JP3834064B2 - 皮のなめし方法 - Google Patents

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Description

本発明は、得られた全銀面革又は床革を靴といったさまざまな製品の製造に利用することを目的とする、皮のなめし方法に関する。
既知の工業的なめし方法は、特にクロム塩といった有機又は無機作用物質又はタンニンの化学的作用の下で動物の天然の原皮を革に加工することを目的とする一連の作業から成る。なめし方法の目的は、皮を腐食しないものにし、得られた革に対し、その後の製造作業に適した特に温度耐性といった機械的強度特性を付与することにある。既存のなめし方法は、革の特性のこの最適化を可能にするが、クロムといった再利用や除去が困難な金属を利用するため、環境にとって不利であることがわかっている。その上クロムといった金属の利用は、時としてそのアレルギー発現性作用のためユーザー側の反応を発生させる。その上、これらの従来の方法において、なめし作業は、副産物を構成する床革には適用されず、従って、分割及びシェービングといったような作業の使用後に得られる廃棄物の再利用を可能にするものではない。
上述の欠点を補正するため、FR−A−2 711145号では、一方では床革に対するこの方法の利用、他方では床革又は全銀面革からシェービング後に得られる廃棄物の再利用を可能にするような形で、クロムの利用をことごとく除外する皮のなめし方法が提案された。
しかしながら、この方法がもつ利点にもかかわらず、このなめし方法によって得られる革の収縮温度が、クロムでのなめし方法によって処理された革の収縮温度よりも低く、このため、特に履物の製造用といった完成品の製造段階の際に温度に対する革の耐性の問題が生じる可能性があるということが確認された。
この欠点を補正するため本発明は、処理された革の収縮温度を上昇させるような形でクロムを含まないこのタイプのなめし方法を改善することを提案している。
このため、本発明は、特に80℃の高い革収縮温度を必要とする完成品の製造のために利用される革を加工することを目的とする皮のなめし方法において、なめしに先立って、水戻し段階と呼ばれる第1の段階で皮を洗浄すること、次に、後の分割作業において、銀面革と呼ばれる表側の革及び床革と呼ばれる肉面の革への皮の分離を可能にするための石灰漬け作業にこれを付すことから成るタイプのなめし方法であって、銀面革内に含まれた富石灰といったアルカリ性物質が、脱灰と呼ばれる作業中に酸を用いた中和により除去され、一方床革は、その軟化を可能にすることを目的としてピックリング作用に付され、さらに次に2段階でのその後のなめし作業を実施することを含み、このなめし作業には、それ自体既知のシェービング作業の前の予備なめし段階、それ自体既知のシェービング作業の後のなめし段階が含まれ、少なくとも前記予備なめし段階は、ピックリングされた床革又は脱灰された銀面革を、アルデヒド、タンニン及び/又はアクリル樹脂ベースの硫酸クロムを含まない混合物の化学的作用に付すことから成り、該混合物にはさらに、コロイド懸濁状態のシリカベースの無機生成物が含まれていることを特徴とする皮なめし方法に関する。
かくして、予備なめし作業中にコロイド懸濁状態のシリカベースの無機生成物を導入することによって、クロムを用いない以前の方法により処理された革に比べてその収縮温度が上昇した、本発明の方法により処理された革を得ることが可能となるということが確認できた。
革の製造のためのなめし方法において利用され、工場の残留水に高レベルで含有されている助剤の部分的又は全面的置換を可能にするアルミノシリケートといったシリカベースの化合物のなめし剤の物性は、わかっている。
かくして、酸性媒質での問題点をすべて避けるような形でリン酸エステル、ケトン、アルコール、アミド、エーテルといったような水素を固定するドナー有機化合物を添加した酸性媒質の中で、ケイ酸アルミニウムを唯一のなめし剤として利用することが提案された(US−A−2395472)。これらの添加はこの方法を複雑にし、かつ高価なものとするため、工業的には利用できなかった。
特許EP−B−0 005 546号の方は、クロムのなめし作業又はクロム、アルミニウム及びケイ素を含むなめし用材料との組合せ型なめし作業において、ジ及び/又はトリカルボン酸及び/又はその部分エステルと組合わせた形で水不溶性のアルミノシリケートを利用することを推奨することによって、特にクロムを含むなめし材料といった一般に用いられている含有率の高い助剤の利用を削減することを提案していた。ジカルポン酸及び/又はトリカルボン酸と組合せた形でのこのアルミノシリケートの利用は、クロムでのなめし方法の節約及び環境の負荷の減少に有利に作用する。
この特許の中で記述されているなめし作業は、通常の要領で実施され、ピックリングとなめし作業をそれ自体既知の要領で組合わせることができ、その後、革の加脂が行なわれる。なめし浴の中で無水生成物について計算された1リットルあたり約10〜50gのケイ酸アルミニウムが利用され、利用された酸は、1リットルあたり1〜20gの量でなめし浴の中に導入される。
当然のことながら、アニオン、カチオン又は非イオン界面活性剤、クロム塩などといった通常の助剤及び活性物質も同様に利用される。この方法の間に利用されるケイ酸アンモニウムは一般に結晶質又は非晶質の形を呈し、合成であっても天然であってもよく、直接調製されても市販のものを導入してもよく、さらに、好ましくは2.5〜5のpH好ましくは3.5〜4.5のpHの範囲内で少なくとも部分的な酸中可溶性を呈する。
特許EP−B−0 007 555は、同様にEP−B−0 005 546に記述した方法と同じ利点を提供するクロム、アルミニウム及びケイ素を含むタンニンと組合わせたなめし作業又はクロムでのなめし作業において、エステル及び/又はウレタン及び/又はアミド基を含有するカルボン酸と組合わせた状態で非不溶性のアルミノシリケートを利用することを推奨するなめし方法を提案している。
しかしながら、汚染性物質含有量の低下にもかかわらず、上述の最後の2つの方法はひきつづき前記汚染性物質、特にクロムを利用するものである。
上述の方法のこれらの欠点を補正する目的で、本発明の方法に従うと、予備なめし段階中に、予期しない形で、硫酸クロムを含まない混合物によって単純に処理された革に比べ上昇した収縮温度を呈する、クロムを利用せずに処理された革を得るような要領で、シリカベースの無機生成物を有するアルデヒド、タンニン及び/又はアクリル樹脂ベースで硫酸クロムを含まない混合物が導入される。
好ましくは、コロイド懸濁状態のシリカベースの無機生成物は、非晶質シリカコロイド懸濁液の形をとる。
本発明は同様に、皮の肉面と表側から成ることを特徴とする、前記方法を利用して得られる革にも関する。
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の記述及び、本発明の目的である方法の一覧を表わす唯一の添付図面を参照することによりさらに明確になることだろう。
唯一の図に表わされた図式に従うと、まだ毛が付いた状態で購入した原皮に対し実施される最初の作業は、分割つまり水づけ皮を2つの部分すなわち床革とも呼ばれる肉面と銀面革と呼ばれる表側に分離する作業を可能にするように皮を洗浄し脱毛することから成る。ステップ1は、これらの作業を水戻し、石灰漬け及び分割という用語でまとめている。従って水戻し作業は、皮を洗浄することから成る。ひとたび洗浄されると、この皮は、脱毛と同時に又はその後に、例えば皮を特に富石灰乳を用いた分割作業の際のその分離後の作業をより受入れやすいものにする目的で皮の準備の整った状態での加水分解を誘発するような形でアルカリ処理を実施することから成る石灰漬け作業に付される。
まず最初に銀面革の変転について取扱う。銀面革はまず最初にステップ2で脱灰作業を受ける。脱灰は実際、水づけ皮が保持するアルカリ性物質を除去するような形で皮の中に含有された石灰を酸により中和する作用から成る。この作業がひとたび実施されたならば、銀面革は、脱灰を受けた銀面革の予備なめしから成るステップ3に付される。
この予備なめし段階は、さらにコロイド懸濁状態のシリカベースの無機生成物を含む合成又は有機タンニン、アクリル樹脂及び/又はアルデヒドベースの混合物を用いて実施される。
好ましくは、pH10〜10.5の範囲内のアルカリ性媒質で安定化された30重量%のSiO2の非晶質シリカのコロイド懸濁液が利用される。
好ましくは、コロイド懸濁状態のシリカは、分割重量との関係において2〜4重量%の割合でもたらされ、コロイド懸濁状態のシリカ粒子の直径は、革のより良い浸透を可能にするような形で10×10-6mm以下である。
ステップ4では、かくして得られた革の脱水を行ない、その後段階つまりここでいうステップ5では、ブランク分割と呼ばれる銀面革の新たな分割に着手する。
その後、ステップ6では、かくして得られた革を選別し、ステップ7では、シェービング作業を実施する。このステップでは、革の厚みを均等にするような形でその厚みを等化させる。一般にこの等化は、肉面の細かい切り屑の除去によって行なわれる。
これらの廃棄物を特に農業用肥料として利用可能にするためには、ブレードの回転速度を低下させることによりシェービング機を修正する。かくしてシェービング中、ブレード回転速度は、従来のなめし方法特にクロムを利用たなめし方法において採用された速度に比べ、40〜60%好ましくは50%低下する。
ステップBで再利用可能な廃棄物を得ることができるようにするシェービングの後、銀面革のいわゆるなめし作業を実施する。ここでも又このなめし作業はアルデヒド、合成タンニン及び/又は好ましくはアクリル系の樹脂ベースの化学溶液を利用している。
ステップ9と呼ばれる後段階においては、適切な化学溶液を用いて革の中和を行ない、その後新たに、10という番号を付した次のステップにおいて、ステップ8と類似の組成の溶液を利用して再なめし作業を行なう。
再なめし作業中、不活性化剤としてケイアルミン酸ナトリウムベースの生成物溶液を導入する。好ましくは、不活性化剤の供給量はシェービング済み重量の3〜5%であり、この溶液は73〜78重量%のSiO2を有する。
不活性化剤を含むこの溶液は、革の機械的特性を改善させるのに貢献し、特に革が、この革から実現されたアッパー上の靴底の射出の際に課せられる応力度により良く耐えられるようにする。
その後、場合によってステップ11で、革に染色を施し、ステップ12では、加脂作業を実施でき、これらのステップ11及び12は革の仕上げ作業である。
床革は、一覧をみればわかるように銀面革と類似の要領で処理することができる。実際、分割床革は、ピックリング作業を受けた場合、その後、銀面革に適用される方法のステップ3〜12に適合する作業を用いて処理され得る。ここでも又、シェービング段階から成るステップ7において、得られた廃棄物を再利用することが可能である。
かくして、本発明の方法は、処理された革の収縮温度を上昇させることを可能にするだけでなく、さらにその他の分野において利用可能な廃棄物の生成に有利に作用しながら処理済の革の物性を改善することができる。

Claims (10)

  1. 80℃の高い革収縮温度を必要とする完成品の製造のために利用される革を加工することを目的とする皮のなめし方法において、なめしに先立って、水戻し段階と呼ばれる第1の段階で皮を洗浄すること、次に、後の分割作業において、銀面革と呼ばれる表側の革及び床革と呼ばれる肉面の革への皮の分離を可能にするための石灰漬け作業にこれを付すことから成るタイプのなめし方法であって、銀面革内に含まれた富石灰といったアルカリ性物質が、脱灰と呼ばれる作業中に酸を用いた中和により除去され、一方床革は、その軟化を可能にすることを目的としてピックリング作用に付され、さらに2段階でのその後のなめし作業を実施することを含み、このなめし作業には、それ自体既知のシェービング作業の前の予備なめし段階、それ自体既知のシェービング作業の後のなめし段階が含まれ、少なくとも前記予備なめし段階は、ピックリングされた床革又は脱灰された銀面革を、アルデヒド、タンニン及び/又はアクリル樹脂ベースの硫酸クロムを含まない混合物の化学的作用に付することから成り、該混合物にはさらに、コロイド懸濁状態のシリカベースの無機生成物が含まれていることを特徴とする、皮なめし方法。
  2. コロイド懸濁状態のシリカが、分割済み重量との関係において2〜4重量%の割合でもたらされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. コロイド懸濁状態のシリカ粒子の直径が10×10-6mm以下であることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項に記載の方法。
  4. pH10〜10.5の範囲内でアルカリ媒質内で安定化されたSiO2を30重量%伴う非晶質シリカのコロイド懸濁液を利用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 銀面革の場合、シェービングに先立ち、又脱灰の後に、革を予備なめし段階の後に、脱水、分割及び選別という連続作業に付することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. なめし段階の後に、それぞれ銀面革及び床革を連続的に中和、再なめし、染色及び加脂の作業に付することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  7. 再なめし段階中、不活性化剤としてケイアルミン酸ナトリウムベースの溶液を導入することを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記溶液が73〜78重量%のSiO2を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 前記溶液が、シェービングされた重量の3〜5%の割合でもたらされることを特徴とする請求項7及び8のいずれか1項に記載の方法。
  10. シェービング中、ブレードの回転速度が40〜60%減少させられることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
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