JP3834372B2 - 排水性舗装における排水構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、排水性舗装における排水構造に関し、特に、排水性舗装の側端部に沿って設置され、排水性舗装を通過しつつ側端部に向かって横断方向に流下してくる水を集めて縦断方向に流下排出するための排水構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
排水性舗装は、透水機能を有する舗装体として知られるもので、この排水性舗装は、舗装体の表層部分に高い空隙率を確保するとともに、基層部分やこれの下方部分をアスファルト混合物やセメント系の硬化体などを用いて不透水層とすることにより、路面に降り注いだ雨水等を、下方に位置する路盤や路床などに浸透させることなく、かつ路面にこれらの雨水等を流出あるいは滞留させることなく、表層部分の空隙を介して、路面の側方に設けた排水溝等に流下排水させるものである。
【0003】
すなわち、この排水性舗装は、その表層部分が、例えば15〜25%程度の空隙率と、1×10-2〜1×10-1程度の透水係数を有し、これの排水機能によって、雨天時等における、水はねや、濡れた路面を車両が高速で走行する際に回転するタイヤから発生する水しぶきにより視界が悪くなる現象であるスモーキング現象、あるいはタイヤと路面との間に水膜ができてすべり抵抗がなくなった状態となるハイドロプレーニング現象等を軽減するとともに、その高い空隙率により、走行時においてタイヤが路面に接する際に、トレッドによって圧縮された空気が溝から急激に放出されて生じる破裂音であるタイヤポンピング音を吸収軽減し、これらによって、車両の快適な走行性と、沿道の環境改善を図ることができるものであり、このような優位性からここ数年施工延長の急激な伸びを示している。
【0004】
そして、このような排水性舗装では、浸透流下してきた水をその側端部から排水溝などに直接排水しながら排除するようにすることが好ましいが、多くの市街地道路、幹線道路、高速道路などでは、舗装面の側端部に沿って街渠や側溝等の不透水性のコンクリート構造物が設けられているため、これらによって側方への流下が遮断された水は、かかるコンクリート構造物に沿って道路の縦断方向へ流下した後、取水口から街渠枡や集水枡などに排水されることになる。
【0005】
したがって、このようなコンクリート構造物に沿った道路の縦断方向への排水性舗装内の水の流下を促進して、浸透水の滞留や舗装表面への浸出を防止するための手段が種々開発されており、かかる排水構造として、例えば特開平8−93041号公報には、排水性表層部の縦断方向縁部に沿ってスパイラル状の浸透水案内部材を排水性舗装内に埋設配置し、この浸透水案内部材を排水枡や排水パイプなどの排水手段に接続するようにしたものが開示されている。
【0006】
すなわち、上記公報に記載された排水構造によれば、図4に示すように、路盤50上に基層51を、その端縁部51aをコンクリート製路肩52から離間した状態で敷設し、この離間部分53の周囲に防水層54を形成してこの離間部分53にスパイラル状の透水性案内部材55を配設した後、排水機能を備える表層56を、離間部分53をも充填するようにして基層51の上方に敷設することによって構成されることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の排水構造によれば、透水性案内部材55は離間部分53に配設さる一方で、この離間部分53は、排水機能を備える表層56が充填されていることにより透水性を有するため、表層56内を横断方向に流下して離間部分53に至った水は、その大部分が透水性案内部材55の内部に集積されることなく離間部分53に滞留することになって、透水性案内部材55の排水空間を有効に利用することができず、排水効率を十分に確保することができないという課題があった。
【0008】
そこで、この発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、排水性舗装を通過しつつその側端部に向かって横断方向に流下してくる水を効率良く集めて縦断方向に流下排出してゆくことのできる排水性舗装における排水構造を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、請求項1に係る発明は、排水性舗装の側端部に沿って設置され、該排水性舗装の表層を通過しつつ前記側端部に向かって横断方向に流下してくる水を集めて縦断方向に流下排出するための排水構造であって、上面に断面円弧状の凹部を有するとともに、該凹部内に流入する水が下方へ浸透するのを阻止し、前記凹部の内面に沿って水を流下させる遮水性受台と、該遮水性受台の凹部にその一部をはめ込むようにして設置されるとともに、内側に前記凹部内に流入する水を導いて内面に沿って流下させる多孔管とを備え、前記遮水性受台が、前記排水性舗装の基層を構成する不透水性舗装と隣接接合した状態で該不透水性舗装の天端面より下方に設置され、前記多孔管の前記遮水性受台から上方に突出する部分が、前記不透水性舗装の上方に敷設される前記排水性舗装の表層に埋設設置されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の排水性舗装における排水構造であって、前記多孔管は、前記遮水性受台の凹部内に下半部分をはめ込むようにして設置されていることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の排水性舗装における排水構造であって、前記遮水性受台が、ウレタン製のものからなることを特徴とする。
さらに、請求項4に係る発明は、請求項1から3の何れかに記載の排水性舗装における排水構造であって、前記多孔管が、ネット状パイプの外周に、スパイラル状のリブ部材を一体加工したものからなることを特徴とする。
【0012】
そして、この発明の排水性舗装における排水構造によれば、遮水性受台が、舗装の側端部において、排水性舗装の基層を構成する不透水性舗装と隣接接合した状態で当該不透水性舗装の天端面より下方に配設されていることにより、排水性舗装の表層を浸透通過しつつ側端部に向かって流下してくる水は、遮水性受台の断面円弧状の凹部に流入することになる。
【0013】
一方、多孔管は、断面円弧状の凹部にその一部をはめ込むようにして遮水性受台に設置されることにより、この凹部に流入した水の大部分が、下方へ浸透して行くことなく多孔管の内側に集まることになり、これによって、多孔管の内面に沿ってスムースに流下してゆくことになる。
【0014】
すなわち、この発明によれば、遮水性舗装の側端部に至った水の大部分を多孔管の内部及び遮水性受台の凹部に容易に保持することができ、これによって水の滞留を抑制しながら、多孔管の内側及び遮水性受台の凹部内面の大きな通水断面の流路を介して、排水性舗装の水を効率良く、かつスムーズに流下排出していくことが可能になる。
また、多孔管は、遮水性受台の凹部内に下半部分をはめ込むようにして設置されていることにより、排水性舗装の水を更に効率良くスムーズに流下排出させることができる。
【0015】
また、前記遮水性受台としてウレタン製のものを使用すれば、これが軽量でかつ可撓性に富むとともに、カッタ等により簡単に切断することができるため、運搬や取り付け作業を容易に行うことが可能になる。
【0016】
さらに、前記多孔管として、ネット状パイプの管外周にスパイラル状のリブ部材を一体加工したものを使用すれば、ネットの編み目を構成する多数の孔による高い開口率によって、表層を流下してきた水に対する優れた吸水性を確保することができるとともに、スパイラル状のリブ部材によって耐圧強度を確保することができ、また、リブ部材は、外周面のみに突出して内面の平滑性が保持されるので、内部を流路とする優れた排水性を容易に確保することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。この実施形態にかかる排水性舗装における排水構造10は、図1に示すように、排水性舗装11の側端部に沿って設置され、排水性舗装11を通過しつつ側端部に向かって横断方向Xに流下してくる水を集めて縦断方向に流下排出するため設けられたものである。
【0018】
ここで、排水性舗装11は、路盤12上にタックコートを散布した後、例えば5cm程度の厚さで敷設施工された基層としての不透水性アスファルト層13と、この不透水性アスファルト層13の表面にゴム粒子が混入されたタックコートを例えば0.4リットル/m3 の量で散布した後、不透水性アスファルト層13の上方に例えば5cm程度の厚さで敷設施工された、表層としての透水性アスファルト層14とによって構成されている。
【0019】
なお、透水性アスファルト層14は、例えば15〜25%程度の空隙率と、1×10-2〜1×10-1程度の透水係数を有し、舗装の表面に降り注いだ降雨などによる表面水を、透水性アスファルト層14の骨材間の隙間を介して内部に浸透させ、不透水性アスファルト層13の勾配により排水性舗装11の側端部に向かって流下させることができるようになっている。
【0020】
そして、この実施形態の排水構造10は、排水性舗装11の側方に設けられたコンクリート構造物である街渠15に沿うようにして、排水性舗装11の側端部に設置されたもので、図2に拡大して示すように、上面に断面円弧状の凹部を有する遮水性受台16と、この遮水性受台16の凹部に下半部分をはめ込むようにして設置される多孔管17とによって構成されている。
【0021】
ここで、遮水性受台16は、例えば幅50mm、高さ25mmの断面矩形状でかつ、上面側に半円弧状の凹部を有するように延伸加工されたウレタン製の部材であって、路盤12を転圧施工した後、不透水性アスファルト層13を形成する前に、街渠15に沿わせながらコンクリート釘などを使用して設置する。
【0022】
一方、多孔管17は、図3に示すように、ネット状パイプ18の外周に、スパイラル状のリブ部材19を一体加工したものからなる、例えば内径35mm、外径45mmのポリオレフィン類製の円筒状の部材であって、具体的には、40kg/10cm程度の扁平強度を有するものを使用することができる。
【0023】
また、この多孔管17は、遮水性受台16の設置後に、これの半円弧状の凹部に下半部分をはめ込むようにして設置されることになるが、長期間の使用により目詰まりが生じたり損傷した場合には、適宜取り外して清掃や修理を行なうことができ、また新しいものと交換することもできる。
【0024】
なお、ウレタン製の遮水性受台16やポリオレフィン類製の多孔管17は、軽量でかつ可撓性に富むとともに、カッタ等により簡単に切断することができるため、運搬や取り付け作業を容易に行うことができる。また、多孔管17の街渠桝や集水桝等の排水設備への接続は、市販の塩化ビニル製やポリエチレン製のチーズ継手やエルボ継手を介して容易に行うことができる。
【0025】
そして、このようにしてこの実施形態の排水構造10を設置したら、上述のように路盤12上にタックコートを散布して、不透水性アスファルト層13の施工を行う。かかる不透水性アスファルト層13は、機械施工により舗設されることになるが、その際に、図1に示すように、端部200mm程度をすりつけ部20とし、遮水性受台16の側面部を型枠代わりとして人力によりアスファルト混合物を敷き均した後、ローラー等を用いて転圧する。また、不透水性アスファルト層13の施工終了後、遮水性受台16と不透水性アスファルト層13との接合部分に、例えばタックコートを2度塗りして、水の進入を防止するようにする。
【0026】
次に、不透水性アスファルト層13の上方に、多孔管17を埋設しながら街渠15にすり付けるようにして、透水性アスファルト層14が機械施工により舗設されることになるが、かかる転圧作業中、多孔管17は、リブ部材19により補強されて相当の扁平耐圧強度を有し、形状保持性に優れるので、その通水断面を強固に保持しつつ排水性舗装11の側端部に埋設設置されることになる。
【0027】
そして、このようにして排水性舗装11の側端部に沿って設置されたこの実施形態の排水構造10によれば、排水性舗装11の透水性アスファルト層14内を側端部に向かって浸透流下してきた水は、遮水性受台16の断面円弧状の凹部に流入しようとして、この凹部に下半部分をはめ込まれた多孔管17の内部にネット状パイプ18の編目を介して吸水され、多孔管17の内側及び遮水性受台16の凹部内面の大きな排水空間を介して、スムースに流下してゆくことになる。
【0028】
なお、多孔管17のリブ部材19は、ネット状パイプ18の外周面のみに取り付けられて、多孔管17の内面の平滑性が保持されるので、多孔管17の内部を流路とする優れた排水性を容易に確保することが可能である。
【0029】
すなわち、この発明によれば、排水性舗装11の側端部に至った水の大部分を多孔管17の内部に容易に集めることができ、これによって水の滞留を抑制しながら、排水性舗装の水を、効率良く流下排出して行くことができる。
【0030】
なお、この発明は、上記実施形態の実施の態様のものに限定されるものではなく、各請求項に記載された構成の範囲内において種々に変更して採用することができる。例えば、遮水性受台は、ウレタン製のものを用いる必要は必ずしもなく、断面円弧状の凹部を有する遮水性部材であれば、コンクリート製品やモルタル製品あるいはその他の石油化学製品等を用いて設置することができ、また、多孔管17としては、ポリオレフィン類製のものに限定されることなく、その他の既知の多孔管を使用することもできる。
【0031】
また、多孔管の内部に浄化剤を充填して、排水される水の浄化を図ることもできる。
【0032】
【発明の効果】
以上、説明したように、この発明の排水性舗装における排水構造によれば、上面に断面円弧状の凹部を有するとともに、この凹部内に流入する水が下方へ浸透するのを阻止し、前記凹部の内面に沿って水を流下させる遮水性受台と、この遮水性受台の凹部にその一部をはめ込むようにして設置されるとともに、内側に前記凹部内に流入する水を導いて内面に沿って流下させる多孔管とを備え、遮水性受台が、排水性舗装の基層を構成する不透水性舗装と隣接接合した状態で不透水性舗装の天端面より下方に設置され、多孔管の遮水性受台から上方に突出する部分が、不透水性舗装の上方に敷設される排水性舗装の表層に埋設設置されるという構成を有しているので、排水性舗装の側端部に至った水の大部分を、多孔管の内部及び遮水性受台の凹部内面に容易に集めることができ、滞留を抑制しながら、多孔管の内側及び遮水性受台の凹部内面の大きな通水断面の流路を介して効率良くかつスムーズに流下排出させることができる。
また、多孔管を、遮水性受台の凹部内に下半部分をはめ込むように設置することにより、排水性舗装の側端部に至った水の大部分を更に効率良くかつスムーズに流下排水させることができる。
さらに、遮水性受台をウレタン製とすることにより、遮水性受台を軽量で可撓性に富むものとすることができるとともに、カッタなどにより簡単に切断できることになるので、運搬や取り付け作業を容易に行うことができる。
さらに、多孔管を、ネット状パイプの外周にスパイラル状のリブ部材を一体加工したものとすることにより、リブ部材によって多孔管を補強することができるので、通水断面を保持することができる。また、多孔管の内面の平滑性を保持することができるので、優れた排水性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかる排水構造を設置した排水性舗装の構成を説明する断面図である。
【図2】この発明の一実施形態にかかる排水構造の構成を示す、図1のA部拡大図である。
【図3】多孔管の一例を示す斜視図である。
【図4】従来の排水構造の構成を説明する断面図である。
【符号の説明】
10 排水構造
11 排水性舗装
12 路盤
13 不透水性アスファルト層(基層)
14 透水性アスファルト層(表層)
15 街渠
16 遮水性受台
17 多孔管
18 ネット状パイプ
19 リブ部材
Claims (4)
- 排水性舗装の側端部に沿って設置され、該排水性舗装の表層を通過しつつ前記側端部に向かって横断方向に流下してくる水を集めて縦断方向に流下排出するための排水構造であって、
上面に断面円弧状の凹部を有するとともに、前記凹部内に流入する水が下方へ浸透するのを阻止し、前記凹部の内面に沿って水を流下させる遮水性受台と、
該遮水性受台の凹部にその一部をはめ込むようにして設置されるとともに、内側に前記凹部内に流入する水を導いて内面に沿って流下させる多孔管とを備え、
前記遮水性受台が、前記排水性舗装の基層を構成する不透水性舗装と隣接接合した状態で該不透水性舗装の天端面より下方に設置され、前記多孔管の前記遮水性受台から上方に突出する部分が、前記不透水性舗装の上方に敷設される前記排水性舗装の表層に埋設設置されることを特徴とする排水性舗装における排水構造。 - 前記多孔管は、前記遮水性受台の凹部内に下半部分をはめ込むようにして設置されていることを特徴とする請求項1に記載の排水性舗装における排水構造。
- 前記遮水性受台が、ウレタン製のものからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水性舗装における排水構造。
- 前記多孔管が、ネット状パイプの外周に、スパイラル状のリブ部材を一体加工したものからなることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の排水性舗装における排水構造。
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