JP3834808B2 - 有機塩素化合物の処理装置及びシステム - Google Patents

有機塩素化合物の処理装置及びシステム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリクロロエチレンなどの有機塩素化合物を無害化するための処理装置及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
工場跡地内の土壌には、発ガン性物質であるトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの有機塩素化合物が含まれていることがあり、このような土壌をそのまま放置すると地下水等を介して有機塩素化合物が環境に拡散するおそれがある。そのため、このような汚染土壌に対しては所定の浄化処理を行なわねばならない。
【0003】
一方、最近では、微生物の活性を利用して環境中の汚染物質を分解無害化する技術、すなわちバイオレメディエーションの研究が進んできており、上述したような汚染土壌への適用も研究されるようになってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような微生物を利用した汚染物質の処理方法は、少なくとも実験室レベルでは十分な成果が確認されており、現実的な対応についても今後大いに期待されるところである。
【0005】
しかしながら、土質状況によっては、分解菌の活性を十分上げることができず、該汚染土内の汚染物質を分解するのに長時間を要したり、場合によっては微生物分解自体が実質的に不可能になるという問題が懸念される。
【0006】
また、汚染土に生石灰を混合することで、汚染土内に含まれている水分と生石灰との化学反応に伴う水和熱を発生させ、かかる水和熱を利用して汚染物質である有機塩素化合物を気化処理する方法も検討開発されている(特開平7−275837号公報参照)が、かかる方法では、汚染土が生石灰により強アルカリ性となり、埋め戻した後でアルカリ成分が地下水等に拡散したり生態系に悪影響を及ぼすといった事態が懸念される。
【0007】
さらには、汚染土壌から土壌内空気を吸引したり土壌内地下水を揚水する方法、汚染土壌を高温に加熱する方法、鉄粉の還元作用を利用した方法などがあるが、空気吸引若しくは地下水揚水は、長時間を要するとともにその間に設備の維持にコストがかかる、高温加熱方法は土壌の生態系に悪影響を残す、鉄粉による還元方法は適用できる状況に制約が大きいなどの問題をそれぞれ生じていた。
【0008】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、処理済みの土壌に悪影響を残すことなく確実かつ短期間にしかもどんな汚染土壌に対しても有機塩素化合物を除去処理可能な有機塩素化合物の処理装置及びシステムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る有機塩素化合物の処理装置は請求項1に記載したように、有機塩素化合物を含む汚染水等の汚染媒体が貯留される貯留槽と、該貯留槽内に設けられた一対の電極と、該電極に電気接続された極性反転可能な電源とからなり、前記貯留槽の側板、底板等の貯留本体に集水孔を形成するとともに、該貯留槽を有機塩素化合物を含む汚染土壌又は汚染廃棄物内に埋設可能に構成したものである。
【0010】
また、本発明に係る有機塩素化合物の処理システムは請求項2に記載したように、有機塩素化合物を含む汚染土壌内に形成された集水貯留手段と、該集水貯留手段内に設けられた一対の電極と、該一対の電極に電気接続された極性反転可能な電源とからなるものである。
【0017】
本発明に係る有機塩素化合物の処理装置においては、一対の電極が貯留槽内に配設された状態となるように上述の汚染媒体を貯留槽内に貯留する。また、本発明に係る有機塩素化合物の処理システムにおいては、有機塩素化合物を含む汚染土壌内の地下水を集水手段で集水し、これを揚水ポンプで揚水して一対の電極が設けられた貯留槽内に貯留するか、集水貯留手段内に一対の電極を配置するか、又は一対の電極を汚染土壌内に直接埋設する。
【0018】
次に、上述した電極間に通電する。このようにすると、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンといった有害な有機塩素化合物は、主として陰極表面の還元反応によって塩素イオン等の塩化物と、エチレン、エタンなどの炭化水素に電気分解される。そして、これらの塩化物や炭化水素はいずれも無害物質であるため、結局、有害な有機塩素化合物が無害化されることとなる。
【0019】
また、上述した各発明においては、通電の際、電極の極性反転を所定時間ごとに行う。すなわち、陽極を陰極に、陰極を陽極に反転する。このようにすると、電極表面上の付着物や電解生成物といった通電阻害物質が除去され、その結果、新鮮な電極面が露出して通電量が回復し、かくして、通電量の低下ひいては有機塩素化合物の電解分解効率の低下が未然に防止される。一例としては、陽極で発生付着した酸素ガスと陰極で発生付着した水素ガスが反応して水に変化するため、通電阻害物質である気泡が消失し、通電量が回復する。
【0020】
極性反転の時期的タイミングとしては、例えば一定時間ごとに切り換える、通電量を監視しながら該通電量が一定値を下回ったときに手動で又は自動的に切り換えるといった方法が考えられる。
【0021】
本発明に係る有機塩素化合物の処理装置に関し、その構成要素である貯留槽を地上に設置し、該貯留槽内に汚染水を流入するようにしてもよいが、かかる貯留槽の側板、底板等の貯留本体に集水孔を形成するとともに、該貯留槽を有機塩素化合物を含む汚染土壌又は汚染廃棄物内に埋設可能に構成した場合においては、汚染土壌内の地下水や汚染廃棄物からの滲出水が汚染水として集水孔を通って貯留槽内に集水貯留され、該貯留槽内で極性反転を伴う電気分解処理が行われる。そのため、汚染規模と貯留槽との容量との関係によっては、汚染土壌内の汚染水や汚染廃棄物から滲出してきた汚染水を揚水ポンプで揚水する作業を不要とし、又はその回数を減らすことが期待できる。
【0022】
本発明に係る有機塩素化合物の処理システムに関し、汚染土壌内に給水を行う給水手段を備えるようにしたならば、地下水の水位が低い場合にも適用することが可能となる。また、前記汚染土壌内に前記集水手段又は前記電極の近傍にて所定の止水壁を設けたならば、地下水に流れがある場合にも該地下水を効率よく集水手段や電極に集めることができるとともに、該地下水の周囲への拡散を未然に防止することも可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る有機塩素化合物の処理装置及びシステムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0024】
(第1実施形態)
【0025】
図1は、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理装置を示した概念図である。同図でわかるように、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理装置1は、有機塩素化合物を含む汚染媒体としての汚染水5が貯留される貯留槽2と、該貯留槽内に設けられた一対の電極3a、3bと、該電極3a、3bに電気接続された極性反転可能な電源4とから構成してある。
【0026】
電源4は、電極3a、3bの極性、すなわち陽極と陰極を反転させる、換言すれば切り換えることができるようになっていれば、その構造や回路構成は問わない。
【0027】
電極3a、3bは、例えば数cm〜数十cm離間して配置し、電源4は、例えば10〜30ボルト程度の直流電圧を印加できるように構成しておくのがよい。
【0028】
ここで、貯留槽2は、冷却槽6の内部に配置してあり、冷却装置7から循環供給される冷却水によって汚染水5が冷却されるようになっている。
【0029】
本実施形態に係る有機塩素化合物の処理装置1を用いて本実施形態に係る有機塩素化合物の処理方法を実施するには、まず、電極3a、3bが配設された貯留槽2内に有機塩素化合物が含まれた汚染水5を貯留槽2内に貯留する。
【0030】
汚染水5を貯留するには、例えば汚染土壌から揚水されたものをポンプ圧送し、これを貯留槽2に投入するようにすればよい。
【0031】
次に、電極3a、3bの極性を一定時間ごとに反転させつつ、10〜30ボルト程度の直流電圧を両電極間に印加して直流電流を通電する。極性の反転操作については、例えば、電極3a、3b間の通電量を計測する電流計及び電源4に内蔵された極性切り換え手段を制御する制御装置を別途備えておき、電流計で通電量を監視しながら該通電量が一定値を下回ったときに制御装置で電源4の極性切り換え手段を制御することにより、電極3a、3bの極性を自動的に切り換えるようにしておくのがよい。
【0032】
このように電極3a、3b間に通電を行うと、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンといった有害な有機塩素化合物は、主として陰極表面の還元反応によって塩素イオン等の塩化物と、エチレン、エタンなどの炭化水素に電気分解される。そして、これらの塩化物や炭化水素はいずれも無害物質であるため、結局、有害な有機塩素化合物が無害化されることとなる。なお、塩化物や炭化水素といった反応生成物は、いずれも無害であるので、特に回収する必要はないが、必要であれば、貯留槽2に蓋をした上、該貯留槽内のガスを吸引回収するようにしてもよい。
【0033】
ここで、通電量が増加すると、電気分解による有機塩素化合物の処理速度が速くなる反面、ジュール熱が発生してエネルギー効率が低下するとともに、発生熱による水温上昇によって有機塩素化合物が電気分解されずに気化し、気化ガスを処理するための設備が別途必要となる。
【0034】
そのため、上述した通電作業を行うにあたっては、有機塩素化合物の気化が抑制される範囲で電気分解による処理速度ができるだけ向上するよう、電圧や電流の大きさ、通電時間若しくは冷却槽6及び冷却装置7による冷却の度合いを適宜調整するのが望ましい。
【0035】
ちなみに、汚染水5が汚染土壌から揚水された地下水であるような場合には、通常の地下水であれば、0.1〜0.3mS/cm程度の電気伝導度であるので、電流値は小さく、したがって消費電力もわずかである。
【0036】
また、上述した通電の際、電極3a、3bの極性反転を所定時間ごとに行う。すなわち、陽極を陰極に、陰極を陽極に反転する。このようにすると、電極3a、3b表面上の付着物や電解生成物といった通電阻害物質が除去され、その結果、新鮮な電極面が露出して通電量が回復する。
【0037】
次に、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理装置1及び方法における通電に関する作用効果を実験で確認したので、その概略を以下に説明する。
【0038】
まず、有機塩素化合物であるトリクロロエチレン(以下TCEという)が100mg/L含まれた汚染水を容器に入れ、該容器内に電極を設置して直流電流を流し(電流値0.05A、電圧値30V)、そのときに発生する塩素ガスの量とTCEの残存量とを計測した。なお、TCEの揮発による損失をできるだけ減らすため、上述したように容器を冷却水の中に入れて冷却した。
【0039】
計測にあたっては、通電時間が異なるケースを4回行い、それぞれ通電終了後に試料液を採取して液中のTCE濃度、塩化物イオン(Cl-)濃度及び塩素(Cl2)濃度を測定した。
【0040】
実験の結果をグラフにして図2に示す。同図でわかるように、通電を行った場合には、通電時間とともにTCE濃度(TCE残存率として表示)が減少するとともに、塩化物イオン濃度(TCE塩素化率として表示)が増大することがわかる。これは、主に陰極表面での還元反応によってTCEの構成成分の一つである塩素がTCEから脱離する、すなわち脱塩素反応が生じ、TCEが減少したものと考えられる。なお、塩素濃度は、いずれもほとんどゼロであった。
【0041】
以上の実験結果から、汚染水中のTCEを通電時間に比例して確実に分解・無害化できるとともにそれに要する電力もわずかであることがわかった。なお、通電を行わずに放置した場合、TCE濃度はほとんど不変で、塩化物イオンも検出されなかった。また、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、テトラクロロエチレンといった他の有機塩素化合物についても同様の処理効果を示すことを確認済みである。
【0042】
次に、極性反転による作用効果を実験で確認したので、その概略を以下に説明する。
【0043】
まず、TCEが100mg/L 含まれた汚染水を容器に入れ、該容器内に電極を設置してそれらの極性を反転させつつ直流電流を流し(電流値0.1A)、そのときのTCEの除去速度を計測した。
【0044】
実験の結果をグラフにして図3に示す。同図でわかるように、極性を反転させつつ通電を行った場合(電極切り替えあり)には、極性を反転させない場合(電極切り替えなし)に比べ、高いTCE除去速度が維持されることがわかる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理方法及び処理装置1によれば、貯留槽2内に貯留された有機塩素化合物を含む汚染水5を電極3a、3bで電気分解するようにしたので、有機塩素化合物は、塩化物と炭化水素とに電気分解され、かくして有機塩素化合物を無害化することが可能となる。しかも、わずかな電力でかつ通電時間に比例した形で有機塩素化合物を無害化処理することができるので、ランニングコストが小さくかつ制御しやすい処理装置を容易に構築することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理方法及び処理装置1によれば、通電を行いつつ、電極3a、3bの極性を反転させるようにしたので、電極表面上の付着物や電解生成物といった通電阻害物質が除去され、その結果、新鮮な電極面が露出して通電量が回復する。
【0047】
そのため、通電量の低下ひいては有機塩素化合物の電解分解効率の低下を未然に防止することが可能となり、高濃度汚染や短時間処理に適したものとなる。
【0048】
また、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理方法及び装置1によれば、極性を反転しない場合における陽極腐食を抑制することが可能となり、その結果として、耐腐食性の金や白金を使用せずとも鉄などで代用することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理方法及び装置1によれば、貯留槽2を冷却槽6で冷却するようにしたので、冷却槽6による冷却の度合いを適宜設定することによって、有機塩素化合物を実質的に気化させることなく大きな通電量を確保することが可能となり、かくして有機塩素化合物を迅速に無害化処理することが可能となる。
【0050】
本実施形態では、電極3a、3bを貯留槽2内に配設するようにしたが、貯留槽2自体を導電体で形成し、これを電極3a又は電極3bとしてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、有機塩素化合物の気化を抑制すべく、貯留槽2を冷却槽6で冷却するようにしたが、電圧値、電流値、通電時間、通電サイクルといった通電条件を適宜設定することによって有機塩素化合物の気化を抑制することができるのであれば、かかる冷却槽6及び冷却装置7を省略してもよい。
【0052】
また、本実施形態では、汚染水5を汚染媒体とし、該汚染水を電極3a、3bが配設された貯留槽2内に貯留するようにしたが、汚染媒体が汚染土壌や汚染廃棄物である場合には、これらの汚染媒体を先に貯留槽2内に投入し、しかる後に電極3a、3bを汚染媒体に埋め込むようにして配置すればよい。
【0053】
また、本実施形態では、貯留槽2を地上に設置することを前提とし、該貯留槽内に汚染媒体である汚染水を流入するようにしたが、かかる貯留槽2を用いた構成に代えて、図4に示す構成としてもよい。
【0054】
同図に示した有機塩素化合物の処理装置11は、有機塩素化合物を含む汚染水5が貯留される電極兼用の貯留槽12と、該貯留槽内に配設された電極13と、該電極及び貯留槽12に電気接続された極性反転可能な電源4とから構成してあり、電極13及び貯留槽12は、本発明で言うところの一対の電極として機能し、電源4によって一定時間ごとに極性反転される。
【0055】
ここで、貯留槽12は、貯留本体である側板17及び底板16に集水孔14を多数形成するとともに、汚染土壌15内に埋設できるように構成してある。
【0056】
かかる構成においては、汚染土壌15内の地下水が汚染水として集水孔14を通って貯留槽12内に集水貯留され、該貯留槽内で極性反転されつつ電極13及び貯留槽12による通電が行われる。
【0057】
なお、貯留槽12内には同図に示すように揚水ポンプ18を設置しておき、該貯留槽内に貯留された処理済みの水を適宜揚水することにより、貯留槽12周囲の地下水を該貯留槽内に継続的又は断続的に集水し、極性反転を伴う電気分解反応が連続的かつ効率的に行われるようにするのが望ましい。
【0058】
また、本変形例では、貯留槽12を汚染土壌15内に埋設するようにしたが、該汚染土壌に代えて汚染廃棄物に埋設するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0059】
また、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理方法は、図1で説明したように、貯留槽2内に電極3a、3bが配設された処理装置1に適用したが、本発明に係る有機塩素化合物の処理方法は、必ずしもこのような処理装置1に適用することに限定されるものではなく、要するに、有機塩素化合物を含む汚染土壌、汚染水、汚染廃棄物等の汚染媒体に電極3a、3bを配置し、かかる状態で上述したと同様に極性反転を伴った通電を行えばよい。
【0060】
(第2実施形態)
【0061】
次に、第2実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
図5は、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理システムを示した概念図である。同図でわかるように、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理システム21は、有機塩素化合物を含む汚染土壌15内に埋設された集水手段としての集水管22と、該集水管に集水された地下水を汚染水25として揚水する揚水ポンプ23と、揚水された汚染水が貯留される貯留槽2と、該貯留槽内に設けられた一対の電極3a、3bと、これらの電極3a、3bに電気接続された極性反転可能な電源4とからなり、集水管22には、汚染土壌15内の地下水を集水するための集水孔24を多数形成してある。
【0063】
本実施形態に係る有機塩素化合物の処理システム21を用いて有機塩素化合物を処理するには、まず、有機塩素化合物を含む汚染土壌15内の地下水を汚染水25として集水管22で集水し、これを揚水ポンプ23で揚水して貯留槽2内に貯留する。
【0064】
次に、電極3a、3bの極性を一定時間ごとに反転させつつ、10〜30ボルト程度の直流電圧を両電極間に印加して直流電流を通電する。極性を反転させるタイミングとしては、例えば通電量を監視しながら該通電量が一定値を下回ったときに切り換えるのがよい。
【0065】
このように電極3a、3b間に通電を行うと、第1実施形態と同様、汚染水25に含まれているトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンといった有害な有機塩素化合物は、主として陰極表面の還元反応によって塩素イオン等の塩化物と、エチレン、エタンなどの炭化水素に電気分解される。そして、これらの塩化物や炭化水素はいずれも無害物質であるため、結局、有害な有機塩素化合物が無害化されることとなる。
【0066】
また、上述した通電の際、電極3a、3bの極性反転を所定時間ごとに行う。すなわち、陽極を陰極に、陰極を陽極に反転する。このようにすると、電極3a、3b表面上の付着物や電解生成物といった通電阻害物質が除去され、その結果、新鮮な電極面が露出して通電量が回復する。
【0067】
ここで、貯留槽2内には排水ポンプ26を設置しておき、該貯留槽内の処理済みの水を適宜排水することにより、極性反転を伴う電気分解反応が連続的かつ効率的に行われるようにするのが望ましい。
【0068】
なお、その他の作用効果については第1実施形態と実質的に同一であるので、ここではその説明を省略する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理システム21によれば、貯留槽2内に貯留された有機塩素化合物を含む汚染水25を電極3a、3bで電気分解するようにしたので、有機塩素化合物は、塩化物と炭化水素とに電気分解され、かくして有機塩素化合物を無害化することが可能となる。しかも、わずかな電力でかつ通電時間に比例した形で有機塩素化合物を無害化処理することができるので、ランニングコストが小さくかつ制御しやすい処理システムを容易に構築することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理方法及び処理装置21によれば、通電を行いつつ、電極3a、3bの極性を反転させるようにしたので、電極表面上の付着物や電解生成物といった通電阻害物質が除去され、その結果、新鮮な電極面が露出して通電量が回復する。
【0071】
そのため、通電量の低下ひいては有機塩素化合物の電解分解効率の低下を未然に防止することが可能となり、高濃度汚染や短時間処理に適したものとなる。
【0072】
また、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理方法及び装置1によれば、極性を反転しない場合における陽極腐食を抑制することが可能となり、その結果として、耐腐食性の金や白金を使用せずとも鉄などで代用することができる。
【0073】
本実施形態では特に言及しなかったが、図6に示すように、汚染土壌15内に給水を行う給水手段としての給水ポンプ31及び給水管32を備え、該給水ポンプで圧送されてきた水を給水管32を介して汚染土壌15内に給水するようにしたならば、地下水の水位が低い場合にも、本システムを適用することが可能となる。なお、汚染水5を処理した後の処理水を給水に利用することによって、汚染土壌15に供給される水を循環使用することが可能である。
【0074】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、図7に示すように、集水手段である集水管22近傍に止水壁41を例えば連続地中壁工法で構築するようにしてもよい。かかる構成においては、止水壁41によって地下水の流れが汚染土壌15内で堰き止められるので、地下水に流れがある場合にも該地下水を効率よく集水管22に集めることができるとともに、該地下水の周囲への拡散を未然に防止することも可能となる。
【0075】
また、本実施形態では、集水手段を集水管22としたが、集水手段をどのように構成するかは任意であり、集水管22に代えて、図8に示すようなトレンチ状掘削溝54を集水手段としてもよい。
【0076】
かかる構成においても、上述したと同様の作用効果を奏するほか、トレンチ状掘削溝54を長くすることによって大規模な集水貯留を行うとともに、それに応じて電極3a、3b、電源4の規模を適宜設定することにより、有機塩素化合物の処理を大規模に行うことが可能となる。
【0077】
(第3実施形態)
【0078】
次に、第3実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0079】
図9は、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理システムを示した概念図である。同図でわかるように、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理システム61は、有機塩素化合物を含む汚染土壌15内に形成された集水貯留手段としてのトレンチ状掘削溝66と、該トレンチ状掘削溝に設けられた一対の電極3a、3bと、これらの電極3a、3bに電気接続された極性反転可能な電源4とからなる。
【0080】
ここで、トレンチ状掘削溝66内には同図に示すように揚水ポンプ18を設置しておき、該トレンチ状掘削溝内に貯留された処理済みの水を適宜揚水することにより、トレンチ状掘削溝66周囲の地下水を該溝内に継続的又は断続的に集水し、極性反転を伴う電気分解反応が連続的かつ効率的に行われるようにするのが望ましい。
【0081】
本実施形態に係る有機塩素化合物の処理システム61を用いて有機塩素化合物を処理するには、まず、有機塩素化合物を含む汚染土壌15内の地下水を汚染水25としてトレンチ状掘削溝66内に集水貯留する。
【0082】
次に、電極3a、3bの極性を一定時間ごとに反転させつつ、10〜30ボルト程度の直流電圧を両電極間に印加して直流電流を通電する。極性を反転させるタイミングとしては、例えば通電量を監視しながら該通電量が一定値を下回ったときに切り換えるのがよい。
【0083】
このように電極3a、3b間に通電を行うと、第1、第2実施形態と同様、汚染水25に含まれているトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンといった有害な有機塩素化合物は、主として陰極表面の還元反応によって塩素イオン等の塩化物と、エチレン、エタンなどの炭化水素に電気分解される。そして、これらの塩化物や炭化水素はいずれも無害物質であるため、結局、有害な有機塩素化合物が無害化されることとなる。
【0084】
また、上述した通電の際、電極3a、3bの極性反転を所定時間ごとに行う。すなわち、陽極を陰極に、陰極を陽極に反転する。このようにすると、電極3a、3b表面上の付着物や電解生成物といった通電阻害物質が除去され、その結果、新鮮な電極面が露出して通電量が回復する。
【0085】
なお、その他の作用効果については第1、第2実施形態と実質的に同一であるので、ここではその説明を省略する。
【0086】
以上説明したように、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理システム61によれば、第1、第2実施形態で述べたと同様の作用効果を奏するほか、トレンチ状掘削溝66を長くすることによって大規模な集水貯留を行うとともに、それに応じて電極3a、3b、電源4の規模を適宜設定することにより、有機塩素化合物の処理を大規模に行うことが可能となる。
【0087】
(第4実施形態)
【0088】
次に、第4実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0089】
図7は、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理システムを示した概念図である。同図でわかるように、本実施形態に係る有機塩素化合物の処理システム71は、有機塩素化合物を含む汚染土壌15内に埋設された一対の電極3a、3bと、これらの電極3a、3bに電気接続された極性反転可能な電源4とから構成してある。
【0090】
本実施形態に係る有機塩素化合物の処理システム71を用いて有機塩素化合物を処理するには、上述した各実施形態と同様、電極3a、3bの極性を一定時間ごとに反転させつつ、10〜30ボルト程度の直流電圧を両電極間に印加して直流電流を通電する。
【0091】
このように電極3a、3b間に通電を行うと、第1、第2実施形態と同様、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンといった有害な有機塩素化合物は、主として陰極表面の還元反応によって塩素イオン等の塩化物と、エチレン、エタンなどの炭化水素に電気分解される。そして、これらの塩化物や炭化水素はいずれも無害物質であるため、結局、有害な有機塩素化合物が無害化されることとなる。
【0092】
また、上述した通電の際、電極3a、3bの極性反転を所定時間ごとに行う。すなわち、陽極を陰極に、陰極を陽極に反転する。このようにすると、電極3a、3b表面上の付着物や電解生成物といった通電阻害物質が除去され、その結果、新鮮な電極面が露出して通電量が回復する。
【0093】
なお、上述の実施形態とは、電気分解反応が貯留槽2等ではなく、電極3a、3b周囲の汚染土壌15内で進行することを除いて実質的に同一であり、その他の作用効果についてはここでは説明を省略するが、本実施形態は、コロイド粒子が少ない砂礫質地盤に特に適しており、該砂礫質地盤に含まれる有機塩素化合物を原位置で効率よく無害化することができるという顕著な作用効果や、生石灰を使用するような従来方法とは異なり、汚染土壌に対して何ら悪影響を及ぼさないという顕著な作用効果を奏する。
【0094】
なお、本実施形態においても、第2実施形態で述べたような給水手段としての給水ポンプ31及び給水管32を備えることにより、汚染土壌15に給水を行って地下水の水位を上げるようにしてもよい。
【0095】
同様に、電極3a、3bの近傍に止水壁41を例えば連続地中壁工法で構築することにより、該止水壁で地下水の流れを汚染土壌15内に堰き止めるようにしてもよい。かかる構成によれば、地下水に流れがある場合にも該地下水を効率よく陽極3a及び陰極3b周辺に集めることができるとともに、該地下水の周囲への拡散を未然に防止することも可能となる。
【0096】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る有機塩素化合物の処理装置及びシステムによれば、周辺への汚染拡散を防ぎつつ処理済みの土壌に悪影響を残すことなく確実かつ短期間にしかもどんな汚染土壌に対しても有機塩素化合物を除去処理することが可能となる。
【0097】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る有機塩素化合物の処理装置を示した概念図。
【図2】第1実施形態に係る有機塩素化合物の処理装置の通電による作用効果を示したグラフ。
【図3】第1実施形態に係る有機塩素化合物の処理装置の極性反転による作用効果を示したグラフ。
【図4】変形例に係る有機塩素化合物の処理装置を示した概念図。
【図5】第2実施形態に係る有機塩素化合物の処理システムを示した概念図。
【図6】変形例に係る有機塩素化合物の処理システムを示した概念図。
【図7】別の変形例に係る有機塩素化合物の処理システムを示した概念図。
【図8】別の変形例に係る有機塩素化合物の処理システムを示した概念図。
【図9】第3実施形態に係る有機塩素化合物の処理システムを示した概念図。
【図10】第4実施形態に係る有機塩素化合物の処理システムを示した概念図。
【符号の説明】
1、11 有機塩素化合物の処理装置
2 貯留槽
3a、3b 電極
4 電源
5、25 汚染水
12 貯留槽、電極
13 電極
14 集水孔
15 汚染土壌
16 底板(貯留本体)
17 側板(貯留本体)
21、61、71 有機塩素化合物の処理システム
22 集水管(集水手段)
23 揚水ポンプ
31 給水ポンプ(給水手段)
32 給水管(給水手段)
41 止水壁
54 トレンチ状掘削溝(集水手段)
66 トレンチ状掘削溝(集水貯留手段)

Claims (2)

  1. 有機塩素化合物を含む汚染水等の汚染媒体が貯留される貯留槽と、該貯留槽内に設けられた一対の電極と、該電極に電気接続された極性反転可能な電源とからなり、前記貯留槽の側板、底板等の貯留本体に集水孔を形成するとともに、該貯留槽を有機塩素化合物を含む汚染土壌又は汚染廃棄物内に埋設可能に構成したことを特徴とする有機塩素化合物の処理装置。
  2. 有機塩素化合物を含む汚染土壌内に形成された集水貯留手段と、該集水貯留手段内に設けられた一対の電極と、該一対の電極に電気接続された極性反転可能な電源とからなることを特徴とする有機塩素化合物の処理システム。
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