JP3833415B2 - 目地材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の壁面を構成する壁面材の間に形成された目地内に配置される目地材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
壁面パネル等の壁面材によって建物の壁面を構成する際には、隣接する壁面材の間に目地が形成される。このような目地は、室内への雨水の浸入の原因になるおそれがある。このために、通常、目地内に、弾性を有する目地材が挿入されるようになっており、挿入された目地材によって、室内への雨水の浸入が防止される。
【0003】
しかしながら、目地内に目地材を挿入すると、目地の開口部から目地材の表面が露出した状態になり、露出した目地材の表面が、壁面材の外観と異なっていると、その目地材の表面が、壁面において直線状の筋となって現れるために、外観的に好ましいものではないという問題がある。このために、特開平6−200569号公報には、ゴム成形材料によって構成された目地本体部分における目地から露出する表面に、塗装によって着色斑点模様が設けられた目地材が開示されている。このような目地材は、表面に設けられる着色斑点模様を、壁面材の表面と同様の外観とすることにより、目地材の表面が顕著に目視されず、壁面全体の外観性が向上することになる。
【0004】
また、特開平9−60135号公報には、目地から露出する表面部分を着色するとともに、その表面部分に、チップ状の装飾用基材が埋め込まれた目地材が開示されている。このような目地材も、装飾用基材が設けられた表面部分を、壁面材表面と同様の外観とすることによって、壁面全体の外観性が向上する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−200569号公報に開示された目地材では、目地本体部分がゴム成形材料によって構成されているために、目地本体部分を所定の断面形状に成形した後に加硫する必要があり、その製造が容易でないという問題がある。
【0006】
また、特開平9−60135号公報に開示された目地材は、チップ状の装飾用基材を目地材の表面部分にのみ設けなければならず、従って、その表面部分の製造が容易でないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するものであり、その目的は、容易に製造することができて経済的な目地材およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目地材は、隣接する壁面材の間に形成された目地内に挿入される目地材であって、目地内に連続して挿入される帯状の支柱部と、目地の開口部を覆うように支柱部の一方の側縁部に沿って連続的に突き合わされたフランジ部と、各壁面材の側面に圧接されるように支柱部から左右の各側方にそれぞれ延出するリップ部とが、ゴム状の弾性を有する熱可塑性樹脂によって一体的に成形された目地本体と、目地本体の支柱部内に埋設状態で設けられた鋼板製の心材と、目地本体のフランジ部表面に設けられ、建物の壁面を構成する壁面材の表面と同様に形成された着色斑点模様の塗膜と、前記塗膜の表面に覆われた透明なコーティング膜と、を具備し、支柱部内に心材が埋設された状態で目地本体が連続成形され、長手方向に沿って順次搬送冷却された後に、目地本体のフランジ部の表面に着色斑点模様の塗膜が連続して塗装され、続く搬送過程で乾燥冷却された後に、塗膜の表面にコーティング膜が形成されてなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の目地材の製造方法は、熱可塑性樹脂を心材とともに連続的に押し出して、支柱部内に心材が埋設されて所定の断面形状になった目地本体を成形する工程と、連続的に押し出される目地本体が長手方向に沿って順次搬送冷却された後に、目地本体のフランジ部表面を連続的に塗装して、建物の壁面を構成する壁面材の表面と同様に形成された着色斑点模様の塗膜を形成する工程と、前記塗膜が搬送されている間に乾燥冷却された後に、塗膜の表面に塗装して、透明なコーティング膜を形成する工程と、を包含することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の目地材の実施の形態の一例を示す断面図、図2は、その使用状態を示す断面図である。この目地材10は、壁面材21を垂直面状に配置して建物の壁面を構成した際に、隣接して配置された一対の壁面材21の間に形成される目地22内に配置されるようになっており、ゴム状の弾性体によって構成された帯状の目地本体11と、この目地本体11の中心部に長手方向に沿って連続して配置された心材12とを有している。
【0011】
目地本体11は、例えば、ゴム状の弾性を有する熱可塑性樹脂である高重合ポリ塩化ビニル(PVC)によって一体的に成形されており、一対の壁面材21の間に設けられた目地22内に配置される帯板状の支柱部11aと、この支柱部11aとともに断面T字状になるように支柱部11aの上部の側縁部に沿って全長にわたって一体的に突き合わせられたフランジ部11bとを有している。フランジ部11bは、目地22の開口部を覆うように配置されるようになっており、フランジ部11bの各側縁部は、各壁面材21の側面に圧接されて屈曲されるように、それぞれ、薄肉に構成されている。
【0012】
目地22の開口部から露出するフランジ部11bの表面には、着色斑点模様の塗膜13が設けられており、その塗膜13が、透明なコーティング膜14によって覆われている。
【0013】
支柱部11aの幅方向の中央部に埋設状態で連続して配置された心材12は、亜鉛鋼板、ステンレス鋼板、バネ鋼板等の帯板状の鋼板によって構成されている。心材12の下側の側縁部は、180度にわたって折り曲げられて折り重ねられた状態になっている。心材12の上側の側縁部は、目地本体11のフランジ部11bにおける支柱部11aに連続する下部内にて、一方の側方に向かって直角に屈曲された後に、180度にわたって折り重ねられた頭部12aを形成しており、従って、心材12は、全体にわたって断面T字状に形成されている。
【0014】
目地本体11の支柱部11aには、下側の側縁部近傍から左右の各側方にそれぞれ延出した一対の下部リップ部11cが、長手方向の全長にわたって設けられている。各下部リップ部11cにおける支柱部11aとの接続部分は、支柱部11a側になるにつれて順次上側に広がるように厚肉になっており、各下部リップ部11cにおける支柱部11aとのそれぞれの接続部には、支柱部11aの左右の各側方に延出する一対の中央リップ部11dが、長手方向の全長にわたって、それぞれ設けられている。そして、各下部リップ部11cの延出方向の中程と、その中程にそれぞれ対向した中央リップ部11dの延出方向の中程とが、連結片11eによって、長手方向の全長にわたって、それぞれ連結されている。また、中央リップ部11dにおける延出方向中程と、それぞれの上方に位置するフランジ部11bの左右の延出方向中程とが、屈曲連結片11fによって、それぞれ、長手方向の全長にわたって連結されている。各屈曲連結片11fは、各中央リップ部11dよりもそれぞれ薄肉に構成されており、それぞれの上下方向の中程が外側に突出するように屈曲されている。
【0015】
目地本体11は、高重合PVCによって一体的に構成されているが、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、架橋ゴム分散オレフィン系熱可塑性エラストマー等のゴム状の弾性を有する熱可塑性樹脂等によって構成してもよい。
【0016】
目地本体11のフランジ部11b表面に設けられる着色斑点模様の塗膜13は、建物の壁面を構成する壁面材21の表面と同様の着色斑点模様が得られるように、溶剤タイプあるいはエマルジョンタイプのアクリル系あるいはアクリルシリコン系、ウレタン系の塗料をスプレー塗装することによって形成されている。塗膜13は、壁面材21の外観と同様の外観が得られるように、塗料粘度、スプレーのチップ形状、吐出圧力、目地本体11におけるフランジ部11bの表面温度等が、適宜、調整される。
【0017】
この塗膜13の表面全体は、クリア塗装によって形成された透明なコーティング膜14によって覆われている。コーティング膜14も、塗膜13と同様に、溶剤タイプあるいはエマルジョンタイプのアクリル系あるいはアクリルシリコン系、ウレタン系の透明な塗料によって形成されている。
【0018】
このような構成の目地材10は、次のように製造される。まず、目地本体11を構成するPVCを、所定の断面形状に成形された心材12とともに、所定の断面形状となるように、押出成形する。これにより、心材12が支柱部11a内に埋設された状態で一体化された所定の断面形状の目地本体11が連続して成形される。連続成形される目地本体11は、長手方向に沿って順次搬送される間に冷却され、その後に、目地本体11のフランジ部11b表面が、連続的にスプレー塗装される。これによって、目地本体11のフランジ部11b表面に、着色斑点模様の塗膜13が連続して形成される。
【0019】
目地本体11のフランジ部11bに形成された塗膜13は、目地本体11が搬送されている間にが乾燥されて冷却され、その後に、スプレー塗装またはロール塗装によって、塗膜13の表面にコーティング膜14が形成される。そして、コーティング膜14が冷却されると、搬送されている目地本体11は、所定の長さに切断され、目地材10とされる。
【0020】
このようにして製造される目地材10は、図2に示すように、一対の壁面材21の間の目地22内に、目地本体11のフランジ部11bが、目地22の開口部側に位置するように挿入される。これにより、目地本体11における各下部リップ部11c先端部および各中央リップ部11d先端部が、それぞれ各壁面材21の側面に、長手方向の全長にわたって圧接されて、各壁面材21に沿って目地22の開口部側に屈曲された状態になるとともに、フランジ部11bの各側縁部も、各壁面材21の側面に圧接されて、各壁面材21の側面に沿って目地22の開口部側に湾曲した状態になっている。
【0021】
このように、目地22の開口部は、目地22の両側の各壁面材21の側面に圧接された目地本体11のフランジ部11bによって覆われるとともに、各下部リップ部11cおよび各中央リップ部11dによってシールされており、目地22内に雨水が進入するようなおそれがない。しかも、目地22の開口部から露出した目地本体11のフランジ部11bは、透明なコーティング膜14によって覆われた塗膜13が露出しており、従って、目地22の両側の各壁面材21と同様の外観になっており、壁面は、目地22が存在することを感じさせることのない、優れた外観になっている。着色斑点模様の塗膜13は、透明なコーティング膜14によって覆われているために、耐候性および耐久性に優れており、長期にわたって安定的に使用される。
【0022】
【発明の効果】
本発明の目地材は、このように、支柱部内に心材が埋設された状態で目地本体が連続成形され、長手方向に沿って順次搬送冷却された後に、目地本体のフランジ部の表面に着色斑点模様の塗膜が連続して塗装され、続く搬送過程で乾燥冷却された後に、塗膜の表面にコーティング膜が形成されているために、製造が容易であり、しかも、壁面材の外観と同様の外観容易にすることができる。本発明の目地材の製造方法は、このような目地材を経済的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の目地材の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】その目地材の使用状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 目地材
11 目地本体
11a 支柱部
11b フランジ部
11c 下部リップ部
11d 中央リップ部
11e 連結部
11f 屈曲連結部
12 心材
13 塗膜
14 コーティング膜
21 壁面材
22 目地
Claims (2)
- 隣接する壁面材の間に形成された目地内に挿入される目地材であって、
目地内に連続して挿入される帯状の支柱部と、目地の開口部を覆うように支柱部の一方の側縁部に沿って連続的に突き合わされたフランジ部と、各壁面材の側面に圧接されるように支柱部から左右の各側方にそれぞれ延出するリップ部とが、ゴム状の弾性を有する熱可塑性樹脂によって一体的に成形された目地本体と、
目地本体の支柱部内に埋設状態で設けられた鋼板製の心材と、
目地本体のフランジ部表面に設けられ、建物の壁面を構成する壁面材の表面と同様に形成された着色斑点模様の塗膜と、
前記塗膜の表面に覆われた透明なコーティング膜と、
を具備し、
支柱部内に心材が埋設された状態で目地本体が連続成形され、長手方向に沿って順次搬送冷却された後に、目地本体のフランジ部の表面に着色斑点模様の塗膜が連続して塗装され、続く搬送過程で乾燥冷却された後に、塗膜の表面にコーティング膜が形成されてなることを特徴とする目地材。 - 請求項1に記載の目地材の製造方法であって、
熱可塑性樹脂を心材とともに連続的に押し出して、支柱部内に心材が埋設されて所定の断面形状になった目地本体を成形する工程と、
連続的に押し出される目地本体が長手方向に沿って順次搬送冷却された後に、目地本体のフランジ部表面を連続的に塗装して、建物の壁面を構成する壁面材の表面と同様に形成された着色斑点模様の塗膜を形成する工程と、
前記塗膜が搬送されている間に乾燥冷却された後に、塗膜の表面に塗装して、透明なコーティング膜を形成する工程と、
を包含することを特徴とする目地材の製造方法。
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