JP3834647B2 - アリールアントラセン化合物の製造方法 - Google Patents
アリールアントラセン化合物の製造方法Info
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パラジウム錯体触媒を用い、ハロアントラセンとアリールボロン酸の反応によりアリールアントラセン化合物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アリールアントラセン化合物を得るために、ハロアントラセン化合物にパラジウム触媒の存在下でアリールボロン酸化合物を反応させることは知られている(非特許文献1)。前記の如き反応において用いられるパラジウム触媒としては、一般的には、ホスフィンを配位子とするパラジウム−ホスフィン錯体触媒が用いられている。
しかしながら、このようなパラジウム錯体触媒は、空気により酸化されやすいために、その取扱いや保管に困難を生じた。また、前記した従来のホスフィン−パラジウム錯体触媒は、溶媒可溶性の均一系触媒であり、液状の反応生成物から分離回収することが困難であった。
【0003】
【非特許文献1】
Chem. Rev.,95,2457(1995).
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、空気に対して高い安定性を有し、かつその使用後に反応生成物からの分離回収の容易なパラジウム錯体触媒を用いるアリール化アントラセン化合物の製造方法を提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、以下に示すアリールアントラセン化合物の製造方法が提供される。
(1)含窒素複素環の窒素原子と該複素環に置換したカルボイミン基とが共役した構造を含む配位子を有するパラジウム錯体を、連結基を通じて多孔質無機担体に固定化した触媒の存在下で、9−ハロアントラセン化合物をアリールボロン酸化合物と反応させることを特徴とする9−アリールアントラセン化合物の製造方法。
(2)含窒素複素環の窒素原子と該複素環に置換したカルボイミン基とが共役した構造を含む配位子を有するパラジウム錯体を、連結基を通じて多孔質無機担体に固定化した触媒の存在下で、9,10−ジハロアントラセン化合物をアリールボロン酸化合物と反応させることを特徴とする9,10−ジアリールアントラセン化合物の製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるパラジウム錯体触媒を構成するパラジウム配位子は、含窒素複素環の窒素原子と該複素環に置換したカルボイミン基とが共役した構造を含有しパラジウムと配位出来るものである(以下、含窒素配位子ともいう)。このようなものには、各種の含窒素複素環とこれに置換したカルボイミン基を含有する配位子、例えば、ピリジン−2−カルボイミン基、キノリン−2−カルボイミン基、イソキノリン−3−カルボイミン基、イソキノリン−1−カルボイミン基、ジピリジン−2−カルボイミン基、ピリミジン−2−カルボイミン基、ピラジン−2−カルボイミン基、フェナントロリン−2−カルボイミン基、フェナジン−2−カルボイミン基等が挙げられる。
本発明においては、ピリジン−2−カルボイミン基及びキノリン−2−カルボイミン基が好ましく用いられる。
【0007】
前記含窒素配位子は、不活性置換基、例えば、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を有していてもよい。
本発明の錯体触媒において、その多孔質無機担体としては、従来公知の各種の無機物質が用いられる。その平均細孔径は、15〜100Å、好ましくは20〜50Åである。
また、その粒径は、反応生成物から分離回収しやすいような粒径であればよく、通常、平均粒径で、0.001〜1mm、好ましくは0.01〜0.1mmである。
前記多孔質無機担体としては、例えば、規則性メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、セピオライト、シリカ−アルミナ等が挙げられるが、より好ましくはFSM−16,MCM−41,SB−15等の規則性メソポーラスシリカが用いられる。
【0008】
本発明の錯体触媒は、含窒素配位子を有するパラジウム錯体を、連結基を介して、多孔質無機担体に固定化した構造を有する。このパラジウム錯体触媒に結合する連結基は、含窒素配位子、特に、その配位子に含まれる含窒素複素環に結合しているのが好ましい。この連結基において、その多孔質無機担体に結合する端部は、該担体に吸着反応や、化学反応を生じるように、極性基からなるのが好ましい。このような極性基には、例えば、ハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素等)、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、アミノ基、メリカプト基、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基等が包含される。
【0009】
前記連結基において、その含窒素複素環等の配位子部分に結合する端部は、通常、炭素原子であるが、その他、酸素、窒素、イオウ等のへテロ原子であることができる。また、その連結基の中間部は、その主鎖が炭素のみからなる炭化水素鎖の他、その主鎖に酸素原子や、窒素原子、イオウ原子などのヘテロ原子を有する炭化水素鎖等であることができる。
【0010】
連結基において、その含窒素複素環等の配位子部分に結合する原子及び担体に結合する原子を含めたその主鎖を構成する原子の数(主鎖原子数)は、1〜10、好ましくは3〜5である。
【0011】
本発明による好ましい配位子は、下記一般式(1)で表されるものである。
【化1】
A−R−Si(O)3≡B (1)
前記式中、Aは含窒素配位子基を示し、Bは多孔質無機担体を示し、Rは連結基を示す。
【0012】
連結基Rの例としては、2価炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは2〜5のアルキレン基である。また、アルキレン基はその分子鎖の炭素原子の一部が酸素、窒素などで置換されてもいても良く、またカルボニル基、エステル基等を含んでも良い。
【0013】
前記一般式(1)で表される配位子の製造例を示すと、先ず、多孔質無機担体Bに、下記一般式(2)で表されるシランカップリング剤を反応させる。
【化2】
R1−SiL3 (2)
前記式中、R1は含窒素複素環化合物等の含窒素配位子と結合することの可能な反応性基Xを有する炭化水素基等の有機基を示し、Lはハロゲン原子(塩素や臭素等)又は炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルコキシ基を示す。
前記反応性基Xとしては、例えば、水酸基、グリドキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、メルカプト基等が挙げられる。
【0014】
前記シランカップリング剤の具体例を示すと、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピオン酸等が挙げられる。
【0015】
前記含窒素複素環化合物は、下記一般式(3)で表される化合物である。
【化3】
А−Y (3)
前記式中、Aは含窒素配位子基を示し、Yは前記シランカップリング剤の反応性基Xと反応し得る基を示す。
その反応性基Yの具体例としては、水素、アルデヒド基又はアルデヒド基含有基、カルボキシル基又はカルボキシル基含有基、ハロゲン原子又はハロゲン原子含有基、水酸基又は水酸基含有基、アミノ基又はアミノ基含有基等が挙げられる。
【0016】
前記シランカップリング剤と多孔質無機担体との反応は、周知の反応であり、常法により実施することができる。
【0017】
また、シランカップリング剤と多孔質無機担体との反応生成物と、含窒素複素環化合物等の含窒素配位子化合物との反応は、その反応の種類に応じて、適宜の方法により実施される。
【0018】
本発明による含窒素配位子を有するパラジウム錯体触媒は、該含窒素配位子を連結鎖を介して多孔質無機担体に固定化した構造を有する配位子化合物を、有機溶媒中において、パラジウム塩と反応させることによって得ることができる。パラジウム塩としては、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸カリウム、塩化テトラキスアンミンパラジウム、パラジウムアセチルアセトナート、ジベンゾイルアセチルパラジウム、ビス塩化π−アリルパラジウム等が挙げられる。有機溶媒としては、パラジウム塩を溶解し得るものであればよく、このようなものとしては、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等)や、脂肪族炭化水素(ヘキサン、シクロヘキサン等)、グリコールエーテル(エチレングリコールモノアルキルエーテル等)等が挙げられる。
【0019】
本発明のパラジウム錯体は、空気に対して安定であり、取扱い性及び保管性にすぐれている。また、固体であることから、反応後に、反応生成物から分離回収することが容易である。
【0020】
本発明は、上記のパラジウム錯体触媒を用いて、以下に示すアリールアントラセン化合物を合成することを特徴とする。
【0021】
(1)9−アリールアントラセン化合物を合成するための9−ハロアントラセン化合物とアリールボロン酸化合物との反応。
(2)9,10−ジアリールアントラセン化合物を合成するための9,10−ジハロアントラセン化合物とアリールボロン酸化合物との反応。
【0022】
前記アリールボロン酸化合物は、芳香族炭素環化合物(アリール化合物)及び芳香族複素環化合物(ヘテロアリール化合物)を包含するものと定義される。このアリールボロン酸化合物は、下記一般式(4)で表わすことができる。
【化4】
Ar−B(OH)2 (4)
前記式中、Arは芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を示す。
【0023】
該芳香族炭化水素基において、その炭素数は6〜14、好ましくは6〜10である。該芳香族炭化水素基は単環又は多環構造のものであることができる。このようなものには、単環(ベンゼン環)、縮合多環(ナフタレン環等)鎖状多環(ビフェニル環等)等の各種芳香族炭素環から由来の基を挙げることができる。
【0024】
該芳香族複素環基において、その1つの複素環を構成する原子数は5〜12、好ましくは5〜8である。また、これらの複素環は、ベンゼン環等が縮合したもの等の多環構造のものであることができる。このようなものには、ピリジン、チオフェン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、フェナントロリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等の各種複素環由来の基を挙げることができる。
【0025】
また、前記芳香族炭素環及び芳香族複素環は、反応に不活性の各種の置換基、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フェニル基、ベンジル基等の置換基を有していてもよい。その置換基の数は、特に制約されないが、通常、1〜3程度である。
【0026】
前記ハロアントラセン化合物は、9−ブロモアントラセン、9−ヨードアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、9,10−ジヨードアントラセン等が例示され、これらは、反応に不活性な置換基、例えば、炭素数1〜6のアルキル基や炭素数1〜6のアルコキシ基を有してもよい。
【0027】
前記ハロアントラセン化合物とアリールボロン酸化合物との反応において、その反応温度は60〜150℃、好ましくは100〜120℃である。該反応は有機溶媒中で好ましく実施される。該溶媒としては、ベンゼンやトルエン等の芳香族炭化水素が好ましく用いられる。また、反応系には、副生する臭化水素(HBr)を除去するために、臭化水素固定剤として、アルカリ性物質、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基性化合物、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、モルフォリン、ピペラジン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N―ジメチルアニリン等の有機塩基性化合物等を存在させるのが好ましい。その割合は、ハロアントラセン化合物1当量当り、0.8〜2当量、好ましくは1.0〜1.2当量である。
【0028】
本発明のパラジウム錯体触媒は、前記反応系に存在させるが、その使用量は、その反応系であるハロアントラセン化合物1モル当り、パラジウム金属換算量で、0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%の割合である。
【0029】
前記反応により得られる液状の反応生成物からの触媒の分離は、通常の固液分離法、例えば、濾過分離や遠心分離により行うことができる。
【0030】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳述する。
【0031】
実施例1
(ピリジン−2−カルボイミン固定化触媒の調製)
文献記載の方法により調製した規則性メソポーラスシリカFSM−16、平均粒径:0.05mm、平均細孔径:25Å、B.E.T.表面積:900m2/g)1gを真空下250℃で、1時間加熱した後、N2雰囲気下で室温に冷却した。
このシリカを100mlフラスコに入れ、次いで無水トルエン15mlを加え、さらに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.24g(1.4mmol)を加えた後、2時間加熱還流した。反応により生成するメタノールを除去するために、トルエン5mlを加え、150℃で2時間還流した。メタノールを留去後、さらに30分間加熱還流を続けた後、常温で濾過し、75℃で12時間乾燥することにより、3−アミノプロピル基が結合したメソポーラスシリカ(以下、アミノ化メソポーラスシリカと称す)を得た。
【0032】
次に、アミノ化メソポーラスシリカ1.0gを、室温においてエタノール中で、N2雰囲気下で、2−ピリジンカルボアルデヒド0.043g(0.4mmol)と24時間反応させた。得られた触媒配位子を分離し、空気中において90℃で一夜乾燥した。
この乾燥物を、塩化パラジウム70mgを含むアセトン5mlに加え、常温で24時間攪拌した後、得られた触媒を濾過し、アセトンで洗浄廃液が無色になるまで洗浄し、次いで、該触媒を90℃で一夜乾燥した。さらに、物理吸着したパラジウムを除去するために、エタノール、トルエン及びアセトニトリルを用い、加熱還流を順次行った後、18時間75℃で乾燥して触媒Aを約1g得た。
【0033】
なお、前記2−ピリジンカルボアルデヒドは、下記構造式で表される化合物である。
【化5】
【0034】
実施例2
ピリジン−2−カルボアルデヒドの代わりに、キノリン−2−カルボアルデヒドを用いた以外、実施例1と同様の操作により触媒Bを得た。
なお、前記キノリン−2−カルボアルデヒドは、下記構造式で表される化合物である。
【化6】
【0035】
実施例3
(触媒Aを用いた9−フェニルアントラセンの合成)
脱ガス処理した蒸留ベンゼン10ml中に、9−ブロモアントラセン1.28g(5mmol)を加え、次いで炭酸カリウム(K2CO3)1.4g(10mmol)を加え、さらに、フェニルボロン酸1.03g(7.5mmol)を加え、最後に、実施例1で得たパラジウム錯体触媒A20mg(9−ブロモアントラセンに対し0.55mol%)を加えた。この混合物を、80℃(還流温度)まで昇温し、18時間加熱還流することにより反応を行った。
得られた反応生成物を分析した結果、9−ジフェニルアントラセンが収率48%で生成したことが確認された。
また、反応生成物を濾過することにより、それに含まれていた触媒を分離回収することができた。
【0036】
実施例4
(触媒Bを用いた9−フェニルアントラセンの合成)
脱ガス処理した蒸留ベンゼン5ml中に、9−ブロモアントラセン643mg(2.5mmol)を加え、次いで炭酸カリウム(K2CO3)691mg(5mmol)を加え、さらに、フェニルボロン酸517mg(3.75mmol)を加え、最後に、実施例2で得たパラジウム錯体触媒A62.5mg(9−ブロモアントラセンに対し0.55mol%)を加えた。この混合物を、80℃(還流温度)まで昇温し、18時間加熱還流することにより反応を行った。
得られた反応生成物を分析した結果、9−ジフェニルアントラセンが収率65%で生成したことが確認された。
また、反応生成物を濾過することにより、それに含まれていた触媒を分離回収することができた。
【0037】
比較例1
(シリカ担持パラジウム触媒を用いた9−ジフェニルアントラセンの合成)
触媒Aの代わりにシリカ担持パラジウム触媒(10wt%Pd)16mg(9−ブロモアントラセンに対し0.55mol%)を用いた以外は、実施例3と同様の操作を行った。
24時間反応させた後に得られた反応生成物を分析した結果、9−ジフェニルアントラセンが収率24%で生成したことが確認された。
【0038】
実施例5
(触媒Aを用いた9−(2−ナフチル)アントラセンの合成)
脱ガス処理した蒸留ベンゼン5ml中に、9−ブロモアントラセン643mg(2.5mmol)を加え、次いで炭酸カリウム(K2CO3)691mg(5mmol)を加え、さらに、2−ナフチルボロン酸517mg(3.755mmol)を加え、最後に、実施例1で得たパラジウム錯体触媒A20mg(9−ブロモアントラセンに対し1.1mol%)を加えた。この混合物を、80℃(還流温度)まで昇温し、8時間加熱還流することにより反応を行った。
得られた反応生成物を分析した結果、9−(2−ナフチル)アントラセンが収率10%で生成したことが確認された。
【0039】
実施例6
(触媒Bを用いた9−(2−ナフチル)アントラセンの合成)
脱ガス処理した蒸留ベンゼン3ml中に、9−ブロモアントラセン257mg(1mmol)を加え、次いで炭酸カリウム(K2CO3)276mg(1.5mmol)を加え、さらに、2−ナフチルボロン酸306mg(1.5mmol)を加え、最後に、実施例1で得たパラジウム錯体触媒A60mg(9−ブロモアントラセンに対し1.1mol%)を加えた。この混合物を、80℃(還流温度)まで昇温し、18時間加熱還流することにより反応を行った。
得られた反応生成物を分析した結果、9−(2−ナフチル)アントラセンが収率53%で生成したことが確認された。
【0040】
実施例6
(触媒Aを用いた9,10−ジフェニルアントラセンの合成)
脱ガス処理した蒸留ベンゼン5ml中に、9,10−ジブロモアントラセン504mg(1.5mmol)を加え、次いで炭酸カリウム(K2CO3)621g(4.5mmol)を加え、さらに、フェニルボロン酸1.22g(6.0mmol)を加え、最後に、実施例1で得たパラジウム錯体触媒A30mg(9,10−ジブロモアントラセンに対し1.65mol%)を加えた。この混合物を、80℃(還流温度)まで昇温し、16時間加熱還流することにより反応を行った。
得られた反応生成物を分析した結果、9,10−ジフェニルアントラセンが収率92%で生成したことが確認された。
また、反応生成物を濾過することにより、それに含まれていた触媒を分離回収することができた。
【0041】
実施例7
(触媒Bを用いた9,10−ジフェニルアントラセンの合成)
脱ガス処理した蒸留ベンゼン5ml中に、9,10−ジブロモアントラセン840mg(2.5mmol)を加え、次いで炭酸カリウム(K2CO3)1.38g(10mmol)を加え、さらに、フェニルボロン酸828mg(6mmol)を加え、最後に、実施例1で得たパラジウム錯体触媒B62.5mg(9,10−ジブロモアントラセンに対し1.24mol%)を加えた。この混合物を、80℃(還流温度)まで昇温し、16時間加熱還流することにより反応を行った。
得られた反応生成物を分析した結果、9,10−ジフェニルアントラセンが収率33%で生成したことが確認された。
【0042】
実施例8
実施例6から回収した触媒を用いて触媒のリサイクル実験を行った。反応操作は実施例6と同様に行った。
得られた反応生成物を分析した結果、9,10−ジフェニルアントラセンが収率88%で生成したことが確認された。
【0043】
実施例9
実施例8から回収した触媒を用いて触媒のリサイクル実験を行った。反応操作は実施例6と同様に行った。
得られた反応生成物を分析した結果、9,10−ジフェニルアントラセンが収率87%で生成したことが確認された。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、空気に対して高い安定性を有し、かつその使用後に反応生成物からの分離回収の容易なパラジウム錯体触媒を用いることから、アリールアントラセン化合物を工業的に有利に製造することができる。
Claims (2)
- 含窒素複素環の窒素原子と該複素環に置換したカルボイミン基とが共役した構造を含む配位子を有するパラジウム錯体を、連結基を通じて多孔質無機担体に固定化した触媒の存在下で、9−ハロアントラセン化合物をアリールボロン酸化合物と反応させることを特徴とする9−アリールアントラセン化合物の製造方法。
- 含窒素複素環の窒素原子と該複素環に置換したカルボイミン基とが共役した構造を含む配位子を有するパラジウム錯体を、連結基を通じて多孔質無機担体に固定化した触媒の存在下で、9,10−ジハロアントラセン化合物をアリールボロン酸化合物と反応させることを特徴とする9,10−ジアリールアントラセン化合物の製造方法。
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