JP3833801B2 - 可撓性碍子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電力の送電、変電、配電、軌線、等において用いられる絶縁碍子の内、可撓性碍子の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、碍子には磁器碍子が用いられており、主に支持材としてそのまま使用され、また引っ張りと可撓性を要求される場合は、複数の碍子を組み合わせて、例えば耐張碍子におけるようにそのリンク部にて、可撓性を与えている。
近年、FRP碍子が用い出され始めており、その笠部はシリコーンゴム等のエラストマーも用いられているが、力を受ける支持材はガラス繊維とエポキシ樹脂の成形体で全体としてはやはり剛体である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の碍子は磁器等で形成されるため重量が大きい。一般に剛体の碍子では、例えば懸垂状の送電線の耐張碍子として使用すると、その重量のため電線の描く懸垂曲線と碍子の軸が一致せず支持点で滑らかな連結とならず、支持点に応力が集中することがあり、一方、支持点連結を滑らかにしようとすると張力が大きくなり、碍子を支持する支持体が頑丈な重量物となってしまう。また、送電線に大きな張力をかけられない場合には、碍子の重量のために懸垂曲線が弛み、他の構築物等の間で十分な距離を保てなくなる場合がある。
すなわち、剛体の碍子は、吊って使用する場合、自分自身の重量のため被支持体に影響を及ぼし適当でない。
また、磁器碍子は重量が大きく、取り扱いが容易でなく、設置作業等に多くの負担がかかる。
本発明は上記した事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、簡便に吊って使用しても支持点で集中応力が発生することがなく、軽量で取り扱いが容易な可撓性碍子を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明においては、強く軽い絶縁性の素線を撚ったポリイミドロープの両端部に引き留め部を形成し、上記線、繊維、もしくは、ロープにシリコンゴム製の笠状部を含む絶縁性の被覆層を接着もしくは一体成形して取り付ける。
また、引き留め部は、上記絶縁性の繊維、ロープの両端を輪状に形成するか、両端に金具を取り付ける。
【0005】
上記のように構成することにより、碍子の重量を軽くすることができるとともに、可撓性とすることができる。そのため、例えば電線を吊って使用する場合、電線の描く懸垂曲線の延長として碍子軸を一致させることができ支持点で滑らかな連結とすることができる。一方、送電線に大きな張力がかけられない場合であっても、従来の磁気碍子より軽いので、送電線と他の構築物間との距離を十分に保つことができる。
また、重量を軽くすることができるので、取り扱いを容易にすることができる。
碍子を構成するロープが可撓性であるので、エラストマーの笠の連続的な一体成形を容易に行うことができ生産性を向上させることができ、長尺の可撓性碍子の製造も可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は第1の実施例の碍子の断面構造を示す図である。同図において、1はポリイミドロープ等から構成される耐張支持部材であり、その両端部の繊維は輪状に編み込まれており、輪状の部分が引留め部2を構成する。
また、耐張支持部材1には笠部3を構成するシリコーンゴム等の絶縁ポリマーが一体成形で設けられている(もしくは接着されている)。
上記のように構成した碍子は可撓性を有し、前記したように耐張碍子として使用する場合でも、電線と碍子を滑らかな連結とすることができ、支持点に集中応力が発生することがない。
なお、ポリイミドロープ自体は絶縁性を有するが、ロープ中へ雨水等が浸透する。そこで、架橋性液状ポリマー(例えば絶縁性のシリコーンゴム系ポリマー)をロープにがん浸処理した後、上記笠部3を一体成形することが望ましい。ロープ構造でない可撓性支持部材を用いる場合には上記処理は不要である。
【0007】
図2は本発明の第2の実施例を示す図であり、本実施例は耐張支持部材1の両端部に引留め金具を取り付けた碍子の断面構造の一例を示している。
同図において、4は引留め金具であり、ポリイミドロープ等から構成される耐張支持部材1の両端部に圧着等により引留め金具4が取り付けられ、耐張支持部材1には前記したように、笠部3として、シリコーンゴム等の絶縁ポリマーが一体成形で設けられている。
本実施例において、耐張支持部材1への引留め金具4の固定は、同図に示すように、耐張支持部材1の両端部を引留め金具4の凹部に挿入した後、引留め金具4を外側から圧縮し、引留め金具4により耐張支持部材1を挟持することにより行っているが、その他の方法で引留め金具4を耐張支持部材1に固定してもよい。
【0008】
図3は本発明の第3の実施例を示す図であり、本実施例は、耐張支持部材1として絶縁性の中空の管(補強材で補強したゴムホース等)を用い、絶縁性ガス、油等の導管として用いたり、中空部に光ファイバ等を通すことを可能とした碍子の端部の断面構造の一例を示している。
同図において、5は管状耐張支持部材、6は引留め金具であり、引留め金具6には管状耐張支持部材5の中空部と連通する管路6aが設けらている。7は円環状のくさび、8は抑え金具、3はシリコーンゴム等の絶縁ポリマーから形成される笠部である。
【0009】
本実施例において、管状耐張支持部材5に引留め金具6を固定するには、引留め金具6に形成された凹部に管状耐張支持部材5を挿入し、くさび7を嵌入する。さらに、抑え金具8を回転させ、抑え金具8の内周に形成されたネジ溝と引留め金具6の外周に形成されたネジ溝を係合させ、抑え金具8を引留め金具6に固定する。これにより、くさび7が押し込まれ、管状耐張支持部材5の端部が強く押しつけられ、管端がシールされる
上記のようにして管状耐張支持部材5に引留め金具6を固定したのち、絶縁ポリマーから形成される笠部3を一体成形等により取り付ける。
上記のように構成した碍子は引留め金具6の管路6aと管状耐張支持部材5の中空部とが連通し、絶縁性ガス、油等を同図の矢印の経路で流すことができる。また、上記中空部に光ファイバ等を通すことができる。
【0010】
図4は本発明の第4の実施例を示す図であり、同図は本実施例の断面構造の一例を示している。
同図において、9は絶縁性の可撓中空管(ゴムホース等)であり、中空管9には、シリコーン等の絶縁ポリマーから形成される笠部3が一体成形等により取り付けられている。
上記のように構成した碍子は、可撓性があり中空であるので、図3の実施例と同様、上記中空部に絶縁性ガス、油等を流すことができ、また、光ファイバ等を通すことができる。また、可撓性があるので機器の配置等に応じて柔軟な絶縁構成を取ることができる。さらに、中空部に剛性部材を挿入すれば、剛性碍子としても使用することもできる。
【0011】
図5、図6は本発明の可撓性碍子の使用例を示す図である。
図5は架空送電線からケーブルを引き込む場合の使用例を示し、同図において、11は架空送電線に接続された引き下げ線、12はジャンパー線、13は鉄構である。引き下げ線11の端部は前記図1〜図3に示した可撓性碍子10で引留められており、引き下げ線11にジャンパー線12が接続され、その他端は各種配電機器14に接続されている。
【0012】
従来においては、上記のようにケーブルを引留める際、剛体の碍子を用いていたが、前記したように剛体の碍子は一般に重く取り扱いが容易でなく、また、その重量のため支持点に応力が集中した。これに対し、本発明の碍子は、軽量で可撓性を有するので取り扱いが容易であり、また、電線と碍子を滑らかな連結とすることができ、支持点に応力が集中することがない。このため、鉄構13を小さくすることができる。
【0013】
図6は高電圧発生器から被試験機器に給電する場合の使用例を示しており、同図において、同図(a)は機器の配置例を示し、同図(b)は本発明の碍子の使用例を示している。同図において、21は高電圧発生装置、22は保護抵抗、23は開閉器等の被試験機器、24は裸導体である。
図6は、高電圧発生器21の出力を被試験機器23に給電し被試験機器23の試験を行う場合において、被試験機器23の給電端子が被試験機器23の裏側に設けられているため、裸導体24を引回して高電圧発生器21の出力を被試験機器23の裏側まで導く場合の構成例を示しており、同図に例では上記裸導体24の支持に前記図1〜図3に示した可撓性碍子20を用いている。
【0014】
図6に示すように裸導体24を支持する場合、従来においては通常、絶縁性のパイプを用い、仮スタンドを作り支えていた。
しかしながら、十分な広さが取れない場合が多く、柱等への放電の恐れがあった。
なお、剛体の碍子を用いて裸導体24を支持することは可能だが、剛体の碍子は重量が重く取り扱いが容易でないので、上記のような一時的に使用には適していない。
【0015】
これに対し、本発明の可撓性碍子は軽量で取り扱いが容易であり、またその両端部に引留め部が形成されているため、梁25、裸導体24への取り付けも容易であり、従来のパイプを使用した場合と比べ作業性を著しく向上させることができる。また、本発明の可撓性碍子は笠部が形成されているので、電圧が高くなっても碍子の長さがそれほど長くなることもない。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)強度が大きい軽い絶縁性の素線をよった繊維、ロープ、もしくは管から碍子を構成し、上記繊維、ロープ、もしくは管に製の笠状部を含む絶縁性の被覆層を接着もしくは一体成形して取り付けているので、碍子を軽量でかつ可撓性とすることができる。このため、取り扱が容易となり、設置が作業を容易にすることができる。また、可撓性であるので、機器の配置等に対し柔軟に対応することが可能となる。
さらに、引留め碍子として用いる場合、電線の描く懸垂曲線と碍子の軸を一致させることができ支持点で滑らかな連結とすることができる。このため支持点に集中応力が発生することがない。
特に、複数のセラミック碍子を多連に連結する場合と比べ、大幅な軽量化を図ることができる。
【0017】
(2)剛性が小さく軽い絶縁性の管から碍子を構成することにより、絶縁性ガス、油等の導管として用いたり、中空部に光ファイバ等を通すことが可能になり、碍子の用途を拡大することができる。
(3)碍子を構成する繊維、ロープもしくは管が可撓性であるので、エラストマーの笠の連続的な一体成形を容易に行うことができ生産性を向上させることができる。また、長尺の可撓性碍子の製造も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の可撓性碍子の断面構造を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施例の可撓性碍子の断面構造を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施例の可撓性碍子の断面構造を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施例の可撓性碍子の断面構造を示す図である。
【図5】本発明の碍子の使用例(1)を示す図である。
【図6】本発明の碍子の使用例(2)を示す図である。
【符号の説明】
1 耐張支持部材
2 引留め部
3 笠部
4 引留め金具
5 管状耐張支持部材
6 引留め金具
6a 管路
7 くさび
8 抑え金具
9 管状中空管
10 可撓性碍子
20 可撓性碍子
Claims (1)
- 絶縁性のポリイミドロープの両端部を輪状に形成もしくは両端部に金具を取り付けて引き留め部を形成し、
引き留め部以外の部分にシリコンゴム製の笠状部を含む絶縁性被覆層を一体成形して設けた
ことを特徴とする可撓性碍子。
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JP35086197A Expired - Fee Related JP3833801B2 (ja) | 1997-12-19 | 1997-12-19 | 可撓性碍子 |
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---|---|---|---|---|
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- 1997-12-19 JP JP35086197A patent/JP3833801B2/ja not_active Expired - Fee Related
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