JP3834930B2 - 珪窒化マグネシウム焼結体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温焼結性に優れた、高熱伝導性焼結体基板を製造するために有用な珪窒化マグネシウム焼結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】
従来より高熱伝導性焼結体基板として、窒化アルミニウム焼結体が使用されているが、難焼結性材料であり、最高温度1600℃以上の焼結温度が必要である。しかし、多層基板製造プロセスの面から低温での焼結性に優れた高熱伝導性セラミックスの開発が求められている。
【0003】
【問題点を解決するための手段】
本発明の目的は、前記問題点を解決し、低温焼結性に優れ、かつ熱伝導性の高い新規珪窒化マグネシウム焼結体及びその製造方法を提供することである。
【0004】
本発明は、MgSiN2で表わされる珪窒化マグネシウムの結晶相、及び1種以上の弗化物を含む10wt%以下の結晶相及び/又はガラス相からなる低温焼結性に優れた、高熱伝導性珪窒化マグネシウム焼結体及びその製造方法に関する。
本発明の珪窒化マグネシウム焼結体における珪窒化マグネシウム以外の結晶相及び/又は粒界のガラス相の含有割合が増加すると熱伝導率が急速に低下するので、好ましくない。従って、珪窒化マグネシウム以外の結晶相及び/又は粒界のガラス相の含有割合は、10wt%以下が望ましい。
【0005】
本発明の珪窒化マグネシウム焼結体に含有される結晶相として、CaF2、SrF2、BaF2、MgF2等が挙げられる。また、弗素元素は飛散し易いことから、Si3N4、Mg3N2、SiO2、MgO、CaO、SrO、BaO、Si2N2O、Mg5F2(SiO4)2、CaSiO2F2、Ca2Mg5(Si4O11)2F2等の窒化物、酸化物、酸窒化物及び/又は酸弗化物が残存することもある。
【0006】
珪窒化マグネシウム焼結体に含有されるガラス相は、CaF2、SrF2、BaF2、MgF2等から選ばれた1種以上の弗化物中の金属元素M1及び不可避に混入する不純物金属元素M2を含有する、M1−M2−Mg−Si−F−O化合物から構成される。ただし、弗素元素は飛散し易いことから、分析法の検出限界以下の濃度であることもあるが、ガラス相中には確実に存在する。
【0007】
また、本発明の珪窒化マグネシウム焼結体の気孔率は3vol%以下であることが望ましい。気孔率が3vol%よりも大きくなると、熱伝導率が極端に低下する。
【0008】
本発明の珪窒化マグネシウム焼結体は、MgSiN2で表わされる珪窒化マグネシウムを主たる相とし、かつ5wt%以下の酸素を含有する珪窒化マグネシウム粉末と1種以上の弗化物を含む原料混合粉末を、最高温度1300〜1800℃の範囲に加熱、焼結することにより得られる。
珪窒化マグネシウム粉末の代わりに、結晶質窒化珪素粉末及び窒化マグネシウム粉末をMg/Si原子比が0.8〜1.2である混合粉末を用いても、同様の珪窒化マグネシウム焼結体を得ることができる。或いは、Mg/Si原子比が0.8〜1.2であれば、珪窒化マグネシウム粉末、結晶質窒化珪素粉末及び窒化マグネシウム粉末から選ばれた、何れの組み合わせからなる混合粉末を用いても、同様の珪窒化マグネシウム焼結体を得ることができる。
【0009】
珪窒化マグネシウム粉末としては、MgSiN2で表わされる珪窒化マグネシウムを主たる相とする粉末であればいかなる粉末を使用しても良いが、以下の方法で製造された粉末が好適である。
すなわち、非晶質窒化珪素粉末及び窒化マグネシウム粉末を、SiとMgの原子比が0.95〜1.05対1.05〜0.95の範囲の組成になるように混合し、混合物を窒素含有雰囲気下で1300〜1600℃の温度範囲に加熱して結晶化させることにより、珪窒化マグネシウム粉末を製造する方法である。
【0010】
この方法で得られる珪窒化マグネシウム粉末は、珪窒化マグネシウム相を95wt%以上を含有し、かつ比表面積が5〜20m2/gの範囲にあり、金属不純物を殆ど含有しないため、気孔及び異常粒成長のない焼結体を得ることができる。
珪窒化マグネシウム粉末は不可避に酸素を含有するが、酸素は焼結体中に残存し熱伝導性を損なうことから、5wt%以下、好ましくは1wt%以下であることが望ましい。
【0011】
珪窒化マグネシウムの焼結を促進し、かつ焼結体中の珪窒化マグネシウム結晶を粒成長させ熱伝導性を向上させるために、1種以上の弗化物を0.1〜5mol%、好ましくは0.5〜3mol%添加する。弗化物としてCaF2、SrF2、BaF2の中から選ばれたものが好ましく用いられる。弗化物の添加量が少ないと低温焼結及び粒成長の効果が現れない。添加量が多いと焼結後の粒界ガラス相として残存し逆に熱伝導性を損なう。最適な添加量の場合、珪窒化マグネシウム焼結体の粒界3重点に添加した弗化化合物を含む少量の結晶相及び/又はガラス相としてのみ残存し熱伝導性を損なわない。
【0012】
前記混合原料粉末の調整方法については特に制限はなく、それ自体公知の方法、例えば、個々の原料粉末を乾式混合する方法、不活性液体中で湿式混合した後不活性液体を除去する方法等が適宜採用することができる。混合装置としてはV型混合機、ボールミル、振動ボールミル等が便利に使用される。
【0013】
混合原料粉末の加熱焼結は、例えば、混合粉末をそのまま乾式あるいは湿式で所定の形状に成形し、湿式で成形した場合は乾燥処理を行なった後に、常圧又は加圧した窒素含有非酸化性ガス雰囲気下で焼結する方法、原料粉末を所定の形状にダイスに充填し、ホットプレスする方法等を採用することができる。
常圧又は雰囲気加圧焼結に先立つ混合粉末の成形は公知の方法、例えばラバープレス法、一軸成形法、鋳込み成形法、射出成形法、シート成形法等によって行なうことができる。
【0014】
焼結温度は通常1300〜1800℃であり、焼結時間は通常0.5〜10時間である。焼結温度が過度に低いと焼結が進行せず、逆に、焼結温度が過度に高いと焼結体の熱分解による組成変化が生じるようになる。また、焼結体の熱伝導性を更に向上させるために、焼結体中の脱酸素処理又は脱弗化物処理を行なうこともある。この場合、一旦焼結して得られた焼結体を、還元雰囲気中で1500〜1700℃の温度範囲で1時間以上保持することで目的を果たすことができる。
【0015】
【発明の効果】
本発明で得られる珪窒化マグネシウム焼結体は、従来の珪窒化マグネシウム焼結体に比較して、低温焼結性に優れ、熱伝導性が向上しているので、半導体の放熱基板などの熱伝導部品として好適に使用することができる。
【0016】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示す。
物性値の測定方法:
相対密度はアルキメデス法によって求めた。ただし珪窒化マグネシウムの理論密度は3.1294g/cm3とした。熱伝導率はレーザーフラッシュ法によって求めた。
【0017】
実施例1〜8
シリコンジイミドを1200℃で熱処理して得られた非晶質窒化珪素粉末290.8g、窒化マグネシウム粉末209.2gを、窒素ガス雰囲気下、振動ボールミルで1時間混合した。混合粉末をカーボン性坩堝に充填して高周波誘導加熱炉にセットし、窒素ガス雰囲気下に、室温から1000℃までを1時間、1000℃から1時間当たり100℃の昇温速度で1400℃まで昇温し、1時間保持後、放冷した。
得られた粉末のX線回折による生成相定量では、MgSiN2相が100wt%であり、他の不純物相は確認されなかった。また、BETによる比表面積は15.6m2/gであった。
【0018】
得られた珪窒化マグネシウム粉末に、表1に示した弗化物を所定量添加し、溶媒としてエタノールを用い48時間湿式ボールミルにより混合した後、80℃で真空乾燥した。得られた焼結体原料粉末10gを内径30mmの金型に充填し、150kg/cm2の圧力で1軸成形後、1.5ton/cm2のラバープレス成形により、成形体を得た。得られた成形体をカーボン製坩堝に入れた後、誘導加熱式電気炉にセットした。電気炉内を真空脱気した後、N2ガスを導入し、100cc/minのN2ガス流通下、室温から1200℃まで1時間、1200℃から表1に示した温度まで100℃/hrで昇温し、同温度に1時間保持後、放冷した。得られた珪窒化マグネシウム焼結体の特性を表2に示す。
【0019】
実施例9
結晶質窒化珪素粉末20.51g、窒化マグネシウム粉末28.52g及びCaF2粉末0.97g(2mol%)を湿式ボールミルで混合した粉末を焼結体原料粉末とした以外は、実施例1と同様の方法により珪窒化マグネシウム焼結体を作成した。得られた珪窒化マグネシウム焼結体の特性を表2に示す。
【0020】
比較例1〜5
実施例1で合成した珪窒化マグネシウム粉末に、表1に示した弗化物を所定量添加し、湿式ボールミル混合した粉末を焼結体原料粉末とした以外は、実施例1と同様の方法により珪窒化マグネシウム焼結体を作成した。得られた珪窒化マグネシウム焼結体の特性を表2に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
Claims (5)
- MgSiN2で表わされる珪窒化マグネシウムの結晶相、及び1種以上の弗化物を含む10wt%以下の結晶相及び/又はガラス相からなる珪窒化マグネシウム焼結体。
- 気孔率が3vol%以下であることを特徴とする請求項1記載の珪窒化マグネシウム焼結体。
- 弗化物がCaF2、SrF2及びBaF2から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の珪窒化マグネシウム焼結体。
- MgSiN2で表わされる珪窒化マグネシウムを主たる相とし、かつ5wt%以下の酸素を含有する珪窒化マグネシウム粉末と0.1〜5mol%の弗化物を1種以上含む原料混合粉末を、最高温度1300〜1800℃の範囲に加熱、焼結することを特徴とする請求項1記載の珪窒化マグネシウム焼結体の製造方法。
- Mg/Si原子比が0.8〜1.2の範囲である結晶質窒化珪素粉末と窒化マグネシウム粉末、及び0.1〜5mol%の弗化物を1種以上含む原料混合粉末を、最高温度1300〜1800℃の範囲に加熱、焼結することを特徴とする請求項1記載の珪窒化マグネシウム焼結体の製造方法。
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JP12667097A JP3834930B2 (ja) | 1997-05-16 | 1997-05-16 | 珪窒化マグネシウム焼結体及びその製造方法 |
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Publications (2)
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JPH10316470A JPH10316470A (ja) | 1998-12-02 |
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JP12667097A Expired - Lifetime JP3834930B2 (ja) | 1997-05-16 | 1997-05-16 | 珪窒化マグネシウム焼結体及びその製造方法 |
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CN110143808B (zh) * | 2019-05-31 | 2021-07-06 | 武汉科技大学 | 添加氮化硅镁粉体的低碳镁碳耐火材料及其制备方法 |
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- 1997-05-16 JP JP12667097A patent/JP3834930B2/ja not_active Expired - Lifetime
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