JP4789552B2 - 皮革材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、揮発物から発生するウインドウガラスの曇り(フォギング)と臭気の発生の抑制に効果を有する、動物由来の原皮から製造された皮革材料及び皮革材料の製造方法に関する。特に、車両内装用部品の表皮材として好適な皮革材料及び皮革材料の製造方法に関する。
シートやパネル類等の車両用内装部品に求められる機能としては、乗員の安全性に加え、高級感、高品質感に代表される居住空間の快適性が挙げられる。車両用内装部品の高級感、高品質感は、部品を構成する材料や加工方法における様々な工夫により達成されていた。
近年、更なる高級感の要望から、動物由来の原皮から製造された革材が車両用内装品の表皮材として用いられてきている。他方、自動車の車内温度は通常の居住空間に比べて極めて高くなるという現実がある。
車両用内装部品の表皮材においては、運転の安全性を確保する目的で曇り(フォギング)を抑制することが大きな課題となっている。フォギングは、材料中の揮発成分が高温下で揮発した後、ガラス表面で冷却されて再凝縮し、ウインドウガラスに付着した再凝縮物により面内がくもる現象で、運転者の視界を遮り運転の安全性を損なう。特に、革材は、動物原皮に含まれる脂質、柔軟性を高めるために製造工程で多量に添加される加脂剤やなめしに用いられる植物タンニンなどが原因となってフォギングを起こしやすい。また、これらの物質の酸化分解は揮発性を高めることによりフォギングの発生を促進すると考えられる。
インストルメントパネルやドアパネル等、直射日光による温度上昇が極端でしかもウインドウガラス直近に位置する部位においては、それらの表皮材がフォギングの原因となりやすいため、特に耐フォギング性が強く要求されている。また、インストルメントパネルやドアパネル等では、極端な温度上昇による表皮材の熱収縮によって変形や反り、歪み、表皮材のはがれが発生することが考えられている。
さらに、温度上昇による革材の酸化や、加脂剤の分解・蒸発は臭気を発生させる原因でもあった。
従来からある技術としては、一般的なクロムなめしに対し、高温下での寸法安定性に優れるクロムフリーなめし本革がある。しかし、クロムなめし及びクロムフリーなめしとも高温度下ではガラスかすみ性分が揮発して曇り(フォギング)が生じる。
このため、例えば、下記特許文献1には、耐フォギング性、耐光性、軟質性、シート加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物を目的として、(A)(a−1)酸基含有共重合体ラテックスで肥大化したジエン系ゴムおよびビニル重合性官能基含有ポリオルガノシロキサンから選ばれる一種のゴムと(a−2)アルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴムに、(a−3)芳香族アルケニル化合物、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれる一種以上の単量体がグラフト重合したグラフト共重合体、および(B)金属酸化物および/または金属水酸化物を含有させた自動車内装用シート状表皮材が開示されている。
また、下記特許文献2には、耐熱性、耐光性などを満足できる高い水準に維持し、かつ耐フォギング性を改良することを目的として、(A)オレフィン系樹脂、(B)エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム、及び(C)樹脂用添加剤からなる熱可塑性エラストマー組成物層に発泡体層を積層してなる積層体であって、ISO6452の規定に準じた装置を用いて温度90℃で6時間加熱後に測定したガラス板の光沢度保持率が60%以上である自動車内装用積層体が開示されている。
これら特許文献1及び2に開示の技術は、樹脂成形品や発泡成形品と樹脂製表皮材を組み合わせた技術等を用いて高級感を持たせると共に、フォギングを抑制する処理を施した車両用のシート材が開示されている。
しかしながら、成形技術の向上や樹脂製表皮材の成形技術の向上をもってしても、動物原皮から製造される革材の風合い等を得ることは不可能であり、革材の使用はシート等使用環境が比較的厳しくない部位に止まっているのが現状である。
特開平10−259289号公報 特開平11−28789号公報
クロムなめしの本革に比較して熱収縮し難いという利点があるクロムフリーなめしの本革を自動車用内装品等に用いていた場合でも、曇り(フォギング)低減及び臭気低減を図る必要がある。
そこで、本発明は、動物由来の原皮から製造された皮革材料及び皮革材料の製造方法であって、インストルメントパネルやドアパネルアッパー等、直射日光による温度上昇が極端な使用環境が厳しい部位であっても熱収縮性に優れ、揮発物から発生する曇り(フォギング)と臭気の発生に対して抑制効果を奏する皮革材料及び皮革材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、曇り(フォギング)と臭気の発生原因を追求する過程で、これを解決する種々の手段を組み合わせることが有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本革には、ウシ原皮に由来する脂質と、製造工程で使用する薬剤(加脂剤)に由来する脂質が含まれる。これらの一部は高温下で揮発した後ガラス表面で冷却されて再凝集し、ガラス曇りの原因となる。また、これらの脂質は高温下で酸化・分解されることにより揮発しやすくなるとともに悪臭の原因となる。更に、植物タンニンも脂質に比べ影響は小さいがガラス曇りと悪臭の原因になる。本発明者らは、これらの原因を突き止めた。
第1に、本発明は、皮革材料の発明であり、(1)合成タンニンによるなめし処理及び(2)柔軟剤による柔軟処理を施された動物由来の原皮であって、(3)該原皮の繊維質に酸化防止剤が含有され、(4)塗装後に色差ΔEが0.5以下となるように加熱処理、例えば100〜120℃にて加熱処理されてなる皮革材料である。クロムフリーなめしの本革を用いているため、熱収縮し難いという利点がある。また、上記(1)〜(4)の要件により、ガラス曇りと悪臭が抑制される。
本発明の皮革材料では、(5)皮革材料の裏面に樹脂が塗布されていることが好ましい。
本発明の皮革材料は種々の用途に用いられる。特に、曇り(フォギング)と臭気の発生を抑制することが求められる車両内装部品の表皮材として好ましく用いられる。前記車両内装部品としては限定されないが、特に、インストルメントパネル、ドアパネルに用いられることが最適である。
第2に、本発明は、上記の皮革材料の製造方法の発明であり、(1)動物由来の原皮に合成タンニンによりなめし処理を施し、(2)柔軟剤により柔軟処理を施す工程と、(3)該原皮の繊維質に酸化防止剤を含有させ、(4)革表面の塗装を行った後に色差ΔEが0.5以下となるように、例えば、100〜120℃で加熱して収縮させる工程を有する。
本発明の皮革材料の製造方法では、前記酸化防止剤を含有させる工程が、乾燥状態にある革に酸化防止剤の水溶液を塗布することにより繊維質に酸化防止剤を含有させることが好ましい。また、皮革材料の裏面に樹脂、例えばウレタン系樹脂を塗布することが好ましい。
本発明では、上記(1)〜(4)の要件、所望により(5)の要件により、ガラス曇りと悪臭が抑制される。これらの要件と改善効果との関係を下記表1に示す。表1中、◎は改善効果大を、○は改善効果あり、を示す。
Figure 0004789552
上記(1)〜(4)の処理により、高温高熱等、使用環境が厳しい部位であっても、揮発物から発生するフォギングを抑制するとともに、酸化による悪臭の発生を抑制することができる。即ち、(1)柔軟剤の使用によりフォギングや悪臭の原因物質である加脂剤の使用を避け、(2)合成タンニンの使用によりフォギングや悪臭の原因物質である植物タンニンの使用を避け、(3)酸化防止剤により脂質等の酸化分解に起因する揮発物質や悪臭の生成が抑制され、(4)加熱処理によりあらかじめ収縮され、さらに(5)裏面に樹脂が塗布されて揮発物質の放出が遮断されることにより、使用環境が厳しい部位であっても、熱収縮を抑えるとともに揮発物質を減らしてフォギングを抑制し、更に、酸化による悪臭の発生を抑制することができる。
このように、本発明の皮革材料を用いた車両用内装品は、インストルメントパネルやドアパネル等の、直射日光による温度上昇が極端な使用環境が厳しい部位であっても、熱収縮性に優れ、揮発物から発生するフォギング及び臭気の発生を抑制することができる。
以下、フロー図に基づいて、本発明の皮革材料の製造の実施例を説明する。
[皮革材料の製造]
図1乃至図2には皮革材料の製造例を示す。
図1に、原皮水洗・水漬け工程からトリミング工程を示す。原皮水洗・水漬け工程では、低温貯蔵されて鮮度保持・腐敗防止された原皮が石灰ドラムに移され、塩漬け原皮を水戻しして生皮の状態に戻し、塩・不純物を除去し、石灰漬けのためのpH調整を行う。フレッシング・トリミング工程では、フレッシングマシン、トリミングマシンに移され、脂肪等の余分な裏ニベを機械的に除去し、塩や不純物も除去され、縁周りを整形する。石灰漬け工程では、石灰ドラムに移され、皮表面の毛を溶解すると共に垢をとり、皮の内部に石灰を浸透させて繊維をほぐす。生バンドスプリット工程では、バンドマシンに移され、用途に応じた厚さに皮を漉くと共に、皮を銀層と床に分割する。脱灰・酵解・ピックル・なめし工程では、石灰を抜きクロームを含有しないなめし剤でなめしを行い、皮を革にする。脱水工程では革を水絞り機に移し、ウェットホワイトの脱水を行う。傷・穴・面積等の表面状態に応じた等級分けを実施する選別を行う。シェービング工程では、シェービングマシンに革を移し、用途に応じた厚さに削る。トリミング工程では、トリミング台で不要なボロ切れ目等を切り、後工程での破れを防止して作業性能を高める。
図2に、再なめし・染色工程から乾燥・バフ・バイブレーション工程を示す。再なめし・染色工程では、再なめしドラムに革を移し、合成タンニン及び柔軟剤及び染色剤等の薬剤を供給し、革の再なめしを行うと共に目的の色に染色し、柔軟剤により革を軟らかくする。合成タンニンはガラスが曇るフォギングや悪臭の原因とならないので、フォギング及び悪臭の原因を減少させることができる。また、柔軟剤によりフォギング及び悪臭の原因となる加脂剤を用いることなく風合いの劣化を改善することができる。柔軟剤としてはアクリル系ポリマーを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。
セッター工程では、なめして柔らかくした革をセッティングマシンに移し、染色後の革の水分を絞り乾燥を容易にする。また、しわを伸ばして革を大きくする。柄干乾燥工程では、革を柄干乾燥機に移し、革を乾燥させて薬品・染料の吸着を完全にし、革を1回乾燥させることにより風合いをだす。味取り工程では、革を味取りシャワー機に移し、酸化防止剤の水溶液を塗布する。乾燥状態にある革に少量の水を塗布することにより味付けを行う。これは、最終的に革の均等な伸び・膨らみ感に関係する。また、酸化防止剤を革の繊維質に含有させる。酸化防止剤水溶液は、例えば酸化防止剤濃度1.4重量%、20℃のものを用い、革の乾燥重量に対して酸化防止剤が0.025%となるように使用量を決定する。
尚、再なめし・染色工程では、薬剤の酸化を防止するために酸化防止剤が薬剤に含有されているので、薬剤の酸化を防止するために必要な量に加えて、革の繊維質に含有されるだけの量を薬剤に含有させることも可能である。再なめし・染色工程で革の繊維質に含有されるだけの酸化防止剤を供給するようにした場合、味取り工程での味付けのための水は薬剤が含まれない水とすることができる。ただし、薬剤に含まれる酸化防止剤はごく微量でフォギングや悪臭の抑制にはほとんど効果がなく、また再なめし・染色工程の薬液量は味付けのための水の量より著しく多いため加えた酸化防止剤の多くは繊維質に入らずに処理後の薬液とともに廃棄されるので、酸化防止剤の添加方法としては効率的でない。
用いた酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤、水系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ジオエーテル系酸化防止剤であるが、これらに限定されるものではない。また、これらの酸化防止剤を2種以上併用しても良い。
バイブレーション工程では、革をバイブレーションマシンに移し、足先・縁周り等の硬さを取り、空打ちのしわを取り、面積を大きくする。空打ち工程では、革を空打ちドラムに移し、乾燥後の革の繊維をほぐす。その後、乾燥・バフ・バイブレーション工程では、革をフィンバックマシンに移して空打ち後の革をトグルで止めて革を伸ばして乾燥させ(ネット張乾燥)、革を平らにする。革をバイブレーションマシンに移して繊維をほぐし、足先縁周り等の硬さを取り、空打ちのしわを取り、面積を大きくする。そして、生産品の中間検査を行い、等級、紋、風合い、色調、厚度等の項目を検査する。
図3に、裏糊スプレー工程から樹脂塗装工程を示す。裏糊スプレー工程では、水性スプレーによりバッキング処理を行い、塗装面への裏毛羽の付着を防止する。この時、革の裏面に樹脂塗装が施される。革の裏面に樹脂塗装が施されることにより、ガラス曇りの原因物質の放出を物理的に遮断することができる。塗装工程では、リバースコ一夕により革の表面に1回目の顔料塗装を行い、型押し工程では、革の表面への模様付けと傷隠しを行う。
型押し工程の後、プレヒート工程で1回目のプレヒートを実施する。プレヒートは、工程中で加熱によりできるだけ革を収縮させておくために実施される。また、フォギングの原因となる物質を揮発除去するために実施される。加熱は変色を伴うために変色の許容範囲内で収縮率が最大となる加熱条件が設定されている。例えば、100℃〜120℃の温度で、1時間の加熱を2回もしくは3回実施する等の条件が設定されている。変色の許容範囲は、後述する2回目のプレヒートとあわせて、例えば、色差の割合が0.5以下となるのが好適であり、収縮率は、例えば、革の縦・横平均の寸法変化率平均が1.5%以上となるのが好適である。
1回目のプレヒート工程の後、塗装工程で水性スプレーにより革の表面に2回目の顔料塗装を行い、黄ばみ等を解消し、塗装検査台で塗装状態の確認を行う。ウレタン塗装工程では、水性スプレーマシンによりウレタン(水性ウレタン)を塗布し、強度などの表面物性を付与する。
ウレタン塗装工程の後、プレヒート工程で2回目のプレヒートを実施する。プレヒートは前述した加熱条件に基づいて実施される。1回目のプレヒートを省略して2回目だけのプレヒートを実施することも可能である。2回に分けてプレヒートを実施した場合、革の収縮が大きくなり、フォギングの原因となる物質の揮発除去も効果的に行える。
2回目のプレヒートの後、ウレタン架橋時間が経過するまで熟成させる。空打ち工程では、革を空打ちドラムに移し、型押し後の革の繊維をほぐし柔らかくする。バイブレーション工程では、革をバイブレーションマシンに移し、革の繊維をほぐし、足先・縁周り等の硬さをとり、空打ちのしわを取り、面積を大きくする。樹脂塗装工程では、革の裏面に樹脂塗装が施される。尚、裏糊スプレー工程での樹脂の塗装を省略することも可能である。
最後に、製品検査として、生産品の最終検査が行われ、等級、紋、風合い、色調、厚度等の項目が検査されて本発明の皮革材料製品とされる。
[反射率検査]
上述した工程で製造された革のフォギング性能を検証するため、反射率検査を実施した。図4に、本実施例で用いた反射率検査装置の概略を示す。図4に示すように、皮革材料1を容器2に収容し、容器2を加熱容器3内に配置する。加熱容器3内には加熱液体4が入れられ、例えば、容器2内の温度が100℃の恒温状態になるように保たれている。容器2の開口部はガラス板5で塞がれ、ガラス板5は冷却手段6によって所定の温度に冷却されている。
つまり、所定の温度(例えば、100℃)に保たれた皮革材料1は、所定時間容器2内に維持されることにより、ガラス曇りの原因物質が揮発してガラス板5に付着する。冷却手段6によりガラス板5は冷却されて原因物質が定着される。
図4の反射率検査装置図で得られたガラス板5は、図5に示すように、原因物質が定着したガラス板5に光を当て、その時の投光量と反射量に基づいて反射率を導出して測定する。
本発明の工程で製造され、酸化防止剤の有無とプレヒートの時間を変えた4種類の試料に関し、皮革のフォギング性能を検証するため、反射率検査を実施した反射率の結果を下記表2に示す。
試料1は、柔軟剤及び合成タンニンを使用し、プレヒートを行わず、酸化防止剤を使用しない場合である。試料2は、試料1に対し110℃で2時間のプレヒートを付加した場合である。試料3は、試料2に対し酸化防止剤を使用した場合である。試料4は、試料3に対してプレヒートの時間を3時間にした場合である。
Figure 0004789552
表2の結果より、試料1では反射率の平均が82.19%であったのが、プレヒートを付加した試料2では、反射率の平均が85.53%に向上した。また、酸化防止剤を使用した試料3の場合、反射率の平均が86.08%に向上し、更に、プレヒートの時間を長くした試料4は94.00%に向上した。
本発明により、酸化防止剤を使用してプレヒートを行うことにより(試料3、4)、脂質の酸化分解が抑制されて揮発油分の生成が減り、ガラス曇りの原因物質が揮発除去されて実用上問題のない範囲の反射率を得られることが判る。従って、本発明の皮革材料を用いることで、フォギング性能を向上させることができる。
プレヒートは皮革材料の変色を伴うため、変色が過度に起こらない条件を設定する必要がある。加熱温度を上げるとプレヒートによる収縮率(寸法変化率)は高くなって好ましいが、加熱温度が高すぎると色差が高くなって変色してしまう。寸法変化率は、縦・横の平均で、1.5%以上あれば実用的であり、色差は0.5を下回れば変色がない状況を保つことができる。本実施形態例では、例えば、100℃〜120℃で1時間の加熱を2回もしくは3回実施するようになっている。
[加熱時間・加熱温度と寸法変化率・色差との関係]
図6に、皮革材料の加熱時間・加熱温度と寸法変化率・色差との関係を示す。図6には、加熱時間・加熱温度と寸法変化率との関係を左縦軸に、加熱時間・加熱温度と色差(ΔE)との関係を右縦軸に示してある。ここで、色差(ΔE)が0.5以下であると、通常の目視では色変化に気付くことが少なく、変色無しで実用的であると判断される。寸法変化は、小さければ小さいほうが好ましいが、一般的には、3.0以下が実用的である。
図6に示すように、加熱温度が80℃、90℃の場合、加熱時間に拘わらず色差(ΔE)は0.5を下回り変色は生じない。しかし、寸法変化率は1.5%に満たないため収縮に関しては実用的ではない。また、加熱温度が130℃の場合、寸法変化率が2.6%を越えて収縮に関して実用的である。しかし、色差(ΔE)が0.65を越えるため変色が生じて実用的ではない。
一方、加熱温度が100℃、110℃の場合、加熱時間に拘わらず寸法変化率が1.5%を大きく越え、色差(ΔE)が0.5を下回っている。このため、熱収縮に関して実用的であると共に、変色も生じないので実用的となる。
また、加熱温度が120℃の場合、加熱時間に拘わらず寸法変化率が1.5%を大きく越え・加熱時間が1時間及び2時間の時に色差(ΔE)が0.5を下回り、熱収縮に関して実用的であると共に、変色も生じない。しかし、加熱時間が3時間になると、色差(ΔE)が0.5を大きく越えて変色が生じて実用的ではない。
このため、加熱温度100℃〜110℃で1時間〜3時間加熱を行う場合(好ましくは、100℃で2時間以上、110℃で1時間以上)、及び加熱温度120℃で1時間〜2時間加熱を行う場合に、熱収縮に関して実用的で変色が生じない皮革材料が得られることがわかる。
[臭気試験]
臭気に関して、パネラによる臭気試験を行った結果、所定時間加熱した皮革材料の臭気は、比較品に比べて向上していることが確認された。
上述したように、本発明の皮革材料をインストルメントパネルやドアパネルの表皮材として用いることで、直射日光による温度上昇が極端な使用環境が厳しい部位であっても、熱収縮性に優れ、揮発物から発生するフォギングの抑制を達成することができる。また、酸化した場合の悪臭の発生も抑制することができる。従って、皮革材料を表皮材としたインストルメントパネルやドアパネルであっても、収縮による変形・反り・歪み・はがれが生じることがなくなる。また、フォギングが発生することがなくウインドウガラスに曇りが生じることがない。
本発明の皮革材料は、本革の製造工程で使用する薬剤の変更、新たな薬剤の使用、及び加熱工程の導入などにより、揮発物から発生する曇り(フォギング)と臭気の発生を抑制することが可能となった。これにより、本発明の皮革材料は、自動車等の車両用内装部品として好適である。
本発明の皮革材料の製造方法(原皮水洗・水漬け工程からトリミング工程)を説明するフローチャートである。 本発明の皮革材料の製造方法(再なめし・染色工程から乾燥・バフ・バイブレーション工程)を説明するフローチャートである。 本発明の皮革材料の製造方法(裏糊スプレー工程から樹脂塗装工程)を説明するフローチャートである。 反射率検査の状況説明図である。 反射率の導出説明図である。 皮革材料の加熱時間・加熱温度と寸法変化率・色差との関係を示すグラフである。
符号の説明
1:皮革材料、2:容器、3:加熱容器、4:加熱液体、5:ガラス板、6:冷却手段。

Claims (6)

  1. 動物由来の原皮である皮革材料に合成タンニンによりなめし処理を施し、柔軟剤により柔軟処理を施す工程と、
    柔軟処理した皮革材料の繊維質に酸化防止剤を含有させる工程と、
    該酸化防止材を含有した前記皮革材料を、加熱処理温度100℃〜110℃、加熱処理時間1時間から3時間で加熱する、または、加熱処理温度120℃、加熱処理時間1時間から2時間で加熱することにより、
    前記酸化防止剤を含有した皮革材料を収縮させる工程と、を少なくとも含むことを特徴とする皮革材料の製造方法。
  2. 前記酸化防止剤を含有させる工程が、乾燥状態にある皮革材料に酸化防止剤の水溶液を塗布することにより繊維質に酸化防止剤を含有させる工程であることを特徴とする請求項に記載の皮革材料の製造方法。
  3. 前記皮革材料の裏面にウレタン系樹脂を塗布することを特徴とする請求項1または2に記載の皮革材料の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの製造方法により製造された皮革材料を備えた車両内装部品。
  5. 請求項1〜3のいずれかの製造方法により製造された皮革材料を備えた車両内装用インストルメントパネル。
  6. 請求項1〜3のいずれかの製造方法により製造された皮革材料を備えた車両内装用ドアパネル。
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