JP3833325B2 - メタセシス重合触媒液、モノマー液および架橋重合体組成物 - Google Patents

メタセシス重合触媒液、モノマー液および架橋重合体組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なメタセシス重合触媒液の製造方法に関するものである。これにより物理的な性質または機能が効果的に改良されたバルクの架橋重合体組成物を反応射出成形法等により得ることができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、メタセシス重合触媒系(複分解触媒系ともいう)の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液と、活性化剤成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液とを混合し、金型内へ注入し、金型内で重合・架橋させて架橋重合体組成物を製造する方法は知られている(例えば特開平3−28451号公報参照)。
【0003】
この反応射出成形法は、入手容易な原料モノマーを使用しうること、モノマーの粘度が低く射出成形の圧力が低いこと、重合・架橋反応が速く成形サイクルが短いこと、大型の成形物等の組成物を比較的容易に得ることができることおよび組成物は剛性と耐衝撃性のバランスがよいことなどの優れた利点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この架橋重合体組成物は次のような弱点を有していた。すなわち、メタセシス重合性環状オレフィンとしてジシクロペンタジエンを用い、特開平3−28451号公報記載の触媒を使用してメタセシス重合した場合には、その耐熱性は100℃前後と低いため使用できる用途に限界があること、また、その耐熱性改善のためシクロペンタジエン3量体等の嵩高いメタセシス重合性環状オレフィン化合物をメタセシス重合させ耐熱性を改善した場合(例えば特公平5−62613号公報参照)には、耐衝撃性の大幅低下により使用できる用途に限界が生じること、さらに、架橋重合体組成物が独特の異臭を有するため、その用途は屋外で使用されるものが多く、屋内で使用し異臭が問題とされるような場合には、架橋重合体組成物を塗料で覆い異臭が外部に出るのを妨げる方法を取らなければならない場合があることなどである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、このような架橋重合体組成物の弱点の克服について鋭意検討した結果、メタセシス重合触媒系の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液A(溶液A)とアルキルアルミニウム化合物をメタセシス重合触媒系の活性化剤成分として含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液B(溶液B)とを混合し、その混合液を金型内に注入し、その金型内において重合および架橋反応せしめることによって成形された架橋重合体組成物を得る方法に使用するメタセシス重合触媒液であって、該メタセシス重合触媒液を作製するにあたり、WOC14および/またはMoOC13にエーテル化合物およびフェノール化合物を作用させ、かつ、メタセシス重合性環状オレフィンを溶媒として使用すると、カチオン重合反応をエーテル化合物の添加により抑制できるため、触媒調製のための溶媒として、従来は触媒によりカチオン重合を起こすために使用できなかったメタセシス重合性環状オレフィンを使用でき、またこの重合触媒液を使用した架橋重合体組成物は耐衝撃性を損なうことなく耐熱性を大幅に改善できることを見出した。このエーテル化合物の添加によるカチオン重合反応の抑制は鎖状エーテルを使用した場合に特に優れていた。また、メタセシス重合触媒活性化剤液に添加する速度調節剤としてのエーテル化合物として、鎖状エーテル化合物を使用することが好ましいことも判明した。
【0006】
さらに、メタセシス重合触媒液の調製にエーテル化合物の共存下メタセシス重合性環状オレフィンモノマーのみを溶媒として使用することでメタセシス重合に関与しない溶媒(たとえばトルエン)を使用する必要が無くなり、このメタセシス重合に関与しない溶媒に起因する成形時の発煙量減少、異臭の減少が図れることも判明した。なお、この場合の異臭は、使用したメタセシス重合に関与しない溶媒たとえばトルエンそのものの臭いとは異なる不快な異臭であった。重合に関与しない溶媒を使用した場合に、なぜこのような溶媒自体の臭いとは異なる異臭がするのかは明確ではないが、多分、これらの溶媒の存在によって架橋重合体組成物の内部にある不快異臭成分の揮発が促進されるためではないかと推察されている。
【0007】
すなわち本願発明は
1. メタセシス重合触媒系の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液A(溶液A)とアルキルアルミニウム化合物をメタセシス重合触媒系の活性化剤成分として含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液B(溶液B)とを混合し、その混合液を金型内に注入し、その金型内において重合および架橋反応せしめることによって成形された架橋重合体組成物を得る方法に使用するメタセシス重合触媒液を製造する方法であって、該メタセシス重合触媒液を作製するにあたり、エーテル化合物とメタセシス重合性環状オレフィンの混合物にWOC14および/またはMoOC13を加え、さらにフェノール化合物を添加作用させ、かつ、メタセシス重合性環状オレフィンを溶媒として使用することを特徴とするメタセシス重合触媒液の製造方法、
2. WOC14および/またはMoOC13に作用させるエーテル化合物が鎖状エーテル化合物であることを特徴とする上記1記載のメタセシス重合触媒液の製造方法、
である。
【0008】
ここで、本願に係る重合触媒液においてエーテル化合物を作用させるとは、エーテル化合物とメタセシス重合性環状オレフィンの混合物にWOC14および/またはMoOC13を加えることによってメタセシス重合触媒液を調製することを言う。また、フェノール化合物は触媒の活性を高め、反応速度を調節するために使用するものであるが、このフェノール化合物を作用させるとは、本願に係るメタセシス重合触媒液を調製するに当たって、その調製の段階にフェノール化合物を添加することを言う。WOC14および/またはMoOC13とエーテル化合物を含む混合物中にフェノール化合物を添加することである。この作用により、エーテル化合物は、WOC14および/またはMoOC13あるいはこれらの物質にフェノキシ基が結合したタングステン化合物および/またはモリブデン化合物に配位するものと考えられている。
【0009】
また、メタセシス重合触媒液を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液A(溶液A)とは、メタセシス重合触媒系の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液A(溶液A)が、メタセシス重合触媒系の触媒成分が一旦メタセシス重合触媒液として調製された後にメタセシス重合性環状オレフィンに添加されて成るものであることを意味し、メタセシス重合触媒活性化剤液を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液B(溶液B)とは、メタセシス重合触媒系の活性化剤成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液B(溶液B)が、メタセシス重合触媒系の活性化剤成分が一旦メタセシス重合触媒活性化剤液として調製された後にメタセシス重合性環状オレフィンに添加されて成るものであることを意味する。
【0010】
WOC14および/またはMoOC13にエーテル化合物を作用させることで、従来メタセシス重合性環状オレフィンモノマーと遷移金属化合物との反応で起こっていたカチオン重合をエーテル化合物の作用により抑制することができ、これによって架橋重合体を得るための新しいメタセシス重合触媒液が提供できると共に、従来に較べ優れた耐熱性を有するオレフィンメタセシス架橋重合体組成物が得られるようになった。また、メタセシス重合触媒の調製にエーテル化合物の共存下メタセシス重合性環状オレフィンモノマーを溶媒として使用することが可能となったため、メタセシス重合には関与しない他の溶媒を使用する必要が無くなり、従って最終製品たるオレフィンメタセシス架橋重合体組成物中に反応しない溶媒は実質上含まれなくなり、このため残存溶媒が含まれる従来の架橋重合体に較べ、耐熱性、曲げや引張りなどの機械物性への悪影響が無くなり、優れた機械特性を有する重合体を得ることが可能となった。なお、ここでいう反応しない溶媒とは、メタセシス重合する可能性のない溶媒のことをいいメタセシス重合反応において未反応物として少量残る可能性のあるモノマー成分を意味するものではない。
【0011】
本発明で、メタセシス重合触媒液に溶媒として使用されるメタセシス重合性環状オレフィンモノマーはメタセシス重合可能なものであって、かかるメタセシス重合性環状オレフィンモノマーは、常温で固体であっても、他のメタセシス重合性環状オレフィンモノマーと混合して使用するかまたはエーテル化合物を添加することにより液体となる場合には溶媒として使用することができる。
【0012】
メタセシス重合触媒液の溶媒として使用するメタセシス重合性環状オレフィンの具体例としては、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン3量体、シクロペンタジエン−メチルシクロペンタジエン共2量体、5−エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a、5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、エチレンビス(5−ノルボルネン)などを挙げることができこれらの混合物も使用することができる。特にジシクロペンタジエンまたはそれを50モル%以上、好ましくは70モル%以上含む混合物が好適に用いられ、また、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、シクロペンタジエン3量体のうちから少なくとも一つ選ばれるメタセシス重合性環状オレフィンが好適に用いられる。
【0013】
本発明でWOC14および/またはMoOC13に作用させるエーテル化合物は、環式エーテルと鎖状エーテルとに分類される。環式エーテルには、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等を挙げることができる。また、鎖状エーテルは、アニソール、フェネトール、フェニルエーテル、ベンジルエーテル、フェニルベンジルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、デカクロロジフェニルエーテル等のアリール、アラルキル基を有するエーテルやビニルエーテル、アリルエーテル、メチルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルアリルエーテルのビニル基、アリル基を有するエーテルの他、構造式が下記の式(1)(ここでR1は炭素数2〜6のアルキレン鎖、R2、R3は炭素数1〜8のアルキル基を示す。なお、水素原子がハロゲン原子で置換されたものも含む。また、R2、R3は同じであっても、異なっていてもよい。nは0〜40の自然数で繰り返し単位を示す。)の一般式で表されるエーテルが含まれる。
【0014】
【化1】
Figure 0003833325
【0015】
式(1)の一般式で表される化合物は、n=0の場合は分子内に1個のエーテル結合を有するモノエーテルであり、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アミルエーテル、イソアミルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルアミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルアミルエーテル、エチルイソアミルエーテル等を挙げることができる。
【0016】
n=1〜40の場合には、分子内に複数個のエーテル結合を有するポリエーテルに分類できる。
【0017】
ポリエーテルの具体例としては、アルキレングリコールまたは/およびポリアルキレングリコールのジアルキルエーテルが挙げられる。
【0018】
アルキレングリコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−クロロ−1,3−プロパンジオールなどが例示され、なかでも炭素数2〜6のアルキレン基を有するものが好ましく、ポリアルキレングリコールの具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコールのごとき低重合度のもののほか、繰り返し単位が4〜40程度の分子量が2,000程度までの高重合度のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの両末端がアルキル化されたものであり、そのジアルキルエーテル化合物の末端を形成するアルキル基の炭素数は1〜8が好ましい。そのようなアルキレングリコールおよび/またはポリアルキレングリコール化合物のジアルキルエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジオクチルエーテルなどを挙げることができる。これらのエーテル化合物は混合物を使用することもできる。
【0019】
本発明でWOC14および/またはMoOC13に作用させるエーテル化合物とWOC14および/またはMoOC13との量的関係は、エーテル化合物のモル数がWOC14および/またはMoOC13の1モルに対し、1モルから3モルの間で適宜使用できる。またその時に溶媒として使用されるメタセシス重合性環状オレフィン化合物の量はWOC14および/またはMoOC13を均一に溶解または分散できる量であれば良く特に限定されるものではないが、一般的には、溶媒中におけるWOC14および/またはMoOC13の濃度であらわした場合に0.1〜5.0モル/リットルの範囲で適宜用いられる。
【0020】
本発明で触媒の活性を高めるためおよび反応速度調節のために作用させるフェノール化合物の具体的化合物としては、アルキルフェノール、2,6−ジハロ−4−アルキルフェノール(ただしここでアルキル基は1〜18個の炭素原子を有する)化合物が用いられる。より具体的なフェノール化合物としては、t−ブチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルクレゾール、t−オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,6−ジクロロフェノール、2,6−ジクロロクレゾール、2,6−ジクロロノニルフェノール、2,6−ジクロロ−t−オクチルフェノール、2,6−ジブロモフェノール、2,6−ジブロモクレゾール、2,6−ジブロモノニルフェノール、2,6−ジブロモ−t−オクチルフェノール等の化合物を挙げることができる。フェノール化合物の2,6の位置により嵩高い置換基がある化合物を使用した場合には反応速度を遅らせることが可能である。また、これらフェノール化合物は、2種以上混合して使用することも可能である。さらに、これらフェノール化合物は本願に係るメタセシス重合触媒液を調製するに当たって、例えばWOC14および/またはMoOC13とエーテル化合物を含む混合物中に作用させると塩化水素が発生することから、フェノール化合物がタングステンまたはモリブデンと反応してフェノキシ化したものと判断される。
【0021】
WOC14および/またはMoOC13にエーテル化合物を作用させた物質は、それ自身メタセシス重合性環状オレフィンモノマーに対する溶解性が改善されており、触媒を可溶化させる目的からは特にフェノール化合物を必要としないことから、WOC14および/またはMoOC13の1モルに対するフェノール化合物の割合は、触媒の反応性の面から0モルより大でかつ3モル以下の範囲で選択される。
【0022】
一方、本発明におけるモノマー液B(溶液B)中には、メタセシス重合触媒系の活性化剤成分として有機アルミニウム化合物が含有されている。具体的な有機アルミニウム化合物としては、アルキルアルミニウム化合物、アルキルアルミニウムハライド化合物、アルコキシアルミニウム化合物が好ましく、さらに具体的な有機アルミニウム化合物としては、塩化ジエチルアルミニウム、ジ塩化エチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジオクチルアルミニウムアイオダイド、エトキシジエチルアルミニウム、ジエトキシエチルアルミニウム、塩化エトキシエチルアルミニウム等の化合物を挙げることができる。
【0023】
これら有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して使用することも可能である。基本的には前記溶液Aおよび溶液Bを混合し、金型内に注入することによって、架橋重合体組成物を得ることができるが、上記組成のままでは重合反応が非常に早く開始され、成形金型に十分流れこまない間に硬化が起こるような場合、有機アルキルアルミニウムを有する溶液B側に反応速度調節剤を添加することができる。
【0024】
かかる反応速度調節剤としては、エーテル化合物、特に鎖状エーテル化合物が好ましく、構造式が下記の式(2)(ここでR4は炭素数2〜6のアルキレン鎖、R5、R6は炭素数1〜8のアルキル基を示す。pは0〜40の自然数で繰り返し単位を示す。)の一般式で表される
化合物である。
【0025】
【化2】
Figure 0003833325
【0026】
この場合の式(2)の一般式で表される化合物は、p=0の場合は分子内に1個のエーテル結合を有するモノエーテルであり、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アミルエーテル、イソアミルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルアミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルアミルエーテル、エチルイソアミルエーテル等を挙げることができる。
【0027】
p=1〜40の場合には、分子内に複数個のエーテル結合を有するポリエーテルに分類できる。
【0028】
ポリエーテルの具体例としては、アルキレングリコールまたは/およびポリアルキレングリコールのジアルキルエーテルが挙げられる。
【0029】
アルキレングリコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオールなどが例示され、なかでも炭素数2〜6のアルキレン基を有するものが好ましく、ポリアルキレングリコールの具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコールのごとき低重合度のもののほか、繰り返し単位が4〜40程度の分子量が2,000程度までの高重合度のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの両末端がアルキル化されたものであり、そのジアルキルエーテル化合物の末端を形成するアルキル基の炭素数は1〜8が好ましい。そのようなアルキレングリコールおよび/またはポリアルキレングリコール化合物のジアルキルエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジオクチルエーテルなどを挙げることができる。またこれらのエーテル化合物は混合物を使用することもできる。
【0030】
メタセシス重合触媒液および活性化剤成分の使用量は、例えば触媒成分としてWOC14を用いる場合、上記原料モノマー対WOC14の比率が、モル基準で1,000対1〜40,000対1、好ましくは、1,500対1〜20,000対1であり、また、活性化剤成分については、上記原料モノマー対アルミニウム化合物の比率が、モル基準で100対1〜20,000対1、好ましくは200対1〜10,000対1である。
【0031】
メタセシス重合性のモノマー液には、オレフィンモノマー、他の重合体、特定の目的のために添加される各種添加剤を含めることができる。
【0032】
メタセシス重合のポリマーの原料となるメタセシス重合性環状オレフィンモノマーの具体例としては、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン3量体、シクロペンタジエン−メチルシクロペンタジエン共2量体、5−エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a、5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a、5,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、エチレンビス(5−ノルボルネン)などを挙げることができこれらの混合物も使用することができる。特にジシクロペンタジエンまたはそれを50モル%以上、好ましくは70モル%以上含む混合物が好適に用いられる。
【0033】
上記に示したメタセシス重合のポリマーの原料となるメタセシス重合性環状オレフィンモノマーの組成は、触媒調製時に溶媒として使用するメタセシス重合性環状オレフィンモノマーの組成と同じであっても、異なっていても良い。
【0034】
また、メタセシス重合のポリマーの原料となるメタセシス重合性環状オレフィンモノマーとしては、必要に応じて、酸素、窒素、ハロゲン元素などの異種元素を含有する極性基を有するメタセシス重合性環状オレフィンを共重合モノマーとして用いることができる。かかる共重合モノマーも、ノルボルネン構造単位を有するものが好ましく且つ極性基としてはエステル基、エーテル基、シアノ基、N−置換イミド基、ハロゲン基などが好ましい。かかる共重合モノマーの具体例としては、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−(2−エチルヘキソキシ)カルボニル−5−メチルノルボルネン、5−フェノキシメチルノルボルネン、5−シアノノルボルネン、6−シアノ−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a、5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、N−ブチルナディック酸イミド、5−クロルノルボルネンなどを挙げることができる。これらルイス塩基性グループを有するモノマーを使用する場合にはそれに調節剤の役目を兼ねさせることもできる。
【0035】
また、本発明の架橋重合体組成物は、酸化防止剤を添加しておくことが好ましく、そのためフェノール系または、アミン系の酸化防止剤を予め溶液中に加えておくことが好ましい。これら酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチルクレゾール、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)]メタンなどが挙げられる。
【0036】
また、本発明による架橋重合体組成物は、他の重合体を単量体溶液状態の時に添加しておくことができる。かかる重合体添加剤としては、エラストマーの添加が架橋重合体組成物の耐衝撃性を強めることおよび溶液の粘度を調節するうえで効果がある。かかる目的に用いられるエラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロックゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、エチレン−プロピレンジエンターポリマー、ニトリルゴムなどの広範なエラストマーを挙げることができる。
【0037】
他の添加剤としては、反応率を高めるためのハロゲン化炭化水素、ハロゲン化合物があり、ヘキサクロロキシレン、α,α,α−トリクロロトルエン、4塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン、アリルクロライド、ベンジルクロライドなどを挙げることができる。また、ケイ素、硼素、イオウ、リン元素を含むハロゲン化合物なども反応効率向上の効果がある。
【0038】
添加剤としての補強材または充填剤は曲げモジュラスを向上するのに効果がある。かかるものとしては、ガラス繊維、雲母、カーボンブラック、ウォラストナイト等をあげることができる。これらをいわゆるシランカップラーなどにより表面処理したものも好適に使用できる。
【0039】
本発明の架橋重合体組成物は前記した如く、重合と成形を同時に行うことによって製造される。かかる成形方法としては前記の如く、触媒系と溶液とを前もって混合したプレミックスを金型内に流入せしめるレジンインジェクション方式、触媒系を二つに分けた溶液Aと溶液Bをミキシングヘッド部分で衝突混合せしめてそのまま流し込むRIM方式を取ることができる。いずれの場合も金型への注入圧力は比較的低圧であることができ、従って安価な金型を使用することが可能である。また、金型内の重合反応が開始されると反応熱によって金型内の温度は急速に上昇し、短時間に重合反応が終了する。ポリウレタンRIMの場合と異なり、金型からの離脱は容易であり、特別の離型剤を使用しない場合が多い。
【0040】
架橋重合体組成物は、表面に酸化層ができることによってエポキシやウレタン等の一般に使用される塗料への付着性は良好である。
【0041】
以下、実施例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下においてはメタセシス重合触媒液を単に触媒液と記載した。
【0042】
【実施例】
(触媒液調製)
[実施例1]
1リットルのフラスコに、150gのジシクロペンタジエン(以下DCPDと記述する)と45.0g(0.5モル)のエチレングリコールジメチルエーテルとを添加し均一化して触媒液調製用の溶液を調製した。この溶液中の酸素とフラスコ内部の酸素は触媒液調製用の溶液中に窒素を吹き込むことによって窒素置換した。この系に85.5g(0.25モル)のWOC14の結晶を徐々に添加し、攪拌混合することによりDCPDとエチレングリコールジメチルエーテルとの混合溶液に均一に溶解させることができた。WOC14を添加した時には、溶液の温度上昇および粘度の上昇は見られなかった。続いて、55.0g(0.25モル)のノニルフェノールを55.0gのDCPDに溶解させノニルフェノールの粘度を低下させた溶液を、フラスコ上部より滴下した。滴下終了後、17時間室温下で攪拌した。最終的にタングステンの濃度が0.5モル/リットルになるようにDCPDを追加し重合用触媒液とした。なお、実施例1の全操作は窒素雰囲気下に行った。この触媒液は、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0043】
[実施例2]
WOCl4をMoOCl3に、エチレングリコールジメチルエーテルをジエチレングリコールジメチルエーテルに置き換えた以外は、実施例1と同様の操作で、MoOCl3を用いた触媒液を調製した。この触媒液は、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0044】
[実施例3]
DCPDとエチレングリコールジメチルエーテルとの混合溶液の代わりにDCPDとエチリデンノルボルネンとをモル比率で90:10の割合に混合したメタセシス重合性環状オレフィンとジブチルエーテルとの混合溶液を使用した以外は、実施例1と同様の操作で、触媒液を調製した。この触媒液は、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0045】
[実施例4]
1リットルのフラスコに、150gのDCPDとシクロペンタジエン3量体とをモル比率で90:10の割合に混合したメタセシス重合性環状オレフィンと45.0g(0.5モル)のエチレングリコールジメチルエーテルとを添加し均一化して触媒液調製用の溶液を調製した。この溶液中の酸素とフラスコ内部の酸素は触媒液調製用の溶液に窒素を吹き込むことによって窒素置換した。この系に85.5g(0.25モル)のWOC14の結晶を徐々に添加し、攪拌混合することによりDCPDとエチレングリコールジメチルエーテルとの混合溶液に均一に溶解させることができた。WOC14を添加した時には、溶液の温度上昇および粘度の上昇は見られなかった。続いて、51.5g(0.25モル)のt−オクチルフェノールを22.5g(0.25モル)のエチレングリコールジメチルエーテルに溶解させた溶液を、フラスコ上部より滴下した。滴下終了後、17時間室温下で攪拌した。その後最終的にタングステンの濃度が0.5モル/リットルになるようにDCPDを追加し重合用触媒液とした。なお、これらの全操作は窒素雰囲気下に行った。
【0046】
この触媒液は、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0047】
[実施例5]
フェノール化合物を2,6−ジメチルフェノールに変更した以外は、実施例1と同様の操作で触媒液を調製した。この触媒液は、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0048】
[実施例6]
エーテル化合物をジエチレングリコールジメチルエーテルにし、フェノール化合物を2,6−ジイソプロピルフェノールに変更した以外は、実施例1と同様の操作で、触媒液を調製した。この触媒液は、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0049】
[実施例7]
エーテル化合物をトリエチレングリコールジメチルエーテルにし、フェノール化合物を2,6−ジブロモノニルフェノールに変更した以外は、実施例1と同様の操作で、触媒液を調製した。この触媒液は、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0050】
[実施例8]
エーテル化合物をジエチレングリコールジメチルエーテルにし、ノニルフェノールの添加量を2倍にした以外は、実施例1と同様の操作で、触媒液を調製した。この触媒液は、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0051】
[実施例9]
エーテル化合物に環状エーテルであるテトラヒドロフランを使用した以外は、実施例1と同様の操作で触媒液を調製した。この触媒液は、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0052】
[比較例1]
1リットルのフラスコに、200gのDCPDとエチリデンノルボルネンとをモル比率で90:10の割合に混合したメタセシス重合性環状オレフィンを溶媒とした。この溶媒中の酸素とフラスコ内部の酸素は触媒液調製用の溶媒に窒素を吹き込むことによって窒素置換した。この系に85.5g(0.25モル)のWOC14の結晶を徐々に添加しようとしたところ途中から、溶液内部の温度が上昇を始めたため添加を中断した。その後も温度上昇が続きフラスコ内部の物は固化したため触媒液は調製できなかった。
【0053】
[比較例2]
溶媒としてメタセシス重合性環状オレフィンは使用せずトルエンを使用した以外は、実施例1と同様の操作で、触媒液を調製した。この触媒液は、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
以上の実施例および比較例の触媒の組成を表Aにまとめて記載した。
【0054】
(溶液A、Bの調製、および反応性と物性比較)
[実施例10]
(溶液Aの調製)
DCPD97重量部、エチリデンノルボルネン3重量部よりなる、メタセシス重合のポリマーの原料となるモノマー混合物に対しエチレン含有量70モル%のエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン重合ゴム3重量部、酸化防止剤としてエチル社製エタノックス702を2重量部加えた溶液に、実施例1の触媒液を、タングステン含量が0.01モル/リットルになるように加え溶液Aを調製した。この溶液Aの粘度は、30℃で300cpsであった。なお、これらの全操作は窒素雰囲気下に行った。溶液Aは、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0055】
(溶液Bの調製)
DCPD97重量部、エチリデンノルボルネン3重量部よりなる、メタセシス重合のポリマーの原料となるモノマー混合物に対して、エチレン含有量70モル%のエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン重合ゴムを3重量部になるように加えたモノマー混合物に、トリイソブチルアルミニウム100、ジエチレングリコールジメチルエーテル50のモル比で混合調製したメタセシス重合触媒活性化剤液を、アルミニウムの含量が0.015モル/リットルになるように混合し、活性化剤成分を含有する溶液Bを調製した。この全操作は窒素雰囲気下に行った。この溶液Bの粘度は、30℃で300cpsであった。
【0056】
(反応性評価)
30℃に制御された本実施例の溶液Aと溶液Bとの両方の液を各10mlずつ注射器にて計量し、攪拌装置付きの窒素置換された100mlのガラス容器中に押し出し、重合を開始させ、液の重合による発熱により温度が30℃から100℃に達するまでの時間を測定したところ42秒であり、最高到達温度は194℃であった。
【0057】
(成形と物性評価)
上記本実施例の溶液Aと溶液Bとを用いて、溶液A、溶液Bの両方の液がノズルより吹き出し衝突混合し小型の金型内に流れ込むようにした小型机上RIM装置によって、金型温度の上面が60℃、下面が90℃の板状成形物を与える金型内部に押し出し、成形板(200×200×3mm)を作製した。成形において金型を開いたときの蒸気は、非重合成分が反応系に存在しないために非常に少なく、成形場所における異臭、成形物自身の異臭も少なかった。耐熱性の測定は、JIS K7207に従い、耐衝撃性の測定はJIS K7110に従い実施した。結果を表Bに示す。
【0058】
[実施例11]
実施例2で調製した触媒液を使用した以外は、実施例10と同様の方法で、溶液A、Bの調製、および反応性評価、成形と物性評価を実施した。結果を表Bに示す。成形において金型を開いたときの蒸気は、非重合成分が反応系に存在しないために非常に少なく、成形場所における異臭、成形物自身の異臭も少なかった。溶液Aは、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0059】
[実施例12]
実施例3で調製した触媒液を使用した以外は、実施例10と同様の方法で、溶液A、Bの調製、および反応性評価、成形と物性評価を実施した。結果を表Bに示す。成形において金型を開いたときの蒸気は、非重合成分が反応系に存在しないために非常に少なく、成形場所における異臭、成形物自身の異臭も少なかった。溶液Aは、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0060】
[実施例13]
実施例4で調製した触媒液を使用し、メタセシス重合のポリマーの原料となるモノマー混合物としてジシクロペンタジエンとシクロペンタジエン3量体のモル比率が90:10である混合物を使用した以外は、実施例10と同様の方法で、溶液A、Bの調製、および反応性評価、成形と物性評価を実施した。結果を表Bに示す。成形において金型を開いたときの蒸気は、非重合成分が反応系に存在しないために非常に少なく、成形場所における異臭、成形物自身の異臭も少なかった。溶液Aは、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0061】
[実施例14]
実施例5で調製した触媒液を使用した以外は、実施例10と同様の方法で、溶液A、Bの調製、および反応性評価、成形と物性評価を実施した。結果を表Bに示す。フェノールの2、6の位置に嵩高い置換基が導入されることで反応速度を制御できることが判る。成形において金型を開いたときの蒸気は、非重合成分が反応系に存在しないために非常に少なく、成形場所における異臭、成形物自身の異臭も少なかった。溶液Aは、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0062】
[実施例15]
実施例6で調製した触媒液を使用した以外は、実施例10と同様の方法で、溶液A、Bの調製、および反応性評価、成形と物性評価を実施した。結果を表Bに示す。フェノールの2、6の位置に嵩高い置換基が導入されることで反応速度を制御できることが判る。成形において金型を開いたときの蒸気は、非重合成分が反応系に存在しないために非常に少なく、成形場所における異臭、成形物自身の異臭も少なかった。溶液Aは、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0063】
[実施例16]
実施例7で調製した触媒液を使用した以外は、実施例10と同様の方法で、溶液A、Bの調製、および反応性評価、成形と物性評価を実施した。結果を表Bに示す。フェノールの2、6の位置に嵩高い置換基が導入されることで反応速度を制御できることが判る。成形において金型を開いたときの蒸気は、非重合成分が反応系に存在しないために非常に少なく、成形場所における異臭、成形物自身の異臭も少なかった。溶液Aは、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0064】
[実施例17]
実施例8で調製した触媒液を使用した以外は、実施例10と同様の方法で、溶液A、Bの調製、および反応性評価、成形と物性評価を実施した。結果を表Bに示す。成形において金型を開いたときの蒸気は、非重合成分が反応系に存在しないために非常に少なく、成形場所における異臭、成形物自身の異臭も少なかった。溶液Aは、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0065】
[実施例18]
実施例9で調製した触媒液を使用した以外は、実施例10と同様の方法で、溶液A、Bの調製、および反応性評価、成形と物性評価を実施した。結果を表Bに示す。成形において金型を開いたときの蒸気は、非重合成分が反応系に存在しないために非常に少なく、成形場所における異臭、成形物自身の異臭も少なかった。溶液Aは、その後、室温下1か月以上窒素雰囲気下に保存しておいても安定であり、カチオン重合などの反応は起こらなかった。
【0066】
[比較例3]
比較例2で調製した触媒液を使用した以外は、実施例10と同様の方法で、溶液A、Bの調製、および反応性評価、成形と物性評価を実施した。結果を表Bに示す。耐熱性は、同じ触媒系を使用しているにも係わらず、成形物中に非重合成分であるトルエンが含まれるために110℃と充分な値ではなかった。成形において金型を開いたときの蒸気は、非重合成分であるトルエンが反応系に存在するために多く、成形場所、成形物自身からも異臭が感じられた。
【0067】
【表1】
Figure 0003833325
【0068】
【表2】
Figure 0003833325
【0069】
【表3】
Figure 0003833325
【0070】
【表4】
Figure 0003833325
【0071】
【表5】
Figure 0003833325
【0072】
【表6】
Figure 0003833325
【0073】
[表Bの注]
*1:メタセシス重合触媒活性化剤液に添加するエーテル。
*2:Mは表Aの遷移金属化合物(M)を意味する。
*3:メタセシス重合のポリマーの原料となるメタセシス重合性環状オレフィンモノマー。
*4:30℃に制御された溶液Aと溶液Bとの両方の液を各10mlずつ注射器にて計量し、攪拌装置付きの窒素置換された100mlのガラス容器中に押し出し、重合を開始させた場合に、液の重合による発熱により温度が30℃から100℃に達するまでの時間。
*5:熱変形温度(Heat Distortion Temperature)
*6:ノッチ付きアイゾット衝撃強度
【0074】
【発明の効果】
表Aおよび表Bの結果に示すように、メタセシス重合触媒系の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液A(溶液A)とアルキルアルミニウム化合物をメタセシス重合触媒系の活性化剤成分として含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液B(溶液B)とを混合し、その混合液を金型内に注入し、その金型内において重合および架橋反応せしめることによって成形された架橋重合体組成物を得る方法に使用するメタセシス重合触媒液であって、該メタセシス重合触媒液を作製するにあたり、WOC14および/またはMoOC13にエーテル化合物およびフェノール化合物を作用させ、かつ、メタセシス重合性環状オレフィンを溶媒として使用すると、カチオン重合反応をエーテル化合物の添加により抑制できるため、触媒調製のための溶媒として、従来は触媒によりカチオン重合を起こすために使用できなかったメタセシス重合性環状オレフィンを使用でき、メタセシス重合性環状オレフィンモノマーのみを溶媒にして使用することで非重合成分を排除することも可能となるため成形時の発煙量減少、異臭の減少が図れた。さらに、メタセシス重合活性化剤成分についてもエーテル化合物を速度調節剤として使用すると触媒活性が高まり、耐衝撃性を損なうことなく、耐熱性を大幅に改善できた。本願発明によるメタセシス重合性オレフィン化合物のモノマー液A(溶液A)は、長期間保存しても反応活性が低下せず、液粘度の上昇もなく、メタセシス重合用原料としての取り扱いにも優れていた。

Claims (2)

  1. メタセシス重合触媒系の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液A(溶液A)とアルキルアルミニウム化合物をメタセシス重合触媒系の活性化剤成分として含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液B(溶液B)とを混合し、その混合液を金型内に注入し、その金型内において重合および架橋反応せしめることによって成形された架橋重合体組成物を得る方法に使用するメタセシス重合触媒液を製造する方法であって、エーテル化合物とメタセシス重合性環状オレフィンの混合物にWOC1 4 および/またはMoOC1 3 を加え、さらにフェノール化合物を添加することを特徴とするメタセシス重合触媒液の製造方法
  2. ーテル化合物が鎖状エーテル化合物であることを特徴とする請求項1記載のメタセシス重合触媒液の製造方法
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