JP3833952B2 - Dnaチップおよびdna検出装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、DNAチップおよびDNA検出装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来のDNAチップとしては、スライドガラスの表面にポリLリシン膜を形成した構造のものが知られている。このようなDNAチップによりターゲット溶液のDNAを検出するには、次のような手順によりなされる。すなわち、前記スライドガラスのポリLリシン膜に一本鎖DNAを例えば複数本固定する。つづいて、このポリLリシン膜にターゲット溶液を接触モイスチャーチャンバア内に入れ、65℃で10〜20分間インキュベートさせてハイブリダイズする。ハイブリダイズ後に、色素マーカの付いたインターカレータを作用させ、スキャナーにかけて光学的にて前記DNAチップからの蛍光を読み取ることによりターゲット溶液のDNAを検出する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のDNAチップはハイブリダイズに要する時間が長いという問題があった。
【0004】
本発明は、例えば血液のような検体のハイブリダイズ時間の短縮化を図ることが可能なDNAチップを提供しようとするものである。
【0005】
本発明は、例えば血液のような複数の検体中のDNAを高感度で同時並列的に同定化できると共に検出時間の短縮化を図ることが可能なDNA検出装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るDNAチップは、基板と、
前記基板表面に形成された第1光導波路層と、
前記第1光導波路層の両端部表面にそれぞれ形成されたグレーティングと、
前記グレーティングの間に位置する前記第1光導波路層上に形成され、この第1光導波路層より高屈折率で透明な導電材料からなり、前記第1光導波路層内を伝播する光のうち所定のモードの光のみが一方の端部から入射して全反射して伝播し、他方の端部から出射して再度前記第1光導波路層内に伝播する前記光と合成する第2光導波路層と、
前記第2光導波路層上に形成されたポリLリシン膜と、
一端が前記ポリLリシン膜上に延出され、前記第2光導波路層との間で電荷を発生させるための電極薄膜と
を具備したことを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る別のDNAチップは、基板と、
前記基板表面に形成された第1光導波路層と、
前記第1光導波路層の両端部表面にそれぞれ形成されたグレーティングと、
前記グレーティングの間に位置する前記第1光導波路層上に形成され、この第1光導波路層より高屈折率で透明な導電材料からなり、前記第1光導波路層内を伝播する光のうち所定のモードの光のみが一方の端部から入射して全反射して伝播し、他方の端部から出射して再度前記第1光導波路層内に伝播する前記光と合成する第2光導波路層と、
前記第2光導波路層上に形成されたポリLリシン膜と、
一端が前記ポリLリシン膜上に延出され、前記第2光導波路層との間で電荷を発生させるための電極薄膜と、
前記グレーティングの間に位置する前記ポリLリシン膜を少なくとも囲繞するためのウエルと
を具備したことを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係るDNA検出装置は、基板と、前記基板表面に形成された複数の第1光導波路層と、前記各第1光導波路層の両端部表面にそれぞれ形成されたグレーティングと、前記グレーティングの間に位置する前記各第1光導波路層上にそれぞれ形成され、この第1光導波路層より高屈折率で透明な導電材料からなり、前記第1光導波路層内を伝播する光のうち所定のモードの光のみが一方の端部から入射して全反射して伝播し、他方の端部から出射して再度前記第1光導波路層内に伝播する前記光と合成する複数の第2光導波路層と、前記各第2光導波路層上にそれぞれ形成された複数のポリLリシン膜と、一端が前記各ポリLリシン膜上に延出され、前記第2光導波路層との間で電荷を発生させるための複数の電極薄膜とを備えたDNAチップ;
前記DNAチップの各第1光導波路層の一端にレーザ光を入射するためのレーザ素子;
前記DNAチップの各第1光導波路層の他端から出射される光を受光する受光素子;および
前記DNAチップとレーザ素子の間に配置されるポリゴンミラー;
を具備したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る別のDNA検出装置は、基板と、前記基板表面に形成された複数の第1光導波路層と、前記各第1光導波路層の両端部表面にそれぞれ形成されたグレーティングと、前記グレーティングの間に位置する前記各第1光導波路層上にそれぞれ形成され、この第1光導波路層より高屈折率で透明な導電材料からなり、前記第1光導波路層内を伝播する光のうち所定のモードの光のみが一方の端部から入射して全反射して伝播し、他方の端部から出射して再度前記第1光導波路層内に伝播する前記光と合成する複数の第2光導波路層と、前記各第2光導波路層上にそれぞれ形成された複数のポリLリシン膜と、一端が前記各ポリLリシン膜上に延出され、前記第2光導波路層との間で電荷を発生させるための複数の電極薄膜と、前記グレーティングの間に位置する前記各ポリLリシン膜を少なくとも囲繞するための複数のウエルとを備えたDNAチップ;
前記DNAチップの各第1光導波路層の一端にレーザ光を入射するためのレーザ素子;
前記DNAチップの各第1光導波路層の他端から出射される光を受光する受光素子;および
前記DNAチップとレーザ素子の間に配置されるポリゴンミラー;
を具備したことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のDNAチップおよびDNA検出装置を図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、この第1実施形態に用いられるDNAチップを示す平面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3は図1のIII−III線に沿う断面図である。
【0012】
例えばガラスからなる基板1は、表面にこの基板1より高屈折率の複数、例えば4つの第1光導波路層2が互いに平行に形成されている。これらの第1光導波路2は、例えば380〜400℃の硝酸カリウム溶融塩のようなイオン交換溶液に浸漬してカリウム、ナトリウム等の高屈折率元素をイオン交換することにより形成される。グレーティング3は、前記第1光導波路層2と同等もしくは高い屈折率を有し、前記各第1光導波路層2の両端部表面にそれぞれ形成されている。これらのグレーティング3は、例えばフォトレジスト、酸化チタン、酸化亜鉛、ニオブ酸リチウム、GaAsにより作られる。
【0013】
図2に示すように長さ方向の端部が傾斜した形状の第2光導波路層4は、前記第1光導波路層2より高い屈折率を有し、前記2つのグレーティング3の間に位置する前記各第1光導波路層2上にそれぞれ形成されている。これらの第2光導波路層4は、例えばITOまたは酸化錫などの透明な導電性材料から作られている。ポリLリシン膜5は、前記第2光導波路4の平坦な表面にそれぞれ形成されている。
【0014】
保護膜6は、前記各第1光導波路層2を含む前記基板1上に前記グレーティング3を含む周辺および前記ポリLリシン膜5が露出するように形成されている。この保護膜6は、例えばフッ素樹脂から作られている。
【0015】
複数、例えば4つの電極薄膜7は、前記第1光導波路層2間に位置する前記保護膜6上に前記第1光導波路層2と平行して形成され、かつ中央付近に前記ポリLリシン膜5上に延びる延出部8を有する。これらの電極薄膜7は、例えばAu,Pt,Ti等の金属から作られている。
【0016】
例えばAu,Pt,Ti等の金属からなる別の電極薄膜(参照電極)9およびAg/AgCl薄膜からなる標準電極10は、前記基板1周辺に位置する前記保護膜6上に形成されている。すなわち、前記電極薄膜7、前記参照電極9および前記標準電極10により電気化学的な3極管構造を構成している。
【0017】
面状ヒータ11は、前記各第1光導波路層2に対応する前記基板1裏面に形成されている。この面状ヒータ11の温度をモニタするための薄膜温度センサ12は、前記基板1裏面に前記面状ヒータ11と隣接して形成されている。
【0018】
次に、前述したDNAチップ13を備えるDNA検出装置を図4を参照して説明する。
【0019】
このDNA検出装置は、前記DNAチップ13における複数の第1光導波路層2の一端が露出する一方の端面側(右端面側)に配置されたレーザ光を放出するためのレーザ素子(例えば波長650nmの半導体レーザ)21を備えている。このレーザ素子21のレーザ光放出側には、コリメートレンズ22、偏光板23およびポリゴンミラー24が順次配置されている。このポリゴンミラー24に代えてガルバノミラーを用いてもよい。前記ポリゴンミラー24のレーザ光放出側には、第1シリンダレンズ25が前記DNAチップ13の右端面と平行になるように配置されている。第2シリンダレンズ26は、前記DNAチップ13における複数の第1光導波路層2の他端が露出する他方の端面側(左端面側)に配置されている。第2シリンダレンズ26のレーザ光放出側には、第2偏光板27および受光素子28が順次配置されている。
【0020】
なお、前記DNA検出装置において前記DNAチップ13は着脱可能でその配置位置には収納部(図示せず)が設けられている。
【0021】
次に、前述したDNAチップおよびDNA検出装置の作用を説明する。
【0022】
DNAチップ13の各ポリLリシン膜5に一本鎖DNAをそれぞれ固定化する。この場合、各ポリLリシン膜5に固定化される一本鎖DNAは同じでも、異なってもよい。また、各ポリLリシン膜5に固定化される一本鎖DNAは1つに限らず、複数でもよい。
【0023】
例えばDNAチップ13の各ポリLリシン膜5と同様に配列された複数のウエルを有するプレート(図示せず)に検体である例えば血液のようなターゲット溶液をそれぞれ収容し、前記DNAチップ13を逆さにしてその一本鎖DNAが固定化された各ポリLリシン膜5を前記ウエル内のターゲット溶液に接触させる。このとき、基板1裏面の面状ヒータ11に電圧を供給して発熱させ、基板1の温度を例えば65℃に加熱してインキュベートする。同時に、基準電極10に例えば0.2〜0.3Vの電圧を印加することによって、複数、例えば4つの電極薄膜7と参照電極9との間に電流が流れるため、前記各電極薄膜7の延出部8と導電性材料からなる第2光導電層2との間に電荷が発生する。このため、各ウエルのターゲット溶液中の電荷をもつDNAは前記第2光導電層2に向けて、つまりこの第2光導電層2上に位置するポリLリシン膜5に向けて引き寄せて濃縮される。その結果、各ポリLリシン膜5に固定化される一本鎖DNAとターゲット溶液中のDNAとのハイブリダイズが短時間でなされる。
【0024】
ハイブリダイズ後のDNAチップ13を図4に示すDNA検出装置に組み込み、ポリLリシン膜5のハイブリダイズされたDNAに対して色素マーカの付いたインターカレータを作用させて発色させる。
【0025】
このような状態で、図4に示すようにレーザ素子21から例えば波長650nmのレーザ光をコリメートレンズ22、偏光板23を通して回転駆動するポリゴンミラー24に放射させる。このとき、レーザ光はコリメートレンズ22でコリメートされ、偏光板23でTE,TMモードの光強度が同じになるように調節され、回転駆動するポリゴンミラー24で反射されて前記DNAチップ13の4つの第1光導波路層2に向けて振り分けられる。振り分けられたレーザ光は、図5に示すように前記DNAチップ13の第1光導波路層2が位置する基板1裏面側に入射され、基板1を通してグレーティング3と第1光導波路層2の界面で屈折されてその第1光導波路層2を伝播される。第1光導波路層2を伝播されるレーザ光は、第1光導波路層2より高屈折率の第2光導波路層4との界面で2つのモード(TMモード、TEモード)に分割され、それら第1、第2の光導波路層2,4を伝播する。このとき、前記ポリLリシン膜5でハイブリダイズ、発色されることによる変化(例えば吸光度変化)によりこのポリLリシン膜5直下の第2光導波路層4を伝播する光の強度が変化する。このように第1、第2の光導波路層2,4を伝播した光は、第2光導波路層4の反対側の端部においてそれら光導波路層2,4の界面で再び結合、干渉するため、前記第2光導波路層4を伝播する光の強度変化を増幅できる。その結果、前記ポリLリシン膜5における1本鎖DNAとターゲット溶液中のDNAとのハイブリダイズ、色素マーキングによる発色に基づく第2光導波路層4を伝播する光の極微な変化も第2シリンダレンズ26および第2偏光板27を通して受光素子28で検出することが可能になる。また、このような検出操作は前記DNAチップ13の複数(4つ)の第1光導波路層2において同時、並列的になされ、DNAが同定される。
【0026】
したがって、図1〜図3に示す構造の第1実施形態のDNAチップによれば、ポリLリシン膜5に固定化される一本鎖DNAに対する検体であるターゲット溶液中のDNAのハイブリダイズ時間を著しく短縮化することができる。
【0027】
また、基板1裏面に面状ヒータ11および薄膜温度センサ12を設け、この薄膜温度センサ12で面状ヒータ11の温度をモニタしながら基板1への加熱温度を制御することによって、従来のようにモイスチャーチャンバを用いることなくハイブリダイズを行うことができる。
【0028】
さらに、複数のチップユニットを有する図1〜図3に示すDNAチップを図4に示すように組み込んだDNA検出装置によれば複数の検体のDNAを高感度で同時並列的に同定化できると共に検出時間の短縮化を図ることができる。
【0029】
なお、前述した第1実施形態では第2光導波路層4およびポリLリシン膜5が積層された第1光導波路層2を1チップユニットとし、このチップユニットを基板1に複数配列したが、1つのチップユニットのみを基板に配置してDNAチップを構成してもよい。
【0030】
前述した第1実施形態では、各ポリLリシン膜5に固定化される一本鎖DNAと検体であるターゲット溶液との接触操作をDNAチップ13の各ポリLリシン膜5と同様に配列された複数のウエルを有するプレートを用いて行ったが、例えば検体であるターゲット溶液を含浸させたろ紙を一本鎖DNAが固定化された各ポリLリシン膜5に直接接触させてもよい。
【0031】
(第2実施形態)
図6は、この第2実施形態に用いられるDNAチップを示す平面図、図7は図6のVII−VII線に沿う断面図、図8は図1のVIII−VIII線に沿う断面図である。なお、図1〜図3と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0032】
このDNAチップ13は、互いに平行する3つの隔壁14が一体的に取り付けられた枠体15を延出部8を有する電極薄膜7が形成された保護膜6上に接着剤を介して取り付け、底部にポリLリシン膜5が露出した例えば4つのウエル16を形成した構造をなす。
【0033】
次に、前述したDNAチップ13を備えるDNA検出装置を図9を参照して説明する。
【0034】
このDNA検出装置は、前記DNAチップ13における複数の第1光導波路層2の一端が露出する一方の端面側(右端面側)に配置されたレーザ光を放出するためのレーザ素子(例えば波長650nmの半導体レーザ)21を備えている。このレーザ素子21のレーザ光放出側には、コリメートレンズ22、偏光板23およびポリゴンミラー24が順次配置されている。このポリゴンミラー24に代えてガルバノミラーを用いてもよい。前記ポリゴンミラー24のレーザ光放出側には、第1シリンダレンズ25が前記DNAチップ13の右端面と平行になるように配置されている。第2シリンダレンズ26は、前記DNAチップ13における複数の第1光導波路層2の他端が露出する他方の端面側(左端面側)に配置されている。第2シリンダレンズ26のレーザ光放出側には、第2偏光板27および受光素子28が順次配置されている。
【0035】
なお、前記DNA検出装置において前記DNAチップ13は着脱可能でその配置位置には収納部(図示せず)が設けられている。
【0036】
次に、前述したDNAチップおよびDNA検出装置の作用を説明する。
【0037】
DNAチップ13のウエル16底部の各ポリLリシン膜5に一本鎖DNAをそれぞれ固定化する。この場合、各ポリLリシン膜5に固定化される一本鎖DNAは同じでも、異なってもよい。また、各ポリLリシン膜5に固定化される一本鎖DNAは1つに限らず、複数でもよい。
【0038】
DNAチップ13の各ウエル16内に図10に示すように検体である例えば血液のようなターゲット溶液17をそれぞれ収容し、基板1裏面の面状ヒータ11に電圧を供給して発熱させ、基板1の温度を例えば65℃に加熱してインキュベートする。同時に、基準電極10に例えば0.2〜0.3Vの電圧を印加することによって、複数、例えば4つの電極薄膜7と参照電極9との間に電流が流れるため、前記各電極薄膜7の延出部8と導電性材料からなる第2光導電層2との間に電荷が発生する。このため、各ウエル16のターゲット溶液17中の電荷をもつDNAは前記第2光導電層2に向けて、つまりこの第2光導電層2上に位置するポリLリシン膜5に向けて引き寄せて濃縮される。このため、各ポリLリシン膜5に固定化される一本鎖DNAとターゲット溶液中のDNAとのハイブリダイズが短時間でなされる。
【0039】
ハイブリダイズ後のDNAチップ13を図9に示すDNA検出装置に組み込み、ポリLリシン膜5のハイブリダイズされたDNAに対して色素マーカの付いたインターカレータを作用させて発色させる。
【0040】
このような状態で、前述した第1実施形態と同様にレーザ素子21から例えば波長650nmのレーザ光を放射し、コリメートレンズ22でコリメートし、偏光板23でTE,TMモードの光強度が同じになるように調節し、回転駆動するポリゴンミラー24で反射して前記DNAチップ13の4つの第1光導波路層2に向けて振り分ける。振り分けられたレーザ光を、図10に示すように前記DNAチップ13の第1光導波路層2が位置する基板1裏面側に入射し、第1光導波路層2を伝播させ、第1光導波路層2より高屈折率の第2光導波路層4との界面で2つのモード(TMモード、TEモード)に分割し、それら第1、第2の光導波路層2,4を伝播させる。このとき、前記ポリLリシン膜5でハイブリダイズ、発色されることによる変化(例えば吸光度変化)によりこのポリLリシン膜5直下の第2光導波路層4を伝播する光の強度が変化する。このように第1、第2の光導波路層2,4を伝播した光は、第2光導波路層4の反対側の端部においてそれら光導波路層2,4の界面で再び結合、干渉するため、前記第2光導波路層4を伝播する光の強度変化を増幅できる。その結果、前記ポリLリシン膜5における1本鎖DNAとターゲット溶液中のDNAとのハイブリダイズ、色素マーキングによる発色に基づく第2光導波路層4を伝播する光の極微な変化も第2シリンダレンズ26および第2偏光板27を通して受光素子28で検出することが可能になる。また、このような検出操作は前記DNAチップ13の複数(4つ)の第1光導波路層2および第2光導波路層4において同時、並列的になされ、DNAが同定される。
【0041】
したがって、図6〜図8に示す構造の第2実施形態のDNAチップによれば、ポリLリシン膜5に固定化される一本鎖DNAに対する検体であるターゲット溶液中のDNAのハイブリダイズ時間を著しく短縮化することができる。このため、このDNAチップを組み込んだDNA検出装置はDNAを高感度で同定化できると共に検出時間の短縮化を図ることができる。
【0042】
また、基板1裏面に面状ヒータ11および薄膜温度センサ12を設け、この薄膜温度センサ12で面状ヒータ11の温度をモニタしながら基板1への加熱温度を制御することによって、従来のようにモイスチャーチャンバを用いることなくハイブリダイズを行うことができる。
【0043】
さらに、複数のチップユニットを有する図6〜図8に示すDNAチップ13を図9に示すように組み込んだDNA検出装置によれば複数の検体のDNAを高感度で同時並列的に同定化できると共に検出時間の短縮化を図ることができる。
【0044】
さらに、DNAチップ13はターゲット溶液17をそれぞれ収容できる複数のウエル16を有し、かつ基板1裏面に面状ヒータ11が設けられているため、このDNAチップ13を図9に示すようにDNA検出装置に組み込んだ状態でハイブリダイズを行うことができるため、ハイブリダイズの途中での情報を検出することができる。
【0045】
なお、前述した第2実施形態ではウエル16下にポリLリシン膜5および第2光導波路層4が積層された第1光導波路層2を1チップユニットとし、このチップユニットを基板1に複数配列したが、1つのチップユニットのみを基板に配置してDNAチップを構成してもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、例えば血液のような検体のハイブリダイズ時間の短縮化を図ることが可能なDNAチップを提供することができる。
【0047】
また、本発明によれば例えば血液のような複数の検体中のDNAを高感度で同時並列的に同定化できると共に検出時間の短縮化を図ることが可能なDNA検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に用いられるDNAチップを示す平面図。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図。
【図4】本発明の第1実施形態に用いられるDNA検出装置を示す平面図。
【図5】本発明の第1実施形態におけるDNA検出装置の作用を説明するための断面図。
【図6】本発明の第2実施形態に用いられるDNAチップを示す平面図。
【図7】図6のVII−VII線に沿う断面図。
【図8】図6のVIII−VIII線に沿う断面図。
【図9】本発明の第2実施形態に用いられるDNA検出装置を示す平面図。
【図10】本発明の第2実施形態におけるDNA検出装置の作用を説明するための断面図。
【符号の説明】
1…基板、
2…第1光導波路層、
3…グレーティング、
4…第2光導波路層、
5…ポリLリシン膜、
6…保護膜、
7…電極薄膜、
11…面状ヒータ、
13…DNAチップ、
14…隔壁、
15…枠体、
16…ウエル、
17…ターゲット溶液(検体)、
21…レーザ素子、
24…ポリゴンミラー、
28…受光素子。
Claims (8)
- 基板と、
前記基板表面に形成された第1光導波路層と、
前記第1光導波路層の両端部表面にそれぞれ形成されたグレーティングと、
前記グレーティングの間に位置する前記第1光導波路層上に形成され、この第1光導波路層より高屈折率で透明な導電材料からなり、前記第1光導波路層内を伝播する光のうち所定のモードの光のみが一方の端部から入射して全反射して伝播し、他方の端部から出射して再度前記第1光導波路層内に伝播する前記光と合成する第2光導波路層と、
前記第2光導波路層上に形成されたポリLリシン膜と、
一端が前記ポリLリシン膜上に延出され、前記第2光導波路層との間で電荷を発生させるための電極薄膜と
を具備したことを特徴とするDNAチップ。 - 前記第1光導波路層、第1光導波路層の両端部表面にそれぞれ形成された前記グレーティング、前記第2光導波路層、ポリLリシン膜および前記電極薄膜を1チップユニットとし、このチップユニットを前記基板表面に前記第1光導波路層が互いに平行になるように形成したことを特徴とする請求項1記載のDNAチップ。
- 基板と、
前記基板表面に形成された第1光導波路層と、
前記第1光導波路層の両端部表面にそれぞれ形成されたグレーティングと、
前記グレーティングの間に位置する前記第1光導波路層上に形成され、この第1光導波路層より高屈折率で透明な導電材料からなり、前記第1光導波路層内を伝播する光のうち所定のモードの光のみが一方の端部から入射して全反射して伝播し、他方の端部から出射して再度前記第1光導波路層内に伝播する前記光と合成する第2光導波路層と、
前記第2光導波路層上に形成されたポリLリシン膜と、
一端が前記ポリLリシン膜上に延出され、前記第2光導波路層との間で電荷を発生させるための電極薄膜と、
前記グレーティングの間に位置する前記ポリLリシン膜を少なくとも囲繞するためのウエルと
を具備したことを特徴とするDNAチップ。 - 前記第1光導波路層、第1光導波路層の両端部表面にそれぞれ形成された前記グレーティング、前記第2光導波路層、ポリLリシン膜、前記電極薄膜および前記ウエルを1チップユニットとし、このチップユニットを前記基板表面に前記第1光導波路層が互いに平行になるように形成したことを特徴とする請求項3記載のDNAチップ。
- 前記ウエルは、前記基板上に合成樹脂製枠体を取り付けることにより形成されることを特徴とする請求項3または4記載のDNAチップ。
- 前記基板の裏面にヒータをさらに配置したことを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載のDNAチップ。
- 基板と、前記基板表面に形成された複数の第1光導波路層と、前記各第1光導波路層の両端部表面にそれぞれ形成されたグレーティングと、前記グレーティングの間に位置する前記各第1光導波路層上にそれぞれ形成され、この第1光導波路層より高屈折率で透明な導電材料からなり、前記第1光導波路層内を伝播する光のうち所定のモードの光のみが一方の端部から入射して全反射して伝播し、他方の端部から出射して再度前記第1光導波路層内に伝播する前記光と合成する複数の第2光導波路層と、前記各第2光導波路層上にそれぞれ形成された複数のポリLリシン膜と、一端が前記各ポリLリシン膜上に延出され、前記第2光導波路層との間で電荷を発生させるための複数の電極薄膜とを備えたDNAチップ;
前記DNAチップの各第1光導波路層の一端にレーザ光を入射するためのレーザ素子;
前記DNAチップの各第1光導波路層の他端から出射される光を受光する受光素子;および
前記DNAチップとレーザ素子の間に配置されるポリゴンミラー;
を具備したことを特徴とするDNA検出装置。 - 基板と、前記基板表面に形成された複数の第1光導波路層と、前記各第1光導波路層の両端部表面にそれぞれ形成されたグレーティングと、前記グレーティングの間に位置する前記各第1光導波路層上にそれぞれ形成され、この第1光導波路層より高屈折率で透明な導電材料からなり、前記第1光導波路層内を伝播する光のうち所定のモードの光のみが一方の端部から入射して全反射して伝播し、他方の端部から出射して再度前記第1光導波路層内に伝播する前記光と合成する複数の第2光導波路層と、前記各第2光導波路層上にそれぞれ形成された複数のポリLリシン膜と、一端が前記各ポリLリシン膜上に延出され、前記第2光導波路層との間で電荷を発生させるための複数の電極薄膜と、前記グレーティングの間に位置する前記各ポリLリシン膜を少なくとも囲繞するための複数のウエルとを備えたDNAチップ;
前記DNAチップの各第1光導波路層の一端にレーザ光を入射するためのレーザ素子;
前記DNAチップの各第1光導波路層の他端から出射される光を受光する受光素子;および
前記DNAチップとレーザ素子の間に配置されるポリゴンミラー;
を具備したことを特徴とするDNA検出装置。
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