22 従動アーム
23 アーム軸
32 昇降機構
Claims (3)
- 炉内に搬入した被処理物を複数位置に移送して熱処理する箱形熱処理炉であって、
先端側を炉内に導入しているとともに、先端部を被処理物に取り付ける測温用のシース線と、
炉内において前記シース線の途中部を保持した状態で、被処理物の移送位置に応じて当該シース線を引き回して被処理物に追随させるシース線保持装置と
を備えることを特徴とする箱形熱処理炉。 - 前記シース線保持装置が、被処理物の移送位置に応じて回動角度が切り換えられる作動アームと、この作動アームに揺動自在に取り付けられた従動アームとを備える請求項1記載の箱形熱処理炉。
- 炉内に搬入した被処理物を複数位置に移送して熱処理する箱形箱形熱処理炉であって、
先端側を炉内に導入しているとともに、先端部を被処理物に取り付ける測温用のシース線と、
炉内において前記シース線の途中部を保持した状態で、被処理物の移送位置に応じて前記シース線を昇降させて被処理物に追随させるシース線保持装置と
を備えることを特徴とする箱形熱処理炉。
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