JP3835657B2 - 電子スチルカメラ及び連写画像再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子スチルカメラ及び連写画像再生方法に関し、特に、簡易的な動画を撮影して再生できる電子スチルカメラ及び連写画像再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子スチルカメラは、その場で画像を再生できる、遠隔地に画像を転送できる、画像の加工や編集が容易である、という点で基本的に従来型のカメラ(フィルムカメラ)にない優れた特長を持っているが、とりわけ、毎秒数十コマ程度の動画を撮影してその場で再生できる、いわゆる連続(以下「ムービー」ということもある)撮影機能を搭載した電子スチルカメラは、ビデオカメラのような使い方もできる点で格段の利便性を有している。
【0003】
図7は、ムービー撮影の画像例であり、ここでは、電子スチルカメラの固定されたファインダー内を左から右へとサッカーボールが飛翔する様子を16コマの画像で撮影したものを例示している。なお、サッカーボールの飛翔速度は相当速く、実際の電子スチルカメラのムービー(連続)画像ではこのような高速度撮影はおよそ不可能であり、もっとまばらになるはずである。図示の例はあくまでも動きを伴う被写体のムービー画像を便宜的に説明するためのものであり、実際の画像を示すものではない。
図7において、全部で16枚のコマ画像には各々の左上に1から16までの連番が付されており、この番号順に撮影されたことを表している。すなわち、電子スチルカメラをムービー撮影モードにして構図を決めた後、シャッターキーを半押しして露出とシャッタースピードを固定し、サッカーボールの飛翔タイミングに合わせてシャッターキーを全押しすると、図示の16枚のコマ画像が連続的に撮影され、そして、電子スチルカメラをムービー再生モードに変更してこのムービー画像を連続再生すれば、番号1から番号16の順にコマ画像の再生が行われるから、サッカーボールの動き(左から右への飛翔)をディスプレイ上で確認できる。
【0004】
ところで、上記の撮影手順によれば、シャッターキーを半押しして「露出とシャッタースピードを固定」してからシャッターキーを全押ししてムービー撮影を行っているが、すなわち、図7の全てのコマ画像に同一の露出とシャッタースピードを適用しているが、被写体や撮影の環境によっては、必ずしも全てのコマ画像に同一の露出とシャッタースピードを適用できないこともあり得るため、それぞれのコマ画像を撮影する度に、露出とシャッタースピードの両方又はその一方を自動的に設定する(設定し直す)ことが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の撮影条件応答型ムービー撮影を行う電子スチルカメラにあっては、それぞれのコマ画像を撮影する度に露出とシャッタースピードの両方又はその一方を自動的に設定するため、以下の理由より、ムービー再生時の速度が不適切となることがあり、動画の再生品質を損なうという問題点があった。
【0006】
ムービー画像の撮影間隔(撮影時間)はイメージセンサ(CCD:charge coupled device)を含む撮像部の転送時間に左右される。そして、この転送時間は露出(露光時間)やシャッタースピードといった撮影条件によって増減変化するから、結局、撮影条件が大きく変わると(移動中の車窓から景色を撮影している最中にトンネルに入った場合など)、ムービー画像の撮影間隔が変化してしまう。
今、図7の番号1から8までのコマ画像の撮影条件と、それ以外の番号9から16までのコマ画像の撮影条件が異なっている場合を考える。具体的には、番号1から8までのコマ画像は充分な光量で撮影され、それ以外の番号9から16までのコマ画像は不足気味の光量で撮影されたと仮定する。
CCDを含む撮像部の最小転送時間(充分な光量の下で撮影された画像の転送時間)を“T"とすると、番号1から8までのコマ画像の撮影間隔はほぼTとなり、それ以外の番号9から16までのコマ画像はTを越えることになる。
【0007】
ここで、電子スチルカメラの表示装置(液晶ディスプレイ)の表示時間は、一般に“nT"(nは1,2,・・・・)を満たすように設定されており、ムービー再生時の表示時間は、nTのうちの一つの値に固定されているため、例えば、2Tに固定されていた場合は番号1から8までのコマ画像が1/2倍の速度で「スロー」になってしまい、逆にTに固定されていた場合は番号9から16までのコマ画像が2倍の速度で「早送り」になってしまうという不都合がある。
【0008】
そこで本発明は、連続撮影時の撮影時間が変化した場合でも再生時の表示時間を適正化でき、以って動画の再生品質を良好に維持できる電子スチルカメラの提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明に係る電子スチルカメラは、時系列的に撮影される各コマ画像の撮影時間が撮影条件に応じて変化する電子スチルカメラにおいて、前記コマ画像毎に、当該コマ画像の撮影時間に応じた時間だけ当該コマ画像を順次表示制御する第一表示制御手段と、前記各コマ画像の撮影時間に相関する情報を前記各コマ画像とともに記憶媒体に記録する格納手段と、前記記憶媒体に記録された各コマ画像を、撮影された順に従って順次再生表示制御する第二表示制御手段と、前記第二表示制御手段に再生表示制御されるコマ画像に対応した撮影時間に相関する情報を、前記記憶媒体から読み出す読み出し手段と、を備え、前記第二表示制御手段は、前記読み出し手段により読み出された撮影時間に相関する情報に基づいて各コマ画像の再生時間を個別に制御することを特徴とする。
請求項2記載の発明に係る電子スチルカメラは、時系列的に撮影される各コマ画像の撮影時間が撮影条件に応じて変化する電子スチルカメラにおいて、前記コマ画像毎に、当該コマ画像の撮影時間に応じた時間だけ当該コマ画像を順次表示制御する第一表示制御手段と、コマ画像の予測される全ての撮影時間に相関する情報を持つと共に各情報ごとのユニークなインデックス情報を持つテーブルと、前記テーブルを参照して、前記各コマ画像の撮影時間に相関する情報に対応するインデックス情報を前記各コマ画像とともに記憶媒体に記録する格納手段と、前記記憶媒体に記録された各コマ画像を、撮影された順に従って順次再生表示制御する第二表示制御手段と、前記第二表示制御手段に再生表示制御されるコマ画像に対応したインデックス情報を、前記記憶媒体から読み出す読み出し手段と、を備え、前記第二表示制御手段は、前記テーブルを参照して、前記読み出し手段により読み出されたインデックス情報に対応する撮影時間に相関する情報に基づいて各コマ画像の再生時間を個別に制御することを特徴とする。
請求項3記載の発明に係る電子スチルカメラは、請求項1又は請求項2記載の電子スチルカメラにおいて、前記各コマ画像の撮影時間に相関する情報が、前記第一表示制御手段が表示制御する各コマ画像の撮影時間に応じた時間であることを特徴とする。
請求項4記載の発明に係る連写画像再生方法は、時系列的に撮影される各コマ画像の撮影時間が撮影条件に応じて変化する連写画像再生方法において、当該コマ画像の撮影時間に応じた時間だけ順次表示制御された各コマ画像がその撮影時間に相関する情報とともに記録された記憶媒体から前記各コマ画像を撮影された順に従って選択し、それを順次再生表示制御する再生表示制御ステップと、前記再生表示制御ステップで再生表示制御されるコマ画像に対応した撮影時間に相関する情報を、前記記憶媒体から読み出す読み出しステップと、を有し、前記再生表示制御ステップでは、前記読み出しステップにより読み出された撮影時間に相関する情報に基づいて各コマ画像の再生時間を個別に制御することを特徴とする。
請求項5記載の発明に係る連写画像再生方法は、時系列的に撮影される各コマ画像の撮影時間が撮影条件に応じて変化する連写画像再生方法において、前記コマ画像毎に、当該コマ画像の撮影時間に応じた時間だけ当該コマ画像を順次表示制御する第一表示制御ステップと、コマ画像の予測される全ての撮影時間に相関する情報を持つと共に各情報ごとのユニークなインデックス情報を持つテーブルを参照して、前記各コマ画像の撮影時間に相関する情報に対応するインデックス情報を前記各コマ画像とともに記憶媒体に記録する格納ステップと、前記記憶媒体に記録された各コマ画像を、撮影された順に従って順次再生表示制御する第二表示制御ステップと、前記第二表示制御ステップで再生表示制御されるコマ画像に対応したインデックス情報を、前記記憶媒体から読み出す読み出しステップと、を有し、前記第二表示制御ステップでは、前記テーブルを参照して、前記読み出しステップにより読み出されたインデックス情報に対応する撮影時間に相関する情報に基づいて各コマ画像の再生時間を個別に制御することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、電子スチルカメラの外観図である。図示の電子スチルカメラ10は、特に限定しないが、本体部11と、本体部11に回動可能に取り付けられたカメラ部12とに分かれており、カメラ部12の前面(図面の裏面側)には図示を略した写真レンズが装着されている。写真レンズの後ろには、これも図示を略したCCD(イメージセンサ)が取り付けられており、後述の撮影モードの際に、写真レンズから取り込まれた被写体の像を映像信号に変換して、高解像度のフレーム画像を生成できるようになっている。
一方、本体部11には、画像(構図調整のためのスルー画像や記録済みのキャプチャー画像)を確認するための平面表示装置、例えば、液晶ディスプレイ13が取り付けられているほか、シャッターキー14を始めとする各種の操作キー類が適宜の位置に取り付けられている。操作キーの種類や呼び方は製造会社や機種によってまちまちであり一意に特定できないが、例えば、プラスキー15、マイナスキー16、メニューキー17(選択手段)、電源スイッチ18、ディスプレイキー19、撮影モードキー20、セルフタイマーキー21、ストロボモードキー22、REC/PLAYキー23などであり、これら各キーの機能(役割)は、以下のとおりである。
【0011】
(1)シャッターキー14:
撮影モード時には、その名のとおり“シャッターキー"(半押しで露出とフォーカスを固定し、全押しで画像をキャプチャーする)として働くキーであるが、撮影モードや再生モード(キャプチャー画像を再生したり他の機器に出力したりするモード)時にメニューキー17が押された場合には、液晶ディスプレイ13に表示された様々な選択項目を了解するためのYESキーとしても働くマルチ機能キーである。
(2)プラスキー15:
再生画像を選択したり、各種システム設定を選択したりするために用いられるキーである。“プラス"は、その選択方向を意味し、画像選択の場合であれば最新画像の方向、システム設定選択の場合であれば液晶ディスプレイ13の走査方向である。
(3)マイナスキー16:
方向が逆向きである以外、プラスキーと同じ機能である。
【0012】
(4)メニューキー17:
各種システム設定を行うためのキーである。再生モードにおいては、デリートモード(画像の消去モード)をはじめとした各種項目を液晶ディスプレイ13に表示し、撮影モードにおいては、画像の記録に必要な、例えば、記録画像の精細度やオートフォーカスのオンオフなどに加え、さらに、本実施の形態では、ムービー画像の撮影コマ数(例えば、32コマ/秒、48コマ/秒、64コマ/秒)の選択項目を液晶ディスプレイ13に表示する。
(5)電源スイッチ18:
カメラの電源をオンオフするスイッチである。
(6)ディスプレイキー19:
液晶ディスプレイ13に表示された画像に様々な情報をオーバラップ表示するためのキーであり、例えば、撮影モードでは、残り撮影可能枚数や撮影形態(通常撮影、パノラマ撮影等)などの情報をオーバラップ表示し、再生モードでは、再生画像の属性情報(ページ番号や精細度等)をオーバラップ表示する。
【0013】
(7)撮影モードキー20:
撮影モード時のみ使用可能になるキーである。通常撮影やパノラマ撮影等を選択するほか、特に本実施の形態では、ムービー撮影のモードを選択することができる。
(8)セルフタイマーキー21:
セルフタイマー機能をオンオフするキーである。
(9)ストロボモードキー22:
ストロボに関する様々な設定、例えば、強制発光させたり、発光を禁止したり、赤目を防止したりするキーである。
(10)REC/PLAYキー23
撮影モードと再生モードを切り替えるためのキーである。この例では、スライドスイッチになっており、上にスライドすると撮影モード、下にスライドすると再生モードになる。
【0014】
図2は、本実施の形態における電子スチルカメラのブロック図である。なお、本実施の形態の電子スチルカメラは、自動露光機能及び自動焦点機能付きであり、これらの機能に特有の要素(例えば、光量測定用センサ、測距センサ、オートフォーカス用駆動機構及びこれらの制御機構など)を備えているが、図示の簡単化のためにブロック図には記載していない。
図2において、30は写真レンズ、31はCCD(イメージセンサ)、32は水平・垂直ドライバ、33はタイミング発生器(TG:Timing Generator)、34はサンプルホールド回路、35はアナログディジタル変換器、36はカラープロセス回路、37はDMAコントローラ、38はDRAMインターフェース、39はDRAM、40はフラッシュメモリ(記憶媒体)、41はCPU(格納手段、読み出し手段、制御手段)、42はJPEG回路、43はVRAM、44はVRAMコントローラ、45はディジタルビデオエンコーダ、46はキー入力部、47はバスである。
【0015】
これら各部の機能は、概ね以下のとおりである。
(A)写真レンズ30:
CCD31の受光面上に被写体の像を結ばせるためのものであり、自動焦点機能のための焦点合わせ機構を備えている。なお、ズーム機能を備えたり、沈胴式であったりしてもよい。
(B)CCD31:
電荷をアレイ状に転送する固体撮像デバイスである。電荷結合素子とも呼ばれる。アナログ遅延線などに用いられるものもあるが、本明細書では、特に、二次元の光学情報を時系列(シリアル列)の電気信号に変換する固体のイメージセンサーを指す。
【0016】
一般にCCDは、多数の光電変換素子をアレイ状に並べた光電変換部と、光電変換素子の出力電荷を蓄積する電荷蓄積部と、電荷蓄積部の電荷を所定の方式で読み出す電荷読み出し部とから構成されており、光電変換素子の一つ一つが画素になる。例えば、有効画素数が100万画素のCCDでは、少なくともアレイの桝目が100万個並んでいることになる。以下、説明の都合上、図示のCCD31の有効画素数を1280×960とする。すなわち、行方向(横方向)に1280個、列方向(縦方向)に960個の画素で構成された、1280列×960行のアレイ構造を有しているとする。
なお、本実施の形態のCCD31はカラーCCDである。一般にCCDの画素情報そのものは色情報を持っていないため、カラーCCDでは前面に色フィルター(光の三原色を用いた原色フィルター又は色の三原色を用いた補色フィルター)を装着する。
また、CCDは、電荷の読み出し方式によって二つのタイプに分けることができる。第1は、信号を読み出すときに画素を一つずつ飛ばす「飛び越し読み出し方式」(インターレースCCDとも言う)のタイプであり、第2は、全画素を順番に読み出す「全面読み出し方式」(プログレッシブCCDとも言う)のタイプである。電子スチルカメラでは第2のタイプがよく用いられるものの、昨今の100万画素を越えるメガピクセル級の電子スチルカメラでは第1のタイプを用いることもある。以下、説明の便宜上、本実施の形態のCCD31は、第2のタイプ(全面読み出し方式)とする。
【0017】
(C)水平・垂直ドライバ32とタイミング発生器33:
CCD31の読み出しに必要な駆動信号を生成する部分であり、本実施の形態のCCD31は、全面読み出し方式と仮定されているから、CCD31の各列を次々に指定しながら行単位に画素の情報を転送する(読み出す)ことができる駆動信号、要するに、1280列×960行のアレイ構造の左上から右下の方向(この方向はテレビジョンの走査方向に類似する)に画素情報をシリアルに読み出すための水平・垂直それぞれの駆動信号を生成するものである。
(D)サンプルホールド回路34:
CCD31から読み出された時系列の信号(この段階ではアナログ信号である)を、CCD31の解像度に適合した周波数でサンプリング(例えば、相関二重サンプリング)するものである。なお、サンプリング後に自動利得調整(AGC)を行うこともある。
(E)アナログディジタル変換器35:
サンプリングされた信号をディジタル信号に変換するものである。
【0018】
(F)カラープロセス回路36:
アナログディジタル変換器35の出力から輝度・色差マルチプレクス信号(以下、YUV信号と言う)を生成する部分である。
本明細書における“転送時間"とは、CCD31の画素情報の読み出し開始の時点からこのカラープロセス回路36の出力(撮像部の出力)に一画面分のTUV信号が現れる時点までの時間を言う。ここで、“撮像部"とは、CCD31、水平・垂直ドライバ32、タイミング発生器33、サンプルホールド回路34、アナログディジタル変換器35及びカラープロセス回路36を含む部分である。
【0019】
なお、YUV信号を生成する理由は、次のとおりである。アナログディジタル変換器35の出力は、アナログかディジタルかの違い及びサンプリングやディジタル変換の誤差を除き、実質的にCCD31の出力と一対一に対応し、光の三原色データ(RGBデータ)そのものであるが、このデータはサイズが大きく、限られたメモリ資源の利用や処理時間の点で不都合をきたす。そこで、何らかの手法で多少なりともデータ量の削減を図る必要がある。YUV信号は、一般にRGBデータの各要素データ(Rデータ、Gデータ、Bデータ)は輝度信号Yに対して、G−Y、R−Y、B−Yの三つの色差信号で表現できるうえ、これら三つの色差信号の冗長を取り除けば、G−Yを転送しなくてもよく、G−Y=α(R−Y)−β(B−Y)で再現できる、という原理に基づく一種のデータ量削減信号と言うことができる。ここで、αやβは合成係数である。
【0020】
ちなみに、YUV信号をYCbCr信号(CbとCrはそれぞれB−YとR−Y)と言うこともあるが、本明細書ではYUV信号に統一することにする。また、YUV信号の信号フォーマットは、輝度信号と二つの色差信号のそれぞれを独立して含む“コンポーネント"と呼ばれる固定長の三つのブロックで構成されており、各コンポーネントの長さ(ビット数)の比をコンポーネント比と言う。変換直後のYUV信号のコンポーネント比は1:1:1であるが、色差信号の二つのコンポーネントを短くする、すなわち、1:x:x(但し、x<1)とすることによってもデータ量を削減できる。これは、人間の視覚特性は輝度信号よりも色差信号に対して鈍感であると言うことを利用したものである。
【0021】
(G)DMAコントローラ37:
カラープロセス回路36とDRAM39(正確にはDRAMインターフェース38)との間のデータ転送をCPU41の介在なしに行うものであり、いわゆるダイレクト・メモリ転送(DMA:direct memory access)を行うものである。DMACと略すこともある。一般にDMACは、小型コンピュータシステムなどにおいて、CPUやI/Oプロセッサの代わりに、メモリ−メモリ間又はメモリ−I/O間のデータ転送を制御するもので、データ転送に必要なソース・アドレスやデスティネーション・アドレスを生成するとともに、ソースの読み出しサイクルやデスティネーションの書込みサイクルなどを駆動するものであり、CPU又はI/Oプロセッサは、初期アドレス、サイクルの種類及び転送サイズなどをDMACに設定した後、制御をDMACに移管する。データ転送は、I/O装置やI/OプロセッサなどからのDMA転送要求信号を受け付けてから開始する。(H)DRAMインターフェース38:
DRAM39とDMAコントローラ37の間の信号インターフェース、及びDRAM39とバス47の間の信号インターフェースをとるものである。
【0022】
(I)DRAM39:
書き換え可能な半導体メモリの一種である。一般にDRAMは、記憶内容を保持するために、データの再書込み(リフレッシュ)をダイナミックに行う点で、スタティックRAM(SRAM)と相違するが、SRAMと比べて書込みや読み出し速度が劣るものの、ビット単価が安く、大容量の一時記憶を安価に構成できることから、特に電子スチルカメラに好適である。但し、本発明では、DRAMに限定しない。書き換え可能な半導体メモリであればよい。
【0023】
ここで、DRAM39の記憶容量は、以下の条件を満たさなければならない。第1の条件は撮影画像の一時的な記憶空間を確保できる容量であるという点である。この記憶空間は、少なくともカラープロセス回路36で生成された高精細な画像の情報(1280×960画素の画像情報で且つ1:1:1のコンポーネント比をもつYUV信号)を格納できる程度の大きさを持っていなければならない。第2の条件はCPU41に必要な充分な大きさの作業空間を確保できる容量であるという点である。作業空間の大きさはCPU41のアーキテクチャやOS(オペレーティングシステム)及びそのOSの管理下で実行される各種のアプリケーションプログラムによって決まるので、これらの仕様を検討して過不足のない適切な大きさにすればよい。
(J)フラッシュメモリ40:
書き換え可能な読み出し専用メモリ(PROM:programmable read only memory)のうち、電気的に全ビット(又はブロック単位)の内容を消して内容を書き直せるものを指す。フラッシュEEPROM(flash electrically erasablePROM)とも言う。本実施の形態におけるフラッシュメモリ40は、カメラ本体から取り外せない固定型であってもよいし、カード型やパッケージ型のように取り外し可能なものであってもよい。なお、フラッシュメモリ40は、内蔵型であれ取り外し可能型であれ、所定の形式で初期化(フォーマット)されている必要がある。初期化済みのフラッシュメモリ40には、その記憶容量に応じた枚数の画像を記録できる。
【0024】
図3は、フラッシュメモリ40の概念的なメモリマップである。PIC_1、PIC_2・・・・は、ムービー画像を構成するコマ画像であり、各コマ画像に隣接して設けられた補助領域50〜54の情報は、それぞれのコマ画像を記録する際に同時に保存された“付帯情報"であり、この付帯情報は、ムービー撮影の各コマ画像ごとの転送時間、又は転送時間に相関する物理量、例えば、液晶ディスプレイ13の各コマ画像の表示時間、若しくは上記転送時間に影響を与える撮影条件(露出やシャッタースピード)の情報である。
る。
図3では便宜的にPIC_1の付帯情報が“T"、PIC_2の付帯情報が“2T"、PIC_3の付帯情報が“2T"、PIC_4の付帯情報が“T"、PIC_5の付帯情報が“T"となっており、要するに、ムービー撮影時における各コマ画像の転送時間が「T」→「2T」→「2T」→「T」→「T」であったことを示している。なお、補助領域50〜54と各コマ画像(PIC_1〜5)は、互いに関連付けがなされていればよく、必ずしも図示のようなシーケンシャルな構造になっている必要はない。
【0025】
(K)CPU41:
所定のプログラムを実行してカメラの動作を集中制御するものである。プログラムは、CPU41の内部のインストラクションROMに書き込まれており、撮影モードでは、そのモード用のプログラムが、また、再生モードでは、そのモード用のプログラムがインストラクションROMからCPU41の内部のRAMにロードされて実行される。
(L)JPEG回路42:
JPEGの圧縮と伸長を行う部分である。JPEGの圧縮パラメータは圧縮処理の都度、CPU41から与えられる。なお、JPEG回路42は処理速度の点で専用のハードウェアにすべきであるが、CPU41でソフト的に行うことも可能である。
【0026】
なお、JPEGとは、joint photographic experts groupの略であり、カラー静止画(2値画像や動画像を含まないフルカラーやグレイスケールの静止画)の国際符号化標準である。JPEGでは、圧縮されたデータを完全に元に戻すことができる可逆符号化と、元に戻せない非可逆符号化の二つの方式が定められているが、殆どの場合、圧縮率の高い後者の非可逆符号化が用いられている。JPEGの使い易さは、圧縮に用いられるパラメータ(圧縮パラメータ)を調節することによって、符号化に伴う画質劣化の程度を自在に変えられる点にある。すなわち、符号化側では、画像品質とファイルサイズのトレードオフの中から適当な圧縮パラメータを選択できるし、あるいは、復号化側では、品質を多少犠牲にして復号スピードを上げたり、時間はかかっても最高品質で再生したりするなどの選択ができる点で使い易い。JPEGの実用上の圧縮率は、非可逆符号の場合で、およそ10:1から50:1程度である。一般的に10:1から20:1であれば視覚上の劣化を招かないが、多少の劣化を許容すれば30:1から50:1でも十分実用に供する。ちなみに、他の符号化方式の圧縮率は、例えば、GIF(graphics interchange format)の場合で5:1程度に留まるから、JPEGの優位性は明らかである。
【0027】
(M)VRAM43:
いわゆるビデオRAMであり、スルー画像や再生画像をVRAM43に書き込むと、その画像がディジタルビデオエンコーダ45を介して液晶ディスプレイ13に送られ、表示されるようになっている。
なお、ビデオRAMには、書込み用と読み出し用の二つのポートを備え、画像の書込みと読み出しを同時並行的に行うことができるものもあるが、本実施の形態のVRAM43にも、このタイプのビデオRAMを用いても構わない。
(N)VRAMコントローラ44:
VRAM43とバス47の間及びVRAM43とディジタルビデオエンコーダ45間のデータ転送を制御する部分であり、要するに、表示用画像のVRAM43への書込みと、同画像のVRAM43からの読み出しを制御する部分である。なお、デュアルポートタイプのビデオRAMを用いれば、VRAMコントローラ44を不要又は簡素化することも可能である。
【0028】
(O)ディジタルビデオエンコーダ45:
VRAM43から読み出されたディジタル値の表示用画像をアナログ電圧に変換するとともに、液晶ディスプレイ13の走査方式に応じたタイミングで順次に出力するものである。
(P)キー入力部46:
カメラ本体に設けられた各種キースイッチの操作信号を生成する部分である。
(Q)バス47:
以上各部の間で共有されるデータ(及びアドレス)転送路である。図では省略しているが、各部の間には所要の制御線(コントロールライン)も設けられている。
【0029】
次に、作用を説明する。
<通常の撮影モード>
写真レンズ30の後方に配置されたCCD31が水平・垂直ドライバ32からの信号で駆動され、写真レンズ30で集められた映像が一定周期毎に光電変換されて1画面分の映像信号が出力される。そして、この映像信号がサンプリングホールド回路34でサンプリングされ、アナログディジタル変換器35でディジタル信号に変換された後、カラープロセス回路36でYUV信号が生成される。このYUV信号は、DMAコントローラ37及びDRAMインターフェイス38を介してDRAM39に転送され、DRAM39への転送完了後に、CPU41によって読み出され、VRAMコントローラ44及びディジタルビデオエンコーダ45を介して液晶ディスプレイ13に送られ表示される。
【0030】
この状態でカメラの向きを変えると、液晶ディスプレイ13に表示されている画像の構図が変化し、適宜の時点(所望の構図が得られた時点)でシャッターキー14を“半押し"して露出とフォーカスをセットした後、“全押し"すると、DRAM39に保存されているYUV信号がその時点のYUV信号で固定され、かつ液晶ディスプレイ13に表示されている画像も同時点の画像に固定される。
そして、その時点でDRAM39に保存されているYUV信号は、DRAMインターフェイス38を介してJPEG回路42に送られ、Y、Cb、Crの各コンポーネント毎に8×8画素の基本ブロックと呼ばれる単位でJPEG符号化された後、フラッシュメモリ40に書き込まれ、1画面分のキャプチャー画像として記録される。
【0031】
<通常の再生モード>
CCD31からDRAM39までの経路が停止されるとともに、例えば、シングル表示モードであれば、最新のキャプチャー画像がフラッシュメモリ40から読み出され、液晶ディスプレイ13に送られて表示されるので、プラスキー15やマイナスキー16を押して希望の画像を表示する。
【0032】
<ムービー撮影モード>
図4は、ムービー撮影時のタイミングチャートであり、ここでは、説明を簡単にするため、PIC_1からPIC_5までの5枚のコマ画像を連続的に撮影する例を示している。図4において、周期信号は、CCD31で取り込んだコマ画像を液晶ディスプレイ13に表示する際に用いられる周期的な同期信号である。例えば、CCD31の転送時間(正確には撮像部の転送時間)がこの信号の周期T以下であれば、同期信号1サイクルで一枚のコマ画像が液晶ディスプレイ13に表示され、あるいは、転送時間がこの信号の周期Tを若干上回って(但し2T以下)いれば、同期信号2サイクルで1枚のコマ画像が表示されるというものである。
今、PIC_01とPIC_04及びPIC_05の三つのコマ画像は周期Tで表示されているが、他の二つコマ画像(PIC_02及びPIC_03)は周期2Tで表示されている。これは、PIC_02及びPIC_03のコマ画像の光量が不足したことにより、転送時間がTを上回って長くなったためである。
【0033】
以上のとおり、本実施の形態においては、図4に示すように、PIC_01からPIC_05の各コマ画像をフラッシュメモリ40に記録する際に、各コマ画像ごとの転送時間、又は転送時間に相関する物理量(例えば、液晶ディスプレイ13の各コマ画像の表示時間)若しくは上記転送時間に影響を与える撮影条件(露出やシャッタースピード)の情報を同時に保存するようにしたので、以下に述べるように、ムービー再生時にこの情報を利用して、各コマ画像の再生時間(液晶ディスプレイ13への表示時間)とムービー撮影時の各コマ画像の表示時間との対応をとることができ、動画の表示品質を良好に維持できるという格別の効果を得られる。
【0034】
<ムービー再生モード>
図5は、ムービー再生時のフローチャートであり、imaxはムービー撮影の最大コマ数、iは繰り返し変数である。このフローチャートでは、まず、imaxに最大コマ数(ここでは、図4に合わせて5枚とする)を設定するとともにiに1をセットし(S1、S2)、次に、フラッシュメモリ40の補助領域50〜54からi番目の付帯情報(RTi)を読み出し(S3)、そのRTiをi番目のコマ画像の再生時間にセット(S4)して、そのセット時間の間、i番目のコマ画像を液晶ディスプレイ13に表示(S5)した後、iを一つカウントアップして(S6)、i>imaxでなければ(S7)、ステップS3以降を繰り返すというものである。
すなわち、iが一つアップされる度に、図3の各補助領域50〜54に格納された付帯情報(T、2T、2T、T、T)が順次に読み出され、これらの付帯情報に応じて各コマ画像PIC_1、PIC_2、PIC_3、PIC_4、PIC_5の液晶ディスプレイ13への表示時間が制御される結果、コマ画像の付帯情報と再生間隔との一致をとることができ、ムービー撮影時の転送時間が変化した場合でも再生時の表示時間を適正化して、動画の再生品質を良好に維持できるのである。
【0035】
なお、本実施の形態では、コマ画像の付帯情報として、ムービー撮影時の転送時間をそのままの形(すなわち、時間形式)で補助領域50〜54に格納しているが、時間形式のデータは比較的にビット数が多く(例えば、倍精度であれば32ビット)、メモリ容量の有効活用の点で最善とは言えないため、例えば、図6に示すようなテーブルを使用することが望ましい。このテーブルは、予測される全ての転送時間を時間形式で持つ多数のレコードと、各レコードをユニークに識別するインデックス情報を持つというものである。インデックス情報は単なる識別子であり、例えば、レコード数が全部2m個あればmビットのデータ長で済むため、転送時間をそのままの形で格納するのに比べて、格段の容量削減を図ることができる。
【0036】
また、本実施の形態では、各コマ画像の画素数について特に言及しなかったが、通常の撮影モードの画像と同一の画素数、例えば、640×480ドットのVGAサイズのコマ画像であっても、あるいは、同画素数を、例えば、1/4に間引いた320×240ドットのQVGAサイズのコマ画像であっても同様に適用できる。
また、本実施の形態では、電子スチルカメラへの適用例を説明したが、これに限らない。連続撮影されたコマ画像を連続再生できる機能を備えたものであればよく、例えば、パソコン等の画像再生装置であってもよい。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、連続撮影されたコマ画像の連続再生時に記憶媒体内の情報(それぞれのコマ画像に対応する撮影時間に相関する情報)を利用して、各コマ画像の再生時間と連続撮影時の各コマ画像の再生時間との対応をとることができ、動画の表示品質を良好に維持できる。したがって、連続撮影時の撮影時間が変化した場合でも再生時の表示時間を適正化でき、以って動画の再生品質を良好に維持できるという格別の効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子スチルカメラの外観図である。
【図2】電子スチルカメラのブロック図である。
【図3】フラッシュメモリのメモリマップ図である。
【図4】ムービー撮影モードのタイミングチャートである。
【図5】ムービー再生モードのフローチャートである。
【図6】付帯情報のテーブル図である。
【図7】ムービー撮影のコマ画像図である。
【符号の説明】
10 電子スチルカメラ
40 フラッシュメモリ(記憶媒体)
41 CPU(格納手段、読み出し手段、制御手段)
60 テーブル
Claims (5)
- 時系列的に撮影される各コマ画像の撮影時間が撮影条件に応じて変化する電子スチルカメラにおいて、
前記コマ画像毎に、当該コマ画像の撮影時間に応じた時間だけ当該コマ画像を順次表示制御する第一表示制御手段と、
前記各コマ画像の撮影時間に相関する情報を前記各コマ画像とともに記憶媒体に記録する格納手段と、
前記記憶媒体に記録された各コマ画像を、撮影された順に従って順次再生表示制御する第二表示制御手段と、
前記第二表示制御手段に再生表示制御されるコマ画像に対応した撮影時間に相関する情報を、前記記憶媒体から読み出す読み出し手段と、を備え、
前記第二表示制御手段は、前記読み出し手段により読み出された撮影時間に相関する情報に基づいて各コマ画像の再生時間を個別に制御することを特徴とする電子スチルカメラ。 - 時系列的に撮影される各コマ画像の撮影時間が撮影条件に応じて変化する電子スチルカメラにおいて、
前記コマ画像毎に、当該コマ画像の撮影時間に応じた時間だけ当該コマ画像を順次表示制御する第一表示制御手段と、
コマ画像の予測される全ての撮影時間に相関する情報を持つと共に各情報ごとのユニークなインデックス情報を持つテーブルと、
前記テーブルを参照して、前記各コマ画像の撮影時間に相関する情報に対応するインデックス情報を前記各コマ画像とともに記憶媒体に記録する格納手段と、
前記記憶媒体に記録された各コマ画像を、撮影された順に従って順次再生表示制御する第二表示制御手段と、
前記第二表示制御手段に再生表示制御されるコマ画像に対応したインデックス情報を、前記記憶媒体から読み出す読み出し手段と、を備え、
前記第二表示制御手段は、前記テーブルを参照して、前記読み出し手段により読み出されたインデックス情報に対応する撮影時間に相関する情報に基づいて各コマ画像の再生時間を個別に制御することを特徴とする電子スチルカメラ。 - 前記各コマ画像の撮影時間に相関する情報が、前記第一表示制御手段が表示制御する各コマ画像の撮影時間に応じた時間であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子スチルカメラ。
- 時系列的に撮影される各コマ画像の撮影時間が撮影条件に応じて変化する連写画像再生方法において、
当該コマ画像の撮影時間に応じた時間だけ順次表示制御された各コマ画像がその撮影時間に相関する情報とともに記録された記憶媒体から前記各コマ画像を撮影された順に従って選択し、それを順次再生表示制御する再生表示制御ステップと、
前記再生表示制御ステップで再生表示制御されるコマ画像に対応した撮影時間に相関する情報を、前記記憶媒体から読み出す読み出しステップと、を有し、
前記再生表示制御ステップでは、前記読み出しステップにより読み出された撮影時間に相関する情報に基づいて各コマ画像の再生時間を個別に制御することを特徴とする連写画像再生方法。 - 時系列的に撮影される各コマ画像の撮影時間が撮影条件に応じて変化する連写画像再生方法において、
前記コマ画像毎に、当該コマ画像の撮影時間に応じた時間だけ当該コマ画像を順次表示制御する第一表示制御ステップと、
コマ画像の予測される全ての撮影時間に相関する情報を持つと共に各情報ごとのユニークなインデックス情報を持つテーブルを参照して、前記各コマ画像の撮影時間に相関する情報に対応するインデックス情報を前記各コマ画像とともに記憶媒体に記録する格納ステップと、
前記記憶媒体に記録された各コマ画像を、撮影された順に従って順次再生表示制御する第二表示制御ステップと、
前記第二表示制御ステップで再生表示制御されるコマ画像に対応したインデックス情報を、前記記憶媒体から読み出す読み出しステップと、を有し、
前記第二表示制御ステップでは、前記テーブルを参照して、前記読み出しステップにより読み出されたインデックス情報に対応する撮影時間に相関する情報に基づいて各コマ画像の再生時間を個別に制御することを特徴とする連写画像再生方法。
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