JP3835049B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、記録材に画像(文字等を含む)を形成し、定着させて排出する画像形成装置に関する。主として電子写真技術を用いて記録材上にトナー像を形成し定着させて排出するプリンター、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に関し、特に、その記録材の、吸引手段を用いた搬送技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真技術を用いて用紙等の記録材上にトナー像を形成する画像形成装置は、回転駆動される感光体と、この感光体に露光して表面に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像してトナー像となす現像手段と、そのトナー像を記録材に転写させる転写部と、この転写部によりトナー像が転写された記録材を通過させつつ加熱して記録材上にトナー像を定着させる定着部とを有している。
【0003】
このような画像形成装置においては、転写部から定着部にいたる記録材の搬送が円滑になされないと、記録材上の未定着トナー像に乱れが生じるおそれがある。
【0004】
そこで、従来、例えば図2に示すように、転写部1から定着部2にいたる記録材Sの搬送経路(4)に吸引手段としてのファン3を設け、このファン3で、転写部1から定着部2に向かう記録材Sをガイド面4に沿わせるべく吸引するようにした画像形成装置が知られている(特公平1−34377号公報)。なお、この画像形成装置のファン3はストックされている記録材S’に送風して、記録材S’の除湿を行なうようになっている。
【0005】
一方、近年、省資源化を図るべく、記録材の両面に画像を形成することを可能とした画像形成装置が種々提供されるようになってきている。
【0006】
そして、この種の画像形成装置の中には、定着部を通過した記録材を、その表裏を反転させて再び転写部に返送し、裏面にも画像を形成できるようにした方式のものが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
定着部を通過した記録材を再び転写部に返送して裏面にも画像を形成できるようにした方式の画像形成装置において、前述した吸引手段を設けた場合、その排気が記録材の返送路に吹き付けられることがある。
【0008】
返送路中を返送される記録材は、定着部を通過し加熱されているために、その温度が高温となっている。
【0009】
一方、前記吸引手段は、転写部から定着部にいたる記録材を吸引するようになっているので、定着部近くの比較的高温の空気を吸引することとなる。
【0010】
このため、その排気が返送路に吹き付けられると、返送される高温の記録材のその温度が下がり難くなる。
【0011】
そして、この記録材が高温のまま再び転写部に返送されると、転写部の温度が急激に上昇し、表面にトナー像を転写した場合に比べて裏面にトナー像を転写する場合の転写特性が変化し、結果として記録材裏面への転写不良が発生することがあった。
【0012】
本発明の目的は、以上のような問題を解決し、転写部から定着部にいたる記録材の移動が円滑になされるともに、記録材裏面への画像の転写不良が生じ難い画像形成装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の画像形成装置は、記録材上に未定着画像を転写する転写部と、この転写部により未定着画像が転写された記録材を加熱しつつ搬送して未定着画像を記録材に定着させる定着部と、前記転写部から定着部に向かう記録材を案内するガイド面と、このガイド面に前記記録材を沿わせるべく記録材を吸引する吸引手段と、再給紙トレイを介することなく前記ガイド面の下方を通る返送路であって,前記定着部を通過した記録材を再び前記転写部に返送可能な返送路とを備え、
前記吸引手段にはその排気ダクトが設けられているとともに、これら吸引手段およびその排気ダクトが、前記ガイド面と前記返送路との間に設けられており、かつ、前記排気ダクトの排気口が前記返送路以外の部位へ向かって開口しているとともに,前記返送路は、前記吸引手段により吸引されるべき新気の吸入路を形成し,当該返送路内における新気の吸入方向と当該返送路を通過する記録材の移動方向とが同方向となっていることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記排気ダクトの排気口は、機外に向けて開口していることを特徴とする。
【0016】
【作用効果】
請求項1記載の画像形成装置によれば、転写部で未定着画像が転写された記録材が、ガイド面で案内されて定着部に向かい、定着部で加熱されつつ搬送されて未定着画像が定着される。転写部から定着部に向かう記録材は、吸引手段で吸引されてガイド面に沿うこととなるので、その姿勢が安定して円滑に移動することとなる。また、この画像形成装置は、前記定着部を通過した記録材を再び前記転写部に返送可能な返送路を備えているので、記録材の両面に画像を形成することが可能である。
【0017】
さらに、この請求項1記載の画像形成装置によれば、前記吸引手段にはその排気ダクトが設けられているとともに、これら吸引手段およびその排気ダクトが、前記ガイド面と前記返送路との間に設けられているので、前記ガイド面と前記返送路との間の空間を有効利用することが可能となる。
【0018】
そして、前記排気ダクトの排気口が前記返送路以外の部位へ向かって開口しているので、その比較的高温の排気が返送路に吹き付けられるということがなくなる。
【0019】
したがって、返送される記録材の温度が下がり易くなり、この記録材が再び転写部に返送された際の転写部の温度上昇も低減されるため、その転写特性の変化も低減され、結果として記録材裏面への画像の転写不良が発生し難くなる。
【0020】
以上のように、この請求項1記載の画像形成装置によれば、転写部から定着部にいたる記録材の移動が円滑になされるともに、記録材裏面への画像の転写不良が生じ難くなる。
【0021】
しかも、前記ガイド面と前記返送路との間の空間を有効利用することが可能となる。
【0022】
請求項2記載の画像形成装置によれば、請求項1記載の画像形成装置において、前記排気ダクトの排気口が、機外すなわち当該画像形成装置の機外に向けて開口しているので、装置内の温度上昇自体を低減させることが可能となる。
【0023】
請求項3記載の画像形成装置によれば、請求項1または2記載の画像形成装置において、前記返送路は、前記吸引手段により吸引されるべき新気の吸入路を形成しているので、この返送路を通過する記録材が新気によって冷却されることとなる。
【0024】
したがって、この記録材が再び転写部に返送された際の転写部の温度上昇が確実に低減されるため、結果として、裏面への画像の転写不良が一層生じ難くなる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
図1は本発明に係る画像形成装置の一実施の形態の要部を示す概略図で、(a)は正面図、(b)は部分省略平面図、(c)は図(a)における部分省略c−c視図、(d)は左側面図である。
【0027】
図1(a)(b)において、10は転写部であり、像担持体11と転写ローラ12とを有している。像担持体11の表面には、図示しない画像形成手段によってトナー像が形成され、このトナー像が、像担持体11と転写ローラ12との間を通過する記録材S上に転写される。
【0028】
20は定着部であり、ローラ対21,22を有している。これらローラ21,22のうち少なくとも一方(または両方)のローラはその内部に熱源を有しており、前記転写部10で未定着トナー像が転写された記録材Sを加熱しつつ搬送してトナー像を記録材Sに定着させる。
【0029】
30は吸引ユニットであり、ケース31と、このケース内に収納された吸引手段としてのファン32とを有している。吸引ユニット30は、前記転写部10と定着部20との間に配置されており、そのケース31の上面33が、転写部10から定着部20に向かう記録材Sを案内するガイド面を形成している。
【0030】
ガイド面33には、ファン32によって記録材Sを吸引するための、スリット状の第1の吸引口34,34と、この第1の吸引口34よりは短くかつ定着部20寄りに設けられた第2の吸引口35,・・・と、これら吸引口34,35とは隔壁36で隔絶された新気導入口37,37とが形成されている。
【0031】
40は記録材Sの搬送路であり、図示しない給紙装置から転写部10へ向けて記録材Sを供給する供給路41と、定着部20にてトナー像が定着された記録材Sを図示しない排紙部(例えば排紙トレイ)に排紙するための排紙路42と、両面画像形成時のための返送路43とを有している。
【0032】
供給路41には、転写部10への記録材Sの搬送タイミングを規定するゲートローラ対51が配置されている。
【0033】
排紙路42には、正逆転可能なローラ対52と、このローラ対52よりも下流側(図(a)において上方)に設けられた同じく正逆転可能な排紙ローラ対(図示せず)とが設けられており、これらローラ対52および排紙ローラ対が正転(図示矢印方向に回転)し続けることによって定着部20からの記録材Sが所定の場所(例えば図示しない排紙トレイ)へと排出されるようになっている。
【0034】
一方、定着部20からの記録材Sが排紙路42に進入し、その記録材Sの後端Saがローラ対52を通過した後、このローラ対52および排紙ローラ対が逆転することによって、記録材Sがその前後が逆にされた状態で(すなわち前記後端Saが先端となった状態で)、返送路43へと給送されるようになっている。すなわち、排紙路42は、記録材Sを、その前後を逆転させて返送路43へ給送するスイッチバック経路を構成している。
【0035】
返送路43は、前記吸引ユニット30の下方を通って、その終端部44が前記供給路41と合流している。返送路43の適所には、記録材Sの搬送ローラ対(図示せず)が設けられている。
【0036】
したがって、前記スイッチバック経路42から返送路43へと給送された記録材Sは、表裏が逆になった状態で前記供給路41およびゲートローラ対51を経て再び転写部10へと供給され、その裏面にも画像が形成されることとなる。
【0037】
返送路43が吸引ユニット30の下方を通過していることによって、吸引ユニット30のファン32は前記ガイド面33と返送路43との間に設けられた状態となっている。
【0038】
図(a)(d)に示すように、返送路43の湾曲部45における、記録材Sに対する外側のガイド板46には、新気(例えば機外からの新気)A1を受け入れるためのスリット状の吸入口47が多数形成されているとともに、内側のガイド板48における前記吸引ユニット30の新気導入口37の下方と対応する部位には、前記吸入口47と同様のスリット状の開口49が多数形成されている。
【0039】
したがって、返送路43の一部(前記吸入口47が設けられた湾曲部45から開口49にいたる部位)は、吸引ユニット30のファン32により吸引されるべき新気A1の吸入路を形成している。なお前記吸入口47には、新気A1の導入路を連結することが可能である。
【0040】
一方、図(a)(c)に示すように、吸引ユニット30には、排気ダクト60が設けられている。この排気ダクト60は、前記ガイド面33と返送路43との間にあって、吸引ユニット30のケース31側面下部でケース31に接続されており、その排気口61は返送路43以外の部位へ向かって開口している。この実施の形態では、排気口61は、排気ダクト60の延設部62を介し、装置の底部において機外に向けて開口している。
【0041】
したがって、この画像形成装置が作動して、吸引手段としてのファン32が回転すると、新気A1が、機外から前記吸入口47、返送路43、開口49、および吸引ユニット30の新気導入口37を通じて機内に導入されるとともに、ファン32による排気A2が、ケース31、排気ダクト60、およびその排気口61を通じて機外に排出されることとなる。
【0042】
以上のような画像形成装置によれば、次のような作用効果が得られる。
【0043】
(a)転写部10で未定着トナー像が転写された記録材Sが、ガイド面33で案内されて定着部20に向かい、定着部20で加熱されつつ搬送されてトナー像が定着される。転写部10から定着部20に向かう記録材Sは、吸引手段32で吸引されてガイド面33に沿うこととなるので、その姿勢が安定して円滑に移動することとなる。また、この画像形成装置は、定着部20を通過した記録材Sを再び転写部10に返送可能な返送路43を備えているので、記録材Sの両面に画像を形成することが可能である。
【0044】
さらに、吸引手段32にはその排気ダクト60が設けられているとともに、これら吸引手段32およびその排気ダクト60が、前記ガイド面33と返送路43との間に設けられているので、ガイド面33と返送路43との間の空間を有効利用することが可能となる。
【0045】
そして、排気ダクト60の排気口61が返送路43以外の部位へ向かって開口しているので、その比較的高温の排気A2が返送路43に吹き付けられるということがなくなる。
【0046】
したがって、返送される記録材Sの温度が下がり易くなり、この記録材が再び転写部10に返送された際の転写部10の温度上昇も低減されるため、その転写特性の変化も低減され、結果として記録材裏面へのトナー像の転写不良が発生し難くなる。
【0047】
以上のように、この実施の形態の画像形成装置によれば、転写部10から定着部20にいたる記録材Sの移動が円滑になされるともに、記録材裏面への画像の転写不良が生じ難くなる。
【0048】
しかも、前記ガイド面33と返送路43との間の空間を有効利用することが可能となる。
【0049】
(b)前記排気ダクト60の排気口61が、機外すなわち当該画像形成装置の機外に向けて開口しているので、装置内の温度上昇自体を低減させることが可能となる。
【0050】
(c)返送路43は、吸引手段32により吸引されるべき新気A1の吸入路を形成しているので、この返送路43を通過する記録材Sが新気によって冷却されることとなる。
【0051】
したがって、この記録材が再び転写部10に返送された際の転写部10の温度上昇が確実に低減されるため、結果として、裏面への画像の転写不良が一層生じ難くなる。
【0052】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【0053】
【発明の効果】
請求項1〜3記載のいずれの画像形成装置によっても、転写部から定着部にいたる記録材の移動が円滑になされるともに、記録材裏面への画像の転写不良が生じ難くなる。しかも、ガイド面と返送路との間の空間を有効利用することが可能となる。
【0054】
さらに、
請求項2記載の画像形成装置によれば、装置内の温度上昇自体を低減させることが可能となる。
【0055】
請求項3記載の画像形成装置によれば、記録材裏面への画像の転写不良が一層生じ難くなる。
【0056】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施の形態の要部を示す概略図で、(a)は正面図、(b)は部分省略平面図、(c)は図(a)における部分省略c−c視図、(d)は左側面図。
【図2】従来技術の説明図。
【符号の説明】
S 記録材
10 転写部
20 定着部
30 吸引ユニット
32 ファン(吸引手段)
33 ガイド面
43 返送路
A1 新気
A2 排気
60 排気ダクト
61 排気口
Claims (2)
- 記録材上に未定着画像を転写する転写部と、この転写部により未定着画像が転写された記録材を加熱しつつ搬送して未定着画像を記録材に定着させる定着部と、前記転写部から定着部に向かう記録材を案内するガイド面と、このガイド面に前記記録材を沿わせるべく記録材を吸引する吸引手段と、再給紙トレイを介することなく前記ガイド面の下方を通る返送路であって,前記定着部を通過した記録材を再び前記転写部に返送可能な返送路とを備え、
前記吸引手段にはその排気ダクトが設けられているとともに、これら吸引手段およびその排気ダクトが、前記ガイド面と前記返送路との間に設けられており、かつ、前記排気ダクトの排気口が前記返送路以外の部位へ向かって開口しているとともに,前記返送路は、前記吸引手段により吸引されるべき新気の吸入路を形成し,当該返送路内における新気の吸入方向と当該返送路を通過する記録材の移動方向とが同方向となっていることを特徴とする画像形成装置。 - 前記排気ダクトの排気口は、機外に向けて開口していることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
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