JP3835164B2 - エンジントルク制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に適用され、駆動輪スリップの発生時にスロットル開度制御と燃料供給量制御の少なくとも一方によりエンジントルクを制御するエンジントルク制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジントルク制御装置としては、例えば、特開2000−87783号公報に記載されているものが知られている。
【0003】
この従来装置においては、エンジントルクの正負両域において定常的にも過渡的にも精度良く制御することを目的とし、図15に示すように、スロットル開度制御ブロックにおいて、エンジントルク指令値Te_comに応じてスロットルバルブを開閉し、エンジンの吸入空気量を制御しているときに、第1エンジントルク推定ブロックにおいて、全気筒へ燃料を噴射して得られるエンジントルク推定値Te1を推定すると共に、第2エンジントルク推定ブロックにおいて、全気筒への燃料供給を停止して得られるエンジントルク推定値Te2を推定し、F/C気筒数算出ブロックにおいて、エンジントルク指令値Te_com、エンジントルク推定値Te1及びエンジントルク推定値Te2に基づいて、燃料供給を停止すべき気筒数Nfcを演算し、演算結果の燃料供給停止気筒数Nfcにしたがってエンジンの気筒毎に燃料供給停止制御を行う技術が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のエンジントルク制御装置にあっては、スロットル制御目標値と燃料カット制御目標値が1つのエンジントルク指令値Te_comにより一意的に定められている。すなわち、スロットル制御では追従できないトルクダウンに対し燃料カット制御によりトルクダウン量を補うように、エンジントルク指令値Te_comをそのままスロットル制御の目標値としているため、例えば、図16のように、高μ路→低μ路→高μ路と変化する路面を走行するとき、低μ路にてエンジントルク指令値Te_comを目標値とするスロットル制御により、エンジントルク推定値Te1特性に示すように、スロットルバルブが短時間にて全閉状態となる。このスロットル全閉状態から路面μが高μ路に変化し、エンジントルク指令値Te_comの上昇にしたがって急にスロットルバルブを開けても、吸入空気の応答遅れにより実エンジントルクの立ち上がり応答遅れが生じる。
【0005】
なお、燃料カット制御は、エンジントルクの低減は可能であるが、当然、エンジントルクを増加させることはできない。
【0006】
また、図16の例では、高μ路に入る前にF/C気筒数Nfc=0の状態(エンジントルク指令値Te_comをスロットル制御のみで実現している状態)となり、この状態が実現されるエンジントルクが最大値の状態である。
【0007】
さらに、駆動輪スリップに対しエンジントルクを低減させることでスリップを抑制するTCS制御は、図16に示すように、制御開始直後は、スリップを収束させるために大きなトルクダウン量によるエンジントルク指令値Te_comを与える。
【0008】
この結果、雨天時の鉄板通過等のようにTCSが作動する低μ路を一時的に通過する場合の高μ路移行直後や、凹凸路面で駆動輪が空転してTCSが作動する場合の路面凸部で駆動輪がグリップする直後に、ドライバーが期待する加速性が得られない。
【0009】
さらに、上記のように、短かい区間でのみTCSが作動する場合、この短かい区間を通過した後に移行する高μ路に備えてドライバーがアクセル踏み込み操作をした場合もエンジントルクの立ち上げ応答が遅れ、高μ路での加速性が得られない。
【0010】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、第1の目的とするところは、短かい区間でのみエンジントルク低減制御が行われる短距離低μ路通過時や凹凸路面走行時等で、この短かい区間での駆動輪スリップ抑制の確保と、短い区間を通過した後に移行する高μ路でのエンジントルクの回復応答遅れの防止との両立を図ることができるエンジントルク制御装置を提供することにある。
【0011】
また、第2の目的とするところは、短かい区間でのみエンジントルク低減制御が行われる短距離低μ路通過時や凹凸路面走行時等で、この短かい区間での駆動輪スリップ抑制の確保と、短かい区間を通過した後に移行する高μ路に備えてアクセル踏み込み操作をした場合のエンジントルクの立ち上げ応答性確保との両立を達成することができるエンジントルク制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するため、請求項1記載の発明では、
スロットル開度を制御するスロットル開度制御アクチュエータと、
燃料供給量を制御する燃料供給量制御アクチュエータと、
駆動輪スリップ量に応じて算出されたトルクダウン量を駆動輪スリップ発生時のエンジントルクから差し引いてエンジントルク指令値を演算するエンジントルク指令値演算手段と、
前記エンジントルク指令値に基づいて、スロットル開度制御での不足分を燃料供給量制御で補うことによりエンジントルクを低減する指令を前記スロットル開度制御アクチュエータと燃料供給量制御アクチュエータに出力するエンジントルク制御手段と、
を備えたエンジントルク制御装置において、
前記駆動輪スリップ発生に基づくトルク低減制御時、制御開始時のエンジントルクからエンジントルク指令値に至るトルク低減変化に制限を加えることでエンジントルク制限目標値を演算するエンジントルク制限目標値演算手段と、
該エンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度制御によりエンジントルク低減制御を行ったときのエンジントルク推定値を演算するエンジントルク推定値演算手段と
前記トルク低減制御中における制御周期毎の低減量である制限値を演算する制限値演算手段を設け、
前記エンジントルク制限目標値演算手段は、制限値演算手段により演算される制限値を前回のエンジントルク制限目標値から差し引くことでエンジントルク制限目標値を演算する手段であり、
前記エンジントルク制御手段は、前記エンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度を制御し、前記エンジントルク推定値と前記エンジントルク指令値との差分に基づくトルクダウン量を燃料カットで実現する手段であることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明では、請求項1に記載のエンジントルク制御装置において、
前記制限値演算手段は、発進初期以外の走行中であって、エンジントルク指令値の減少中に制限値を演算する手段であることを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明では、スロットル開度を制御するスロットル開度制御アクチュエータと、燃料供給量を制御する燃料供給量制御アクチュエータと、駆動輪スリップ量に応じて算出されたトルクダウン量を駆動輪スリップ発生時のエンジントルクから差し引いてエンジントルク指令値を演算するエンジントルク指令値演算手段と、前記エンジントルク指令値に基づいて、スロットル開度制御での不足分を燃料供給量制御で補うことによりエンジントルクを低減する指令を前記スロットル開度制御アクチュエータと燃料供給量制御アクチュエータに出力するエンジントルク制御手段と、を備えたエンジントルク制御装置において、前記駆動輪スリップ発生に基づくトルク低減制御時、制御開始時のエンジントルクからエンジントルク指令値に至るトルク低減変化に制限を加えることでエンジントルク制限目標値を演算するエンジントルク制限目標値演算手段と、該エンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度制御によりエンジントルク低減制御を行ったときのエンジントルク推定値を演算するエンジントルク推定値演算手段とを設け、前記エンジントルク制限目標値演算手段は、時定数等の遅れ要素と過去のエンジントルク制限目標値に基づいてエンジントルク制限目標値を演算する手段であり、前記エンジントルク制御手段は、前記エンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度を制御し、前記エンジントルク推定値と前記エンジントルク指令値との差分に基づくトルクダウン量を燃料カットで実現する手段であることを特徴とする。
【0016】
上記第2の目的を達成するため、請求項4記載の発明では、
スロットル開度を制御するスロットル開度制御アクチュエータと、
燃料供給量を制御する燃料供給量制御アクチュエータと、
駆動輪スリップ量に応じて算出されたトルクダウン量を駆動輪スリップ発生時のエンジントルクから差し引いてエンジントルク指令値を演算するエンジントルク指令値演算手段と、
前記エンジントルク指令値に基づいて、スロットル開度制御での不足分を燃料供給量制御で補うことによりエンジントルクを低減する指令を前記スロットル開度制御アクチュエータと燃料供給量制御アクチュエータに出力するエンジントルク制御手段と、
を備えたエンジントルク制御装置において、
前記駆動輪スリップ発生に基づくトルク低減制御時、スロットル開度の閉じる方向の変化を最大限に抑えたリミッタ制限によりエンジントルク制限目標値を演算するエンジントルク制限目標値演算手段と、
アクセル操作量検出値に基づいてドライバー要求トルクを推定するドライバー要求トルク推定手段と、
前記リミッタ制限によるエンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度制御によりエンジントルク低減制御を行ったときのスロットル分トルクを推定するスロットル分トルク推定手段と、
ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えているかどうかを判断する要求トルク判断手段とを設け、
前記エンジントルク制御手段は、ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えるまでは、前記リミッタ制限によるエンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度を制御すると共に、駆動輪スリップ量に応じて算出されたトルクダウン量を燃料カットで実現し、ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えると、リミッタ制限を解除してドライバー要求トルクまでスロットル開度を開くと共に、ドライバー要求トルクとスロットル分トルクとのトルク差を含めたトルクダウン量を燃料カットで実現する手段であることを特徴とする。
【0017】
【発明の作用および効果】
請求項1記載の発明にあっては、走行時、エンジントルク指令値演算手段において、駆動輪スリップ量に応じて算出されたトルクダウン量を駆動輪スリップ発生時のエンジントルクから差し引いてエンジントルク指令値が演算され、エンジントルク制限目標値演算手段において、駆動輪スリップ発生に基づくトルク低減制御時、制御開始時のエンジントルクからエンジントルク指令値に至るトルク低減変化に制限を加えることでエンジントルク制限目標値が演算され、エンジントルク推定値演算手段において、エンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度制御によりエンジントルク低減制御を行ったときのエンジントルク推定値が演算される。そして、エンジントルク制御手段において、エンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度が制御され、エンジントルク推定値とエンジントルク指令値との差分に基づくトルクダウン量が燃料カットで実現される。
【0018】
すなわち、例えば、高μ路→低μ路→高μ路と変化する路面を走行するとき、低μ路にてエンジントルク指令値に制限を加えたエンジントルク制限目標値を制御目標値とするスロットル開度制御により、スロットルバルブが低μ路の短い区間では僅かに閉じた状態となり、エンジントルク低減制御が主に燃料カットで受け持たれる。この状態から路面μが高μ路に変化し、エンジントルク指令値が上昇しても既にスロットルバルブが開いた状態にあるため、吸入空気の応答遅れがなく、全気筒の燃料供給が回復する僅かな時間を待って実エンジントルクがエンジントルク指令値まで立ち上がる。
【0019】
よって、短かい区間でのみエンジントルク低減制御が行われる短距離低μ路通過時や凹凸路面走行時等で、この短かい区間での駆動輪スリップ抑制の確保と、短い区間を通過した後に移行する高μ路でのエンジントルクの回復応答遅れの防止との両立を図ることができる。
【0020】
加えて、請求項1記載の発明にあっては、制限値演算手段において、トルク低減制御中における制御周期毎の低減量である制限値が演算され、エンジントルク制限目標値演算手段において、制限値演算手段により演算される制限値を前回のエンジントルク制限目標値から差し引くことでエンジントルク制限目標値が演算される。
【0021】
よって、エンジントルク制限目標値の初期値をトルク低減制御の開始時のエンジントルク指令値とするだけで、それ以降のエンジントルク制限目標値を、前回のエンジントルク制限目標値と制限値を用いた簡単な演算処理により得ることができる。
【0022】
請求項2記載の発明にあっては、制限値演算手段において、発進初期以外の走行中であって、エンジントルク指令値の減少中に制限値が演算される。
【0023】
すなわち、発進初期はトルクダウン量を多く必要とするため、燃料カットの割合が多い場合は、排気系触媒へ影響(触媒高温化)を与えることが考えられるが、発進初期以外の走行時には、トルクダウン量及びトルクダウンを行う時間とも発進初期に比べて少なくなる。
【0024】
よって、発進初期にはスロットル開度制御での不足分を燃料供給量制御で補う制御となり、燃料カットの割合が少なくなることでの排気系触媒への影響を抑え、発進初期以外の走行時には、スロットル開度制御を抑えて燃料カットの割合を多くすることで、エンジントルク低減制御が行われる短かい区間を通過した後に移行する高μ路でのエンジントルクの回復応答性を高めることができる。
【0025】
請求項3記載の発明にあっては、走行時、エンジントルク指令値演算手段において、駆動輪スリップ量に応じて算出されたトルクダウン量を駆動輪スリップ発生時のエンジントルクから差し引いてエンジントルク指令値が演算され、エンジントルク制限目標値演算手段において、駆動輪スリップ発生に基づくトルク低減制御時、制御開始時のエンジントルクからエンジントルク指令値に至るトルク低減変化に制限を加えることでエンジントルク制限目標値が演算され、エンジントルク推定値演算手段において、エンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度制御によりエンジントルク低減制御を行ったときのエンジントルク推定値が演算される。そして、エンジントルク制御手段において、エンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度が制御され、エンジントルク推定値とエンジントルク指令値との差分に基づくトルクダウン量が燃料カットで実現される。
すなわち、例えば、高μ路→低μ路→高μ路と変化する路面を走行するとき、低μ路にてエンジントルク指令値に制限を加えたエンジントルク制限目標値を制御目標値とするスロットル開度制御により、スロットルバルブが低μ路の短い区間では僅かに閉じた状態となり、エンジントルク低減制御が主に燃料カットで受け持たれる。この状態から路面μが高μ路に変化し、エンジントルク指令値が上昇しても既にスロットルバルブが開いた状態にあるため、吸入空気の応答遅れがなく、全気筒の燃料供給が回復する僅かな時間を待って実エンジントルクがエンジントルク指令値まで立ち上がる。
よって、短かい区間でのみエンジントルク低減制御が行われる短距離低μ路通過時や凹凸路面走行時等で、この短かい区間での駆動輪スリップ抑制の確保と、短い区間を通過した後に移行する高μ路でのエンジントルクの回復応答遅れの防止との両立を図ることができる。
加えて、請求項3記載の発明にあっては、エンジントルク制限目標値演算手段において、時定数等の遅れ要素と過去のエンジントルク制限目標値に基づいてエンジントルク制限目標値が演算される。
【0026】
よって、時定数等の遅れ要素と過去のエンジントルク制限目標値に基づいて簡単にエンジントルク制限目標値を演算することができる。
【0027】
請求項4記載の発明にあっては、走行時、エンジントルク指令値演算手段において、駆動輪スリップ量に応じて算出されたトルクダウン量を駆動輪スリップ発生時のエンジントルクから差し引いてエンジントルク指令値が演算され、エンジントルク制限目標値演算手段において、駆動輪スリップ発生に基づくトルク低減制御時、スロットル開度の閉じる方向の変化を最大限に抑えたリミッタ制限によりエンジントルク制限目標値が演算され、ドライバー要求トルク推定手段において、アクセル操作量検出値に基づいてドライバー要求トルクが推定され、スロットル分トルク推定手段において、リミッタ制限によるエンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度制御によりエンジントルク低減制御を行ったときのスロットル分トルクが推定される。そして、要求トルク判断手段において、ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えているかどうかが判断され、エンジントルク制御手段において、ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えるまでは、リミッタ制限によるエンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度を制御すると共に、駆動輪スリップ量に応じて算出されたトルクダウン量が燃料カットで実現され、ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えると、リミッタ制限を解除してドライバー要求トルクまでスロットル開度が開かれると共に、ドライバー要求トルクとスロットル分トルクとのトルク差を含めたトルクダウン量が燃料カットで実現される。
【0028】
すなわち、例えば、高μ路→低μ路→高μ路と変化する路面を走行するとき、低μ路にてエンジントルク指令値にリミッタ制限を加えたエンジントルク制限目標値を制御目標値とするスロットル開度制御により、スロットルバルブが僅かに閉じられるか、もしくは、閉じられることなく開いたままの状態で推移し、エンジントルク低減制御が燃料カットで受け持たれる。この状態から路面μが高μ路に変化するのをいち早くドライバーが察知し、アクセルペダルを踏み込む操作を行うと、開いた状態のスロットルバルブがドライバー要求トルクとなるまでさらに開かれるため、高μ路に入る前にエンジントルクを立ち上げることができる。なお、アクセル操作に伴いドライバー要求トルクまでスロットルバルブを開くことでエンジントルクが過剰となるが、この分を含めたトルクダウン量を得る制御が燃料カットで実現される。
【0029】
よって、短かい区間でのみエンジントルク低減制御が行われる短距離低μ路通過時や凹凸路面走行時等で、この短かい区間での駆動輪スリップ抑制の確保と、短かい区間を通過した後に移行する高μ路に備えてアクセル踏み込み操作をした場合のエンジントルクの立ち上げ応答性確保との両立を達成することができ、特に、短かい区間を通過した後、ドライバーの加速要求に応えることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
エンジントルク制御装置の実施の形態を、請求項1〜2に記載の発明に対応する第1実施例、請求項3記載の発明に対応する第2実施例、請求項4に記載の発明に対応する第3実施例により、図面に基づいて説明する。
【0031】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
【0032】
図1はエンジントルク制御装置を示す全体システムであり、1はエンジン、2は自動変速機、3,4はドライブシャフト、5,6は前輪(駆動輪)、7,8は後輪(従動輪)、9はスロットルバルブ、10はスロットル制御モータ、11はABS/TCSコントローラ、12,13,14,15は車輪速センサ、16はABS警報ランプ、17はスリップインジケータ、18はTCS/OFFインジケータ、19はTCS/OFFスイッチ、20はエンジンコントローラ、21はATコントローラ、22は多重通信線、23はエンジン回転数センサ、24はアクセル操作量センサ、25はスロットル開度センサである。
【0033】
前記エンジン1には、吸気管に設けられたスロットルバルブ9の開度を制御するスロットル制御モータ10(スロットル開度制御アクチュエータ)と、各気筒毎の燃料噴射量を調節する図外のインジェクター(燃料供給量制御アクチュエータ)とを備えている。
【0034】
前記自動変速機2としては、ベルト式やトロイダル式等により無段階に変速比が制御される無段変速機や、多段階に変速段が変更される有段変速機が用いられていて、ATコントローラ21からの変速指令に応じて変速比や変速段が制御される。
【0035】
前記ABS/TCSコントローラ11は、エンジントルク制御に関し、アクセル操作量センサからのアクセル操作量Accと、車輪速センサ12,13からの駆動輪速V2と、車輪速センサ14,15からの従動輪速V1を入力し、エンジントルク指令値Te_comと変速比指令値G_comを演算し、これらの指令値Te_com,G_comを、多重通信線22を介してエンジンコントローラ20とATコントローラ21に送信する(図3のフローチャート参照)。
【0036】
前記エンジンコントローラ20は、ABS/TCSコントローラ11からのエンジントルク指令値Te_comと、エンジン回転数センサ23からのエンジン回転数Neと、スロットル開度センサ25からのスロットル開度Tvoを入力し、エンジントルク制限目標値Te3、エンジントルク推定値Te0、エンジントルク推定値Te1、エンジントルク推定値Te2、燃料カット気筒数Nfcを演算し、基本的に、スロットル開度制御での不足分を燃料供給量制御で補うことによりエンジントルクを低減する指令を、スロットル制御モータ10とインジェクターに出力するスロットル制御と燃料カット制御を行う(図4のフローチャート参照)。
【0037】
図2はエンジンコントローラ20で行われるスロットル制御と燃料カット制御の制御ブロック図で、駆動輪スリップ発生に基づくトルク低減制御時、制御開始時のエンジントルクからエンジントルク指令値Te_comに至るトルク低減変化に制限を加えることでエンジントルク制限目標値Te3を演算するエンジントルク制限目標値演算ブロック20a(エンジントルク制限目標値演算手段)と、トルク低減制御中における制御周期毎の低減量である制限値dTeを演算する制限値演算ブロック20b(制限値演算手段)と、エンジントルク制限目標値Te3に応じてスロットルバルブ9を開閉し、エンジン1の吸入空気量を制御するスロットル開度制御ブロック20cと、エンジントルク制限目標値Te3に応じてスロットル開度制御によりエンジントルク低減制御を行ったときのエンジントルク推定値Te1を演算する第1エンジントルク推定ブロック20d(エンジントルク推定値演算手段)と、全気筒への燃料供給を停止して得られるエンジントルク推定値Te2を推定する第2エンジントルク推定ブロック20eと、エンジントルク指令値Te_com、エンジントルク推定値Te1及びエンジントルク推定値Te2に基づいて、燃料供給を停止すべき気筒数Nfcを演算するF/C気筒数算出ブロック20fを備えている。
【0038】
次に、作用を説明する。
【0039】
[エンジントルク制御処理]
図3はABS/TCSコントローラ11で10msec毎に実行されるエンジントルク制御処理を示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(エンジントルク指令値演算手段)。
【0040】
ステップ30では、アクセル操作量センサからの信号に基づきアクセル操作量Accを計測すると共に、車輪速センサ12,13からの信号に基づき駆動輪速V2と、車輪速センサ14,15からの信号に基づき従動輪速V1を計測する。
【0041】
ステップ31では、予め設定した駆動軸トルクマップ(図8の(イ)参照)から、アクセル操作量Accと車速Vspに対応する通常走行用の駆動軸トルクTd_accを表引き演算する。なお、車速Vspは、従動輪速V1に所定の定数を乗じて求める。
【0042】
ステップ32では、次式により駆動輪のスリップ率Sdを演算する。
Sd=(V2−V1)/V1 …(1)
ステップ33では、次式により駆動輪のスリップを抑制するための駆動軸トルク低減値Td_tcsを演算する。
Td_tcs=K・(Sd−So) …(2)
(2)式において、Td_tcs>0、Kは適合定数、Soは目標スリップ率である。
【0043】
ステップ34では、次式により通常走行用駆動軸トルクTd_accからスリップ抑制用駆動軸トルク低減値Td_tcsを差し引いて駆動軸トルク指令値Td_comを演算する。
Td_com=Td_acc−Td_tcs …(3)
ステップ35では、予め設定した変速比マップにより現在の車速Vspに対応する自動変速機2の変速比指令値G_comを決定すると共に、変速比指令値G_comと駆動軸トルク指令値Td_comとに基づいて次式によりエンジントルク指令値Te_comを演算する。
Te_com=Td_com/G_com/Gf …(4)
Gfはファイナルギア比である。
【0044】
ステップ36では、エンジンコントローラ20へエンジントルク指令値Te_comを送信すると共に、ATコントローラ21に変速比指令値G_comを送信する。
【0045】
図4はエンジンコントローラ20で10msec毎に実行されるエンジントルク制御処理を示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0046】
ステップ40では、エンジントルク指令値Te_comを入力すると共に、エンジン回転数センサ23からの信号に基づきエンジン回転数Neを計測し、スロットル開度センサ25からの信号に基づきスロットル開度Tvoを計測する。
【0047】
ステップ41では、スロットル制御用のエンジントルク制限目標値Te3を、後述する図5に示すフローチャートに従って演算する。
【0048】
ステップ42では、予め設定したエンジントルクマップ(図8(ロ)参照)から、エンジントルク指令値Te_comとエンジン回転数Neに対応するスロットル開度指令値Tvo_comを表引き演算する。
【0049】
ステップ43では、全気筒が燃料噴射状態で、かつ、スロットルバルブ9を全閉にした場合のエンジントルク推定値Te0を算出する。つまり、エンジントルク推定値Te0は、全気筒燃料噴射時に吸入空気量を制御して得られるエンジントルクの下限値である。具体的には、予め設定したエンジントルクマップ(図8(ハ)参照)から、エンジン回転数Neに対応するエンジントルク推定値Te0を表引き演算する。
【0050】
ステップ44では、全気筒が燃料噴射状態で、かつ、エンジントルク制限目標値Te3に応じてスロットル開度制御によりエンジントルク低減制御を行ったときのエンジントルク推定値Te1を次式により算出する。
Te1=G(s)・(Te3−Te0)+Te0 …(5)
(5)式において、sはラプラス演算子、G(s)はスロットルバルブ開度操作による吸入空気量制御を行った場合のエンジントルク応答遅れ特性(緩応答特性)である。
【0051】
ステップ45では、全気筒が燃料カット状態で、かつ、現在のスロットルバルブ開度Tvoで達成できるエンジントルク推定値Te2を算出する。具体的には、予め設定したエンジントルクマップ(図8(ハ)参照)から、エンジン回転数Neとスロットルバルブ開度Tvoに対応するエンジントルク推定値Te2を表引き演算する。
【0052】
ステップ46では、燃料カット気筒数Nfcを次式により演算する(図7参照)。
Nfc=N・(Te1−Te_com)/(Te1−Te2) …(6)
(6)式において、Nは全気筒数である。なお、燃料カット気筒数Nfcは整数でなければならないから、この第1実施例では、四捨五入により燃料カット気筒数Nfcを算出する。
【0053】
ステップ47では、気筒毎の点火順序や触媒温度等を考慮して実際に燃料をカットする気筒を決定し、燃料カット制御を行う。
【0054】
ステップ48では、スロットル開度指令値Tvo_comにしたがってスロットル制御モータ10の電流制御を行う。
【0055】
[制限目標値演算処理]
図5はエンジンコントローラ20で10msec毎に実行されるエンジントルク制限目標値演算処理を示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0056】
ステップ50では、TCS制御中かどうかが判断され、Noの場合はステップ51へ進み、Yesの場合はステップ52へ進む。
【0057】
ステップ51では、エンジントルク制限目標値Te3がエンジントルク指令値Te_comとされる。これは、エンジントルク制限目標値Te3の初期値をエンジントルク指令値Te_comとするための処理である。
【0058】
ステップ52では、今回のエンジントルク制限目標値Te3がエンジントルク指令値Te_comを超えているかどうかが判断され、Te3≦Te_comの場合には、ステップ53〜ステップ55へ進む。また、Te3>Te_comの場合には、ステップ56〜ステップ58へ進む。
【0059】
ステップ53では、トルク偏差dTeOがエンジントルク指令値Te_comからエンジントルク制限目標値Te3を差し引くことで演算される。
【0060】
ステップ54では、制限値dTeが図6に示す制限値の演算処理(ABS/TCSコントローラ11で実行)により選択され、通信により送られる。
【0061】
ステップ55では、今回のエンジントルク制限目標値Te3が、前回のエンジントルク制限目標値Te3に、トルク偏差dTeOと制限値dTeとのセレクトローによる値を加算することで演算される。
【0062】
ステップ56では、トルク偏差dTeOがエンジントルク制限目標値Te3からエンジントルク指令値Te_comを差し引くことで演算される。
【0063】
ステップ57では、制限値dTeが図6に示す制限値の演算処理(ABS/TCSコントローラ11で実行)により選択され、通信により送られる。
【0064】
ステップ58では、今回のエンジントルク制限目標値Te3が、前回のエンジントルク制限目標値Te3から、トルク偏差dTeOと制限値dTeとのセレクトローによる値を差し引くことで演算される。
【0065】
ここで、制限値dTeは、トルク低減制御中における制御周期毎の低減量であり、図6に示すフローチャートと制限値マップから表引き演算される(制限値演算手段)。
具体的には、発進初期以外の走行中で、エンジントルク指令値Te_comが減少しているときに制限値dTeが小さな値とされる。つまり、発進時(<10km/h)には、TCS制御介入から0.5secまではdTe=1000N・m/secと制限されないが、TCS制御介入から0.5sec以上になるとdTe=100N・m/secに制限される。また、走行時(≧10km/h)には、dTe=500N・m/secに制限される。ちなみに、エンジントルク指令値Te_comの増加中は、発進時でも走行時でもdTe=1000N・m/secとされ、制限されない。
【0066】
よって、発進初期以外の走行中でありエンジントルク指令値Te_comがステップ状に減少した場合、図7に示すように、エンジントルク制限目標値Te3は、減少直前のエンジントルク指令値Te_comを初期値とし、制限値dTeに低下が規制された緩やかな勾配にて低下する特性を示す。
【0067】
なお、図7にはエンジントルク指令値Te_com及びエンジントルク制限目標値Te3以外にエンジントルク推定値Te0,Te1,Te2も示していて、エンジントルク推定値Te1とエンジントルク指令値Te_comとの差は、燃料カットによりエンジントルクを低減しなければならない量であり、エンジントルク推定値Te1とエンジントルク推定値Te2との差は、全気筒で混合気を燃焼することにより得られる燃焼トルクである。したがって、正負両値をとり得るエンジントルク指令値Te_comを達成するためには、トルク低減量(Te1−Te_com)と燃焼トルク(Te1− Te2)との比を全気筒数Nに乗じることによって、上記式(6)に示すように、燃料カット気筒数Nfcを演算することができる。
【0068】
[一時的低μ路を通過する走行時のエンジントルク制御作用]
例えば、高μ路→低μ路→高μ路と変化する路面を走行するとき、高μ路から低μ路に入り、駆動輪である前輪5,6がスリップすると、図3のステップ32において、スリップ率Sdが演算され、ステップ33において、駆動輪のスリップを抑制するための駆動軸トルク低減値Td_tcsが演算され、ステップ34において、通常走行用駆動軸トルクTd_accからスリップ抑制用駆動軸トルク低減値Td_tcsを差し引いて駆動軸トルク指令値Td_comが演算され、ステップ35において、駆動軸トルク指令値Td_comと、変速比指令値G_comと、ファイナルギア比Gfに基づいて、エンジントルク指令値Te_comが演算される。
【0069】
そして、図4のステップ41において、駆動輪スリップ発生に基づくトルク低減制御時、制御開始時のエンジントルクからエンジントルク指令値Te_comに至るトルク低減変化に制限を加えることでエンジントルク制限目標値Te3が演算され、ステップ44において、エンジントルク制限目標値Te3に応じてスロットル開度制御によりエンジントルク低減制御を行ったときのエンジントルク推定値Te1が演算される。
【0070】
そして、図4のステップ47及びステップ48において、エンジントルク制限目標値Te3に応じてスロットル開度が制御され、エンジントルク推定値Te1とエンジントルク指令値Te_comとの差分に基づくトルクダウン量が燃料カットで実現される。
【0071】
すなわち、高μ路→低μ路→高μ路と変化する路面を走行するとき、図9に示すように、高μ路から低μ路に入ると駆動輪スリップを抑制するべくエンジントルク指令値Te_comがステップ状に低減するが、低μ路にてエンジントルク指令値Te_comに制限を加えたエンジントルク制限目標値Te3を制御目標値とするスロットル開度制御により、スロットルバルブ9が低μ路の短い区間では僅かに閉じた状態となり、エンジントルク低減制御が主に燃料カットで受け持たれる。
【0072】
この状態から路面μが高μ路に変化し、エンジントルク指令値Te_comが上昇しても既にスロットルバルブ9が開いた状態にあるため、吸入空気の応答遅れがなく、全気筒の燃料供給が回復する僅かな時間dtを待って実エンジントルクがエンジントルク指令値Te_comまで立ち上がる。つまり、図9に示すように、エンジントルク指令値Te_comに対して僅かな遅れを持って追従する実エンジントルク特性を得ることができる。
【0073】
この結果、短い低μ路区間での駆動輪スリップ抑制を達成しながら、短い低μ路区間を通過した後、高μ路では応答良くエンジントルクを回復させることができる。
【0074】
[スロットル制御の制御目標値設定作用]
スロットル制御の制御目標値は、上記のように、エンジントルク制限目標値Te3により与えられるが、第1実施例の場合、図6に示す制限値マップに基づいて、トルク低減制御中における制御周期毎の低減量である制限値dTeが表引き演算され、図5のステップ58において、演算された制限値dTeを前回のエンジントルク制限目標値Te3から差し引くことで今回のエンジントルク制限目標値Te3が演算される。
【0075】
また、制限値dTeの演算は、図6の制限値マップから明らかなように、発進初期以外の走行中であって、エンジントルク指令値Te_comの減少中に制限値dTeを演算するようにしている。
【0076】
すなわち、発進初期以外の走行時に限って制限値dTeにより制限が加えられたエンジントルク制限目標値Te3を演算する理由は、発進初期はトルクダウン量を多く必要とするため、燃料カットの割合が多い場合は、排気系触媒へ影響(触媒高温化)を与えることが考えられるが、その後の走行時には、トルクダウン量及びトルクダウンを行う時間とも発進初期に比べて少なくなることによる。
【0077】
さらに、図6で明らかなように、発進初期のTCS制御介入からの経過時間が0.5secまでは制限がなく、発進初期を超える0.5sec以上になると制限値dTeによる制限を強くしているが、これは、発進時における排気系触媒への影響低減と、TCS制御が作動する時間が短時間である場合のエンジントルクの立ち上げ応答性の確保とをうまく両立させるためである。
【0078】
次に、効果を説明する。
【0079】
(1) 駆動輪スリップ発生に基づくトルク低減制御時、制御開始時のエンジントルクからエンジントルク指令値Te_comに至るトルク低減変化に制限を加えることでエンジントルク制限目標値Te3を演算し、エンジントルク制限目標値Te3に応じてスロットル開度制御によりエンジントルク低減制御を行ったときのエンジントルク推定値Te1を演算し、エンジントルク制限目標値Te3に応じてスロットル開度を制御し、エンジントルク推定値Te1とエンジントルク指令値Te_comとの差分に基づくトルクダウン量を燃料カットで実現するようにしたため、短かい区間でのみエンジントルク低減制御が行われる短距離低μ路通過時や凹凸路面走行時等で、この短かい区間での駆動輪スリップ抑制の確保と、短い区間を通過した後に移行する高μ路でのエンジントルクの回復応答遅れの防止との両立を図ることができる。
【0080】
(2) 制限値マップに基づいて、トルク低減制御中における制御周期毎の低減量である制限値dTeを表引き演算し、演算された制限値dTeを前回のエンジントルク制限目標値Te3から差し引くことで今回のエンジントルク制限目標値Te3を演算するようにしているため、エンジントルク制限目標値Te3の初期値をトルク低減制御の開始時のエンジントルク指令値Te_comとするだけで、それ以降のエンジントルク制限目標値Te3を、前回のエンジントルク制限目標値Te3と制限値dTeを用いた簡単な演算処理により得ることができる。
【0081】
(3) 制限値dTeの演算において、発進初期以外の走行中であって、エンジントルク指令値Te_comの減少中に制限値dTeを演算するようにしているため、発進初期にはスロットル制御での不足分を燃料カット制御で補う基本的制御となり、燃料カットの割合が少なくなることでの排気系触媒への影響を抑え、その後や走行時には、スロットル制御を抑えて燃料カットの割合を多くすることで、TCS制御が行われる短かい区間を通過した後に移行する高μ路でのエンジントルクの回復応答性を高めることができる。
【0082】
(第2実施例)
この第2実施例は、スロットル制御用のエンジントルク制限目標値Te3を、時定数τ等の遅れ要素と、過去の制限目標値により算出するようにした例である。
【0083】
すなわち、図10は第2実施例のエンジンコントローラ20で10msec毎に実行されるエンジントルク制限目標値演算処理を示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0084】
ステップ100では、TCS制御中かどうかが判断され、Noの場合はステップ101へ進み、Yesの場合はステップ102へ進む。
【0085】
ステップ101では、エンジントルク制限目標値Te3がエンジントルク指令値Te_comとされる。これは、エンジントルク制限目標値Te3の初期値をエンジントルク指令値Te_comとするための処理である。
【0086】
ステップ102では、今回のエンジントルク制限目標値Te3が、遅れ要素Aとエンジントルク指令値Te_comと前回のエンジントルク制限目標値Te3から次の式により演算される。
Te3=A・(Te_com−Te3)+Te3
ここで、遅れ要素Aは、A=T/(T+τ){T:サンプリング時間、τ:時定数}であらわされ、小さな値であるほどトルク低減制御中におけるエンジントルク制限目標値Te3の低減勾配が小さくなる値であり、図11に示すフローチャートと遅れ要素マップから表引き演算される。
具体的には、発進初期以外の走行中で、エンジントルク指令値Te_comが減少しているときに遅れ要素Aが小さな値とされる。つまり、発進時(<10km/h)には、TCS制御介入から0.5secまでは遅れ要素A=0.8と制限されないが、TCS制御介入から0.5sec以上になると遅れ要素A=0.1に制限される。また、走行時(≧10km/h)には、遅れ要素A=0.5に制限される。ちなみに、エンジントルク指令値Te_comの増加中は、発進時でも走行時でも遅れ要素A=0.8とされ、制限されない。
【0087】
よって、発進初期以外の走行中でありエンジントルク指令値Te_comがステップ状に減少した場合、エンジントルク制限目標値Te3は、減少直前のエンジントルク指令値Te_comを初期値とし、遅れ要素Aにより緩やかな勾配にて低下する特性を示す。なお、他の構成は第1実施例と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0088】
よって、この第2実施例では、今回のエンジントルク制限目標値Te3を、遅れ要素Aとエンジントルク指令値Te_comと前回のエンジントルク制限目標値Te3から演算するようにしたため、時定数τ等の遅れ要素Aと過去のエンジントルク制限目標値Te3に基づいて簡単にエンジントルク制限目標値Te3を演算することができる。
【0089】
(第3実施例)
この第3実施例は、第1及び第2実施例が、TCS制御に入ると少なくともスロットルバルブ9のバルブ開度を閉じる方向のスロットル制御を行う例であるのに対し、TCS制御が開始されてもスロットルバルブ9のバルブ開度を維持したままとし、かつ、TCS制御の途中において、ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えると、スロットルバルブ9のバルブ開度を開くスロットル制御を行う例である。
【0090】
まず、構成を説明すると、第3実施例のエンジントルク制御装置の全体システム図は第1実施例の第1図と同様である。
【0091】
図12は第3実施例のエンジンコントローラ20で行われるスロットル制御と燃料カット制御の制御ブロック図で、駆動輪スリップ発生に基づくトルク低減制御時、制御開始時のエンジントルクからエンジントルク指令値Te_comに至るトルク低減変化に制限値dTeにより制限を加えることでエンジントルク制限目標値Te3を演算するエンジントルク制限目標値演算ブロック20a(エンジントルク制限目標値演算手段)と、走行中で、かつ、高μ路から低μ路へ移行したと判断した場合には、トルク低減制御中における制御周期毎の低減量である制限値dTeを、dTe=0(変化率リミッタ値)とし、それ以外の条件であるの場合は第1実施例と同様に、トルク低減制御中における制御周期毎の低減量である制限値dTeを演算する制限値演算ブロック20b’と、ドライバー要求トルクがスロットル分トルク以下であるときは、エンジントルク制限目標値Te3に応じてスロットルバルブ9を開閉し、ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えると、スロットルバルブ9をドライバー要求トルクが得られる開度まで開き、エンジン1の吸入空気量を制御するスロットル開度制御ブロック20c’と、エンジントルク制限目標値Te3に応じてスロットル開度制御によりエンジントルク低減制御を行ったときのエンジントルク推定値Te1を演算する第1エンジントルク推定ブロック20dと、全気筒への燃料供給を停止して得られるエンジントルク推定値Te2を推定する第2エンジントルク推定ブロック20eと、ドライバー要求トルクがスロットル分トルク以下であるときは、エンジントルク指令値Te_com、エンジントルク推定値Te1及びエンジントルク推定値Te2に基づいて、燃料供給を停止すべき気筒数Nfcを演算し、ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えると、スロットルバルブ9を開いた分だけ増した燃料カット気筒数Nfcを演算するF/C気筒数算出ブロック20f’を備えている。
【0092】
次に、作用を説明する。
【0093】
ABS/TCSコントローラ11で10msec毎に実行されるエンジントルク制御処理については、図3に示す第1実施例と同様であるので省略する。
【0094】
図13は第3実施例のエンジンコントローラ20で10msec毎に実行されるエンジントルク制御処理を示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0095】
ステップ130では、ABS/TCSコントローラ11からエンジントルク指令値Te_comを入力すると共に、エンジン回転数センサ23からの信号に基づきエンジン回転数Neを計測し、スロットル開度センサ25からの信号に基づきスロットル開度Tvoを計測し、車輪速センサ14,15からの信号に基づき車速Vspを計測し、ABS/TCSコントローラ11から路面摩擦係数推定値を入力する。なお、ABS/TCSコントローラ11では、TCS制御が行われるので、このTCS制御が作動した場合の駆動輪のスリップ率Sdの変化を計測することで路面摩擦係数が変化したことが推定することができるため(スリップ率Sdの時間当たりの変化量が大きいとき、路面μ変化)、この路面摩擦係数推定値を入力する。
【0096】
ステップ131では、走行中(例えば、車速Vspが10km/h以上)、かつ、路面摩擦係数推定値の時間当たりの変化量が設定値以上の高μ路から低μ路に変化したかどうかが判断され、Yesの場合はステップ132以降の流れに進み、Noの場合はステップ139以降の流れに進む。
【0097】
ステップ132では、スロットル制御用のエンジントルク制限目標値Te3(=Te3−dTe)を演算するための制限値dTeが、dTe=0(変化率リミッタ値)とされる。
【0098】
ステップ133では、TCS制御開始直前のスロットル分トルクをスロットル制御用のエンジントルク制限目標値Te3の初期値として、前回のエンジントルク制限目標値Te3をそのまま今回のエンジントルク制限目標値Te3とする演算が行われる。つまり、エンジントルク制限目標値Te3の値は、初期値のまま維持される。
【0099】
ステップ134では、図4のステップ42〜ステップ46の処理に準じて燃料カット気筒数Nfcが演算される。
【0100】
ステップ135では、演算された燃料カット気筒数Nfcによる燃料カット制御のみによりエンジントルク指令値Te_comまでトルクダウンさせる指令が出力される。
【0101】
ステップ136では、TCS制御開始直前のスロットル分トルクが、アクセル操作量Accにより推定されたドライバー要求トルク未満かどうかが判断され、YESの場合はステップ137へ進み、NOの場合は今回の制御周期による制御を終了する。
【0102】
ステップ137では、ドライバー要求トルクとスロットル分トルクの初期値との差が算出される。
【0103】
ステップ138では、スロットル分のトルクをドライバー要求トルクまで上昇させるスロットル制御が行われると共に、ステップ137でのトルク差の分だけさらにエンジントルクを低減させる燃料カット制御が行われる。
【0104】
一方、ステップ131の条件を満足しないときは、ステップ139〜ステップ146の処理によりスロットル制御と燃料カット制御が行われる。なお、ステップ139〜ステップ146は、第1実施例の図4に示すステップ41〜ステップ48と同様の処理であるので、説明を省略する。
【0105】
[一時的低μ路を通過する走行時のエンジントルク制御作用]
例えば、高μ路→低μ路→高μ路と変化する路面を走行するとき、高μ路から低μ路に入り、駆動輪である前輪5,6がスリップすると、図3のステップ32において、スリップ率Sdが演算され、ステップ33において、駆動輪のスリップを抑制するための駆動軸トルク低減値Td_tcsが演算され、ステップ34において、通常走行用駆動軸トルクTd_accからスリップ抑制用駆動軸トルク低減値Td_tcsを差し引いて駆動軸トルク指令値Td_comが演算され、ステップ35において、駆動軸トルク指令値Td_comと、変速比指令値G_comと、ファイナルギア比Gfに基づいて、エンジントルク指令値Te_comが演算される。
【0106】
そして、駆動輪スリップ発生に基づくトルク低減制御時、図13のステップ132において、スロットル開度の閉じる方向の変化を最大限に抑えたリミッタ制限により制限値dTe=0とされ、次のステップ133において、制御開始直前のエンジントルク(スロットル分トルク)を初期値として、その初期値を維持するようにエンジントルク制限目標値Te3が演算され、これを制御目標値としてスロットルバルブ9のバルブ開度をそのまま維持するスロットル制御が行われる。そして、ステップ135において、駆動輪スリップを抑制するトルクダウン量の全てが燃料カット制御により実現される。
【0107】
そして、ステップ136において、ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えているかどうかが判断され、ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えると、ステップ136及びステップ137へ進み、リミッタ制限を解除してドライバー要求トルクまでスロットル開度が開かれると共に、ドライバー要求トルクとスロットル分トルクとのトルク差を含めたトルクダウン量が燃料カットで実現される。
【0108】
すなわち、例えば、高μ路→低μ路→高μ路と変化する路面を走行するとき、図14に示すように、低μ路にてエンジントルク指令値Te_comにリミッタ制限を加えたエンジントルク制限目標値Te3を制御目標値とするスロットル開度制御により、スロットルバルブ9がその時のバルブ開度維持したままの状態で推移し、エンジントルク低減制御が燃料カット制御のみで受け持たれる。
【0109】
この状態から路面μが高μ路に変化するのをいち早くドライバーが察知し、アクセルペダルを踏み込む操作を行うと、開いた状態のスロットルバルブ9がドライバー要求トルクとなるまでさらに開かれるため、高μ路に入る前にエンジントルクを立ち上げる準備ができる。なお、アクセル操作に伴いドライバー要求トルクまでスロットルバルブ9を開くことでエンジントルクが過剰となるが、この分を含めたトルクダウン量を得る制御が燃料カットで実現される。
【0110】
この結果、短い低μ路区間での駆動輪スリップ抑制を達成しながら、短い低μ路区間を通過した後、ドライバーの加速要求に応えて高μ路では応答良くエンジントルクを要求トルクレベルまで立ち上げることができる。
【0111】
次に、効果を説明する。
【0112】
(1) 走行中で、かつ、高μ路から低μ路へ移行したという条件が成立した場合には、トルク低減制御中における制御周期毎の低減量である制限値dTeを変化率リミッタ値とし、ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えるまでは、リミッタ制限によるエンジントルク制限目標値Te3に応じてスロットル開度を制御すると共に、駆動輪スリップ量に応じて算出されたトルクダウン量を燃料カットで実現し、ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えると、リミッタ制限を解除してドライバー要求トルクまでスロットル開度を開くと共に、ドライバー要求トルクとスロットル分トルクとのトルク差を含めたトルクダウン量を燃料カットで実現するようにしたため、短かい区間でのみエンジントルク低減制御が行われる短距離低μ路通過時や凹凸路面走行時等で、この短かい区間での駆動輪スリップ抑制の確保と、短かい区間を通過した後に移行する高μ路に備えてアクセル踏み込み操作をした場合のエンジントルクの立ち上げ応答性確保との両立を達成することができる。
【0113】
(2) エンジントルク制限目標値Te3の演算において、駆動輪スリップ発生によるトルク低減制御開始後、走行中であり、かつ、路面摩擦係数推定値の時間当たりの変化量が設定値以上の高摩擦係数路から低摩擦係数路へ移行したとの判断時に変化率リミッタ値がゼロにされ、制御開始直前のエンジントルク指令値Te_comをそのままエンジントルク制限目標値Te3としたため、低μ路→高μ路と変化する路面を走行する時に、加速を意図してアクセル踏み込み操作をした場合、高いエンジントルクの立ち上げ応答によりドライバーの加速要求に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のエンジントルク制御装置を示す全体システム図である。
【図2】第1実施例のエンジンコントローラで行われるスロットル制御と燃料カット制御の制御ブロック図である。
【図3】第1実施例のABS/TCSコントローラで実行されるエンジントルク制御処理を示すフローチャートである。
【図4】第1実施例のエンジンコントローラで実行されるエンジントルク制御処理を示すフローチャートである。
【図5】第1実施例のスロットル制御用制限目標値演算処理を示すフローチャートである。
【図6】第1実施例のスロットル制御用制限目標値演算で用いられるフローチャートと制限値マップを示す図である。
【図7】第1実施例装置で低μ路に入ったときのエンジントルク指令値Te_com、エンジントルク推定値Te0,Te1,Te2及びエンジントルク制限目標値Te3の一例を示す特性図である。
【図8】第1実施例での演算処理に用いられる駆動軸トルクマップ、スロットル開度指令値マップ、エンジントルク推定値マップのそれぞれを示す図である。
【図9】第1実施例装置を搭載した車両で高μ路→低μ路→高μ路を走行する時のエンジントルク指令値、エンジントルク制限目標値及び実エンジントルクを示すタイムチャートである。
【図10】第2実施例のスロットル制御用制限目標値演算処理を示すフローチャートである。
【図11】第2実施例のスロットル制御用制限目標値演算で用いられるフローチャートと遅れ要素マップを示す図である。
【図12】第3実施例のエンジンコントローラで行われるスロットル制御と燃料カット制御の制御ブロック図である。
【図13】第3実施例のエンジンコントローラで実行されるエンジントルク制御処理を示すフローチャートである。
【図14】第3実施例装置を搭載した車両で高μ路→低μ路→高μ路を走行する時のドライバー要求トルク、制限値、エンジントルク指令値、スロットル開度、駆動輪速及び従動輪速を示すタイムチャートである。
【図15】従来のエンジンコントローラで行われるスロットル制御と燃料カット制御の制御ブロック図である。
【図16】従来装置を搭載した車両で高μ路→低μ路→高μ路を走行する時のエンジントルク指令値、エンジントルク推定値及び実エンジントルクを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
3,4 ドライブシャフト
5,6 前輪(駆動輪)
7,8 後輪(従動輪)
9 スロットルバルブ
10 スロットル制御モータ
11 ABS/TCSコントローラ
12,13,14,15 車輪速センサ
16 ABS警報ランプ
17 スリップインジケータ
18 TCS/OFFインジケータ
19 TCS/OFFスイッチ
20 エンジンコントローラ
20a エンジントルク制限目標値演算ブロック(エンジントルク制限目標値演算手段)
20b 制限値演算ブロック(制限値演算手段)
20c スロットル開度制御ブロック
20d 第1エンジントルク推定ブロック(エンジントルク推定値演算手段)
20e 第2エンジントルク推定ブロック
20f F/C気筒数算出ブロック
21 ATコントローラ
22 多重通信線
23 エンジン回転数センサ
24 アクセル操作量センサ
25 スロットル開度センサ

Claims (4)

  1. スロットル開度を制御するスロットル開度制御アクチュエータと、
    燃料供給量を制御する燃料供給量制御アクチュエータと、
    駆動輪スリップ量に応じて算出されたトルクダウン量を駆動輪スリップ発生時のエンジントルクから差し引いてエンジントルク指令値を演算するエンジントルク指令値演算手段と、
    前記エンジントルク指令値に基づいて、スロットル開度制御での不足分を燃料供給量制御で補うことによりエンジントルクを低減する指令を前記スロットル開度制御アクチュエータと燃料供給量制御アクチュエータに出力するエンジントルク制御手段と、
    を備えたエンジントルク制御装置において、
    前記駆動輪スリップ発生に基づくトルク低減制御時、制御開始時のエンジントルクからエンジントルク指令値に至るトルク低減変化に制限を加えることでエンジントルク制限目標値を演算するエンジントルク制限目標値演算手段と、
    該エンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度制御によりエンジントルク低減制御を行ったときのエンジントルク推定値を演算するエンジントルク推定値演算手段と、
    前記トルク低減制御中における制御周期毎の低減量である制限値を演算する制限値演算手段を設け、
    前記エンジントルク制限目標値演算手段は、制限値演算手段により演算される制限値を前回のエンジントルク制限目標値から差し引くことでエンジントルク制限目標値を演算する手段であり、
    前記エンジントルク制御手段は、前記エンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度を制御し、前記エンジントルク推定値と前記エンジントルク指令値との差分に基づくトルクダウン量を燃料カットで実現する手段であることを特徴とするエンジントルク制御装置。
  2. 請求項1に記載のエンジントルク制御装置において、
    前記制限値演算手段は、発進初期以外の走行中であって、エンジントルク指令値の減少中に制限値を演算する手段であることを特徴とするエンジントルク制御装置。
  3. スロットル開度を制御するスロットル開度制御アクチュエータと、
    燃料供給量を制御する燃料供給量制御アクチュエータと、
    駆動輪スリップ量に応じて算出されたトルクダウン量を駆動輪スリップ発生時のエンジントルクから差し引いてエンジントルク指令値を演算するエンジントルク指令値演算手段と、
    前記エンジントルク指令値に基づいて、スロットル開度制御での不足分を燃料供給量制御で補うことによりエンジントルクを低減する指令を前記スロットル開度制御アクチュエータと燃料供給量制御アクチュエータに出力するエンジントルク制御手段と、
    を備えたエンジントルク制御装置において、
    前記駆動輪スリップ発生に基づくトルク低減制御時、制御開始時のエンジントルクからエンジントルク指令値に至るトルク低減変化に制限を加えることでエンジントルク制限目標値を演算するエンジントルク制限目標値演算手段と、
    該エンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度制御によりエンジントルク低減制御を行ったときのエンジントルク推定値を演算するエンジントルク推定値演算手段とを設け、
    前記エンジントルク制限目標値演算手段は、時定数等の遅れ要素と過去のエンジントルク制限目標値に基づいてエンジントルク制限目標値を演算する手段であり、
    前記エンジントルク制御手段は、前記エンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度を制御し、前記エンジントルク推定値と前記エンジントルク指令値との差分に基づくトルクダウン量を燃料カットで実現する手段であることを特徴とするエンジントルク制御装置。
  4. スロットル開度を制御するスロットル開度制御アクチュエータと、
    燃料供給量を制御する燃料供給量制御アクチュエータと、
    駆動輪スリップ量に応じて算出されたトルクダウン量を駆動輪スリップ発生時のエンジントルクから差し引いてエンジントルク指令値を演算するエンジントルク指令値演算手段と、
    前記エンジントルク指令値に基づいて、スロットル開度制御での不足分を燃料供給量制御で補うことによりエンジントルクを低減する指令を前記スロットル開度制御アクチュエータと燃料供給量制御アクチュエータに出力するエンジントルク制御手段と、
    を備えたエンジントルク制御装置において、
    前記駆動輪スリップ発生に基づくトルク低減制御時、スロットル開度の閉じる方向の変化を最大限に抑えたリミッタ制限によりエンジントルク制限目標値を演算するエンジントルク制限目標値演算手段と、
    アクセル操作量検出値に基づいてドライバー要求トルクを推定するドライバー要求トルク推定手段と、
    前記リミッタ制限によるエンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度制御によりエンジントルク低減制御を行ったときのスロットル分トルクを推定するスロットル分トルク推定手段と、
    ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えているかどうかを判断する要求トルク判断手段とを設け、
    前記エンジントルク制御手段は、ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えるまでは、前記リミッタ制限によるエンジントルク制限目標値に応じてスロットル開度を制御すると共に、駆動輪スリップ量に応じて算出されたトルクダウン量を燃料カットで実現し、ドライバー要求トルクがスロットル分トルクを超えると、リミッタ制限を解除してドライバー要求トルクまでスロットル開度を開くと共に、ドライバー要求トルクとスロットル分トルクとのトルク差を含めたトルクダウン量を燃料カットで実現する手段であることを特徴とするエンジントルク制御装置。
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