JP2001011648A - 表面処理方法、摺動部材及びピストン - Google Patents

表面処理方法、摺動部材及びピストン

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 設備が簡略であり処理費用が低減できるとと
もに、優れた耐摩耗性,耐腐食性等を有するアルミニウ
ム又はアルミニウム合金が得られる表面処理方法、およ
び優れた耐摩耗性等を有する摺動部材、ピストン等を提
供する。 【解決手段】 特定のアンモニウム化合物又はアンモニ
ア水と、ケイフッ化マグネシウムとを含む処理液を、7
0℃〜100℃に加熱し、該処理液中にアルミニウム又
はアルミニウム合金を浸漬することを特徴とする表面処
理方法、ピストンの表面にNH4MgAlF6とMgAl
5・1.5H2Oとの混合物又はNH4MgAlF6とMg
Al28・2H2Oとの混合物からなる皮膜がコーティン
グされているピストン、並びに、アルミニウム等からな
る摺動部材において、該摺動部材全体又は摺動面に、上
記混合物からなる皮膜であって、立方晶系に属し、配向
性を有しない皮膜が被覆されている摺動部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム又は
アルミニウム合金の表面処理方法及びピストン、並び
に、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面処理皮膜
あるいは摺動面を被覆した摺動部材に関する。より詳し
くは、設備が簡略であり処理費用が低減できるととも
に、優れた耐摩耗性,耐腐食性等を有するアルミニウム
又はアルミニウム合金が得られる表面処理方法、並び
に、その方法によって表面処理されたピストンに関す
る。さらに、内燃機関の摺動面に用いられる優れた耐摩
耗性,初期なじみ性,オイル保持性等を有する表面処理
皮膜、及びそのような摺動皮膜で被覆された摺動部材に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来から行われているアルマイト処理
は、酸性浴中で陽極酸化することにより、アルミニウム
表面に酸化アルミニウムの硬質膜を形成する方法であ
る。しかし、この方法では、通電するための設備が必要
であること、及び成膜速度が遅いことにより、コスト高
になるという欠点があった。一方、錫メッキは内燃機関
部品であるアルミニウム又はアルミニウム合金製ピスト
ンのスカート部に施される。この錫メッキは、初期なじ
み性を持たせる効果はあるものの、耐摩耗性を向上させ
る効果は期待できない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記従
来の表面処理技術の問題点に鑑み、設備が簡略であり処
理コストを低くできるとともに、均一な成膜ができ、か
つ得られる膜が耐腐食性及び耐摩耗性等に優れる表面処
理方法や摺動部材を開発すべく鋭意検討を行った。その
結果、本発明者らは、ケイフッ化マグネシウム(MgS
iF6・6H2O)及び特定のアンモニウム化合物等を含
む処理液(水溶液)を、70℃〜100℃の温度範囲で
加熱し、この処理液中にアルミニウム又はアルミニウム
合金を浸漬する表面処理方法により、上記問題点が解決
されることを見い出した。また、摺動部材全体もしくは
摺動面に、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2
との混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl28・2
2Oとの混合物からなる特定の皮膜を被覆することに
よっても、上記問題点が解決されることを見い出した。
さらに、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に形
成されるシリコン粒子を分散含有するNH4MgAlF6
とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4Mg
AlF6とMgAl28・2H2Oとの混合物からなる特
定の皮膜を用いること等によっても、上記問題点が解決
されることを見い出した。本発明は、かかる見地より完
成されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明におけ
る第1の発明は、アンモニウム化合物としてホウフッ化
アンモニウム若しくは塩化アンモニウム又はアンモニア
水と、ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H
2O)とを含む処理液(水溶液)を、70℃〜100℃
に加熱し、該処理液中にアルミニウム又はアルミニウム
合金を浸漬することを特徴とする表面処理方法を提供す
るものである。このような発明は、上記処理液が、水1
00重量部に対し、ケイフッ化マグネシウムを0.1〜
20重量部、及び、アンモニウム化合物又はアンモニウ
ム水をアンモニウム(NH4)量で0.01〜10重量部
含むことが好ましい。ここで、アンモニウム化合物と
は、水に対する溶解度が1g/L以上ある化合物であ
り、かつ、溶解時にアンモニウムイオンNH4 +を溶液中
に供給できる化合物が好ましく、具体的にはホウフッ化
アンモニウムNH4BF4,塩化アンモニウムNH4Cl
が用いられる。また、本発明は、上記表面処理方法によ
って、表面処理が施されたことを特徴とするピストンを
提供するものである。
【0005】本発明における第2の発明は、ピストンの
表面に、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oと
の混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl28・2H2
Oとの混合物からなる皮膜がコーティングされているこ
と、好ましくはピストンリング溝、ピストンピンボス、
スカート、ピストンヘッド及びピストン内面を含む全面
に該皮膜がコーティングされていることを特徴とするピ
ストンをも提供するものである。この際、該皮膜の厚さ
は、1μm〜20μmの範囲内にあることが好ましい。
【0006】本発明における第3の発明は、アルミニウ
ム又はアルミニウム合金製母材からなる摺動部材におい
て、該摺動部材全体又は摺動面に、NH4MgAlF6
MgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgA
lF6とMgAl28・2H2Oとの混合物からなる皮膜
であって、立方晶系に属し、配向性を有しない皮膜が被
覆されている摺動部材を提供するものである。また、上
記摺動部材全体もしくは摺動面に、1μm以下の微細結
晶が集合して1μm〜20μmの集合体を形成し、1μ
m〜20μmの厚さの複数の該集合体からなる皮膜が被
覆されている摺動部材をも提供するものである。さら
に、本発明における第4の発明は、アルミニウム又はア
ルミニウム合金の表面に形成されるシリコン粒子を分散
含有するNH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oと
の混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl28・2H2
Oとの混合物からなる皮膜であって、該皮膜中に分散す
るシリコン粒子含有量が1〜24重量%、好ましくは6
〜24重量%であり、かつ、該アルミニウム合金中のシ
リコン含有量が4〜24重量%、好ましくは7〜24重
量%であることを特徴とするアルミニウム合金の表面処
理皮膜を提供するものである。以下、本発明について、
詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】先ず、本発明における第1の発明
である表面処理方法について説明する。本発明の表面処
理方法は、ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H
2O)及び特定のアンモニウム化合物若しくはアンモニ
ア水を含む処理液(水溶液)を70℃〜100℃の温度
範囲で加熱し、この処理液中にアルミニウム又はアルミ
ニウム合金を浸漬する処理である。
【0008】本発明で用いられるアンモニウム化合物と
しては、水に対する溶解度が1g/L以上ある化合物で
あり、溶解時にアンモニウムイオンNH4 +を溶液中に供
給できる化合物が好ましい。具体的には、ホウフッ化ア
ンモニウム,塩化アンモニウムが挙げられる。また、ア
ンモニア水としては、通常の濃度のアンモニア水を用い
ることができる。
【0009】本発明で用いられる処理液には、水100
重量部に対して、ケイフッ化マグネシウム(MgSiF
6・6H2O)を好ましくは0.1〜20重量部、より好ま
しくは0.2〜15重量部、及び、上記アンモニウム化
合物等をアンモニウム(NH4)量で好ましくは0.01
〜10重量部、より好ましくは0.02〜5重量部含ま
れる。このような処理液を用いることによって、アルミ
ニウム又はアルミニウム合金の表面に、より一層の、均
一かつ耐摩耗性、耐腐食性に優れた成膜が可能となる。
【0010】本発明で用いられる処理液において、ケイ
フッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)が0.1重
量部未満の場合、あるいは、アンモニウム化合物等をア
ンモニウム(NH4)量で0.01重量部未満の場合に
は、反応が遅くなり処理時間が長くなるので好ましくな
い。一方、ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H
2O)が20重量部を超える場合、あるいは、アンモニ
ウム化合物等をアンモニウム(NH4)量で10重量部
を超える場合には、溶解が困難となるため好ましくな
い。
【0011】本発明の表面処理の対象となるのは、アル
ミニウム又はアルミニウム合金である。具体的には、純
アルミニウム,アルミニウム展伸材,アルミニウム鋳物
材又はアルミニウムダイカスト材等であり、いずれの材
質,材料に対しても適用が可能であり、表面処理により
耐摩耗性及び耐腐食性等が向上する効果がある。また、
処理物の前処理としては、油等の付着物を除去するだけ
で十分であるが、苛性ソーダ等を用いたアルカリエッチ
ングや酸洗浄処理を施した後に、表面処理を施しても良
い。
【0012】本発明では、上記処理液(水溶液)に、表
面処理の対象であるアルミニウム又はアルミニウム合金
を浸漬して表面処理を行なう。アルミニウム又はアルミ
ニウム合金を浸漬する際の処理液の温度は通常70℃〜
100℃の範囲内であり、好ましくは75℃〜99℃の
範囲内、より好ましくは80℃〜98℃の範囲内であ
る。処理液の温度が70℃未満であるような低い温度の
場合には、反応が遅くなり処理時間が長くなり、好まし
くない。一方、処理液の温度が100℃を超えてしまう
ような高い温度の場合には、処理液の蒸発が多くなるの
で好ましくない。処理時間については、成膜反応は約1
分間程度で終了するため、2分間程度の浸漬を行なえば
表面処理としては十分である。ただし、この皮膜は保護
作用があるので、一旦成膜した後は、30分以上浸漬し
ておいても何ら問題は生じない。
【0013】そして、このような本発明の表面処理方法
により成膜されたアルミニウム等の表面処理膜には保護
作用があり、アルミニウム基材の耐腐食性を向上させる
ことができる。また、得られる表面処理膜は耐摩耗性に
優れる。一方、本発明の表面処理方法によれば、通電さ
せるための設備がいっさい不要であることから、設備を
簡略化することができ、コスト的にも極めて有利であ
る。また、本発明の表面処理方法は、従来の表面処理技
術よりアルミニウム等の表面への成膜速度が速いので生
産性が高い。
【0014】次に、本発明における第2の発明であるピ
ストンについて説明する。本発明のピストンは、ケイフ
ッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)及び上記特
定のアンモニウム化合物を含む処理液(水溶液)を70
℃〜100℃の温度範囲で加熱し、この処理液中にアル
ミニウム又はアルミニウム合金を浸漬する表面処理方法
によって、表面処理が施されたものである。ここで、上
記処理液が水100重量部に対して、ケイフッ化マグネ
シウム(MgSiF6・6H2O)0.1〜20重量部、及
び上記アンモニウム化合物をアンモニウム(NH4)量
で0.01〜10重量部含むことが好ましい。
【0015】本発明のピストンは、上記表面処理方法に
よる成膜を施す前に、有機溶剤,脱脂剤等を用いて清浄
化する。対象としては、通常のアルミニウム合金製エン
ジン・ピストンを広く用いることができる。清浄化した
エンジン・ピストンは、上記表面処理方法により処理液
に浸漬され、ピストン表面に、NH4MgAlF6とMg
AlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6
とMgAl28・2H2Oとの混合物が成膜される。この
処理において、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5
2Oとの混合物、あるいはNH4MgAlF6とMgA
28・2H2Oとの混合物は、アンモニウム(NH4
の供給量がNH4MgAlF6単組成の皮膜を生成する程
の量に達しない場合に、MgAlF5・1.5H2Oもしく
はMgAl28・2H2Oが、NH4MgAlF6と混合
し、晶出する。この際、NH4MgAlF6単組成の皮膜
が成膜されていても良い。そして、上記いずれの皮膜も
耐摩耗性に優れている。処理時間については上記の表面
処理方法と同様に、成膜反応が約1分間程度で終了する
ため、2分間程度の浸漬を行なえば表面処理としては十
分であり、好ましくは2〜10分間程度行われる。ただ
し、この皮膜は保護作用があるので、一旦成膜した後
は、30分以上浸漬しておいても何ら問題は生じない。
【0016】上記のようにして得られる本発明のピスト
ンは、ピストンに表面に、NH4MgAlF6とMgAl
5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とM
gAl28・2H2Oとの混合物からなる皮膜、場合によ
ってはNH4MgAlF6単組成も含む皮膜、がコーティ
ングされているので表面状態が優れる。また、該皮膜は
ピストンリング溝,ピストンピンボス,スカート,ピス
トンヘッドあるいはピストン側面全域いずれの箇所にコ
ーティングされていても成膜の効果が認められるが、こ
れらの箇所を含む全面に該皮膜がコーティングされてい
ることが好ましい。このような本発明のピストンは、例
えば従来の錫メッキ処理が施されたピストンのように軟
質ではなく、耐摩耗性に優れ、耐久性に極めて優れるピ
ストンである。
【0017】次に、本発明における第3の発明である摺
動部材について説明する。本発明の摺動部材は、アルミ
ニウム又はアルミニウム合金製母材からなり、該摺動部
材全体又は摺動面に、NH4MgAlF6とMgAlF5
1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgA
28・2H2Oとの混合物からなる皮膜であって、立方
晶系に属し、配向性を有しない皮膜が被覆されている。
いずれの皮膜も耐摩耗性に優れており、NH4MgAl
6単組成を含むものであっても良い。また、本発明の
摺動部材は、上記該摺動部材全体又は摺動面に、1μm
以下の微細結晶が集合して1μm〜20μmの集合体を
形成し、1μm〜20μmの厚さの複数の該集合体から
なる皮膜が被覆されている。以下、図1に基づいて詳細
に説明する。
【0018】図1において、摺動部材である内燃機用ピ
ストン1はアルミニウム合金製母材2を有し、この母材
表面に摺動特性を向上させるための皮膜3が被覆させて
ある。スカート部5は相手材であるシリンダボア内壁と
摺動し、リング溝4はピストンリングと摺動し、ピン穴
部6はピストンピンと摺動する。母材2の材質として
は、例えばAl−Si−Cu−Ni−Mg系合金等が用
いられ、該合金として具体的には、AC8A,AC8
B,AC9A,AC9B等が挙げられる。
【0019】皮膜3はピストン1に化成処理を施すこと
により、ピストン1の表面に形成される。その皮膜3
は、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混
合物、あるいはNH4MgAlF6とMgAl28・2H2
Oとの混合物からなる皮膜である。場合によっては、N
4MgAlF6単組成の皮膜が含まれていても良い。こ
れらいずれの組成であっても、皮膜構造は立方晶系に属
し、配向性を有していないものである。このような皮膜
3は1μm以下の微細結晶7からなり、これらが集合し
て1μm〜20μmの集合体8を形成し、この複数の集
合体8が母材表面を1μm〜20μmの厚さで覆ってい
る(図2,図3参照)。この皮膜が新たな摺動面を形成
している。また、この集合体8の形状は、NH4MgA
lF6中に混合するMgAlF5・1.5H2OあるいはM
gAl28・2H2Oの混合量によって変化する。この皮
膜3の微細結晶7及び集合体8により、摺動面の表面積
が増加し、これによりオイル保持性が向上する。また、
集合体8が優先的に摩耗するため、摺動面の初期なじみ
性が良好となる。これらの優れた摩耗特性は、摺動部材
の耐久性の向上、フリクションの低減、及び燃費の向上
に効果がある。
【0020】最後に、本発明における第4の発明である
表面処理皮膜について説明する。本発明のアルミニウム
合金の表面処理皮膜は、アルミニウム又はアルミニウム
合金の表面に形成されるシリコン粒子を分散含有するN
4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、
又はNH4MgAlF6とMgAl28・2H2Oとの混合
物からなる皮膜であり、場合によってはNH4MgAl
6単組成の皮膜が含まれていても良い。そして、皮膜
中に分散するシリコン粒子含有量が1〜24重量%、好
ましくは6〜24重量%であり、かつ、上記アルミニウ
ム合金中のシリコン含有量が4〜24重量%、好ましく
は7〜24重量%である。
【0021】図4に、本発明による皮膜構造を示す。母
材となるアルミニウム合金は、シリコン9を4〜24重
量%含有しており、アルミニウム基地中10に、共晶シ
リコンあるいは、初晶シリコンが分散している。アルミ
ニウム合金の表面は、NH4MgAlF6とMgAlF5
1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgA
28・2H2Oとの混合物等からなる皮膜によって覆わ
れており、この皮膜中にはアルミニウム合金母材中に分
散する共晶シリコンあるいは、初晶シリコンと同様のシ
リコン粒子が分散している。
【0022】本発明の表面処理皮膜の上記構造は、以下
の方法により得られる。シリコン(Si)を、4〜24
重量%含有するアルミニウム合金材を有機溶剤,脱脂剤
等を用いて脱脂した後、苛性ソーダ等を用いたアルカリ
エッチング、酸洗浄処理を施す。次に、ケイフッ化マグ
ネシウム(MgSiF6・6H2O)及びアンモニウム化
合物を含む処理液(水溶液)を70℃〜100℃の温度
範囲で加熱し、この中にアルミニウム合金材を2分〜1
0分程度浸漬する。以上の手順により、まず、処理液で
アルミニウム合金材の表面のアルミニウムが優先的に溶
解される。それと同時に、溶解したアルミニウム(A
l)と溶液中のフッ素(F)、マグネシウム(Mg)、
アンモニウム(NH4)とが反応し、NH4MgAlF6
とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4Mg
AlF6とMgAl28・2H2Oとの混合物からなる皮
膜として、アルミニウム合金表面に晶出する。この時、
上記皮膜は、処理液で溶解され難いシリコン粒子を取り
込みながら生成するため、シリコンを分散した皮膜が得
られる。ただし、上記手順中の有機溶剤,脱脂剤等によ
る脱脂、アルカリエッチング、酸洗浄処理は基材を清浄
化するためのものであり、本発明による皮膜構造を得る
上で、直接的に必要となるものではない。以下、実施例
により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら
の実施例によって何ら制限されるものではない。
【0023】
【実施例】実施例1 ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)及び
ケイフッ化アンモニウム((NH42SiF6)を含む
処理液(水溶液)にて、アルミニウム合金に表面処理を
施した例を以下に示す。ケイフッ化マグネシウム(Mg
SiF6・6H2O)0.67重量部及びケイフッ化アン
モニウム((NH42SiF6)0.13重量部を、水
100重量部に溶解した。この水溶液を90℃に加熱し
て、処理液1とした。この処理液1に、有機溶剤,脱脂
剤を用いて清浄化したφ50×t5mmのAC8A−T
6アルミニウム鋳物試験片を5分間浸漬し、表面処理を
施した。次に、ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6
6H2O)0.67重量部及びケイフッ化アンモニウム
((NH42SiF6)0.33重量部を、水100重
量部に溶解した。この水溶液を90℃に加熱して、処理
液2とした。この処理液2に、有機溶剤,脱脂剤を用い
て清浄化したφ50×t5mmのAC8A−T6アルミ
ニウム鋳物試験片を5分間浸漬し、表面処理を施した。
【0024】図5は、上記処理液1を用いた表面処理を
施した試験片について、X線回折装置により生成した皮
膜を測定した結果である。図5より、処理液1による処
理で、アルミニウム鋳物表面に、NH4MgAlF6とM
gAlF5・1.5H2Oとの混合物、あるいはNH4Mg
AlF6とMgAl28・2H2Oとの混合物からなる膜
が生成していることがわかる。但し、このX線回折図に
は、生成した皮膜のX線回折スペクトルと、母材(AC
8A−T6材)のアルミニウム(Al)及び母材に含ま
れるシリコン(Si)のX線回折スペクトルとが混在し
ている。また、このX線回折図から、生成した皮膜は配
向性を有していないことがわかる。図6は、上記処理液
2を用いた表面処理を施した試験片について、X線回折
装置により生成した皮膜を測定した結果である。図6よ
り、処理液2による処理で、アルミニウム鋳物表面に、
NH4MgAlF6の膜が生成していることがわかる。但
し、このX線回折図には、生成した皮膜のX線回折スペ
クトルと、母材(AC8A−T6材)のアルミニウム
(Al)及び母材に含まれるシリコン(Si)のX線回
折スペクトルとが混在している。また、このX線回折図
から、生成した皮膜は配向性を有していないことがわか
る。
【0025】上記処理液1及び処理液2を用いた本発明
の試験片について、相手材としてSCM435熱処理材
を用い、ボールオンディスク式摩耗試験を行なった。同
様の方法により、表面処理していない試験片(AC8A
−T6材)についても、ボールオンディスク式摩耗試験
を行なった。図7は、このときの摩耗痕の断面形状(プ
ロフィール)である。図8は、このときのボールオンデ
ィスク式摩耗試験結果より求めた摩耗体積である。
【0026】図7より、上記処理液1及び処理液2を用
いた本発明の試験片は、表面処理していない試験片と比
較し、優れた耐摩耗性を有していることがわかる。図8
より、上記処理液1及び処理液2を用いた本発明の試験
片は、表面処理していない試験片と比較し、摩耗体積は
約20分の1であり、耐摩耗性に優れていることがわか
る。また、表面処理により得られる皮膜組成が、NH4
MgAlF6単組成の場合、NH4MgAlF6とMgA
lF5・1.5H2Oとの混合物からなる場合、及びNH4
MgAlF6とMgAl28・2H2Oとの混合物からな
る場合のいずれの組成であっても、表面処理していない
試験片に比べ、耐摩耗性ははるかに向上していることが
わかる。
【0027】図9は、上記処理液1を用いた表面処理を
施した試験片について、生成した皮膜を電子顕微鏡によ
り観察した写真である。図2は、図9の模式図である。
図2及び図9より、皮膜は1μm以下の微細結晶7から
なり、これらが集合して1μm〜20μmの集合体8を
形成していることがわかる。さらに、この複数の集合体
8が母材(AC8A−T6材)の表面を覆い皮膜を形成
していることがわかる。また、図10は、上記処理液2
を用いた表面処理を施した試験片について、生成した皮
膜を電子顕微鏡により観察した写真である。図3は、図
10の模式図である。図3及び図10より、皮膜は1μ
m以下の微細結晶7からなり、これらが集合して1μm
〜20μmの集合体8を形成していることがわかる。さ
らに、この複数の集合体8が母材(AC8A−T6材)
の表面を覆い皮膜を形成していることがわかる。図9及
び図10より、この集合体8の形状は、皮膜組成NH4
MgAlF6中に混合するMgAlF5・1.5H2Oある
いはMgAl28・2H2Oの混合量によって変化するこ
とがわかる(図2及び図3参照)。
【0028】図11及び図12は、上記処理液1及び処
理液2を用いて表面処理を施した試験片について、生成
した皮膜断面を顕微鏡により観察した写真である。図4
は、図11及び図12の模式図である。図4、図11及
び図12より、母材(AC8A−T6材)表面に約6μ
mの厚さを有する皮膜が生成していることがわかる。ま
た、この写真の皮膜中には母材(AC8A−T6材)に
含まれるシリコン(Si)粒子が皮膜に取り込まれてい
ることがわかる。これは、母材(AC8A−T6材)中
に含まれるシリコン粒子が、母材表面に残留し、表面処
理過程で形成される皮膜中に取り込まれたものである。
【0029】実施例2 上記実施例1の処理液2と同様の処理液に、有機溶剤,
脱脂剤を用いて清浄化したφ50×t5mmのAC8A
−T6アルミニウム鋳物試験片を5分間浸漬し、表面処
理を施した。上記表面処理によって得られた試験片(実
施例2の試験片)と、上記表面処理をしていない試験片
(無処理の試験片)との双方について、塩水噴霧試験に
より耐腐食性を調べた。この結果より、本発明の試験片
には保護作用があり、上記表面処理方法による表面処理
皮膜は、アルミニウム又はアルミニウム合金の耐腐食性
が向上することがわかった。
【0030】実施例3 上記実施例1の処理液2と同様の処理液に、有機溶剤,
脱脂剤を用いて清浄化したφ50×t5mmのAC8A
−T6アルミニウム鋳物試験片を5分間浸漬し、表面処
理を施した。上記表面処理によって得られた試験片(実
施例3の試験片)と、硬質アルマイトによる表面処理を
施した試験片(AC8A−T6材)と、表面処理してい
ない試験片(AC8A−T6材)とについて、相手材と
してSCM材を用い、油潤滑下の摩擦係数を調べた。こ
の結果を表1に示す。
【0031】
【表1】 表1より、上記の表面処理により、摩擦係数が低減する
ことがわかった。
【0032】実施例4 上記実施例1の処理液2と同様の処理液に、有機溶剤,
脱脂剤を用いて清浄化したエンジン・ピストン(AC8
A−T6材)を5分間浸漬し、表面処理を施し、ピスト
ン表面にNH4MgAlF6の皮膜を生成させた。上記表
面処理によって得られた本発明のピストン(実施例4の
ピストン)と、上記表面処理をしていないピストン(無
処理のピストン)との双方について、エンジンに組み込
み、最大負荷での実機運転を行なった。運転後、それぞ
れのピストンを取り出して表面状態を検査した。項目と
しては、ピストンリングへのアルミニウムの付着、ピン
ボス面のかじり、スカート面のかじりについてそれぞれ
調べた。この結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】表2より、本発明の表面処理方法により表
面処理を施したピストンは、無処理のピストンに比べ
て、ピストンリング溝,ピンボス面,スカート面のいず
れについても改善が認められることがわかった。
【0035】実施例5 シリコン(Si)含有量の異なる6種類のアルミニウム
合金材を、有機溶剤,脱脂剤を用いて清浄化した後、上
記実施例1の処理液2と同様の処理液に5分間浸漬し、
表面処理を施した。処理液によって、アルミニウム合金
材中のアルミニウム(Al)は溶解する。これと同時
に、溶解したアルミニウム(Al)と処理液中のフッ素
(F),マグネシウム(Mg),アンモニウム(N
4)とが反応し、アルミニウム合金表面に皮膜が晶出
する。この時、上記皮膜は、処理液で溶解され難いシリ
コン粒子を取り込みながら生成するため、シリコンを分
散した皮膜が得られる。これにより、シリコン(Si)
含有量の異なる皮膜に覆われた種々の試験片を得た。
【0036】得られた試験片を用いて、相手材としてS
CM420浸炭焼き入れ・焼き戻しを行なったピン熱処
理材を用い、油潤滑下でピンオンディスク式摩耗試験を
行なった。この試験での摩耗体積で皮膜の耐摩耗性を評
価した。この結果を図13に示す。図13より、皮膜中
にシリコン(Si)を含有しない試験片に対し、シリコ
ンを1%程度でも含有する試験片では耐摩耗性の向上が
見られ、シリコンを6%以上含有する試験片では、耐摩
耗性が極めて向上することがわかった。
【0037】実施例6 ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)及び
ホウフッ化アンモニウム(NH4BF4)を含む処理液
(水溶液)にて、アルミニウム合金に表面処理を施した
例を示す。ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H
2O)0.67重量部、及びホウフッ化アンモニウム
(NH4BF4)0.51重量部を水100重量部に溶解
した。この水溶液を90℃に加熱して処理液3とした。
この処理液に有機溶剤,脱脂剤を用いて清浄化したφ5
0×t5mmのAC8A−T6アルミニウム鋳物試験片
を5分間浸漬し、表面処理を施した。
【0038】図14は、上記処理液3を用いた本発明の
表面処理を施した試験片について、X線回折装置により
生成した皮膜を測定した結果である。図14より、処理
液3による処理で、アルミニウム鋳物表面にNH4Mg
AlF6の膜が生成していることがわかった。但し、こ
のX線回折図には、生成した皮膜のX線回折スペクトル
と、母材(AC8A−T6材)のアルミニウム(Al)
及び母材に含まれるシリコン(Si)のX線回折スペク
トルとが混在している。
【0039】実施例7 ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)及び
塩化アンモニウム(NH4Cl)を含む処理液(水溶
液)にて、アルミニウム合金に表面処理を施した例を示
す。ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)
0.67重量部、及び塩化アンモニウム(NH4Cl)
0.26重量部を水100重量部に溶解した。この水溶
液を90℃に加熱して処理液4とした。この処理液に有
機溶剤,脱脂剤を用いて清浄化したφ50×t5mmの
AC8A−T6アルミニウム鋳物試験片を5分間浸漬
し、表面処理を施した。
【0040】図15は、上記処理液4を用いた本発明の
表面処理を施した試験片について、X線回折装置によ
り、生成した皮膜を測定した結果である。図15より、
処理液4による処理で、アルミニウム鋳物表面にNH4
MgAlF6の膜が生成していることがわかった。但
し、このX線回折図には、生成した皮膜のX線回折スペ
クトルと、母材(AC8A−T6材)のアルミニウム
(Al)及び母材に含まれるシリコン(Si)のX線回
折スペクトルとが混在している。
【0041】実施例8 ケイフッ化マグネシウム(MgSiF6・6H2O)及び
アンモニア水溶液を含む処理液(水溶液)にて、アルミ
ニウム合金に表面処理を施した例を示す。ケイフッ化マ
グネシウム(MgSiF6・6H2O)0.67重量部、
及びアンモニア水(25%水溶液)2mlを水100重
量部に溶解した。この水溶液を90℃に加熱して処理液
5とした。この処理液に有機溶剤,脱脂剤を用いて清浄
化したφ50×t5mmのAC8A−T6アルミニウム
鋳物試験片を5分間浸漬し、表面処理を施した。
【0042】図16は、上記処理液5を用いた本発明の
表面処理を施した試験片について、X線回折装置によ
り、生成した皮膜を測定した結果である。図16より、
処理液5による処理で、アルミニウム鋳物表面にNH4
MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、あ
るいはNH4MgAlF6とMgAl28・2H2Oとの混
合物からなる膜が生成していることがわかった。但し、
このX線回折図には、生成した皮膜のX線回折スペクト
ルと、母材(AC8A−T6材)のアルミニウム(A
l)及び母材に含まれるシリコン(Si)のX線回折ス
ペクトルとが混在している。
【0043】
【発明の効果】本発明のアルミニウム又はアルミニウム
合金の表面処理方法は、設備が簡略であり処理費用が低
減できるとともに、優れた耐摩耗性,耐腐食性等を有す
る皮膜を提供できる。すなわち、本発明によれば、処理
条件が簡易であるため、設備が簡略化でき、得られる表
面被覆されたアルミニウム等は耐摩耗性に優れ、フリク
ション・ロスを低減できる。また、本発明の方法により
得られる膜は保護性があるため、処理条件によらず、ア
ルミニウム等の全面に均一な膜となり、膜厚の不均衡が
少ない。さらに、得られた膜は優れた耐腐食性を有し、
腐食環境下においても耐摩耗性に優れる。また、本発明
の方法により表面処理されたピストンは、耐摩耗性,耐
腐食性等に優れるので、優れた耐久性を有しており、各
種エンジンのピストンとして有効に用いることが可能で
ある。さらに、本発明によれば、アルミニウム又はアル
ミニウム合金製摺動部材の摺動面に被覆することで、エ
ンジンあるいはコンプレッサー等の摺動部材の耐久製が
向上する。例えば、エンジンのピストンに被覆すること
で、耐摩耗性,初期なじみ性,オイル保持性等が向上
し、その結果、耐久性の向上,フリクションの低減,エ
ンジン出力の向上,燃費の向上などの効果があり、その
産業上の意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるピストンの概略図である。
【図2】本発明による表面処理皮膜の模式図である。
【図3】本発明による表面処理皮膜の模式図である。
【図4】皮膜断面の模式図である。
【図5】実施例1の処理液1により、生成した皮膜のX
線回折図である。
【図6】実施例1の処理液2により、生成した皮膜のX
線回折図である。
【図7】摩耗試験における摩耗痕の断面形状を表す図で
ある。
【図8】摩耗試験における摩耗体積をグラフにした図で
ある。
【図9】実施例1の処理液1により生成した皮膜の電子
顕微鏡観察写真である。
【図10】実施例1の処理液2により生成した皮膜の電
子顕微鏡観察写真である。
【図11】実施例1の処理液1により生成した皮膜断面
の顕微鏡観察写真である。
【図12】実施例1の処理液2により生成した皮膜断面
の顕微鏡観察写真である。
【図13】実施例5による耐摩耗性試験の結果を示すグ
ラフである。
【図14】実施例6の処理液3により生成した皮膜のX
線回折図である。
【図15】実施例7の処理液4により生成した皮膜のX
線回折図である。
【図16】実施例8の処理液5により生成した皮膜のX
線回折図である。
【符号の説明】
1 ピストン 2 母材 3 皮膜 4 リング溝 5 スカート部 6 ピン穴部 7 微細結晶 8 微細結晶の集合体 9 シリコン 10 アルミニウム合金 11 アルミニウム表面皮膜

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンモニウム化合物としてホウフッ化ア
    ンモニウム若しくは塩化アンモニウム又はアンモニア水
    と、ケイフッ化マグネシウムとを含む処理液を、70℃
    〜100℃に加熱し、該処理液中にアルミニウム又はア
    ルミニウム合金を浸漬することを特徴とする表面処理方
    法。
  2. 【請求項2】 上記処理液が、水100重量部に対しケ
    イフッ化マグネシウム0.1〜20重量部、及び、アン
    モニウム化合物又はアンモニア水をアンモニウム量で
    0.01〜10重量部含むことを特徴とする請求項1記
    載の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の表面処理方法に
    よって、表面処理が施されたことを特徴とするピスト
    ン。
  4. 【請求項4】 ピストンの表面に、NH4MgAlF6
    MgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgA
    lF6とMgAl28・2H2Oとの混合物からなる皮膜
    がコーティングされていることを特徴とするピストン。
  5. 【請求項5】 上記NH4MgAlF6とMgAlF5
    1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgA
    28・2H2Oとの混合物からなる皮膜が、ピストンリ
    ング溝、ピストンピンボス、スカート、ピストンヘッド
    及びピストン内面を含む全面にコーティングされている
    ことを特徴とする請求項4記載のピストン。
  6. 【請求項6】 上記NH4MgAlF6とMgAlF5
    1.5H2Oとの混合物、又はNH4MgAlF6とMgA
    28・2H2Oとの混合物からなる皮膜の厚さが、1μ
    m〜20μmの範囲内にあることを特徴とする請求項4
    又は5に記載のピストン。
  7. 【請求項7】 アルミニウム又はアルミニウム合金製母
    材からなる摺動部材において、該摺動部材全体又は摺動
    面に、NH4MgAlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの
    混合物、又はNH4MgAlF6とMgAl28・2H2
    との混合物からなる皮膜であって、立方晶系に属し、配
    向性を有しない皮膜が被覆されていることを特徴とする
    摺動部材。
  8. 【請求項8】 アルミニウム又はアルミニウム合金の表
    面に形成されるシリコン粒子を分散含有するNH4Mg
    AlF6とMgAlF5・1.5H2Oとの混合物、又はN
    4MgAlF6とMgAl28・2H2Oとの混合物から
    なる皮膜であって、該皮膜中に分散するシリコン粒子含
    有量が1〜24重量%であり、かつ、該アルミニウム合
    金中のシリコン含有量が4〜24重量%であることを特
    徴とするアルミニウム合金の表面処理皮膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002317763A (ja) * 2001-04-18 2002-10-31 Taiho Kogyo Co Ltd コンプレッサの摺動部材

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