JP3832709B2 - アルミニウム製又はアルミニウム合金製ピストン、摺動部材及びアルミニウム合金の表面処理皮膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製ピストン、摺動部材及びアルミニウム合金の表面処理皮膜に関する。より詳しくは、設備が簡略であり処理費用が低減できるとともに、優れた耐摩耗性,耐腐食性等を有するアルミニウム又はアルミニウム合金によって表面処理されたピストンに関する。さらに、内燃機関の摺動面に用いられる優れた耐摩耗性,初期なじみ性,オイル保持性等を有する表面処理皮膜、及びそのような摺動皮膜で被覆された摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から行われているアルマイト処理は、酸性浴中で陽極酸化することにより、アルミニウム表面に酸化アルミニウムの硬質膜を形成する方法である。しかし、この方法では、通電するための設備が必要であること、及び成膜速度が遅いことにより、コスト高になるという欠点があった。一方、錫メッキは内燃機関部品であるアルミニウム又はアルミニウム合金製ピストンのスカート部に施される。この錫メッキは、初期なじみ性を持たせる効果はあるものの、耐摩耗性を向上させる効果は期待できない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記従来の表面処理技術の問題点に鑑み、設備が簡略であり処理コストを低くできるとともに、均一な成膜ができ、かつ得られる膜が耐腐食性及び耐摩耗性等に優れる表面処理方法や摺動部材を開発すべく鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、摺動部材全体もしくは摺動面に、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる特定の皮膜を被覆することによって、上記問題点が解決されることを見い出した。さらに、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に形成されるシリコン粒子を分散含有するNH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる特定の皮膜を用いること等によっても、上記問題点が解決されることを見い出した。本発明は、かかる見地より完成されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、 本発明における第1の発明は、ピストンの表面に、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる皮膜がコーティングされていること、好ましくはピストンリング溝、ピストンピンボス、スカート、ピストンヘッド及びピストン内面を含む全面に該皮膜がコーティングされていることを特徴とするアルミニウム製又はアルミニウム合金製ピストンをも提供するものである。
【0005】
この際、該皮膜の厚さは、1μm〜20μmの範囲内にあることが好ましい。
【0006】
本発明における第2の発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金製母材からなる摺動部材において、該摺動部材全体又は摺動面に、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる皮膜であって、立方晶系に属し、配向性を有しない皮膜が被覆されている摺動部材を提供するものである。また、上記摺動部材全体もしくは摺動面に、1μm以下の微細結晶が集合して1μm〜20μmの集合体を形成し、1μm〜20μmの厚さの複数の該集合体からなる皮膜が被覆されている摺動部材をも提供するものである。
さらに、本発明における第3の発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に形成されるシリコン粒子を分散含有するNH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる皮膜であって、該皮膜中に分散するシリコン粒子含有量が1〜24重量%、好ましくは6〜24重量%であり、かつ、該アルミニウム合金中のシリコン含有量が4〜24重量%、好ましくは7〜24重量%であることを特徴とするアルミニウム合金の表面処理皮膜を提供するものである。以下、本発明について、詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明に係るアルミニウム製又はアルミニウム合金製ピストン、摺動部材及びアルミニウム合金の表面処理皮膜を得るための表面処理方法について説明する。本表面処理方法は、ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)及びアンモニア水を含む処理液(水溶液)を70℃〜100℃の温度範囲で加熱し、この処理液中にアルミニウム又はアルミニウム合金を浸漬する処理である。
【0008】
用いられるアンモニア水としては、通常の濃度のアンモニア水を用いることができる。
【0009】
用いられる処理液には、水100重量部に対して、ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)を好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.2〜15重量部、及び、上記アンモニウム水をアンモニウム(NH4)量で好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.02〜5重量部含まれる。このような処理液を用いることによって、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に、より一層の、均一かつ耐摩耗性、耐腐食性に優れた成膜が可能となる。
【0010】
用いられる処理液において、ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2)が0.1重量部未満の場合、あるいは、アンモニウム化合物等をアンモニウム(NH4)量で0.01重量部未満の場合には、反応が遅くなり処理時間が長くなるので好ましくない。一方、ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)が20重量部を超える場合、あるいは、アンモニウム水をアンモニウム(NH4)量で10重量部を超える場合には、溶解が困難となるため好ましくない。
【0011】
表面処理の対象となるのは、アルミニウム又はアルミニウム合金である。具体的には、純アルミニウム,アルミニウム展伸材,アルミニウム鋳物材又はアルミニウムダイカスト材等であり、いずれの材質,材料に対しても適用が可能であり、表面処理により耐摩耗性及び耐腐食性等が向上する効果がある。また、処理物の前処理としては、油等の付着物を除去するだけで十分であるが、苛性ソーダ等を用いたアルカリエッチングや酸洗浄処理を施した後に、表面処理を施しても良い。
【0012】
本表面処理方法では、上記処理液(水溶液)に、表面処理の対象であるアルミニウム又はアルミニウム合金を浸漬して表面処理を行なう。アルミニウム又はアルミニウム合金を浸漬する際の処理液の温度は通常70℃〜100℃の範囲内であり、好ましくは75℃〜99℃の範囲内、より好ましくは80℃〜98℃の範囲内である。処理液の温度が70℃未満であるような低い温度の場合には、反応が遅くなり処理時間が長くなり、好ましくない。一方、処理液の温度が100℃を超えてしまうような高い温度の場合には、処理液の蒸発が多くなるので好ましくない。処理時間については、成膜反応は約1分間程度で終了するため、2分間程度の浸漬を行なえば表面処理としては十分である。ただし、この皮膜は保護作用があるので、一旦成膜した後は、30分以上浸漬しておいても何ら問題は生じない。
【0013】
そして、このような表面処理方法により成膜されたアルミニウム等の表面処理膜には保護作用があり、アルミニウム基材の耐腐食性を向上させることができる。また、得られる表面処理膜は耐摩耗性に優れる。一方、本表面処理方法によれば、通電させるための設備がいっさい不要であることから、設備を簡略化することができ、コスト的にも極めて有利である。また、本表面処理方法は、従来の表面処理技術よりアルミニウム等の表面への成膜速度が速いので生産性が高い。
【0014】
次に、本発明における第1の発明であるピストンについて説明する。本発明のピストンは、ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)及び上記特定のアンモニウム化合物を含む処理液(水溶液)を70℃〜100℃の温度範囲で加熱し、この処理液中にアルミニウム又はアルミニウム合金を浸漬する表面処理方法によって、表面処理が施されたものである。ここで、上記処理液が水100重量部に対して、ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)0.1〜20重量部、及び上記アンモニウム水をアンモニウム(NH4)量で0.01〜10重量部含むことが好ましい。
【0015】
本発明のピストンは、上記表面処理方法による成膜を施す前に、有機溶剤,脱脂剤等を用いて清浄化する。対象としては、通常のアルミニウム合金製エンジン・ピストンを広く用いることができる。清浄化したエンジン・ピストンは、上記表面処理方法により処理液に浸漬され、ピストン表面に、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物が成膜される。この処理において、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物は、アンモニウム(NH4)の供給量がNH4MgAlF6単組成の皮膜を生成する程の量に達しない場合に、MgAlF5・1.5H2OもしくはMgAl2F8・2H2Oが、NH4MgAlF6と混合し、晶出する。そして、上記いずれの皮膜も耐摩耗性に優れている。処理時間については上記の表面処理方法と同様に、成膜反応が約1分間程度で終了するため、2分間程度の浸漬を行なえば表面処理としては十分であり、好ましくは2〜10分間程度行われる。ただし、この皮膜は保護作用があるので、一旦成膜した後は、30分以上浸漬しておいても何ら問題は生じない。
【0016】
上記のようにして得られる本発明のピストンは、ピストンに表面に、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる皮膜がコーティングされているので表面状態が優れる。また、該皮膜はピストンリング溝,ピストンピンボス,スカート,ピストンヘッドあるいはピストン側面全域いずれの箇所にコーティングされていても成膜の効果が認められるが、これらの箇所を含む全面に該皮膜がコーティングされていることが好ましい。このような本発明のピストンは、例えば従来の錫メッキ処理が施されたピストンのように軟質ではなく、耐摩耗性に優れ、耐久性に極めて優れるピストンである。
【0017】
次に、本発明における第2の発明である摺動部材について説明する。本発明の摺動部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金製母材からなり、該摺動部材全体又は摺動面に、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる皮膜であって、立方晶系に属し、配向性を有しない皮膜が被覆されている。いずれの皮膜も耐摩耗性に優れている。また、本発明の摺動部材は、上記該摺動部材全体又は摺動面に、1μm以下の微細結晶が集合して1μm〜20μmの集合体を形成し、1μm〜20μmの厚さの複数の該集合体からなる皮膜が被覆されている。以下、図1に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1において、摺動部材である内燃機用ピストン1はアルミニウム合金製母材2を有し、この母材表面に摺動特性を向上させるための皮膜3が被覆させてある。スカート部5は相手材であるシリンダボア内壁と摺動し、リング溝4はピストンリングと摺動し、ピン穴部6はピストンピンと摺動する。母材2の材質としては、例えばAl−Si−Cu−Ni−Mg系合金等が用いられ、該合金として具体的には、AC8A,AC8B,AC9A,AC9B等が挙げられる。
【0019】
皮膜3はピストン1に化成処理を施すことにより、ピストン1の表面に形成される。その皮膜3は、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物との混合物からなる皮膜である。これらいずれの組成であっても、皮膜構造は立方晶系に属し、配向性を有していないものである。このような皮膜3は1μm以下の微細結晶7からなり、これらが集合して1μm〜20μmの集合体8を形成し、この複数の集合体8が母材表面を1μm〜20μmの厚さで覆っている(図2、図3参照)。この皮膜が新たな摺動面を形成している。また、この集合体8の形状は、NH4MgAlF6中に混合するMgAlF5・1.5H2OあるいはMgAl2F8・2H2Oの混合量によって変化する。この皮膜3の微細結晶7及び集合体8により、摺動面の表面積が増加し、これによりオイル保持性が向上する。また、集合体8が優先的に摩耗するため、摺動面の初期なじみ性が良好となる。これらの優れた摩耗特性は、摺動部材の耐久性の向上、フリクションの低減、及び燃費の向上に効果がある。
【0020】
最後に、本発明における第3の発明である表面処理皮膜について説明する。本発明のアルミニウム合金の表面処理皮膜は、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に形成されるシリコン粒子を分散含有するNH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる皮膜である。そして、皮膜中に分散するシリコン粒子含有量が1〜24重量%、好ましくは6〜24重量%であり、かつ、上記アルミニウム合金中のシリコン含有量が4〜24重量%、好ましくは7〜24重量%である。
【0021】
図4に、本発明による皮膜構造を示す。母材となるアルミニウム合金は、シリコン9を4〜24重量%含有しており、アルミニウム基地中10に、共晶シリコンあるいは、初晶シリコンが分散している。アルミニウム合金の表面は、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる皮膜によって覆われており、この皮膜中にはアルミニウム合金母材中に分散する共晶シリコンあるいは、初晶シリコンと同様のシリコン粒子が分散している。
【0022】
本発明の表面処理皮膜の上記構造は、以下の方法により得られる。シリコン(Si)を、4〜24重量%含有するアルミニウム合金材を有機溶剤,脱脂剤等を用いて脱脂した後、苛性ソーダ等を用いたアルカリエッチング、酸洗浄処理を施す。次に、ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)及びアンモニウム水を含む処理液(水溶液)を70℃〜100℃の温度範囲で加熱し、この中にアルミニウム合金材を2分〜10分程度浸漬する。以上の手順により、まず、処理液でアルミニウム合金材の表面のアルミニウムが優先的に溶解される。それと同時に、溶解したアルミニウム(Al)と溶液中のフッ素(F)、マグネシウム(Mg)、アンモニウム(NH4)とが反応し、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる皮膜として、アルミニウム合金表面に晶出する。この時、上記皮膜は、処理液で溶解され難いシリコン粒子を取り込みながら生成するため、シリコンを分散した皮膜が得られる。ただし、上記手順中の有機溶剤,脱脂剤等による脱脂、アルカリエッチング、酸洗浄処理は基材を清浄化するためのものであり、本発明による皮膜構造を得る上で、直接的に必要となるものではない。以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0023】
【実施例】
実施例1
ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)及びアンモニア水溶液を含む処理液(水溶液)にて、アルミニウム合金に表面処理を施した例を示す。ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)0.67重量部、及びアンモニア水(25%水溶液)2mlを水100重量部に溶解した。この水溶液を90℃に加熱して処理液1とした。この処理液に有機溶剤,脱脂剤を用いて清浄化したφ50×t5mmのAC8A−T6アルミニウム鋳物試験片を5分間浸漬し、表面処理を施した。
【0024】
図5は、上記処理液1を用いた本発明の表面処理を施した試験片について、X線回折装置により、生成した皮膜を測定した結果である。図5より、処理液1による処理で、アルミニウム鋳物表面にNH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる膜が生成していることがわかった。但し、このX線回折図には、生成した皮膜のX線回折スペクトルと、母材(AC8A−T6材)のアルミニウム(Al)及び母材に含まれるシリコン(Si)のX線回折スペクトルとが混在している。
【0025】
【発明の効果】
本発明に係る表面処理皮膜は保護性があるため、処理条件によらず、アルミニウム等の全面に均一な膜となり、膜厚の不均衡が少ない。さらに、本発明に係る表面処理皮膜は優れた耐腐食性を有し、腐食環境下においても耐摩耗性に優れる。また、本発明に係る表面処理されたピストンは、耐摩耗性,耐腐食性等に優れるので、優れた耐久性を有しており、各種エンジンのピストンとして有効に用いることが可能である。さらに、本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材を適用すれば、エンジンあるいはコンプレッサー等の摺動部材の耐久製が向上する。例えば、エンジンのピストンに用いることで、耐摩耗性,初期なじみ性,オイル保持性等が向上し、その結果、耐久性の向上,フリクションの低減,エンジン出力の向上,燃費の向上などの効果があり、その産業上の意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるピストンの概略図である。
【図2】本発明による表面処理皮膜の模式図である。
【図3】本発明による表面処理皮膜の模式図である。
【図4】皮膜断面の模式図である。
【図5】実施例1の処理液1により生成した皮膜のX線回折図である。
【符号の説明】
1 ピストン
2 母材
3 皮膜
4 リング溝
5 スカート部
6 ピン穴部
7 微細結晶
8 微細結晶の集合体
9 シリコン
10 アルミニウム合金
11 アルミニウム表面皮膜
Claims (5)
- ピストンの表面に、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる皮膜がコーティングされていることを特徴とするアルミニウム製又はアルミニウム合金製ピストン。
- 上記NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる皮膜が、ピストンリング溝、ピストンピンボス、スカート、ピストンヘッド及びピストン内面を含む全面にコーティングされていることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム製又はアルミニウム合金製ピストン。
- 上記NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる皮膜の厚さが、1μm〜20μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム製又はアルミニウム合金製ピストン。
- アルミニウム又はアルミニウム合金製母材からなる摺動部材において、該摺動部材全体又は摺動面に、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる皮膜であって、立方晶系に属し、配向性を有しない皮膜が被覆されていることを特徴とする摺動部材。
- アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に形成されるシリコン粒子を分散含有するNH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl2F8・2H2Oとの混合物からなる皮膜であって、該皮膜中に分散するシリコン粒子含有量が1〜24重量%であり、かつ、該アルミニウム合金中のシリコン含有量が4〜24重量%であることを特徴とするアルミニウム合金の表面処理皮膜。
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