JP3832547B2 - 経口投与製品の印刷インク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、錠剤やカプセル剤、もしくは一部の食品等の経口投与製品の表面に印刷を施すための印刷インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
錠剤や硬質カプセル剤、軟質カプセル剤などの固形製剤には、薬剤の識別等のため、通常その表面に記号や文字,数字及び/又は模様を印刷することが行われている。
【0003】
従来、これら固形製剤の印刷は、一般に、セラックをブタノール等のアルコール系有機溶媒に溶解したビヒクルに三二酸化鉄、酸化チタン、食用色素アルミニウムレーキ等の顔料を混合又は分散させた印刷インクを用いて行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような印刷インクを用いて印刷を施した固形製剤は、固形製剤表面へのインクの付着力が必ずしも十分ではなく、印刷を施した固形製剤を収缶や次工程へ搬送する際の摩擦により、印刷インクが印刷面から剥離しやすく、この場合剥離が生じた製剤の商品価値が低下するだけでなく、剥離した印刷インクが他の固形製剤を汚してしまう問題も発生する。
【0005】
本出願人は、このような問題点を解決すべく、水溶性樹脂をバインダー成分として含有する水系ビヒクルに着色剤成分を配合した水系印刷インクを、先に提案している(特願平10−210841号)。
【0006】
この水系インクによれば、例えば錠剤やカプセル剤などの印刷に用いた場合、これら被印刷物の印刷面を形成する糖衣層、或いは水溶性樹脂からなるコート層やカプセル皮膜と、印刷インクのバインダー成分である水溶性樹脂とが相溶して印刷インクが印刷面と一体化し、耐剥離性に優れた印字が確実に得られるものである。
【0007】
しかしながら、この水系インクは、剥離強度に優れた印字が得られるものの、セラックをバインダーとした有機溶媒系の印刷インクに比べて、印刷機器のクリーンアップインターバルが短くなるという欠点を有していた。
【0008】
即ち、錠剤やカプセル剤への印刷は、例えば、表面に印刷文字やマークをエッチングしたダイロールを、表面の一部が印刷インクに浸漬した状態で回転させることにより、ダイロール表面の上記エッチング部分にインクを付着させ、これをダイロール表面と接触しながら回転する転写用ラバーロールに一旦転写した後、該ラバーロール表面を錠剤等の印刷物に押し当てることによって、スタンプ式にインクを被印刷物に転写することにより行われる。
【0009】
この場合、被印刷物に転写されずにラバーロール表面に残留した少量のインクが徐々に乾燥固化して汚れとしてラバーロール表面に付着し、これが被印刷物を汚したり、印刷不良を生じる原因となる場合がある。このため、常に良好な印刷が行われるように、所定時間ごとにラバーロールを溶剤で洗浄することが行われるが、この場合、バインダーに水溶性樹脂を用いた上記水系インクは、有機溶媒系の印刷インクに比べてラバーロール上でインクが乾燥固化しやすく、このため頻繁にラバーロールの洗浄を行わなければならず、処理効率上の不利があった。
【0010】
また、得られる印字の鮮明さは、印刷インクの優劣を判断する上で極めて重要な性能であり、よりクリアーでシャープな印字が常に求められている。この点から見れば、上記従来の水溶性インクにより得られる印字は、実用上十分な鮮明度を有するものの、更なる改善の余地を残すものである。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、バインダー成分として水溶性樹脂を用いた印刷インクについて、良好な耐剥離性を維持したまま、印刷時のクリーンアップインターバルの延長を図り、印刷効率上の不利を解消すると共に、得られる印字の鮮明度を向上させて更なる印字性能の向上を図ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、水にバインダー成分を溶解した水系ビヒクルに着色剤成分を配合して経口投与製品の印刷インクを調製する場合に、上記バインダー成分としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いると共に、保湿効果を有する湿潤剤としてグリセリンを適量添加することにより、インクの急速な乾燥固化を効果的に防止し得、良好な耐剥離性を維持したまま、印刷時のクリーンアップインターバルを延長することができることを見出した。
【0013】
また、本発明者らは、バインダー成分としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを用い、かつ湿潤剤としてグリセリンを配合した上記印刷インクの印字の鮮明度を向上させるべく、更に検討を進めた結果、上記湿潤剤のグリセリンと共に、クエン酸トリエチル又はトリアセチンを可塑剤として適量添加することにより、得られる印字をエッジがよりシャープで鮮明なものとすることができると共に、クリーンアップインターバルを更に延長することも可能であることが見出された。更に本発明者らは、同様の効果が得られる添加剤について更に探求したところ、アルギン酸ナトリウムの添加によっても、同様の効果が得られることを見出し、本発明を完成したものである。
【0014】
従って、本発明は、水にバインダー成分を溶解した水系ビヒクルに着色剤成分を配合してなる経口投与製品の印刷インクにおいて、上記バインダー成分としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合すると共に、湿潤剤としてグリセリンを添加し、更に可塑剤のクエン酸トリエチル、トリアセチン及び添加剤のアルギン酸ナトリウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上を添加配合したことを特徴とする経口投与製品の印刷インクを提供するものである。
【0016】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の経口投与製品の印刷インクは、上述のように、水溶性樹脂をバインダー成分として含有する水系ビヒクルに着色剤成分を配合してなる経口投与製品の印刷インクに、湿潤剤を適量添加したものである。
【0018】
本発明印刷インクでは、バインダー成分の水溶性樹脂として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が用いられる。この場合、印刷が施される錠剤の表面は、糖衣錠の場合を除けば、通常、水溶性セルロース誘導体やデキストリン、アラビアゴムなどの水溶性樹脂によるコート層で被覆されており、またカプセル剤の表面を構成するカプセルもゼラチンや水溶性セルロース誘導体を基材とするフィルムで形成されており、上記バインダー成分としては、これらの水溶性樹脂と相溶性を有する水溶性樹脂が好ましく用いられる。これにより、インクビヒクル中の水系溶媒によって錠剤等の表面の水溶性樹脂が溶解し、バインダーとして配合されたビヒクル中の水溶性樹脂と相溶一体化して、耐剥離性に優れた印字を得ることができるものである。そして、本発明で用いられる上記HPMCは、錠剤等の表面やカプセルフィルムに用いられる水溶性樹脂と良好な相溶性を有し、しかもカプセル皮膜として一般的なゼラチンフィルムや糖衣錠の糖衣層に対しても良好に密着一体化し得るものである。
【0019】
このバインダー成分のHPMCの配合割合は、通常0.1〜50重量%程度であり、より好ましくは2〜15重量%程度である。
【0020】
上記バインダー成分のHPMCを水に溶解して水系ビヒクルを調製するが、この場合本発明では、クリーンアップインターバルの延長を目的として湿潤剤を添加する。湿潤剤としては、グリセリンが用いられる。このグリセリンの添加量は、特に制限されるものではないが、0.1〜20重量%、特に1〜10重量%、更には2〜5重量%とすることが好ましい。なお、0.1〜20重量%の範囲を逸脱すると、十分なクリーンアップインターバルの延長効果が得られない場合があり、また過剰に添加された場合には、印字エッジのシャープさが低下して印字の鮮明度が低下する場合がある。なお、グリセリンと共に他の湿潤剤を併用することもでき、他の湿潤剤としては、ポリエチレングリコール,プロピレングリコール等の多価アルコール類や、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルソジウムスルホサクシネートなどが例示される。
【0022】
本発明では、上記湿潤剤のグリセリンと共に可塑剤又は添加剤として、クエン酸トリエチル、トリアセチン及びアルギン酸ナトリウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上を添加配合し、これにより印字の鮮明度を向上させると共に、クリーンアップインターバルを更に延長するものである。
【0023】
ここで、上記クエン酸トリエチル及びトリアセチンは、可塑剤として作用するものであり、上記湿潤剤のグリセリンとの併用によりクリーンアップインターバルを相乗的に延長することができ、従来の有機溶媒系のインクを遥かに凌駕する長いクリーンアップインターバルを達成することができる。
【0024】
可塑剤として配合される上記クエン酸トリエチル、トリアセチンは、良好な印字の鮮明度向上効果が得られるように適量用いられるものであり、その添加量は、特に制限されるものではないが、通常は0.5〜40重量%とすることが好ましく、更に印字鮮明度を向上させると共に、上記湿潤剤との相乗効果によりクリーンアップインターバルを更に延長させるためには、特に5〜40重量%、更には5〜30重量%とすることが好ましい。なお、可塑剤の添加量が0.5重量%未満であると、印字の鮮明度向上効果が得られない場合があり、一方40重量%を超えると着色剤成分を完全に溶解することが困難になる場合がある。
【0025】
また、上記アルギン酸ナトリウムは添加剤として配合されるものであり、上記可塑剤と同様に、上記湿潤剤のグリセリンと共に添加することにより、印字の鮮明度を向上させることができると共に、クリーンアップインターバルを更に延長することができる。
【0026】
この添加剤のアルギン酸ナトリウムも、良好な印字の鮮明度向上効果が得られるように適量用いられるものであり、その添加量に制限はないが、通常は0.5〜40重量%とすることが好ましく、更に印字鮮明度を向上させると共に、上記湿潤剤との相乗効果によりクリーンアップインターバルを更に延長させるためには、5〜30重量%とすることが好ましい。
【0027】
本発明の印刷インクは、上記水溶性樹脂バインダー、湿潤剤及び必要に応じて添加される上記可塑剤、添加剤を水に溶解した水系ビヒクルを用いたものであるが、更に本発明の目的を逸脱しない限り、その他適宜な添加剤を添加することができる。例えば、防腐効果を目的としてエタノールを本発明の目的を逸脱しない範囲で適量添加してもよく、また印字塗面の滑性を向上させる目的でカルナウバロウを添加してもよく、その他にも抑泡剤などの添加剤を本発明の目的を逸脱しない範囲で必要により添加することができる。
【0028】
上記水系ビヒクルに着色剤を配合して着色することにより本発明の印刷インクが得られる。着色剤としては、酸化チタン、三二酸化鉄、各種食用色素アルミニウムレーキ等の無機顔料や食用青色1号,2号、食用黄色4号,5号、食用赤色2号,3号,102号等のタール色素などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができるが、水系ビヒクルを用いる本発明では、溶解性の観点からタール色素が特に好ましく用いられる。この場合、タール色素は、一般に無機顔料に比べて耐光性に劣る場合が多いが、複数の色素を色調に大きく影響しない範囲で種々組み合わせることにより、無機顔料に劣らない良好な耐光性を得ることも可能である。例えば、濃青色のインクを調製する場合に、青色1号と赤色2号とを1:0.5〜1:3(重量比)で混合して用いることにより、良好な耐光性を有する濃青色のインクを得ることができる。
【0029】
この印刷インクは、通常の方法に従って上記各成分を混合することにより、調製することができるが、バインダー成分として、水溶性樹脂のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を用いるため、特に防腐剤としてエタノールを添加しない場合にはインク調製中に加熱等による腐敗防止対策を施すことが好ましい。腐敗防止対策として具体的には、例えばタール色素等の着色剤成分を精製水に溶解し、これに湿潤剤、可塑剤および添加剤を順次投入しながら溶解する。この溶液を80℃以上に加温してHPMCを分散し、80℃以上に所定時間保持して滅菌した後、室温まで冷却して撹拌することによりHPMCを溶解してインクを調製することにより、インク調製中に滅菌処理を施すことができる。なお、この水系インクは、バインダー成分としてセラックを用いた従来のインクのように長時間の熟成を必要とせず、効率よくインクの調製を行うことができる。
【0030】
本発明の印刷インクを用いて印刷を施す方法には特に制限はなく、例えば錠剤やカプセル剤に印刷を行う場合は、シオノギクオリカプス社製「錠剤印刷機IS−500」等の印刷機を用いて、従来から公知の方法に従って印刷を行うことができる。例えば、表面に印刷文字やマークをエッチングしたダイロールを、表面の一部が上記水系インクに浸漬した状態で回転させることによりダイロール表面の上記エッチング部分にインクを付着させ、これをダイロール表面と接触しながら回転する転写用ラバーロールに一旦転写した後、該ラバーロール表面を錠剤等の印刷物に押し当てることによって、スタンプ式にインクを被印刷物に転写する方法により印刷を行うことができる。
【0031】
この場合、本発明の印刷インクによれば、上記湿潤剤の作用により、転写用ラバーロール表面に残留したインクが急速に乾燥固化して固着してしまうことを効果的に防止し、従来の水系インクを用いた場合に比べて該ラバーロールのクリーンアップインターバルを延長することができ、更に上述した可塑剤及び/又は添加剤を添加した場合には、従来の有機溶媒系のインクを遥かに凌駕する長いクリーンアップインターバルを達成することもできる。またこの場合、セラックをバインダーに用いた従来の有機溶媒系インクは、ダイロールや転写用ラバーロールなどの印刷機の部品を洗浄する際に、アルカリ溶液を必要としたが、本発明の印刷インクは、水系ビヒクルを用いているので水で洗い落とすことができ、このため洗浄の際にアルカリ溶液は不要となり、安全性にも優れるものである。
【0032】
また、本発明の印刷インクは、水溶性樹脂を水系溶媒に溶解した水系ビヒクルを用いたものであるから、溶媒の揮発による粘度上昇を生じにくく、安定的に印刷作業を行うことができる。即ち、セラックを有機溶媒に溶解したビヒクルを用いた従来のインクは、有機溶媒が揮発してバインダー樹脂のセラック濃度が上昇しやすく、濃度上昇に伴う粘度増加によってインクが上記ダイロールに巻き上げられやくなり、このため頻繁にインクの希釈を行う必要があるが、本発明の印刷インクは、上記水系ビヒクルを用いたものであるので、このような問題を生じにくく、希釈の回数も少なくて済む。また、有機溶媒の揮発による作業環境への影響も生じない。
【0033】
更に、本発明の印刷インクは、錠剤やカプセル剤の表面層を形成する基材樹脂や糖衣層とインクのバインダー成分である水溶性樹脂とが相溶して印刷インクが印刷面と一体化し、耐剥離性に優れた印字が得られる上、上述した可塑剤や添加剤を添加することにより、印字のエッジをシャープにして極めて鮮明な印字を確実に得ることができる。
【0034】
なお、本発明の印刷インクは、表面に水溶性樹脂からなるコート層や糖衣層を有する錠剤、水溶性樹脂からなるカプセル剤などの経口投与用の医薬に好適に使用されるものであるが、その用途は医薬に限定されるものではなく、タブレット状に成形されたいわゆる健康食品やその他の食品などにも好適に適用することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の印刷インクによれば、バインダー成分として水溶性樹脂を用いた印刷インクの良好な耐剥離性を維持したまま、印刷時に印刷機器部品のクリーンアップインターバルを延長させて、印刷効率の向上を図ることができ、かつ印字性能を向上させて、より鮮明な印字が確実に得られるものである。
【0036】
【実施例】
以下、実施例,比較例を示し本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0037】
表1の実施例1〜8、参考例1〜5及び比較例1〜4に示した組成の印刷インクを調製し、シオノギクオリカプス(株)社製の錠剤印刷機「IS−500」を用いて、HPMCでコートされた錠剤への印刷試験を行った。このとき、印刷機の転写用ラバーロールのクリーンアップインターバルを徐々に延長していき、印刷不良を生じることなく良好な印刷を行うことができる最長インターバルを調べ、またクリーンアップ直前の印字の鮮明度を下記基準で評価した。結果を表1に示す。更に、表1の比較例5に示した組成の市販インクを用いて同様の試験を行った。結果を表1に併記する。なお、参考として、実施例2のインクを用いて印刷したクリーンアップ直前(最悪時)の印字を撮影した拡大写真を図1に示し、比較として比較例1のインクを用いて印刷したクリーンアップ直後(最良時)の印字を撮影した拡大写真を図2に示した。
印字鮮明度の評価基準
◎:印字のエッジが非常にシャープであり、非常に鮮明である。
〇:印字のエッジがシャープであり、鮮明である。
△:エッジのシャープさにやや劣るが、全体として鮮明である。
×:エッジに滲みが生じ、この滲みのために線字が太くなって不鮮明である。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示されているように、湿潤剤を添加した水系インク(実施例1〜8及び参考例1〜5)は、従来の水系インク(比較例1〜4)に比べてクリーンアップインターバルが延長されており、特に湿潤剤と共に可塑剤又は添加剤としてクエン酸トリエチル、トリアセチン又はアルギン酸ナトリウムを15〜40重量%の適量範囲で添加した実施例1〜5のインクは、クリーンアップインターバルの延長と共に、印字の鮮明度をも効果的に向上させることができ、更にこの実施例1〜5のインクは、従来の有機溶媒系インク(比較例5)と同等又はそれを遥かに凌駕する長いクリーンアップインターバルを達成し得ることが確認された。
【0040】
なお、図2の拡大写真に示されているように、従来の比較例1のインクによる印字は、クリーンアップ直後の最良の条件でも印字のエッジが滲んで線字が太くなり、鮮明度に劣るものであるのに対して、図1の拡大写真に示されているように、本発明にかかる実施例2のインクによる印字は、先のクリーンアップから60分経過したクリーンアップ直前の最悪条件下でも良好な鮮明度を維持していた。
【0041】
次に、バーコーターNo.3を用い、ゼラチンフィルム及びHPMCフィルム(いずれも50×100mm)上に、上記実施例1〜8、参考例1〜5及び比較例1〜5の各インクを約7μm厚に塗工し、室温で24時間乾燥させて試験片を作製し、下記試験を行った。結果を表2に示す。
剥離試験
JIS K5400に規定の鉛筆引っかき試験機を用い、その鉛筆ホルダーを取り外して錘台に8mmφ×9mmの円柱アダプターを取り付け、該アダプターに10mm×10mmの試験紙(ミラーコート紙)を貼り付ける。この試験機の試験片取付け台に上記試験片をテープで固定し、錘台に500gの錘をのせて試験片取付け台を毎秒0.5mmの速度で動かすことにより、試験片のインク塗面に上記試験紙を500gの圧力で押しつけた状態で擦りつけ、70mmのストロークで同一面を10回擦った後、試験紙表面のインク汚れを0点(汚れなし)〜10点(非常に汚れている)の10段階で評価した。
付着力試験
JIS K5400に規定の鉛筆引っかき試験機を用い、その鉛筆ホルダーを取り外して錘台にタングステン製の針を取り付け、錘台に分銅をのせて試験片取付け台に固定した上記試験片に上記針を当接させ、試験片取付け台を毎秒0.5mmの速度で70mm動かして試験片の塗面を上記針で引っかき、塗面に針跡が全体として約35mm付いたときの荷重(分銅の重さ)を付着力とした。
滑り角度試験(静止摩擦)
上記試験片から30mm×30mm角の試料を切り出して傾斜台にテープで固定し、その上に50gの分銅(20mmφ)を直接のせて、上記傾斜台を徐々に傾斜させていき、分銅が動き始めた時点の傾斜角度を記録し、同様の操作を3回繰り返して、その平均値を滑り角度とした。
【0042】
【表2】
【0043】
表2に示されているように、本発明の印刷インクにより得られる印字塗膜は、耐剥離性、付着性、滑り性について、従来の水系インク(比較例1〜4)と同等の優れた性能を有しており、従来の有機溶媒系インク(比較例5)を凌駕するものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の印刷インクにより得られたクリーンアップ直前の印字を示す10倍拡大写真である。
【図2】比較例1の印刷インクにより得られたクリーンアップ直後の印字を示す10倍拡大写真である。
Claims (4)
- 水にバインダー成分を溶解した水系ビヒクルに着色剤成分を配合してなる経口投与製品の印刷インクにおいて、
上記バインダー成分としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合すると共に、湿潤剤としてグリセリンを添加し、更に可塑剤のクエン酸トリエチル、トリアセチン及び添加剤のアルギン酸ナトリウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上を添加配合したことを特徴とする経口投与製品の印刷インク。 - 湿潤剤として添加されるグリセリンの配合量が1〜10重量%である請求項1記載の経口投与製品の印刷インク。
- 可塑剤としてクエン酸トリエチル又はトリアセチンを5〜40重量%配合した請求項1又は2記載の経口投与製品の印刷インク。
- 添加剤としてアルギン酸ナトリウムを5〜30重量%配合した請求項1〜3のいずれか1項に記載の経口投与製品の印刷インク。
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