JP3834391B2 - 燃焼装置および、その制御方法 - Google Patents

燃焼装置および、その制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受熱管が設けられた熱交換部と、該熱交換部を加熱するバーナと、該バーナに接続したガス配管に介装される流量調節弁とを備えた燃焼装置および、その制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、給湯器などの燃焼装置においては、閉栓後の温度低下に対し、所定間隔時間で、閉栓した後の次の開栓の際に適切な温度にするのに必要な所定時間だけバーナに点火するバックアップ燃焼を行う機能を有するものが考えられている。バックアップ燃焼においては、下限温度でバーナに点火し、熱交換器の湯温を上限温度まで高めて燃焼を停止している。
【0003】
また、このような燃焼装置では、バーナが二つの燃焼面を有し、ガス切替弁を制御して、一部の燃焼面が燃焼する部分燃焼状態と全部の燃焼面が燃焼する全面燃焼状態とに切り替え可能になっている。さらに、一般的に、通常の燃焼においては、最小設定燃料ガス量が設定されていて、最小設定燃料ガス量より少ない燃料ガス量で燃焼すると、炎がバーナの炎孔面に近づき過ぎて、炎が炎孔面を赤熱し、ガス種によってはガスの燃焼速度が速くなり、所定時間(例えば30分位)以上連続燃焼を行うと、炎が発する燃焼熱により炎孔面より下がるバック現象を生じ易くなる。
【0004】
バックアップ燃焼においては、熱交換器を加熱する際の効率の良さ、および温度上昇の緩やかさに起因する燃焼開始時および燃焼停止時の温度管理のし易さから、全面燃焼状態にして、その燃料ガス量を許容される限り少なくすることが求められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の燃焼装置では、バックアップ燃焼において、全面燃焼状態の最小設定燃料ガス量(流量調節弁の弁開度0%)では、図5に示すように、燃焼号数を大きく下げることができないで温度上昇が緩やかでないため、温度管理がし難く、また、部分燃焼状態では、熱交換器を加熱する際に非効率的であり、燃焼面が部分的に加熱されるおそれがあるという問題点があった。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、バックアップ燃焼において、温度管理がし易く、熱交換器を加熱する際に効率的であり、燃焼面が部分的に加熱されることがない燃焼装置および、その制御方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]受熱管(11,21)が設けられた熱交換部(72)と、該熱交換部(72)を加熱するバーナ(71)と、該バーナ(71)に接続したガス配管に介装される流量調節弁(75)と、前記バーナ(71)に送風する燃焼ファン(53)とを備えた燃焼装置において、
前記燃焼装置は、回転速度制御部(52)、回転速度補正部(51)、送風量検出部(56)、燃焼制御部(58)、ガス量制御部(55)、およびガス量補正部(54)を有し、
前記回転速度制御部(52)は、前記バーナ(71)に供給される燃料ガス量に応じて前記燃焼ファン(53)の回転速度を制御しており、
前記燃焼制御部(58)は、閉栓後の温度低下に対し、所定間隔時間で、閉栓した後の次の開栓の際に適切な温度にするのに必要な所定時間だけ前記バーナ(71)に点火するバックアップ燃焼を行うよう構成されており、
前記ガス量制御部(55)は、通常の燃焼を行う際には、最小設定燃料ガス量から最大設定燃料ガス量までの範囲で要求される燃料ガス量を前記バーナ(71)に供給するように、前記流量調節弁(75)の弁開度を制御しており、
前記ガス量補正部(54)は、前記バックアップ燃焼を行う際に、前記最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量をガス量制御部(55)に出力し、
前記送風量検出部(56)は、前記バーナ(71)への送風量を検出し、
前記回転速度補正部(51)は、バックアップ燃焼を行う場合に、前記補正燃料ガス量に対する目標風量を得るべく、前記送風量検出部(56)の検出値に基づく補正回転速度を前記回転速度制御部(52)に出力することを特徴とする燃焼装置。
【0007】
[2]受熱管(11,21)が設けられた熱交換部(72)と、該熱交換部(72)を加熱するバーナ(71)と、該バーナ(71)に接続したガス配管に介装される流量調節弁(75)とを備えた燃焼装置の制御方法において、
通常の燃焼を行う際に、ガス量制御部(55)が、最小設定燃料ガス量から最大設定燃料ガス量までの範囲で要求される燃料ガス量を前記バーナ(71)に供給するように、前記流量調節弁(75)の弁開度を制御し、閉栓後の温度低下に対し、所定間隔時間で、閉栓した後の次の開栓の際に適切な温度にするのに必要な所定時間だけ前記バーナ(71)に点火するバックアップ燃焼を行う際に、ガス量補正部(54)が、前記最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量をガス量制御部(55)に出力するようにし、送風量検出部(56)が前記バーナ(71)への送風量を検出し、回転速度補正部(51)が前記補正燃料ガス量に対する目標風量を得るべく、前記送風量検出部(56)の検出値に基づく補正回転速度を回転速度制御部(52)に出力するようにしたことを特徴とする燃焼装置の制御方法。
【0008】
[3]受熱管(11,21)が設けられた熱交換部(72)と、該熱交換部(72)を加熱するバーナ(71)と、該バーナ(71)に接続したガス配管に介装される流量調節弁(75)と、前記バーナ(71)に送風する燃焼ファン(53)とを備えた燃焼装置において、
前記燃焼装置は、燃焼面制御部(57)、回転速度制御部(52)、回転速度補正部(51)、送風量検出部(56)、燃焼制御部(58)、ガス量制御部(55)、およびガス量補正部(54)を有し、
前記バーナ(71)は、二以上の燃焼面を有しており、
前記燃焼面制御部(57)は、要求される発熱量に応じて、一部の燃焼面に着火する部分燃焼状態と、全ての燃焼面に着火する全面燃焼状態とに切り換えるべく、ガス切替弁を制御し、
前記回転速度制御部(52)は、前記バーナ(71)に供給される燃料ガス量に応じて前記燃焼ファン(53)の回転速度を制御しており、
前記燃焼制御部(58)は、閉栓後の温度低下に対し、所定間隔時間で、閉栓した後の次の開栓の際に適切な温度にするのに必要な所定時間だけ前記バーナ(71)に点火するバックアップ燃焼を全面燃焼状態で行うよう前記燃焼面制御部(57)に指示し、
前記ガス量制御部(55)は、通常の燃焼を行う際には、最小設定燃料ガス量から最大設定燃料ガス量までの範囲で要求される燃料ガス量を前記バーナ(71)に供給するように、前記流量調節弁(75)の弁開度を制御しており、
前記ガス量補正部(54)は、前記バックアップ燃焼を行う際に、前記最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量をガス量制御部(55)に出力し、
前記送風量検出部(56)は、前記バーナ(71)への送風量を検出し、
前記回転速度補正部(51)は、バックアップ燃焼を行う場合に、前記補正燃料ガス量に対する目標風量を得るべく、前記送風量検出部(56)の検出値に基づく補正回転速度を前記回転速度制御部(52)に出力することを特徴とする燃焼装置。
【0009】
次に、発明の作用について説明する。
[1]項記載の燃焼装置は、
燃焼制御部(58)は、閉栓後の温度低下に対し、所定間隔時間で、閉栓した後の次の開栓の際に適切な温度にするのに必要な所定時間だけバーナ(71)に点火するバックアップ燃焼を行う。ガス量補正部(54)は、バックアップ燃焼を行う際に通常の燃焼を行う際の最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量をガス量制御部(55)に出力する。また、バックアップ燃焼時には、送風量検出部(56)は、バーナ(71)への送風量を検出し、回転速度補正部(51)は、前記補正燃料ガス量に対する目標風量を得るべく、送風量検出部(56)の検出値に基づく補正回転速度を回転速度制御部(52)に出力する。
【0010】
通常の燃焼を行う際の最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量で熱交換部(72)が加熱されるため、温度上昇が緩やかになり、着火および消火の制御がし易く、熱交換部(72)の受熱管(11,21)内の温湯の温度管理が簡単になる。また、最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量であるため、有風に対する炎の安定性が低くなるが、送風量検出部(56)の検出値に基づき燃焼ファン(53)の回転数が制御されることから、バーナ(71)への実質的な目標風量が確保され、炎の安定性が低下する要因をなくすことができる。
【0011】
[2]項記載の燃焼装置の制御方法では、
同じく、最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量で熱交換部(72)が加熱されるため、温度上昇が緩やかになり、着火および消火の制御がし易く、熱交換部(72)の受熱管(11,21)内の温湯の温度管理が簡単になる。また、最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量であるため、有風に対する炎の安定性が低くなるが、送風量検出部(56)の検出値に基づき燃焼ファン(53)の回転数が制御されることから、バーナ(71)への実質的な目標風量が確保され、炎の安定性が低下する要因をなくすことができる。
【0012】
[3]項記載の燃焼装置では、
燃焼面制御部(57)は、要求される発熱量に応じて、一部の燃焼面に着火する部分燃焼状態と、全ての燃焼面に着火する全面燃焼状態とに切り換えるべく、ガス切替弁を制御する。
【0013】
燃焼制御部(58)は、閉栓後の温度低下に対し、所定間隔時間で、閉栓した後の次の開栓の際に適切な温度にするのに必要な所定時間だけ前記バーナ(71)に点火するバックアップ燃焼を全面燃焼状態で行うよう燃焼面制御部(57)に指示する。
【0014】
送風量検出部(56)は、バックアップ燃焼を行う際には、バーナ(71)への送風量を検出し、回転速度補正部(51)は、前記補正燃料ガス量に対する目標風量を得るべく、送風量検出部(56)の検出値に基づく補正回転速度を回転速度制御部(52)に出力する。
【0015】
バックアップ燃焼においては、全面燃焼であるから、バーナ(71)の燃焼面が部分的に加熱されるのを防止することができる。最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量であるため、炎が燃焼面をあぶるようになるが、燃焼時間が短いので、燃焼面の炎孔が熱せられても孔径が大きくなることがなく、また、ガス温度が上昇することがなく、燃焼速度が速くならないので、炎が炎孔内に戻るバック燃焼の発生は避けることができる。
【0016】
また、最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量であるため、有風に対する炎の安定性が低くなるが、送風量検出部(56)の検出値に基づき燃焼ファン(53)の回転数が制御されることから、バーナ(71)への実質的な目標風量が確保され、炎の安定性が低下する要因をなくすことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態について図1〜図4を参照して説明する。
図1はこの発明に係る燃焼装置の制御部ユニットの要部を示すブロック図である。図2はこの発明に係る燃焼装置の概略構成を示すものである。
【0018】
図1および図2に示すように、この燃焼装置は、一缶二水路式ガス給湯装置であり、一つの缶(図示せず)と、この缶の下部に収容されたバーナ71と、缶の上部に収容された熱交換部72と、バーナ71に燃焼空気を供給するための燃焼ファン53と、燃焼空気の風量を検出するための風量検出部56とを有している。バーナ71は二つの燃焼面A,Bを有している。
【0019】
上記バーナ71にガスを供給する手段は、ガス管73と、このガス管73にそれぞれ設けられた主電磁開閉弁74および流量調節弁75とを有している。また、バーナ71は二つの燃焼面を有し、各燃焼面に対応してガス切替弁76が設けられている。また、バーナ71の近傍には、点火機構(図示)が配置されている。
【0020】
上記バーナ71および熱交換部72は、給湯配管系10と追焚配管系20との両者に共通に用いられている。すなわち、上記熱交換部72は、多数の薄肉のフィンプレート72aを有しており、このフィンプレート72aには給湯配管系10の給湯水管である受熱管11と、追焚配管系20の追焚水管である受熱管21とがそれぞれ貫通状態で配置されている。
【0021】
まず、給湯配管系10について説明すると、上記受熱管11の入口端には、給湯配管系10の給水管12が接続され、出口端には給湯管13が接続されている。給湯管13の末端には給湯栓14が設けられている。また、給水管12と給湯管13との間には、2本のバイパス管15,16が受熱管11と並列に設けられている。図2において、バイパス管15と給水管12および給湯管13との接続点が符号P1,P2でそれぞれ示され、バイパス管16と給水管12および給湯管13との接続点が符号P3,P4でそれぞれ示されている。
【0022】
熱交換部72に近い方のバイパス管15には弁等が設けられておらず、給水管12内を流れ水は、接続点P1において受熱管11側とバイパス管12側とに常に一定の割合(例えば、70:30)で別れる。そして、接続点P2において再び合流する。
【0023】
一方、熱交換部72から速い方のバイパス管16には、第1の流量制御弁GM2が設けられている。この流量制御弁GM2は、例えば次のように構成されたギアモータ駆動式のものが用いられている。すなわち、ギアモータ駆動式の流量制御弁は、管内に設けられた環状の弁座と、この弁座に対して移動可能な弁体と、この弁体に一端部が固定されたシャフトと、このシャフトの他端部に減速ギヤ列を介して接続されたモータとを有している。上記シャフトは、弁ケースに螺合されている。
【0024】
したがって、モータが回転すると、シャフトがその軸方向へ移動し、これによって弁体と弁座との間の開度を変えることができるようになっている。したがって、接続点P3から給湯水管11側へ流れる水量とバイパス管16側へ流れる水量との割合は、適宜に変えることができる。なお、流量制御弁GM2と同様に構成された流量制御弁GM1が接続点P2,P4間の給湯管13にも設けられている。
【0025】
上記給湯配管系10には、第1、第2の二つのフローセンサFL1,FL2が設けられている。第1のフローセンサFL1は、接続点P1,P3間の給水管12に配置されており、第2のフローセンサFL2は、接続点P4と給湯栓14との間の給湯管13に配置されている。
【0026】
また、給湯配管系10には、4つの温度センサTHin、THz 、THout 、THmix が設けられている。温度センサTHinは、接続点P3より上流側の給水管12に配置されており、給水温度を検出する。温度センサTHz は、給湯水管11のベンド部に配置されており、給湯水管11内の水の温度を検出する。
【0027】
温度センサTHout は、給湯水管11の出口近傍の給湯管13も配置されており、給湯水管11から出る湯の温度を検出する。温度センサTHmix は、接続点P4より下流側の給湯管13に配置されており、給水栓14から出る湯の温度を検出する。
【0028】
一方、上記追焚配管系20であるが、上記受熱管21の入口端と浴槽77との間には復路管22が接続され、受熱管21の出口端と浴槽77との間には往路管23が接続されている。復路管22には、ポンプ24、温度センサTHhrおよび流水スイッチFSが設けられている。温度センサTHhrは、浴槽77から復路管22に流入する湯(または水)の温度を検出する。したがって、温度センサTHhrは、浴槽77内の湯の温度を実質的に検出する。
【0029】
また、往路管23には、温度センサTharが設けられている。温度センサTHarは、往路管23から浴槽77に流出する湯(または水)の温度を検出する。 また、流水スイッチFSは復路管22内を湯が流れているか否かを検出するためのものであり、復路管22内を湯が流れている場合にはON状態になり、流れていない場合にはOFF状態になっている。流水スイッチFSがOFF状態のときには、後述する追焚スイッチがON操作されたとしても、バーナ71を点火させないようになっている。
【0030】
上記給湯配管系10の給湯管13と追焚配管系20の復路管22との間には、浴槽77への湯張りのための注湯管30が設けられており、注湯管30と給湯管13および復路管22との接続点が符号P5,P6で示されている。注湯管30には、電磁開閉弁からなる注湯弁31が設けられている。
【0031】
上記給湯装置は、さらに、制御ユニット50とリモートコントローラ60とを備えている。制御ユニット50には、種々の検出手段からの検出信号が入力される。ここでは、温度センサTHin、THz 、THout 、THmix 、THhr、THar、フローセンサFL1,FL2および流水スイッチFSの検出信号が入力されている。なお、以下においては、各検出手段の検出信号には各検出手段と同一の符号を用いるものとする。制御ユニット50は、各検出信号に基づいて、ガス供給手段の主電磁開閉弁74および流量調節弁75、点火機構、燃焼ファン53、流量制御弁GM1,GM2、ポンプ24およぴ注湯弁31を制御する。
【0032】
一方、リモートコントローラ60は、運転スイッチ、風呂自動運転スイッチ、追焚スイッチ、温度設定部および表示部(いずれも図示せず)を備えており、これらのスイッチのON、OFF情報、設定温度情報を制御ユニット50に出力するとともに、これらの情報を表示部に表示する。後述するように、表示部は制御ユニット50からのエラー情報も表示する。
【0033】
上記構成の給湯装置を用いて給湯、追焚および自動湯張りを行う場合において、まず給湯を行う場合には、リモートコントローラ60の運転スイッチをON状態にし、給湯栓14を開く。すると、制御ユニット50は、設定温度、給水管12に供給される水の給水量FL1、給水温度THin、出湯温度THout および給湯量FL2に基づいて流量調節弁75および流量制御弁GM1,GM2を制御する。これにより、出湯栓14から設定温度に等しい温度の湯が吐出される。
【0034】
追焚を行う場合には、リモートコントローラ60の追焚スイッチをON状態にする。すると、まずポンプ24が起動され、浴槽77内の湯が復路管22および往路管23を通って循環する。復路管22内の湯の流れを流水スイッチFSが検出すると、バーナ71が点火される。これによって、浴槽77内の湯が加熱される。そして、温度センサTHhrによる検出信号が設定温度に達すると、自動的にバーナ71の燃焼が停止されるとともに、ポンプ24が停止される。
【0035】
自動湯張りを行う場合には、リモートコントローラ60の風呂自動運転スイッチをON状態にする。すると、注湯弁31が開弁され、給湯水管11において加熱された湯が注湯管30を通り、復路管22および往路管23を介して浴槽77に供給される。勿論、浴槽77に供給される湯の温度が設定温度になるように、制御ユニット50によって制御される。そして、浴槽77内に所定の量の湯が溜まると、浴槽77の水量を検出する検出手段(図示せず)の挨出信号に基づいて注湯弁31が閉じられるとともに、バーナ71の燃焼が停止され、湯張りが終了する。
【0036】
湯張りの終了後は、浴槽の湯をほぼ一定の温度に維持するための保温運転が行われる。保温運転中は、所定時間毎に追焚が実行される。すなわち、湯張りの終了後、所定時間経過すると、自動的に追焚が行われる。このときの追焚は、追焚スイッチをONにしたときの追焚と同様である。そして、浴槽77の湯の温度THhrが設定温度になると追焚が停止し、再度所定時間が経過するまでバーナ71およびポンプ24が停止した待機状態になる。
【0037】
ここで、制御ユニット50は、閉栓後の温度低下に対し、所定間隔時間で、閉栓した後の次の開栓の際に適切な温度にするのに必要な所定時間だけバーナに点火するバックアップ燃焼を行う際に、最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量をガス量制御部に出力して、補正燃料ガス量にて熱交換部を加熱する機能を有し、当該機能を有する部分の構成は図1に示すとおりである。制御ユニット50の当該部位は、回転速度補正部51、回転速度制御部52、燃焼ファン53、ガス量補正部54、ガス量制御部55、燃焼面制御部57、燃焼制限部58とを有して構成されている。
【0038】
通常燃焼時においては、燃料ガス量が少なすぎると炎がバーナ71の燃焼面を過熱するおそれがあり、このような燃焼面の過熱を防止すべく、燃料ガス量には適正範囲が設定されている。最小設定燃料ガス量とは、前記適正範囲を考慮しつつ設定された最小の燃料ガス量である。
【0039】
回転速度制御部52は燃焼ファン(図示省略)の回転速度を制御してバーナ71に送風する風量を調整するものである。回転速度補正部51は、バックアップ燃焼において、最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量に対する目標風量をバーナ71に実質的に送風すべく、風量検出部56の検出値に基づき、補正回転速度を回転速度制御部52に出力するものである。
【0040】
ガス量制御部55は、流量調節弁75の駆動回路であり、流量調節弁75の弁開度を制御して、要求される燃料ガス量を制御するものである。ガス量制御部55は、通常の燃焼においては、最小設定燃料ガス量(流量調節弁75の弁開度0%)から最大設定燃料ガス量(流量調節弁75の弁開度100%)までの間のガス量の流量を調整する。
【0041】
ガス量補正部54は、開栓時の通常の燃焼でなく閉栓時のバックアップ燃焼において、最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量をガス量制御部55に出力するものである。燃焼面制御部57は、要求される発熱量に応じて、一部の燃焼面に着火する部分燃焼状態(燃焼面A,Bのいずれか一方)と、全ての燃焼面に着火する全面燃焼状態(燃焼面A,Bの両方)とに切り換えるべく、ガス切替弁76を制御している。
【0042】
燃焼制御部58は、バックアップ燃焼において、通常の燃焼時に部分燃焼状態であった場合に、部分燃焼状態から全面燃焼状態に切り換えるための全面燃焼切換信号を燃焼面制御部57に出力する。要求される発熱量(号数)と流量調節弁75の弁開度との関係を図3に示す。
【0043】
バックアップ燃焼になり、補正燃料ガス量にて全面燃焼状態での燃焼が行われると、送風量が少なくなり、有風時の炎の安定性が低くなる傾向にあるが、炎が不安定になるような不具合を防止するために、制御ユニット50によって、次のような制御が実行されている。この制御を図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0044】
まず、リモートコントローラ60によって、運転スイッチのオンオフが行われ、給湯温度の設定が行われる。ここで、例えば、リモコン60により設定されている温度が40℃で、水温15℃である場合、リモコンにより設定される温度に関して、上限温度及び下限温度をプラスマイナス3℃で、バイパス比が8(熱交換器側)対2(バイパス側)とすると、その時の水温等の条件に基づいて予め与えられた演算式により決定する。例えば、熱交換器内の上限温度に対応する温度は50℃、設定温度は46.2℃、下限温度に対応する温度は42.5℃となる。
【0045】
運転モードにおいては、バックアップ燃焼の要求が有るかを判断する(ステップS101)。燃焼制御部58は、バックアップ燃焼の要求があると、現行の燃焼状態が全面燃焼状態であるかを判断し(ステップS102)、部分燃焼状態であれば、燃焼面制御部57に切替信号を出力し、燃焼面制御部47がガス切替弁76を切替え、全面燃焼状態になる(ステップS103)。
【0046】
全面燃焼状態になると、ガス量補正部54が補正燃料ガス量を算出し、ガス量制御部55が流量調節弁75を制御するとともに、回転速度制御部52が、補正ガス量に応じた目標風量を算出し、その目標風量をバーナ71に送風すべく、燃焼ファン53の回転速度を制御する(ステップS104)。風量検出部56は、燃焼ファン53の実質的な送風量を検出し、回転速度補正部51は、検出された送風量が前記目標風量であるかを判断する(ステップS105)。
【0047】
検出された送風量が前記目標風量でない場合に、ステップS104に戻り、回転速度補正部51は、検出される送風量が前記目標風量になるよう補正回転速度を算出し、回転速度補正部51は、補正回転速度を回転速度制御部52へ出力する。回転速度制御部52は、補正回転速度で燃焼ファン53を制御する。
【0048】
それにより、有風の際にも、目標風量が実質的にバーナ71に送風され、炎の安定性を維持することができる。また、補正燃料ガス量が最小設定燃料ガス量よりすくないため、温度上昇が緩やかになり、バーナ71の燃焼のオンオフ制御がし易くなり、受熱管11,21内の温湯の温度管理を簡易にすることができる。詳述すると、最小設定ガス量での1回のバックアップ燃焼時間が2秒とすると、着火が0.5秒遅れただけで予定供給燃焼量が25%も少なくなってしまう。それに対し、本願発明では、あえて赤熱による自然バックアップ燃焼での供給熱量制御を行うものである。
【0049】
また、バックアップ燃焼においては、最小設定燃料ガス量よりその燃料ガス量が少ないことから炎が燃焼面を加熱することは避けられないが、燃焼時間が短いため、燃焼面が過熱されることがなく、炎が燃焼面の炎孔内に戻るバック燃焼を避けることができる。
【0050】
検出された送風量が前記目標風量である場合に、また、検出された送風量が前記目標風量になった場合に、燃焼制御部58は、当該補正燃料ガス量、および目標風量にて、バックアップ燃焼を維持するかを判断する(ステップS106)。
【0051】
バックアップ燃焼を維持するのであれば、ステップS105に戻る。バックアップ燃焼を維持しないのであれば、ステップS101に戻る。ステップS101において、バックアップ燃焼の要求がなければ、通常の燃焼モードが維持され(ステップS108)、ステップS101に戻る。
【0052】
なお、前記実施の形態において、バックアップ燃焼において、ガス量補正部54が補正燃料ガス量および目標風量をそれぞれ算出するものを示したが、補正燃料ガス量および目標風量を予め設定しておいても良い。
また、燃焼装置として、一つの熱交換部72内に給湯用および追焚用の受熱管11,21を配した一缶2水路式給湯装置を示したが、別個の熱交換部に受熱管11,21をそれぞれ配したものであってもよい。
さらに、バックアップ燃焼において、全面燃焼状態に切替えるものを示したが、部分燃焼状態(A面燃焼またはB面燃焼)のまま切替えないで、燃料ガス量を補正するようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、発明によれば、バックアップ燃焼を行う際に、ガス量補正部が最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量をガス量制御部に出力するようにしたので、最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量で熱交換部が加熱されるため、温度上昇が緩やかになり、着火および消火の制御がし易く、熱交換部の受熱管内の温湯の温度管理を簡単にすることができる。また、バックアップ燃焼を行う際に、最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量をガス量制御部に出力し、バーナへの送風量を検出し、回転速度補正部が、前記補正燃料ガス量に対する目標風量を得るべく、送風量検出部の検出値に基づく補正回転速度を回転速度制御部に出力するようにしたので、有風に対する炎の安定性が低くなるが、送風量検出部の検出値に基づき燃焼ファンの回転数が制御されることから、バーナへの実質的な目標風量が確保され、炎の安定性が低下する要因をなくすことができる。
【0054】
請求項3に係る発明によれば、バックアップ燃焼を全面燃焼状態で行うよう燃焼面制御部に指示したので、バーナの燃焼面が部分的に加熱されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る燃焼装置の制御部ユニットの要部を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る燃焼装置の概念図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る燃焼装置における号数と流量調節弁の弁開度との関係図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る燃焼装置のバックアップ燃焼制御の流れ図である。
【図5】従来の燃焼装置における号数と流量調節弁の弁開度との関係図である。
【符号の説明】
THhr,THar…温度センサ
FL1,FL2…フローセンサ
10…給湯配管系
11…受熱管
17…逆止弁
18…過圧逃がし弁(ブローバルブ)
20…追焚配管系
21…受熱管
50…制御ユニット
51…回転速度補正部
52…回転速度制御部
53…燃焼ファン
54…ガス量補正部
55…ガス量制御部
56…風量検出部
57…燃焼面制御部
58…燃焼制御部
60…リモートコントローラ
71…バーナ
72…熱交換部
74…主電磁開閉弁
75…流量調節弁
76…ガス切替弁
77…浴槽

Claims (3)

  1. 受熱管が設けられた熱交換部と、該熱交換部を加熱するバーナと、該バーナに接続したガス配管に介装される流量調節弁と、前記バーナに送風する燃焼ファンとを備えた燃焼装置において、
    前記燃焼装置は、回転速度制御部、回転速度補正部、送風量検出部、燃焼制御部、ガス量制御部、およびガス量補正部を有し、
    前記回転速度制御部は、前記バーナに供給される燃料ガス量に応じて前記燃焼ファンの回転速度を制御しており、
    前記燃焼制御部は、閉栓後の温度低下に対し、所定間隔時間で、閉栓した後の次の開栓の際に適切な温度にするのに必要な所定時間だけ前記バーナに点火するバックアップ燃焼を行うよう構成されており、
    前記ガス量制御部は、通常の燃焼を行う際には、最小設定燃料ガス量から最大設定燃料ガス量までの範囲で要求される燃料ガス量を前記バーナに供給するように、前記流量調節弁の弁開度を制御しており、
    前記ガス量補正部は、前記バックアップ燃焼を行う際に、前記最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量をガス量制御部に出力し、
    前記送風量検出部は、前記バーナへの送風量を検出し、
    前記回転速度補正部は、バックアップ燃焼を行う場合に、前記補正燃料ガス量に対する目標風量を得るべく、前記送風量検出部の検出値に基づく補正回転速度を前記回転速度制御部に出力することを特徴とする燃焼装置。
  2. 受熱管が設けられた熱交換部と、該熱交換部を加熱するバーナと、該バーナに接続したガス配管に介装される流量調節弁とを備えた燃焼装置の制御方法において、
    通常の燃焼を行う際に、ガス量制御部が、最小設定燃料ガス量から最大設定燃料ガス量までの範囲で要求される燃料ガス量を前記バーナに供給するように、前記流量調節弁の弁開度を制御し、閉栓後の温度低下に対し、所定間隔時間で、閉栓した後の次の開栓の際に適切な温度にするのに必要な所定時間だけ前記バーナに点火するバックアップ燃焼を行う際に、ガス量補正部が、前記最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量をガス量制御部に出力するようにし、送風量検出部が前記バーナへの送風量を検出し、回転速度補正部が前記補正燃料ガス量に対する目標風量を得るべく、前記送風量検出部の検出値に基づく補正回転速度を回転速度制御部に出力するようにしたことを特徴とする燃焼装置の制御方法。
  3. 受熱管が設けられた熱交換部と、該熱交換部を加熱するバーナと、該バーナに接続したガス配管に介装される流量調節弁と、前記バーナに送風する燃焼ファンとを備えた燃焼装置において、
    前記燃焼装置は、燃焼面制御部、回転速度制御部、回転速度補正部、送風量検出部、燃焼制御部、ガス量制御部、およびガス量補正部を有し、
    前記バーナは、二以上の燃焼面を有しており、
    前記燃焼面制御部は、要求される発熱量に応じて、一部の燃焼面に着火する部分燃焼状態と、全ての燃焼面に着火する全面燃焼状態とに切り換えるべく、ガス切替弁を制御し、
    前記回転速度制御部は、前記バーナに供給される燃料ガス量に応じて前記燃焼ファンの回転速度を制御しており、
    前記燃焼制御部は、閉栓後の温度低下に対し、所定間隔時間で、閉栓した後の次の開栓の際に適切な温度にするのに必要な所定時間だけ前記バーナに点火するバックアップ燃焼を全面燃焼状態で行うよう前記燃焼面制御部に指示し、
    前記ガス量制御部は、通常の燃焼を行う際には、最小設定燃料ガス量から最大設定燃料ガス量までの範囲で要求される燃料ガス量を前記バーナに供給するように、前記流量調節弁の弁開度を制御しており、
    前記ガス量補正部は、前記バックアップ燃焼を行う際に、前記最小設定燃料ガス量より少ない補正燃料ガス量をガス量制御部に出力し、
    前記送風量検出部は、前記バーナへの送風量を検出し、
    前記回転速度補正部は、バックアップ燃焼を行う場合に、前記補正燃料ガス量に対する目標風量を得るべく、前記送風量検出部の検出値に基づく補正回転速度を前記回転速度制御部に出力することを特徴とする燃焼装置。
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