JP3835741B2 - 膜状部材の取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、膜状部材の取付構造に関する。さらに詳述すると、本発明は、膜状部材をパーテーション(Partition)の弾力壁材として、あるいは椅子の座あるいは背凭れ等として機能する構造物に当該構造物の弾性支持要素として容易に取り付けるための取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9及び図10に示すようなパイプフレーム101によって構成される脚部に座103が直接取り付けられる椅子102が知られている(実公平8−8673号参照)。この椅子102の座103は、パイプフレーム101に溶接された受け金具108の上にボルト109によりねじ止め固定された枠状内枠体104と、該枠状内枠体104に一体化されたメッシュシートから成る膜状部材105と、該膜状部材105に載置されたクッション106と、クッション106及び枠状内枠体104を覆って枠状内枠体104の外側から裏側に回り込んで止着された上張地107とを備える。なお、図10中、符号110はボルト109に螺合するナット、符号111は枠状内枠体104のナット受け孔を示す。
【0003】
そして、膜状部材105を一体化した枠状内枠体104、即ちいわゆるシェル状の構造物は、インサート成形により形成される。この形成は例えば特公平7−37049号公報に開示されるように、図11に示すような金型112の外部に金型112を挟むように配置した一対のクランプ機構113を使用して、膜状部材105を挟持して金型112の間に位置させる。このとき、張力付与機構114によりクランプ機構113を金型112から離す方向(図中矢印で示す)に引っ張るようにして、膜状部材105に対して座103として必要な張力を与えておく。そして、各金型112を型締めして射出成形を行うことにより、枠状内枠体104と膜状部材105とを一体化する。さらに、枠状内枠体104が硬化してから金型112より取り外して、枠状内枠体104の周縁からはみ出した膜状部材105を切り取る。これにより、構造物が完成する。
【0004】
また、図12に示すように、枠状内枠体を内枠121と外枠122とで構成し、膜状部材105を予めクランプ機構120で固定しておいて、内枠121と外枠122とで膜状部材105を挟み込み、ねじ止め等することで、テンションを付与した状態で膜状部材105を枠状内枠体に固定することも行われている。
【0005】
更に、パーテーション(Partition)の分野においても、壁材としてメッシュ、フィルム若しくは布地などの膜状部材を採用し、鋼板や板材などの硬質材を採用する場合に受ける硬質な印象に代えて、柔らかく温かな印象と触感・材質感を与えることが考えられている。この場合、膜状部材を弛ませずにフレームに取り付けることが必要である。そこで、膜状部材を引っ張って一定の張力をかけた状態でフレームに対して取り付けるため、例えば図12に示される椅子の座の製造時と同様に、重ね合わされる二重フレーム材の間に引っ張られた膜状部材を挟み付けるようにしてビス止めなどで固定することが考えられる。更に、膜状部材のフレームへの固定の間にもフレームの外で膜状部材を引っ張って張力を付与し続けるため、取付後に膜状部材の周縁の一部あるいは全部がフレームからはみ出ることとなる。そこで、膜状部材のフレームからはみ出た周縁部を覆い隠して見栄えを良くするための端末処理として、例えば周縁部分を覆う飾りフレームなどが必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9から図11に示した膜状部材105を枠状内枠体104に樹脂一体成形により取り付ける方法では、高価な金型投資が必要となりコスト高となってしまう。一方、図12に示した膜状部材105の取付方法では、取付以前に膜状部材105を予め固定しておく必要があるなど組み立て作業性に手間がかかりコスト高となる。
【0007】
このことは、パーテーションにおいても同様であり、組み立てのための専用の治具や設備を必要とすると共に、組み立て作業性に手間がかかりコスト高となる問題を有している。また、部品点数も多くコスト高となるし、膜状部材からなる弾力壁材を採用する利点も生かし切れない問題を有している。即ち、膜状部材の材質や色、デザインなどを消費者の好みなどに応じて自由に変更できないなどの問題を有している。
【0008】
そこで本発明は、椅子の座や背凭れ等として機能する構造物に当該構造物の弾性支持要素として、あるいはパーテーションの弾力壁材として、膜状部材を特別な治具や工具を必要とせずに簡単に装着・脱着できる膜状部材の取付構造を提供することを目的とする。また、本発明は、椅子の座や背凭れ等の弾性支持要素としてあるいはパーテーションの弾力壁材として必要な弾力性並びに張力を膜状部材に与えて当該構造物などに簡易かつ低コストに膜状部材を取り付けることができる膜状部材の取付構造を提供することを目的とする。また、本発明は、外部から取付構造を見せずに外観を良好とし尚且つ十分な強度を有する膜状部材の取付構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明は、枠体とこれに周縁部分が取り付けられて張設される膜状部材とから成る構造物において、枠体に対向する形状に形成されると共に少なくとも枠体との対向面とは逆側の面が覆われるように膜状部材に取り付けられる内枠体と、枠体と内枠体との対向面のいずれか一方の面に設けられる複数の係合ピンと、枠体または内枠体との対向面のいずれか一方の面であって係合ピンと対向する位置に設けられて係合ピンが嵌合する係合孔と、係合孔に嵌った係合ピンの抜け方向の移動を妨げるように係合ピンと係合孔のいずれか一方または双方に形成される係合部とを備え、係合ピンを係合孔に圧入することで膜状部材が構造物として必要な弾力性を発揮させる張力が与えられて枠体に取り付けられ、さらに、枠体と内枠体との対向面のいずれか一方の面に凸部を設けるとともに他方の面に凸部が嵌合する凹部を設け、係合ピンと枠体又は内枠体との間のクリアランスよりも枠体の凸部又は凹部と内枠体の凹部又は凸部との間のクリアランスを小さくして膜状部材の張力によって係合ピンが枠体又は内枠体に接触するより先に枠体と内枠体とが接触するようにしている。
【0010】
したがって、膜状部材に取り付けられた内枠体を枠体に沿うように重ねながら係合ピンを係合孔に圧入していくことで、膜状部材は構造物として必要な弾力性を発揮させる張力が付与されながら枠体に取り付けられる。しかも、内枠体における少なくとも枠体との対向面と逆側の面は膜状部材で覆われ、係合ピンおよび係合孔および取付面は外から見えないので、外部から全く取付構造が見えず、外観も美しいものとなる。さらに、係合部によって係合ピンの抜け方向(即ち、圧入方向の逆方向)の移動が妨げられるので、膜状部材の枠体からの浮き上がりが防止される。また、膜状部材の張力によって係合ピンが枠体又は内枠体に接触するより先に枠体と内枠体とが接触するように構成しているので、膜状部材に作用する張力に対しては、枠体と内枠体とが係合することで堪えることができる。換言すれば、膜状部材の張力によるせん断力は枠体と内枠体とが受け持ち、係合ピンに作用するせん断力を無くす若しくは十分に低減することができる。そして、係合ピンは、係合部によって強力に係合孔に嵌合されて、専ら膜状部材と内枠体を枠体に取り付け、枠体から浮き上がるのを防止するために機能する。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、椅子の座あるいは背凭れ等を形成する枠体とこれに周縁部分が取り付けられ張設される膜状部材とから成る構造物において、枠体に対向する形状に形成されると共に少なくとも枠体との対向面とは逆側の面が覆われるように膜状部材に取り付けられる内枠体と、枠体と内枠体との対向面のいずれか一方の面に設けられる複数の係合ピンと、枠体または内枠体との対向面のいずれか一方の面であって係合ピンと対向する位置に設けられて係合ピンが嵌合する係合孔と、係合孔に嵌った係合ピンの抜け方向の移動を妨げるように係合ピンと係合孔のいずれか一方または双方に形成される係合部とを備え、係合ピンを係合孔に圧入することで膜状部材が構造物として必要な弾力性を発揮させる張力が与えられて枠体に取り付けられ、さらに、枠体と内枠体との対向面のいずれか一方の面に凸部を設けるとともに他方の面に凸部が嵌合する凹部を設け、係合ピンと枠体又は内枠体との間のクリアランスよりも枠体の凸部又は凹部と内枠体の凹部又は凸部との間のクリアランスを小さくして膜状部材の張力によって係合ピンが枠体又は内枠体に接触するより先に枠体と内枠体とが接触するようにしている。
【0012】
したがって、係合孔に係合ピンを圧入するだけで、椅子の座、背凭れ、ヘッドレスト、肘パネル等として機能する構造物に弾性支持要素として膜状部材を取り付けることができる。しかも、内枠体における枠体との対向面と逆側の面は膜状部材で覆われ、係合ピンおよび係合孔および取付面は外から見えないので、外部から全く取付構造が見えず、外観も美しいものとなる。さらに、係合部によって係合ピンの抜け方向(即ち、圧入方向の逆方向)の移動が妨げられるので、着座に伴う荷重が繰返し作用しても、膜状部材の枠体からの浮き上がりが防止される。また、膜状部材の張力によって係合ピンが枠体又は内枠体に接触するより先に枠体と内枠体とが接触するように構成しているので、膜状部材に作用する張力に対しては、枠体と内枠体とが係合することで堪えることができる。換言すれば、膜状部材の張力によるせん断力は枠体と内枠体とが受け持ち、係合ピンに作用するせん断力を無くす若しくは十分に低減することができる。そして、係合ピンは、係合部によって強力に係合孔に嵌合されて、専ら膜状部材と内枠体を枠体に取り付け、枠体から浮き上がるのを防止するために機能する。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の膜状部材の取付構造において、係合孔は雌ねじとして形成され、係合ピンには雌ねじと係合する凹凸が軸方向に連続して形成されるようにしている。この場合、雌ねじにおけるねじ山と係合ピンにおける凹凸とが噛み合い係合して、係合ピンの抜け方向の移動を強力に妨げる。しかも、係合ピンを係合孔に圧入した後に係合ピンを取り外す必要が生じたときは、係合ピンを軸の周方向に回転させることで、係合ピンを磨耗・破損等することなく係合孔から取り外すことができる。
【0015】
また、請求項記載の発明は、請求項1からのいずれかに記載の膜状部材の取付構造において、膜状部材は袋状に形成されて内枠体を内包するものとしている。この場合、内枠体が袋状の膜状部材で覆われ、更に係合ピンおよび係合孔および取付面も膜状部材で覆われるので、外部から全く取付構造が見えないように構成でき、構造物の外観も美しいものとなる。また、膜状部材と内枠体の取り付け・取り外し作業も容易となる。
【0016】
また、請求項記載の発明は、内枠体には、ひだを有する樹脂ピンが係合ピンとして設けられるようにしている。この場合、係合ピンの素材として合成樹脂を採用することで、例えば射出成形によりひだ付きの係合ピンを容易に成形することができる。また、例えば金属製の係合ピンを用いた場合に比較して素材が軟らかいことから、係合ピンを係合孔に圧入することによる係合部の磨耗が少なく、係合ピンの複数回使用が可能となる。ここで、膜状部材の張力に対しては、枠体と内枠体とが接触し係合することで堪えるので、係合ピンに樹脂ピンを使用してもピンがせん断されることがない。また、内枠体は膜状部材に内包されるので係合ピンの頭部を外部から隠すことができ、構造物の外観を良好にする。また、係合ピンのひだと雌ねじにおけるねじ山とが噛み合い係合して、係合ピンの抜け方向の移動を強力に妨げる。しかも、係合ピンを係合孔に圧入した後に係合ピンを取り外す必要が生じたときは、係合ピンを軸の周方向に回転させることで、係合ピンを磨耗・破損等することなく係合孔から取り外すことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1から図5に、本発明の膜状部材の取付構造の一実施形態を椅子の背凭れに適用した例について説明する。本実施形態における膜状部材2の取付構造では、背凭れ1の骨格を形成する枠体4と、背凭れ1の背凭れ面を形成する膜状部材2と、枠体4に対向する形状に形成されると共に少なくとも枠体との対向面とは逆側の面が覆われるように膜状部材2に取り付けられる内枠体3と、枠体4と内枠体3との対向面のいずれか一方の面に設けられる複数の係合ピン5と、枠体4または内枠体3との対向面のいずれか一方の面であって係合ピン5と対向する位置に設けられて係合ピン5が嵌合する係合孔6と、係合孔6に嵌った係合ピン5の抜け方向の移動を妨げるように係合ピン5と係合孔6のいずれか一方または双方に形成される係合部7とを備え、係合ピン5を係合孔6に圧入することで、膜状部材2が背凭れ(構造物)1として必要な弾力性を発揮させる張力が与えられて枠体4に取り付けられるようにしている。
【0019】
枠体(フレーム)4の材質は特に限定されるものではないが、例えば金属製であり、めっき処理が施された鋼板や、軽量且つ剛性に優れるアルミニウム合金や亜鉛ダイキャスト等の利用が好ましい。ただし、金属に限らず例えば構造材として適度な剛性を有する樹脂等であっても良い。また、枠体4の形状は、背凭れ1として求められる面を形成するのに十分な大きさを有するものであれば、特に限定されるものではなく、種々の形状を採用できる。例えば矩形状が一般的であるが、美的処理や人間工学等の観点から湾曲その他の形状としても良く、また必ずしも閉じた枠を形成しなくても良い。例えば本実施形態における枠体4は、正面は矩形状で側面は着座者の腰の辺りに向かってやや出っ張るように湾曲した形状に形成されている(図5参照)。
【0020】
本実施形態における膜状部材2は、例えば袋状に形成されて内枠体3を内包するようにしている。この膜状部材2は、背凭れ(構造物)1の弾性支持要素として枠体4に取り付けられ、それ自体で背凭れ1の面を構成する上張地として機能する。膜状部材2としては、必要に応じて適宜選択される適度な弾力性と張力を発揮し得る素材、フィルム(例えばポリエステルエラストマーやポリウレタンエラストマー等の樹脂フィルムや、更に樹脂フィルムをポリアミド等の繊維やタフタ等の織物で補強したもの等)、布地、不織布等が適用可能であるが、特にメッシュシートであることが好ましい。中でも、リサイクル可能なオレフィン系樹脂製あるいはポリエステル製メッシュシートが好ましく、例えば、ポリエステル糸とエラストマ性ポリエステル糸との織物(例えば、デュポン社製 商品名ダイメトロールとして知られているメッシュシート)の使用が好ましい。このポリエステル製メッシュシートは、へたりが少ない。そして、メッシュシートであることにより、弾力性や通気性が良好であるので、座り心地の良い快適な座を得ることができる。しかしながら、膜状部材2としては、特に上述のメッシュシートに限定されるものではなく、構造物(例えば本実施形態では背凭れ)1の弾性支持要素として十分な剛性と弾力性が発揮される材質・構造・組成のものが適宜使用される。
【0021】
内枠体3は、枠体4の全部または一部に対向するように、換言すれば枠体4の全部または一部と重なり得る形状に形成される。例えば本実施形態における内枠体3は、略矩形状の枠体4の全部に重なり得るように矩形状に形成される。ここで、内枠体3は、例えば一体形状のものとしても良く、または分割された複数の部品から成るものとしても良い。例えば本実施形態における内枠体3は、コ型に形成された二つの部品を組み合わせることで矩形状に形成されるものとしている。この場合、例えば二つの部品を組み合わせる位置を調整可能に構成することで、内枠体3を必要な大きさに調整することができる。また、内枠体3は、袋状の膜状部材2に内包されて膜状部材2を枠体4と重なり得る形状に保持し得る剛性と、湾曲した枠体4への重ね合わせが容易であるようにある程度の変形を許容する柔軟性を兼ね備えるものが好ましい。内枠体3の材質や厚み等は、当該剛性と柔軟性を兼ね備えるように選択できる。内枠体3の材質としては、例えば適度な剛性と弾性を有する合成樹脂等の利用が好ましい。ただし、内枠体3の材質が合成樹脂に限定されるものでは無く、所望の剛性と柔軟性を兼ね備える材質であれば良い。以下、本実施形態では袋状の膜状部材2に内包される内枠体をインナーシェル3と呼ぶ。
【0022】
例えば本実施形態における係合孔6は、枠体4に雌ねじとして形成されている。この場合、タップ等のねじ切り具によって、ねじ山による凹凸を係合孔6に容易に形成することができる。当該ねじ山による凹凸は、係合孔6における係合部(以下、孔側係合部7bと呼ぶ。)となる。なお、本実施形態における係合孔6は、枠体4を貫通しないものとしている。この場合、膜状部材2を取り付けることで係合孔6が隠されて、外部から全くねじ孔が見えないようにできる。
【0023】
本実施形態における係合ピン5は、例えば樹脂ピンであり、雌ねじ即ち孔側係合部7bと係合する凹凸(即ち係合ピン5側の係合部7)としてひだ7aが形成されている(図2参照)。係合ピン5の素材として合成樹脂を採用することで、例えば射出成形によりひだ7a付きの係合ピン5を容易に成形することができる。また、例えば金属製の係合ピンを用いた場合に比較して素材が軟らかいことから、係合ピン5を係合孔6に圧入することによる係合部7の磨耗が少なく、係合ピン5の複数回使用が可能となる。ただし、係合ピン5の材質が合成樹脂に限定されるものではなく、例えば鉄やアルミニウム合金等の金属を用いても良い。この場合は、係合ピン5自体の強度(例えば許容せん断応力等)が高まる等の利点がある。
【0024】
ひだ7aの幅や間隔は雌ねじのねじ山と係合するように設定されることが好ましい。このひだ7aは、例えば係合ピン5の周方向および軸方向に間隔をあけて連続的に形成されている。ひだ7aが周方向に間欠的に形成されることで、係合ピン5を圧入する際の抵抗力が過大となるのが回避されて、圧入時における係合ピン5の破損等を回避することができる。ただし、係合ピン5を圧入する際の抵抗力が過大とならない突出量や形状とすることで、例えば係合ピン5の軸の全周に係合部7を形成するようにしても良いのは勿論である。また、ひだ7aは、係合ピン5の先端側の面が当該先端に向かって下がるように傾斜した曲面に形成される一方、係合ピン5の抜け方向側の面が切り立った形状に形成されていて、いわゆる返りを構成している。したがって、ひだ7aは係合ピン5を係合孔6に圧入する際に変形し易く、係合孔6に嵌った係合ピン5を抜く方向には変形し難い。したがって、係合ピン5を係合孔6に圧入する際にはひだ7aが変形して係合ピン5を圧入する際の抵抗を和らげるとともに、係合ピン5の抜け方向の移動に対しては大きな摩擦力を発生させて係合ピン5が係合孔6から抜けてしまうのを強力に防止する。
【0025】
係合ピン5は、例えばインナーシェル3に設けられたピン用孔8に取り付けられる。係合ピン5には係止部9が設けられており、係合ピン5の頭部10と係止部9とがピン用孔8の縁8aに引っ掛ることにより、係合ピン5がインナーシェル3に保持されて、抜け落ちることがないようにしている。なお、係合ピン5の頭部10と係止部9とでピン用孔8の縁8aを挟み込むことで、係合ピン5がインナーシェル3に固着されるようにしても良い。また、係止部9は、係合ピン5の先端側の面が当該該先端に向かって下がるように傾斜した曲面に形成される一方、係合ピン5の抜け方向側の面が切り立った形状に形成されていて、いわゆる返りを構成している。したがって、係合ピン5はピン用孔8に押し込んで取り付け易く、しかも抜け難い。また、頭部10は例えば扁平状でありピン用孔8に収容されてインナーシェル3から出っ張らないようにしている。また、係合ピン5の頭部10には、ねじ回し用の十字の溝11が形成されている。したがって、係合ピン5を係合孔6に圧入した後に、ねじ回し(プラスドライバ)によって係合ピン5を取り外すことができる。この場合、係合ピン5を磨耗や破損等することなく取り外すことができ、係合ピン5の複数回の使用を可能にする。勿論、係合部7による抵抗力に抗して、例えば抉りによって係合ピン5を取り外すことも可能である。
【0026】
また、本実施形態では、枠体4と内枠体(インナーシェル)3との対向面のいずれか一方の面に凸部12を設けるとともに他方の面に凸部12が嵌合する凹部13を設けて、膜状部材2の張力によって係合ピン5がインナーシェル3に接触するより先に枠体4とインナーシェル3とが接触するようにしている。例えば本実施形態では、図1及び図3に示すように、枠体4における係合孔6の周縁を円筒状に突出させて凸部12を形成し、一方、当該凸部12がクリアランス(隙間、遊び)L1を持って挿入される凹部13がインナーシェル3に形成されている。ここで、枠体4とインナーシェル3とのクリアランスL1は、係合ピン5とインナーシェル3とのクリアランスL2よりも小さいものとしている(図3参照)。したがって、膜状部材2の張力よりインナーシェル3が当該張力方向に移動すると、インナーシェル3は係合ピン5に接触する前に枠体4の凸部12に接触する。このため、膜状部材2の張力によるせん断力は、凸部12と凹部13が受け持つこととなり、係合ピン5へのせん断力を無くす若しくは十分に低減することができる。なお、凸部12と凹部13は、例えば係合孔6及び係合ピン5が設けられている部分全てに設けても良いが、膜状部材2の張力に耐え得る構成であれば、その一部に設けるものであっても良い。例えば膜状部材2の張力が特に大きくなる部分(例えば背凭れであれば着座者の腰の付近、座であれば着座者の尻の付近等)であって係合孔6及び係合ピン5が設けられている部分に、凸部12と凹部13を設けるようにしても良い。
【0027】
本実施形態における背凭れ1は、例えば次に示す手順で、組み立てられる。先ず、インナーシェル3のピン用孔8に係合ピン5が押し込まれて取り付けられる。そして、このインナーシェル3は、袋状に形成された膜状部材2に収容される。この際、インナーシェル3が芯材となって膜状部材2は枠体4と重なり得る形状に保持される。また、膜状部材2の枠体4と対向する側であって係合ピン5が位置する場所には予め孔が開けられていて、インナーシェル3に取り付けられた複数の係合ピン5が枠体4側に突出するようにしている。なお、インナーシェル3を膜状部材2に収容した後に係合ピン5が位置する場所に孔を開けて、係合ピン5が枠体4側に突出するようにしても良い。インナーシェル3は適度な柔軟性を有しており、枠体4にぴったり沿うように変形することができる。インナーシェル3を内包した膜状部材2を、枠体4に沿うように重ねながら係合ピン5を枠体4に設けられた係合孔6に圧入していくことで、膜状部材2は、構造物(背凭れ)1として必要な弾力性を発揮させる張力が付与されながら枠体4に取り付けられる。この背凭れ1は、例えば椅子14の背支桿15に取り付けられる(図5参照)。
【0028】
一方、枠体4から膜状部材2を取り外す必要があるときは、インナーシェル3を内包する膜状部材2と枠体4との間に例えばマイナスドライバー等を差し込んで抉じることによって、枠体4から膜状部材2を取り外すことができる。これにより、膜状部材2が汚れたり損傷した場合、或いは用途や好みに合わせて膜状部材2の材質や色、デザインなどを変更したい場合には、簡単に取り外して洗濯したり交換したりすることができる。また、膜状部材2を廃棄する場合等には、例えば係合ピン5の頭部10が見えるように袋状の膜状部材2を切り開いて、ねじ回しにより係合ピン5を取り外すことができる。
【0029】
以上の膜状部材2の取付構造によれば、特別な治具や工具を必要とせずに極めて簡易かつ低コストで膜状部材2を装着・脱着できる。また、インナーシェル3は袋状の膜状部材2で覆われ、更に係合ピン5の頭部10および係合孔6も膜状部材2で覆われ、しかも取付面及び係合ピン5も外から見えないので、外部から全く取付構造が見えないように構成でき、外観も美しいものとなる。さらに、膜状部材2に対してかかる力を支える張力に対しては、枠体4とインナーシェル3とが接触し係合することで堪えるので、係合ピン5へのせん断力は作用しないか作用しても十分に小さいものとなる。したがって、係合ピン5に樹脂ピンを使用してもピンがせん断されることがない。この場合、係合ピン5は、係合部7によって強力に係合孔6に嵌合されて、専ら膜状部材2とインナーシェル3を枠体4に取り付け、枠体4から浮き上がるのを防止するために機能する。即ち、係合ピン5に設けられたひだ7aと、係合孔6に設けられた孔側係合部7bとが係合して、係合ピン5の抜け方向の移動を妨げる。したがって、本発明によれば、膜状部材2による張力にも十分耐えることができ且つ膜状部材2の枠体4からの浮き上がりを確実に防止できる。
【0030】
次に、図7及び図8に、本発明の膜状部材2の取付構造をパーテーションに適用した例について説明する。尚、本実施形態においては、上述の実施形態と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略し、パーテーション特有の構造等について説明する。
【0031】
この実施形態のパーテーション21は、膜状部材2を弾力性を有する壁材として採用したもので、パーテーション21の輪郭形状を形成する枠体4に膜状部材2を張りつめて取り付けることによって構成され、膜状部材2が有する柔らかく温かな印象と触感・材質感を与えるものである。
【0032】
ここで、枠体4は、膜状部材2の周縁を保持する部材として機能するとともに、パーテーション21としての形態を定める骨格としても機能するもので、任意の枠形状を採ることができる。枠体4は、特に大きな荷重を支えることが想定される用途の場合を除いて、構造的にはそれほど剛性を有する材質・厚みなどで構成する必要はないが、通常はアルミニウム合金の型押し材や引き抜き材、めっき処理が施された鋼板や管材、軽量且つ剛性に優れる亜鉛ダイキャスト、プラスチック等が主に利用され、場合によっては木材なども使われる。枠体4は、脚部を備えて自立可能とされたり、図示していない取付具を装備して机やテーブルなどの什器類に支持させるようにしても良い。更に、この枠体4は、幾つかに分割可能に形成し、ジョイントなどで連結可能とすることが好ましい。この場合には、運搬時などに、膜状部材2と枠体4とを分離した上に更に枠体4を分割してコンパクトに収納できる。
【0033】
本実施形態における膜状部材2は、例えば袋状に形成されて内枠体3を内包するようにしている。また、膜状部材2は、椅子の背凭れや座に用いた上述の実施形態の場合とは異なり、構造材としての十分な剛性と弾力性が発揮される材質・構造・組成のものである必要はなく、少なくとも弛みが生じない程度の一定の張力が与えられる材質・構造であれば如何なるものでも採用可能であり、パーテーション21としての機能や装飾性などの観点から、相応しい材質・構造のものが適宜採用される。例えば、パーテーション21としての膜状部材2としては、天然繊維や合成繊維から成る布地、織物、不織布、メッシュ、フィルム等のほとんどの素材が使用可能である。例えば、オレフィン系樹脂製あるいはポリエステル樹脂製の生地やメッシュシート例えばポリエステル糸とエラストマ性ポリエステル糸との織物(デュポン社製 商品名ダイメトロールとして知られている)はリサイクル可能であり好ましい。しかも、このダイメトロールはへたりが少なくかつメッシュシートであることにより、弾力性や通気性が良好であるので、長期の使用にも弛まないし、視線を遮るパーテーション21の働きをしながら、同時に空気の流通を可能として空調の妨げとならず、心地良い快適な環境を作り出すことができる。勿論、他の素材であってもメッシュ構造であれば視線の遮蔽と通気性との両立などの効果を奏することができるし、さらに素材ごとの独特の感触や光沢などが醸し出す優雅さや清涼感などが更に快適な環境を作り出すこととなる。
【0034】
内枠体3は、枠体4の全部または一部に対向するように、換言すれば枠体4の全部または一部と重なり得るように形成される。例えば本実施形態における内枠体3は、矩形状の枠体4の全部に重なり得るように矩形状に形成される。ここで、内枠体3は、例えば一体形状のものとしても良く、または分割された複数の部品から成るものとしても良い。また、内枠体3は、袋状の膜状部材2に内包されて膜状部材2を枠体4と重なり得る形状に保持し得る剛性と、湾曲した枠体4への重ね合わせが容易であるようにある程度の変形を許容する柔軟性を兼ね備えるものが好ましい。内枠体3の材質や厚み等は、当該剛性と柔軟性を兼ね備えるように選択できる。内枠体3の材質としては、例えば適度な剛性と弾性を有する合成樹脂等の利用が好ましい。ただし、内枠体3の材質が合成樹脂に限定されるものでは無く、所望の剛性と柔軟性を兼ね備える材質であれば良い。
【0035】
係合部7の形状は、係合孔6に嵌った係合ピン5の抜け方向の移動を妨げるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば上述の実施形態のように、係合孔6を雌ねじとして孔側係合部7bを形成し、係合ピン5を図2に示すような樹脂ピンとしても良い。なお、係合孔6は、枠体4を貫通しないものとすることが美感上好ましい。この場合、膜状部材2を取り付けることで係合孔6が隠されて、外部から全くねじ孔が見えないようにできる。係合ピン5は、例えば上述の実施形態と同様の構成で、内枠体3に設けられたピン用孔8に取り付けられる。
【0036】
ここで、上述の実施形態では、枠体4と内枠体3との対向面のいずれか一方の面に凸部12を設けるとともに他方の面に凸部12が嵌合する凹部13を設けて、膜状部材2の張力によって係合ピン5が内枠体3に接触するより先に枠体4と内枠体3とが接触するようにしたが、パーテーション21においては、このような構成は必ずしも必要ではない。上述の実施形態のような座や背凭れにおける膜状部材2であれば着座時に膜状部材2に大きな外力が作用するが、パーテーション21における膜状部材2には少なくとも弛みが生じない程度の一定の張力が与えられるのみであって、大きな外力が作用することは一般的に無いからである。ただし、図8に示すように、上述の実施形態と同様に凸部12及び凹部13を設けても良いのは勿論である。この場合、膜状部材2に強い張力を付与でき、張りのあるパーテーション21を構成できる。
【0037】
以上のように構成されるパーテーション21は、例えば次に示す手順で、組み立てられる。先ず、内枠体3のピン用孔8に係合ピン5が押し込められて取り付けられる。そして、この内枠体3は、袋状に形成された膜状部材2に収容される。この際、内枠体3が芯材となって膜状部材2は枠体4と重なり得る形状に保持される。また、膜状部材2の枠体4と対向する側であって係合ピン5が位置する場所には予め孔が開けられていて、内枠体3に取り付けられた複数の係合ピン5が枠体4側に突出するようにしている。なお、内枠体3を膜状部材2に収容した後に係合ピン5が位置する場所に孔を開けて、係合ピン5が枠体4側に突出するようにしても良い。内枠体3は適度な柔軟性を有しており、枠体4にぴったり沿うように変形することができる。内枠体3を内包した膜状部材2を、枠体4に沿うように重ねながら係合ピン5を枠体4に設けられた係合孔6に圧入していくことで、膜状部材2は、構造物(パーテーション)21として必要な弾力性を発揮させる張力が付与されながら枠体4に取り付けられる。
【0038】
一方、枠体4から膜状部材2を取り外す必要があるときは、内枠体3を内包する膜状部材2と枠体4との間に例えばマイナスドライバー等を差し込んで抉じることによって、枠体4から膜状部材2を取り外すことができる。これにより、膜状部材2が汚れたり損傷した場合、或いは用途や好みに合わせて膜状部材2の材質や色、デザインなどを変更したい場合には、簡単に取り外して洗濯したり交換したりすることができる。また、膜状部材2を廃棄する場合等には、例えば係合ピン5の頭部10が見えるように袋状の膜状部材2を切り開いて、ねじ回しにより係合ピン5を取り外すことができる。
【0039】
以上のように構成されるパーテーション21は、特別な治具や工具を必要とせずに極めて簡易かつ低コストで膜状部材2を装着・脱着できる。しかも、オフィスで簡単に組み立てられ尚かつ分解可能であるので、運搬時の大きさを極端に小さくして搬送コストを圧縮できる。加えて、この膜状部材2の取替はオフィスなどで簡単にできるので、オフィス環境等に応じてあるいはそこで働く人等の好みに合わせて、膜状部材2の材質や色、デザインなどを自由に選択・変更できる。また、膜状部材2・壁材が汚れたり損傷した場合にも、簡単に取り外して洗濯したり交換したりすることができる。更には、部品点数も少なく低コストとなる。さらに、内枠体3は袋状の膜状部材2で覆われ、係合ピン5の頭部10および係合孔6も膜状部材2で覆われ、しかも取付面及び係合ピン5も外から見えないので、外部から全く取付構造が見えないように構成でき、外観も美しいものとなる。また、図7に示す例ではパーテーション21を矩形状の平面的なものに構成したが、内枠体3は適度な柔軟性を有しており枠体4にぴったり沿うように変形するので、枠体4が例えば湾曲した3次元形状を有する場合でも、取付構造を外から見せずに膜状部材を取り付けることができる。したがって、従来無い斬新なデザインのパーテーションを提供することが可能である。
【0040】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、椅子の背凭れ1として機能する構造物に本発明を適用するものに限られず、例えば座やヘッドレスト或いは肘パネル等に本発明を適用しても良いのは勿論である。
【0041】
また、枠体4の材質は必ずしも金属に限らず例えば樹脂であっても良い。例えば枠体4、内枠体3、係合ピン5と膜状部材2とをPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)等のオレフィン系樹脂で構成することにより、座や背凭れ1として使用される構成部材を全てオレフィン系樹脂製にして、各パーツ毎に分離せずにそのまま廃棄したり、あるいは粉砕・溶融して射出原材料などとしてリサイクルできるようにしても良い。このことは、パーテーション21でも同じであり、膜状部材2と枠体4とを同じリサイクル可能な樹脂で構成すれば、各パーツ毎に分離せずにそのまま廃棄したり、あるいは粉砕・溶融して射出原材料などとしてリサイクルできる。
【0042】
また、上述の実施形態では、膜状部材2としてポリエステル製のメッシュシートを使用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばナイロン製のメッシュシートにしたり、あるいはメッシュシートには限られず、構造物として必要な弾力性及び強度を備えるフィルムやビニルや布地、不織布等の他の材質を採用するようにしても良い。フィルムとしては、例えばポリ塩化ビニリデン製のフィルム(商品名:サランラップ)を使用することができる。
【0043】
また、膜状部材2を取り付けた構造物は、そのままで椅子の座や背凭れ1等或いはパーテーションとして使用することもできるが、場合によっては膜状部材2の上面及び外側面との全体を覆うように表皮部材を取り付けても良い。また、膜状部材2の上にクッション材を載せて膜状部材2で支えるようにしても良い。この場合、枠体4の上面に露出される膜状部材2の周縁部分を隠すことができ、外観を任意の色や模様にすることができる。
【0044】
また、係合ピン5と係合孔6のいずれか一方に係合部7が設けられていれば、必ずしも双方に係合部7を設ける必要はない。例えば、係合孔6を雌ねじに形成せずに凹凸のない孔としても良い。また例えば、係合ピン5側を凹凸の無い平滑な表面から成る軸とし、係合孔6の内周面にひだ7aを設けるようにしても良い。この場合、例えば係合孔6の径方向に拡大・縮小可能に構成されるひだ成形用の型を用い、当該型を縮めた状態で係合孔6に挿入し、係合孔6内で当該型を拡大させて係合孔6の内周面にひだ7aを形成し、その後、当該型を縮小させて係合孔6から引き抜くようにする。また、合成樹脂製の内枠体3又は枠体4にひだ7a付きの係合孔6を設ける場合には、例えば金属製等の剛性の高いひだ成形用の型を、合成樹脂材に打ち込み且つ強制的に引き抜くようにしても良い(いわゆる無理抜き加工)。
【0045】
また、係合部7の形状は、係合孔6に嵌った係合ピン5の抜け方向の移動を妨げる(係合力・摩擦力を発揮する)ものであれば、特に限定されるものではない。例えば、凹凸を係合ピン5または係合孔6の軸方向または周方向に連続的または間欠的に設けるもの、直線状または螺旋状若しくはジグザグに設けるもの、曲面状にまたは角張らせて設けるもの等々、種々の形状を採用できる。
【0046】
また、係合ピン5は内枠体3側に設け、係合孔6を枠体4側に設けるものに限らず、係合ピン5を枠体4側に設け、内枠体3側に係合孔6を設けるようにしても良い。また、複数の係合ピン5の一部を内枠体3側に、その他を枠体4側に設けるようにしても良い。この場合、係合ピン5の位置によって膜状部材2を枠体4に取り付ける向きを把握することができ、特に利用者側で椅子を組み立てる場合等に膜状部材2の取り付ける向きを間違えることを防止できる。また、係合ピン5は内枠体3に押し込んで取り付けるものに限定されず、例えば圧入で取り付けるようにしても良く、または内枠体3と係合ピン5とを樹脂一体成形するようにしても良い。
【0047】
また、膜状部材2は内枠体3を内包するように袋状に形成するものに限られず、例えば内枠体3の周縁を包むように内枠体3に取り付けるようにしても良い。この場合も内枠体3における枠体4との対向面とは逆側の面が膜状部材2で覆われるため、外部から全く取付構造が見えないように構成できる。また、場合によっては、膜状部材2と内枠体3とを樹脂一体成形するようにしても良い。
【0048】
また、膜状部材2に必要な張力を付与する構成として、例えば枠状に一体成形された剛性の内枠体3に膜状部材2を張設するようにし、枠体4に取り付ける以前においても膜状部材2に必要な張力が付与されるようにしても良い。または、例えば複数の部品から成る内枠体3を膜状部材2を引っ張りながら各部品を枠体4に重ねるようにして係合ピン5を係合孔6に圧入することで、内枠体3を枠体4に取り付ける際に膜状部材2に必要な張力が付与されるようにしても良い。
【0049】
また、枠体4と内枠体3とが係合する形状は、上述したクリアランスを有する凸部12と凹部13に限られない。例えば、枠体4と内枠体3との間のクリアランスL1を無くして枠体4と内枠体3とが膜状部材2の張力方向に常時接触しているようにしても良い。また、枠体4と内枠体3とが係合する構成は、上述の実施形態のように枠体4と内枠体3とが対向する面に部分的・間欠的に設けるものに限られず、場合によっては枠体4と内枠体3との対向面の全域に渡って連続的に設けても良い。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の膜状部材の取付構造によれば、係合孔に係合ピンを圧入するだけで、膜状部材が枠体に引張られた状態で取り付けられるので、別途クランプ機構等で膜状部材に予めテンションを与えておく必要はなく、極めて簡易かつ低コストで膜状部材を装着・脱着できる。しかも、膜状部材の枠体への取付・取り外しは、専用の治具や設備を必要とせず、人手や簡単な工具の使用で簡単に実施できるので、用途や好みに合わせて膜状部材の材質や色、デザインなどを自由に選択・変更できる。また、膜状部材・壁材が汚れたり損傷した場合にも、簡単に取り外して洗濯したり交換したりすることができる。このことは、例えばパーテーションに適用した場合等に有用である。さらに、内枠体における少なくとも枠体との対向面と逆側の面は膜状部材で覆われ、係合ピンおよび係合孔および取付面は外から見えないので、外部から全く取付構造が見えず、外観も美しいものとなる。しかも、係合部によって係合ピンの抜け方向の移動が妨げられるので、膜状部材が枠体から浮き上がってしまうことが防止され、係合ピンが係合孔から外れてしまうことが防止される。また、膜状部材に対してかかる力を支える張力に対しては、枠体と内枠体とが接触し係合することで堪えるので、係合ピンへのせん断力は作用しないか作用しても十分に小さいものとなる。そして、係合ピンは、係合部によって強力に係合孔に嵌合されて、専ら膜状部材と内枠体を枠体に取り付け、枠体から浮き上がるのを防止するために機能する。したがって、膜状部材による張力にも十分耐えることができ且つ膜状部材の枠体からの浮き上がりを確実に防止できる。
【0051】
さらに、請求項2記載の膜状部材の取付構造によれば、係合孔に係合ピンを圧入するだけで、膜状部材が枠体に引張られた状態で取り付けられるので、別途クランプ機構等で膜状部材に予めテンションを与えておく必要はなく、極めて簡易かつ低コストで膜状部材を装着・脱着できる。しかも、膜状部材の枠体への取付・取り外しは、専用の治具や設備を必要とせず、人手や簡単な工具の使用で簡単に実施できるので、用途や好みに合わせて膜状部材の材質や色、デザインなどを自由に選択・変更できる。また、膜状部材・壁材が汚れたり損傷した場合にも、簡単に取り外して洗濯したり交換したりすることができる。また、椅子の購入時あるいは使用中に、座や背凭れの材質、膜構造並びに色などを自由に選択することも可能となる。さらに、内枠体における少なくとも枠体との対向面と逆側の面は膜状部材で覆われ、係合ピンおよび係合孔および取付面は外から見えないので、外部から全く取付構造が見えず、外観も美しいものとなる。しかも、係合部によって係合ピンの抜け方向の移動が妨げられるので、膜状部材を弾性支持要素として有する椅子の座、背凭れ、ヘッドレスト、肘パネル等に着座に伴う荷重が繰返し作用しても、膜状部材が枠体から浮き上がってしまうことが防止され、係合ピンが係合孔から外れてしまうことが防止される。また、膜状部材に対してかかる力を支える張力に対しては、枠体と内枠体とが接触し係合することで堪えるので、係合ピンへのせん断力は作用しないか作用しても十分に小さいものとなる。そして、係合ピンは、係合部によって強力に係合孔に嵌合されて、専ら膜状部材と内枠体を枠体に取り付け、枠体から浮き上がるのを防止するために機能する。したがって、膜状部材による張力にも十分耐えることができ且つ膜状部材の枠体からの浮き上がりを確実に防止できる。
【0052】
さらに、請求項3記載の膜状部材の取付構造によれば、雌ねじにおけるねじ山と係合ピンにおける凹凸とが噛み合い係合して、係合ピンの抜け方向の移動を強力に妨げる。しかも、係合ピンを係合孔に圧入した後に係合ピンを取り外す必要が生じたときは、係合ピンを軸の周方向に回転させることで、係合ピンを磨耗や破損等することなく係合孔から取り外すことができる。これにより、係合ピンを複数回使用することもできる。
【0054】
また、請求項記載の膜状部材の取付構造によれば、内枠体が袋状の膜状部材で覆われ、更に係合ピンおよび係合孔および取付面も膜状部材で覆われるので、外部から全く取付構造が見えないように構成でき、構造物の外観も美しいものとなる。また、膜状部材と内枠体の取り付け・取り外し作業も極めて容易となる。
【0055】
また、請求項記載の膜状部材の取付構造によれば、係合ピンの素材として合成樹脂を採用することで、例えば射出成形によりひだ付きの係合ピンを容易に成形することができる。さらに素材が軟らかいことから、係合ピンを係合孔に圧入することによる係合部の磨耗が少なく、係合ピンの複数回使用が可能となる。なお、膜状部材の張力に対しては、枠体と内枠体とが接触し係合することで堪えるので、係合ピンに樹脂ピンを使用してもピンがせん断されることがない。加えて内枠体は膜状部材に内包されるので係合ピンの頭部を外部から隠すことができ、構造物の外観が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の膜状部材の取付構造を実現する構造物の一形態を示す図6のI−I線断面図である。
【図2】本発明の膜状部材の取付構造に用いる係合ピンの概略斜視図である。
【図3】枠体と内枠体との係合の構成を説明するための図1の拡大断面図である。
【図4】内枠体に係合ピンを取り付けた状態を示す概略平面図である。
【図5】本発明の膜状部材の取付構造を適用した椅子の背凭れの概略分解組立図である。
【図6】図5における椅子の完成図を示す概略側面図である。
【図7】本発明の膜状部材の取付構造をパーテーションに適用した実施形態を示すもので、パーテーションの概略斜視図である。
【図8】図7に示すパーテーションの平面図であり、膜状部材と枠体との取付構造を部分的に拡大して断面図で示す。
【図9】従来のパイプフレーム椅子を示す斜視図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】従来のメッシュ製座を製造する装置を示す概略縦断面図である。
【図12】従来の膜状部材の他の取付構造を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 背凭れ(構造物)
2 膜状部材
3 インナーシェル(内枠体)
4 枠体
5 係合ピン
6 係合孔
7 係合部
21 パーテーション(構造物)

Claims (5)

  1. 枠体とこれに周縁部分が取り付けられて張設される膜状部材とから成る構造物において、前記枠体に対向する形状に形成されると共に少なくとも前記枠体との対向面とは逆側の面が覆われるように前記膜状部材に取り付けられる内枠体と、前記枠体と前記内枠体との対向面のいずれか一方の面に設けられる複数の係合ピンと、前記枠体または前記内枠体との対向面のいずれか一方の面であって前記係合ピンと対向する位置に設けられて前記係合ピンが嵌合する係合孔と、前記係合孔に嵌った前記係合ピンの抜け方向の移動を妨げるように前記係合ピンと前記係合孔のいずれか一方または双方に形成される係合部とを備え、前記係合ピンを前記係合孔に圧入することで前記膜状部材が前記構造物として必要な弾力性を発揮させる張力が与えられて前記枠体に取り付けられ、さらに、前記枠体と前記内枠体との対向面のいずれか一方の面に凸部を設けるとともに他方の面に前記凸部が嵌合する凹部を設け、前記係合ピンと前記枠体又は前記内枠体との間のクリアランスよりも前記枠体の凸部又は凹部と前記内枠体の凹部又は凸部との間のクリアランスを小さくして前記膜状部材の張力によって前記係合ピンが前記枠体又は前記内枠体に接触するより先に前記枠体と前記内枠体とが接触するようにしたことを特徴とする膜状部材の取付構造。
  2. 椅子の座あるいは背凭れ等を形成する枠体とこれに周縁部分が取り付けられ張設される膜状部材とから成る構造物において、前記枠体に対向する形状に形成されると共に少なくとも前記枠体との対向面とは逆側の面が覆われるように前記膜状部材に取り付けられる内枠体と、前記枠体と前記内枠体との対向面のいずれか一方の面に設けられる複数の係合ピンと、前記枠体または前記内枠体との対向面のいずれか一方の面であって前記係合ピンと対向する位置に設けられて前記係合ピンが嵌合する係合孔と、前記係合孔に嵌った前記係合ピンの抜け方向の移動を妨げるように前記係合ピンと前記係合孔のいずれか一方または双方に形成される係合部とを備え、前記係合ピンを前記係合孔に圧入することで前記膜状部材が前記構造物として必要な弾力性を発揮させる張力が与えられて前記枠体に取り付けられ、さらに、前記枠体と前記内枠体との対向面のいずれか一方の面に凸部を設けるとともに他方の面に前記凸部が嵌合する凹部を設け、前記係合ピンと前記枠体又は前記内枠体との間のクリアランスよりも前記枠体の凸部又は凹部と前記内枠体の凹部又は凸部との間のクリアランスを小さくして前記膜状部材の張力によって前記係合ピンが前記枠体又は前記内枠体に接触するより先に前記枠体と前記内枠体とが接触するようにしたことを特徴とする膜状部材の取付構造。
  3. 前記係合孔は雌ねじとして形成され、前記係合ピンには前記雌ねじと係合する凹凸が軸方向に連続して形成されてなることを特徴とする請求項1または2記載の膜状部材の取付構造。
  4. 前記膜状部材は袋状に形成されて前記内枠体を内包することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の膜状部材の取付構造。
  5. 前記内枠体には、ひだを有する樹脂ピンが前記係合ピンとして設けられることを特徴とする請求項に記載の膜状部材の取付構造。
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